キャリア積算値は、所定時間当たりにキャリアが現像剤補給タンクから補給されるキャリア補給量をCinと、所定時間当たりにキャリアが排出機構によって最大限排出されるキャリア最大排出量をCmaxと、それぞれ規定するとき、前記算出手段は、所定時間当たりにキャリアが現像槽内に残存するキャリア残存量(Cin−Cmax)を算出し、算出されたキャリア残存量(Cin−Cmax)を積算することによって算出される。当該キャリア積算値は、現像槽内に残存するキャリアの量すなわちキャリア残存量(Cin−Cmax)を積算したものであり、いわゆるトリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽内に蓄積されているかを予測するものである。上記構成は、現像槽内現像剤の嵩レベルを検出するレベルセンサ等(例えば圧力センサ)の検出手段を用いることなく、トリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽内に蓄積されているかを予測することができるので、非常に簡便且つ低コストであるという利点を有する。
上述した現像装置は、周面に静電潜像を担持する回転可能な静電潜像担持体と、トナー及びキャリアを含む現像槽内現像剤を現像槽内で搬送しながら攪拌する攪拌部材と、該攪拌部材に隣接配置され攪拌された現像槽内現像剤を静電潜像担持体へ供給する現像剤担持体と、を備える画像形成装置に組み込んで使用される。
以下に、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置1及び現像装置34では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
図1乃至3を参照しながら、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1及び当該装置に使用される現像装置34について説明する。
〔画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置1の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電装置26、露光装置28、現像装置34、転写装置36、およびクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。
帯電装置26は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28は、帯電された感光体12の外周面に向けて、画像光30を出射する。露光装置28を通過した感光体12の外周面には、画像光30が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分とからなる静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像装置34は、後述する現像槽内現像剤3を用いて静電潜像を可視像化する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写装置36は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどの用紙38に転写する。図1に示した実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして図示されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニング装置40は、転写装置36で用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして図示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
このような構成を備えた画像形成装置1が画像形成を行うとき、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて例えば反時計周り方向に回転する。このとき、帯電装置26を通過する感光体12の外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体12の外周部分は、露光装置28で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像装置34のところまで搬送され、現像装置34によって可視像化される。可視像化されたトナー像は、感光体12の回転と共に転写装置36のところまで搬送され、転写装置36により用紙38に転写される。トナー像が転写された用紙38は定着装置20のところまで搬送され、用紙38にトナー像が固定される。転写装置36を通過した感光体12の外周部分はクリーニング装置40のところまで搬送され、用紙38に転写されることなく感光体12の外周面に残存するトナーが感光体12から掻き取られる。
〔現像装置〕
現像装置34は、非磁性トナー(以下、単にトナーという。)及び磁性キャリア(以下、単にキャリアという。)を含む2成分現像剤と、種々の部材を収容する現像槽66と、を備えている。現像槽66は感光体12に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラ48が設けられている。現像剤担持体としての現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップを介して、回転可能に枢支されている。
現像ローラ48は、回転不能に固定された磁石体48aと、磁石体48aの周囲を回転可能に支持された円筒状のスリーブ48b(第一の回転円筒体)と、を有するいわゆるマグネットローラである。現像ローラ48のスリーブ48bの上方には、現像槽66に固定され、現像ローラ48のスリーブ48bの中心軸と平行に延在する規制板62が、所定の規制ギャップ63を介して対向配置されている。現像ローラ48の内側にある磁石体48aは、スリーブ48bの回転方向に沿って、N1、S2、N3、N2、S1という5個の磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体12と対向するように配置されている。スリーブ48bの上の現像剤を剥離させるための反発磁界を発生させる同極のN2及びN3は、現像槽66の内部に対向配置されている。現像ローラ48のスリーブ48bは、感光体1の回転方向と逆向きに(カウンター方向に)回転する。
