JP6837830B2 - 動的架橋物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、動的架橋物の製造方法に関し、また、該方法を用いた低空気透過性フィルム及び空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
従来、例えば、空気入りタイヤのガスバリア層(即ち、インナーライナー)として、連続相である熱可塑性樹脂と分散相であるゴムとの動的架橋物からなる低空気透過性フィルムを用いる技術が知られている。
動的架橋物は、熱可塑性樹脂とゴムを架橋剤とともに混練してゴムを動的に架橋させることにより製造されるが、柔軟性が不十分であることに起因して、フィルム化する際の加工性に劣り、またフィルムの耐久性に劣ることがある。
特許文献1には、加工性と低温特性を改良するために、ポリアミド樹脂及びゴム成分ととともにスルホンアミド系の可塑剤を添加して動的架橋することが提案されている。また、特許文献2には、ポリアミド樹脂とゴムとを動的架橋する方法において、ゴム及び樹脂に可塑性を与えて、その他の配合剤の混入・分散を助けるために可塑剤を添加することが開示されている。これらの文献において、可塑剤は、樹脂に予め添加されるか、又は、樹脂とゴムとの混練時にこれらとともに添加混合されており、いずれにしても動的架橋前に添加されている。
特許第4942253号公報 特許第5668876号公報
動的架橋物においては、分散相であるゴムをできるだけ微分散化して連続相をなす樹脂中に分散させることが好ましい。そのためには、動的架橋段階において混練物の粘度を下げずに高せん断下でゴムを微分散させることが望まれる。しかるに、可塑剤を混練初期に添加すると、動的架橋段階で混練物の粘度が低下することにより、高せん断がかからずゴムを微分散化させることが困難になる。そのため、柔軟性は付与されるものの、架橋ゴムの分散性に劣るとの問題がある。
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、架橋ゴムの分散性を損なうことなく、柔軟性を付与することができる動的架橋物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る動的架橋物の製造方法は、熱可塑性樹脂とゴムを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的に架橋し、架橋後に可塑剤を添加し混合するものである。
一実施形態に係る低空気透過性フィルムの製造方法は、上記の方法により得られた動的架橋物を用いてフィルムを成形するものである。また、一実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法は、該方法により得られた低空気透過性フィルムを用いて作製したグリーンタイヤを加硫成型するものである。
本実施形態によれば、可塑剤を架橋終了後に添加することにより、動的架橋段階では混練物の粘度を下げずに高せん断下でゴムを微分散化させることができる。また、架橋が終了し分散状態が安定した状態で可塑剤が添加されるので、架橋ゴムの分散性を損なうことなく、動的架橋物に柔軟性を付与することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る動的架橋物は、連続相をなす熱可塑性樹脂と、該連続相中に分散したゴムの架橋物と、可塑剤と、を含むものである。動的架橋物は、熱可塑性樹脂とゴムを溶融混練してゴムを動的架橋させることにより得られるものであり、熱可塑性樹脂を連続相(マトリックス相)とし、ゴムの架橋物を分散相(ドメイン相)とした海島構造を持つ。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体などの脂肪族ポリアミド系樹脂(ナイロン樹脂); エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのポリビニル系樹脂; ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系樹脂; ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)などのポリニトリル系樹脂; 酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース系樹脂; ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素系樹脂; 芳香族ポリイミド(PI)などのイミド系樹脂が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。一実施形態において、熱可塑性樹脂としてはナイロン樹脂が好ましく用いられる。
連続相を形成する熱可塑性樹脂には、本実施形態による効果を損なわない限り、充填剤、補強剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて適宜配合してもよい。
