JP4759761B1 - 表面処理炭酸カルシウム及びそれを含むペースト状樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い粘度、高い揺変性を付与することができ、かつペースト状樹脂組成物の硬化物において、良好な機械的物性及び接着性を付与することができる表面処理炭酸カルシウム及びそれを含むペースト状樹脂組成物を得る。
脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含む表面処理剤で表面処理された炭酸カルシウムであって、表面処理剤中のパルミチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量%)をPW、ステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量%)をSWとしたとき、これらの合計の含有量(PW+SW)が、PW+SW≧90であり、これらの含有比率(PW/SW)が、0.30≦PW/SW≦1.1であり、表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積(m/g)をSA、炭酸カルシウム100重量部に対する脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の処理量(重量部)をFAとしたとき、BET比表面積(SA)が、15≦SA≦48であり、かつBET比表面積(SA)に対する処理量(FA)の比(FA/SA)が、0.095≦FA/SA≦0.135であることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理炭酸カルシウム及びそれを含むペースト状樹脂組成物に関するものである。
接着剤、シーリング材等においては、ペーストゾルを作製し、このゾルを用いて塗工、塗装、施工及び混合などが行われている。硬化物の物性品質などから、充填材をペーストゾルに多く配合できないときは、少量で高い粘度をゾルに付与することができるヒュームドシリカなどの充填剤が使用されている。
しかしながら、ヒュームドシリカは高い揺変性(チキソトロピック性)を示すが、添加量の微量の差で粘度が極端に変化するという問題もある。
一方、炭酸カルシウムは、各種高分子材料、例えば、プラスチック、ゴム、インキ、塗料、シーリング材、PVCゾル、アクリルゾル等の充填剤として使用されている。従って、炭酸カルシウムを添加することにより、高い揺変性を付与することができれば、比較的安価な揺変性付与剤として用いることができる。
特許文献1においては、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸を所定の混合割合で表面処理した表面処理炭酸カルシウムが開示されている。この表面処理炭酸カルシウムを用いることにより、インキ、塗料、シーリング材、PVCゾル、アクリルゾル等に添加して高い揺変性を付与することができる。
しかしながら、近年、環境衛生面等の観点から、接着付与剤などの使用量を少なくすることが検討されており、上記従来技術の表面処理炭酸カルシウムを用いると、高い揺変性は得られるものの、接着付与剤を減らすと、硬化物の機械的物性が乏しく、特に引張物性が低かった。従って、高い粘度、高い揺変性で、硬化物に良好な機械的物性を付与することができる表面処理炭酸カルシウムが求められている。接着剤やシーラントの硬化物の物性及び品質において、機械的物性も、接着剤やシーラントにとって重要な物性である。引張強度等は、ISO規格やJIS規格で厳しく制限されており、十分高い性能が望まれている。
特許文献2〜14においては、高粘度、高い揺変性を付与するための表面処理炭酸カルシウムが提案されているが、この従来技術に開示された表面処理炭酸カルシウムを用いても、硬化物の機械的物性や接着性が乏しく、十分な機械的物性や接着性を付与することは困難であった。
特許文献15においては、ラウリン酸及びミリスチン酸が85%以上含まれる表面処理剤で表面処理された炭酸カルシウムが提案されている。しかしながら、このような表面処理炭酸カルシウムを用いても、高粘度で、かつ高い揺変性を付与することは困難であった。
また、一般に炭酸カルシウム表面を脂肪酸で表面処理した場合、それを配合したペーストゾル硬化型樹脂組成物の粘度物性は改善されるが、脂肪酸を用いることによって硬化物の機械的物性や接着性が劣るといった弊害が生じる。
特開2003−171121号公報 特開2007−197585号公報 特開2006−169421号公報 特開2005−336417号公報 特開2004−331963号公報 特開2003−342553号公報 特開2003−147227号公報 特開2003−295502号公報 特開2002−363443号公報 特開2002−309125号公報 特開2002−220547号公報 特開2001−158863号公報 特開1999−349846号公報 国際公開2006/067144号パンフレット 国際公開2004/031303号パンフレット
本発明の目的は、ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い粘度、高い揺変性を付与することができ、かつペースト状樹脂組成物の硬化物において、良好な機械的物性及び接着性が得られる表面処理炭酸カルシウム及びそれを含むペースト状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含む表面処理剤で表面処理された炭酸カルシウムであって、表面処理剤中のパルミチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量%)をPW、ステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量%)をSWとしたとき、これらの合計の含有量(PW+SW)が、PW+SW≧90であり、これらの含有比率(PW/SW)が、0.30≦PW/SW≦1.1であり、脂肪酸のうち、パルミチン酸及びステアリン酸以外の飽和脂肪酸が、炭素数12、14及び20〜31の飽和脂肪酸であり、ラウリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩とミリスチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の合計の含有量が5重量%以下であり、不飽和脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量が、5重量%以下であり、表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積(m/g)をSA、炭酸カルシウム100重量部に対する脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の処理量(重量部)をFAとしたとき、BET比表面積(SA)が、15≦SA≦48であり、かつBET比表面積(SA)に対する処理量(FA)の比(FA/SA)が、0.095≦FA/SA≦0.135であることを特徴としている。
本発明によれば、ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い粘度、高い揺変性を付与することができ、かつペースト状樹脂組成物の硬化物において、良好な機械的物性及び接着性を得ることができる。