図2は、現像装置34を上から見た模式的断面図である。図2に示すように、現像ローラ48の背後には、現像剤攪拌搬送室67が形成されている。現像剤攪拌搬送室67は、現像ローラ48の近傍に形成された第二搬送路70と現像ローラ48から離れた第一搬送路68と、第一搬送路68及び第二搬送路70を間仕切る隔壁76と、を有する。第一搬送路68の搬送方向の上流側の上方には、現像剤補給タンク80が配設されていて、補給口82を介して第一搬送路68と連通している。現像剤補給タンク80には、トナーを主成分としてキャリアを含有する補給用現像剤2が充填されている。補給用現像剤2として、トナーとキャリアとを別々に補給してもよい。補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは5乃至40重量%であり、より好ましくは10乃至30重量%である。また、第二搬送路70の搬送方向の下流側の下方には、現像剤回収タンク90が配設されていて、回収口92を介して第二搬送路70と連通している。
現像剤補給タンク80の底部には、制御部100によって駆動制御される現像剤供給ローラが配置されている。現像剤供給ローラが回転駆動されることによって、その駆動時間に応じた量の新規の補給用現像剤2が、流下して、現像槽66の第一搬送路68に供給される。
第一搬送路68には、現像槽内現像剤3を攪拌しながら搬送する攪拌部材である第一スクリュー72が回転可能に枢支されている。第二搬送路70には、第一搬送路68からの現像槽内現像剤3を攪拌しながら現像ローラ48に搬送する第二スクリュー74が回転可能に枢支されている。この場合、第一搬送路68と第二搬送路70との両端部に位置する隔壁76の上部が切り欠かれることによって連絡通路が形成されている。第一搬送路68の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第二搬送路70へ送り込まれ、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部に到達した現像槽内現像剤3が連絡通路を介して第一搬送路68に送り込まれる。その結果、図2の矢印方向にしたがって、現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室内を循環する。
第一スクリュー72及び第二スクリュー74は、回転シャフトに所定のピッチで螺旋状の羽根が固定されたスパイラルスクリューである。第二スクリュー74は、図2の右側(下流側)に延在して、回収口92の上まで延在している。
第二スクリュー74は、第二搬送路70に延在する搬送用正スクリュー部74aと、搬送方向の下流側端部(図2の右端部)に位置する現像剤排出部79に延在する排出用正スクリュー部74bと、回転シャフト74cと、を有する。搬送用正スクリュー部74aは、現像槽66の内部に存する現像槽内現像剤を現像剤排出部79まで搬送する。排出用正スクリュー部74bは、現像剤排出部79の内部に存する現像剤を回収口92まで搬送する。
また、第二スクリュー74は、第二搬送路70から第一搬送路68に向かう連絡通路及び第一搬送路68の下流側側端部に対応する位置において、スパイラルスクリューの螺旋の向きが他の部分とは逆向きに構成されている逆羽根部77を有する。逆羽根部77の現像剤排出部79の側においては、せき止め部材73が設けられている。せき止め部材73は、第二スクリュー74の回転シャフト74cに対して直交する方向に延在する大略円板状の部材であって、逆羽根部77によって形成された現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することを規制する働きを有する。
第二スクリュー74が回転すると、逆羽根部77により、現像槽内現像剤3を現像剤排出部79から第二搬送路70に向かう逆向きの流れを発生させる。その結果、第二スクリュー74が回転すると、第二スクリュー74の搬送方向の下流側端部(右端部)での現像槽内現像剤3の高さが他の部分に比べて高くなる。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)、すなわち逆羽根部77の部分において、現像槽内現像剤3の盛り上がりが形成される。そして、現像槽内現像剤3の盛り上がりが現像剤排出部79の側に移動することは、せき止め部材73により規制されている。
ここで、現像装置34は、いわゆるトリクル方式を採用したものであるから、余剰の現像槽内現像剤3を流出させるための流出口75を有している。すなわち、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に位置する側壁の上部が部分的に切り欠かれた切欠75を設けることによって、流出口75が形成されている。第二スクリュー74によって搬送される現像剤は、通常の状態では逆羽根部77によってせき止められることにより、図2の実線矢印のように、第二搬送路70から第一搬送路68へと搬送される。現像槽内における現像槽内現像剤3が増えて現像槽内の液面が上昇すると、逆羽根部77のせき止め作用に抗して側壁の上部に設けられた流出口75を現像槽内現像剤3が乗り越えて、隣接する回収室に溢出する。回収室に溢出した余剰の現像槽内現像剤3は、回収口92まで搬送され、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収(廃棄)される。
現像剤攪拌搬送室67には、現像剤攪拌搬送室67内での現トナー濃度を検出するトナー濃度検出センサ78が設けられている。トナー濃度検出センサ78は、例えば、コイルのインダクタンスの変化から、現像剤攪拌搬送室67内を搬送される現像槽内現像剤3の透磁率を検出する。トナー濃度検出センサ78により検出された透磁率から、現像槽内現像剤3に対するトナーの比率が求められる。例えば、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が少ない場合は、トナー比率が高いと検出される。一方、現像槽内現像剤3に含まれるキャリア量が多い場合は、トナー比率が低いと検出される。そして、このトナー濃度検出センサ78から出力された電圧信号は、制御部100に入力され、この検出信号に基づいて、必要な補給量が算出されるとともに、現像剤補給タンク80の現像剤補給ローラが駆動され、所定量の補給用現像剤2が現像槽66内に補給される。
現像装置34において、印字動作により、現像槽内現像剤3のトナー濃度が低下すると、トナーと少量のキャリアとを含有する補給用現像剤2が現像剤補給タンク80から補給される。補給された補給用現像剤2は、すでに存在する現像槽内現像剤3と混合・攪拌されながら、上記現像剤攪拌搬送室67の第一搬送路68及び第二搬送路70に沿って搬送される。基本的には、トナーは感光体12で消費されるのに対して、キャリアは現像装置34内に蓄積されるが、キャリアの帯電性能は次第に低下する。補給用現像剤2にはトナーよりも嵩高いキャリアが少量含まれているので、補給用現像剤2の補給に伴って、現像装置34内での現像槽内現像剤3の量が徐々に増加する。そして、嵩の増えた現像槽内現像剤3が現像剤攪拌搬送室67を循環する。現像剤攪拌搬送室67を循環しきれない余剰の現像槽内現像剤3は、逆羽根部77を乗り越えて、第二搬送路70の搬送方向の下流側端部(右端部)に設けられた流出口75から流出して、回収口92を介して現像剤回収タンク90に回収される。
