JP7017339B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法に関し、また、該熱可塑性エラストマー組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、空気入りタイヤのガスバリア層(即ち、インナーライナー)として、連続相である熱可塑性樹脂と分散相であるゴムとの動的架橋物である熱可塑性エラストマー組成物からなる低空気透過性フィルムを用いる技術が知られている。このような熱可塑性エラストマー組成物からなる低空気透過性フィルムを、例えば寒冷地用タイヤに用いる場合、低空気透過性(即ち、ガスバリア性)を維持しつつ低温耐久性を向上させることが求められる。
そのため、例えば、特許文献1には、ハロゲン化ゴムのハロゲン部分を特定の官能基を有する鎖状高分子化合物又は非高分子化合物で置換した変性ハロゲン化ゴムを分散相とし、熱可塑性樹脂を連続相とした熱可塑性エラストマー組成物が提案されている。
また、特許文献2には、ポリアミド樹脂を連続相とし、ハロゲン含有共重合体ゴムを分散相とする熱可塑性エラストマー組成物において、加工助剤として、スルホンアミド化合物、ポリエステルエラストマー、又はポリエステル・ポリエーテル型ポリマーを添加することが提案されている。
しかしながら、熱可塑性エラストマー組成物に液状ポリブタジエンを配合することにより、ガスバリア性と低温耐久性を両立することは知られていない。
特開2003-89702号公報 特許第4942253号公報
本発明の実施形態は、以上の点に鑑み、ガスバリア性の低下を抑えながら、低温耐久性を向上することができる熱可塑性エラストマー組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂を含む連続相と、架橋されたゴムを含む分散相とを含む熱可塑性エラストマー組成物において、液状ポリブタジエンを含むことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤは、該熱可塑性エラストマー組成物からなる低空気透過性フィルムを備えるものである。
本発明の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂とゴムと液状ポリブタジエンを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的架橋するものである。
本実施形態によれば、熱可塑性エラストマー組成物に液状ポリブタジエンを配合することにより、ガスバリア性の低下を抑えながら、低温耐久性を向上することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、連続相をなす熱可塑性樹脂と、該連続相中に分散した架橋されたゴムと、を含む動的架橋物であり、液状ポリブタジエンを含むことを特徴とする。動的架橋物は、熱可塑性樹脂とゴムを溶融混練してゴムを動的架橋させることにより得られるものであり、熱可塑性樹脂を連続相(マトリックス相)とし、ゴムの架橋物を分散相(ドメイン相)とした構造を持つ。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体などの脂肪族ポリアミド系樹脂(ナイロン樹脂); エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのポリビニル系樹脂; ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系樹脂; ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)などのポリニトリル系樹脂; 酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース系樹脂; ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素系樹脂; 芳香族ポリイミド(PI)などのイミド系樹脂が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。一実施形態において、熱可塑性樹脂としてはナイロン樹脂が好ましく用いられる。
連続相を形成する熱可塑性樹脂には、本実施形態による効果を損なわない限り、充填剤、補強剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加してもよく、これら添加剤を含む樹脂組成物により連続相を形成してもよい。
分散相を形成するゴムとしては、一般に架橋(加硫)して使用される(即ち、架橋可能な)各種のゴムポリマーが用いられ、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H-NBR)、水素化スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム及びその水素添加ゴム; エチレンプロピレンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンブチレンゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)などのオレフィン系ゴム; ハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム(Br-IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl-IIR))、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンなどの含ハロゲンゴム; その他、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴムなどが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。一実施形態として、ゴムは、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、ニトリルゴム(NBR)及び水素化ニトリルゴム(H-NBR)から選択される少なくとも1種でもよい。また、一実施形態として、ゴムは、ブタジエンゴムを含むもの(即ち、ブタジエンゴムの単独、又はブタジエンゴムと他のゴムポリマーとの併用)でもよく、全ゴムポリマー中の50質量%以上がブタジエンゴムであってもよい。なお、ここでいうゴムは、常温(23℃)で固形状のゴムポリマーであり、後述する液状ポリブタジエンとは区別される。
