JPWO2006003972A1 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

メルトフローレイトが4g/10min以上、20g/10min未満のポリエステル樹脂(A)20〜95重量%と、アクリルゴム(B1)、水素化ニトリルゴム(B2)及びポリエーテルゴム(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種のゴム(B)80〜5重量%とからなり、前記(B)を動的架橋させて成る熱可塑性エラストマー組成物。該組成物を成形して、シール部品、ホース部品、ブーツ類などの自動車関連ゴム部品に好適に使用することができる。

Description

本発明は、ポリエステル樹脂と特定のゴムとから成る熱可塑性エラストマー組成物に関し、詳しくは、引張強度、伸び、圧縮永久歪み及び耐疲労性の各特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
ポリエステル系エラストマーは、引張強度、伸び及び柔軟性を有する熱可塑性エラストマーとして一定の評価が得られている。しかしながら、このエラストマーは、ゴム状弾性体としての用途に用いるには硬度が高く、また、圧縮永久歪みが大きく、耐疲労性に劣る。これらを改良する方法として上記エラストマーにゴムを混合する方法が種々提案されており、近年、ゴム弾性や圧縮永久歪みの改良を目的として、前記エラストマーマトリックス中に架橋ゴム粒子を微分散させることが提案されている。
例えば特許文献1は、ゲル分を20%以上含有する架橋ゴムをポリエステル系エラストマー中に分散混合してなる熱可塑性エラストマー組成物を提案し、ポリエーテルエステルエラストマーに、架橋カルボキシ変性ニトリル−ブタジエンゴムをブラベンダにより混練した組成物を提示している。しかし、エラストマー中に架橋ゴムを単に分散混合させるだけでは圧縮永久歪みの低減や耐疲労性の改良は十分とは言えない。
一方、特許文献2は、ポリアミド系エラストマー又はポリエステル系エラストマーと、架橋ゴムのコア層及び架橋性基を有するゴムのシェル層から成るコア−シェル二層構造ゴム粒子とを架橋剤の存在下に混練して、主にシェル層を架橋させながら該ゴム粒子をエラストマー中に分散させる方法を提案している。しかしながら、この方法によると、引張特性や圧縮永久歪みは改良されるものの、耐疲労性は十分改良されたとは言えない。
また、特許文献3は、ポリエステル、ポリカーボネート又はポリフェニレンオキシドと、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸エステルゴム又はそれらの組合せのゴムであって、多官能性オキサゾリン、オキサジン、イミダゾリン、カルボジイミド又はそれらの組合せの架橋剤により少なくとも部分的に架橋したゴムとからなる熱可塑性エラストマー組成物を提案している。しかしながら、この組成物の成形品も圧縮永久歪みの低減は不十分で、また、耐疲労性に劣る。
さらに、特許文献4は、ポリエステルブロック共重合体、ゴム及び可塑剤を混練し、動的架橋してなるメルトフローレイト20〜150のジョイントブーツ用組成物を提案しているが、これにより引張強度や耐油性の改良された成形品は得られるものの、圧縮永久歪みの低減や耐疲労性の改良への効果は見られない。
特公平5−79256号公報 特開平8−231770号公報 特開平11−246749号公報 特開平7−126500号公報
本発明の目的は、引張強度及び伸びが良好で、圧縮永久歪みが小さく、かつ、耐疲労性に優れる成形品を与える熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定範囲のメルトフローレイトを有するポリエステル樹脂と、特定のゴムとを動的架橋させてなる熱可塑性エラストマー組成物が上記目的を達成することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記1〜6の発明が提供される。
1. メルトフローレイトが4g/10min以上、20g/10min未満のポリエステル樹脂(A)20〜95重量%と、
アクリルゴム(B1)、水素化ニトリルゴム(B2)及びポリエーテルゴム(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種のゴム(B)80〜5重量%と、からなり、前記ゴム(B)を動的架橋させて成る熱可塑性エラストマー組成物。
2. 前記ポリエステル樹脂(A)が芳香族ポリエステル樹脂である上記1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
3. 前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量が40,000〜100,000である上記1または2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
4. 前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ゴム(B)の合計100重量部に対し、0.1〜2重量部の架橋剤を含む、上記1〜3のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
5. 前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ゴム(B)の合計100重量部に対し、1〜10重量部の可塑剤を含む、上記1〜4のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
6. 上記1〜5のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物を160〜350℃で成形してなる成形品。