本発明においては、表面処理炭酸カルシウムをジエチルエーテルで抽出することにより求められる抽出処理剤量が、0.1重量%以下であることが好ましい。
本発明において、パルミチン酸及びステアリン酸以外の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩は、炭素数14〜22の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩であることが好ましい。
本発明のペースト樹脂組成物は、上記本発明の表面処理炭酸カルシウムが含有されたことを特徴としている。
本発明のペースト状樹脂組成物は、上記本発明の表面処理炭酸カルシウムが含有されているので、高い粘度、及び高い揺変性を有している。
本発明のペースト状樹脂組成物としては、2液硬化型ポリウレタンペースト状樹脂組成物、2液硬化型ポリサルファイド樹脂組成物、1液型変性シリコーン組成物、及びPVCプラスチゾル組成物などが挙げられる。
本発明のペースト状樹脂組成物の硬化物は、上記本発明のペースト状樹脂組成物を硬化させたものである。本発明のペースト樹脂組成物の硬化物においては、上記本発明の表面処理炭酸カルシウムが含有されているので、良好な機械的物性及び接着性を示す。
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い粘度、高い揺変性を付与することができ、かつペースト状樹脂組成物の硬化物において、良好な機械的物性及び接着性を得ることができる。
本発明のペースト樹脂組成物は、上記本発明の表面処理炭酸カルシウムを含有しているので、高い粘度及び高い揺変性を有している。
本発明のペースト状樹脂組成物の硬化物は、上記本発明の表面処理炭酸カルシウムを含有しているので、良好な機械的物性及び接着性を有している。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
(炭酸カルシウム粒子)
本発明において、表面処理の対象として用いる炭酸カルシウム粒子は、特に限定されるものではなく、各種高分子材料の充填剤として使用することができるものであればよい。炭酸カルシウムには、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム)及び合成炭酸カルシウム(軽質(膠質)炭酸カルシウム)がある。天然炭酸カルシウムは、石灰石原石から直接製造されるもので、例えば、石灰石原石を機械的に粉砕・分級することにより製造することができる。
合成炭酸カルシウムは、水酸化カルシウムから製造されるもので、例えば、水酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させることによって製造することができる。水酸化カルシウムは、例えば、酸化カルシウムと水を反応させることによって製造することができる。酸化カルシウムは、例えば、石灰石原石をコークス等で混焼することによって製造することができる。この場合、焼成時に炭酸ガスが発生するので、この炭酸ガスを水酸化カルシウムと反応させることによって炭酸カルシウムを製造することができる。
BET比表面積は、一般に、表面処理することにより若干小さな値となる。従って、表面処理する前の炭酸カルシウムとして、表面処理後の炭酸カルシウムのBET比表面積より若干大きなBET比表面積を有する炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
本発明においては、表面処理剤中のパルミチン酸ナトリウムまたはカリウム塩の酸換算の含有量(PW)と、ステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(SW)の合計の含有量(PW+SW)が、PW+SW≧90重量%となるように設定されている。このように設定することにより、本発明の表面処理炭酸カルシウムを含有したペースト状樹脂組成物の硬化物における機械的物性及び接着性を高めることができる。
PW+SWは、さらに好ましくは92重量%以上であり、さらに好ましくは95重量%以上であり、さらに好ましくは98重量%以上である。
本発明において、表面処理剤中のステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(SW)に対するパルミチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(PW)含有比率(PW/SW)は、0.30≦PW/SW≦1.1の範囲内となるように設定される。
PW/SWの比が低くなりすぎると、ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い揺変性を得ることができない。また、PW/SWの比が高くなりすぎても、ペースト状樹脂組成物に配合した際、高い揺変性を得ることができない。
PW/SWは、さらに好ましくは、0.5≦PW/SW≦0.8であり、さらに好ましくは、0.55≦PW/SW≦0.8であり、さらに好ましくは、0.6≦PW/SW≦0.7である。
(パルミチン酸及びステアリン酸以外の脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩)
本発明における表面処理剤は、パルミチン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、並びにステアリン酸のナトリウム塩及びカリウム塩以外に、その他の飽和脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含んでいてもよい。
パルミチン酸及びステアリン酸以外の飽和脂肪酸としては、例えば、炭素数12、14及び20〜31の飽和脂肪酸が挙げられる。さらに好ましくは、炭素数12、14及び20〜26の飽和脂肪酸であり、さらに好ましくは炭素数12、14及び20〜22の飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、アライン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。その他の飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸ナトリウム塩及び/または飽和脂肪酸カリウム塩の形態で用いられる。特にラウリン酸、ミリスチン酸の合計は5重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは4重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、さらに好ましくは2重量%以下であり、さらに好ましいのは1重量%以下である。本発明においては、ナトリウム塩の形態が特に好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように、パルミチン酸及び/またはステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含む表面処理剤により炭酸カルシウムが表面処理される。その他の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩として、不飽和脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含んでいてもよいが、その含有割合は、酸換算で5重量%以下であることが好ましい。不飽和脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩の含有割合が、5重量%を越えると、接着性もしくは引張強度が低下する場合がある。不飽和脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩のさらに好ましい含有割合(酸換算)は、4重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、さらに好ましくは2重量%以下であり、さらに好ましいのは1重量%以下である。
