JP4325425B2 - 現像装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置に係り、特に、新しい現像剤を徐々に入れ替えるトリクル機構が付設された態様の現像装置及びこれを用いた画像形成装置の改良に関する。
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置で使用される現像装置としては、使用する現像剤の種別等により各種提案がなされているが、中でもトナー帯電量が確保し易い二成分現像剤を使用する二成分現像方式が広く採用されている。
この種の二成分現像方式の現像装置240としては、例えば図12に示すように、感光体ドラム等の潜像担持体210に対向して開口する現像ハウジング300を有し、この現像ハウジング300内に二成分現像剤を収容すると共に、現像ハウジング300の開口に面して現像剤担持体310を配設し、この現像剤担持体310の背面側に現像剤循環搬送機構320を設けたものがある。
ここで、現像剤循環搬送機構320は、現像ハウジング300内に仕切り部330にて区画された循環搬送経路(例えば一対の搬送経路340,350の両端部を連通口360,370にて連通させた態様)を形成すると共に、各搬送経路340,350には一対の撹拌搬送用オーガー410,420を配設し、この撹拌搬送用オーガー410,420にて現像ハウジング300内の現像剤を撹拌搬送しながら現像剤担持体310へと搬送するものである。尚、符号390はトナー補給口である。
本態様においては、現像剤が現像装置内を循環する間に、トナーは印刷動作に伴い随時消費されて新しいトナーと入れ替わっていくが、キャリアは現像装置内にとどまったまま劣化していき帯電特性の低下を引き起こすこととなる。このため、従来の現像装置においては現像剤の定期交換が必要となっていた。
そこで、現像装置内の現像剤が徐々に新しいものと入れ替わっていくことで現像剤の劣化を抑制するようなトリクル機構と呼ばれる付加機構が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。
この種のトリクル機構としては、現像装置内の現像剤循環搬送機構の端部に障壁で高さを規制された現像剤溜まり部を設け、その部分の現像剤を随時排出することで、新しい現像剤と順次入れ替わるようにして現像剤の現像能力を維持できるようにした方式が採用されている。
一方、従来の現像装置においては、現像剤の搬送ムラが起こりやすいという技術的課題も見られた。これは、現像剤循環搬送機構320の搬送損失によるものであり、現像剤が局所的に偏って画像濃度傾斜を招いたり、あるいは、現像剤が局所的に滞留し実効的な現像剤量が低下したりすることで現像剤の劣化が促進され、現像剤寿命の低下を引き起こしていた。
このような不具合を解消するために、現像装置内のスムーズな循環を促すような技術が提案されている。これは、現像剤循環搬送機構の搬送力に局所的な差を設け、現像剤循環搬送機構内での現像剤量を均一化することで、上述した不具合を解決しようとしたものである(例えば特許文献2参照)。
特開2001−166593号公報(発明の実施の形態,図4) 特開平11−84874号公報(発明の実施の形態,図2)
ところが、前記したような従来の現像装置においては、現像装置やそれを搭載した画像形成装置の設置状態に起因する傾斜変動に対して、現像装置内の現像剤量や現像剤分布が非常に敏感に変動してしまうという技術的課題が見られる。
例えば特許文献1に示すように、現像剤溜まり部を設けて現像剤を随時排出させていくような構成の現像装置においては、現像剤溜まり部の障壁における現像剤高さが一定となるように現像剤量が推移する。このため、傾斜があるところに画像形成装置を設置するなどの原因で、現像剤循環搬送機構の特に軸方向に対する傾斜が現像装置に与えられた場合に、現像装置内の現像剤面は水平を保とうと作用してしまう。これにより、現像装置内での現像剤分布が偏ると共に、現像剤量が変動してしまい、このことでさまざまな不具合が起こってしまうことがある。例えば、障壁に代表されるような現像剤の高さ規制を設けた場所が上になるような傾斜の場合には、現像剤量の増加と共に駆動トルクが増大して現像装置の駆動が困難になったり、逆に、現像剤の高さ規制を設けた場所が下になるような傾斜の場合には、現像剤量の減少と現像剤分布の偏りの影響で濃度傾斜が起こったり、端部で画像が出なくなったり、あるいは、現像剤担持体へ現像剤を供給する部材の形状パターン(例えば本例のように、撹拌搬送オーガーを用いている場合にはオーガーマークと呼ぶ)が画像へ映るといった問題を引き起こしてしまうのである。