本発明によれば、引張強度及び伸びが良好で、圧縮永久歪みが小さく、かつ、耐疲労性に優れる成形品を与える熱可塑性エラストマー組成物が提供される。そのため、自動車用のシール、ホース、ブーツ等、種々のゴム部品として好適に使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、メルトフローレイトが4g/10min以上、20g/10min未満のポリエステル樹脂(A)20〜95重量%と、アクリルゴム(B1)、水素化ニトリルゴム(B2)及びポリエーテルゴム(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種のゴム(B)80〜5重量%とからなり、前記(B)を動的架橋させて成るものである。
ポリエステル樹脂(A)
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)はエステル結合を有する重合体であって、通常、多価アルコールと、多塩基酸又は多塩基酸エステル化合物と、の重縮合により得られる。かかるポリエステル樹脂(A)として、アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など公知のポリエステル樹脂を用いることができる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが用いられる。
多塩基酸としては、フタル酸、フマル酸、アジピン酸などが用いられる。
これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、多価アルコールとしてエチレングリコール、ブチレングリコール又はトリメチレングリコールを用い、多塩基酸としてフタル酸を用いて得られるポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂(A)としては、実質的にポリエーテルブロックを共重合成分として有さないものが好ましい。ポリエーテルブロックを有するポリエステル樹脂を用いると、耐熱性が低下するおそれがある。
前記ポリエステル樹脂(A)のJIS K 7210に基づく250℃、負荷2.16kgでのメルトマスフローレイト(以下、「メルトフローレイト」と記す。)は、4g/10min以上、20g/10min未満であり、好ましくは5g/10min以上、15g/10min未満であり、より好ましくは5.5g/10min以上、10g/10min未満である。ポリエステル樹脂(A)のメルトフローレイトが上記範囲であると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の溶融流動性が良好で、成形時に局所的な温度上昇が起きにくく、劣化しにくい。
前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量は、通常、40,000〜100,000、好ましくは60,000〜100,000である。
前記ポリエステル樹脂(A)の融点は、通常、160〜300℃、好ましくは165〜270℃、より好ましくは170〜220℃である。融点が低すぎると得られる成形品の耐熱性が劣るおそれがあり、逆に、高すぎると加工時にポリエステル樹脂(A)が劣化する可能性がある。
ゴム(B)
本発明に用いるゴム(B)は、アクリルゴム(B1)、水素化ニトリルゴム(B2)及びポリエーテルゴム(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものである。
本発明においては、ゴム(B)は後述する動的架橋に適する架橋性基を有する必要がある。このような架橋性基は、一般的にゴム加工で使用される架橋剤と反応し得るものとして知られている架橋性基であればよく、また、用いる架橋剤の種類によって適宜選択されればよいが、ハロゲン含有基、エポキシ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であること好ましい。
前記ゴム(B)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は、好ましくは10〜150、より好ましくは20〜120、特に好ましくは30〜100である。ムーニー粘度が低すぎると得られる成形品の圧縮永久歪みが大きくなるおそれがあり、逆に高すぎると成形加工性が劣る可能性がある。
前記ゴム(B)としては、ゲル(ゲル分ともいう。)を含有するものを好ましく用いることができる。ゴム(B)のゲル含有量は以下の方法により測定することができる。すなわち、所定量のゴム(B)を該ゴムの良溶媒で溶解させた後、溶液を80メッシュの金網等のフィルターで濾過し、フィルター上に捕捉された溶媒不溶解分を乾燥して重量を測定し、当初の所定量に対する重量割合として算出される。
ゴム(B)のゲル含有量は、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは60〜100重量%である。ゲル含有量が上記範囲にあると圧縮永久歪みがより小さい熱可塑性エラストマー組成物が得られる。ゲル分は、ゴム(B)中に均一に分散していることが好ましい。
アクリルゴム(B1)
アクリルゴム(B1)は、アクリル酸エステル単量体又はメタクリル酸エステル単量体〔以下、(メタ)アクリル酸エステル単量体と略記する。〕の単量体単位と、残余に(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の単量体の単位と、を有する重合体である。アクリルゴム(B1)中における、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、好ましくは80〜99.5重量%、より好ましくは90〜99重量%、特に好ましくは95〜98重量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチルおよびアクリル酸n−ブチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、炭素数2〜8のアルコキシアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルおよび(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の単量体としては、動的架橋に適する架橋性基であるハロゲン含有基、エポキシ基又はカルボキシル基を含有する架橋性基含有単量体が好ましい。
