JP2002256838A - エンジンのブリーザ構造 - Google Patents
エンジンのブリーザ構造Info
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Abstract
ミストOMを分離できるエンジンのブリーザ構造を提供
する。 【解決手段】 クランク室6内のブローバイガスGを前
記クランク室6外へ導出する導出路8を有し、シリンダ
1の内面を形成するシリンダライナ部2とクランクケー
ス3との間に、前記ブローバイガスGを前記導出路8に
導入する導入路9が形成されている。前記導出路8は、
クランク室の外側に位置して前記導出路の一部分を形成
するブリーザ室81と、ブローバイガスGを外部へ導出
する導出孔82とを有し、前記導入路9は、クランクケ
ース3に設けられ、前記クランク室6に連通して前記ブ
リーザ室81の入口を形成する導入孔91を有する。
Description
ルエンジンにおけるクランク室のブリーザ構造に関す
る。
リンダ内を往復運動する工程で燃焼室内からピストンリ
ングとシリンダライナ内壁面との間隙を通って、ブロー
バイガスがクランクケース内へ流れ出る。クランクケー
スのブリーザ装置は、前記ブローバイガスをエアクリー
ナの下流で吸気に混入させて燃焼室で燃焼させるように
構成している。
リーザ構造の従来例について、図15および図16を参
照しながら説明する。図15に示すように、内面にシリ
ンダライナ46を有するシリンダ45が、クランク軸4
7を収容するクランクケース41の上部に組み付けられ
ている。クランクケース41の前側にブリーザ室40が
設けられており、このブリーザ室40へのブローバイガ
スGの取入口43を、図16に示すように、潤滑油から
発生するオイルミストの吸入の比較的少ないクランクケ
ース41の側方の、例えばクラッチカバー42内に設け
て、その上流側を迷路構造44としている。さらに、図
15のブリーザ室40でオイルミストOMを回収するた
め、前記ブリーザ室40内にも迷路状のガイド板45を
設けている。こうして、オイルミストOMが燃焼室で燃
焼されるのが防止されるとともに、オイルが回収されて
潤滑油として再利用される。
スGが前記取入口43に入る前に、図16の迷路44を
通る際に転向をくり返すことにより、前記ブローバイガ
スとこれに混じっているオイルミストとがその比重差に
よって慣性力で分離されて、比重の大きいオイルミスト
OMが破線矢印で示すように下方に導かれる。さらに、
ブローバイガスGは、前記取入口43から図15のブリ
ーザ室40内に流入して、このブリーザ室40の上部に
設けた排出孔48を経てエアクリーナの下流に導かれる
際、前記迷路状のガイド板45の存在により、前記ブロ
ーバイガスGの流れは実線矢印で示すように、くねった
流れとなり、転向をくり返して、残ったオイルミストO
Mが破線矢印で示すように下方に導かれ、ブローバイガ
ス成分は上方に導かれる。上方に導かれたガス成分は、
前記排出孔48を経てエアクリーナのクリーナエレメン
ト下流に導かれ、図示しない吸気通路を経て燃焼室に戻
され、燃焼処理される。一方、下方に導かれたオイルミ
ストOMはオイル回収チューブ49を介して、クランク
ケース41の底部に設けられたオイルパン側に戻され、
再利用されるようになっている。なお、これに近い先行
技術として例えば特許2822003号がある。
ブリーザ構造による場合、ブリーザ室40の上流側に、
オイルミストOMの吸入を抑制するために、図16に示
した迷路44を別部品で取り付けているので、構造が複
雑になり、クラッチカバー42の製造がコスト高になっ
ていた。
で、ブリーザ室上流側の別部品の迷路構造を用いること
なく、ブローバイガスからオイルミストを効果的に分離
して、部品点数及び作業工数を削減できるエンジンのブ
リーザ構造を提供することを目的とする。
に、本発明の一構成に係るエンジンのブリーザ構造は、
クランク室内のブローバイガスを前記クランク室外へ導
出する導出路を有し、シリンダの内面を形成するシリン
ダライナ部とクランクケースとの間に、前記ブローバイ
ガスを前記導出路に導入する導入路が形成されている。
ーバイガスを導入する導入路は、シリンダライナ部とク
ランクケースとの間の狭い通路として形成されているか
ら、この狭い導入路内を通過する際に、前記ブローバイ
ガスは迷路構造通過時と同様に転向するので、混じって
いるオイルミストの多くは前記導入路の下方に取り除か
