いわゆるトリクル方式の排出機構を有する現像装置が水平状態になっているとき、トリクル方式の排出機構により通常の排出動作が行われる。現像装置が現像槽内現像剤の排出を促すような傾斜状態になっているとき、すなわち現像装置の排出側が下方に位置するように傾斜配置されているとき、水平状態での排出機構側への排出量に対して、現像剤に負荷される重力作用による搬送量が追加される。したがって、排出機構側へのトータルの現像剤の排出量が増加してしまう。
これに対して、本発明に係る現像装置によれば、トリクル方式の排出機構が上搬送路の下流端部に配設されていて、循環流出口は、下搬送路の上流側で搬送される現像剤の液面よりも上方に位置するように構成されている。すなわち、上搬送路を搬送される現像槽内現像剤の液面と下搬送路を搬送される現像剤の液面との間には段差が形成されている。上攪拌部材の搬送力により上搬送路の側壁に設けられた循環流出口から現像剤が押し出されて、当該現像剤は、循環流出口から下搬送路に向けて流れ落ちることになる。このような循環流出口は、水平配置時には通常の循環経路の一部として機能することに加えて、傾斜配置時には循環流出口付近に搬送されてきた現像剤の一部を循環経路に導く誘導経路としても機能する。トリクル方式の排出機構に向けて増大した現像剤搬送量の一部が循環流出口に誘導されて循環経路に戻されるので、トリクル方式の排出機構への現像剤の過剰な排出を規制することができる。
あるいは、上搬送路の底面と下搬送路の底面との間の間隔が、循環流出口の側で離間するとともに第二連絡路の側で接近し、上攪拌部材の外径と下攪拌部材の外径とが実質的に同じであるように構成されている。
あるいは、上搬送路の底面と下搬送路の底面との間の間隔が、循環流出口の側で離間するとともに第二連絡路の側で接近し、下攪拌部材の外径が循環流出口の側で上攪拌部材の外径よりも大きくなるように構成されている。
あるいは、上搬送路の底面と下搬送路の底面との間の間隔が循環流出口の側で離間するとともに第二連絡路の側で接近し、下攪拌部材の外径が循環流出口側の部分で大きく、第二連絡路側の部分で小さく、中間部分で次第に小さくなるように構成されている。
上攪拌部材において、排出機構に近い部分のピッチが、上攪拌部材の他の部分よりも大きくなるように構成されている。上記構成によれば、上攪拌部材の下流側であってピッチの大きくなった部分においては、空気が現像剤の周囲に取り込まれやすい状態になっている。空気を抱き込んだ現像剤においては、現像剤の流動性が高くなっているので、現像剤が循環流出口に導かれることが容易になる。
いわゆるトリクル方式の排出機構を有する現像装置が水平状態になっているとき、トリクル方式の排出機構により通常の排出動作が行われる。現像装置が現像槽内現像剤の排出を促すような傾斜状態になっているとき、すなわち現像装置の排出側が下方に位置するように傾斜配置されているとき、水平状態での排出機構側への排出量に対して、現像剤に負荷される重力作用による搬送量が追加される。したがって、排出機構側へのトータルの現像剤の排出量が増加してしまう。
これに対して、本発明に係る現像装置によれば、トリクル方式の排出機構が上搬送路の下流端部に配設されていて、上搬送路の下流側の底面が下搬送路の上流側の底面よりも上方に位置することにより、第一連絡路が水平面に対して斜め下向きに配置されている。水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路は、水平配置時には通常の循環経路として機能することに加えて、傾斜配置時には第一連絡路付近に搬送されてきた現像剤の一部を循環経路に導く誘導経路としても機能する。第一連絡路付近に搬送されてきた現像剤に対して、上攪拌部材による搬送力に加えて、現像剤へ負荷される重力も作用する。搬送力と重力とが作用している現像剤は、第一連絡路に沿って斜めに下り落ちる。したがって、斜め下向きに傾斜した第一連絡路を設けることは、循環流出口を設ける場合より、上搬送路にある現像剤を下搬送路に誘導する力が大きくなる。トリクル方式の排出機構に向けて増大した現像剤搬送量の一部が第一連絡路に誘導されて循環経路に戻されるので、トリクル方式の排出機構への現像剤の過剰な排出を規制することができる。
第一連絡路が上述したような誘導経路として機能するためには、上搬送路の下流側の底面が下搬送路の上流側の底面よりも上方に位置していることが少なくとも要求されている。上搬送路と下搬送路との間での配置は様々に構成可能であるが、例えば、上搬送路の底面が下搬送路の底面に対して大略並行であるように構成されている。上記構成によれば、現像装置の設計が容易となる。
上搬送路の底面が下搬送路の底面に対して大略並行である場合において、上攪拌部材の外径と下攪拌部材の外径とが実質的に同じであるように構成されている。上記構成によれば、上攪拌部材及び下攪拌部材の共用化が実質的に可能であるので、部品管理の容易化や製造コストの低減が可能になる。また、小型の攪拌部材が使用可能であるので、現像装置の省スペース化を図ることもできる。
上搬送路の底面が下搬送路の底面に対して大略並行であることの変形例として、上搬送路の底面と下搬送路の底面との間の間隔が、第一連絡路の側で離間するとともに、第二連絡路の側で接近するように構成されている。上記構成によれば、第二連絡路の下側部分において空間が形成されるので、現像装置の省スペース化を図ることができる。
上搬送路の底面と下搬送路の底面との間の間隔が、第一連絡路の側で離間するとともに、第二連絡路の側で接近するように構成されている場合において、上攪拌部材の外径と下攪拌部材の外径とが実質的に同じであるように構成されている。上記構成によれば、上攪拌部材及び下攪拌部材の共用化が実質的に可能であるので、部品管理の容易化や製造コストの低減が可能になる。
下攪拌部材の外径が第一連絡路の側で上攪拌部材の外径よりも大きくなるように構成されている場合において、下攪拌部材の外径が第一連絡路の側から第二連絡路の側に向けて徐々に小さくなるように構成されている。また、下攪拌部材の外径が第一連絡路側の部分で大きく、第二連絡路側の部分で小さく、中間部分で次第に小さくなるように構成されている。
傾斜配置時に誘導経路として適量の現像剤を誘導するために、第一連絡路が水平面に対して斜め下向きに傾斜している第一連絡路の傾斜角度は、10乃至60度であることが好ましい。
上攪拌部材において、排出機構に近い部分のピッチが、上攪拌部材の他の部分よりも大きくなるように構成されている。上記構成によれば、上攪拌部材の下流側であってピッチの大きくなった部分においては、空気が現像剤の周囲に取り込まれやすい状態になっている。空気を抱き込んだ現像剤においては、現像剤の流動性が高くなっているので、現像剤が第一連絡路に導かれることが容易になる。したがって、第一連絡路の傾斜角度をあまり大きくすることなく、現像剤の第一連絡路への誘導効果を得ることができる。
以下に、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置1及び現像装置34では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
図1乃至7を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置1及び当該装置に使用される現像装置34について説明する。
〔画像形成装置〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子写真式画像形成装置1の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電装置26、露光装置28、現像装置34、転写装置36、およびクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。
帯電装置26は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28は、帯電された感光体12の外周面に向けて、画像光30を出射する。露光装置28を通過した感光体12の外周面には、画像光30が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分とからなる静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像装置34は、後述する現像槽内現像剤3を用いて静電潜像を可視像化する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写装置36は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどの用紙38に転写する。図1に示した実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして図示されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニング装置40は、転写装置36で用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして図示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
このような構成を備えた画像形成装置1により画像を形成するとき、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて例えば反時計周り方向に回転する。このとき、帯電装置26を通過する感光体12の外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体12の外周部分は、露光装置28で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像装置34のところまで搬送され、現像装置34によって可視像化される。可視像化されたトナー像は、感光体12の回転と共に転写装置36のところまで搬送され、転写装置36により用紙38に転写される。トナー像が転写された用紙38は定着装置20のところまで搬送され、用紙38にトナー像が固定される。転写装置36を通過した感光体12の外周部分はクリーニング装置40のところまで搬送され、用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残存するトナーが感光体12から掻き取られる。
〔現像装置〕
現像装置34は、非磁性トナー(以下、単にトナーという。)及び磁性キャリア(以下、単にキャリアという。)を含む2成分現像剤と、種々の部材を収容する現像槽66と、を備えている。現像槽66は感光体12に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラ48が設けられている。現像剤担持体としての現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップを介して、回転可能に枢支されている。
現像ローラ48は、回転不能に固定された磁石体48aと、磁石体48aの周囲を回転可能に支持された円筒状のスリーブ48b(第一の回転円筒体)と、を有するいわゆるマグネットローラである。現像ローラ48のスリーブ48bの上方には、現像槽66に固定され、現像ローラ48のスリーブ48bの中心軸と平行に延在する規制板62が、所定の規制ギャップを介して対向配置されている。現像ローラ48の内側にある磁石体48aは、スリーブ48bの回転方向に沿って、N1、S2、N3、N2、S1という5個の磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体12と対向するように配置されている。スリーブ48bの上の現像剤を剥離させるための反発磁界を発生させる同極のN2及びN3は、現像槽66の内部に対向配置されている。現像ローラ48のスリーブ48bは、感光体1の回転方向と逆向きに(カウンター方向に)回転する。