ハロゲン含有基を有する単量体としては、2−クロロエチルビニルエーテルなどのハロゲン含有ビニルエーテル;クロロメチルスチレンなどのハロゲン含有スチレン誘導体;ビニルクロロアセテートなどのハロゲン含有ビニルアセテート;などが挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸又はエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロアルキル、フマル酸モノシクロアルキルなどのブテンジオン酸モノシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
架橋性基含有単量体の使用量は、アクリルゴム(B1)の重合に用いる全単量体中、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。架橋性基含有単量体の使用量が少なすぎると、動的架橋が十分に進行しないおそれがあり、逆に多すぎると、アクリルゴム(B1)の製造工程において安定にゴム(B1)を重合できない可能性がある。
また、アクリルゴム(B1)にゲル分を含有させる場合には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の単量体として、アクリルゴム(B1)の重合反応中に自発的な架橋が可能な、ビニル基を2以上有する不飽和架橋性基含有単量体をさらに使用することが好ましい。
不飽和架橋性基含有単量体の例としては、ジビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼンなどの多官能ビニル化合物;フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリルなどのジアリル化合物;トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングルコールなどの多官能アクリル酸エステル;などが挙げられる。
不飽和架橋性基含有単量体の使用量は、アクリルゴム(B1)の重合に用いる全単量体量に対して、好ましくは0.2〜1.5重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%である。不飽和架橋性基含有単量体を上記範囲で含有させることにより、アクリルゴム(B1)中のゲル分の含有量を上述の範囲に制御することができる。
アクリルゴム(B1)の製造法は限定されず、重合は公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれの方法によっても良いが、重合反応の制御の容易性等から、常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
水素化ニトリルゴム(B2)
水素化ニトリルゴム(B2)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体、及びこれらと共重合可能な単量体を共重合してなるゴム(ニトリルゴム)の主鎖の炭素−炭素不飽和結合を水素化してなる重合体である。ニトリルゴムを得るための重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合又は溶液重合のいずれの方法によってもよい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。
ニトリルゴムの製造に用いるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の量は、重合に用いる全単量体中、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは35〜60重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量が少なすぎると得られる成形品の耐油性が劣るおそれがあり、多すぎると耐寒性が劣る可能性がある。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、アクリルゴム(B1)の説明で述べたと同様の、動的架橋に適する架橋性基含有単量体、及び、ゲルを含有させる場合に加えられる不飽和架橋性基含有単量体が挙げられる。
架橋性基含有単量体の使用量は、全単量体中、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
不飽和架橋性基含有単量体の使用量は、アクリルゴム(B1)の重合に用いる全単量体量に対して、好ましくは0.2〜1.5重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%である。
水素化ニトリルゴム(B2)においては、前記共重合可能な単量体として、動的架橋に適する架橋性基含有単量体、不飽和架橋性基含有単量体に加え、必要に応じて、さらに、非共役ジエン単量体、α−オレフィン単量体、芳香族ビニル系単量体、フッ素含有ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル、α、β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステル、共重合性老化防止剤などを使用しても良い。このような必要に応じて加えられる共重合可能な単量体の、ニトリルゴムの重合に使用される全単量体に占める割合は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%以下、特に好ましくは15〜30重量%以下である。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。