補給用現像剤2の補給量は、トナー濃度検出センサ78によって検出された現像槽内現像剤3の現トナー濃度あるいは画像形成時の印字率(ドットカウンタ)と、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比と、に基づいて決定される。現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比は、現像装置34内でのキャリアの劣化を抑制するとともに、コストアップを招かない程度に調整される。トナーの補給動作に伴って、キャリアが少しずつ供給される。
また、スキャナが印字率を測定するための印字率測定手段として用いられ、スキャナのスキャン信号により、原稿の所定領域における印字率が測定される。原稿の画像は数10μmの径のレーザードットにより画像形成されるので、画像の所定領域でこのレーザードットの割合を解析することにより印字率が測定される。
図3は、画像形成装置1の現像装置34に係る制御ブロック図を示している。
制御手段としての制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)106等から構成される。ROM104内に格納されている各種処理プログラムやテーブルに従って、CPU102は画像形成装置1での各種動作を集中的に制御する。ROM104には、例えば、トナー濃度検出センサ78で検出された電圧から現像槽内現像剤3の現トナー濃度に変換・算出するためのトナー濃度算出テーブルや、現像槽内現像剤3の現トナー濃度と基準トナー濃度との間のトナー濃度差から補給すべき現像剤量を算出するための現像剤補給用テーブルが格納されている。
また、RAM106には、制御部100により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するためのワークエリアが形成されている。
CPU102には、現像装置34や現像剤補給タンク80やカウンタ108が接続されている。現像装置34を構成する現像剤攪拌部材72,74、トナー濃度検出センサ78、現像ローラ48の動作、及び、補給用現像剤2の補給制御が、それぞれ、制御部100のCPU102によって制御される。すなわち、CPU102は、キャリア補給量(Cin)やキャリア残存量(Cin−Cmax)やキャリア積算値(S)等を算出する算出手段や、トナー濃度やキャリア積算値(S)等が所定の値になっているかを判別する判別手段や、トリクル排出機構による現像槽内現像剤3の排出量を増大させる排出増大動作を実行するように制御する排出増大手段や、補給動作や画像形成動作やスキャナのスキャン動作等を制御する制御手段としての機能を有している。
そして、トナー濃度検出センサ78で検出された現像槽内現像剤3の現トナー濃度や、画像形成時の印字率(画像情報)や、キャリア補給量(Cin)やキャリア残存量(Cin−Cmax)やキャリア積算値(S)、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比や印字率等は、RAM106に一時的に記憶されている。
ここで、印字率とは、画像を構成する全面積を100%としたときに、トナーを載せる部分の面積の割合のことであり、言いかえれば、画像形成におけるトナー付着量に関係している。
〔現像剤〕
2成分現像剤は、トナーと、トナーを帯電させるためのキャリアと、を含んでいる。本発明においては、画像形成装置1において従来から一般的に使用されている公知のトナーが使用可能である。トナーの粒径は、例えば約3乃至15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナーや、荷電制御剤や離型剤を含有するトナーや、表面に添加剤を保持するトナーも使用可能である。
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造される。
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80乃至160℃の範囲であり、ガラス転移点が約50乃至75℃の範囲であることが好ましい。
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2乃至20重量部であることが好ましい。
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1乃至10重量部の割合で用いることが好ましい。
さらに、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1乃至5重量部の割合で添加することが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は、9乃至100nmであることが好ましい。
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15乃至100μmであることが好ましい。
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50乃至90重量%の量で添加することが適切である。
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
現像槽内現像剤3のトナー及びキャリアの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整される。現像槽内現像剤3のトナー比は、トナー及びキャリアの合計量に対して、好ましくは3乃至20重量%であり、より好ましくは4乃至15重量%である。また、現像剤補給タンク80に充填されている補給用現像剤2は、トナー及び少量のキャリアを含有したものであり、補給用現像剤2のキャリア比は、好ましくは1乃至50重量%であり、より好ましくは5乃至30重量%である。
このように構成された現像装置34の基本動作を説明する。
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48のスリーブ48bは矢印方向(反時計回り)に回転する。第一スクリュー72の回転及び第二スクリュー74の回転により、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3は、第一搬送路68と第二搬送路70とを循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアとが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。本発明に用いるトナー及びキャリアの帯電性は、このような組み合わせに限定されるものでない。キャリアの外形寸法は、トナーに比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