不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸などが挙げられる。
本発明において、表面処理剤中の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量は、表面処理剤中の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を全て脂肪酸に換算した場合の含有割合である。
(表面処理剤)
本発明における表面処理剤は、上述のように、パルミチン酸のナトリウム塩及びカリウム塩と、ステアリン酸のナトリウム塩及びカリウム塩の合計の酸換算の含有割合が90重量%以上であり、その他の脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩の酸換算の含有割合が10重量%未満である。このような条件を満たすならば、表面処理剤として、パルミチン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、ステアリン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、並びにその他の飽和脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩以外の表面処理剤を含んでいてもよい。例えば、本発明の効果が失われない範囲において、パルミチン酸及びステアリン酸、及びその他の脂肪酸を酸の形態で含んでいてもよい。また、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸塩や、樹脂酸のナトリウム塩またはカリウム塩なども、本発明の効果が失われない範囲において含まれていてもよい。
(表面処理炭酸カルシウム)
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、上記表面処理剤で表面処理された炭酸カルシウムである。
本発明の表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積は、15〜48m/gである。BET比表面積が15m/g未満であると、高い揺変性を得ることができない。BET比表面積が、48m/gを超えると、炭酸カルシウムの粒子径が小さくなりすぎ、炭酸カルシウム粒子同士が凝集するため、高い粘度及び高い揺変性を得ることができない。BET比表面積は、さらに好ましくは17〜35m/gの範囲である。BET比表面積のさらに好ましい値は、18〜30m/gの範囲であり、さらに好ましくは18〜25m/gの範囲である。さらに19〜24m/gが好ましく、19〜23m/gの範囲が好ましい。
また、本発明においては、炭酸カルシウムを100重量部に対する脂肪酸ナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の処理量(重量部)をFAとしたときのBET比表面積(SA)に対する処理量(FA)の比(FA/SA)は、0.095≦FA/SA≦0.135である。FA/SAの比が小さすぎると、高い粘度で、かつ高い揺変性を付与することができるという本発明の効果が十分に得られない。また、FA/SAが大きすぎると、表面処理炭酸カルシウムを配合したペースト状樹脂組成物の硬化物の機械的物性及び接着性が低下する。また、表面処理剤の多くなるので、コストが高くなり、経済的に不利なものとなる。
FA/SAの比は、さらに好ましくは0.100≦FA/SA≦0.130であり、さらに好ましくは0.105≦FA/SA≦0.125であり、さらに好ましくは0.110≦FA/SA≦0.120であり、さらに好ましくは0.112≦FA/SA≦0.118である。
本発明においては、表面処理炭酸カルシウムをジエチルエーテルで抽出することにより求められる抽出処理剤量が、0.1重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、パルミチン酸および/またはステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩とを含む表面処理剤で炭酸カルシウムを表面処理する。表面処理する方法としては、後述するように、炭酸カルシウム粒子のスラリー液中に、表面処理剤を添加して攪拌し、処理する方法が挙げられる。炭酸カルシウム粒子のスラリー液に添加されたパルミチン酸やステアリン酸等の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩は、炭酸カルシウム表面に存在するカルシウムと反応し、パルミチン酸やステアリン酸等の脂肪酸のカルシウム塩になると考えられる。パルミチン酸やステアリン酸等の脂肪酸のカルシウム塩は、ジエチルエーテル中に溶解しにくいので、上記のように表面処理炭酸カルシウムをジエチルエーテルで抽出することにより、表面処理炭酸カルシウムの表面に付着している酸の形態のパルミチン酸、ステアリン酸及びその他の脂肪酸並びにナトリウム塩またはカリウム塩の形態のままで存在している脂肪酸塩を溶解して抽出することができる。このような酸の形態で付着している脂肪酸、ナトリウム塩またはカリウム塩の形態で付着している脂肪酸塩、及びその他の付着している有機物の含有割合を示す指標として、本発明においては抽出処理剤量を定義している。抽出処理剤量は、以下の式から求めることができる。
抽出処理剤量(重量%)=〔(抽出前の表面処理炭酸カルシウムの重量−抽出後の表面処理炭酸カルシウムの重量)/(抽出前の表面処理炭酸カルシウムの重量)〕×100
抽出処理剤量から、酸の形態及びナトリウム塩もしくはカルシウム塩の形態のままで表面処理炭酸カルシウムの表面に付着しているパルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸及びその塩の含有割合を求めることができる。
本発明において、抽出処理剤量は、0.1重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.09重量%以下であり、さらに好ましくは0.08重量%以下であり、さらに好ましくは0.07重量%以下であり、さらに好ましくは0.06重量%以下であり、さらに好ましくは0.05重量%以下である。抽出処理剤量が多すぎると、硬化物の機械的物性及び接着性が悪くなる傾向にある。抽出処理剤量の下限値は、特に限定されるものではないが、例えば、0.005重量%以上である。
(表面処理炭酸カルシウムの製造)