分散相を形成するゴムには、動的架橋するための架橋剤を添加してもよく、予めゴムと架橋剤を混合してマスターバッチ化しておいてもよい。架橋剤としては、硫黄や硫黄含有化合物等などの加硫剤、加硫促進剤、フェノール樹脂などが挙げられる。好ましくは、耐熱性等の点から、フェノール樹脂を用いることである。フェノール樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる樹脂が挙げられ、例えば、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、加硫速度を速くすることができる点から、臭素化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂などのハロゲン化フェノール樹脂を用いてもよい。架橋剤の配合量は、ゴムを適切に架橋できる量であれば、特に限定されないが、ゴム100質量部に対して、0.1~10質量部でもよく、0.5~5質量部でもよい。
分散相を形成するゴムには、例えば、充填剤、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、加工助剤などの一般にゴム組成物に配合される各種添加剤を添加してもよく、これら添加剤を含むゴム組成物により分散相を形成してもよい。
熱可塑性エラストマー組成物において、熱可塑性樹脂とゴムとの配合比(添加剤を除いたポリマーとしての比率)は、特に限定されず、例えば、質量比(熱可塑性樹脂/ゴム)で、90/10~30/70でもよく、70/30~40/60でもよく、60/40~40/60でもよい。
本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物には、液状ポリブタジエンが配合される。この種の動的架橋物からなる熱可塑性エラストマー組成物において、柔軟性を付与するためには一般に低分子化合物の可塑剤が用いられるが、低分子化合物の可塑剤では、その揮発性による人体への影響や、低空気透過性フィルムとして用いたときのガスバリア性の低下という問題がある。本実施形態によれば、液状ブタジエンゴムを使用することで、ガスバリア性を保ちつつ、柔軟性を付与して低温耐久性を向上することができる。
液状ポリブタジエンは、常温(23℃)で液状のポリブタジエンであり、水素添加されたものでもよく、また末端に極性官能基を有するものでもよい。液状ポリブタジエンは、熱可塑性エラストマー組成物中において、上記ゴムとともに分散相を構成してもよく、ゴムとは別に分散相を構成してもよく、熱可塑性樹脂とともに連続相を構成してもよく、あるいはまた、これら3態様のうちの2態様以上を組み合わせた状態で存在してもよい。また、液状ポリブタジエンは、熱可塑性エラストマー組成物中において、架橋剤により少なくとも一部が架橋されてもよく、架橋されていなくてもよい。
液状ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)は、特に限定されず、例えば1,000~2万でもよく、1,000~1万でもよく、1,500~5,000でもよい。ここで、数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、溶媒:THF(テトロヒドロフラン)、40℃で測定される値である。
液状ポリブタジエンとしては、水素添加された液状水素化ポリブタジエンを用いてもよく、低温耐久性をより向上することができる。これは、水素添加により動的架橋時における液状ポリブタジエンの架橋が抑えられるためと考えられる。液状水素化ポリブタジエンにおいては、必ずしも全ての二重結合が水素添加されている必要はない。液状水素化ポリブタジエンのよう素価(JIS K0070-1992)は25(g/100g)以下でもよく、21(g/100g)以下でもよい。
液状ポリブタジエンとしては、また、末端に官能基を持たないブタジエンのホモポリマーを用いてもよいが、末端に極性官能基が持つ変性液状ポリブタジエンを用いてもよい。好ましい実施形態としては、末端に極性官能基を持つ液状水素化ポリブタジエンを用いることであり、ガスバリア性と低温耐久性の両立効果を高めることができる。極性官能基としては、ヘテロ原子として酸素原子を含むものが好ましく、例えば、水酸基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基(これはアクリロイル基とメタクリロイル基を包含する概念である。)などが挙げられ、これらはそれぞれ1種のみ導入されてもよく、あるいはまた2種以上組み合わせて導入されてもよい。