れ、オイルミストの多くが取り除かれたブローバイガス
が前記導出路に導入され、この導出路からクランク室外
へ導出される。したがって、従来の別部品の迷路構造が
不要になるので、構造が簡略化され、製造コストが低下
する。
造は、前記導出路がクランク室の外側に位置するブリー
ザ室と、このブリーザ室に流入するブローバイガスを外
部に導出する導出孔とを有し、クランクケースに、前記
クランク室に連通して前記ブリーザ室の入口を形成する
導入孔を有する。
形成するシリンダライナ部とクランクケースとの間に形
成されている導入路内にブローバイガスを通過させて
も、オイルミストが十分に切れず分離できない場合であ
っても、さらにブリーザ室において、残るオイルミスト
をその比重差によってブローバイガスから分離できる。
したがって、オイルミスト分が少ないブローバイガスを
外部に導出させることができる。
孔と導出孔との間に位置し、かつ前記導入孔から流入す
るブローバイガスを迂回させて前記導出孔に導く仕切り
板が設けられている。
らブリーザ室内に流入したブローバイガスは前記導入孔
から導出孔に導かれるまでの過程で、前記仕切り板によ
って強制的にその流れが転向させられてのち、前記導出
孔に導かれる。この結果、ブローバイガスとこれに混じ
っているオイルミストとは、その比重差によって一層分
離されやすくなる。したがって、導入路内でブローバイ
ガスに混じっているオイルミストを十分に取り除けなか
った場合でも、前記導出孔に導かれるまでにブリーザ室
内で残っているオイルミストを分離させることができ、
オイルミストの極めて少ないブローバイガスを導出孔よ
り導出させることができる。
は、前記クランクケースがクランク軸の軸心方向に2分
割されており、その分割面上に、前記ブリーザ室の入口
を形成する前記導入孔が位置している。
スの型成形と同時に導入孔を容易に形成できる。
ザ構造は、前記クランクケースの側方を覆うサイドカバ
ーに前記導出路の一部分を形成するブリーザ室が形成さ
れ、シリンダの内面を形成する前記シリンダライナ部に
よって前記ブリーザ室の内壁が形成され、前記シリンダ
ライナ部の下端とクランクケースとの間に、ブローバイ
ガスを前記ブリーザ室に導入する導入孔が形成されてい
る。
ーを利用してブリーザ室を形成できるとともに、導入孔
を形成するために、クランクケース自体にキリ孔加工な
どによって孔を開ける必要がなく、予めクランクケース
とこの外側に組み付けられるサイドカバーとの組み合わ
せによってブローバイガスを前記ブリーザ室に導入する
導入孔を形成することができるので、より簡単な構成で
ブリーザ構造が得られ、生産性が向上する。
は、前記クランクケースに、ブリーザ室内に突出して前
記ブリーザ室内のブローバイガスがクランク室に逆流す
るのを阻止する逆流防止部が形成されている。
リーザ室内にブローバイガスが一旦導入されると、この
ブローバイガスは逆流防止部によってその逆流が阻止さ
れるので、安定したブリーザ機能を発揮させることがで
きる。
は、シリンダの内面を形成するシリンダライナ部とクラ
ンクケースとで、ブローバイガスを迂回させながら前記
導出路に導く迷路からなる導入路が形成されている。
ガスが導入路内に導入されると、この導入路はシリンダ
ライナ部とクランクケースとで形成された迷路となって
いるので、前記ブローバイガスはこの迷路を迂回しなが
ら転向をくり返して前記導出路に導かれる。したがっ
て、ブローバイガスは前記導入路内で比重の大きいオイ
ルミストが慣性力の差によってガスから分離され、オイ
ルミストの少ないブローバイガスを導出路に導くことが
でき、効率的なブリーザ機能を発揮させることができ
る。
ンク室の外側に位置して前記導出路の一部を形成し、前
記導入路からブローバイガスが導入されるブリーザ室を
設けるのが好ましい。
導入路内をブローバイガスが通過する際、ブローバイガ
スに混じっているオイルミストが十分に分離されずにブ
ローバイガス中に残っていたとしても、その後、ブリー
ザ室において、分離できずに残っているオイルミストも
比重差によって前記ブローバイガスから分離して取り除
くことができる。
は、前記ブリーザ室が混合気生成器の下方に配置されて
いる。
ースとなっている混合気生成器の下方を有効利用して、
ブリーザ室を配置することができる。したがって、従来
のブリーザ室の配置レイアウトを変更でき、従来のブリ
ーザ室の配置スペースを他の用途に有効に活用できる。
は、前記クランクケースに形成されてクランク軸に連動
