JP4698623B2 - 内燃機関のブリーザ装置 - Google Patents

内燃機関のブリーザ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4698623B2
JP4698623B2 JP2007030923A JP2007030923A JP4698623B2 JP 4698623 B2 JP4698623 B2 JP 4698623B2 JP 2007030923 A JP2007030923 A JP 2007030923A JP 2007030923 A JP2007030923 A JP 2007030923A JP 4698623 B2 JP4698623 B2 JP 4698623B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
breather
cylinder block
chamber
combustion engine
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007030923A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008196351A (ja
Inventor
順二 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2007030923A priority Critical patent/JP4698623B2/ja
Priority to CN2008100090248A priority patent/CN101240726B/zh
Publication of JP2008196351A publication Critical patent/JP2008196351A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4698623B2 publication Critical patent/JP4698623B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、内燃機関に設けられるブリーザ装置に関するものである。
4サイクル内燃機関では、エンジンの温度上昇に伴うクランク室の内圧上昇、ピストン下降時のクランク室の内圧上昇、さらに、ピストンとシリンダとの間の隙間からクランク室への若干のブローバイガスの漏出がある。このためブリーザ装置を設けてブローバイガスを外部へ逃がす必要がある。クランク室にはオイルが封入されて激しく攪拌され、微粒オイルが飛散してクランク室内に充満しているので、ブローバイガスを外部へ逃がす途中で、排出ガスを一旦適当な容積のブリーザ室に入れ、減圧と流速低下によってオイル分を分離して回収する。
従来の技術においては、シリンダブロック及びシリンダヘッドの側面、即ち頭上弁駆動用のカムチェーン室の設けられている側に、ブリーザ装置が設けられていた(例えば、特許文献1参照。)。上記の例においては、ブリーザ装置の設置スペースを確保するために、カムチェーン巻回位置をずらしていた。即ち、ドライブスプロケットをクランク軸に設けるのではなく、リヤバランサ軸に設けて、カムチェーンラインが斜めになるように、カムチェーンを巻回していた。このように、カムチェーンをオフセットして設けると、カム軸駆動機構が複雑化し、内燃機関のシリンダブロック回りが大型化せざるを得なかった。
特公平7−9171号公報(図1、図3)。
本発明は、カムチェーンドライブプーリをクランク軸に設けることによって、即ちカムチェーンドライブプーリをオフセットさせることなく、かつ、シリンダブロックを大形化することなく、ブリーザ装置を設置しようとするものである。
本発明は上記課題を解決したものであって、請求項1に記載の発明は、クランク軸とカム軸との間にカムチェーンが巻きかけられ、カムチェーンテンショナが設けられた頭上弁式内燃機関において、シリンダブロックの外壁に上記カムチェーンテンショナリフタ取付け座面が形成され、該カムチェーンテンショナリフタ取付け座面の側方の上記座面と並ぶ位置のシリンダブロック外壁に、内燃機関内部から排出されるブローバイガスの気液を分離するブリーザ室の一部となる凹部とブリーザ室カバー部を取付ける合せ面を形成したことを特徴とする内燃機関のブリーザ装置に関するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関のブリーザ装置において、