一方、特許文献2に示すように、現像剤循環搬送機構の局所的な搬送力に差を設け、現像剤量の均一化を図った構成の現像装置においても、現像装置が傾斜すると、現像剤の流動バランスが崩れ、やはり現像装置内の現像剤分布が偏ってしまう。すなわち、この場合も同様に、前述したようなトルク増大による現像装置の駆動困難、濃度傾斜あるいはオーガーマーク発生といった画像不良などを引き起こし易い性質を有しているといえる。
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、主に現像装置の傾斜設置状態に起因する現像剤量や現像剤分布の変動を抑え、良好な現像剤循環をもたらす現像装置及びこれに用いられる画像形成装置を提供するものである。
すなわち、本発明は、図1(a)〜(c)に示すように、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容され且つ現像用開口が開設された現像ハウジング1と、この現像ハウジング1の現像用開口に面して配設され且つ二成分現像剤が担持される現像剤担持体2と、現像ハウジング1のうち現像剤担持体2の背面側に配設され且つ現像剤担持体2の軸方向に延びる複数の撹拌搬送部材3a,3bを有し、これらの撹拌搬送部材3a,3bにて現像剤を撹拌しながら循環搬送する現像剤循環搬送機構3と、現像ハウジング1内の現像剤のうち古い現像剤が徐々に排出され且つ新しい現像剤と入替が可能なトリクル機構4とを備えた現像装置において、トリクル機構4として、現像ハウジング1のうち撹拌搬送部材(例えば3a)の搬送方向下流側の一部に開設されるトリクル排出口6と、このトリクル排出口6に対応して配設され、トリクル排出口6からの現像剤の排出量を規制すべく、撹拌搬送部材3aによる現像剤の搬送方向と逆方向に向けて現像剤が搬送可能な逆流発生部材7とを備え、トリクル排出口6と逆流発生部材7の外周部との間の隙間領域8が逆流発生部材7の上方側を局所的に狭くした不均一分布に設定されていることを特徴とするものである。
このような技術的手段において、本件は、現像剤循環搬送機構3とトリクル機構4とを備えた態様を前提とする。
ここで、現像剤循環搬送機構3としては、複数の撹拌搬送部材(通常はオーガーを使用)3a,3bにて所定の循環経路内を循環搬送させるものであればよく、代表的には一対の搬送経路の両端付近に連通口を開設した循環態様が挙げられるが、これに限られるものではなく、3以上の搬送経路を用いて現像剤循環経路を構築するようにしてもよい。
また、トリクル機構4の配設箇所は現像ハウジング1の任意間箇所で差し支えないが、通常は現像ハウジング1のうち現像剤担持体2の軸方向端部寄りに設けられる。
更に、トリクル機構4は、前記トリクル排出口6と逆流発生部材7とを基本的に備えていればよいが、トリクル排出口6から排出された廃現像剤を所定の排出路を経由して処理するような場合には、トリクル排出口6に連通する排出路形成部材4aを設け、この排出路形成部材4a内にオーガー等の排出搬送部材4bを配設すると共に、排出路形成部材4aの一部に排出路出口4cを開口し、この排出路出口4cより廃現像剤を廃棄するようにする等適宜設計変更して差し支えない。
また、トリクル排出口6は円形状を基本形状とするが、これに限定されるものではなく、例えば多角形状を基本形状としてもよい。
更に、逆流発生部材7は、現像剤循環経路内での現像剤の搬送方向と逆方向に搬送するものであればよく、撹拌搬送部材3a,3bと同様の構成を採用することができる。但し、外周径やオーガーの搬送ピッチ間隔などは任意に設定して差し支えない。
ここで、「トリクル排出口6と逆流発生部材7の外周部との間の隙間領域8が逆流発生部材7の上方側を局所的に狭くした不均一分布に設定されている」とは、前記隙間領域8が逆流発生部材7の周囲に対して均一分布しておらず、逆流発生部材7の上方側を狭めるようにし、逆流発生部材7の上方側の隙間領域8の占める割合を低減したものを広く含む趣旨である。
また、現像剤排出用の隙間領域8分布のうち、局所的に狭い部分の好ましいレイアウトとしては、トリクル排出口6と逆流発生部材7の外周部との間の隙間領域8のうち局所的に狭い部分は、現像ハウジング1水平配置時の定常状態における現像剤に埋没しない逆流発生部材7上部の少なくとも一部に対応した部位であればよい。