帯電された現像槽内現像剤3は、第二スクリュー74によって第二搬送路70に搬送される過程で現像ローラ48に供給される。この現像剤は、現像ローラ48内部の磁石体48aの磁力によってスリーブ48bの表面側に保持され、スリーブ48bと共に反時計周り方向に回転移動して、現像ローラ48に対向して設けられた規制板62で通過量を規制された後、感光体12と対向する現像領域へと搬送される。そして、現像領域において、磁石体48aの主磁極N1の磁力によって穂立ち(磁気ブラシ)が形成される。現像領域では、感光体12上の静電潜像と現像バイアスの印加された現像ローラ48との間に形成された電界(直流に交流が重畳された電界)がトナーに与える力により、トナーが感光体12上の静電潜像側へと移動して、この静電潜像が顕像へと現像される。現像領域でトナーを消費した現像剤は、現像槽66に向けて搬送され、現像槽66の第二搬送路70に対向して設けられた磁石体48aのN3,N2の反発磁界によって現像ローラ48上から剥離され、現像槽66内へと回収される。回収された現像剤は、第二搬送路70を搬送されている現像槽内現像剤3と混合される。
このような画像形成によって現像槽内現像剤3の中からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像槽内現像剤3に補給される。そのために、現像装置34は、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3に対するトナーの比を測定するトナー濃度検出センサ78を備えている。また、第一搬送路68の上方には現像剤補給タンク80が設けてある。
次に、第一実施形態に係る現像装置34の動作を、図4及び5を参照しながら説明する。
図4は、現像槽66内におけるキャリア量が経時的にどのように変動するかを模式的に説明する図である。(A)は補給動作に関するものであり、(B)は排出動作に関するものであり、(C)は積算動作に関するものである。図5は、第一実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンのフローチャートである。
図4の(A)は、現像剤補給タンク80から現像槽66に補給される補給用現像剤2に含まれるキャリアの量(キャリア補給量:Cin)が経時的にどのように変動するかを模式的に示している。図4の(A)において、横軸は現像装置34の駆動時間であり、縦軸は所定時間当たりのキャリア補給量(Cin)であり、Cmaxは所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量である。
また、図4の(B)は、トリクル排出機構により現像槽66の外に排出される現像槽内現像剤3に含まれるキャリアの量(キャリア排出量:Cout)が経時的にどのように変動するかを模式的に示している。図4の(B)において、横軸は現像装置34の駆動時間であり、縦軸は所定時間当たりのキャリア排出量(Cout)であり、Cmaxは所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量である。
また、図4の(C)は、所定時間当たりにキャリアが現像槽66内に残存するキャリア残存量(Cin−Cmax)を積算したキャリア積算値(S)が経時的にどのように変動するかを模式的に示している。図4の(C)において、横軸は現像装置34の駆動時間であり、縦軸は所定時間当たりのキャリア積算値(S)であり、Ceは現像槽内現像剤3が規制ギャップ63から溢出する手前の溢出限界量から、トリクル排出機構によって排出される手前の現像槽内現像剤3が現像槽66を満たす満充填量を差し引いた現像剤余剰収容量に含まれるキャリア余剰収容量である。
現像槽66内のトナー濃度が低下すると、現像槽内現像剤3の現トナー濃度と基準トナー濃度との間の濃度差と、補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて算出された量の補給用現像剤2が、現像剤補給タンク80から現像槽66に補給される。補給された補給用現像剤2に含まれるキャリアの量すなわちキャリア補給量(Cin)は、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比から算出される。したがって、現像槽66内でのトナー濃度が変動すると、図4の(A)のように、キャリア補給量(Cin)が変動する。
図4の(A)の(i)領域に示されているように、キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも少なければ、キャリアは、図4の(B)の(i)領域に示されているように、キャリア排出量(Cout)がキャリア補給量(Cin)に近似した状態で、トリクル排出機構の切欠(流出口)75から排出される。したがって、キャリア排出量≒キャリア補給量という関係になって、キャリアが現像槽66内の余剰空間に残存することはないので、図4の(C)の(i)領域に示されているように、キャリア積算値(S)がゼロに設定される。
図4の(A)の(ii)領域の左側で山のように示されているように、キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも一時的に多くなったとき、キャリアは、図4の(B)の(ii)領域に示されているように、キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)と実質的に等しい状態で、トリクル排出機構の切欠(流出口)75から排出される。そして、キャリア最大排出量(Cmax)を越えた分のキャリアは、トリクル排出機構の切欠(流出口)75から排出されることなく現像槽66内に残存する。現像槽66内に残存したキャリアの量すなわちキャリア残存量(Cin−Cmax)を積算したキャリア積算値(S)は、ある値を取りながら推移する。
図4の(A)の(ii)領域の山のように示された部分の右側では、キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも少なくなっているので、キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)と実質的に等しい状態になるはずである。しかしながら、通常の低印字率画像の印刷出力に合わせてトリクル排出機構による排出量が少なめに設定されているために、トリクル排出機構によるキャリアの排出が間に合わない状態になってしまう。その結果、キャリアの補給と排出との間にはタイムラグが生じてしまう。そのために、キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも多い状態(図4の(A)の(ii)領域の山形状部分)を経過したあとでも、キャリアが現像槽66内に残存しているので、キャリアは、しばらくの間、キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)と実質的に等しい状態で、トリクル排出機構の切欠(流出口)75から排出される。