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、炭酸カルシウム粒子のスラリー液に、上記表面処理剤を添加して攪拌することにより製造することができる。上述のように、パルミチン酸等の脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩は、炭酸カルシウム表面のカルシウムと反応し、不溶性のカルシウム塩となることにより表面処理することができる。表面処理した炭酸カルシウムのスラリー液は、その後脱水、乾燥することにより、表面処理炭酸カルシウムの粉末を得ることができる。ここで得られる表面処理炭酸カルシウムのパルミチン酸等の脂肪酸の割合は、表面処理の前後でほとんど変化することはない。
炭酸カルシウムのスラリー液中の炭酸カルシウムの固形分の含有量は、炭酸カルシウム粒子の分散性や、脱水の容易さ等を考慮して適宜調節することができる。また、炭酸カルシウム粒子の粒子径等によって適宜調整することができる。一般的には、スラリーの固形分含有量を2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%程度となるように調整することにより、適度な粘度のスラリー液とすることができる。水の使用量を多くしすぎると、脱水が困難となり、排水処理等の点でも好ましくない。
(ペースト状樹脂組成物)
本発明の表面処理炭酸カルシウムは、接着剤、シーリング材等のペースト状樹脂に配合した際、高い粘度で、かつ高い揺変性を付与することができ、さらには良好な硬化特性が得られる。ペースト状樹脂に対する表面処理炭酸カルシウムの配合量は、配合目的、ペースト状樹脂に求められる特性等に応じて適宜調整することができる。
(ポリウレタンペースト状樹脂組成物)
ポリウレタンシーラントなどとして用いることができる2液硬化型ポリウレタンペースト状樹脂組成物は、主にイソシアネート、ポリオール、可塑剤、充填剤、その他の添加剤を含む。
イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性品、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添化MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。
ポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸、セバチン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸、並びに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどのグリコールが挙げられる。また、その他のポリオールとしては、カプロラクトンを開環重合したタイプのエステルなどが挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−n−ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジn−アルキル、ジブチルジグリコールアジペート(BXA)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、リン酸トリクレシル(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリス・(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリ(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリスジクロロプロピルホスフェート(CRP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、オクチルジフェニルホスフェート(CDP)、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどがあり、その他にはトリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン、ステアリン酸系可塑剤など、さらにジメチルポリシロキサンなどがある。
充填剤(増粘材を含む)としては、無機系のものと、有機系のものが挙げられる。無機系の充填剤としては、炭酸カルシウム(天然品、合成品)、カルシウム・マグネシウム炭酸塩(天然品、合成品)、塩基性炭酸マグネシウム、石英粉、珪石粉、微粉珪酸(乾式品、湿式品、ゲル法品)、微粉末珪酸カルシウム、微粉珪酸アルミニウム、カオリンクレー、パイオフィライトクレー、タルク、セリサイト、雲母、ベントナイト、ネフェリンサイナイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック(ファーネス、サーマル、アセチレン)、グラファイト、針状・繊維状では、セピオライト、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウム、カーボン繊維、ミネラル繊維、ガラス繊維、シラスバルン、フライアッシュバルン、ガラスバルン、シリカビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズなどが挙げられる。有機系の充填剤としては、木粉、クルミ粉、コルク粉、小麦粉、澱粉、エボナイト粉末、ゴム粉末、リグニン、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等の粉末状またはビーズ状のもの、セルロース粉末、パルプ粉末、合成繊維粉末、アマイドワックス、カストル油ワックス等の繊維状のものが挙げられる。
本発明のポリウレタンペースト状樹脂組成物における表面処理炭酸カルシウムの配合割合は、樹脂成分(可塑剤を含む)及び液状の添加剤の合計100重量部に対して、10〜400重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜300重量部である。
(ポリサルファイドペースト状樹脂組成物)
ポリサルファイドシーラントなどの2液硬化型ポリサルファイドペースト状樹脂組成物は、主にポリサルファイド樹脂、可塑剤、充填剤、及びその他の添加剤を含む。
ポリサルファイド樹脂としては、例えば以下のようにして製造されたものが用いられる。エチレンオキサイドと塩酸の反応によって得られるエチレンクロルヒドリンに、パラホルムアルデヒドを反応させて得られたジクロロエチルホルマールを出発原料とし、多硫化ナトリウムと少量の活性剤及び水酸化マグネシウムのコロイド状懸濁液中に、ジクロロホルマールを撹拌、加熱しながら添加し、ポリサルファイド樹脂を製造することができる。
近年は、分子量末端にSH基(メルカプト基)を有し、主鎖中にウレタン結合を有する変性ポリサルファイド樹脂を用いる場合が多い。
可塑剤、充填剤、及びその他の添加剤としては、ポリウレタンペースト状樹脂組成物において説明したものと同様のものを用いることができる。
表面処理炭酸カルシウムの配合割合は、ポリサルファイド樹脂(変性ポリサルファイド樹脂)、可塑剤、及び液状の添加剤の合計100重量部に対して、10〜400重量部とすることが好ましく、10〜300重量部とすることがさらに好ましい。
(変性シリコーンペースト状樹脂組成物)
変性シリコーンシーラントなどの1液型変性シリコーンペースト状樹脂組成物は、主に変性シリコーン樹脂、可塑剤、充填剤、及びその他の添加剤からなる。高分子の末端に反応性のシリコーン官能基を導入して変性させた樹脂であり、シリコーン樹脂とは分子構造が全く異なる樹脂である。