本態様では、現像装置の傾斜設置に伴って現像剤が不必要に排出される事態は有効に回避される。
そして、現像剤排出用の隙間領域8における不均一分布の代表的態様としては、トリクル排出口6と逆流発生部材7の外周部との間の隙間領域8のうち、逆流発生部材7の最上部位置の上方隙間が当該逆流発生部材7の最下部位置の下方隙間より狭く設定されている態様が挙げられる。このように、逆流発生部材7の最上部位置と最下部位置とを基準とした上方隙間、下方隙間の占める割合で選定するようにすれば、前記隙間領域8の不均一分布であるか否かが容易に判断される点で好ましい。
また、トリクル排出口6の形状の代表的態様としては、トリクル排出口6周面部が曲面部形状に構成され、少なくとも逆流発生部材7の上方に位置するトリクル排出口6周面部の曲率が前記下方に位置するトリクル排出口6周面部の曲率より小さく設定される態様や、トリクル排出口6周面部が曲面部形状に構成され、少なくとも逆流発生部材7の上方に位置するトリクル排出口6周面部の一部に平面部を具備させた態様などが挙げられる。
更に、現像剤排出用の隙間領域8における不均一分布の別の代表的態様としては、現像ハウジング1の一部に形成された円孔からなるトリクル排出口6の一部領域を遮蔽部材で遮蔽した態様が挙げられる。本態様によれば、遮蔽部材を付加することにより、トリクル排出口6の形状を容易に設定することができる。
また、現像剤循環搬送機構3の好ましい態様としては、撹拌搬送部材3a,3bの上部をその外周部形状に沿って覆うカバー部材を備えたものが挙げられる。
このとき、カバー部材は、撹拌搬送部材3a,3bの全部を覆うものである必要はなく、現像剤循環搬送性、現像剤担持体2への現像剤供給性を損なわない範囲で覆うようにすることが必要である。
本態様によれば、カバー部材で覆うことにより、現像装置内での現像剤の整流性が高まり、現像剤循環搬送機構3における現像剤推進力がより高まるため、現像装置の傾斜設置状態に伴う現像装置内での現像剤分布の偏りや現像剤量の変動に対しての堅牢性をより向上させることができる。
更に、本件は、表面形状が滑らかで流動性が高いケミカルトナー(従来の機械的な製法に代わり化学的な製法で生成されるものであって、乳化重合法による重合トナーは勿論、この以外の手法により製造されるトナーも含む。)を用いた場合において、粉砕トナーを用いた場合よりも高い技術的効果が得られる。これは、形状係数が140以下のトナーを用いた場合に特に有効である。なお、形状係数=(トナー最大径/トナー投影面積)×(100π/4)である。
すなわち、例えば形状係数が140以下のトナーを用いた現像剤は、表面形状が滑らかで流動性が高いため、現像装置の傾斜設置に伴う現像装置内の現像剤量や現像剤分布の偏りが起こり易い。よって、このような技術的課題の解決手段である本件は特に有効と言えるのである。
また、本発明は、上述した現像装置に限られるものではなく、この種の現像装置が搭載された画像形成装置をも対象とする。
この場合、本件発明は、静電潜像が担持される像担持体と、この像担持体上の静電潜像をトナー現像する上述した現像装置とを備えたものであればよい。
本態様において、画像形成装置は、一つの現像装置を具備したモデルは勿論、複数の現像装置を具備したモデルのいずれも含まれる。
以上述べたように、本発明に係る現像装置によれば、トリクル排出口と逆流発生部材の外周部との間の隙間領域が逆流発生部材の上方側を局所的に狭くした不均一分布に設定されているので、現像剤推進力が、逆流発生部材で発生したカウンターフォース及びトリクル排出口周面近傍での現像剤摩擦力に抗するだけの力に高まるまで、現像剤の排出が抑えられるようになる。
すなわち、本発明に係るトリクル機構においては、実効的な現像剤高さよりも現像剤推進力の大きさの方が現像剤の排出に対して支配的な要因となり、現像装置の傾斜量に対する現像剤変動量が低減されるため、現像装置の傾斜設置状態の許容範囲を従前タイプよりも広く確保することができる。このため、画像形成装置の傾斜設置状態などに起因して、従前タイプならば現像装置内の現像剤分布に偏りが生じたり、現像剤量が大幅に変動したりしてしまう場合においても、濃度傾斜やオーガーマーク発生などの画像不良や、トルク増大による現像装置駆動不能などの事態を引き起こしにくくなり、従前タイプに比べて堅牢性の高いシステムを提供することが可能となる。
