JP5880026B2 - 現像装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
現像方式の例としては、現像部内に収容されている現像剤を循環搬送すると共に、補給用の現像剤を補給口から少量ずつ補給しつつ、その補給により過剰となった現像剤の一部を排出口から外部に排出させる、いわゆるトリクル現像方式がある。
トリクル現像方式の現像部は、正規の水平姿勢で設置された場合に現像剤の排出量が一定量になるように最適化されているが、現像部が水平姿勢で設置されるとは限らない。
現像部が傾斜姿勢になると、水平姿勢のときよりも現像剤の単位時間当たりの排出量が多くなり、急激に現像部内の現像剤量が減少し易く、現像剤が急激に減少すると、現像剤の局所的な搬送ムラの発生により、現像かすれなど現像性能が低下することになる。
このような状態で現像部が傾斜姿勢から水平姿勢になって排出口が開放されると、分岐路内に片寄って存在する、本来であれば循環路に存していたはずの多くの現像剤も排出口から排出されてしまい、現像部内の現像剤の全体量が急減するという問題がある。
ここで、前記周方向長さが前記一周の50%未満であり、前記固定部の前記周方向両端が、前記搬送スクリューの軸芯を通る水平面よりも下方に位置するとしても良い。
ここで、前記開閉部材は、前記現像剤の流路を遮断する第1位置と、前記現像剤の流路を開放する第2位置との間を移動可能なシャッターであり、前記制御手段は、前記流路の開放から遮断への切り替えを、前記シャッターを前記第2位置から前記第1位置に移動させることにより行うとしても良い。
(1)全体構成
以下、本発明に係る現像装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラー複写機(以下、単に「複写機」という。)を例にして説明する。
図1は、本実施の形態に係る複写機10の全体の構成を示す図である。
画像読取部11は、セットされた原稿の画像を読み取って、読み取って得られた画像データを出力する。
作像部20Y〜20Kは、感光体ドラム1Y〜1K、その周囲に配設された帯電ローラー2Y〜2K、露光部3Y〜3K、現像部4Y〜4K、一次転写ローラー5Y〜5K、感光体ドラム1Y〜1Kを清掃するためのクリーナ6Y〜6Kなどを備えており、感光体ドラム1Y〜1K上にY〜K色のトナー像を作像する。
中間転写ベルト21は、無端状のベルトであり、駆動ローラー22と従動ローラー23に張架されて同図の矢印で示す方向に循環駆動される。
ホッパー7Yは、Y色の補給用現像剤が収容されているカートリッジ9Yが着脱可能であり、装着されているカートリッジ9Y内のY色の補給用現像剤を制御部15の指示により現像部4Yに供給する。他のホッパー7M〜7Kも同様であり、M〜K色の補給用現像剤が収容されているカートリッジ9M〜9Kが着脱可能になっており、装着されているカートリッジ内の補給用現像剤を制御部15の指示により現像部4M〜4Mに供給する。
定着部14は、相互に圧接される定着ローラーと加圧ローラーと、定着ローラーを加熱するためのヒーターなどを備えている。
具体的には、画像読取部11に対し原稿画像の読み取りを実行させると共に、読み取って得られた画像データに基づいて露光部3Y〜3Kのレーザダイオードを駆動させる。これにより露光部3Y〜3Kのレーザダイオードから各色に対するレーザー光Lが出射されて、感光体ドラム1Y〜1Kが1ラインずつ露光走査される。
各色のトナー像は、一次転写ローラー5Y〜5Kと感光体ドラム1Y〜1K間に作用する静電力により中間転写ベルト21上に順次一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト21上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト21上に重ね合わされた各色トナー像は、中間転写ベルト21の循環駆動により二次転写位置351に移動する。
(2)現像部の構成
図2は、現像部4Yの全体を示す斜視図であり、図3は、図2に示すA−A線における矢視断面図であり、図4(a)は、現像部4Yの装置前側の部分(前部)505を抜き出して示す平面図であり、図4(b)は、図2に示すB−B線における矢視断面図である。
ハウジング50〜排出スクリュー54は、X軸方向に沿って長尺状になっている。
ハウジング50は、現像剤Dを収容するものであり、供給室61と攪拌室62と排出室63とがそれぞれ筒状に形成されてなり、図4(b)に示すように攪拌室62、供給室61、排出室63の順にY軸方向に沿って配置されている。