図2は、現像装置34を上から見た模式的断面図である。図2に示すように、現像ローラ48の背後には、現像剤攪拌搬送室67が形成されている。現像剤攪拌搬送室67は、現像ローラ48の近傍に形成された上搬送路70と現像ローラ48から離れた下搬送路68と、下搬送路68及び上搬送路70を間仕切る隔壁76と、を有する。下搬送路68の搬送方向の上流側の上方には、現像剤補給タンク80が配設されていて、現像剤補給タンク80は補給口82を介して下搬送路68と通じている。現像剤補給タンク80には、トナーを主成分としてキャリアを含有する補給用現像剤2が充填されている。トナーとキャリアとが別々に補給される構成であってもよい。補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは5乃至40重量%であり、より好ましくは10乃至30重量%である。また、上搬送路70の搬送方向の下流側の下方には、現像剤回収タンク90が配設されていて、上搬送路70は回収口92を介して現像剤回収タンク90と通じている。
現像剤補給タンク80の底部には、制御部100によって駆動制御される現像剤供給ローラが配置されている。現像剤供給ローラが回転駆動されることによって、その駆動時間に応じた量の新規の補給用現像剤2が、流下して現像槽66の下搬送路68に供給される。
下搬送路68には、現像槽内現像剤3を攪拌しながら搬送する攪拌部材である第一スクリュー72が回転可能に枢支されている。上搬送路70には、下搬送路68からの現像槽内現像剤3を攪拌しながら現像ローラ48に搬送する第二スクリュー74が回転可能に枢支されている。この場合、上搬送路70の上流側と下搬送路68の下流側との端部に位置する隔壁76の上部が切り欠かれることによって連絡通路が形成されている。すなわち、図2において、隔壁76の左側には、下搬送路68の下流側及び上搬送路70の上流側を大略連続的につなぐ第二連絡路69が形成されている。その結果、上搬送路70と後述する開口部65(循環流出口63)と下搬送路68と第二連絡路69とによって現像槽内現像剤3が循環する循環経路が形成されている。現像槽内現像剤3は、例えば図2の矢印方向にしたがって反時計回りに現像剤攪拌搬送室67内を循環する。なお、後述するように、上搬送路70は、下搬送路68に対して同等以上の高さレベルに位置するように構成されている。
図1、5及び6に示すように、本発明の第一実施形態に係る現像装置34においては、上搬送路70が下搬送路68よりも上方に位置して、上搬送路70に存在する現像槽内現像剤3の液面が下搬送路68に存在する現像槽内現像剤3の液面よりも上方に位置するように構成されている。すなわち、上搬送路70の液面と下搬送路68の液面との間には段差が形成されている。したがって、上下の搬送路68,70の各液面差に基づく段差により、下搬送路68における現像槽内現像剤3の液面より上方には、溢出空間が形成されている。循環流出口63は、上搬送路70の下流側であり且つ下搬送路68に対向する側の側壁に設けられていて、下搬送路68の上流側で搬送される現像槽内現像剤3の液面よりも上方に位置している。つまり、上搬送路70の下流側において、上搬送路70と下搬送路68とは、循環流出口63を介して不連続につながれている。したがって、第二スクリュー(上攪拌部材)74の搬送力により上搬送路70から押し出される現像槽内現像剤3は、循環流出口63から滝のように下搬送路68に向けて流れ落ちることになる。
図5及び6は、本発明の第一実施形態に係る現像剤攪拌搬送室67の特徴部分を模式的に説明する図である。
図5は、第二スクリュー(上攪拌部材)74によって上搬送路70に沿って下流側に向けて搬送されている現像槽内現像剤3が、低壁部61の上端部を乗り越えて下搬送路68に向けて押し出される様子を示している。低壁部61の上端部は、後述する切欠(余剰流出口)75の上端よりも下位に設けられている。低壁部61の上方に位置する開口部65は、現像槽内現像剤3が循環搬送される循環経路の一部を構成する循環流出口63として機能している。したがって、上搬送路70から溢出する現像槽内現像剤3は、開口部65から矢印61aのように下搬送路68に向けて流れ落ちている。
また、図6は、図5に示した特徴部分の変形例であり、第二スクリュー(上攪拌部材)74によって上搬送路70に沿って下流側に向けて搬送されている現像槽内現像剤3が、隔壁76に設けられたスリット状の切欠部76aから下搬送路68に向けて押し出される様子を示している。スリット状の切欠部76aは、切欠(余剰流出口)75の上端よりも下位に設けられている。切欠部76aは、現像槽内現像剤3が循環搬送される循環経路の一部を構成する循環流出口63として機能している。したがって、上搬送路70から溢出する現像槽内現像剤3は、切欠部76aから矢印61aのように下搬送路68に向けて流れ落ちている。
図7は、本発明の第一実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図7に示す第一実施形態に係る現像装置34は、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略並行であるように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が、第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きいように構成されていることを特徴としている。図7に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。
上搬送路70の底面70a及び下搬送路68の底面68aの両者が、大略水平方向に延在していて、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aよりも上方に位置している。上搬送路70の下流側であり且つ下搬送路68に対向する側の側壁(すなわち隔壁76)において、図5に示したように、側壁の上部を切り欠いて開口部65を形成することにより、低壁部61が設けられている。
図7(A)における矢印61aは、開口部65から溢出した現像槽内現像剤3の流れを示しており、図7(B)における斜め上向きの矢印69aは、第二連絡路69に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め上向きの流れを示している。図7(C)において、上搬送路70の下流排出側で左向きに分岐した矢印は、後述する現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、低壁部61の上端部から溢出した現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図7(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第二スクリュー74(上攪拌部材)の搬送力と現像槽内現像剤3へ負荷される重力とにより、開口部65(循環流出口63)から下向きに溢出する。そして、溢出した現像槽内現像剤3は、下搬送路68において大略水平方向に搬送され、第二連絡路69において斜め上向きに搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
上搬送路70の側壁(すなわち隔壁76)に設けられた開口部65により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、第二スクリュー74(上攪拌部材)が大きく構成されていることは、現像槽内現像剤3を搬送する力を増大させるので、第二連絡路69を介して下搬送路68から上搬送路70へ現像槽内現像剤3を押し上げて搬送することが容易になる。
第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、所定のピッチを有する螺旋状の羽根がシャフトに固定されたスパイラルスクリューである。図4は、現像装置34の一部分である現像剤排出部79及びその周辺を横から見た模式的断面図であり、図2の右端部に対応している。図4に示すように、第二スクリュー74は、図中の右側に延在して、回収口92の上まで延在している。
第二スクリュー74は、上搬送路70に延在する搬送用正スクリュー部74aと、搬送方向の下流側端部(図2の右端部)に位置する現像剤排出部79に延在する排出用正スクリュー部74bと、を有する。搬送用正スクリュー部74aは、現像槽66の内部に存する現像槽内現像剤を現像剤排出部79まで搬送する。排出用正スクリュー部74bは、現像剤排出部79の内部に存する現像剤を回収口92まで搬送する。
また、第二スクリュー74は、開口部65(循環流出口63)及び下搬送路68の下流側側端部に対応する位置において、スパイラルスクリューの螺旋の向きが他の部分とは逆向きに構成されている逆スクリュー部77を有する。逆スクリュー部77の現像剤排出部79の側においては、せき止め部材77aが設けられている。せき止め部材77aは、第二スクリュー74の回転軸に対して直交する方向に延在する大略円板状の部材であって、逆スクリュー部77によって形成された現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することを規制する働きを有する。
第二スクリュー74が回転すると、逆スクリュー部77により、図4の左向きの矢印のように、現像槽内現像剤3を現像剤排出部79から上搬送路70に向かう逆向きの流れを発生させる。その結果、第二スクリュー74が回転すると、第二スクリュー74の搬送方向の下流側端部(右端部)での現像槽内現像剤3の高さが他の部分に比べて高くなる。すなわち、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)、すなわち逆スクリュー部77の部分において、現像槽内現像剤3の盛り上がりが形成される。そして、現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することは、せき止め部材77aにより規制されている。
ここで、現像装置34は、いわゆるトリクル方式を採用したものであるから、余剰の現像槽内現像剤3を流出させるための余剰流出口75を有している。すなわち、余剰流出口75として、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に位置する側壁の上部が部分的に切り欠かれた切欠75が設けられている。余剰流出口75は、低壁部61よりも下流側(すなわち現像剤排出部79の側)に設けられている。そして、余剰流出口75は、開口部65(循環流出口63)よりも上方に位置している。第二スクリュー74によって搬送される現像剤は、通常の状態では逆スクリュー部77及びせき止め部材77aによってせき止められることにより、図2及び4の実線矢印のように、上搬送路70から開口部65(循環流出口63)を介して下搬送路68へと搬送される。現像槽内における現像槽内現像剤3が増えて現像槽内の液面が上昇すると、逆スクリュー部77及びせき止め部材77aのせき止め作用に抗して側壁の上部に設けられた余剰流出口75を現像槽内現像剤3が乗り越えて、隣接する現像剤排出部79に溢出する。現像剤排出部79に溢出した余剰の現像槽内現像剤3は、図14の点線矢印に従って回収口92まで搬送され、回収口92を通じて現像剤回収タンク90に回収(廃棄)される。
図2に示すように、現像剤攪拌搬送室67には、現像剤攪拌搬送室67内でのトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ78が設けられている。トナー濃度検出センサ78は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像剤攪拌搬送室67内を搬送される現像槽内現像剤3の透磁率を検出する。トナー濃度検出センサ78により検出された透磁率から、現像槽内現像剤3に対するトナーの比率が求められる。例えば、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度検出センサ78から出力された電圧信号は、制御部100に入力され、この検出信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、現像剤補給タンク80の現像剤補給ローラが駆動され、所定量の補給用現像剤2が現像槽66内に補給される。