また、上述した現像装置を搭載した画像形成装置にあっては、現像装置の傾斜設置状態に影響されることなく、現像装置のトリクル機能を安定させることができるため、現像性能の良好な画像形成装置を容易に構築することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、例えば電子写真方式を採用したものであり、感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21を帯電するコロトロンなどの帯電装置22と、帯電された感光体ドラム21上に静電潜像を書き込むレーザ走査装置などの露光装置23と、感光体ドラム21上の静電潜像をトナー現像する現像装置24と、感光体ドラム21上のトナー像を記録材27上に転写するコロトロンなどの転写装置25と、感光体ドラム21上の残留トナーを清掃するクリーニング装置26とを順次配設したものである。
本実施の形態において、現像装置24は、図2及び図3に示すように、感光体ドラム21に対向して現像用開口が開設され且つトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像ハウジング30を有し、この現像ハウジング30の現像用開口に面した箇所に現像ロール31を配設すると共に、この現像ロール31の背面側に現像剤循環搬送機構32を設けたものである。尚、符号40は現像ロール31上の現像剤層厚を規制するトリミング部材である。
ここで、現像ロール31は、回転可能な現像スリーブ31aの内部に、複数の磁極が配列された磁石ロール31bを固定的に内包したものであり、感光体ドラム21との間に所定のギャップを介して現像スリーブ31aを回転駆動させるようになっている。更に、現像スリーブ31aには、例えば交流を重畳した直流バイアスからなる現像バイアスが印加されている。
また、本実施の形態において、現像剤循環搬送機構32は、現像ハウジング30内を仕切り部33にて一対の直線状の搬送経路34,35に区画すると共に、前記仕切り部33の長手方向両端部位に夫々連通口36,37を開設することにより、搬送経路34,35を現像剤が循環可能な循環搬送経路として形成し、各搬送経路34,35には夫々撹拌搬送オーガー41,42(本例では、以下、現像ロール31側の撹拌搬送オーガー41をサプライオーガーと、現像ロール31から離れた側の撹拌搬送オーガー42をアドミックスオーガーと称する。)を配設するようにしたものである。
そして、本実施の形態では、現像ハウジング30のうちアドミックスオーガー42の現像剤搬送方向上流側に現像剤供給部38が設けられており、この現像剤供給部38には現像剤供給口39が開設され、アドミックスオーガー42の一端側が前記現像剤供給部38まで延設されている。尚、現像剤供給部38にはトナー及びキャリアからなる現像剤を全体的に供給するようにしてもよいし、あるいは、トナーとキャリアとを個別に供給するようにしてもよい。また、現像剤供給部38がアドミックスオーガー42と同軸の延長線上に設置されているが、単体で現像ハウジング30に併設されるように設置されてもよい。
また、本実施の形態では、現像ハウジング30のうちサプライオーガー41の現像剤搬送方向下流側にはトリクル機構50が設けられている。このトリクル機構50は、図4に示すように、現像ハウジング30から排出される廃現像剤量を規制する廃現像剤規制部50aと、この廃現像剤規制部50aにて規制された廃現像剤を移送して廃棄する廃現像剤移送部50bとを備えている。
本例において、廃現像剤規制部50aは、現像ハウジング30の一端側縦壁30aにトリクル排出口51を開設し、このトリクル排出口51に対応した箇所にはサプライオーガー41の巻き方向とは逆の巻き方向を持つ逆流発生オーガー52を前記サプライオーガー41と同軸に設けたものである。
尚、本例では、逆流発生オーガー52はサプライオーガー41と同軸の延長線上に設置されているが、これに限られるものではなく、サプライオーガー41とは別体で現像ハウジング30に併設されるように設置してもよい。
一方、廃現像剤移送部50bは、現像ハウジング30の外側にはトリクル排出口51に連通する移送管53を接続し、この移送管53内には前記逆流発生オーガー52と同軸で且つサプライオーガー41と同じ巻き方向の移送オーガー54を配設すると共に、前記移送管53の先端近傍に出口55を開設したものである。