上記内燃機関は、クランク軸の軸線を車体の左右方向に向けて配置され、シリンダブロックの後部にブリーザ室が設けられ、その後方に設けられたエアクリーナとの間を、ブリーザ通路によって接続されることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関のブリーザ装置において、クランク室から上記ブリーザ室に通じるブリーザ通路は、クランクケースのシリンダブロック挿入孔内周とシリンダブロック下部薄肉管状部の外周との間の隙間、及びクランク室上面に当接するシリンダブロックの下面から上方へ向かって形成された環状溝を備えて構成され、上記環状溝の溝底は、シリンダブロックの上部に位置するブリーザ室に向けて上り傾斜に形成されることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関のブリーザ装置において、上記ブリーザ室凹部外周に設けてあるブリーザ室合せ面は、シリンダ軸線に対して下向きに傾斜して設けられ、シリンダブロックの環状溝とブリーザ室との間は、それぞれ鈍角に交差して形成されたブローバイガス排出通路とオイル戻り通路で結ばれることを特徴とするものである。
請求項1の発明において、ブリーザ室を、カムチェーンテンショナリフタ取付け座面の側方空間を利用して形成すると共に、ブリーザ室合せ面を上記テンショナリフタ取付け座面と並ぶように形成したので、ブリーザ室を大型化しつつ、ブリーザ室とカムチェーンテンショナの組立性を向上できる。また、カムチェーンテンショナ取付け座面とブリーザ室合せ面とが並んでいるので、これらの面の機械加工が容易である。
請求項2の発明において、ブリーザ室を走行風の当たりにくいシリンダブロック後面に形成し、かつ上記ブリーザ室と、同ブリーザ室に近い後方のエアクリーナとの間を短いブリーザ通路で結ぶ構造としたので、ブローバイガスが冷やされて結露することが低減できる。
請求項3の発明において、クランク室から上記ブリーザ室に通じるブリーザ通路が、比較的幅が狭く、かつ表面積の大きい隙間と環状溝とによって構成されているので、気液分離が促進される。環状溝の溝底がブリーザ室に向けて上り傾斜に形成されているので、環状溝内のブローバイガスを効率よくブリーザ室に導くことができる。また、ブリーザ室をシリンダ上部の燃焼室に近い高温部に近づけて設けることが可能になるので、これによってブリーザ性能を向上させることができる。
請求項4の発明において、上記ブリーザ室凹部のブリーザ室合せ面がシリンダ軸線に対して下向きに傾斜して設けられているので、ブローバイガス排出通路とオイル戻り通路のシリンダブロック側の部分を穿設する際に、この合せ面を参照して、例えば合せ面に対して直角方向に上記通路孔を穿設するなどによって、ブローバイガス排出通路とオイル戻り通路を鈍角に交差した通路として容易に加工することが出来る。シリンダの環状溝とブリーザ室との間が、それぞれ鈍角に交差して形成されたブローバイガス排出通路とオイル戻り通路で結ばれるので、シリンダ軸線方向のブローバイガスの流れをスムーズにブリーザ室に導くことができ、また、ブリーザ室からの戻りオイルをスムーズに環状溝に流入させることができる。
図1は本発明の一実施形態に係る空冷式内燃機関1を搭載した自動二輪車2の側面図である。矢印Fは前方を指している(以下の図においても同じ)。この自動二輪車2のヘッドパイプ3にはメインフレーム4とダウンフレーム5が接続され、それぞれ後方と下方へ伸びている。これらのフレームに内燃機関1が懸架されている。ヘッドパイプ3にはフロントフォーク6が回動可能に支持され、その上端には操縦用ハンドル7が装着され、下端には前輪8が軸支されている。メインフレーム4の後部には、リヤフォーク9がその前端を枢支され、上下方向に揺動可能になっている。リヤフォーク9の後端には後輪10が軸支されている。この後輪10は上記内燃機関1の変速機のカウンタ軸の軸端に装着されている後輪駆動スプロケット11と後輪の軸に装着された後輪従動スプロケット12とに巻回された後輪駆動チェーン13によって駆動される。変速機のカウンタ軸はクランク軸などと平行で、車体の左右方向に向けて配置されている。内燃機関1の前側に設けられている排気ポートに連なる排気管14は内燃機関の下部側方を回って車体後部に至り、排気消音器15に接続されている。メインフレーム4の上部には、燃料タンク16が装着され、その後方にシート17が装備されている。車体の前部にヘッドライト94が装備され、同ヘッドライト94と燃料タンクの前部等を覆うフロントカバー95が設けてある。