α−オレフィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、例えば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステルとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、例えば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
上記単量体を重合して得られるニトリルゴム(非水素化物)の主鎖の炭素−炭素二重結合部分の水素化は、公知の方法によればよい。水素化ニトリルゴム(B2)のヨウ素価は好ましくは80以下、より好ましくは50以下、特に好ましくは20以下である。ヨウ素価が高すぎると、成形品の耐熱老化性や耐オゾン性が低下するおそれがある。
ポリエーテルゴム(B3)
ポリエーテルゴム(B3)は、三員環エーテル含有単量体を開環した構造の繰り返し単位を主構造単位とする重合体である。かかるポリエーテルゴムとしては、エチレンオキシド単量体単位を主体とするゴム、エピハロヒドリン単量体単位を主体とするゴム又はエチレンオキシドとエピハロヒドリンとの共重合体のいずれでもよいが、なかでもエピハロヒドリン単量体単位を主体とするゴム(エピハロヒドリンゴム)が好ましい。
エピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリン単量体〔以下、「単量体(b31)」と記すことがある。〕の開環重合体、又は、単量体(b31)及びこれと共重合可能な単量体との開環共重合体である。単量体(b31)は、動的架橋に適する架橋性基であるハロゲン含有基を有する単量体である。
単量体(b31)としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、2−メチルエピクロルヒドリンなどが挙げられるが、なかでもエピクロルヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンゴムを構成する全単量体単位に対する単量体(b31)単位含有量は特に限定されないが、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは25〜90モル%、特に好ましくは30〜85モル%である。単量体(b31)単位含有量が少なすぎると成形品の吸湿性が高くなるおそれがあり、多すぎると成形品の耐寒性が劣る可能性がある。
単量体(b31)と共重合可能な単量体としては、オキシラン単量体が挙げられ、中でも、アルキレンオキシド単量体〔以下、「単量体(b32)」と記すことがある。〕が好ましい。単量体(b32)の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシ−4−クロロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシイソブタン、2,3−エポキシイソブタンなどの、直鎖又は分岐鎖状アルキレンオキシド;1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどの環状アルキレンオキシド;などが挙げられる。これらの中でも直鎖状アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドがより好ましい。上記アルキレンオキシドは、水素原子の一部がハロゲンで置換されたものであってもよい。
エピハロヒドリンゴムの重合に用いる全単量体に対する単量体(b32)の使用量は特に限定されないが、好ましくは0〜80モル%、より好ましくは10〜75モル%、特に好ましくは15〜70モル%である。単量体(b32)の使用量が多すぎると成形時に発泡が生じやすくなり、また、得られる成形品の吸湿性が高くなる可能性がある。
エピハロヒドリンゴムは、単量体(b31)単位を含有するため、重合体分子が有するハロゲン基が動的架橋の架橋点となるが、単量体(b31)と共重合可能な単量体の一部として、動的架橋に適した架橋性基を有するその他の単量体(b33)単位を共重合成分として含んでいてもよい。
このような単量体(b33)としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル基を有する化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエートなどのグリシジルエステル基を有する化合物;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−3−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのエポキシ基含有不飽和炭化水素;などが挙げられる。これらの中でも、アリルグリシジルエーテルを用いると、成形品が耐オゾン性に優れるので好ましい。
エピハロヒドリンゴムの重合に用いる全単量体中における単量体(b33)の使用量は特に限定されないが、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。単量体(b33)の使用量が多すぎると、成形品の破断伸びが低くなりすぎるおそれがある。