図4の(A)の(iii)領域では、キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも少なくなっているので、キャリアは、図4の(B)の(iii)領域に示されているように、キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも少ない状態で排出される。キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも少ない状態で排出されるとき、図4の(C)の(iii)領域に示されているように、キャリア積算値(S)がゼロに設定される。
図4の(A)の(iv)領域は、写真等の高印字率画像の印刷出力が開始し、その後、高印字率画像を連続して印刷出力することにより現像装置内のトナーが多量に消費されたために、現像剤すなわちキャリアの補給動作が実行されていることを示している。キャリア補給量(Cin)がキャリア最大排出量(Cmax)よりも多いので、キャリアは、図4の(B)の(iv)領域に示されているように、所定時間当たりにおいて、キャリア排出量(Cout)がキャリア最大排出量(Cmax)と実質的に等しい状態で排出される。そして、キャリア最大排出量(Cmax)を越えた分のキャリアは、現像槽66内に残存する。キャリアが現像槽66内に残存するキャリア残存量(Cin−Cmax)を積算したキャリア積算値(S)が、キャリア余剰収容量(Ce)に達するまでは、キャリアは現像槽66内の余剰空間に収容されるが、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)に達すると、現像槽内現像剤3が規制ギャップ63から溢出する可能性がある危険な状態になる。そこで、補給用現像剤2の補給動作や画像形成動作の停止、あるいは強制排出動作等の危険回避の適切な動作が実行されることになる。
図4の(A)の(v)領域は、現像槽内現像剤3の溢出の危険性があると判定されたときに、トリクル排出機構による現像槽内現像剤3の排出を増大させる排出増大動作が実行されることを示している。後述するように、排出増大動作というのは、排出機構での攪拌部材72,74の回転数を大きくすることや、排出用開口部95を拡大することである。排出増大動作を実行することにより、キャリア最大排出量(Cmax)が従前のものよりも大きくなる。現像槽66内において余剰に収容されたキャリアが通常の排出量よりも多く排出されるので、キャリア積算値(S)が急速に低下し、キャリアが現像槽66内の余剰空間に残存することが無くなる。
次に、図5を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る蓄積量予測制御について説明する。本サブルーチンが実行されている間には、高印字率画像の印刷出力が繰り返し実行されている。
ステップS112において、トナー濃度検出センサ78によって、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3の現トナー濃度に関する電圧信号が出力される。ステップS114において、出力された電圧信号は、制御部100で現トナー濃度の値に変換・算出される。
ステップS120において、現トナー濃度が基準トナー濃度よりも低いか否かが判別される。現トナー濃度が基準トナー濃度よりも高くてNOが選択される場合には、ステップS112の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS120において現トナー濃度が基準トナー濃度よりも低いとYESが選択される。ステップS122において、トナー濃度検出センサ78によって検出された現トナー濃度と基準トナー濃度との間の濃度差と、補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、補給用現像剤2の補給量が算出される。そして、所定量の補給用現像剤2が補給される。
ステップS124において、ステップS122で算出された補給用現像剤2の補給量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)が算出される。
ステップS126において、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)から、所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量(Cmax)を差し引いてキャリア残存量(Cin−Cmax)を算出した後、キャリア残存量(Cin−Cmax)を積算することによりキャリア積算値(S)を算出する。
ステップS130において、キャリア積算値(S)がゼロ以下であるか否かが判別される。キャリア積算値(S)がゼロ以下でありYESが選択される場合には、ステップS132に進んでキャリア積算値(S)をゼロにセットしたあと、ステップS112の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS130においてキャリア積算値(S)がゼロよりも大きいとNOが選択され、ステップS140に進む。ステップS140において、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さいか否かが判別される。キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さくてYESが選択される場合には、ステップS112の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS140においてキャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)よりも大きいと、現像槽内現像剤3が現像槽66の規制ギャップ63から溢出する手前の溢出限界量に達していると予測されるので、NOが選択され、ステップS150に進む。ステップS150において、現像装置34の第一スクリュー72及び第二スクリュー74の回転数を大きくして、切欠(流出口)75を介して、蓄積された現像槽内現像剤3を現像槽66の外により多量に排出させる。例えば、攪拌部材72,74が通常回転数200rpmで回転していたのを回転数300rpmにアップさせる。すなわち、一例として、攪拌部材72,74の回転数を通常動作時よりも50%アップさせる。キャリア積算値(S)がゼロに戻ると、攪拌部材72,74の回転数を元の通常回転数に戻す。そして、第一実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンが終了して、元のメインルーチンに戻る。