現像装置34において、画像形成動作により、循環している現像槽内現像剤3のトナー濃度が低下すると、トナーと少量のキャリアとを含有する補給用現像剤2が現像剤補給タンク80から補給される。補給された補給用現像剤2は、すでに存在する現像槽内現像剤3と混合・攪拌されながら、上記現像剤攪拌搬送室67の下搬送路68及び上搬送路70に沿って搬送される。基本的には、トナーは感光体12で消費されるのに対して、キャリアは現像装置34内に蓄積されるが、キャリアの帯電性能は次第に低下する。補給用現像剤2にはトナーよりも嵩高いキャリアが少量含まれているので、補給用現像剤2の補給に伴って、現像装置34内での現像槽内現像剤3の量が徐々に増加する。そして、嵩の増えた現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室67を循環する。現像剤攪拌搬送室67を循環しきれない余剰の現像槽内現像剤3は、逆スクリュー部77を乗り越えて、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に設けられた余剰流出口75から流出して、回収口92を通じて現像剤回収タンク90に回収される。
補給用現像剤2の補給量は、トナー濃度検出センサ78によって検出された現像槽内現像剤3のトナー濃度と、画像形成時の画像情報(ドットカウンタ)と、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比と、に基づいて決定される。現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比は、現像装置34内でのキャリアの劣化を抑制するとともに、コストアップを招かない程度に調整される。トナーの補給動作に伴って、キャリアが少しずつ供給される。
図3は、画像形成装置1の現像装置34に係る制御ブロック図を示している。
制御手段としての制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)106等から構成される。ROM104内に格納されている各種処理プログラムやテーブルに従って、CPU102は画像形成装置1での各種動作を集中的に制御する。ROM104には、例えば、トナー濃度検出センサ78で検出された電圧から現像槽内現像剤3のトナー濃度に変換・算出するためのトナー濃度算出テーブルや、現実の現像槽内現像剤3のトナー濃度と基準トナー濃度との間の差異から補給すべき現像剤量を算出するための現像剤補給用テーブル等が格納されている。RAM106は、制御部100により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成している。
CPU102には、現像装置34や現像剤補給タンク80やカウンタ108が接続されている。現像装置34を構成する現像剤攪拌部材72,74、トナー濃度検出センサ78、及び現像ローラ48の各動作が、制御部100のCPU102によって制御される。そして、トナー濃度検出センサ78で検出された現像槽内現像剤3のトナー濃度や、画像形成時の画像情報や、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比等は、RAM106に一時的に記憶されている。
〔現像剤〕
2成分現像剤は、トナーと、トナーを帯電させるためのキャリアと、を含んでいる。本発明においては、画像形成装置1において従来から一般的に使用されている公知のトナーが使用可能である。トナーの粒径は、例えば約3乃至15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナーや、荷電制御剤や離型剤を含有するトナーや、表面に添加剤を保持するトナーも使用可能である。
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造される。
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80乃至160℃の範囲であり、ガラス転移点が約50乃至75℃の範囲であることが好ましい。
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2乃至20重量部であることが好ましい。
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
さらに、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1乃至5重量部の割合で添加することが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は、9乃至100nmであることが好ましい。
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15乃至100μmであることが好ましい。
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50乃至90重量%の量で添加することが適切である。
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
現像槽内現像剤3のトナー及びキャリアの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整される。現像槽内現像剤3のトナー比は、トナー及びキャリアの合計量に対して、好ましくは3乃至20重量%であり、より好ましくは4乃至15重量%である。また、現像剤補給タンク80に充填されている補給用現像剤2は、トナー及び少量のキャリアを含有したものであり、補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは1乃至50重量%であり、より好ましくは5乃至30重量%である。
このように構成された現像装置34の動作を説明する。
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48のスリーブ48bは矢印方向(反時計回り)に回転する。第一スクリュー72の回転及び第二スクリュー74の回転により、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3は、上搬送路70と開口部65(循環流出口63)と下搬送路68と第二連絡路69とを循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアとが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。本発明に用いるトナー及びキャリアの帯電性は、このような組み合わせに限定されるものでない。キャリアの外形寸法は、トナーに比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
帯電された現像槽内現像剤3は、第二スクリュー74によって上搬送路70に沿って搬送される過程で現像ローラ48に供給される。この現像剤は、現像ローラ48内部の磁石体48aの磁力によってスリーブ48bの表面側に保持され、スリーブ48bと共に反時計周り方向に回転移動して、現像ローラ48に対向して設けられた規制板62で通過量を規制された後、感光体12と対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域において、磁石体48aの主磁極N1の磁力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。現像領域では、感光体12上の静電潜像と現像バイアスの印加された現像ローラ48との間に形成された電界(直流に交流が重畳された電界)がトナーに与える力により、トナーが感光体12上の静電潜像側へと移動して、この静電潜像が顕像へと現像される。現像領域でトナーを消費した現像剤は、現像槽66に向けて搬送され、現像槽66の上搬送路70に対向して設けられた磁石体48aのN3,N2の反発磁界によって現像ローラ48上から剥離され、現像槽66内へと回収される。回収された現像剤は、上搬送路70を搬送されている現像槽内現像剤3と混合される。
このような画像形成によって現像槽内現像剤3の中からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像槽内現像剤3に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3に対するトナーの比を測定するトナー濃度検出センサ78を備えている。また、下搬送路68の上方には現像剤補給タンク80が設けてある。
上述した現像装置34においては、前述したように下搬送路68の液面が開口部65よりも下に位置するように構成されているため、下搬送路68の液面の上方に溢出空間が形成されることになる。したがって、画像形成装置1を机等の上に載置する際に若干傾斜して載置(傾斜配置)されてしまった場合であっても、開口部65の先に現像槽内現像剤3の吐き出しを妨げる現像槽内現像剤3が存在しないため、傾斜配置によって開口部65の近辺で増加した現像槽内現像剤3は、開口部65から効率よく吐き出される。したがって、現像剤排出部79への現像剤の過剰な排出を規制することができる。さらに言うと、上搬送路70の下流には、現像槽内現像剤3が排出機構側へ移動することを妨げるように作用する逆スクリュー部77が設けられているために、傾斜配置によって増加した現像槽内現像剤3は、せき止められるとともに、開口部65へ向かって積極的に移動していく。
次に、本発明の第二実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図8を参照しながら説明する。なお、第二実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第一実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図8は、本発明の第二実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図8に示す第二実施形態に係る現像装置34は、上記第一実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aと下搬送路68の底面との間の間隔が、低壁部61の側で離間するとともに、第二連絡路69の側で接近するように構成されているとともに、第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されていることを特徴としている。図8に示した例では、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分との両者が大略同じ水平面上に延在して下搬送路68の底面68aが上搬送路70の底面70aに対して連続的に接続されているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち低壁部61の側が下方に存し、排出の反対側すなわち第二連絡路68の側が上方に存する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aが水平面に対して斜め上向きに傾斜している。
図8(A)における矢印61aは、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の下向きの流れを示している。図8(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図8(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第二スクリュー74(上攪拌部材)の搬送力により、開口部65(循環流出口63)から下向きに溢出する。そして、溢出した現像槽内現像剤3は、下搬送路68において斜め上向きに搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