特に、本実施の形態では、図5(a)に示すように、トリクル排出口51と逆流発生オ―ガー52の外周部との間の隙間領域60は逆流発生オーガー52の上方側を局所的に狭くした不均一分布に設定されている。すなわち、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との隙間領域60には、少なくとも現像剤に埋まる部分以外について局所的に変化させた部分が設けられている。具体的には、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間の隙間領域60のうち、逆流発生オーガー52の最上部位置の上方隙間領域61が当該逆流発生オーガー52の最下部位置の下方隙間領域62より狭く設定されている。
そして、本実施の形態では、トリクル排出口51周面部は曲面部形状に構成され、逆流発生オーガー52の上方に位置するトリクル排出口51周面部は曲率変化部63として構成され、この曲率変化部63の曲率は前記下方に位置するトリクル排出口51周面部の曲率より小さく設定されている。
尚、図5(b)の比較の形態では、トリクル排出口51は真円状に形成されるものである。この場合、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間の隙間領域60は均一分布として設定されることになり、例えばトリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間の隙間領域60のうち、逆流発生オーガー52の最上部位置の上方隙間領域61’が当該逆流発生オーガー52の最下部位置の下方隙間領域62と同程度に設定される。
次に、本実施の形態に係る現像装置の作動について説明する。
本実施の形態において、図3に示すように、現像剤供給部38から補充された現像剤は、現像ハウジング30内に蓄えられた現像剤と共にアドミックスオーガー42により混合撹拌されながら矢印で示すように下流方向に搬送され、アドミックスオーガー42の下流端に到達すると、連通口36から押し出されてサプライオーガー41側へと移動する。移動した現像剤はサプライオーガー41で混合撹拌されながら搬送され、その一部は現像ロール31上に供給され、感光体ドラム21との間の現像部位へと移送される。
現像ロール31上に供給されないで若しくは現像部位を経て戻された現像剤は、引き続きサプライオーガー41により混合撹拌されながら下流側に搬送される。そして、現像剤がサプライオーガー41の下流端に到達すると、連通口37から押し出されてアドミックスオーガー42側へと移動し、再びアドミックスオーガー42により搬送される。
このように、現像装置は常に一定の現像剤量を保ちながら現像ハウジング30内で循環する系を有しているが、現像剤供給部38による補充分から消費分を差し引いた余剰な現像剤の一部は循環搬送経路を外れ、トリクル機構50によって順次排出されることとなる。
ここで、余剰な現像剤の排出についてさらに詳しく説明する。サプライオーガー41の下流端に到達した現像剤には、図4に示すような廃現像剤規制部50a内に設けられた逆流発生オーガー52によって、サプライオーガー41で発生した現像剤の流れ(現像剤推進力F)に抗する力(カウンターフォースF)が与えられ、現像剤をトリクル排出口51から排出させない方向にせき止めるように働く。
このような構成のトリクル機構50においては、主に二つの排出経路が存在すると考えられる。まず、第一の排出経路は、現像剤が逆流発生オーガー52の上部を乗り越えて廃現像剤移送部50bへと移動する経路である。これは、現像剤にとって逆流発生オーガー52が高さを持った規制板として作用しているためであり、実際には、現像ハウジング30内の現像剤の嵩が逆流発生オーガー52の略最上点に相当する高さを超えた分だけ排出されることとなる。次に、第二の排出経路は、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部とがなす隙間領域60(クリアランス)のうち、現像剤に埋まっている部分からの排出経路である。これは、現像剤推進力FがカウンターフォースF及びトリクル排出口51周面近傍での現像剤摩擦力に打ち勝つだけの力があるときに排出されるものである。
ところで、現像剤推進力Fは現像装置の傾斜設置状態によって変化する。