変性シリコーン樹脂としては、例えば以下のようにして製造されたものが用いられる。ポリオキシプロピレングリコールの末端ヒドロキシ基をアルコキシド基に転換させた後、多価ハロゲン化合物を反応させることによって分子量を増大させ、分子量延長反応により高分子量化した後、CH=CHRXで示される有機ハロゲン化合物を反応させて末端にオレフィン基を導入し、脱塩素精製工程を経てヒドロシリル化反応によって末端に反応性のシリコーン官能基を導入して変性シリコーン樹脂を製造する。
可塑剤、充填剤、及びその他の添加剤は、ポリウレタンペースト状樹脂組成物において説明したのと同様のものを用いることができる。
表面処理炭酸カルシウムの配合割合は、変性シリコーン樹脂、可塑剤、及び液状の添加剤の合計100重量部に対し、10〜400重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜300重量部である。
(ポリ塩化ビニルプラスチゾル樹脂組成物)
ポリ塩化ビニル(PVC)プラスチゾル樹脂組成物は、主に塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填剤、その他の添加剤を含む。可塑剤、充填剤、及びその他の添加剤としては、ポリウレタンペースト状樹脂組成物において説明したものと同様のものを用いることができる。
表面処理炭酸カルシウムの配合割合は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、及び液状の添加剤の合計100重量部に対し、10〜400重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜300重量部である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。なお、以下に示す「%」は特に断らない限り、「重量%」である。
<表面処理炭酸カルシウムの製造方法>
(実施例1)
BET比表面積が22.2m/gである合成炭酸カルシウム2kgに、固形分10重量%となるように、60℃に調整した水を加え、攪拌型分散機を用いて炭酸カルシウムスラリー液を調製した。該スラリー液を分散機で攪拌しながら、パルミチン酸ナトリウム21.6g、及びステアリン酸ナトリウム32.4gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸19.9g、ステアリン酸27.9g)を、この炭酸カルシウムスラリー液に添加し、5分間攪拌した後、プレス脱水した。
得られた脱水ケーキを乾燥した後、粉末化することにより、表面処理炭酸カルシウム約2kgを得た。
(実施例2)
BET比表面積が17.9m/gの合成炭酸カルシウムを用い、パルミチン酸ナトリウム16g、及びステアリン酸ナトリウム24gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩40g(酸換算でパルミチン酸14.7g、ステアリン酸22.3g)を添加する以外は、上記の実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例3)
パルミチン酸ナトリウム18.4g、及びステアリン酸ナトリウム27.6gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩46g(酸換算でパルミチン酸16.9g、ステアリン酸25.6g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例4)
パルミチン酸ナトリウム23.2g、及びステアリン酸ナトリウム34.8gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩58g(酸換算でパルミチン酸21.4g、ステアリン酸32.3g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例5)
BET比表面積が28.3m/gの合成炭酸カルシウムを用い、パルミチン酸ナトリウム27.2g、及びステアリン酸ナトリウム40.8gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩68g(酸換算でパルミチン酸25.1g、ステアリン酸37.9g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例6)
BET比表面積が35.1m/gの合成炭酸カルシウムを用い、パルミチン酸ナトリウム34.4g、及びステアリン酸ナトリウム51.6gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩86g(酸換算でパルミチン酸31.7g、ステアリン酸47.9g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例7)
ラウリン酸ナトリウム1g、ミリスチン酸ナトリウム1g、パルミチン酸ナトリウム19.4g、ステアリン酸ナトリウム30.2g、及びオレイン酸ナトリウム2gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩53.6g(酸換算でラウリン酸0.9g、ミリスチン酸0.9g、パルミチン酸17.9g、ステアリン酸28.0g、オレイン酸1.9g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例8)
パルミチン酸ナトリウム16.2g、及びステアリン酸ナトリウム37.8gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸14.9g、ステアリン酸35.1g)を用いる以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例9)
パルミチン酸ナトリウム27g、及びステアリン酸ナトリウム27gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸24.9g、ステアリン酸25.1g)を用いる以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例10)
ラウリン酸ナトリウム1g、パルミチン酸ナトリウム25.9g、ステアリン酸ナトリウム25.4g、及びオレイン酸ナトリウム1.5gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩53.8g(酸換算でラウリン酸0.9g、パルミチン酸23.9g、ステアリン酸23.6g、オレイン酸1.4g)を用いる以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(実施例11)
ラウリン酸ナトリウム1.1g、パルミチン酸ナトリウム12.4g、ステアリン酸ナトリウム38.9g、及びオレイン酸ナトリウム1.6gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でラウリン酸1.0g、パルミチン酸11.4g、ステアリン酸35.9g、オレイン1.5g)を用いる以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例1)
パルミチン酸ナトリウム16g、及びステアリン酸ナトリウム24gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩40g(酸換算でパルミチン酸14.7g、ステアリン酸22.3g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例2)