図2は上記内燃機関1の略中心を通る面で切った断面を左側から見た図である。この内燃機関は頭上弁式内燃機関であり、その外殻は、左クランクケース20L(図示なし)と右クランクケース20Rとからなるクランクケース20、クランクケース20の上部に順次接続されたシリンダブロック21、シリンダヘッド22、シリンダヘッドカバー23、及びクランクケース20の左右を覆う左クランクケースカバー(図示なし)、右クランクケースカバー(図示なし)とからなっている。シリンダブロック21の後部に詳細後述するブリーザ室68が設けてある。
クランク軸26に連なるクランクピン27にはコンロッド28が接続され、同コンロッド28にはピストン29が接続されている。ピストン29はシリンダブロック21内で上下運動をし、これに連動してクランク軸26が回転する。シリンダヘッド22の上記ピストン29に対向する部分に燃焼室30が形成され、シリンダヘッド22の壁体を貫通して、先端が上記燃焼室30に臨み、後端が外部に露出する点火プラグ(図示なし)が設けてある。燃焼室30には吸気ポート31と排気ポート32が開口している。吸気ポート31は後方へ伸び、気化器33に接続されている。排気ポート32は前方へ延び排気管14(図1)に接続されている。吸気ポート31には吸気弁34、排気ポート32には排気弁35が設けてある。シリンダヘッド22とシリンダヘッドカバー23との間に、カム軸36が回転可能に支持されている。カム軸36と平行に吸気ロッカーアーム軸37と排気ロッカーアーム軸38が設けられ、これらのアーム軸に設けられた吸気ロッカーアーム39と排気ロッカーアーム40は、上記カム軸36のカムに駆動されて、上記吸気弁34、排気弁35を開閉駆動する。
クランクケース20に覆われたクランク室19内において、上記クランク軸26の隣に変速機のメイン軸43が設けてあり、その隣には変速機のカウンタ軸44が設けてある。メイン軸43の下方にシフトドラム45、クランク軸26の前方にバランサ軸46が設けてある。上記各軸は左右のクランクケースに回転可能に支持されている。クランクケース20の上部にクランク軸初期駆動用のスタータモータ47が取付けられている。クランク軸26の右端部には、図示していない駆動歯車が設けられ、メイン軸43の右端部には、図示していないクラッチを介して図示していない従動歯車が設けてあり、これらによって、クランク軸26の駆動力はメイン軸43に伝達される。メイン軸43とカウンタ軸44との間には、常時噛合い式歯車群が設けてあり、シフトドラム45のカム溝によって駆動される第1シフトフォーク48と第2シフトフォーク49とによって、所定の歯車が軸方向に移動させられ歯車の噛合い関係が変更され、これによって、メイン軸43の動力が変速されてカウンタ軸44に伝達される。
図3は上記内燃機関1の左側部に設けられたカムチェーン室52を含む縦断面を左側から見た図である。図には左クランクケースカバー取付け面24が見えている。クランク軸26の左側部分にはドライブスプロケット53が嵌着され、カム軸36の左端部にはドリブンスプロケット54が固定され、この両スプロケットにはカムチェーン55が掛け渡され、これによってクランク軸26の回転駆動力がカム軸36へ伝達され、シリンダヘッド22に配置されている吸排気弁が所定タイミングで駆動される。各スプロケットに付してある矢印はスプロケットの回転方向である。
ドライブスプロケット53によって引っ張られる側のカムチェーン55に沿って、同カムチェーンを案内する樹脂製のカムチェーンガイド56が設けてあり、カムチェーン室52の周囲の固定部に固定されている。カムチェーンガイド56のカムチェーン摺動側の断面は、ほぼカムチェーン55の幅に相当する凹溝となっており、カムチェーン55はその溝底を摺動する。ドライブスプロケット53によって押し出される側のカムチェーン55に沿って、カムチェーンテンショナ57が設けてある。カムチェーンテンショナ57はその下端の支持部を中心として回動可能に支持されている。カムチェーンテンショナ57は弾力性に富んだスチール系金属で作られたアーム58と、同アーム58のチェーン摺動側に取付けられた硬質ゴム系樹脂で成型されたシュー59とから構成されている。シュー59のカムチェーン摺動部はカムチェーン55の撓みの形に湾曲成型され、そのカムチェーン摺動側の断面は、ほぼカムチェーン55の幅に相当する凹溝となっており、カムチェーン55はその溝底を摺動する。シリンダブロック21を貫通してテンショナリフタ60が設けられ、カムチェーン室52内部に突出したその先端でカムチェーンテンショナ57を押し、押されたカムチェーンテンショナ57がカムチェーン55を押し、これによって、カムチェーン55の弛みが防止される。図には、クランクケース20の後部にカウンタ軸44と後輪駆動スプロケット11が見える。
