JP2007503545A - 内燃機関におけるクランク室の通気装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、内燃機関におけるクランク室の通気装置に関する。通気装置は、クランク軸とカム軸を駆動的に接続するチェーン用であって、クランク室の端壁（８）に取付けられるチェーンケース（９）と、沈静空間（１）と、沈静空間（１）の入口に配置される前置油分離器（４）と、主要な油分離器として、沈静空間（１）の後に配置されるサイクロン（６）と、を備える。沈静空間（１）とサイクロン（６）は、チェーンケース（９）に収容され、チェーンケース（９）に隣接する、クランク室の端壁（８）は、クランク室から沈静空間（１）への油含有ガス用の入口開口（３）及び分離された油用の戻り開口（１６）を有する。
【選択図】図２

Description

本発明は、内燃機関のクランク室を通気する装置に関する。

内燃機関、すなわちガソリンエンジン及びディーゼルエンジン、において、入口に前置油分離器が配置されている沈静空間（calming space）と、沈静空間の後に配置された主要な油分離機としてのサイクロンとを備える装置（ブローバイ）によって、クランク室に蓄積された油含有ガスを通気することが知られている。この場合、沈静空間及びサイクロンは、一部は外側に、一部はバルブカバー内に設置された別々の要素として形成される。

その結果、それ相応の広いスペースが必要となり、エンジンからバルブカバーへの複雑なブローバイダクトが必要となる。

本発明の一目的は、スペースの必要性を大きく低減することが可能な、内燃機関のクランク室を通気する装置を提供することである。さらに、本発明の一目的は、エンジンからバルブカバーへのブローバイダクトを必要としない、内燃機関のクランク室を通気する装置を提供することである。

本発明の目的は、請求項１の特徴の組み合わせによって達成される。即ち、クランク軸とカム軸を駆動的に接続するチェーン用であって、クランク室の端壁に取付けられるチェーンケースと、沈静空間と、前記沈静空間の入口に配置される前置油分離器と、主要な油分離器として、前記沈静空間の後に配置されるサイクロンと、を備える内燃機関におけるクランク室の通気装置であって、前記沈静空間とサイクロンは、前記チェーンケースに収容され、前記チェーンケースに隣接する、クランク室の前記端壁は、クランク室から前記沈静空間への油含有ガス用の入口開口及び分離された油用の戻り開口を有することを特徴とする。（形態１）

本発明のさらなる実施形態は、以下の説明及び従属請求項に開示される。

本発明によれば、沈静空間及びサイクロンはチェーンケースに収容され、チェーンケースに隣接する、クランク室の壁は、クランク室から沈静空間へ流れる油含有ブローバイガス用の入口開口及び分離されたオイル用の戻り開口を有するので、チェーンケース内の空間は、通気装置を統合（一体化）するのに使用される。エンジンからバルブカバーへの複雑なブローバイダクト（複数）はもはや必要とされない。その結果、チェーンケースのみが、対応する構造様式において構成され、そうでない場合慣用の如くエンジンの多数個の基本要素を構成することはない。油は、好適には、クランク室に統合（ないし一体化構成）された油戻りダクトによってサイクロンから戻される。その後、通気装置によって分離された油は、チェーンケース出口と油戻りダクトへの入口マニホルドとの間に移動される。しかしながら、油は、外部の油受け（パン）に戻すこともできる。

本発明は、添付図面に図示された実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。

図１に概略的に示した実施形態に係る、内燃機関のクランク室を通気する装置は、油を捕集する捕集部２を下部に有する沈静空間１を備える。油は、内燃機関のクランク室からの油含有ガス用の入口開口３の後（下流、即ち内側）に配置された前置油分離器４によって事前分離され、サイフォン５によってチェーン空間に滴下する。沈静化したガスは、沈静空間１の上部出口からサイクロン６の接線方向に流れる。遠心力によって分離された油は、サイクロン６の下端からクラック室へ、好適にはクランク室に既設された油戻りダクトへ、戻る。一方、油を取り除いたガスは、（サイクロン）中央上部の出口管７を通って排出される。

図２に示されているように、断面図に示すチェーンケース９は、クランク室の端壁８に取り付けられ、ネジ留めされる。チェーンケース９には、内燃機関のクランク軸とカム軸とを駆動的に連結するチェーン１０が配置されている。端壁８は、内燃機関のクランク室からの油含有ガス用の入口開口３を備える。沈静空間１を取り囲むハウジング１１は、入口開口３に取付けられる。端面図として示した実施形態に係るハウジング１１は、略疑問符形状に形成することができ、入口開口３より下部は、縮径する漏斗形状であり、事前分離した油をチェーンケース９の内部に滴下する滴下開口１２に導く。この場合、好適には、サイフォン５が設けられる。

前置油分離器４、例えばスチール線のメッシュ、は、入口開口３に隣接するブラケット１３間に挿入される。沈静空間１は、前置油分離器４上に配置される。沈静空間１は、接続部品１４によってサイクロン６に接続される。サイクロン６は、その下端に、分離された油用の戻り開口１６を端壁８に突出させる戻り管１５を有する。また、サイクロン６の中央上部にある出口管７は、油を分離した後に、ガスをチェーンケース９の外部へ導く。