パルミチン酸ナトリウム24.8g、及びステアリン酸ナトリウム37.2gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩62g(酸換算でパルミチン酸22.8g、ステアリン酸34.5g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例3)
BET比表面積が15.3m/gの合成炭酸カルシウムを用い、パルミチン酸ナトリウム15.2g、及びステアリン酸ナトリウム22.8gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩38g(酸換算でパルミチン酸14.0g、ステアリン酸21.2g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例4)
ラウリン酸ナトリウム8.1g、パルミチン酸ナトリウム16.2g、及びステアリン酸ナトリウム29.7gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でラウリン酸7.3g、パルミチン酸14.9g、ステアリン酸27.6g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例5)
パルミチン酸ナトリウム16.2g、ステアリン酸ナトリウム29.7g、及びオレイン酸ナトリウム8.1gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸14.9g、ステアリン酸27.6g、オレイン酸7.5g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例6)
パルミチン酸ナトリウム10.8g、及びステアリン酸ナトリウム43.2gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸9.9g、ステアリン酸40.1g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例7)
パルミチン酸ナトリウム29.7g、及びステアリン酸ナトリウム24.3gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩54g(酸換算でパルミチン酸27.4g、ステアリン酸22.6g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例8)
BET比表面積が50.3m/gの合成炭酸カルシウムを用い、パルミチン酸ナトリウム50.4g、及びステアリン酸ナトリウム75.6gを混合した混合脂肪酸ナトリウム塩126g(酸換算でパルミチン酸46.4g、ステアリン酸70.2g)を添加する以外は、上記実施例1と同様にして、表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例9)
本比較例においては、脂肪酸ナトリウム塩を用いずに、脂肪酸と乳化剤とを用いて表面処理した。
パルミチン酸19.9g、及びステアリン酸30.1gを混合した混合脂肪酸50gと、乳化剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.8gを用いる以外は、上記実施例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを得た。
(比較例10)
本比較例においては、脂肪酸ナトリウム塩を用いずに、脂肪酸を乾式で溶解し炭酸カルシウムの表面に処理した。混練機は一般に使用されているヘンシェルミキサーを用い、溶解温度は100℃、混練時間は15分である。パルミチン酸19.9g、及びステアリン酸30.1gを混合した混合脂肪酸50gを用いて表面処理した。
〔BET比表面積の測定〕
表面処理前及び表面処理後の炭酸カルシウムについて、BET比表面積を測定した。BET比表面積は、比表面積測定装置 フローソープII2300(マイクロメリチック社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
〔抽出処理剤量の測定〕
実施例1〜11及び比較例1〜10の表面処理炭酸カルシウムについて、抽出処理剤量を測定した。表面処理炭酸カルシウム15gを、ソックスレー抽出器に入れ、ジエチルエーテル100mlで、表面処理炭酸カルシウム中の遊離脂肪酸及び遊離脂肪酸塩を抽出した。抽出前及び抽出後の表面処理炭酸カルシウムの重量変化と、表面処理炭酸カルシウムの試料重量から、抽出処理剤量を求めた。測定結果を表1に示す。
また、炭酸カルシウム100重量部に対する脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の処理量(FA)と、表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積(SA)に対する処理量(FA)の比(FA/SA)、及び表面処理剤中の各脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量を表1に示す。
なお、脂肪酸処理量(FA)、及び表面処理剤中の各脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量は、表面処理炭酸カルシウムを合成するのに用いた各脂肪酸のナトリウム塩の使用量を酸換算することにより、算出した。比較例9及び比較例10においては、脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を用いずに、脂肪酸の形態で用いている。従って、FA及びFA/SAは、0である。表1に示す( )内の数字は、表面処理に用いた脂肪酸の処理量をFAとした値であり、他の実施例及び比較例との比較のため示した数字である。
なお、本発明においては、表面処理炭酸カルシウムを塩酸などで酸処理して分解した後、分解で遊離した脂肪酸を抽出することによって、FA及び各脂肪酸の含有割合を算出してもよい。
Figure 0004759761
比較例1及び2においては、FA/SAの値が、本発明の範囲外となっている。
比較例3及び8においては、表面処理後のBET比表面積が、本発明の範囲外となっている。
比較例4及び5においては、PW+SWの値が、本発明の範囲外となっている。
比較例6及び7においては、PW/SWの値が、本発明の範囲外となっている。
比較例9においては、酸形態の脂肪酸と乳化剤を用いている。また、抽出処理剤量が0.1重量%を超えている。なお、抽出処理剤量は、比較例2、比較例4及び比較例5においても、0.1重量%を超えている。
比較例10においては、脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を用いずに、脂肪酸を用いて乾式で炭酸カルシウムの表面を処理しており、抽出処理剤量が0.1重量%を超えている。
<PPGゾルの粘度試験>
実施例1〜11及び比較例1〜10の表面処理炭酸カルシウムについて、PPG(ポリプロピレングリコール)ゾルの粘度を測定した。PPGゾルの配合は、表面処理炭酸カルシウム100gとPPG(商品名「EXCENOL
3020」旭硝子株式会社製)100gを十分に混練し、得られたPPGゾルの初期粘度及び7日後の粘度を、上記と同様にして測定した。測定結果を表2に示した。
Figure 0004759761