図4はクランクケース20の上部に接続されたシリンダブロック21の縦断面図である。シリンダブロック21は、上部のシリンダブロック本体部21aと下部のシリンダブロック下部薄肉管状部21bとシリンダライナ21cとからなっている。シリンダライナ21cはシリンダブロックの内側に一体化されている。シリンダブロック21は、クランクケース20のシリンダブロック挿入孔67にシリンダブロック下部薄肉管状部21bを挿入して装着されている。シリンダブロック21の後部には、ブリーザ室68が形成されている。ブリーザ室68はシリンダブロック21の後面に形成されたブリーザ室凹部69に、別体のブリーザ室カバー部70を取付けて構成され、内部に、迷路状気体通路71(図5)が形成されている。ブリーザ室合せ面79はシリンダ軸線Aに平行な線Bに対して角θだけ下向きに傾斜して設けてある。ブリーザ室カバー部70の後面上部にブローバイガス排出管72が設けてある。これは、ブリーザチューブ90を介して内燃機関1の後方に設けられたエアクリーナ91(図1)に接続される。
図5は図4のV方向矢視図である。これは、ブリーザ室カバー部70を除去したシリンダブロック21を後方から見た図である。シリンダブロック21の後面の左側にテンショナリフタ挿入孔77が開口し、その回りにテンショナリフタ取付け座面78が設けてある。テンショナリフタ取付け座面78の隣に、ブリーザ室合せ面79とブリーザ室凹部69とが形成されている。図には、ブリーザ室凹部69に形成された迷路状気体通路71が見えている。矢印はブローバイガスの流れである。前記ブローバイガス排出管72の位置が一点鎖線で示してある。
図6は図4のVI方向矢視図である。これは、ブリーザ室カバー部70を除去したシリンダブロック21を上方から見た図である。シリンダブロック21の中心よりやや右側に、シリンダ孔65が開口している。シリンダ孔65の内面のシリンダライナ21cが見える。シリンダブロックの後部にブリーザ室凹部69とブリーザ室合せ面79が見える。シリンダブロック21の左側にカムチェーン室52が開口し、シリンダブロック21の後部にテンショナリフタ挿入孔77とテンショナリフタ取付け座面78が見える。
図7は図4のVII-VII断面矢視図である。これは、シリンダブロック本体部21aの下面図である。シリンダ孔65、シリンダライナ21c、ブリーザ室合せ面79の端、カムチェーン室52、およびテンショナリフタ取付け座面78の端などが見える。また、シリンダブロック本体部21aの下面に環状溝82の開口が見える。
図4において、シリンダブロック本体部21aには、その下面からシリンダ軸線Aに平行に環状溝82が形成してある。この環状溝82はシリンダブロック21の後方に行くほどシリンダの上方に向けて深くなっている。即ちこの環状溝82の溝底83を連ねる線の側面視83aはシリンダ軸線Aに対して傾斜し、ブリーザ室68に向かって上り傾斜となっている。図7には上記環状溝82のクランクケースへ当接する側の開口が示してある。この環状溝82の幅は、シリンダブロック21の前側に比して後方に行くほど幅広に形成してある。
図4において、シリンダブロック下部薄肉管状部21bとクランクケース20との間には隙間84が設けてある。この隙間84と上記環状溝82とは連通している。また、シリンダブロック本体部21aの上面から上記環状溝82の最深部に達するドリル孔85がシリンダ軸線Aに対して平衡に穿設され、その上端開口は栓86で塞いである。更に、上記ドリル孔85とブリーザ室68とを結ぶ連通孔87が下向きに穿設してある。即ちドリル孔85の中心線Cと連通孔87の中心線Dとの交差角αは鈍角である。これらの孔はブローバイガスの排出通路となる部分であり、上記のようにガス通路が鈍角に交差していることはガスをスムーズに流すために好都合である。連通孔87を後方から見た位置は図5に示されている。
図6には、シリンダブロック21を上から見た状態において、上記ドリル孔85と連通孔87とが示してある。更に、シリンダブロック21を上から見て、上記ドリル孔85と重ならない位置において、ブリーザ室凹部69の下部と環状溝82とを連通するよう穿設されたオイル戻し孔88が示してある。