する補機を収容する収納室に、前記導出路の一部分を形
成するブリーザ室が設けられ、前記導入路を前記ブリー
ザ室に連通させる連通路を備えている。
単に補機収容のためだけでなく、ブリーザ室としても利
用したので、別の場所に新たにブリーザ室を設ける必要
がなく、エンジンの煩雑で込み入ったスペースの有効活
用を図ることができる。
は、クランク軸心方向から見てV字形になるように配置
された複数のシリンダを有し、前記導入孔が一方のシリ
ンダの近傍に設けられ、かつ前記導入孔の軸心が前記一
方のシリンダとV字形をなす他方のシリンダの軸心と同
一方向に設定されている。
ルト挿通孔が形成され、通しボルトが挿通されて、シリ
ンダヘッドとともに、クランクケースにボルト結合され
るが、前記ブリーザ構造によれば、V形エンジンにおい
て、一方のシリンダの近傍に設けた導入孔の軸心を前記
一方のシリンダとV字形をなす他方のシリンダの軸心と
同一方向に設定しているので、他方のシリンダにおける
通しボルト用の孔開け加工に用いる孔開けドリルと前記
導入孔加工用のドリルとを同一のドリル切換え型のチャ
ックに装着し、チャック角度を変えることなくそのまま
の角度で、ドリルの切換えによって前記導入孔を設ける
ことができ、エンジンのブリーザ構造の製作にあたっ
て、その作業性が向上する。
ーザ構造では、前記クランクケースが上下に複数に分割
され、かつその分割面に対してシリンダの軸心が前方へ
傾斜して設定されており、前記シリンダの基端の後部近
傍に前記導入孔が設けられて、この導入孔の軸心が前記
分割面と直交している。
リーザ構造を設けようとするクランクケースが上下に複
数に分割されたタイプである場合、前記クランクケース
の分割面に直交して植設される通しボルト用の孔を孔開
け加工する際の、孔開けドリルのチャック角度を変える
ことなく同一のままで分割面に沿って平行移動するだけ
で前記導入孔を設けることができるので、エンジンのブ
リーザ構造の生産性が向上する。
動二輪車用エンジンのブリーザ構造について、図面を参
照しながら説明する。
エンジンを示す。図1において、シリンダ1,1Aは、
アルミニウム合金などの金属ブロックで形成されてお
り、前側のシリンダ1を代表として示すように、シリン
ダ1の内面に鋳鉄製のシリンダライナ部2が圧入などに
よって取り付けられ、このシリンダ1がクランクケース
3の上部にボルト(図示せず)によって結合されてい
る。シリンダライナ部2の下部は、クランクケース3内
に突出し、クランクケース3の内面に対して一定のクリ
アランス4をもって対向している。
5が往復動可能に挿入され、このピストン5に取り付け
付けられたコネクティングロッド51の下端(図示を省
略)が、クランク室6内で、クランクケース3に回転自
在に支持されているクランク軸7の所定部位に取り付け
られている。前記両シリンダ1,1Aは前後に開いて傾
斜し、その軸心N1,N2が、クランク軸7を中心に、
側方から見てV字形を呈している。
2とは、アルミニウム合金を使用した型成形などで一体
形に形成されていてもよい。さらに、自動車用のエンジ
ンのように、シリンダ1とクランクケース3とが一体形
で形成されていてもよく、この場合、前記シリンダ1内
にシリンダライナ部2を圧入あるいは鋳込みにより形成
し、この場合もこのシリンダライナ部とクランクケース
3との間にクリアランス4が形成される。
ク室6内のブローバイガスGをクランク室6外へ導出す
る導出路8が設けられている。前記導出路8は、クラン
ク室6の外側に位置して前記導出路8の一部分を形成す
るブリーザ室81と、このブリーザ室81内に流入した
ブローバイガスGをクランク室6外へ導出する導出孔8
2とを備えている。前記ブリーザ室81の底部側には、
ブリーザ室81で分離されて下方に滴下するオイルミス
トOMを回収し、クランクケース3の下方のオイルパン
(図示せず)に戻すオイル回収チューブ84が設けられ
ている。
2とクランクケース3との間に元々形成されているクリ
アランス4と、このクリアランス4を前記ブリーザ室8
1に連通させるように前記クランクケース3に形成され
た導入孔91とを備えており、この導入孔91によっ
て、クランク室6に連通する前記ブリーザ室81の入口
が形成されている。このように、シリンダライナ部2と
前記クランクケース3との間に元々形成されているクリ
アランス4を、前記ブローバイガスGを前記導出路8に
導入する導入路9の一構成部分として有効に活用してお