上搬送路70の側壁(すなわち隔壁76)に設けられた低壁部61により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。
第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されているので、第二スクリュー74(上攪拌部材)及び第一スクリュー72(下攪拌部材)の共用化が可能となり、部品管理の容易化や製造コストの低減が可能になる。また、小型のスクリュー72,74が使用されるので、現像装置66の省スペース化を図ることもできる。また、第一実施形態の現像装置34の場合よりも幾分狭小になるものの、上搬送路70の底面70aの下側と下搬送路68の側面とによって空間が形成されるので、この空間に他の構成要素を配設することも可能である。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
次に、本発明の第三実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図9を参照しながら説明する。なお、第三実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第一実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図9は、本発明の第三実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図9に示す第三実施形態に係る現像装置34は、上記第二実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aが大略水平面に沿って延在して下搬送路68の底面68aが現像剤排出部79から見て斜め上向きに傾斜しているように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きくて且つ第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が低壁部61の側から第二連絡路69の側に向けて徐々に小さくなるすなわち縮径するように構成されていることを特徴としている。
図9に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。また、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分とが大略同じ水平面上に延在しているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち低壁部61の側が下方に存し、排出の反対側すなわち第二連絡路68の側が上方に存する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aが水平面に対して斜め上向きに傾斜している。
図9(A)における矢印61aは、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の下向きの流れを示している。図9(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図9(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第二スクリュー74(上攪拌部材)の搬送力により、開口部65(循環流出口63)から下向きに溢出する。そして、溢出した現像槽内現像剤3は、下搬送路68において斜め上向きに搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
上搬送路70の側壁(すなわち隔壁76)に設けられた低壁部61により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
次に、本発明の第四実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図10を参照しながら説明する。なお、第四実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第三実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図10は、本発明の第四実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図10に示す第四実施形態に係る現像装置34は、上記第三実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aが大略水平面に沿って延在して下搬送路68の底面68aが現像剤排出部79の側から見て斜め上向きに傾斜しているように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が、低壁部61側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きく、第二連絡路69側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と大略同じであり、中間部分で次第に小さくなるように構成されていることを特徴としている。
図10に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。また、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分とが大略同じ水平面上に延在しているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち低壁部61の側の部分は、大略水平方向に延在するとともに他の部分よりも下方に存する。排出の反対側すなわち第二連絡路68の側の部分は、大略水平方向に延在するとともに他の部分よりも上方に存する。下搬送路68の底面68aの中間部分は、斜め上向きに延在する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aは、大略水平方向に延在する部分と、水平面に対して斜め上向きに傾斜する部分と、大略水平方向に延在する部分と、を有している。
図10(A)における矢印61aは、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の下向きの流れを示している。図10(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、開口部65(循環流出口63)から溢出する現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図10(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第二スクリュー74(上攪拌部材)の搬送力により、開口部65(循環流出口63)から下向きに溢出する。そして、溢出した現像槽内現像剤3は、下搬送路68において大略水平方向と斜め上向きと大略水平方向に順次搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
上搬送路70の側壁(すなわち隔壁76)に設けられた低壁部61により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
次に、本発明の第五実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図11を参照しながら説明する。なお、第五実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した各実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図11は、本発明の第五実施形態に係る現像装置34の一部分を横から見た模式的断面図である。
上搬送路70において現像槽内現像剤3が圧密状態で搬送されると、現像槽内現像剤3の流動性が低下するために、現像槽内現像剤3は、上搬送路70の第二スクリュー74(上攪拌部材)が延在する直進方向すなわち現像剤排出部79の方向に向かって進みやすいものの、上搬送路70に対して大略直交して配置されている低壁部61には進みにくい傾向がある。すなわち、現像槽内現像剤3の流動性が悪いと、現像槽内現像剤3が開口部65(循環流出口63)に搬送されるよりも、現像剤排出部79の方に搬送されてしまう。
現像槽内現像剤3が開口部65(循環流出口63)に搬送されやすくするためには、現像槽内現像剤3の流動性を高めることが好ましい。そこで、第二スクリュー74(上攪拌部材)において、現像剤排出部79に近い部分のピッチが、第二スクリュー74(上攪拌部材)の他の部分よりも、大きくなるように構成されていることが好適である。スクリューのピッチが大きくなるに従って、現像槽内現像剤3の搬送速度が速くなり、現像槽内現像剤3とそれに隣接する現像槽内現像剤3との間に空隙が形成されやすくなる。現像槽内現像剤3の間に空隙が形成されることは、現像槽内現像剤3が周囲の空気を抱き込みやすくなることを意味する。したがって、スクリューのピッチが大きくなるに従って、現像槽内現像剤3の流動性が高くなる。
そこで、図11に示すように、第二スクリュー74(上攪拌部材)の下流側であるピッチ拡大スクリュー部74cのピッチが、他の部分(搬送用正スクリュー部74a及び逆スクリュー部77)の通常ピッチよりも大きいように構成される。ピッチ拡大スクリュー部74cが長く存在すると現像槽内現像剤3の混合・攪拌が不十分になる、あるいは第二スクリュー74が長くなることは現像装置34が大型になって設計的に不利である等の理由により、ピッチ拡大スクリュー部74cが必要以上に長く延在することは好ましくない。ピッチ拡大スクリュー部74cのピッチは、例えば、他の部分の通常ピッチに対して、1.2倍乃至2.5倍であることが好ましく、1.5倍乃至2倍であることがさらに好ましい。また、ピッチ拡大スクリュー部74cは、低壁部61及びその上端部に設けられた循環流出口63と重なるように延在している。
上述した実施形態1乃至4のぞれぞれにおいて、第二スクリュー74(上攪拌部材)にピッチ拡大スクリュー部74cを設けることにより、現像槽内現像剤3が低壁部61の上端部に設けられた循環流出口63に搬送されやすくなったことが確認された。すなわち、第二スクリュー74(上攪拌部材)の最適化により、現像槽内現像剤3を循環流出口63に誘導することも可能となるので、現像装置34の設計の自由度が大きくなる。
上述した実施形態1乃至5は、いずれも、第二スクリュー74(上攪拌部材)の搬送力により上搬送路70の側壁に設けられた循環流出口63から現像槽内現像剤3が押し出されるものである。以下に、上搬送路70を下搬送路68に対して大略連続的につなぐ第一連絡路71が水平面に対して斜め下向きに配置されている場合について説明する。
図12乃至17を参照しながら、本発明の第六実施形態に係る画像形成装置1及び当該装置に使用される現像装置34について説明する。
〔画像形成装置〕
図12は、本発明の第六実施形態に係る電子写真式画像形成装置1の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電装置26、露光装置28、現像装置34、転写装置36、およびクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。