表2から明らかなように、本発明に従う実施例1〜11の表面処理炭酸カルシウムを用いたPPGゾルは、高い粘度で、良好なチキソトロピック性を示すことがわかる。また、貯蔵安定性においても優れていることがわかる。
比較例1においては、炭酸カルシウム表面に対する脂肪酸処理量が低いので、炭酸カルシウム粒子の凝集が強く、十分分散されていないと考えられ、その結果、低い粘性及び悪い貯蔵安定性(粘度率の増加が大きい)となっている。
比較例3においては、粒子径が小さいので、炭酸カルシウム単位重量当たりの表面積が少なくなり、揺変性のファクター:2rpm/20rpmの比が小さくなっており、十分な揺変性が付与されていない。
比較例6、7においては、単一脂肪酸の割合が多いため、脂肪酸同士で結晶化されやすく、炭酸カルシウム表面に均一に処理されていないと考えられている。本例はこの影響で低い揺変性を示していると思われる。
比較例8においては、粒子が小さすぎるために凝集が強く、粒子が十分分散されてなく、低い粘度と成っていると思われる。
比較例9においては、脂肪酸を金属塩を用いて鹸化せずに乳化剤を用いて炭酸カルシウム表面に処理しているが、表面に均一に処理されていないので、貯蔵安定性が悪くなっている。
比較例10においては、脂肪酸を乾式で炭酸カルシウムに表面処理しているが、均一でないので、粘度が低く、揺変性も乏しく、貯蔵安定性も悪い結果となっていると考えられる。
ここで、比較例2、4、及び5は良好である。しかしながら、次の応用物性試験では樹脂硬化物の引張強度と接着性を確認しているが、良好な結果は得られていない。これは、表面から遊離した脂肪酸、いわゆる遊離脂肪酸が多いためと思われる。
<2液型ポリウレタンシーラントの粘度及び引張試験>
実施例1〜11及び比較例1〜10の表面処理炭酸カルシウムについて、それぞれ2液型ポリウレタンシーラントを調製し、2液を混合させてその粘度を測定した。2液型ポリウレタンシーラントは、硬化剤として、白艶華CC-R(白石工業株式会社製)100g、PPG(商品名「アクトコール87−34」三井化学ポリウレタン株式会社製)60g、PPG(商品名「アクトコールSHP−2550」三井化学ポリウレタン株式会社製)40g、重質炭酸カルシウム(商品名「ホワイトンP−30」東洋ファインケミカル株式会社製)120g、及びオクチル酸鉛(キシダ化学株式会社製)15gを十分に混練して調整し、硬化剤80gとウレタンプレポリマー(商品名「タケネートL−1032」三井化学ポリウレタン株式会社製)20gを十分に混練して調製した。得られた2液型ポリウレタンシーラントについて、初期粘度及び14日後に混合した粘度を上記と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。引張強度は、被着体をアルミ板とし、2枚のアルミ板の間に(12±0.3)×(12±0.3)×(50±0.6)mmのスペースを作り、その中にシーラントを充填し、23±2℃・(50±5)%RHで7日、そのあとに30±2℃で7日間養生し、引張物性を測定した。
Figure 0004759761
表3から明らかなように、本発明に従う実施例1〜11の表面処理炭酸カルシウムを用いた2液型ポリウレタンシーラントは、高い粘度で、良好なチキソトロピック性、且つ良好な硬化物の品質物性を示すことがわかる。
比較例1は炭酸カルシウム表面に対する脂肪酸処理量が少なく、炭酸カルシウム粒子の凝集のために、粒子が十分分散されていないと考えられる。その結果、低粘度で低揺変性、さらに悪い貯蔵安定性を示していると思われる。
比較例2は炭酸カルシウム表面に対する脂肪酸処理量が多く、処理していない余分の脂肪酸が炭酸カルシウム表面に残存すると考えられ、抽出処理剤量が多くなっている。その結果、遊離した脂肪酸が被着体と樹脂界面にマイグレーションし、接着を妨げると思われる。
比較例3はPPGでの結果と同様に、粒子径が小さいため炭酸カルシウム単位重量当たりの表面積が少なくなり、十分な揺変性が付与されていないと思われる。
比較例4、5は分子量の低いラウリン酸、及び不飽和脂肪酸であるオレイン酸はパルミチン酸やステアリン酸と比較して、炭酸カルシウム表面に吸着しにくいので、抽出処理剤量が多くなっていると考えられる。その結果、比較例2と同等に、遊離した脂肪酸が樹脂の接着を妨げ、引張強度が低くなっていると思われる。
比較例6、7はPPGと同様に、単一脂肪酸の割合が多いと、脂肪酸同士で結晶化されやすく、炭酸カルシウム表面に均一に処理されず、低い揺変性を示していると思われる。
比較例8は粒子が小さすぎるために凝集が強く、粒子が十分分散されてなく、低い粘度、低い揺変性、悪い貯蔵安定性であると思われる。
比較例9は脂肪酸を金属塩で鹸化せずに、乳化剤を用いて炭酸カルシウム表面に処理しているが、表面に均一処理でないので、貯蔵安定性や硬化物の引張強度に悪影響していると思われる。
比較例10は脂肪酸の乾式処理なので、表面状態が均一でないため、粘度が低く、揺変性も乏しく、貯蔵安定性も悪い結果となっていると考えられる。
<2液型ポリサルファイドシーラントの粘度及び引張試験>
実施例1〜11及び比較例1〜10の表面処理炭酸カルシウムについて、2液型ポリサルファイドシーラントを調製し、その粘度を測定した。2液型ポリサルファイドシーラントは、基剤として、白艶華CC-R(白石工業株式会社製)40g、ポリサルファイドポリマー(商品名「チオコールLP23」東レ・ファインケミカル株式会社製)100g、重質炭酸カルシウム(商品名「ホワイトン305」東洋ファインケミカル株式会社製)150g、BBP40g、硫黄(和光純薬工業製試薬)、及びエポキシシラン(商品名「Z−6040」東レ・ダウコーニング株式会社製)2gを十分に混練し、硬化剤は酸化マンガン(商品名「チオブラウンS−7」日本化学産業株式会社製)10g、BBP(商品名「ダイアサイザーD160」三菱化学株式会社製)15g、カーボンブラック(商品名「SRF-L#35」旭カーボン株式会社製)6g、及びテトラメチルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTT-P」大内新興化学工業株式会社製)0.5gを十分に混練し、基剤100gに対して、硬化剤10gを十分に混練して調製した。得られた2液型ポリサルファイドシーラントについて、初期粘度及び14日後に混合した粘度を上記と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。引張強度は、被着体をアルミ板とし、2枚のアルミ板の間に(12±0.3)×(12±0.3)×(50±0.6)mmのスペースを作り、その中にシーラントを充填し、23±2℃・(50±5)%RHで7日、そのあとに30±2℃で7日間養生し、引張物性を測定した。
Figure 0004759761
表4から見られるように、本発明に従う実施例1〜11の表面処理炭酸カルシウムを用いた2液型ポリサルファイドシーラントは、高い粘度で、良好なチキソトロピック性、且つ良好な硬化物の品質物性を示した。試験結果及び考察も2液型ポリウレタンシーラントと同様なことがいえると思われる。
<1液型変性シリコーンシーラントの粘度及び引張試験>
実施例1〜11及び比較例1〜10の表面処理炭酸カルシウムについて、1液型変性シリコーンシーラントを調製し、その粘度を測定した。1液型変性シリコーンシーラントは、白艶華CC-R(白石工業株式会社製)100g、変性シリコーンポリマー(商品名「MSポリマー S203」株式会社カネカ製)100g、DINP50g、重質炭酸カルシウム(商品名「ホワイトン305」東洋ファインケミカル株式会社製)50g、酸化チタン(商品名「JR−600A」テイカ株式会社製)3g、脂肪酸アミド(商品名「A−S−A