図6に示すように、廃現像剤規制部50aが上に向くような方向で現像装置が傾斜(プラスの傾斜)しているとき、サプライオーガー41(図3参照)は現像剤に埋まる部分が多く現像剤パッキングが強くなるため、サプライオーガー41の周囲への現像剤の逃げが少なくなり、現像剤推進力Fが高まることとなる。逆に、廃現像剤規制部50aが下に向くような方向で現像装置が傾斜(マイナスの傾斜)しているときには、サプライオーガー41は現像剤に埋まる部分が少なくなり、現像剤パッキングも弱くなるため、サプライオーガー41の搬送力が現像剤に伝わらずにサプライオーガー41の周囲に逃げてしまう分が多くなり、現像剤推進力Fが低くなることとなる。
そこで、図5(a)に示すように、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間のクリアランスのうち、逆流発生オーガー52の上方側が局所的に狭くなるようにトリクル排出口51周面部に曲率変化部63を設けた態様にあっては、前記第一の排出経路からの現像剤排出が抑えられ、前記第二の排出経路からの現像剤排出が支配的となる。すなわち、逆流発生オーガー52が持つ、高さを持った規制板としての作用を弱めることにより、現像ハウジング30内の現像剤量が少ないときには、現像剤量が増加して現像剤推進力Fが高まるまで現像剤排出が抑えられることとなる。ここで、前記第一の排出経路からの現像剤排出を抑えるという観点から、トリクル排出口51の曲率変化部63でクリアランスを狭くする部分は、少なくとも逆流発生オーガー52が規制板として作用する実効的な高さを超える部分、すなわち現像装置を水平設置して現像剤循環と現像剤排出とが拮抗した定常状態を基準とした場合の現像剤に埋まらない部分、をできるだけ含むように適用するのが有効である。
このように、本実施の形態では、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間のクリアランスが、上方側で局所的に狭くなるようにトリクル排出口51の周面部に曲率変化部63を設けるようにしたことで、現像剤推進力Fが高まるまで現像剤量が増加しないと現像剤排出が開始されなくなるため、従前タイプに比べて現像装置の傾斜量に対する現像剤量の変動が抑えられることになる。
この効果は、特に、現像装置の水平設置時の定常状態において現像剤に埋まらない部分を含むようにトリクル排出口51の周面に曲率変化部63を適用した場合、前記第一の排出経路からの現像剤排出が抑えられることで、現像装置の傾斜量に対する現像剤量の変動がさらに抑えられることとなる。
加えて、曲率変化部63をトリクル排出口51周面の上部に対して適用することで、定常状態における現像剤に埋まらない部分の大部分を網羅することができるため、さらに効果的である。
尚、本実施の形態では、トリクル排出口51の形状として曲率変化部63を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば図7に示すように、曲率変化部63を平面部64で置き換えてもよい。この平面部64は曲率変化部63と同様に前記第一の排出経路からの現像剤排出を妨げるような位置に設けられていればよい。
本態様によれば、例えばトリクル排出口51の平面部64を現像装置の水平設置時の定常状態における現像剤高さと同等の高さまでせり出すように配置することで、前記第一の排出経路からの現像剤排出が効果的に抑えられる。
このように、前記第一の排出経路からの現像剤排出量を抑える必要十分な位置に平面部64を設けることで、現像装置の傾斜変動に対する現像剤量の変動を効果的に抑えると共に、取付誤差や製造誤差、逆流発生オーガー52の軸振れなどの原因で万が一トリクル排出口51と逆流発生オーガー52とが接触するようなことが起こっても、より狭い範囲での接触で済むことになるため、各部材の摩耗やグリッドなどの不具合の発生が抑えられることとなる。
◎実施の形態2
図8(a)は実施の形態2に係る現像装置で用いられるトリクル機構の要部を示す。
同図において、トリクル排出口51の形状は、実施の形態1と同様であるが、実施の形態1と異なり、トリクル排出口51は、真円状の円孔の上部領域に三日月状の遮蔽部材65を配置し、その上部周面部に曲率変化部63に相当する部分を形成するようにしたものであり、トリクル排出口51と逆流発生オーガー52の外周部との間の隙間領域60は、その上方側の隙間領域61が下方側の隙間領域62に比べて局所的に狭く設定されている。