帯電装置26は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28は、帯電された感光体12の外周面に向けて、画像光30を出射する。露光装置28を通過した感光体12の外周面には、画像光30が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分とからなる静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像装置34は、後述する現像槽内現像剤3を用いて静電潜像を可視像化する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写装置36は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどの用紙38に転写する。図12に示した実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして図示されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニング装置40は、転写装置36で用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして図示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
このような構成を備えた画像形成装置1により画像を形成するとき、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて例えば反時計周り方向に回転する。このとき、帯電装置26を通過する感光体12の外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体12の外周部分は、露光装置28で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像装置34のところまで搬送され、現像装置34によって可視像化される。可視像化されたトナー像は、感光体12の回転と共に転写装置36のところまで搬送され、転写装置36により用紙38に転写される。トナー像が転写された用紙38は定着装置20のところまで搬送され、用紙38にトナー像が固定される。転写装置36を通過した感光体12の外周部分はクリーニング装置40のところまで搬送され、用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残存するトナーが感光体12から掻き取られる。
〔現像装置〕
現像装置34は、非磁性トナー(以下、単にトナーという。)及び磁性キャリア(以下、単にキャリアという。)を含む2成分現像剤と、種々の部材を収容する現像槽66と、を備えている。現像槽66は感光体12に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラ48が設けられている。現像剤担持体としての現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップを介して、回転可能に枢支されている。
現像ローラ48は、回転不能に固定された磁石体48aと、磁石体48aの周囲を回転可能に支持された円筒状のスリーブ48b(第一の回転円筒体)と、を有するいわゆるマグネットローラである。現像ローラ48のスリーブ48bの上方には、現像槽66に固定され、現像ローラ48のスリーブ48bの中心軸と平行に延在する規制板62が、所定の規制ギャップを介して対向配置されている。現像ローラ48の内側にある磁石体48aは、スリーブ48bの回転方向に沿って、N1、S2、N3、N2、S1という5個の磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体12と対向するように配置されている。スリーブ48bの上の現像剤を剥離させるための反発磁界を発生させる同極のN2及びN3は、現像槽66の内部に対向配置されている。現像ローラ48のスリーブ48bは、感光体1の回転方向と逆向きに(カウンター方向に)回転する。
図13は、現像装置34を上から見た模式的断面図である。図13に示すように、現像ローラ48の背後には、現像剤攪拌搬送室67が形成されている。現像剤攪拌搬送室67は、現像ローラ48の近傍に形成された上搬送路70と現像ローラ48から離れた下搬送路68と、下搬送路68及び上搬送路70を間仕切る隔壁76と、を有する。下搬送路68の搬送方向の上流側の上方には、現像剤補給タンク80が配設されていて、現像剤補給タンク80は補給口82を介して下搬送路68と通じている。現像剤補給タンク80には、トナーを主成分としてキャリアを含有する補給用現像剤2が充填されている。トナーとキャリアとが別々に補給される構成であってもよい。補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは5乃至40重量%であり、より好ましくは10乃至30重量%である。また、上搬送路70の搬送方向の下流側の下方には、現像剤回収タンク90が配設されていて、上搬送路70は回収口92を介して現像剤回収タンク90と通じている。
現像剤補給タンク80の底部には、制御部100によって駆動制御される現像剤供給ローラが配置されている。現像剤供給ローラが回転駆動されることによって、その駆動時間に応じた量の新規の補給用現像剤2が、流下して現像槽66の下搬送路68に供給される。
下搬送路68には、現像槽内現像剤3を攪拌しながら搬送する攪拌部材である第一スクリュー72が回転可能に枢支されている。上搬送路70には、下搬送路68からの現像槽内現像剤3を攪拌しながら現像ローラ48に搬送する第二スクリュー74が回転可能に枢支されている。この場合、上搬送路70と下搬送路68との両端部に位置する隔壁76が切り欠かれることによって連絡通路が形成されている。すなわち、図13において、隔壁76の右側には、上搬送路70の下流側及び下搬送路68の上流側を大略連続的につなぐ第一連絡路71が形成されており、隔壁76の左側には、下搬送路68の下流側及び上搬送路70の上流側を大略連続的につなぐ第二連絡路69が形成されている。その結果、上搬送路70と第一連絡路71と下搬送路68と第二連絡路69とによって現像槽内現像剤3が循環する循環経路が形成されている。現像槽内現像剤3は、例えば図13の矢印方向にしたがって反時計回りに現像剤攪拌搬送室内を循環する。なお、後述するように、上搬送路70は、下搬送路68に対して同等以上の高さレベルに位置するように構成されている。
図12及び17に示すように、本発明の第六実施形態に係る現像装置34においては、上搬送路70が下搬送路68よりも上方に位置して、第一連絡路71及び第二連絡路69が傾斜しているように構成されている。具体的には、第一連絡路71及び第二連絡路69は大略平面であって、この平面が傾斜している。
図17は、本発明の第六実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図17に示す第六実施形態に係る現像装置34は、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略並行であるように構成されているとともに、第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されていることを特徴としている。
上搬送路70の底面70a及び下搬送路68の底面68aの両者が、大略水平方向に延在していて、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aよりも上方に位置している。第一連絡路71は、現像装置34の排出側において、上方に位置する上搬送路70の底面70aと下方に位置する下搬送路68の底面68aとを連絡する通路であるから、第一連絡路71が水平面に対して斜め下向きに傾斜した構成になる。
図17(A)における斜め下向きの矢印71aは、第一連絡路71に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め下向きの流れを示しており、図17(B)における斜め上向きの矢印69aは、第二連絡路69に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め上向きの流れを示している。図17(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、第一連絡路71に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図17(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第一連絡路71において斜め下向きに搬送され、下搬送路68において大略水平方向に搬送され、第二連絡路69において斜め上向きに搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。
第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されているので、第二スクリュー74(上攪拌部材)及び第一スクリュー72(下攪拌部材)の共用化が可能となり、部品管理の容易化や製造コストの低減が可能になる。また、小型のスクリュー72,74が使用されるので、現像装置66の省スペース化を図ることもできる。また、上搬送路70の底面70aの下側と下搬送路68の側面とによって空間が形成されるので、この空間に他の構成要素を配設することも可能である。
第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、所定のピッチを有する螺旋状の羽根がシャフトに固定されたスパイラルスクリューである。図14は、現像装置34の一部分である現像剤排出部79及びその周辺を横から見た模式的断面図であり、図13の右端部に対応している。図14に示すように、第二スクリュー74は、図中の右側に延在して、回収口92の上まで延在している。
第二スクリュー74は、上搬送路70に延在する搬送用正スクリュー部74aと、搬送方向の下流側端部(図13の右端部)に位置する現像剤排出部79に延在する排出用正スクリュー部74bと、を有する。搬送用正スクリュー部74aは、現像槽66の内部に存する現像槽内現像剤を現像剤排出部79まで搬送する。排出用正スクリュー部74bは、現像剤排出部79の内部に存する現像剤を回収口92まで搬送する。
また、第二スクリュー74は、上搬送路70から下搬送路68に向かう第一連絡路71及び下搬送路68の下流側側端部に対応する位置において、スパイラルスクリューの螺旋の向きが他の部分とは逆向きに構成されている逆スクリュー部77を有する。逆スクリュー部77の現像剤排出部79の側においては、せき止め部材77aが設けられている。せき止め部材77aは、第二スクリュー74の回転軸に対して直交する方向に延在する大略円板状の部材であって、逆スクリュー部77によって形成された現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することを規制する働きを有する。
第二スクリュー74が回転すると、逆スクリュー部77により、図14の左向きの矢印のように、現像槽内現像剤3を現像剤排出部79から上搬送路70に向かう逆向きの流れを発生させる。その結果、第二スクリュー74が回転すると、第二スクリュー74の搬送方向の下流側端部(右端部)での現像槽内現像剤3の高さが他の部分に比べて高くなる。すなわち、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)、すなわち逆スクリュー部77の部分において、現像槽内現像剤3の盛り上がりが形成される。そして、現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することは、せき止め部材77aにより規制されている。