り。この点が本発明の大きな特徴である。
して、例えばキリ孔加工などによって、ブリーザ室81
に向かって下り傾斜の角度となるように設定しておくの
が望ましい。これにより、クランク室6内からクリアラ
ンス4を経由し、続いて前記導入孔91からブリーザ室
81内へ導入されるブローバイガスGが、実線aで示す
ように、前記ブリーザ室81内を下方へ向かって円滑に
流れ込む。ここで、前側に位置する一方のシリンダ1の
近傍に設けられた前記導入孔91の軸心Mを、後側に位
置する他方のシリンダAの軸心N2と同一方向になるよ
うに設定する。これにより、前記他方のシリンダ1Aに
クランクケース3に植設された通しボルトを挿通するた
めの孔を加工するドリルと、導入孔91を加工するドリ
ルとを、ドリル自動交換が可能なチャックに取り付けた
場合、チャック角度を変えることなく、平行移動するだ
けで前記導入孔91を設けることができるので、作業性
が向上する。
導入孔91とは、図2に示すような位置関係になってい
る。すなわち、クランクケース3は、クランク軸7(図
1)の軸心方向に左右2分割されており、一方のケース
半体31aに前記導入孔91が、他方のケース半体31
bに前記導出孔82が、それぞれ設けられている。この
導出孔82は、他方のケース半体31bの上部のねじ孔
にねじ結合された導出用パイプ83により形成されてお
り、この導出用パイプ83と図示しないエアクリーナに
おけるクリーナエレメントの下流側とが、配管を介して
接続されている。
図1に示すように、クランク室6内のブローバイガスG
は、クリアランス4を経由して導入孔91から前記ブリ
ーザ室81内へ、このブリーザ室81の下方に向かって
導入される。この際、前記クリアランス4内に入る際、
およびクリアランス4から導入孔91に入る際に、ブロ
ーバイガスGは大きく転向するので、一種の迷路構造と
しての役割を果たし、導入孔91に至るまでの間で前記
ブローバイガスGに混じったオイルミストOMは、ガス
成分との比重差によって、かなりの量が前記クリアラン
ス4を形成するクランクケース3の内面やシリンダライ
ナ部2の外壁面を伝わってクランク室6内下方に滴下
し、クランクケース3の下部に取り付けられたオイルパ
ンに直接、戻される。
よりブリーザ室81内に導入されたブローバイガスG
は、ブリーザ室81内を下方に向かって流れ込んだの
ち、転向して、上方の導出孔82に向かう(実線矢印a
で示す)が、この転向の際、前記クリアランス4を通過
時に分離し切れなかったオイルミストOMが、比重差に
よって落下し(破線矢印bで示す)、図1に示すオイル
回収チューブ84を介してオイルパンに戻される。一
方、ガス成分のみとなったブローバイガスGは、オイル
ミストOMに比べて比重が小さいので、前記ブリーザ室
81内を再び上昇して導出孔82から図示しないエアク
リーナに導かれ、このエアクリーナ内のクリーナエレメ
ントの下流から吸気通路内に入り、再び燃焼室に戻され
て燃焼される。
クケース3との間に元々形成されているクリアランス4
をそのまま活用し、このクリアランス4に連通する導入
孔91を、クランク室6と導出路8とを連通させるよう
に、クランクケース3に設けるという簡単な構造で、ブ
ローバイガスGとこれに混じったオイルミストOMと
を、導出路8に入る前に効率的に分離することができ
る。この結果、オイルミストOMの混在しないガス成分
のみのブローバイガスGを、導出路8を経てクランクケ
ース外に導出でき、他方、オイルミストOMを効率的に
回収してその再利用することができる。したがって、図
16に示した従来における導入孔の上流側の迷路44を
形成する部品の取り付けを省略することができ、この取
り付けに伴う部品点数及び作業工数の削減を図ることが
できることから、前記ブリーザ構造が簡略化され、製造
コストや製造時間を低減できて生産性が向上する。
て、図3を参照しながら説明する。この変形例1におい
て、導入孔91及び導出孔82の位置関係は前記第1実
施形態と同様であり、相違する点はブリーザ構造に対し
て新たに仕切り板10をクランクケース3の分割面32
に壁状に設けた点である。この仕切り板10は、導出孔
82と導入孔91との間における前記クランクケース3
の分割面32に沿う方向に延びており、この分割面の近
傍で一方のケース半体31aに形成した受け部35と、
他方のケース半体1bの合せ面36とで挟んで固定され
る。
ス半体31a,31bの合わせ面)には、図4に示すよ