ここで、遮蔽部材65は、通常、現像ハウジング30の材質よりも摩耗性の低い材料若しくは逆流発生オーガー52へのダメージが少ない材料が使われ、例えば、スキン層が施された発泡体若しくはゴムなどの弾性体が好ましく用いられる。尚、遮蔽部材65上にスキン層を施す際には、ポリエチレンのコーティングなどが好ましく用いられる。
本実施の形態においては、実施の形態1と略同様に作用することに加えて、トリクル排出口51の構成要素として遮蔽部材65を用いるようにしているので、トリクル排出口51の周面形状を変えたときに比べ、より摩耗性の低い材料や逆流発生オーガー52へのダメージが少ない材料を選択することができる。特に、遮蔽部材65の材料としてスキン層が施された発泡体若しくはゴムなどの弾性体を用いることで、接触によるダメージを低減させて各部材の寿命を延ばしたり、削れ屑の発生による画像不良などを防ぐことができる。更に、遮蔽部材65のスキン層にポリエチレンコーティングを施した場合には、現像剤の固着が抑えられ、グリッドなどの不具合の発生を防ぐことができる。
尚、遮蔽部材65については、図8(a)に示すような形状に限られるものではなく、例えば図8(b)に示すような形状の遮蔽部材66を設け、トリクル排出口51の上部周面部を平面部64(図7参照)に相当する形状にしてもよい。
◎実施の形態3
図9は実施の形態3に係る現像装置の要部を示す。
同図において、現像装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1に加えて、更に、現像装置の現像ハウジング30の上蓋を現像剤整流用のカバー部材70として構成したものである。このカバー部材70は、例えば図9及び図10(a)(b)に示すように、現像ハウジング30の上蓋ベースプレート73下面にサプライオーガー41及びアドミックスオーガー42の上方側が覆われる覆い部71,72を下方に向けて突出形成したものである。
本例において、カバー部材70の覆い部71,72は、サプライオーガー41とアドミクッスオーガー42との間の現像剤のやり取りを阻害しないように、仕切り部33に対応した長さ寸法にて形成され、かつ、連通口36,37(図3参照)を塞がないような形状にて設置される。また、アドミックスオーガー42に対応した覆い部72はアドミックスオーガー42の上半分を略覆う形状になっているのに対し、サプライオーガー41に対応した覆い部71は、現像ロール31への現像剤供給を妨げないように、現像ロール31側の空間を空けるようにサプライオーガー41の上側の1/4円の部分を略覆う形状になっている。
このカバー部材70の特に覆い部72,73の材料としては、スキン層が施された発泡体若しくはゴムなどの弾性体が好ましく用いられる。また同様に、覆い部71,72上にスキン層を施す際には、ポリエチレンのコーティングなどが好ましく用いられる。尚、本実施の形態では、カバー部材70はサプライオーガー41とアドミックスオーガー42の両方を覆うように構成されているが、いずれか一方のみに対する設置でもよい。
従って、本実施の形態にあっては、実施の形態1と略同様に作用することに加えて、現像装置の上蓋としてカバー部材70を設置したことで、現像剤搬送の際に各オーガー41,42周囲のクリアランスからの現像剤の逃げが少なくなるため、スムーズな現像剤の循環が実現される。
このような構成にすることで、各オーガー41,42の周囲、特に各オーガー41,42の上半部での現像剤の逃げが抑えられ、現像剤の循環が促進されることで、現像剤推進力F(図4参照)が大幅に向上することとなる。また、現像剤分布が多い箇所になるほど現像剤推進力Fが増すため、カバー部材70を設置しないときに比べて現像剤の偏りが低減される。特に、サプライオーガー41を覆うようにカバー部材70を設けた場合には、現像ロール31への現像剤受け渡し部のパッキング力も向上するため、オーガーマーク発生に対する堅牢性が根本的に高まることとなる。