図8は図6のVIII−VIII断面矢視図である。ブリーザ室凹部69の下部と環状溝82とを連通する上記オイル戻し孔88が下向きに設けてある。即ち環状溝82の中心線Eとオイル戻し孔88の中心線Gとの交差角βは鈍角である。このようにオイル通路が鈍角に交差していることはオイルをスムーズに戻すために好都合である。オイル戻し孔88を後方から見た位置は図5に示されている。
図9は本実施形態の作用説明図である。内燃機関の燃焼行程において、シリンダ孔65内で燃焼したガスの一部は、ピストン29とシリンダライナ21cとの間から、ブローバイガス(細線矢印)としてクランク室19内へ洩れる。洩れたブローバイガスは、クランク室の内圧増加時に、クランク室19内のオイルミストと共に、シリンダブロック下部薄肉管状部21bとクランクケース20との間の隙間84から環状溝82へ流入し、ドリル孔85と連通孔87を経てブリーザ室68へ入る。ここでブローバイガスは迷路状気体通路71(図5)を経由してブローバイガス排出管72から排出され、ブリーザチューブ90を介して、シリンダブロック21後方に配置されているエアクリーナ91(図1)へ送り込まれ、そこで新鮮な空気と混合して、再び気化器33(図1、図2)を経由して燃焼室30(図2)へ送られ、燃焼に供される。
ブローバイガスはブリーザ室68の迷路状気体通路71を経由する過程でガス中に含まれる油分を壁面に付着させ、ブローバイガス排出管72からは油分を含まないガス(二重線矢印)として排出される。壁面に付着した油分はブリーザ室68の中で下方へ流下し、液状油(太線矢印)となってオイル戻し孔88と環状溝82を経てクランク室19内へ戻る。シリンダブロック下部薄肉管状部21bの下端に対向するように、クランクケース20の内壁からリブ92が設けてある。これはピストン29とシリンダライナ21cの隙間から洩れたブローバイガスに含まれる水蒸気分をクランク室19内へ落とさないようにし、反転して隙間84へ向かって上昇するブローバイガスと共に、積極的にブリーザ室68へ送り込むためのガイドの働きをするものである。
図10はシリンダヘッド22及びシリンダブロック21と、エアクリーナ91との接続関係を上方から見た図である。シリンダヘッド22の後部に設けられた吸気ポート31に気化器33が接続され、その後方にエアクリーナ91設けてあり、気化器33との間は吸気管96によって接続されている。シリンダヘッド22の下側に位置するシリンダブロック21の後部のブリーザ室68からブローバイガス排出管72が突出し、ブリーザチューブ90を介して、エアクリーナ91の清浄空気側に接続されている。組立状態の上面図ではシリンダブロック21はシリンダヘッド22の下側に隠れて見えないので、図の下の方にシリンダブロック21のみの上面図が示してある。
ブリーザ室68から排出されたブローバイガスはブローバイガス排出管72とブリーザチューブ90とを経てエアクリーナ91の清浄空気側へ送り込まれ、エアクリーナ91内で清浄空気と混合されて吸気管96と気化器33を経て燃料と共に燃焼室30へ吸入され、燃焼に供される。
以上詳述した実施形態においては、次の効果がもたらされる。
(1)ブリーザ室68を、カムチェーンテンショナリフタ取付け座面78の側方空間を利用して形成すると共に、ブリーザ室合せ面79を上記テンショナリフタ取付け座面78と並ぶように形成したので、ブリーザ室68を大型化しつつ、ブリーザ室68とカムチェーンテンショナ57の組立性を向上できる。また、テンショナリフタ取付け座面78とブリーザ室合せ面79とが並んでいるので、これらの面の機械加工が容易である。
(2)ブリーザ室68を走行風の当たりにくいシリンダブロック21後面に形成し、かつ上記ブリーザ室68と、同ブリーザ室に近い後方のエアクリーナ91との間を短いブリーザチューブ90で結ぶ構造としたので、ブローバイガスが冷やされて結露することが低減できる。
(3)クランク室19から上記ブリーザ室68に通じるブリーザ通路が、比較的幅が狭く、かつ表面積の大きい隙間84と環状溝82とを備えて構成されているので、気液分離が促進される。環状溝82の溝底がブリーザ室68に向けて上り傾斜に形成されているので、環状溝82内のブローバイガスを効率よくブリーザ室68に導くことができる。また、ブリーザ室68をシリンダ上部の燃焼室に近い高温部に近づけて設けることが可能となるので、ブリーザ性能を向上させることができる。