供給室61と攪拌室62は、隔壁69により仕切られているが、X軸方向に隔壁69を挟んで装置前側に設けられた開口部71を介して連通すると共に、装置後側に設けられた開口部72を介して連通する構成になっている。
Z軸(上下)方向には、排出室63から見て、供給室61が斜め上、攪拌室62が斜め下に位置する関係を有している(図6(b))。
現像ローラー51は、図3に示すように供給室61の、感光体ドラム1Yに対向する位置に設けられた開口部に配置されており、円筒形の現像スリーブ511と、現像スリーブ511の内部に軸方向に沿って挿通されるマグネットローラー512を備えている。
現像スリーブ511は、ハウジング50の開口部を介して感光体ドラム1Yと対向する部分が開口部から露出すると共に、図3の矢印で示す方向に回転自在にハウジング50に保持され、静止しているマグネットローラー512の周りを、マグネットローラー512の磁力により表面に現像剤Dを保持(担持)しつつ回転する。
供給スクリュー52は、その回転により、供給室61内の現像剤Dを装置後側から装置前側に向けて搬送しつつ、現像ローラー51に供給する。
攪拌スクリュー53は、その回転により、攪拌室62内の現像剤Dを攪拌しつつ装置前側から装置後側に向けて搬送し、排出スクリュー54は、その回転により、排出室63内の現像剤Dを装置後側から装置前側に向けて搬送する。
供給スクリュー52は、図示しない駆動モーターからの駆動力により回転する現像ローラー51の駆動力を受けて、図3の矢印で示す方向に回転し、攪拌スクリュー53は、供給スクリュー52を介して現像ローラー51の駆動力を受けて、図3の矢印で示す方向に回転する。
現像剤堰き止め部55は、供給室61の装置前側の端部と排出室63の装置後側の端部との間に介在する開口部73をシャッター81により開閉するものであり、現像部4Yが正規の姿勢(水平姿勢)では、開口部73を開状態にして、正規の姿勢に対して装置前側が下方(装置後側が上方)になる傾斜姿勢になると、開口部73を閉状態にする。この開閉動作は、制御部15により制御される。現像剤堰き止め部55の構成と開閉制御の詳細については、後述する。
この逆巻部541の搬送力は、供給スクリュー52により現像剤Dに付与される搬送力よりも少し弱くなっており、供給室61から開口部73を通って排出室63に向かう現像剤Dには、供給スクリュー52による搬送力と排出スクリュー54の逆巻部541による逆向きの搬送力との差分の搬送力だけが付与されることになる。
攪拌室62に搬送された現像剤Dは、攪拌スクリュー53により装置前側から装置後側に向かって搬送され、装置後側の開口部72に到達すると、開口部72を通って供給室61に搬送される(戻される)。これにより、供給室61、開口部71、攪拌室62、開口部72の順に現像剤Dが循環搬送する循環路101が形成される。
これにより、供給室61から開口部73、排出室63、開口部74を介して攪拌室62に戻る、一部の現像剤Dを搬送するための流路、すなわち循環路101から分岐した後、循環路101に合流する分岐路102が形成される。
現像剤Dの全体量が少なすぎると、現像ローラー51に担持される現像剤量が現像に最低限必要な量よりも少なくなって、現像による感光体ドラム1Y上のトナー像がかすれたようになる現像かすれの原因になる。
このため、現像かすれが生ぜず、かつ各スクリューの回転不良や駆動源の故障が生じない、装置毎に適した許容範囲内で、現像剤Dの全体量がある程度の幅をもって増減するように、補給用現像剤の供給量や供給スクリュー52などの各スクリューによる現像剤の搬送力などが予め決められている。
そこで、本実施の形態では、現像部4Yが水平姿勢から傾斜姿勢になったことが検出されると、現像剤堰き止め部55のシャッター81により開口部73を開状態から閉状態に切り替えることにより、傾斜姿勢になっても現像剤Dが排出室63内に入り込むのを阻止するようにしている。
図5は、現像剤堰き止め部55の構成を示す分解斜視図であり、図6(a)は、シャッター81により開口部73が開状態にされている様子を示す外観斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すC−C線における断面図であり、図7(a)は、シャッター81により開口部73が閉状態にされている様子を示す外観斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すD−D線における断面図である。なお、図6と図7では、シャッター81の姿勢を判りやすく示すために一部を透視して示している。
シャッター81は、開口部73を開閉するための本体部811と、本体部811の前側面に装置前側に向かって立設された軸部812とピン813を備える。