ハウジング１１及びサイクロン６は、板金又はプラスチックから別個の要素として製造することができ、チェーンケース９の空間に収容することができる。

しかしながら、好ましくは、ハウジング１１及びサイクロン６は、図３及び図４に示すように、チェーンケース９に部分的に統合（一体化ないしユニット化構成）される。

このような形態によれば、チェーンケース９は、対応する端壁の形成によって、それぞれ、沈静空間１の半分及びサイクロン空間の半分を形成する。沈静空間１及びサイクロン空間の残り半分は、一体型のハウジングインナシェル（housing inner shell）１７によって形成される。ハウジングインナシェル１７は、板金やプラスチックなどのコスト効果の高い材料から形成することができ、フランジ１８によってチェーンケース９の内側に固定される。サイクロン６の中央の出口管７は、図３に示すように、ハウジングインナシェル１７とチェーンケース９との間に固定される。開口１９は、チェーンケース９の端壁に、出口管７の端部に隣接して設けられ、外方を向いている接続管２０を保持する。戻り管１５は、サイクロン６の下端にあるハウジングインナシェル１７の対応する開口に挿入される。

中央で正確に分割した装置を製造することは非常に困難であるので、沈静空間１及びサイクロン６の完全な機能性を得るために、シャドーエッジ（Schattenkante）２１が、流通するガスの流れ方向に接する分離面に配置される。組付け許容差（ないしずれ）及び組立ての不正確さを吸収するシャドーエッジ（当接面を大きく構成した結果、組合せ当接部に生ずる段差角部、図４参照）２１は、サイクロン６の正常な機能、すなわち流通するガスから油を分離すること、を確実にする。

図３及び図４に示す垂直に分離した２つの部分からなる実施形態（しかしながら、ハウジングシェルの１つに適したチェーンケース９を使用する代わりに、チェーンケース９に収容される２つのハウジングシェルを使用することによって実施することも可能である）の結果として、沈静空間１のあらゆる形状、及びそれに伴う前置油分離器４に適したあらゆる形状が、製造の視点から想定可能である。可能な限り小さい空間内にある非常にコンパクトなデザインが製造可能である。

本発明は上記で説明した好ましい実施形態に限定されることはなく、種々の変形及び改良が、保護の範囲から外れることなく、特許請求の範囲の概念内において可能である。

内燃機関のクランク室を通気する装置の概略図。 内燃機関内に配置されると共に、クランク室の通気装置を有する内燃機関のチェーンケースの断面図。 クランク室の通気装置用のサイクロンの一実施形態を示す軸方向に沿った断面図。 図３に示すサイクロン及びサイクロンの前（上流）に配置された沈静空間を示すサイクロンの半径方向に沿った断面図。

符号の説明

１ 沈静空間
２ 捕集部
３ 入口開口
４ 前置油分離器
５ サイフォン
６ サイクロン
７ 出口管
８ 端壁
９ チェーンケース
１０ チェーン
１１ ハウジング
１２ 滴下開口
１４ 接続部品
１５ 戻り管
１６ 戻り開口
１７ ハウジングインナシェル
１８ フランジ
１９ 開口
２０ 接続管
２１ シャドーエッジ（Schattenkante）

Claims (7)

1. クランク軸とカム軸を駆動的に接続するチェーン用であって、クランク室の端壁（８）に取付けられるチェーンケース（９）と、
   沈静空間（１）と、
   前記沈静空間の入口に配置される前置油分離器（４）と、
   主要な油分離器として、前記沈静空間（１）の後に配置されるサイクロン（６）と、を備える内燃機関におけるクランク室の通気装置であって、
   前記沈静空間（１）とサイクロン（６）は、前記チェーンケース（９）に収容され、
   前記チェーンケース（９）に隣接する、クランク室の前記端壁（８）は、クランク室から前記沈静空間（１）への油含有ガス用の入口開口（３）及び分離された油用の戻り開口（１６）を有することを特徴とする通気装置。
2. 前記サイクロン（６）によって分離された油は、クランク室に統合ないし一体化構成された油戻りダクトに供給可能であることを特徴とする請求項１に記載の通気装置。
3. 前記前置油分離器（４）によって分離された油は、前記チェーンケース（９）の内部に供給可能であることを特徴とする請求項１又は２に記載の通気装置。
4. 前記沈静空間（１）及び前記サイクロン（６）は、垂直方向に分割されたハウジングを有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の通気装置。
5. 前記サイクロン（６）の分割された前記ハウジング又はさらに前記沈静空間（１）の分割された前記ハウジングは、流通するガスの流れ方向に接する分離面にシャドーエッジ（２１）を有することを特徴とする請求項４に記載の通気装置。
6. 前記チェーンケース（９）は、前記沈静空間（１）及び前記サイクロン（６）のハウジングの一方の半分を形成し、
   前記ハウジングの他方の半分は、別個に形成され、前記チェーンケース（９）に結合されることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の通気装置。
7. 前記沈静空間（１）及び前記サイクロン（６）の前記ハウジングの分離された半分は、一体型のハウジングインナシェル（１７）を形成することを特徴とする請求項６に記載の通気装置。

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