前記ポリエーテルゴム(B3)は、有機溶媒中で公知の溶液重合や溶媒スラリー重合などによって上記単量体を開環重合して製造される。開環重合触媒としては特に限定されず、例えば、有機アルミニウム−水系、有機アルミニウム−リン酸系、ポリリン酸エステル系などの、オキシラン化合物の開環重合触媒として従来公知の重合触媒を用いることができる。
本発明組成物におけるポリエステル樹脂(A)とゴム(B)との使用比率は、重量比で、20:80〜95:5、好ましくは50:50〜80:20である。ゴム(B)の量が少なすぎると成形品の圧縮永久歪みが大きくなるおそれがあり、逆に多すぎると動的架橋時のゴム(B)の分散が不十分になり、また、熱可塑性エラストマー組成物の加工性が低下する可能性がある。
熱可塑性エラストマー組成物の調製方法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を調製するには、ポリエステル樹脂(A)とゴム(B)とを混練しつつゴム(B)を動的架橋させる。動的架橋は、ポリエステル樹脂(A)とゴム(B)とを混練してポリエステル樹脂(A)のマトリックスにゴム(B)を微細に分散させつつ、ゴム(B)を架橋剤により架橋させることをいう。動的架橋を行うことによって、得られる組成物は機械的強度及び屈曲や伸張に対する耐疲労性が改良された成形品を与えることができる。
本発明組成物には、動的架橋するための架橋剤として、ゴムの架橋剤として一般的に用いられている架橋剤を使用することができるが、ゴム(B)の架橋性基の種類に応じて以下のものを用いるのが好ましい。
すなわち、架橋性基がハロゲン含有基である場合には、硫黄系架橋剤(金属石鹸を併用することができる)、トリアジン系架橋剤などが挙げられる。
架橋性基がエポキシ基である場合には、有機アンモニウム系架橋剤、イミダゾール系架橋剤、多価酸系架橋剤などが挙げられる。
架橋性基がカルボキシル基である場合には、多価アミン系架橋剤、ジイソシアナート系架橋剤などが挙げられる。
架橋剤の使用量は、ポリエステル樹脂(A)及びゴム(B)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜2重量部、より好ましくは0.5〜1重量部である。架橋剤の量が少なすぎると、動的架橋時の架橋が十分進行せず、ポリエステル樹脂(A)中へのゴム(B)の分散が不十分になって、成形品の圧縮永久歪みが増大するおそれがあり、逆に多すぎると、ポリエステル樹脂(A)の分解を促進する可能性がある。
動的架橋の方法としては、ゴムの加工における一般的な動的架橋法であればいずれでもよく、例えば、以下の方法が挙げられる。先ず、ゴム(B)を混練機で、通常、160〜300℃、好ましくは180〜250℃にて剪断を与えつつ混練し、次いでこれにポリエステル樹脂(A)を加えて混練を続けることにより、溶融したポリエステル樹脂(A)のマトリックスにゴム(B)を分散させる。次いで、ポリエステル樹脂(A)のマトリクス中にゴム(B)が十分に微分散した時点で、前記架橋剤を添加してさらに混練することにより、ゴム(B)を架橋させる。
混練温度が低すぎるとポリエステル樹脂(A)が十分に溶融しないおそれがあり、逆に高すぎるとゴム(B)が熱劣化する可能性がある。混練機としては、ブラベンダ、ラボプラストミルなどのバッチ式混練機;単軸押出機、二軸押出機などの連続式混練機;などを用いることができる。押出機などの連続式混練機を用いる場合には、架橋剤は、押出機のバレルの途中に設けた添加孔から添加するのが好ましい。
可塑剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、ポリエステル樹脂(A)と、ゴム(B)とともに、可塑剤を含有させても良い。
可塑剤としては、熱可塑性エラストマー組成物に含有させる可塑剤として、一般的に用いられているものを使用すればよいが、例えば、鉱物油系軟化剤、芳香族エステル系可塑剤、脂肪族エステル系可塑剤、グリコールエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
可塑剤の使用量は、ポリエステル樹脂(A)とゴム(B)との合計100重量部に対して、好ましくは、1〜10重量部、より好ましくは3〜8重量部である。可塑剤を含有させることで、柔軟性、耐屈曲性を一層改善することができる。なお、本発明組成物に可塑剤を含有させる際には、動的架橋させる前に添加することが好ましい。
その他の添加剤
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、老化防止剤、滑剤などの、ゴムや樹脂の加工に一般的に配合される添加剤を配合して用いてもよい。
成形品
前記方法により得られる本発明組成物は、架橋したゴム(B)の粒子がポリエステル樹脂(A)のマトリックス中に微分散し、熱可塑性エラストマーの性質を有する。本発明組成物は熱可塑性エラストマーであるので、通常の熱可塑性樹脂と同様に160〜350℃で押出成形、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、カレンダー成形などの方法によって成形することにより、任意の形状の成形品にすることができる。
こうして得られる本発明の成形品は、ゴム弾性、耐熱性、耐油性を有すると共に、引張強度及び伸びが良好で、圧縮永久歪みが小さく、かつ、耐疲労性に優れる。そのため、自動車関連の各種ゴム部品、例えば、シャフトシール、ベアリングシールなどのシール部品;エアーダクトホース、燃料ホース、オイルホースなどのホース部品;等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどのブーツ類;などとして好適に使用される。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に示さない限り、「部」及び「%」は重量基準である。実施例、比較例における各種物性は、下記の方法により測定した。
(1)ポリエステル樹脂(A)のメルトフローレイト(MFR)