ここで、現像装置34は、いわゆるトリクル方式を採用したものであるから、余剰の現像槽内現像剤3を流出させるための余剰流出口75を有している。すなわち、余剰流出口75として、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に位置する側壁の上部が部分的に切り欠かれた切欠75が設けられている。余剰流出口75は、第一連絡路71よりも下流側(すなわち現像剤排出部79の側)に設けられている。第二スクリュー74によって搬送される現像剤は、通常の状態では逆スクリュー部77及びせき止め部材77aによってせき止められることにより、図13及び14の実線矢印のように、上搬送路70から第一連絡路71を介して下搬送路68へと搬送される。現像槽内における現像槽内現像剤3が増えて現像槽内の液面が上昇すると、逆スクリュー部77及びせき止め部材77aのせき止め作用に抗して側壁の上部に設けられた余剰流出口75を現像槽内現像剤3が乗り越えて、隣接する現像剤排出部79に溢出する。現像剤排出部79に溢出した余剰の現像槽内現像剤3は、図14の点線矢印に従って回収口92まで搬送され、回収口92を通じて現像剤回収タンク90に回収(廃棄)される。
図13に示すように、現像剤攪拌搬送室67には、現像剤攪拌搬送室67内でのトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ78が設けられている。トナー濃度検出センサ78は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像剤攪拌搬送室67内を搬送される現像槽内現像剤3の透磁率を検出する。トナー濃度検出センサ78により検出された透磁率から、現像槽内現像剤3に対するトナーの比率が求められる。例えば、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度検出センサ78から出力された電圧信号は、制御部100に入力され、この検出信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、現像剤補給タンク80の現像剤補給ローラが駆動され、所定量の補給用現像剤2が現像槽66内に補給される。
現像装置34において、画像形成動作により、循環している現像槽内現像剤3のトナー濃度が低下すると、トナーと少量のキャリアとを含有する補給用現像剤2が現像剤補給タンク80から補給される。補給された補給用現像剤2は、すでに存在する現像槽内現像剤3と混合・攪拌されながら、上記現像剤攪拌搬送室67の下搬送路68及び上搬送路70に沿って搬送される。基本的には、トナーは感光体12で消費されるのに対して、キャリアは現像装置34内に蓄積されるが、キャリアの帯電性能は次第に低下する。補給用現像剤2にはトナーよりも嵩高いキャリアが少量含まれているので、補給用現像剤2の補給に伴って、現像装置34内での現像槽内現像剤3の量が徐々に増加する。そして、嵩の増えた現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室67を循環する。現像剤攪拌搬送室67を循環しきれない余剰の現像槽内現像剤3は、逆スクリュー部77を乗り越えて、上搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に設けられた余剰流出口75から流出して、回収口92を通じて現像剤回収タンク90に回収される。
補給用現像剤2の補給量は、トナー濃度検出センサ78によって検出された現像槽内現像剤3のトナー濃度と、画像形成時の画像情報(ドットカウンタ)と、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比と、に基づいて決定される。現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比は、現像装置34内でのキャリアの劣化を抑制するとともに、コストアップを招かない程度に調整される。トナーの補給動作に伴って、キャリアが少しずつ供給される。
このように構成された現像装置34の動作を説明する。
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48のスリーブ48bは矢印方向(反時計回り)に回転する。第一スクリュー72の回転及び第二スクリュー74の回転により、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3は、下搬送路68と第一連絡路71と上搬送路70と第二連絡路69とを循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアとが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。本発明に用いるトナー及びキャリアの帯電性は、このような組み合わせに限定されるものでない。キャリアの外形寸法は、トナーに比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
帯電された現像槽内現像剤3は、第二スクリュー74によって上搬送路70に搬送される過程で現像ローラ48に供給される。この現像剤は、現像ローラ48内部の磁石体48aの磁力によってスリーブ48bの表面側に保持され、スリーブ48bと共に反時計周り方向に回転移動して、現像ローラ48に対向して設けられた規制板62で通過量を規制された後、感光体12と対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域において、磁石体48aの主磁極N1の磁力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。現像領域では、感光体12上の静電潜像と現像バイアスの印加された現像ローラ48との間に形成された電界(直流に交流が重畳された電界)がトナーに与える力により、トナーが感光体12上の静電潜像側へと移動して、この静電潜像が顕像へと現像される。現像領域でトナーを消費した現像剤は、現像槽66に向けて搬送され、現像槽66の上搬送路70に対向して設けられた磁石体48aのN3,N2の反発磁界によって現像ローラ48上から剥離され、現像槽66内へと回収される。回収された現像剤は、上搬送路70を搬送されている現像槽内現像剤3と混合される。
このような画像形成によって現像槽内現像剤3の中からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像槽内現像剤3に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3に対するトナーの比を測定するトナー濃度検出センサ78を備えている。また、下搬送路68の上方には現像剤補給タンク80が設けてある。
次に、本発明に係る現像装置34が傾斜配置された場合に、現像槽内現像剤3が現像槽66内でどのように流動するかを、図15及び16を参照しながら説明する。
図15は、本発明に係る現像装置34において、現像装置34が傾斜配置された場合、傾斜配置された第一連絡路71近傍での現像槽内現像剤3の流れを説明する図である。また、図16は、従来技術に係る現像装置34において、現像装置34が傾斜配置された場合、水平配置された第一連絡路71近傍での現像槽内現像剤3の流れを説明する図である。なお、各図において黒く塗りつぶされた矢印は、それぞれ、現像槽内現像剤3が流れる方向を示している。
従来の現像装置34においては、通常、上搬送路70と下搬送路68とが大略同一の水平面上に延在するように配置され、第一連絡路71及び第二連絡路69も大略同一の水平面上に延在するように配置されて、トリクル方式の排出機構(不図示)が上搬送路70の下流端部に配置されている。水平配置された現像装置34では、トリクル方式の排出機構によって通常の排出動作が行われる。
ところが、図16に示すように、現像装置34が現像槽内現像剤3の排出を促すような傾斜状態で設置されてしまう場合がある。すなわち、図16に示した傾斜設置においては、X−Y水平面上でY軸方向に延在するように配置された現像装置34は、X軸を中心にして反時計回りに回転されて、X−Y水平面に対して設置傾斜角度αで傾斜している。したがって、現像装置34の排出側が循環経路に対して下方に位置するように傾斜配置されている。このような傾斜配置では、水平状態での排出機構側への通常の排出量に対して、現像槽内現像剤3に負荷される重力作用による傾斜排出量がRとして追加される。傾斜配置時においては、傾斜排出量Rの全量が排出機構側へ排出されるので、排出機構側への現像槽内現像剤3の排出量が傾斜排出量Rの量だけ増加してしまう。
これに対して、本発明に係る現像装置34においては、前述したように、第一連絡路71が水平面に対して斜め下向きであるように構成されている。言いかえると、図16に示した第一連絡路71が水平に配置された従来の水平配置タイプの現像装置34との比較において、図12及び15に示した本願発明に係る現像装置34は、X−Y水平面上でY軸方向に延在するように配置したものが、Y軸を中心にして時計回りに回転されて、X−Y水平面に対して傾斜角度βで傾斜しているように構成されている。その結果、上搬送路70の下流側の底面70aが下搬送路68の上流側の底面68aよりも上方に位置するとともに、第一連絡路71が水平面に対して斜め下向きに配置されていることになる。すなわち、第一連絡路71は、X−Y水平面に対して傾斜角度βで重力方向下向きに傾斜している。
本発明に係る現像装置34においても、図15に示すように、その排出側が下方に位置するように傾斜配置される場合がある。そのような場合、水平状態での排出機構側への通常の排出量に対して、現像槽内現像剤3に負荷される重力作用による傾斜排出量がRとして追加される。
しかしながら、第一連絡路71がX−Y水平面に対して斜め下向きに傾斜しているように構成されているので、重力の第一連絡路71方向への分力が第一連絡路71付近に搬送されてきた現像槽内現像剤3に作用して、当該現像槽内現像剤3が第一連絡路71に誘導される。その結果、X−Y水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71は、傾斜配置時には第一連絡路71付近に搬送されてきた現像槽内現像剤3の一部を、循環経路を構成する下搬送路68に積極的に導くような機能を有する。X−Y水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71の存在により、現像剤排出部79に向けて増大した傾斜排出量Rの一部が、循環増加量Qとして第一連絡路71に誘導されて下搬送路68に搬送される。そして、現像剤排出部79に対しては、傾斜排出量Rから循環増加量Qが差し引かれた傾斜排出低減量がPとして搬送される。
したがって、現像装置34が傾斜角度βで傾斜配置されたことによる現像槽内現像剤3の排出量の増加分(R)は、傾斜排出量(R)=傾斜排出低減量(P)+循環増加量(Q)という関係を満足している。このように、排出側が下方に位置するように傾斜配置された現像装置34において、現像剤排出部79に搬送される現像槽内現像剤3の排出量の増加分(R)が循環増加量(Q)の分だけ低減されて傾斜排出低減量(P)となるので、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。さらに言うと、上搬送路70の下流には、排出機構側へ現像槽内現像剤3が移動することを妨げるように作用する逆スクリュー部77が設けられているために、傾斜配置によって増加した現像槽内現像剤3は、せき止められるとともに、下方に向かって開いている第一連絡路71に向けて積極的に移動していく。本願発明の構成に基づくこのような作用により、現像装置34が傾斜配置されるようなことが起こったとしても、現像槽内現像剤3が過剰に排出されることを防止することができる。
したがって、斜め下向きに傾斜した第一連絡路71を設けることは、第二スクリュー74(上攪拌部材)による搬送力に加えて、現像槽内現像剤3へ負荷される重力も現像槽内現像剤3に作用するために、先に説明した循環流出口63を設ける場合と比較して、上搬送路70にある現像槽内現像剤3を下搬送路68に誘導する力が大きくなる。