軸部812は、大径部821と、大径部821よりも装置前側に設けられた小径部822と、小径部822の外周面に設けられた突起814からなり、ハウジング50の装置前側に設けられた軸受部501に回転自在に支持されており、小径部822に、ねじりコイルバネ82が嵌め込まれている。
軸部812に設けられた突起814は、ソレノイドなどからなるシャッター駆動アクチュエーター(以下、「アクチュエーター」と略す。)83と連結しており、アクチュエーター83は、突起814を介して本体部811を、矢印Eで示す方向とは逆方向に回転させる駆動力を付与する。
一方、アクチュエーター83が停止しているときには、アクチュエーター83からの駆動力がシャッター81に付与されなくなり、シャッター81は、ねじりコイルバネ82の付勢力により、矢印Eで示す方向に回転して、図7に示すように開口部73がシャッター81により閉状態にされる。このシャッター81の位置を閉位置という。
シャッター81が閉位置から開位置に切り替えられると、図6(b)の破線の矢印で示すように供給スクリュー52により搬送される現像剤Dの排出室63への流路(分岐路102)が形成される。これにより、現像剤Dのうち、そのほとんどが実線の矢印で示すように開口部71を通って供給室61の斜め下に位置する攪拌室62に搬送されつつ、残りの一部が開口部73を通って供給室61の斜め下に位置する排出室63に搬送される。
シャッター81の開位置と閉位置の切り替えは、制御部15により実行される。
(4)制御部の構成
図8は、制御部15の構成を示すブロック図である。
CPU151は、ROM152に格納されている制御プログラムに基づいて、画像読取部11、画像形成部12、給送部13などの各部の動作を制御し、円滑なカラーの画像形成動作を実現する。また、現像部4Y〜4Kごとに濃度検出センサー56からの検出信号に基づき、現像部4Y〜4Kに収容されている現在の現像剤Dのキャリアとトナーの比率が、基準として予め決められている適正範囲内にあるか否かを判断する。色毎に、キャリアとトナーの比率が適正範囲から外れていれば適正範囲内に入るように、対応する色用のホッパー7Y〜7Kから補給用現像剤を対応する現像部に補給する制御を行う。
シャッター開閉制御部154は、現像部4Y〜4Kごとに現像部の姿勢(水平姿勢または傾斜姿勢)に応じてシャッター81による開閉制御を行う。
(5)開閉制御の処理内容
図9は、現像部4Yに対する開閉制御の処理内容を示すフローチャートである。
ここで、所定量は、これ以上の角度で現像部4Yが傾斜すると、供給室61に収容されている現像剤Dの多くが重力により排出室63内に片寄るように移動して、排出口59からの排出により、現像かすれが生じる程度まで現像剤Dの全体量が低減すると想定される角度に相当する量であり、予め実験などにより求められて、その情報がROM152などに格納される。
電源オフであるか否かを判断する(ステップS7)。
現像部4Yが水平姿勢であれば、ステップS2〜S4、S7の処理が繰り返し実行される。従って、水平姿勢が維持されている間、シャッター81が開位置に位置し、循環路101と分岐路102を現像剤Dが搬送される状態になり、供給室61内の現像剤Dの一部が開口部73を通って排出室63に搬送され、排出室63内を搬送される現像剤Dが排出口59を通過する際にその一部が外部に排出され、排出されずに排出口59の位置を通過した残りの現像剤Dが排出室63から開口部74を通って攪拌室62に搬送される現像剤Dの循環動作が継続される。
シャッター81が開位置であることを判断すると(ステップS5で「YES」)、シャッター81を閉位置に移動して(ステップS6)、ステップS7に移る。
現像部4Yが傾斜姿勢であれば、ステップS2、S3、S5、S7の処理が繰り返し実行される。従って、傾斜姿勢になっている間、シャッター81が閉位置に位置し、分岐路102がその入口で遮断され、循環路101だけに現像剤Dが搬送される状態になり、供給室61内の現像剤Dが排出室63に搬送されることがない。
現像部4Yが傾斜姿勢から水平姿勢に戻されると(ステップS3で「YES」)、シャッター81が開位置に移動され(ステップS4)、供給室61内の現像剤Dの排出室63への搬送が再開される。
シャッター81が閉位置ではなく、開位置であることを判断すると(ステップS8で「NO」)、シャッター81を閉位置に移動した後(ステップS9)、電源をオフして(ステップS10)、当該制御を終了する。一方、シャッター81が閉位置であることを判断すると(ステップS8で「YES」)、そのまま電源をオフして(ステップS10)、当該制御を終了する。電源がオフされると、アクチュエーター83が停止されたままになり、シャッター81には、ねじりコイルバネ82の付勢力が作用するので、シャッター81は、電源オフを契機にそのオフの間、閉位置に位置し、開口部73の閉状態が維持される。これにより、仮に、電源オフの間、現像部4Yが傾斜姿勢になっても現像剤Dが排出室63に流れ込むことが防止される。