ポリエステル樹脂(A)のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210に基づき250℃、負荷2.16kgで求めた。
(2)ポリエステル樹脂(A)の融点
ポリエステル樹脂(A)の融点は、示差走査型熱量計を用いて融解熱のピーク温度より求めた。
(3)ゴム(B)中のゲル含有量(ゲル分)
ゴム(B)中のゲル含有量(ゲル分)は、ゴム(B)を良溶媒に溶解させたときの溶媒不溶解分の割合を測定することにより求めた。具体的には、まず、約0.2gのゴム(B)を精秤してメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。次いで、得られた溶液を80メッシュの金網で濾過して、フィルター中に捕捉された不溶解分から、溶媒を除去し、溶媒除去後の不溶解分の重量を測定した。そして、MEKに溶解させる前のゴム重量に対する、溶媒除去後の不溶解分の重量の割合(%)を算出し、ゲル分とした。
(4)引張強度及び引張破断伸び(伸び)
まず、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、250℃に予熱したプレス機により、厚さ2mmのシートを成形した。そして、得られた厚さ2mmのシートを、所定形状に打ち抜くことにより試験片を作製し、得られた試験片を用いて、JIS K6251の引張試験法に従って引張強度及び伸びを測定した。
(5)圧縮永久歪み
JIS K6262に従い、射出成形にて圧縮永久歪み測定用の試験片を作製し、25%の圧縮率で120℃、70時間の圧縮条件で圧縮永久歪みを測定した。
(6)耐疲労性
厚さ2mmのシートから所定の形状に打ち抜いた試験片を作製した。そして、得られた試験片を破断伸びの1/2の長さまで伸張させ、次いで伸張0%の状態に戻す、という操作を300回/分の速度で繰り返し、試験片が破断するまでの回数を測定した。破断までの回数が多いほど耐疲労性に優れる。
製造例1
アクリルゴム(B11)の製造
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた重合反応器に、イオン交換水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル47部、アクリル酸n−ブチル50部、エチレングリコールジメタクリレート1部、及びフマル酸モノメチル2部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換を2回繰り返して酸素を十分除去した後、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部およびクメンハイドロパーオキシド0.005部を加えて、20℃、常圧下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%以上に達するまで反応を行った。得られたラテックスを塩化カルシウム水溶液で凝固させて脱液し、クラムを水洗後、乾燥してカルボキシル基を含有するアクリルゴム(B11)を得た。アクリルゴム(B11)のゲル分は80%、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は45であった。
製造例2
水素化ニトリルゴム(B21)の製造
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた重合反応器に、イオン交換水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリロニトリル30部、ブタジエン67部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換を2回繰り返して酸素を十分除去した後、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部およびクメンハイドロパーオキシド0.005部を加えて、10℃、常圧下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%以上に達するまで反応を行い、ニトリルゴムのラテックスを得た。次いで、得られたニトリルゴムのラテックスのうち一部を用いて、全固形分濃度12重量%に調整した。そして、全固形分濃度12重量%に調整したラテックス4リットル(全固形分480g)を、攪拌機付きの10リットルのオートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流してラテックス中の溶存酸素を除去した。その後、水素化触媒としての酢酸パラジウムを、その4倍モルの水2.4リットルに溶解して、4リットルのラテックスに添加した。そして、系内を2回水素ガスで置換後、内容物を50℃とし、3MPaまで水素ガスで加圧した状態で、6時間水素化反応を行い、次いで塩化カルシウムで凝固し、水洗、乾燥を経て水素化率95%の水素化ニトリルゴム(B21)を得た。得られた水素化ニトリルゴム(B21)のゲル分は85%、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は80、ヨウ素価は20であった。
実施例1
ポリエステル樹脂(A1)とアクリルゴム(B11)との混練、動的架橋
東洋精機社製ラボプラストミル(内容量600ml)を用い、230℃に予熱したミキサに、上記にて製造したアクリルゴム(B11)40部を入れて1分間素練りし、次いでポリエステル樹脂〔A1:ポリブチレンテレフタレート、メルトフローレイト6.0g/10min、融点223℃〕60部を投入して5分間混合してから2−メチルイミダゾール(架橋剤)0.5部を投入して7分間混合し、アクリルゴム(B11)を動的架橋させた。終了後、すみやかに混合物を取り出し、予熱していないプレス機でプレスすることによりシート状のサンプルを作製した。次いで、作製したサンプルを250℃に予熱したプレス機によりプレスすることにより、厚さ2mmのシートに成形した。該シートにつき引張強度、伸び、圧縮永久歪み及び耐疲労性を試験、評価した結果を表1に示す。