次に、本発明の第七実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図18を参照しながら説明する。なお、第七実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第六実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図18は、本発明の第七実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図18に示す第七実施形態に係る現像装置34は、上記第六実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略並行であるように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きくなるように構成されていることを特徴としている。図18に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。
上搬送路70の底面70a及び下搬送路68の底面68aの両者が、大略水平方向に延在していて、上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aよりも上方に位置している。第一連絡路71は、現像装置34の排出側において、上方に位置する上搬送路70の底面70aと下方に位置する下搬送路68の底面68aとを連絡する通路であるから、第一連絡路71が水平面に対して斜め下向きに傾斜した構成になる。
図18(A)における斜め下向きの矢印71aは、第一連絡路71に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め下向きの流れを示しており、図18(B)における斜め上向きの矢印69aは、第二連絡路69に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め上向きの流れを示している。図18(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、第一連絡路71に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図18(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第一連絡路71において斜め下向きに搬送され、下搬送路68において大略水平方向に搬送され、第二連絡路69において斜め上向きに搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きくなるように構成されていても、水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71を形成することができる。当該第一連絡路71により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、第二スクリュー74(上攪拌部材)が大きく構成されていることは、現像槽内現像剤3を搬送する力を増大させるので、第二連絡路69を介して下搬送路68から上搬送路70へ現像槽内現像剤3を押し上げて搬送することが容易になる。
次に、本発明の第八実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図19を参照しながら説明する。なお、第八実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第六実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図19は、本発明の第八実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図19に示す第八実施形態に係る現像装置34は、上記第六実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aと下搬送路68の底面との間の間隔が、第一連絡路71の側で離間するとともに、第二連絡路69の側で接近するように構成されているとともに、第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されていることを特徴としている。図19に示した例では、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分との両者が大略同じ水平面上に延在しているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち第一連絡路71の側が下方に存し、排出の反対側すなわち第二連絡路68の側が上方に存する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aが水平面に対して斜め上向きに傾斜している。
図19(A)における斜め下向きの矢印71aは、第一連絡路71に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め下向きの流れを示している。図19(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、第一連絡路71に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図19(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第一連絡路71において斜め下向きに搬送され、下搬送路68において斜め上向きに搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。
第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径とが実質的に同じであるように構成されているので、第二スクリュー74(上攪拌部材)及び第一スクリュー72(下攪拌部材)の共用化が可能となり、部品管理の容易化や製造コストの低減が可能になる。また、小型のスクリュー72,74が使用されるので、現像装置66の省スペース化を図ることもできる。また、第六実施形態の現像装置34の場合よりも幾分狭小になるものの、上搬送路70の底面70aの下側と下搬送路68の側面とによって空間が形成されるので、この空間に他の構成要素を配設することも可能である。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
次に、本発明の第九実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図20を参照しながら説明する。なお、第九実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第六実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図20は、本発明の第九実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図20に示す第九実施形態に係る現像装置34は、上記第八実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aが大略水平面に沿って延在して下搬送路68の底面68aが現像剤排出部79から見て斜め上向きに傾斜しているように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きくて且つ第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第一連絡路71の側から第二連絡路69の側に向けて徐々に小さくなるすなわち縮径するように構成されていることを特徴としている。
図20に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。また、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分とが大略同じ水平面上に延在しているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち第一連絡路71の側が下方に存し、排出の反対側すなわち第二連絡路68の側が上方に存する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aが水平面に対して斜め上向きに傾斜している。
図20(A)における斜め下向きの矢印71aは、第一連絡路71に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め下向きの流れを示している。図20(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、第一連絡路71に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図20(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第一連絡路71において斜め下向きに搬送され、下搬送路68において斜め上向きに搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きくて且つ第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第一連絡路71の側から第二連絡路69の側に向けて徐々に小さくなるように構成されていても、水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71を形成することができる。当該第一連絡路71により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
次に、本発明の第十実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図21を参照しながら説明する。なお、第十実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した第六実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図21は、本発明の第十実施形態に係る現像装置34の特徴部分を模式的に説明する図である。(A)は、現像装置34を現像剤排出部79の側から見た模式的側面図であり、(B)は、現像装置34を現像剤排出部79の反対側から見た模式的側面図であり、(C)は現像装置34を横から見た模式図である。
図21に示す第十実施形態に係る現像装置34は、上記第九実施形態の変形例であって、上搬送路70の底面70aが大略水平面に沿って延在して下搬送路68の底面68aが現像剤排出部79の側から見て斜め上向きに傾斜しているように構成されているとともに、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が、第一連絡路71側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きく、第二連絡路69側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と大略同じであり、中間部分で次第に小さくなるように構成されていることを特徴としている。
図21に示した例では、第一スクリュー72(下攪拌部材)の回転軸と第二スクリュー74(上攪拌部材)の回転軸とが大略同じ水平面上に延在しているが、両回転軸が必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はない。また、第二連絡路69によって接続される下搬送路68の底面68aの下流側部分と上搬送路70の底面70aの上流側部分とが大略同じ水平面上に延在しているが、第二連絡路69に接続される底面68aの下流側部分と底面70aの上流側部分とが必ずしも大略同じ水平面上に延在している必要はなく、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分よりも高くなるように構成されていてもよい。