上述したような第一実施形態に係る蓄積量予測制御を行うことにより、非常に簡便且つ低コストで、トリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽66内に蓄積されているかを予測することができる。そして、キャリアすなわち現像剤が現像槽66から溢出しそうであるという予測結果に基づいて、余剰キャリアすなわち余剰現像剤の強制排出を行うことにより、現像剤が規制ギャップ63から溢出して画像形成装置1を破損に至らしめることを回避することができる。
次に、図4及び6を参照しながら、第二実施形態に係る蓄積量予測制御について説明する。図6は、第二実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンのフローチャートを示している。本サブルーチンが実行されている間には、高印字率画像の印刷出力が繰り返し実行されている。なお、上記第一実施形態と共通する部分の説明を省略して、第一実施形態との相違部分を中心に説明する。
高印字率画像の印刷出力が実行されると、多量のトナーが消費されるので、画像形成時の印字率(ドットカウンタ)と高印字率の画像形成の枚数と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて算出された量の補給用現像剤2が、現像剤補給タンク80から現像槽66に補給される。補給された補給用現像剤2に含まれるキャリアの量すなわちキャリア補給量(Cin)は、現像剤補給タンク80内での補給用現像剤2に対するキャリア比から算出される。したがって、現像槽66内でのトナー濃度が変動すると、図4の(A)のように、キャリア補給量(Cin)が変動する。そこで、図6に示すような蓄積量予測制御が実行される。
図6のステップS212において、所定枚数毎に、画像サイズ情報から画像の総面積を積算し、または、該総面積に形成される画像データを積算することにより印字率が算出される。例えば、印字率が5%程度であれば主としてテキストからなる画像データであり、印字率がおおよそ70%以上であれば、画像データは主として写真等の画像データであり、高印字率の画像形成であると考えられる。
算出された印字率からどれくらいの量のトナーが消費されたかが分かるので、ステップS222において、算出された消費トナー量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、補給用現像剤2の補給量が算出される。そして、所定量の補給用現像剤2が補給される。
ステップS224において、ステップS222で算出された補給用現像剤2の補給量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)が算出される。
ステップS226において、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)から、所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量(Cmax)を差し引いてキャリア残存量(Cin−Cmax)を算出した後、キャリア残存量(Cin−Cmax)を積算することによりキャリア積算値(S)を算出する。
ステップS230において、キャリア積算値(S)がゼロ以下であるか否かが判別される。キャリア積算値(S)がゼロ以下でありYESが選択される場合には、ステップS232に進んでキャリア積算値(S)をゼロにセットしたあと、ステップS212の印字率の算出動作に戻る。
ステップS230においてキャリア積算値(S)がゼロよりも大きいとNOが選択され、ステップS240に進む。ステップS240において、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さいか否かが判別される。キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さくてYESが選択される場合には、ステップS212の印字率の算出動作に戻る。
ステップS240においてキャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)よりも大きいと、現像槽内現像剤3が現像槽66の規制ギャップ63から溢出する手前の溢出限界量に達していると予測されるので、NOが選択され、ステップS250に進む。現像装置34の設計的事項であるキャリア余剰収容量(Ce)によっても異なるが、ほんの一例として、70%以上の高印字率のものを50乃至100枚程度連続的に行うと溢出限界量に達するように設計されている。ステップS250において、現像装置34の第一スクリュー72及び第二スクリュー74を回転駆動させて、切欠(流出口)75を介して、蓄積された現像槽内現像剤3を現像槽66の外により多量に排出させる。例えば、攪拌部材72,74が通常回転数200rpmで回転していたのを回転数300rpmにアップさせる。すなわち、一例として、攪拌部材72,74の回転数を通常動作時よりも50%アップさせる。キャリア積算値(S)がゼロに戻ると、攪拌部材72,74の回転数を元の通常回転数に戻す。そして、第二実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンが終了して、元のメインルーチンに戻る。
上述したような第二実施形態に係る蓄積量予測制御を行うことにより、非常に簡便且つ低コストで、トリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽66内に蓄積されているかを予測することができる。そして、キャリアすなわち現像剤が溢出しそうであるという予測結果に基づいて、余剰キャリアすなわち余剰現像剤の強制排出を行うことにより、現像剤が規制ギャップ63から溢出して画像形成装置1を破損に至らしめることを回避することができる。
次に、第三実施形態に係る現像装置34の特徴部分の構成及びその動作を、図7及び9を参照しながら説明する。
図9は、排出増大動作に関係する排出用開口部95の拡大機構を説明する図である。図9に示すように、現像装置34は、上述したトリクル排出機構に加えて、せき止め部材73と受け部材97とから構成された排出量調節構造をさらに備えている。
せき止め部材73は、大略円板形状をしており、その中心に設けられた挿通穴に対して、第二スクリュー74の回転シャフト74cが挿通されているとともに第二スクリュー74の回転軸に対して固定されている。せき止め部材73は、第二スクリュー74の回転シャフト74cとともに回転シャフト74cの方向に移動可能なように構成されている。
第二スクリュー74の回転シャフト74cの左側すなわち上流側の端部には、弾性支持部材94が配設されている。弾性支持部材94は、現像槽66の内壁面に対して第二スクリュー74の回転シャフト74cを弾性的に支持するように設けられたバネ部材である。