以上、説明したように本実施の形態では、現像部が傾斜姿勢になると、現像剤Dの排出室63への流入を阻止する、すなわち分岐路102を流れて排出口59に向かおうとする現像剤Dを堰き止める動作を実行する。
なお、上記では、電源オフ時にシャッター81を閉位置に移動させるとしたが、これに限られず、例えば開位置に移動させておき、再度の電源オンの後、現像部が傾斜姿勢であることが検出されると、シャッター81を閉位置に移動させる構成をとるとしても良い。
上記実施の形態では、現像部が傾斜姿勢になったときに現像剤Dが排出室63に流れ込むことを阻止するために、シャッターを開閉制御する構成をとったが、本実施の形態では、シャッターの開閉制御に代えて、分岐路を流れる現像剤Dを堰き止める堰堤(ダム)を設けるとしており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図10は、実施の形態2に係る現像部4Yの装置前側の部分505を示す平面図であり、図11は、現像部4Yの装置前側の部分505を水平面で切断したときの断面図であり、供給スクリュー52に堰堤200が設けられている様子を示しており、図12は、図11に示す矢印Fの方向から供給スクリュー52を見たときの斜視図であり、図13は、図12に示す供給スクリュー52を取り外した状態を示す斜視図であり、図14は、堰堤200の構成を示す拡大斜視図であり、図15は、図11に示すG−G線における堰堤200の矢視断面図である。
供給スクリュー52は、その軸部529の周面に装置後側から装置前側に向かって現像剤Dを搬送するための螺旋羽根が設けられてなるが、排出室63の装置後側(現像剤搬送方向上流側)の端部にだけ、螺旋の向きが逆向きの逆巻部541が設けられている。
排出室63の途中には、排出口59が設けられており、排出室63を搬送される現像剤Dのうち、一部が排出口59から排出され、排出されなかった残りの現像剤Dが装置前側の開口部74を通って攪拌室62に搬送される。図11に示す流路101が循環路に相当し、流路102が分岐路102に相当する。
回転体201は、図14に示すように供給スクリュー52の軸部529の周面に設けられ、軸部529と同心円であり一体となって回転する円形の板状部材であり、例えば金属製や樹脂製とすることができる。なお、軸部529と別部材にする構成に限られず、例えば軸部529の径を大きくすることにより軸部529が回転体201を兼ねる構成をとるとしても良い。
固定部材202は、発泡ウレタンなどの弾性体からなるが、材料がこれに限られることはなく、例えば、樹脂製や金属製などであっても良い。また、固定部材202は、ハウジング50と別部材としてハウジング50に装着することに限られず、例えばハウジング50が樹脂製の場合、ハウジング50と一体成型により形成するとしても良い。
従って、供給スクリュー52が回転し、逆巻部541を通過して排出室63内に流入した現像剤Dは、その流れが堰堤200により阻止されるが、阻止された現像剤Dが堰堤200よりも搬送方向上流側で貯留され、トリクル現像方式による現像部4Yへの補給用現像剤の供給による現像剤Dの全体量の増加や、現像部4Yの水平姿勢から傾斜姿勢への姿勢変更時の重力による現像剤Dの片寄りによって、その貯留量が増え、図16に示すように現像剤Dの剤面Daが固定部材202の両端211,212(上限レベル)に達した後、さらに増加してその剤面Daの高さが両端211,212より高くなろうとすると、その増加分の現像剤Dが堰堤200を越えて溢れ出る。
堰堤200により現像剤Dが貯留されることは、現像部4Yが水平姿勢にあるときでも傾斜姿勢にあるときでも同じように行われ、現像剤Dの剤面Daが堰堤200の高さ以上になることはなく、堰堤200が低ければ貯留量が少なく(現像剤Dの全体量が少なめになり)、高くなるほど貯留量が多くなる(現像剤Dの全体量が多めになる)ことから、トリクル現像方式により現像部4Y内の現像剤Dの全体量が変動するときの、その変動範囲は、堰堤200の高さにより決まることになる。
図17は、現像部4Yの傾斜による現像剤Dの全体量の変動範囲が変化する様子の実験例を示す図であり、(a)が本実施の形態による実施例を、(b)が比較例を示している。ここで、比較例は、堰堤200を設けない構成であり、これ以外は、本実施の形態と同じ構成のものが用いられている。