うに、シール用のガスケットもしくはパッキン33を介
在させる場合があり、その場合、前記仕切り板10の部
分は、前記ガスケット33と一体形成してもよい。さら
に望ましくは、図3に示すように、前記仕切り板10に
加え、導入孔91の下方に例えば発泡金属のような多孔
質材よりなるミストトラップ板11が、仕切り板10と
一方のケース半体31aの内壁面との間で挟持される形
で水平方向に設けられ、オイルミストOMをトラップす
る。
入孔91よりブリーザ室81内に流入したブローバイガ
スGは、前記仕切り板10によって実線矢印a1で示す
ように,その流れが強制的に迂回させられたのち、導出
孔82から導出される。この強制的な迂回により、前記
ブローバイガスGの転向角度が大きくなり、ブローバイ
ガスGからのオイルミストOMの分離が効率的に行われ
る。また、ミストトラップ板11を設けた場合には、こ
のミストトラップ板11が多孔質であることから、ブロ
ーバイガスGが通過する際にオイルミストOMがその表
面張力により凝縮しやすくなって、より下方に滴下しや
すくなるので、仕切り板10のみの場合よりも一層オイ
ルミストOMの少ないブローバイガスGを導出孔82に
導くことができる。
について、図5を参照しながら説明する。この変形例2
において、前記第1実施形態と相違する点は導入孔91
の位置である。この変形例2において、前記導入孔91
は左右2分割されたクランクケース3を構成する一対の
ケース半体31a,31bの分割面上に設けられてい
る。したがって、ケース半体31a,31bの型成形時
に容易に形成でき、第1実施形態におけるキリ孔加工が
不要になる。この導入孔91は、図示するように、必ず
しも円形である必要はなく、四角あるいは六角形状な
ど、その形状を問わない。さらに図示しないが、この導
入孔91は前記ケース半体31a,31bのうちのいず
れか一方のみに、例えば半月状に半分だけ形成されてい
てもよい。この場合、この変形例によるブリーザ構造が
もたらす作用効果は、ほとんど前記第1実施形態による
ものと変わらない。
す。この変形例3において、前記第1実施形態と相違す
る点は導入孔91のサイズとその数である。この変形例
3における導入孔91は、シリンダライナ部2の径など
寸法上の制約で図2に示したような大きめの孔を設ける
ことができない場合に特に有用であり、図6に示すよう
に、クランクケース3を構成する各ケース半体31a,
31bに、前記第1実施形態におけるものよりも小径の
導入孔91を、それぞれ同数、例えば3個ずつ設けてい
る。このブリーザ構造によれば、前記第1実施形態のよ
うに比較的大きめサイズの導入孔91を一つ設けた場合
よりも、導入孔91からブリーザ室81内に流れ込むブ
ローバイガスGの流速が速くなり、それだけブローバイ
ガスGからオイルミストOMを切りやすくなって、オイ
ルミストOMの分離がより効果的に行われる。
を参照しながら説明する。この第2実施形態では、クラ
ンクケース3の側部に、水ポンプのようなエンジン補機
を覆うサイドカバー12を設け、このサイドカバー12
とシリンダライナ部2の下端との間に、導入孔91とな
る開口を設けている。また、前記サイドカバー12は、
クランクケース3の側部に対して取り付けた際に、この
サイドカバー12とシリンダライナ部2との間に形成さ
れる空間をブリーザ室81として利用できるようにして
いる。この場合、シリンダライナ部2がブリーザ室81
の内壁を形成する。なお、前記サイドカバー12は、ク
ランクケース3と一体的に形成されたものであってもよ
い。さらに、前記サイドカバー12の上部側には、導出
孔82を形成する導出パイプ83が取り付けられてい
る。
ース3内からのブローバイガスGが、実線矢印aで示す
ように、導入口91からブリーザ室81内に導かれる際
に転向するので、ブローバイガスGとこれに混じってい
るオイルミストOMの一部とが比重差により分離され、
重いオイルミストOMがクランクケース3の内面を伝わ
ってオイルパンに滴下する。軽いガス成分であるブロー
バイガスGと他のオイルミストOMはブリーザ室81内
に導かれる。ブローバイガスGはブリーザ室81内で減
速され、かつ上方へ転向するので、比重の大きいオイル
ミストOMはブリーザ室81内を破線矢印bで示すよう
に下方に移動し、その底部に設けたミスト回収パイプ
(図示せず)からオイルパンに戻される。前述のよう
に、クランクケース3自体にキリ孔加工などによって導