また、第二スクリュー74の回転シャフト74cの右側すなわち下流側の端部には、回転シャフト74cを左側すなわち上流側に押圧する押圧部材96が連設されている。棒状の押圧部材96の右側すなわち下流側には、駆動モータ98が設けられている。駆動モータ98を作動させて棒状の押圧部材96を第二スクリュー74の回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動させると、棒状の押圧部材96に連接された第二スクリュー74の回転シャフト74cも移動し、あわせてせき止め部材73も移動することができる。
したがって、第二スクリュー74の回転シャフト74cに対して固定されたせき止め部材73は、弾性支持部材94によって弾性的に支持されながら、第二スクリュー74の回転シャフト74cの方向に移動することができる。
また、受け部材97の左側すなわち下流側の端面とせき止め部材73との間には排出用開口部95が形成されている。図2に示した切欠(流出口)75から排出された現像槽内現像剤3は、排出用開口部95を介して現像剤排出部79の内部空間に排出される。
図9(A)は、現像装置34が通常運転されている場合である。トリクル方式の排出機構により、現像槽内現像剤3の盛り上がりが逆スクリュー部77の周囲に形成される。通常運転では、押圧部材96が回転シャフト74cの右側すなわち下流側に位置しているので、弾性支持部材94の弾性力により、第二スクリュー74に固定されたせき止め部材73は、回転シャフト74cの右側すなわち下流側に押圧され、回転シャフト74cの右側すなわち下流側に位置している。したがって、せき止め部材73と受け部材97の端面とから形成される排出用開口部95には、通常の開口領域が形成されている。
図9(B)のように現像装置34が排出増大動作を実行する場合、不図示のスイッチをONにして駆動モータ98を作動させると、押圧部材96が第二スクリュー74の回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動する。第二スクリュー74の回転シャフト74cは、弾性支持部材94の弾性力に抗しながら、回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動する。回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動したせき止め部材73と、受け部材97の端面とから形成される排出用開口部95の開口領域が広くなっている。したがって、現像槽内現像剤3の排出量を増大させることができる。そして、不図示のスイッチをOFFにして駆動モータ98を停止させて、押圧部材96が第二スクリュー74の回転シャフト74cの右側すなわち下流側に移動し、弾性支持部材94の弾性復元力により、第二スクリュー74の回転シャフト74cが右側すなわち下流側に押し戻される。したがって、せき止め部材73が図9(A)に示した通常の位置に戻り、排出用開口部95が元の通常の開口状態に戻ることができる。
次に、図7を参照しながら、本発明の第三実施形態に係る蓄積量予測制御について説明する。本サブルーチンが実行されている間には、高印字率画像の印刷出力が繰り返し実行されている。
ステップS312において、トナー濃度検出センサ78によって、現像剤攪拌搬送室67に存する現像槽内現像剤3の現トナー濃度に関する電圧信号が出力される。ステップS314において、出力された電圧信号は、制御部100で現トナー濃度の値に変換・算出される。
ステップS320において、現トナー濃度が基準トナー濃度よりも低いか否かが判別される。現トナー濃度が基準トナー濃度よりも高くてNOが選択される場合には、ステップS312の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS320において現トナー濃度が基準トナー濃度よりも低いとYESが選択される。ステップS322において、トナー濃度検出センサ78によって検出された現トナー濃度と基準トナー濃度との間の濃度差と、補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、補給用現像剤2の補給量が算出される。そして、所定量の補給用現像剤2が補給される。
ステップS324において、ステップS122で算出された補給用現像剤2の補給量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)が算出される。
ステップS326において、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)から、所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量(Cmax)を差し引いてキャリア残存量(Cin−Cmax)を算出した後、キャリア残存量(Cin−Cmax)を積算することによりキャリア積算値(S)を算出する。
ステップS330において、キャリア積算値(S)がゼロ以下であるか否かが判別される。キャリア積算値(S)がゼロ以下でありYESが選択される場合には、ステップS332に進んでキャリア積算値(S)をゼロにセットしたあと、ステップS312の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS330においてキャリア積算値(S)がゼロよりも大きいとNOが選択され、ステップS340に進む。ステップS340において、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さいか否かが判別される。キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さくてYESが選択される場合には、ステップS312の現トナー濃度の測定に戻る。
ステップS340においてキャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)よりも大きいと、現像槽内現像剤3が現像槽66の規制ギャップ63から溢出する手前の溢出限界量に達していると予測されるので、NOが選択され、ステップS350に進む。ステップS350において、不図示のスイッチをONにして駆動モータ98を作動させて、押圧部材96を回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動させ、第二スクリュー74の回転シャフト74cも回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動させる。その結果、回転シャフト74cに固定されたせき止め部材73も左側すなわち上流側に移動するので、せき止め部材73と受け部材97の端面とから形成される排出用開口部95の開口領域が図9(B)のように広くなる。拡大した排出用開口部95からより多くのキャリアすなわち現像槽内現像剤3を排出させることができるので、蓄積されたキャリアすなわち現像槽内現像剤3の排出量が増大する。キャリア積算値(S)がゼロに戻ると、不図示のスイッチをOFFにして、排出用開口部95を図9(A)に示した元の通常の開口状態に戻す。。そして、第三実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンが終了して、元のメインルーチンに戻る。