液状ポリブタジエンとしては、また、1,2-結合成分の含有量が80モル%以上の液状1,2-ポリブタジエン又はその水素添加物(液状水素化1,2-ポリブタジエン)を用いてもよい。1,2-結合成分の含有量は85モル%以上であることが好ましい。ここで、1,2-結合成分とは、1,2-ビニル結合ユニット及びそれに水素添加されたユニットを包含する概念である。すなわち、1,2-ビニル結合ユニットは水素添加によりビニル基がエチル基になるが、炭素数2の炭化水素基の側鎖を持つという1,2-結合の形態自体は保持されるので、水添及び未水添の1,2-ビニル結合ユニットを併せて1,2-結合成分とする。1,2-結合成分の含有量は、液状ポリブタジエンに含まれるブタジエンユニットの含有量に対する1,2-結合成分の含有量であり、赤外吸収スペクトルによるモレロ法により測定される。
液状ポリブタジエンの配合量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5~20質量部であることが好ましく、より好ましくは3~15質量部である。液状ポリブタジエンの配合量を20質量部以下にすることにより、ガスバリア性の低下を抑えることができる。
熱可塑性エラストマー組成物には、相溶化剤を配合してもよい。相溶化剤は、熱可塑性樹脂とゴムとの界面張力を低下させて、両者を相溶化させるものである。相溶化剤としては、特に限定されず、一実施形態として、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(即ち、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、及び/又は、エチレン-グリシジルアクリレート共重合体)を用いてもよい。相溶化剤の配合量は、特に限定されず、熱可塑性樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5~20質量部でもよく、1~10質量部でもよい。
熱可塑性エラストマー組成物には、また、接着剤としてレゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体を配合してもよい。該接着剤は、熱可塑性エラストマー組成物をフィルム化してそのフィルムをゴム部材と積層一体化する際のゴム部材との接着性を向上するための添加剤である。レゾルシン系ホルムアルデヒド縮合体の配合量は、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂とゴム(添加剤を除いたポリマーとしての量)の合計量100質量部に対して0.5~10質量部でもよく、1~5質量部でもよい。
次に、本実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法について説明する。
本実施形態では、熱可塑性樹脂とゴム(即ち、未架橋ゴム)と液状ポリブタジエンを架橋剤とともに溶融混練して、架橋剤によりゴムを動的架橋(即ち、混練しながらゴムを架橋)することにより、熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
混練に使用する混練機としては、例えば、二軸押出機、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。好ましくは二軸押出機を用いることである。混練温度は、熱可塑性樹脂が溶融し、かつ架橋剤が架橋反応する温度以上であればよい。
液状ポリブタジエン、架橋剤、及びその他の添加剤の添加時期は、例えば、熱可塑性樹脂とゴムとの混練前に予め添加混合しておいてもよく、熱可塑性樹脂及びゴムとともに混練機に投入してもよい。
一実施形態として、上記ゴムに液状ポリブタジエン及び架橋剤を添加することで、ゴムと液状ポリブタジエンと架橋剤を含むマスターバッチを作製し、次いで、該マスターバッチと熱可塑性樹脂とを溶融混練して動的架橋することにより動的架橋物のペレットを得てもよい。その際、相溶化剤を熱可塑性樹脂及びマスターバッチとともに混練機に投入して溶融混練してもよい。
このようにして得られた熱可塑性エラストマー組成物をフィルム化することにより、低空気透過性フィルムが得られる。すなわち、低空気透過性フィルムは、上記方法により得られた動的架橋物である熱可塑性エラストマー組成物のペレットを用いて、フィルムを成形することにより製造することができる。熱可塑性エラストマー組成物のペレットをフィルム化する方法は特に限定されず、例えば押し出し成形やカレンダー成形など、通常の熱可塑性樹脂をフィルム化する方法を用いることができる。
低空気透過性フィルムの空気透過性は、特に限定されないが、80℃での空気透過係数が5×1013fm/Pa・s以下であることが好ましく、インナーライナーの薄肉化によるタイヤの軽量化を図ることができる。該空気透過係数は、0.1×1013~4×1013fm/Pa・sでもよく、0.1×1013~1.0×1013fm/Pa・sでもよい。ここで、空気透過係数は、JIS K7126-1「プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定される値である。
低空気透過性フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、0.02~1.0mmでもよく、0.05~0.5mmでもよく、0.1~0.3mmでもよい。
本実施形態に係る低空気透過性フィルムは、例えば、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどの重荷重用タイヤを含む各種の自動車用タイヤ、また自転車を含む二輪車用タイヤなど、各種の空気入りタイヤに適用することができる。好ましくは、空気入りタイヤのガスバリア層として用いることであり、タイヤ内面の全体にわたって設けられるインナーライナーとして用いることが好ましい。但し、ガスバリア層として用いる場合、タイヤ内面に設けるインナーライナーには限定されず、タイヤ内部からの空気の透過を防止してタイヤの空気圧を保持することができる態様、即ち内圧保持のための空気透過抑制層として設けられるものであれば、例えば、カーカスプライの外面側などの種々の位置に設けることができ、特に限定されない。