大略水平方向に延在している上搬送路70の底面70aが下搬送路68の底面68aに対して大略同等高さレベル以上の上方に位置している。下搬送路68の底面68aにおいて、排出側すなわち第一連絡路71の側の部分は、大略水平方向に延在するとともに他の部分よりも下方に存する。排出の反対側すなわち第二連絡路68の側の部分は、大略水平方向に延在するとともに他の部分よりも上方に存する。下搬送路68の底面68aの中間部分は、斜め上向きに延在する。したがって、現像剤排出部79の側から見て、下搬送路68の底面68aは、大略水平方向に延在する部分と、水平面に対して斜め上向きに傾斜する部分と、大略水平方向に延在する部分と、を有している。
図21(A)における斜め下向きの矢印71aは、第一連絡路71に沿って搬送される現像槽内現像剤3の斜め下向きの流れを示している。図21(C)において、現像装置34の排出側で左向きに分岐した矢印は、現像剤排出部79に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示し、現像装置34の排出側で下向きに分岐した矢印は、第一連絡路71に向けて搬送される現像槽内現像剤3の流れを示している。したがって、図21(C)に示すように、現像槽内現像剤3の一部分は、第一連絡路71において斜め下向きに搬送され、下搬送路68において大略水平方向と斜め上向きと大略水平方向に順次搬送され、第二連絡路69において大略水平方向に搬送され、上搬送路70において大略水平方向に搬送されるとともに、現像槽内現像剤3の他の部分は、現像剤排出部79に向けて搬送される。
第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が、第一連絡路71側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径よりも大きく、第二連絡路69側の部分で第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径と大略同じであり、中間部分で次第に小さくなるように構成されていても、水平面に対して斜め下向きに傾斜した第一連絡路71を形成することができる。当該第一連絡路71により、現像装置34の排出側が下方に位置するように傾斜配置されたときでも、現像剤排出部79への現像槽内現像剤3の過剰な排出を規制することができる。また、底面68aの下流側部分が底面70aの上流側部分に対して同等以上の高さになるように構成されているので、現像槽内現像剤3を第二連絡路69に沿って押し上げることを要しないので、第一スクリュー72(下攪拌部材)を回転駆動する際に負荷される回転駆動トルクが軽減される。
上述したように、本発明に係る現像装置34は、水平面に対して斜め下向きに傾斜している第一連絡路71を備えることを特徴としている。そこで、上記第六実施形態乃至第十実施形態に係る各現像装置34に対して、水平面に対する第一連絡路71の傾斜角度βが変化することによって現像槽内現像剤3の流れがどのように変化するかを調べた。
図22は、第六実施形態に係る現像装置において、第一連絡路71の傾斜角度βと、第一連絡路71への現像槽内現像剤3の流れ性と、の関係を説明する図である。図22において、横軸が水平面に対する第一連絡路71の傾斜角度βであり、縦軸が現像槽内現像剤3の流れ性を示している。ここで、第一連絡路71の傾斜角度βが0度というのは、第一連絡路71が水平方向に延在していることを意味し、図16に示した従来技術に係る現像装置に対応している。また、第一連絡路71の傾斜角度βが90度というのは、第一連絡路71が垂直方向に延在していることを意味し、現像槽内現像剤3が第一連絡路71に沿って落下するように搬送されるために、現像剤排出部79の側にはほとんど搬送されない。
図22において、傾斜角度βが0度から60度までの実線は、現像槽内現像剤3の流れの良し悪しを実測したものである。図22に示すように、傾斜角度βが0度から約9度までは、現像槽内現像剤3の流れ性があまり良くないが、傾斜角度βが約10度から約60度までは、現像槽内現像剤3の流れ性が良好である。特に、傾斜角度βが約20度から約40度までは、現像槽内現像剤3の流れ性が非常に良好である。
さらに、第七実施形態に係る現像装置において、第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径に対する第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径の倍率と傾斜角度βとを変化させたときの第一連絡路71への現像槽内現像剤3の流れ性のの良し悪しを調べ、その結果を表1乃至3に示す。なお、表1乃至3において、◎印は現像槽内現像剤3の流れ性が非常に良いことを、〇印は現像槽内現像剤3の流れ性が良いことを、△印は現像槽内現像剤3の流れ性があまり良くないことを、×印は現像槽内現像剤3の流れ性が良くないことをそれぞれ示している。
表1に示すように、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径に対して等しいとき、傾斜角度βが0度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が良くないが、傾斜角度βが15度から60度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が良好であった。特に、傾斜角度βが30度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が非常に良好であった。表2に示すように、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径に対して1.57倍であるとき、傾斜角度βが10.5度から55.5度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が良好であった。特に、傾斜角度βが25.5度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が非常に良好であった。また、表3に示すように、第一スクリュー72(下攪拌部材)の外径が第二スクリュー74(上攪拌部材)の外径に対して2.43倍であるとき、傾斜角度βが65.9度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性があまり良くないが、傾斜角度βが20.9度から50.9度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が良好であった。特に、傾斜角度βが20.9度及び35.9度の場合には、現像槽内現像剤3の流れ性が非常に良好であった。
なお、第六乃至第十実施形態に係る各現像装置34においても、図22に示した結果と同様の結果が得られた。
次に、本発明の第十一実施形態に係る現像装置34の特徴部分及びその動作を、図23を参照しながら説明する。なお、第十一実施形態の特徴部分を除く他の構成は上述した各実施形態と同じであるので、特徴部分以外の他の構成に関する説明を省略する。
図23は、本発明の第十一実施形態に係る現像装置34の一部分を横から見た模式的断面図である。
上搬送路70において現像槽内現像剤3が圧密状態で搬送されると、現像槽内現像剤3の流動性が低下するために、現像槽内現像剤3は、上搬送路70の第二スクリュー74(上攪拌部材)が延在する直進方向すなわち現像剤排出部79の方向に向かって進みやすいものの、上搬送路70に対して大略直交している第一連絡路71には進みにくい傾向がある。すなわち、現像槽内現像剤3の流動性が悪いと、現像槽内現像剤3が第一連絡路71に搬送されるよりも、現像剤排出部79の方に搬送されてしまう。
現像槽内現像剤3が第一連絡路71に搬送されやすくするためには、現像槽内現像剤3の流動性を高めることが好ましい。そこで、第二スクリュー74(上攪拌部材)において、現像剤排出部79に近い部分のピッチが、第二スクリュー74(上攪拌部材)の他の部分よりも、大きくなるように構成されていることが好適である。スクリューのピッチが大きくなるに従って、現像槽内現像剤3の搬送速度が速くなり、現像槽内現像剤3とそれに隣接する現像槽内現像剤3との間に空隙が形成されやすくなる。現像槽内現像剤3の間に空隙が形成されることは、現像槽内現像剤3が周囲の空気を抱き込みやすくなることを意味する。したがって、スクリューのピッチが大きくなるに従って、現像槽内現像剤3の流動性が高くなる。
そこで、図23に示すように、第二スクリュー74(上攪拌部材)の下流側であるピッチ拡大スクリュー部74cのピッチが、他の部分(搬送用正スクリュー部74a及び逆スクリュー部77)の通常ピッチよりも大きいように構成される。ピッチ拡大スクリュー部74cが長く存在すると現像槽内現像剤3の混合・攪拌が不十分になる、あるいは第二スクリュー74が長くなることは現像装置34が大型になって設計的に不利である等の理由により、ピッチ拡大スクリュー部74cが必要以上に長く延在することは好ましくない。ピッチ拡大スクリュー部74cのピッチは、例えば、他の部分の通常ピッチに対して、1.2倍乃至2.5倍であることが好ましく、1.5倍乃至2倍であることがさらに好ましい。また、ピッチ拡大スクリュー部74cは、第一連絡路71に到達する少し上流側部分から第一連絡路71と重なる部分まで延在している。
上述した第六乃至第10実施形態のぞれぞれにおいて、第二スクリュー74(上攪拌部材)にピッチ拡大スクリュー部74cを設けることにより、現像槽内現像剤3が第一連絡路71に搬送されやすくなったことが確認された。すなわち、第一連絡路71の傾斜角度βをあまり大きくしなくとも、現像槽内現像剤3が第一連絡路71に誘導されることが確認された。したがって、現像装置34の設計の自由度を大きくすることが可能になる。
上述した各実施形態においては、上搬送路70の底面70aが大略水平方向に延在するという構成を前提にして説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。本発明は、上搬送路の下流側の底面が下搬送路の上流側の底面よりも上方に位置して、第一連絡路が水平面に対して斜め下向きに配置されていることを特徴とするものであり、このような構成を満足する限り、上搬送路70の底面70a及び下搬送路68の底面68aを様々に配置することができる。上搬送路70の底面70aと下搬送路68の底面68aとの間の配置関係は、あくまでも相対的なものである。上搬送路70の底面70aが水平方向に延在することに限定されずに、たとえば、上搬送路70の底面70aが現像剤排出部79の側で上向き又は下向きに傾斜する構成であってもよい。このとき、下搬送路68の底面68aが水平方向に延在する構成であったり、水平面に対して傾斜する構成であってもよい。あるいは、上搬送路70の底面70aと下搬送路68の底面68aとの両者が斜め並行に延在する構成であってもよい。
また、循環経路における現像槽内現像剤3の循環方向や、現像剤補給タンク80や補給口82等の補給関係要素の配置、現像ローラ48(現像剤担持体)等の画像形成関係要素の配置は、上述した構成に限定されるものではない。現像槽内現像剤3の循環方向及び補給関係要素や画像形成関係要素の配置は、補給用現像剤2が十分に攪拌・混合されることなく現像ローラ48(現像剤担持体)に直ぐに搬送されることがないように、適宜決められる。
したがって、現像ローラ48(現像剤担持体)に対面しない方の下搬送路68の上流側に補給用現像剤2が補給されたあと、混合・攪拌された現像槽内現像剤3が現像ローラ48(現像剤担持体)に対面する方の上搬送路70に搬送され、上搬送路70の下流側から排出される構成にすることができる。また、現像ローラ48(現像剤担持体)に対面する方の搬送路の下流側に補給用現像剤2が補給されたあと、混合・攪拌された現像槽内現像剤3が現像ローラ48(現像剤担持体)に対面する方の搬送路に搬送され、さらに現像ローラ48(現像剤担持体)に対面する方の搬送路の上流側に搬送される構成にすることができる。