分散相を形成するゴムとしては、一般に架橋(加硫)して使用される(即ち、架橋可能な)各種のゴムポリマーが用いられ、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、水素化スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム及びその水素添加ゴム; エチレンプロピレンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンブチレンゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)などのオレフィン系ゴム; ハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR))、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンなどの含ハロゲンゴム; その他、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴムなどが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。一実施形態として、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、ニトリルゴム(NBR)及び水素化ニトリルゴム(H−NBR)から選択される少なくとも1種を用いてもよい。
分散相を形成するゴムには、上記ゴムポリマーを動的架橋するための架橋剤を配合してもよく、予めゴムと架橋剤を混合してマスターバッチ化しておいてもよい。架橋剤としては、硫黄や硫黄含有化合物等などの加硫剤、加硫促進剤の他、フェノール樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐熱性等の点から、フェノール樹脂を用いることである。フェノール樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる樹脂が挙げられ、例えば、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、加硫速度を速くすることができる点から、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などのハロゲン化フェノール樹脂を用いてもよい。架橋剤の配合量は、ゴムを適切に架橋できる量であれば、特に限定されないが、ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部でもよく、0.5〜5質量部でもよい。
分散相を形成するゴムには、例えば、充填剤、老化防止剤、加工助剤などの一般にゴム組成物に配合される各種添加剤を配合してもよい。
本実施形態に係る動的架橋物において、熱可塑性樹脂とゴムとの配合比(添加剤を除いたポリマーとしての比率)は、特に限定されず、例えば、質量比(熱可塑性樹脂/ゴム)で、90/10〜30/70でもよく、70/30〜40/60でもよく、60/40〜40/60でもよい。
本実施形態に係る動的架橋物には、可塑剤が配合される。可塑剤は、連続相をなす熱可塑性樹脂に柔軟性を付与することができる種々の化合物を用いることができ、例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤; ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジブチルカルビトールアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤; ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート等のセバシン酸エステル系可塑剤; トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤; トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤; ブチルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド系可塑剤等が挙げられる。また、流動パラフィンやアロマオイルなどの石油系の軟化剤や可塑剤も、本実施形態に係る可塑剤として用いることができる。これらの可塑剤は、いずれか1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の配合量は、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂100質量部に対して5〜50質量部でもよく、10〜30質量部でもよい。
動的架橋物には、相溶化剤を配合してもよい。相溶化剤は、熱可塑性樹脂とゴムとの界面張力を低下させて、両者を相溶化させるものである。相溶化剤としては、特に限定されず、一実施形態として、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(即ち、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、及び/又は、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体)を用いてもよい。相溶化剤の配合量は、特に限定されず、熱可塑性樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5〜20質量部でもよく、1〜10質量部でもよい。
動的架橋物には、また、接着剤としてレゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体を配合してもよい。該接着剤は、動的架橋物をフィルム化してそのフィルムをゴム部材と積層一体化する際のゴム部材との接着性を向上するための添加剤である。レゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体の配合量は、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5〜10質量部でもよく、1〜5質量部でもよい。
次に、本実施形態に係る動的架橋物の製造方法について説明する。本実施形態では、熱可塑性樹脂とゴム(即ち、未架橋ゴム)を架橋剤とともに溶融混練して、架橋剤によりゴムを動的に架橋(即ち、混練しながらゴムポリマーを架橋)し、架橋後に混練物に可塑剤を添加し混合することを特徴とする。