上述したような第三実施形態に係る蓄積量予測制御を行うことにより、非常に簡便且つ低コストで、トリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽66内に蓄積されているかを予測することができる。そして、キャリアすなわち現像剤が現像槽66から溢出しそうであるという予測結果に基づいて、余剰キャリアすなわち余剰現像剤の強制排出を行うことにより、現像剤が規制ギャップ63から溢出して画像形成装置1を破損に至らしめることを回避することができる。
次に、図8を参照しながら、第四実施形態に係る蓄積量予測制御について説明する。図8は、第四実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンのフローチャートを示している。本サブルーチンが実行されている間には、高印字率画像の印刷出力が繰り返し実行されている。なお、上記第三実施形態と共通する部分の説明を省略して、第三実施形態との相違部分を中心に説明する。
ステップS412において、所定枚数毎に、画像サイズ情報から画像の総面積を積算し、または、該総面積に形成される画像データを積算することにより印字率が算出される。例えば、印字率が5%程度であれば主としてテキストからなる画像データであり、印字率がおおよそ70%以上であれば、画像データは主として写真等の画像データであり、高印字率の画像形成であると考えられる。
算出された印字率からどれくらいの量のトナーが消費されたかが分かるので、ステップ422において、算出された消費トナー量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、補給用現像剤2の補給量が算出される。そして、所定量の補給用現像剤2が補給される。
ステップ424において、ステップ422で算出された補給用現像剤2の補給量と補給用現像剤2のキャリア比とに基づいて、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)が算出される。
ステップ426において、所定時間当たりのキャリアの補給量(Cin)から、所定時間当たりにトリクル排出機構によってキャリアが最大限に排出されるキャリア最大排出量(Cmax)を差し引いてキャリア残存量(Cin−Cmax)を算出した後、キャリア残存量(Cin−Cmax)を積算することによりキャリア積算値(S)を算出する。
ステップ430において、キャリア積算値(S)がゼロ以下であるか否かが判別される。キャリア積算値(S)がゼロ以下でありYESが選択される場合には、ステップS432に進んでキャリア積算値(S)をゼロにセットしたあと、ステップS412の印字率の算出動作に戻る。
ステップ430においてキャリア積算値(S)がゼロよりも大きいとNOが選択され、ステップS440に進む。ステップS240において、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さいか否かが判別される。キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)より小さくてYESが選択される場合には、ステップS412の印字率の算出動作に戻る。
ステップ440においてキャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)よりも大きいと、現像槽内現像剤3が現像槽66の規制ギャップ63から溢出する手前の溢出限界量に達していると予測されるので、NOが選択され、ステップS450に進む。現像装置34の設計的事項であるキャリア余剰収容量(Ce)によっても異なるが、ほんの一例として、70%以上の高印字率のものを50乃至100枚程度連続的に行うと溢出限界量に達するように設計されている。ステップS450において、不図示のスイッチをONにして駆動モータ98を作動させて、押圧部材96を回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動させ、第二スクリュー74の回転シャフト74cも回転シャフト74cの左側すなわち上流側に移動させる。その結果、回転シャフト74cに固定されたせき止め部材73も左側すなわち上流側に移動するので、せき止め部材73と受け部材97の端面とから形成される排出用開口部95の開口領域が図9(B)のように広くなる。拡大した排出用開口部95からより多くのキャリアすなわち現像槽内現像剤3を排出させることができるので、蓄積されたキャリアすなわち現像槽内現像剤3の排出量が増大する。キャリア積算値(S)がゼロに戻ると、不図示のスイッチをOFFにして、排出用開口部95を図9(A)に示した元の通常の開口状態に戻す。そして、第四実施形態に係る蓄積量予測制御に関するサブルーチンが終了して、元のメインルーチンに戻る。
上述したような第四実施形態に係る蓄積量予測制御を行うことにより、非常に簡便且つ低コストで、トリクル排出機構の排出レベルを越えてどれだけの量のキャリアが現像槽66内に蓄積されているかを予測することができる。そして、キャリアすなわち現像剤が溢出しそうであるという予測結果に基づいて、余剰キャリアすなわち余剰現像剤の強制排出を行うことにより、現像剤が規制ギャップ63から溢出して画像形成装置1を破損に至らしめることを回避することができる。
なお、上記各実施形態においては、具体的な実施形態を用いながら説明したが、当該実施形態によって本願発明が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等物によって画定される範囲から逸脱しない範囲で本願発明を様々に変形させることができる。
上述した各実施形態では、キャリア積算値(S)がキャリア余剰収容量(Ce)よりも大きいと判定された場合に排出増大動作を実行しているが、排出増大動作とともに、補給動作や画像形成動作を停止させたり、警告動作(ディスプレイ上の警告表示や音声による警告)を実行したりすることができる。
また、上述した実施形態では、補給用現像剤2の補給量を算出するために、トナーの消費量が算出されている。トナーの消費量を算出するために、上記第一実施形態及び第三実施形態ではトナー濃度を、上記第二実施形態及び第二実施形態では印字率を、それぞれ用いているが、トナー濃度と印字率とを組み合わせて用いることも可能である。さらには、現像装置34の現像槽66のキャリア余剰収容量(Ce)となる高さ位置にセンサを別途に設けて、当該センサによりキャリア余剰収容量(Ce)に達したことを検出したら、現像槽内現像剤3の排出量を増大させるようにしてもよい。