(a)は本発明に係る現像装置及びこれを用いた画像形成装置の概要を示す説明図、(b)はその要部説明図、(c)は(b)中C方向から見た矢視図である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す概略構成図である。 図2中III−III線断面説明図である。 実施の形態1の現像装置のトリクル機構を示す説明図である。 (a)は実施の形態1のトリクル排出口と逆流発生オーガーとの関係を示す説明図、(b)は比較の形態に係るトリクル排出口と逆流発生オーガーとの関係を示す説明図である。 現像装置の傾斜による現像剤推進力の変化を示す説明図である。 実施の形態1のトリクル機構の変形形態を示す説明図である。 (a)は実施の形態2に係る現像装置のトリクル機構の要部を示す説明図、(b)はその変形形態を示す説明図である。 実施の形態3に係る現像装置を示す説明図である。 (a)は図9中X−X線断面説明図、(b)は循環経路カバーの一例を示す説明図である。 従来における現像装置の一例を示す説明図である。
符号の説明
1…現像ハウジング,2…現像剤担持体,3…現像剤循環搬送機構,3a,3b…撹拌搬送部材,4…トリクル機構,4a…排出路形成部材,4b…排出搬送部材,4c…排出路出口,6…トリクル排出口,7…逆流発生部材,8…隙間領域

Claims (9)

  1. トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容され且つ現像用開口が開設された現像ハウジングと、
    この現像ハウジングの現像用開口に面して配設され且つ二成分現像剤が担持される現像剤担持体と、
    現像ハウジングのうち現像剤担持体の背面側に配設され且つ現像剤担持体の軸方向に延びる複数の撹拌搬送部材を有し、これらの撹拌搬送部材にて現像剤を撹拌しながら循環搬送する現像剤循環搬送機構と、
    現像ハウジング内の現像剤のうち古い現像剤が徐々に排出され且つ新しい現像剤と入替が可能なトリクル機構とを備えた現像装置において、
    トリクル機構は、現像ハウジングのうち撹拌搬送部材の搬送方向下流側の一部に開設されるトリクル排出口と、このトリクル排出口に対応して配設され、トリクル排出口からの現像剤の排出量を規制すべく、撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向と逆方向に向けて現像剤が搬送可能な逆流発生部材とを備え、
    トリクル排出口と逆流発生部材の外周部との間の隙間領域が逆流発生部材の上方側を局所的に狭くした不均一分布に設定されていることを特徴とする現像装置。
  2. 請求項1記載の現像装置において、
    トリクル排出口と逆流発生部材の外周部との間の隙間領域のうち局所的に狭い部分は、現像ハウジング水平配置時の定常状態における現像剤に埋没しない逆流発生部材上部の少なくとも一部に対応した部位であることを特徴とする現像装置。
  3. 請求項1記載の現像装置において、
    トリクル排出口と逆流発生部材の外周部との間の隙間領域のうち、逆流発生部材の最上部位置の上方隙間領域が当該逆流発生部材の最下部位置の下方隙間領域より狭く設定されていることを特徴とする現像装置。
  4. 請求項1記載の現像装置において、
    トリクル排出口周面部は曲面部形状に構成され、少なくとも逆流発生部材の上方に位置するトリクル排出口周面部の曲率が前記下方に位置するトリクル排出口周面部の曲率より小さく設定されることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項1記載の現像装置において、
    トリクル排出口周面部は曲面部形状に構成され、少なくとも逆流発生部材の上方に位置するトリクル排出口周面部の一部には平面部を具備させたことを特徴とする現像装置。
  6. 請求項1記載の現像装置において、
    トリクル排出口は、現像ハウジングの一部に形成された円孔の一部領域を遮蔽部材で遮蔽したものであることを特徴とする現像装置。
  7. 請求項1記載の現像装置において、
    現像剤循環搬送機構は、撹拌搬送部材の上部をその外周部形状に沿って覆うカバー部材を備えたものであることを特徴とする現像装置。
  8. 請求項1記載の現像装置において、
    現像剤は、形状係数が140以下のトナーを用いたものであることを特徴とする現像装置。
  9. 静電潜像が担持される像担持体と、この像担持体上の静電潜像をトナー現像する請求項1ないし8いずれかに記載の現像装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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