混練に使用する混練機としては、例えば、二軸押出機、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。好ましくは二軸押出機を用いることである。混練温度は、熱可塑性樹脂が溶融し、かつ架橋剤が架橋反応する温度以上であればよい。
可塑剤は、架橋後、即ち架橋が終わった段階で混練物に添加される。動的架橋している段階では可塑剤は添加されていないので、混練物の粘度を下げずに高せん断下でゴムを微分散化させることができる。そして、架橋が終了し、微細な分散状態が安定した状態で可塑剤が添加されるので、分散性を犠牲にすることなく、動的架橋物を柔軟化することができる。なお、架橋されたゴムには可塑剤は取り込まれにくいので、可塑剤は、分散相をなすゴム中ではなく、連続相をなす熱可塑性樹脂中に主に混在しており、そのため、動的架橋物の溶融粘度を効果的に下げることができ、フィルム加工性を向上することができる。
ここで、架橋後、即ち架橋が終わった段階にあるか否かは、混練物中のゴムのゲル化率により判断することができ、ゲル化率が70%以上、より好ましくは90%以上であれば、架橋後の段階にある。ゲル化率の測定方法は、以下の通りである。
混練物をアセトンで抽出を行い、その後、トルエン中に3日間浸漬させ、その後乾燥させる。トルエン浸漬前の質量から浸漬後の質量を差し引いた値を未架橋のゴム質量として(即ち、未架橋のゴム質量=浸漬前の質量−浸漬後の質量)、次式によりゲル化率を算出する。
・ゲル化率(%)={(混練物中のゴム質量−未架橋のゴム質量)/混練物中のゴム質量}×100
なお、ゲル化率の測定対象とする混練物は、可塑剤を混練しようとする位置(ないし混練段階)で採取すればよい。
可塑剤以外の添加剤(相溶化剤及び架橋剤も含む)について、熱可塑性樹脂及びゴムへの添加時期は、例えば、熱可塑性樹脂とゴムとの混練前に予め添加混合しておいてもよく、熱可塑性樹脂及びゴムとともに混練機に投入してもよい。
一実施形態として、混練機として二軸押出機を用いて、該二軸押出機に熱可塑性樹脂及びゴムとともに架橋剤及び相溶化剤を含む添加剤(但し、可塑剤は除く)を投入して混練することにより動的架橋させながら、架橋が終了する位置よりも下流側の位置で可塑剤を二軸押出機に投入し混練することにより、動的架橋物を得てもよい。なお、架橋剤は、予めゴムに添加してゴム組成物(マスターバッチ)のペレットを作製し、該ペレットを熱可塑性樹脂とともに混練機である二軸押出機に投入してもよい。
このようにして得られた動的架橋物をフィルム化することにより、低空気透過性フィルムが得られる。すなわち、低空気透過性フィルムは、上記方法により得られた動的架橋物のペレットを用いて、フィルムを成形することにより製造することができる。動的架橋物のペレットをフィルム化する方法は特に限定されず、例えば押し出し成形やカレンダー成形など、通常の熱可塑性樹脂をフィルム化する方法を用いることができる。
低空気透過性フィルムの空気透過性は、特に限定されないが、80℃での空気透過係数が5×1013fm/Pa・s以下であることが好ましく、インナーライナーの薄肉化によるタイヤの軽量化を図ることができる。該空気透過係数は、0.1×1013〜4×1013fm/Pa・sでもよく、0.1×1013〜1.0×1013fm/Pa・sでもよい。ここで、空気透過係数は、JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定される値である。
低空気透過性フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、0.02〜1.0mmでもよく、0.05〜0.5mmでもよく、0.1〜0.3mmでもよい。
本実施形態に係る低空気透過性フィルムは、例えば、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどの重荷重用タイヤを含む各種の自動車用タイヤ、また自転車を含む二輪車用タイヤなど、各種の空気入りタイヤに適用することができる。好ましくは、空気入りタイヤのガスバリア層として用いることであり、タイヤ内面の全体にわたって設けられるインナーライナーとして用いることが好ましい。但し、ガスバリア層として用いる場合、タイヤ内面に設けるインナーライナーには限定されず、タイヤ内部からの空気の透過を防止してタイヤの空気圧を保持することができる態様、即ち内圧保持のための空気透過抑制層として設けられるものであれば、例えば、カーカスプライの外面側などの種々の位置に設けることができ、特に限定されない。
かかる空気入りタイヤの製造方法としても、特に限定されず、上記低空気透過性フィルムを用いて公知の方法によりグリーンタイヤを作製し、作製したグリーンタイヤをモールド内で加硫成型することにより、一実施形態に係る空気入りタイヤが得られる。
以下に、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
下記表1に示す配合(質量部)に従い、動的架橋物を作製した。詳細には、ゴムと架橋剤を、架橋しない条件で予め混合してゴムマスターバッチのペレットを作製し、得られたペレットとナイロン樹脂と相溶化剤と接着剤を、温度230℃、回転数200rpmに設定した二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製)に投入し、溶融混練して動的架橋物のペレットを作製した。
その際、比較例1では、可塑剤を添加せずに、二軸押出機に1回だけ通した(混練パス回数:1回)。比較例2では、二軸押出機への可塑剤の投入タイミングを下記Aとし、二軸押出機に1回だけ通した。比較例3では、可塑剤の投入タイミングをAとし、二軸押出機に2回通した(混練パス回数:2回)(2回目には何も添加せずに混練)。比較例4〜6では、可塑剤の投入タイミングを下記Bとし、二軸押出機に1回だけ通した。比較例7では、可塑剤の投入タイミングをBとし、二軸押出機に2回通した(2回目には何も添加せずに混練)。実施例1〜3では、可塑剤の投入タイミングを下記Cとし、二軸押出機に2回通した。なお、可塑剤を除くその他の成分は、全て1回目の混練パスの最初に投入した。