そして、現像部4Yを水平姿勢に対し装置前後方向中央を支点に装置前側端部と装置後側端部とが交互に上下になるように30秒を1周期として繰り返し揺動させたときに、基準の現像剤量変動範囲に対して、どれだけ現像剤量変動範囲が変わるかを、揺動(傾斜)角を3.5°にした場合、5°にした場合、7.5°にした場合のそれぞれについて、基準の現像剤量変動範囲を求めたときと同じ条件で現像剤Dの全体量の最大と最小を計測することにより求めた。
一方、現像剤量変動範囲の最大値は、揺動角に関わらず同じ値になっている。これは、堰堤200の高さが揺動角の大きさに関わらず一定であり、水平姿勢でも傾斜姿勢でも堰堤200による現像剤Dの貯留量の最大値が変わらないからである。
ここで、適正維持範囲の最小値は、現像剤量が少なくなっても当該値までであれば現像かすれが発生するおそれがないと想定される現像剤量の下限値であり、特に傾斜姿勢の場合には、現像部4Yの装置前後方向両端部のうち、上方に位置する側の端部への現像剤量が不足気味になることから現像かすれが発生し易くなる。
一方、適正維持範囲の最大値は、現像剤量が多くなっても当該値までであれば、現像ローラー51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53などの回転体材の回転トルクが増えて、これらを回転させる駆動モーターや駆動系などにかかる負荷が、一定であるべき回転速度に変動を生じさせて、現像に支障を来たすまでには至らないと想定される現像剤量の上限値である。適正維持範囲の最大値は、各スクリューの回転トルクの大きさに起因するので、揺動角の大きさに関わらず同じ値になっている。
以上、説明したように本実施の形態2に係る現像部は、排出室63(分岐路102)に排出口59に向かおうとする現像剤Dを堰き止める堰堤200を設けたので、現像部が傾斜姿勢になっても、最低限、堰堤200により堰き止め可能な量の現像剤については排出口59から排出されることを阻止でき、堰堤を設けない構成に比べて、現像部内の現像剤の急減を低減することができる。
なお、上記では、回転体201の外周面における一周のうち、供給スクリュー52の軸部529における軸芯(軸線)を中心に、最下部を含み、3/4(=75%)に相当する領域に固定部材202の内周面が摺接する(回転体201の周りを一周の3/4に相当する領域だけ固定部材202で取り囲む)としたが、固定部材202の、回転体201の外周面に摺接する領域の周方向長さは、これに限られない。
また、上記では堰堤200を回転体201と固定部材202で構成するとしたが、これに限られない。回転部とこれの周囲を一周未満で取り囲む固定部を有する構成、すなわち、排出(搬送)スクリュー54に、その回転方向一周に亘って設けられ、排出スクリュー54と一緒に回転する円状の回転部と、排出室63の内面に当該周方向に沿って延設され、回転する円状の回転部の、少なくとも最下部を含む一周未満の部分の周面に摺接する円弧状の固定部と、を備える構成とすることができる。
例えば、回転体201を設けずに、堰堤として、円筒形状の排出室の搬送路途中に、図18(a)に示すように、軸方向視、円形の外周の上部が切り欠かれてなり、中心部に透孔302を有するD字形状の固定板301を設け、供給スクリュー52の軸部529が固定板301の透孔302に隙間のない状態で挿通して、供給スクリュー52の軸部529の回転により、排出室63内の現像剤Dを搬送する構成をとることもできる。なお、軸部529と透孔302の内周面との隙間をなくすためにシールなどを介在させるとしても良い。同図では、逆巻部が設けられていないが、逆巻部を設けるとしても良い。
図18に示す構成をとる場合、回転体201が設けられなくなるので、排出室63(分岐路102)の内周面の横断面形状は、円筒形に限られず、例えば角筒形状であっても良い。角筒形状の場合、固定板301の外形は、その角筒形に応じた角形に形成される。なお、固定板301などは板状に限られず、ある程度の厚みを有する形状であっても良い。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態1では、傾斜姿勢になったときに排出室63(分岐路102)の入口を開閉するための堰き止め部材として、その入口を閉状態にする(堰き止める)第1位置と開状態にする(塞き止めを解除する)第2位置との間を移動可能なシャッター81を、現像剤Dの流路を開閉する開閉部材として設ける構成例を説明したが、これに限られない。分岐路102において排出口59に向かおうとする現像剤Dの堰き止めとその解除を切替可能な構成であれば良い。
さらに、現像剤Dの堰き止め位置は、分岐路102の入口に関わらず、例えば分岐路102においてその入口から排出口59までの間の位置であっても良い。