入孔を設ける必要がないので、容易にブリーザ構造が得
られる。
す。この変形例1が前記第2実施形態と相違する点は、
ブリーザ室81に流入したブローバイガスGの逆流を阻
止するため、導入孔91に相当する開口におけるクラン
クケース3の端部をシリンダライナ部2の下端よりも上
側に延長して形成された逆流防止部13を設けた点であ
る。この逆流防止部13とシリンダライナ部2との間の
隙間を狭くし、かつ逆流防止部13の上端をシリンダラ
イナ部の下端よりも上方に位置させることで、両者1
3,2の間に迷路を形成している。このように構成され
る変形例1の場合、ブリーザ室81内に入ったブローバ
イガスGがクランクケース3へ逆流するのが、前記逆流
防止部13によって阻止されるので、ブリーザ機能を十
分発揮させることができる。
ンジンのブリーザ構造について図9を参照しながら説明
する。この第3実施形態では、シリンダライナ部2に組
み付けられるクランクケース3の上部側内周に単段もし
くは多段の環状のリブ14を設け、このリブ14とシリ
ンダライナ部2の外面との間に狭い迷路95が形成され
るようにしている。また、前記リブ14の上方で前記ク
ランクケース3の上端部近傍に、導出孔82を形成する
導出用パイプ83をねじ止めしている。
ース3内からのブローバイガスGは矢印aで示す経路で
シリンダライナ部2とリブ14とで形成される迷路95
内に導かれるが、この過程でブローバイガスGからオイ
ルミストOMが分離され、このオイルミストOMはクラ
ンクケース3内を下方に移動し、一方、オイルミストO
Mが分離されたガス成分は導出路8を形成する前記導出
孔82からエアクリーナのクリーナエレメントの下流側
に導かれる。このように、第3実施形態によれば、クラ
ンクケース3自体に予め形成したリブ14とシリンダラ
イナ部2の外面との間に形成された迷路95を持つ導入
路9によって、ブローバイガスGに混じっているオイル
ミストOMが分離され、ブリーザ機能を有効に発揮させ
ることができる。
示す。この変形例1と前記第3実施形態とが相違する点
は、前記クランクケース3の上端部近傍に装着した導出
用パイプ83を廃止し、前記クランクケース3の外側を
カバー15で覆って、このカバー15の内部にブリーザ
室81を形成し、クランクケース3の上部に導入孔91
を形成し、さらに、カバー15の上部に導出用パイプ8
3を装着した点である。この変形例1では、前記構成し
たことで、ブローバイガスGが迷路95を通過するとき
に十分にオイルミストOMが分離されない場合であって
も、前記ブローバイガスGが、導入孔91から前記カバ
ー15とクランクケース3とで形成された空間であるブ
リーザ室81に、実線矢印aで示すように導かれ、この
ブリーザ室81内で破線矢印bで示すように再度オイル
ミストOMが分離される結果、オイルミストOMの含有
が極めて少ないブローバイガスGをエアクリーナに導く
ことができる。
ンジンのブリーザ構造について図11を参照しながら説
明する。この第4実施形態は、自動二輪車に搭載された
単気筒または直列複数気筒エンジンにおいて、通常は空
スペースとなっているキャブレタまたは燃料噴射装置の
ような混合気生成器の下の部分にブリーザ室を設置し
て、前記空スペースの有効利用を図ろうというものであ
る。すなわち、従来のブリーザ室は、図11において符
号Cで示す部分にあって、シリンダ1から離間した位置
に配置されていた。これに対し、この第4実施形態で
は、前記シリンダ1が組み付けられるクランクケース3
のクリアランス4が形成される部位に導入孔91を設
け、この導入孔91の外側でキャブレタ(混合気生成
器)24の下部分に、ブリーザ室81を形成している。
クランクケース3は上下2つ割りになっており、両ケー
ス半体36a,36bの合せ面37と導入孔91とを直
交させている。また、このブリーザ室81の上部には、
導出用パイプ83により導出孔82が設けられている。
の場所に比べてかなりの未使用空間があるため、前記ブ
リーザ室81は最大で破線81aで示す大きさにまで拡
大することができる。
自動二輪車において、図11に示すす従来のブリーザ室
Cの設置スペースが不要となるので、この設置スペ−ス
にバッテリー16を設置することができる。したがっ
て、従来、座席シート41の下側にあったバッテリーの
設置スペースDは空スペースとなるので、この設置スペ
ースDを、例えば物入れとして活用することができる。
ンクケース3は、そのケース半体36a,36bを合わ