実施例2
ポリエステル樹脂(A2)とアクリルゴム(B11)との混練、動的架橋
実施例1において、ポリエステル樹脂(A1)に代えてポリエステル樹脂(A2:ポリブチレンテレフタレート、メルトフローレイト12.5g/10min、融点223℃)を用いた他は実施例1と同様に混練、動的架橋を行い、実施例1と同様に試験、評価した。結果を表1に示す。
実施例3
ポリエステル樹脂(A1)と水素化ニトリルゴム(B21)との混練、動的架橋
実施例1において、アクリルゴム(B11)に代えて水素化ニトリルゴム(B21)を用い、架橋剤2−メチルイミダゾールに代えて、325メッシュ篩通過の粉末硫黄(S#325、細井化学工業社製)を用いた他は実施例1と同様に混練、動的架橋を行い、実施例1と同様に試験、評価した。結果を表1に示す。
実施例4
ポリエステル樹脂(A1)とポリエーテルゴム(B31)との混練、動的架橋
実施例1において、アクリルゴム(B11)に代えてポリエーテルゴム〔B31:Gechron3105、日本ゼオン(株)製、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体、塩素含量中心値27.5%、ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕76.5〕を用い、架橋剤2−メチルイミダゾール代えて1,3,5−トリアジントリチオールを用いた他は実施例1と同様に混練、動的架橋を行い、実施例1と同様に試験、評価した。結果を表1に示す。
実施例5
添加剤として可塑剤を使用
実施例1において、ポリエステル樹脂(A1)とアクリルゴム(B11)とを混練する際に、さらに、これらポリエステル樹脂(A1)、アクリルゴム(B11)の合計100重量部に対して、可塑剤としてのグリコールエステル系可塑剤(アデカサイザーRS−735:旭電化工業社製)を5重量部添加した他は実施例1と同様に混練、動的架橋を行い、実施例1と同様に試験、評価した。
実施例6
添加剤として可塑剤を使用
実施例2において、ポリエステル樹脂(A2)とアクリルゴム(B11)とを混練する際に、さらに、これらポリエステル樹脂(A2)、アクリルゴム(B11)の合計100重量部に対して、可塑剤としてのグリコールエステル系可塑剤(アデカサイザーRS−735:旭電化工業社製)を3重量部添加した他は実施例2と同様に混練、動的架橋を行い、実施例2と同様に試験、評価した。
比較例1
高MFRポリエステル樹脂(A3)とアクリルゴム(B11)との混練、動的架橋
実施例1において、ポリエステル樹脂(A1)に代えて高MFRポリエステル樹脂〔A3:ポリブチレンテレフタレート、メルトフローレイト22.5g/10min、融点223℃〕を用いた他は実施例1と同様に混練、動的架橋を行い、実施例1と同様に試験、評価した。結果を表1に示す。
比較例2
ポリエステル樹脂(A1)と非水素化ニトリルゴム(B4)との混練
水素化ニトリルゴム(B21)に代えて非水素化ニトリルゴム(B4)を使用した他は実施例3と同様に混練、動的架橋を行い、実施例3と同様に試験、評価した。結果を表1に示す。なお、比較例2において、非水素化ニトリルゴム(B4)としては、上述の製造例2における、水素化前のニトリルゴムラテックスの一部を塩化カルシウムで凝固し、水洗、乾燥を経て、得られた非水素化ニトリルゴム(B4)を使用した。この非水素化ニトリルゴム(B4)のムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は45であった。
表1に示すように、本発明の要件を満たす熱可塑性エラストマー組成物はいずれも引張強度及び伸びが良好で、圧縮永久歪みが小さく、かつ、耐疲労性に優れる成形品を与えた(実施例1〜6)。
一方、メルトフローレイトが大きすぎるポリエステル樹脂を、実施例1、2で用いたと同じアクリルゴム(B11)と共に混練して動的架橋した組成物は、伸びが小さく、耐疲労性に劣る成形品を与えた(比較例1)。
また、実施例3における水素化ニトリルゴム(B11)に代えて非水素化ニトリルゴム(B4)を用いた組成物は、引張強度及び伸びが小さく、圧縮永久歪みが大きく、また、耐疲労性が著しく低い成形品を与えた(比較例2)。

Claims (6)

  1. メルトフローレイトが4g/10min以上、20g/10min未満のポリエステル樹脂(A)20〜95重量%と、
    アクリルゴム(B1)、水素化ニトリルゴム(B2)及びポリエーテルゴム(B3)よりなる群から選ばれる少なくとも一種のゴム(B)80〜5重量%と、からなり、前記ゴム(B)を動的架橋させて成る熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)が芳香族ポリエステル樹脂である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量が40,000〜100,000である請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ゴム(B)の合計100重量部に対し、0.1〜2重量部の架橋剤を含む、請求項1〜3のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記ポリエステル樹脂(A)及び前記ゴム(B)の合計100重量部に対し、1〜10重量部の可塑剤を含む、請求項1〜4のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一に記載の熱可塑性エラストマー組成物を160〜350℃で成形してなる成形品。

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