A:ナイロン樹脂及びゴムとともに1回目の混練パスの最初に投入
B:1回目の混練パスの途中(二軸押出機の混練工程の約1/2の位置(即ち、加熱シリンダの上流側から約1/2の位置))で投入
C:1回目の混練パスで得られた混練物を2回目の混練パスにおいて二軸押出機に投入する際に、当該混練物とともに可塑剤を投入。
予備試験として、比較例1の配合について温度230℃、回転数200rpmに設定した上記二軸押出機で2回混練を行い(混練パス回数:2回)、(I)上記Bの位置で抜き取った混練物、(II)1回目の混練パスで得られた混練物、及び、(III)2回目の混練パスで得られた混練物のゲル化率をそれぞれ測定した。その結果、ゲル化率は、(I)では68%、(II)では91%、(III)では96%であった。そのため、上記A及びBは、架橋が終わっていない段階での可塑剤添加であり、上記Cは、架橋が終わった段階での可塑剤添加である。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・ナイロン樹脂:ナイロン6/66共重合体、DSM社製「ノバミッド2020」
・ゴム:BR、旭化成(株)製「D.NF35」
・相溶化剤:エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、住友化学(株)製「ボンドファーストBF−E」
・架橋剤:アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製「タッキロール201」
・接着剤:レゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体、田岡化学工業(株)製「スミカノール620」
・可塑剤1:ジイソノニルフタレート、大八化学工業(株)製「DINP」
・可塑剤2:トリクレジルホスフェート、大八化学工業(株)製「TCP」
・可塑剤3:流動パラフィン、ナカライテスク(株)製「流動パラフィン」。
得られた動的架橋物について溶融粘度を測定して加工性を評価した。また、該動的架橋物のペレットをフィルム成型用の単軸押出機にて厚み0.2mmのフィルムに成型し、得られたフィルムについて、分散状態、フィルム表面状態、耐久性、10%モジュラス、空気透過係数を測定した。各測定・評価方法は以下の通りである。
・溶融粘度:(株)安田精機製作所製のキャピラリーレオメーターを用いて、230℃、せん断速度800(1/s)での溶融粘度を測定した。溶融粘度が小さいほど、加工性に優れる。
・分散状態(分散相観察):ブルカー社製Dimension Iconを用いてタッピングモードで位相像を観察し、分散相の径を求めた。分散相の径は、50μm角の画像中の10個の分散相についての各面積を求め、各面積から算出した円相当径(その面積に相当する円の直径)の平均の値を用いた。分散相の径が小さいほど、分散性に優れる。
・フィルム表面状態:フィルムの表面状態を観察し、表面が滑らかで平滑の場合を加工性に優れるとして「○」で表示し、表面に波打ちがあり凹凸の場合を「×」で表示した。
・耐久性:JIS K6270に類似の方法で行った。詳細には、動的架橋物フィルムをダンベル3号形で打ち抜き試験片を作製した。試験片をチャック間3cmにて挟み込み、振動数5Hz、伸長50%、試験温度40℃で試験を行った。試験片の数は10個とし、300万回繰り返したときの破断本数が3本以下の場合は合格として「○」で表示し、4本以上の場合は不合格として「×」で表示した。
・10%モジュラス:JIS K6251の引張試験に準じて測定した。ダンベル形状は3号形(但し、厚みは200μm)とし、500mm/分の速度で引っ張った際の10%伸びた状態の応力を測定した。この値が小さいほど、柔軟性に優れる。
・空気透過係数:JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて、空気透過係数を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。
Figure 0006837830
結果は表1に示す通りである。可塑剤を添加しなかった比較例1に対し、可塑剤をゴム及び樹脂とともに混練初期に添加した比較例2では、得られた動的架橋物の溶融粘度が低くフィルム加工性は改善されたものの、架橋ゴムの微分散化効果が損なわれた。比較例2に対して単に混練パス回数を増やしても、比較例3に示すように微分散化効果は得られなかった。比較例4〜6では、動的架橋の途中の段階で可塑剤を添加しており、架橋が終了していないため、微分散化は不十分であった。これに対し、動的架橋の終了後に可塑剤を添加した実施例1〜3であると、比較例1と同等の微分散化効果を維持しつつ、動的架橋物の溶融粘度が低減してフィルム加工性が改善されており、低空気透過性フィルムに柔軟性が付与されていた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂とゴムを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的に架橋し、架橋後に可塑剤を添加し混合することにより得られた動的架橋物を用いてフィルムを成形する低空気透過性フィルムの製造方法により得られた低空気透過性フィルムを用いて、グリーンタイヤを作製し、前記グリーンタイヤを加硫成型する、空気入りタイヤの製造方法。
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