カラーやモノクロの画像形成に関わらず、ハウジングに収容されているキャリアとトナーを含む二成分の現像剤を循環搬送すると共に、ハウジング内に補給用の現像剤を補給しつつ、過剰となった現像剤の一部を排出口から外部に排出する方式であり、搬送中の現像剤を現像ローラーなどの現像剤担持体に供給して、現像剤担持体に担持される現像剤により、感光体ドラムなどの像担持体に形成された潜像を現像する現像装置、およびこれを備える画像形成装置、例えばプリンター、ファクシミリ装置、複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
さらに、上記実施の形態では、循環路101とは別に、循環路101の途中から分岐した後、再度、循環路101に合流する分岐路102を設け、循環路101を搬送される現像剤Dの一部を分岐路102で搬送しつつ、その搬送される現像剤Dの一部を排出口59から外部に排出し、排出されずに残った現像剤Dを搬送して循環路101に戻す構成例を説明したが、分岐路は、これに限られない。
なお、上記では供給スクリュー52に逆巻部541を設けるとしたが、これに限られず、逆巻部541を設けない構成としても良い。
さらに、キャリアとトナーを含む二成分現像剤は、キャリアとトナーからなるものでも良いし、キャリアとトナーの他に添加剤などが混ぜられるものであっても良い。
4Y,4M,4C,4K 現像部
7Y,7M,7C,7K ホッパー
10 複写機
15 制御部
50 ハウジング
51 現像ローラー
52 供給スクリュー
53 攪拌スクリュー
54 排出スクリュー
55 堰き止め部
57 現像部傾き検出センサー
59 排出口
71,72,73,74 開口部
81 シャッター
83 シャッター駆動アクチュエーター
101 循環路
102 分岐路
153 シャッター開閉制御部
200 堰堤
201 回転体
202 固定部材
210 空間
211,212 固定部材の周方向両端
301、302 固定板
502 底面
529 軸部
D 現像剤
Claims (5)
- ハウジングに収容されている現像剤を循環搬送すると共に、ハウジング内に補給用の現像剤を補給しつつ、過剰となった現像剤の一部を排出口から外部に排出する方式であり、搬送中の現像剤を現像剤担持体に供給して、現像剤担持体に担持される現像剤により、画像形成装置の像担持体に形成された潜像を現像する現像装置であって、
現像剤を循環搬送するための循環路と、
循環路から分岐して、循環路から流入する一部の現像剤を前記排出口に向けて搬送するための分岐路と、
分岐路の入口から前記排出口までの間の位置で、分岐路を流れて前記排出口に向かおうとする現像剤を堰き止める堰き止め手段と、
前記分岐路に存する現像剤を、回転軸方向に沿って搬送する回転搬送部材と、
を備え、
前記堰き止め手段は、
前記分岐路の入口から前記排出口に至るまでの間の位置に設けられている堰堤であり、
前記現像剤の剤面が前記堰堤を越えるまで当該現像剤が当該堰堤の現像剤搬送方向上流側に溜められ、当該堰堤を越えると、その越えた現像剤が前記排出口から排出される構成であり、
前記分岐路は、筒状部材で構成され、
前記回転搬送部材は、
その軸方向が前記筒状部材の内空間に現像剤搬送方向に沿うように配置され、
前記排出口は、前記筒状部材に設けられ、
前記堰提は、
前記回転搬送部材に、その回転方向一周に亘って設けられ、当該回転搬送部材と一緒に回転する円状の回転部と、
前記筒状部材の内面に前記周方向に沿って延設され、前記回転する円状の回転部の、前記周方向に少なくとも最下部を含む一周未満の外周面に摺接する円弧状の固定部と、
を備えることを特徴とする現像装置。 - 前記固定部の、前記回転部の外周面に摺接する領域の周方向長さは、前記一周未満かつ前記一周の40%以上であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 前記周方向長さが前記一周の50%未満であり、
前記固定部の前記周方向両端が、前記搬送スクリューの軸芯を通る水平面よりも下方に位置することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。 - 前記分岐路は、
前記循環路から分岐した後、再度、当該循環路に合流する流路であり、
当該流路の途中に前記排出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。 - 像担持体上の潜像を現像剤により現像する現像部を有する画像形成装置であって、
前記現像部として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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