せ面37で重合して、ボルト17、18により結合され
るので、これらボルト17、18のねじ孔17a、18
aおよび挿通孔17b,18bが両ケース半体36a,
36bの一方と他方にそれぞれ、合わせ面37と直交す
る方向に機械加工で設けられる。ここで、前記ボルト孔
17a、18aおよび挿通孔17b,18bと導入孔9
1とが平行であるから、前記前記導入孔91を機械加工
(キリ孔加工)などによって設ける場合、ねじ孔17
a、18aおよび挿通孔17b,18bを加工する際の
ドリルのチャック角度を同一のままとして、ドリルの自
動交換によって導入孔91を別のドリル加工で形成で
き、生産性を向上させることができる。
ブリーザ構造について図13及び図14を参照しながら
説明する。この第5実施形態は、図13のクランクケー
ス3の上部側面に一体形成された補機収納室の一つであ
るパルサーロータ室19を上方に広げ、このパルサーロ
ータ室19をブリーザ室81として利用できるようにし
た場合を示している。パルサーロータ室19内に収納さ
れたパルサーロータ(図示せず)はクランク軸7(図
1)に連動する補機の一つであり、エンジンの点火プラ
グの点火タイミングを制御するためのパルスを発生す
る。
20が走行するチェーン通路21が形成され、このチェ
ーン通路21の外側に、上部をブリーザ室81とした前
記パルサロータ室19が形成されている。シリンダライ
ナ部2とクランクケース3との間に形成されたクリアラ
ンス4と前記ブリーザ室81とは、前記チェーン通路2
1を横切って設けられた導入用パイプ22により連通し
ている。この導入用パイプ22は、その基端側22aが
前記クランクケース3に対してねじ込みによって取り付
けられ、先端側22bは、クランクケース3に設けた挿
通孔に挿通されてОリング23でシールされている。ブ
リーザ室81の上部には、図示しない配管を介してエア
クリーナに接続される導出用パイプ83によって形成さ
れる導出孔82が設けられている。
示すように、クランクケース3内からのブローバイガス
Gは、まず、シリンダライナ部2と前記クランクケース
3との間の狭いクリアランス4内に流れ込み、前記導入
用パイプ22を経てブリーザ室81内に導かれる。さら
に、このブリーザ室81から導出用パイプ83を経由し
てエアクリーナに導かれる。このようなブローバイガス
Gの流れの過程で、ブローバイガスGに混じっているオ
イルミストOMは、クリアランス4を通るときに分離さ
れたものは、クランクケース3の内面を伝わって下方
に、また、前記ブリーザ室81内で分離されたものは、
図14(b)に示すように、ブリーザ室81の下部に設
けた流出口85から、図示しないオイル回収パイプを介
して、オイルパンに戻される。このように、第5実施形
態によれば、既存のパルサロータ室(補機収容室)19
を有効利用しつつ、導入用パイプ22や導出用パイプ8
3の所定部位への取り付けという簡単な構造付加によっ
て、ブリーザ構造を得ることができる。
について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例
に限られることなく、本発明の主旨を損なわない限り、
種々変更して実施可能である。例えば前記各実施形態及
び変形例では、V形エンジンにおける前側のシリンダお
よびシリンダライナ部について説明したが、後側のシリ
ンダ、シリンダライナ部にも同様に適用でき、また、単
気筒エンジン、直列4気筒またはV形6気筒など、その
シリンダ配列やシリンダの数にかかわらず、すべてのエ
ンジンに対して適用可能である。さらに、前記実施形態
および変形例では、ブリーザ構造を1つ設けているが、
エンジンのタイプや寸法その他の条件を考慮して、2つ
以上設けてもよい。
のブリーザ構造によれば、迷路構造の遮蔽板を用いるこ
となくブローバイガスからオイルミストを分離でき、し
かもブリーザ構造の部品点数及び作業工数を低減させる
ことができる。
ザ構造の要部を示す縦断面図である。
である。
す概略断面図である。
要部の断面図である。
要部の断面図である。
の断面図である。
要部の断面図である。
の断面図である。
す要部の断面図である。
部の断面図である。
トを示す側面図である。
ンダを除いて示す一部切欠した平面図である。
(b)は(a)のC−C線に沿った断面図である。
断面図である。
ース、4…クリアランス、5…ピストン、6…クランク
室、7…クランク軸、8…導出路、81…ブリーザ室、
82…導出孔、83…導出用パイプ、9…導入路、91