(4)ブリーザ室合せ面79がシリンダ軸線Aに平行な線Bに対して角θ(図4)だけ下向きに傾斜して設けられているので、連通孔87とオイル戻し孔88を穿設する際に、このブリーザ室合せ面79を参照して、例えば、ブリーザ室合せ面79に対して直角方向に上記連通孔87とオイル戻し孔88とを穿設するなどによって、連通孔87をドリル孔85に対して鈍角αに交差したブローバイガス排出通路とし、オイル戻し孔88を環状溝82に対して鈍角βに交差したオイル戻り通路として容易に加工することが出来る。ブローバイガス排出通路とオイル戻り通路とがそれぞれ鈍角に交差して形成されているので、ドリル孔85からブリーザ室68へ向かうブローバイガスの流れをスムーズにブリーザ室68に導くことができ、また、ブリーザ室68からの戻りオイルをスムーズに環状溝82に流入させることができる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の側面図である。 上記内燃機関の略中心を通る面で切った断面を右側から見た図である。 上記内燃機関の左側部に設けられたカムチェーン室を含む縦断面を右側から見た図である。 クランクケースの上部に接続されたシリンダブロックの縦断面図である。 図4のV方向矢視図である。 図4のVI方向矢視図である。 図4のVII-VII断面矢視図である。 図6のVIII−VIII断面矢視図である。 本実施形態の作用説明図である。 シリンダヘッド及びシリンダブロックと、エアクリーナとの接続関係を上方から見た図である。
符号の説明
19…クランク室、20…クランクケース、21…シリンダブロック、52…カムチェーン室、55…カムチェーン、56…カムチェーンガイド、57…カムチェーンテンショナ、60…テンショナリフタ、21a…シリンダブロック本体部、21b…シリンダブロック下部薄肉管状部、21c…シリンダライナ、65…シリンダ孔、67…シリンダブロック挿入孔、68…ブリーザ室、69…ブリーザ室凹部、70…ブリーザ室カバー部、71…迷路状気体通路、72…ブローバイガス排出管、78…テンショナリフタ取付け座面、79…ブリーザ室合せ面、82…環状溝、83…溝底、84…隙間、85…ドリル孔、86…栓、87…連通孔、88…オイル戻し孔、90…ブリーザチューブ、91…エアクリーナ、92…リブ、A…シリンダ軸線、B…シリンダ軸線に平行な線、θ…ブリーザ室合せ面の下向き角、α…ドリル孔85の中心線Cと連通孔87の中心線Dとの交差角、β…環状溝82の中心線Eとオイル戻し孔88の中心線Gとの交差角。

Claims (4)

  1. クランク軸とカム軸との間にカムチェーンが巻きかけられ、カムチェーンテンショナが設けられた頭上弁式内燃機関において、シリンダブロックの外壁に上記カムチェーンテンショナリフタ取付け座面が形成され、該カムチェーンテンショナリフタ取付け座面の側方の上記座面と並ぶ位置のシリンダブロック外壁に、内燃機関内部から排出されるブローバイガスの気液を分離するブリーザ室の一部となる凹部とブリーザ室カバー部を取付ける合せ面を形成したことを特徴とする内燃機関のブリーザ装置。
  2. 上記内燃機関は、クランク軸の軸線を車体の左右方向に向けて配置され、シリンダブロックの後部にブリーザ室が設けられ、その後方に設けられたエアクリーナとの間を、ブリーザ通路によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のブリーザ装置。
  3. クランク室から上記ブリーザ室に通じるブリーザ通路は、クランクケースのシリンダブロック挿入孔内周とシリンダブロック下部薄肉管状部の外周との間の隙間、及びクランク室上面に当接するシリンダブロックの下面から上方へ向かって形成された環状溝を備えて構成され、上記環状溝の溝底は、シリンダブロックの上部に位置するブリーザ室に向けて上り傾斜に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関のブリーザ装置。
  4. 上記ブリーザ室凹部外周に設けてあるブリーザ室合せ面は、シリンダ軸線に対して下向きに傾斜して設けられ、シリンダブロックの環状溝とブリーザ室との間は、それぞれ鈍角に交差して形成されたブローバイガス排出通路とオイル戻り通路で結ばれることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のブリーザ装置。
JP2007030923A 2007-02-09 2007-02-09 内燃機関のブリーザ装置 Expired - Fee Related JP4698623B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007030923A JP4698623B2 (ja) 2007-02-09 2007-02-09 内燃機関のブリーザ装置