かかる空気入りタイヤの製造方法としても、特に限定されず、上記低空気透過性フィルムを用いて公知の方法によりグリーンタイヤを作製し、作製したグリーンタイヤをモールド内で加硫成型することにより、一実施形態に係る空気入りタイヤが得られる。
以下に、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
下記表1に示す配合(質量部)に従い、熱可塑性エラストマー組成物を作製した。詳細には、ゴムと架橋剤と液状ポリブタジエン(比較例2では可塑剤)を、架橋しない条件で予め混合してゴムマスターバッチのペレットを作製した。また、ナイロン樹脂と相溶化剤を予めドライブレンドした。得られたドライブレンド物とゴムマスターバッチのペレットを、温度220℃、回転数200rpmに設定した二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製)に投入し、溶融混練して動的架橋させることにより、動的架橋物のペレットを作製した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・ナイロン樹脂:ナイロン6/66共重合体、DSM社製「Novamid2020」
・ゴム:BR、宇部興産(株)製「UBEPOL BR150L」
・相溶化剤:エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、住友化学(株)製「ボンドファーストBF-E」
・架橋剤:臭素化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製「タッキロール250-III」
・可塑剤:N-ブチルベンゼンスルホンアミド、大八化学工業(株)製「BM-4」
・液状ポリブタジエン1:日本曹達(株)製「NISSO-PB GI-3000」(両末端水酸基を持つ水素化ポリブタジエン、Mn=3,100、よう素価=21以下、1,2-結合成分含有量=80モル%以上)
・液状ポリブタジエン2:日本曹達(株)製「B-3000」(液状ポリブタジエン(ブタジエンホモポリマー)、Mn=3,200、1,2-結合成分含有量=90モル%)
・液状ポリブタジエン3:日本曹達(株)製「TE-2000」(ポリブタジエンの両末端にウレタン結合を介してメタクリロイル基を有する液状ポリブタジエンメタクリレート、Mn=2,500、1,2-結合成分含有量=88モル%)
得られた動的架橋物のペレットを、フィルム成型用の単軸押出機にて、幅14cm、厚み0.2mmのフィルムに成型し、得られたフィルムについて、低温耐久性及びガスバリア性を評価した。各評価方法は以下の通りである。
・低温耐久性:JIS K6270に類似の方法で行った。詳細には、動的架橋物フィルムからダンベル3号形の試験片を配向方向に打ち抜き、試験片を作製した。-20℃の雰囲気下で、試験片をチャック間3cmにて挟み込み、5Hzの振動数で50%の繰り返し伸長をかけた。試験片の数は10個とし、30万回伸長後、フィルムの破断が起こったものの数を調べた。表1に10個中の破断数を記載した。破断数が少ないほど、低温耐久性に優れる。
・ガスバリア性:JIS K7126-1「プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて、空気透過係数を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、ガスバリア性に優れることを示す。
Figure 0007017339000001
結果は表1に示す通りである。可塑剤未添加のコントロールである比較例1に対し、可塑剤を添加した比較例2では、低温耐久性は向上したものの、ガスバリア性が大幅に損なわれた。これに対し、液状ポリブタジエンを添加した実施例1~5であると、比較例1に対してガスバリア性の低下を抑えながら、低温耐久性を向上することができ、可塑剤を添加した比較例2に比べて低温耐久性とガスバリア性の両立効果に優れていた。液状ポリブタジエンのなかでは、末端に極性官能基を持つ液状水素化ポリブタジエンの効果が特に高かった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (4)

  1. ナイロン樹脂とゴムと液状ポリブタジエンを架橋剤とともに混練して得られる動的架橋物であって、前記ナイロン樹脂を含む連続相と、架橋された前記ゴムを含む分散相とを含み、かつ前記液状ポリブタジエンを含む、熱可塑性エラストマー組成物からなる低空気透過性フィルムを備える空気入りタイヤ。
  2. 前記液状ポリブタジエンが末端に極性官能基を持つ液状水素化ポリブタジエンである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. ナイロン樹脂とゴムと液状ポリブタジエンを架橋剤とともに混練して前記ゴムを動的架橋することにより熱可塑性エラストマー組成物を得ること、
    前記熱可塑性エラストマー組成物をフィルム化して低空気透過性フィルムを得ること、及び、
    前記低空気透過性フィルムを用いてグリーンタイヤを作製し、前記グリーンタイヤを加硫成型すること、
    を含む空気入りタイヤの製造方法。
  4. 前記熱可塑性エラストマー組成物を作製する際に、前記ゴムと前記液状ポリブタジエンと前記架橋剤を含むマスターバッチを作製し、前記マスターバッチと前記ナイロン樹脂とを溶融混練して動的架橋する、請求項3に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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