…導入孔、92…オイル回収パイプ、10…仕切り板、
11…ミストトラップ板、12…サイドカバー、13…
逆流防止部、14…リブ、15カバー、17,18…通
しボルト、19…パルサロータ室、22…導入用パイ
プ、24…キャブレタ
Claims (12)
- 【請求項1】 クランク室内のブローバイガスをクラン
ク室外へ導出する導出路を有し、 シリンダの内面を形成するシリンダライナ部とクランク
ケースとの間に、前記ブローバイガスを前記導出路に導
入する導入路が形成されているエンジンのブリーザ構
造。 - 【請求項2】 請求項1において、前記導出路は、クラ
ンク室の外側に位置するブリーザ室と、このブリーザ室
に流入したブローバイガスを外部へ導出する導出孔とを
有し、 前記導入路は、クランクケースに設けられ、前記クラン
ク室に連通して前記ブリーザ室の入口を形成する導入孔
を有するエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項3】 請求項2において、前記ブリーザ室に、
前記導入孔と導出孔との間に位置し、かつ前記導入孔か
らブリーザ室に流入したブローバイガスを迂回させて前
記導出孔に導く仕切り板が設けられているエンジンのブ
リーザ構造。 - 【請求項4】 請求項2または3において、前記クラン
クケースはクランク軸の軸心方向に2分割されており、
その分割面上に前記導入孔が位置しているエンジンのブ
リーザ構造。 - 【請求項5】 請求項1において、前記クランクケース
の側方部分を覆うサイドカバーに前記導出路の一部分を
形成するブリーザ室が形成され、 前記シリンダライナ部によって前記ブリーザ室の内壁が
形成され、 前記シリンダライナ部の下端とクランクケースとの間
に、ブローバイガスを前記ブリーザ室に導入する導入孔
が形成されているエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項6】 請求項5において、前記クランクケース
に、ブリーザ室内に突出して前記ブリーザ室内のブロー
バイガスがクランク室に逆流するのを阻止する逆流防止
部が形成されているエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項7】 請求項1において、シリンダの内面を形
成するシリンダライナ部とクランクケースとで、ブロー
バイガスを迂回させながら前記導出路に導く迷路からな
る導入路が形成されているエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項8】 請求項7において、前記クランク室の外
側に位置して前記導出路の一部分を形成し、前記導入路
からブローバイガスが導入されるブリーザ室を有するエ
ンジンのブリーザ構造。 - 【請求項9】 請求項2、3、4または8において、前
記ブリーザ室が混合気生成器の下方に配置されているエ
ンジンのブリーザ構造。 - 【請求項10】 請求項1において、前記クランクケー
スに形成されてクランク軸に連動する補機を収容する収
納室に、前記導出路の一部分を形成するブリーザ室が設
けられ、前記導入路を前記ブリーザ室に連通させる連通
路を備えたエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項11】 請求項2、3、4、7または8におい
て、クランク軸心方向から見てV字形になるように配置
された複数のシリンダを有し、前記導入孔が一方のシリ
ンダの近傍に設けられ、かつ前記導入孔の軸心が前記一
方のシリンダとV字形をなす他方のシリンダの軸心と同
一方向に設定されているエンジンのブリーザ構造。 - 【請求項12】 請求項2、3、4、7、8または9に
おいて、前記クランクケースが上下に複数に分割され、
かつその分割面に対してシリンダの軸心が前方へ傾斜し
て設定されており、前記シリンダの基端の後部近傍に前
記導入孔が設けられて、この導入孔の軸心が前記分割面
と直交しているエンジンのブリーザ構造。
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- 2001-02-26 JP JP2001050963A patent/JP3917382B2/ja not_active Expired - Fee Related
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