CN2008100090248A CN101240726B (zh) 2007-02-09 2008-01-30 内燃机的通气装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007030923A JP4698623B2 (ja) 2007-02-09 2007-02-09 内燃機関のブリーザ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008196351A JP2008196351A (ja) 2008-08-28
JP4698623B2 true JP4698623B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=39755533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007030923A Expired - Fee Related JP4698623B2 (ja) 2007-02-09 2007-02-09 内燃機関のブリーザ装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4698623B2 (ja)
CN (1) CN101240726B (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5134501B2 (ja) * 2008-10-28 2013-01-30 三菱重工業株式会社 ガスエンジンの潤滑装置
CN101746474A (zh) * 2008-12-17 2010-06-23 光阳工业股份有限公司 摩托车引擎结构
JP5671818B2 (ja) * 2010-03-10 2015-02-18 スズキ株式会社 エンジンのブリーザ室レイアウト構造
JP4670996B1 (ja) * 2010-04-23 2011-04-13 スズキ株式会社 エンジンの吸気系通路構造
JP5838533B2 (ja) 2011-07-03 2016-01-06 本田技研工業株式会社 自動二輪車用エンジンにおけるブリーザ構造
JP6394215B2 (ja) * 2014-09-12 2018-09-26 スズキ株式会社 内燃機関のオイル分離構造
JP6117757B2 (ja) * 2014-09-29 2017-04-19 本田技研工業株式会社 内燃機関のブリーザ室
JP6380035B2 (ja) 2014-11-18 2018-08-29 スズキ株式会社 内燃機関
JP6333787B2 (ja) 2015-09-25 2018-05-30 本田技研工業株式会社 内燃機関のブリーザ室構造
JP6707997B2 (ja) * 2016-06-03 2020-06-10 いすゞ自動車株式会社 エンジン装置
JP7344024B2 (ja) * 2019-07-02 2023-09-13 カワサキモータース株式会社 ハイブリッド車両
CN115126568A (zh) * 2021-03-19 2022-09-30 Tvs电机股份有限公司 用于多轮车辆的通气系统

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000161041A (ja) * 1998-11-25 2000-06-13 Honda Motor Co Ltd エンジンにおけるブリーザ装置
JP2000240462A (ja) * 1999-02-22 2000-09-05 Honda Motor Co Ltd チェーンケースのセパレータ構造
JP2002256838A (ja) * 2001-02-26 2002-09-11 Kawasaki Heavy Ind Ltd エンジンのブリーザ構造
JP2005016333A (ja) * 2003-06-24 2005-01-20 Honda Motor Co Ltd 内燃機関のブリーザ装置
JP2005155495A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Honda Motor Co Ltd 内燃機関のブリーザ構造

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5627310U (ja) * 1979-08-09 1981-03-13
JPH079171B2 (ja) * 1987-03-30 1995-02-01 スズキ株式会社 4サイクルエンジンのブリ−ザ装置