T−1800」伊藤製油株式会社製)2g、ヒンダートアミン系安定剤(商品名「TINUVIN 770DF」チバ・ジャパン株式会社製)1g、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名「SEESORB703」シプロ化成株式会社製)1g、ビニルトリメトキシシラン(商品名「KBM#1003」信越化学株式会社製)2g、アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBM#603」信越化学株式会社製)2g、及び触媒(商品名「U−100」日東合成株式会社製)0.25gを十分に混練して調製した。得られた1液型変性シリコーンシーラントについて、初期粘度及び14日後の粘度を上記と同様にして測定した。測定結果を表5に示す。引張強度は、被着体をアルミ板とし、2枚のアルミ板の間に(12±0.3)×(12±0.3)×(50±0.6)mmのスペースを作り、その中にシーラントを充填し、23±2℃・(50±5)%RHで14日、そのあとに30±2℃で14日間養生し、引張物性を測定した。
Figure 0004759761
表5から明らかなように、本発明に従う実施例1〜11の表面処理炭酸カルシウムを用いた1液型変成シリコーンシーラントは、高い粘度で、良好なチキソトロピック性、且つ良好な硬化物の品質物性を示した。試験結果及び考察内容は2液型ポリウレタンシーラントや2液型サルファイドシーラントと同様なことがいえると考えられる。
<ポリ塩化ビニルゾルの粘度及び接着試験>
実施例1〜7及び比較例1〜7の表面処理炭酸カルシウムについて、PVCプラスチゾルを調製し、その粘度を測定した。PVCプラスチゾルは、白艶華CC-R(白石工業株式会社製)60g、PVC樹脂(商品名「VESTOLIT P 1353K」VESTOLIT GMBH製)100g、DINP140g、酸化カルシウム(商品名「CML#31」近江化学工業株式会社製)5g、ミネラルターペン(商品名「ミネラルターペン」山桂産業株式会社製)15g、及びポリアミドアミン(商品名「バーサミド140」コグニスジャパン株式会社製)6gを十分に混練して調製した。得られたPVCプラスチゾルについて、初期及び7日後の粘度と降伏値は、精密回転粘度計を用い、最大せん断速度を400s-1とし、加速時間を2分、保持時間を3分、減速時間を2分として測定した。高せん断粘度は最大せん断速度に到達した時点の粘度を、降伏値は減速曲線の400s−1と6s−1の点を結んだ点と、せん断速度0s−1と交わる点から算出した。接着性は、電着塗装板にゾルを3mmの厚さで塗布し、140℃で30分加熱して硬化させ、カッターで切込みを入れて手ではく離させ、次の基準で評価した。硬化物が板上に90%以上残っているものを○、硬化物が板上に全く残らなかったものを×、それ以外を△とした。
Figure 0004759761
表6から明らかなように、本発明に従う実施例1〜11の表面処理炭酸カルシウムを用いたポリ塩化ビニルゾルは、高い降伏値で、良好なチキソトロピック性(高剪断では低粘度)、且つ良好な硬化物の接着性を示した。比較例1〜10は粘性が良くても接着性が悪い、また接着性が良くても粘性が悪いといった試験結果になっている。炭酸カルシウムを十分分散させるための最適粒子径且つ最適表面処理剤の種類・量の制御が応用物性におけるキーポイントとなっている。
上記の実施例においては、種々のペースト状樹脂組成物に配合した例を示しているが、本発明の表面処理炭酸カルシウムは、印刷インキ及び塗料に配合した場合にも、上記と同様に、高粘度で、かつ高い揺変性を付与することができ、貯蔵安定性に優れており、同時に硬化物の品質物性がよいことを確認している。

Claims (9)

  1. 脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩を含む表面処理剤で表面処理された炭酸カルシウムであって、
    表面処理剤中のパルミチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量%)をPW、ステアリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量(重量% )をSWとしたとき、これらの合計の含有量(PW+SW)が、PW+SW≧90であり、これらの含有比率(PW/SW)が、0.30≦PW/SW≦1.1であり、
    前記脂肪酸のうち、パルミチン酸及びステアリン酸以外の飽和脂肪酸が、炭素数12、14及び20〜31の飽和脂肪酸であり、ラウリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩とミリスチン酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の合計の含有量が5重量%以下であり、不飽和脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の含有量が、5重量%以下であり、
    表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積(m/g)をSA、炭酸カルシウム100重量部に対する脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩の酸換算の処理量(重量部)をFAとしたとき、BET比表面積(SA)が、15≦SA≦48であり、かつBET比表面積(SA)に対する処理量(FA)の比(FA/SA)が、0.095≦FA/SA≦0.135であることを特徴とする表面処理炭酸カルシウム。
  2. 表面処理炭酸カルシウムをジエチルエーテルで抽出することにより求められる抽出処理剤量が、0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理炭酸カルシウム。
  3. 不飽和脂肪酸のナトリウム塩またはカリウム塩が、オレイン酸、エルカ酸、またはリノール酸のそれぞれのナトリウム塩またはカリウム塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理炭酸カルシウム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウムが含有されたことを特徴とするペースト状樹脂組成物。
  5. 2液硬化型ポリウレタンペースト樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のペースト状樹脂組成物。
  6. 2液硬化型ポリサルファイド樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のペースト状樹脂組成物。
  7. 1液型変性シリコーン樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のペースト状樹脂組成物。
  8. PVCプラスチゾル組成物であることを特徴とする請求項4に記載のペースト状樹脂組成物。
  9. 請求項4〜8のいずれか1項に記載のペースト状樹脂組成物の硬化物。
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