JP3067449B2 (ja) * 1993-03-10 2000-07-17 スズキ株式会社 自動二輪車用4サイクルエンジン
JP3314850B2 (ja) * 1995-08-11 2002-08-19 本田技研工業株式会社 内燃機関のブローバイガスのブリーザ構造

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000161041A (ja) * 1998-11-25 2000-06-13 Honda Motor Co Ltd エンジンにおけるブリーザ装置
JP2000240462A (ja) * 1999-02-22 2000-09-05 Honda Motor Co Ltd チェーンケースのセパレータ構造
JP2002256838A (ja) * 2001-02-26 2002-09-11 Kawasaki Heavy Ind Ltd エンジンのブリーザ構造
JP2005016333A (ja) * 2003-06-24 2005-01-20 Honda Motor Co Ltd 内燃機関のブリーザ装置
JP2005155495A (ja) * 2003-11-26 2005-06-16 Honda Motor Co Ltd 内燃機関のブリーザ構造

Also Published As

Publication number Publication date
CN101240726A (zh) 2008-08-13
JP2008196351A (ja) 2008-08-28
CN101240726B (zh) 2010-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4698623B2 (ja) 内燃機関のブリーザ装置
US6598595B2 (en) Breather device for motorcycle
US7690367B2 (en) Internal combustion engine and vehicle having the internal combustion engine
US7637236B2 (en) Cylinder head for an overhead-cam internal combustion engine, engine incorporating same, and vehicle incorporating the engine
US20080022981A1 (en) Breather structure for internal combustion engine
JP5330050B2 (ja) 4ストロークサイクル内燃機関
JP4583339B2 (ja) ベルト式伝動機構を備えるバーチカル内燃機関
US6508238B2 (en) Breather system for engine
JP2007291951A (ja) エンジンの潤滑構造
JP3975150B2 (ja) 頭上弁式内燃機関のブリーザ構造
JP2011038437A (ja) 内燃機関
JP2009250216A (ja) エンジン
JP4583337B2 (ja) ベルト式伝動機構を備えるバーチカル内燃機関
JP6102468B2 (ja) エンジンのブリーザ構造
JP5353538B2 (ja) 自動二輪車エンジンのカムチェーン潤滑構造
JP2016098645A (ja) 内燃機関
WO2011132574A1 (ja) エンジンのオイル通路構造
EP2527608B1 (en) Internal combustion engine and motorcycle equipped with the engine
JP3329331B2 (ja) 自動二輪車用4サイクルエンジンのブリーザ装置
JP3139089B2 (ja) 4サイクルエンジン
JP2013007275A (ja) エンジンの気液分離構造
JP2005233012A (ja) 内燃機関本体へのラジエータ取り付け構造
JP6870413B2 (ja) 内燃機関
JP2011047366A (ja) 自動二輪車エンジンの潤滑装置
JP4450309B2 (ja) 自動二輪車

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090501

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4698623

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees