しかしながら、上記従来の技術は、トナーカートリッジから多量のトナーを、一定量安定して排出させることができない。特に、トナーボトルの回転初め(立ち上がり時)や回転終わり(立ち下がり時)において多量のトナーを安定して排出させることができない。
そのため、高速で稼動する画像形成装置に従来のトナーカートリッジを使用した場合、現像装置へのトナー補給量が不足し、画像異常やトナー補給のための待機時間が長くなるなどの問題が発生する。
また、トナー補給量を多くするために、トナーボトルの回転速度を早くすると、駆動力確保のためにコストアップを生じたり、トナーボトルの摺擦部の磨耗や摩擦による発熱などの問題が生じたりする。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、多量で一定量の現像剤を安定して補給が可能な、現像剤収納容器、及びこの現像剤収納容器を備えた画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る現像剤収納容器は、円筒形状を有し、軸線回りに回転駆動されることにより、内部に収容した現像剤を搬送して第1排出口から排出する現像剤容器と、前記第1排出口周囲を包囲し、前記第1排出口から排出された現像剤を一旦格納する円筒状の一時格納部と、現像剤を外部に排出する第2排出口と、一時格納部から第2排出口へ現像剤を搬送する搬送部とを有し、前記現像剤容器を前記軸線回りに回転可能に支持する現像剤補給部と、を備え、前記現像剤容器内の現像剤を、前記第1排出口及び前記第2排出口を介して外部に排出する現像剤収納容器であって、前記現像剤補給部は、前記第1排出口を覆う、前記軸線の垂直面と平行に設置される平面部を有する排出量規制部を有し、当該平面部には、前記現像剤容器が回転され、前記第1排出口が当該現像剤容器の設置方向下部にくると、当該現像剤容器から前記第1排出口を介して排出された現像剤を前記一時格納部へ通過させる開口が設けられており、前記現像剤容器は、前記現像剤補給部内部に位置し、前記軸線を中心として前記第1排出口が設けられている側とは反対側に、通気孔を備えることを特徴としている。
現像剤容器内が現像剤で満杯のときなど、現像剤によって第1排出口から現像剤容器内に空気が入り込まないように塞がれた状態で、現像剤容器から現像剤が排出されると、現像剤容器の内圧が瞬間的に低下して、現像剤排出量が少なくなることがある。
しかし、本発明に係る上記構成によると、現像剤容器は、現像剤補給部内部に位置し、軸線を中心として第1排出口が設けられている側とは反対側に通気孔を備えるため、第1排出口が塞がれた状態であっても、通気孔から現像剤容器内に空気が流入する。よって、現像剤容器内が現像剤で満杯のときでも、現像剤容器の内圧低下を抑え、第1排出口からの現像剤排出量を安定化できる。
さらに、本発明に係る上記構成によると、上記排出量規制部を有していることにより、現像剤の排出量を多量で一定量にすることができる。具体的には、現像剤容器が回転されて、第1排出口が現像剤容器の設置方向下部に来て開口を通過するときには、第1排出口から重力方向に現像剤が排出され易くなる。現像剤は、第1排出口から、排出量規制部の平面部に設けられた開口を通して、現像剤補給部に排出される。また、現像剤容器が回転されて、第1排出口が現像剤容器の設置方向上部にきたときには、第1排出口と、排出量規制部の前記軸線の垂直面と平行に設置される面との隙間から、外気を現像剤容器内に引き込みやすくなり、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。
以上からわかるように、上記構成によると、現像剤容器内の現像剤の量に関わらず、多量で一定量の現像剤を安定して現像剤収納容器から補給することが可能となる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記通気孔は、幅が1mm以下のスリットとして設けられていてもよい。
上記構成によると、通気孔が、幅が1mm以下のスリットとして設けられているため、効果的に、通気孔からの現像剤漏れを抑制しつつ、現像剤容器内に空気を流入できる。よって、現像剤容器の内圧が低下しにくく、安定した現像剤排出量が得られる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記通気孔は、前記現像剤容器端部の、前記軸線の垂直面に設けられていてもよい。
上記構成によると、通気孔付近においてトナーの重力がダイレクトにかからずに、通気孔からのトナー漏れを抑えることができる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記第1排出口は、前記現像剤容器端部の、前記軸線の垂直面から当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に形成されていてもよい。
上記構成によると、第1排出口は、現像剤容器端部の、現像剤容器の軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されている。そのため、現像剤容器内に多量の現像剤が入っている場合、現像剤容器が軸線回りに回転されると、傾斜面により、第1排出口近傍の現像剤が攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面に設けられた第1排出口から、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記傾斜面は、前記軸線の垂直面から20度から60度の角度を有して、当該軸線における現像剤搬送方向上流側に傾斜しているのが好ましい。
上記構成によると、傾斜面が20度から60度の角度を有していることで、適切に、多量の一定安定量の現像剤を、複数の開口部に分割された第1排出口から排出することが可能となる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記現像剤容器は、当該現像剤容器端部において、前記傾斜面の当該現像剤容器回転方向上流側の脇に、当該現像剤容器内側へ沈降し、前記傾斜面の前記脇に設けられた側面と、前記傾斜面の傾斜方向に傾斜した誘導傾斜面とに囲まれた現像剤退避空間を有し、前記誘導傾斜面の法線は、前記現像剤容器回転方向下流側に傾斜してもよい。
第1排出口が形成されている傾斜面と排出量規制部の平面部との間には、現像剤容器の回転中、第1排出口が平面部の開口の位置に来ない限り、第1排出口から排出された現像剤が溜まる。このような状態で現像剤容器が回転を続けると、現像剤は、排出量規制部の平面部との間で生じる摩擦エネルギーによりストレスを受けて凝集しやすくなる。
しかし、本発明に係る上記構成によると、現像剤退避空間を有していることで、第1排出口から排出され、傾斜面と排出量規制部の平面部との間に溜まった現像剤は、現像剤退避空間に移動することができる。そのため、現像剤のストレスを緩和することができる。現像剤退避空間を囲む誘導傾斜面は、傾斜面の傾斜方向に傾斜しており、さらに、その法線は、現像剤容器回転方向下流側に傾斜している。そのため、現像剤容器の回転により、誘導傾斜面には現像剤を排出量規制部の平面部に向かって押し出す力が働く。いわゆる、スクリューと同じ働きである。よって、誘導傾斜面が平面部の開口の位置にくると、現像剤退避空間から平面部の開口に向かって現像剤を誘導させることができる。このように、現像剤退避空間に現像剤が溜まることを防止できる。よって、現像剤に与えるストレスを軽減して、現像剤収納容器から外部に排出することが可能となる。
なお、誘導傾斜面の傾斜角度は、第1排出口が形成される傾斜面の傾斜角度と同じでも異なっていてもよい。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記第1排出口は、複数の開口部に分割されていてもよい。
ここで、現像剤容器内の現像剤が減少していく過程において、現像剤容器中の空気量が多くなると、現像剤容器が回転されることにより、現像剤容器内の現像剤が空気とともに攪拌されて、流動性が極めて高くなる状態(エアロゾル状態)になりやすい。その際に、現像剤排出量が著しく多くなることがある。しかし、本発明に係る上記構成によると、第1排出口が複数の開口部に分割されて形成されているため、現像剤の流動性が高い時の過補給を抑制することができ、現像剤の流動性が低い時の補給不足を防止することができる。
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記傾斜面は、前記現像剤容器の周囲方向に連続する複数の部分傾斜面から成り、前記複数の開口部は、当該複数の部分傾斜面にそれぞれ形成されていてもよい。
上記構成によると、傾斜面が、現像剤容器の周囲方向に連続する複数の部分傾斜面から形成されることで、複数の開口部の開口面積を広くしても、例えばシールテープによって複数の開口部を隙間なく確実に封鎖(密閉)することができるようになる。ここで、シール(テープ)とは、現像剤容器から第1排出部を介して現像剤が排出しないように第1排出口を封じるための部材ある。現像剤収納容器の使用時(画像形成装置に装着後)にはシールは、取り外される。上記構成によると、現像剤収納容器の輸送時における第1排出口からの現像剤の漏れを効果的に防止できる。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述した現像剤収納容器を着脱可能に装着していることを特徴としている。
上記構成によれば、上述した現像剤収納容器を着脱可能に装着しているため、常に適量の現像剤を補給して現像を行うことができる。よって、現像剤の補給が的確に行われるため、画質の品位を保って画像形成することができる。また、画像形成装置の大型化やコストアップを防ぐことができる。
なお、上記現像剤収納容器は、現像剤補給部を備えているため、現像剤収納容器と現像装置との間に現像剤補給装置を備えない画像形成装置に採用することも可能である。
本発明の現像剤収納容器では、以上のように、前記現像剤容器内の現像剤を、前記第1排出口及び前記第2排出口を介して外部に排出する現像剤収納容器であって、前記現像剤補給部は、前記第1排出口を覆う、前記軸線の垂直面と平行に設置される平面部を有する排出量規制部を有し、当該平面部には、前記現像剤容器が回転され、前記第1排出口が当該現像剤容器の設置方向下部にくると、当該現像剤容器から前記第1排出口を介して排出された現像剤を前記一時格納部へ通過させる開口が設けられており、前記現像剤容器は、前記現像剤補給部内部に位置し、前記軸線を中心として前記第1排出口が設けられている側とは反対側に、通気孔を備えている。
現像剤容器は、現像剤補給部内部に位置し、軸線を中心として第1排出口が設けられている側とは反対側に通気孔を備えるため、第1排出口が塞がれた状態であっても、通気孔から現像剤容器内に空気が流入する。よって、現像剤容器内が現像剤で満杯のときでも、現像剤容器の内圧低下を抑え、第1排出口からの現像剤排出量を安定化できる。
さらに、本発明に係る上記構成によると、上記排出量規制部を有していることにより、現像剤の排出量を多量で一定量にすることができる。具体的には、現像剤容器が回転されて、第1排出口が現像剤容器の設置方向下部に来て開口を通過するときには、第1排出口から重力方向に現像剤が排出され易くなる。現像剤は、第1排出口から、排出量規制部の平面部に設けられた開口を通して、現像剤補給部に排出される。また、現像剤容器が回転されて、第1排出口が現像剤容器の設置方向上部にきたときには、第1排出口と、排出量規制部の前記軸線の垂直面と平行に設置される面との隙間から、外気を現像剤容器内に引き込みやすくなり、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。
以上からわかるように、上記構成によると、現像剤容器内の現像剤の量に関わらず、多量で一定量の現像剤を安定して現像剤収納容器から補給することが可能となる。
〔実施の形態1〕
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明を実施する形態の一例であり、後述する本発明に係るトナーカートリッジ(現像剤収納容器)が用いられた本発明に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。なお、本発明に係る画像形成装置について、図2に示す複写機を例にして説明するが、本発明の画像形成装置は、これに限定されず、プリンタ、ファクシミリ機、あるいは複写機などの画像形成を行う装置であればよい。つまり、後述する本発明に係るトナーカートリッジを着脱可能に装着でき、画像形成を行う装置であればよい。
図2に示すように、画像形成装置100は、原稿読取部(スキャナ装置)43、画像形成部40、電子写真プロセス部60、シート供給部50を備えている。
原稿読取部43は、画像形成装置100上部に配置され、原稿を読み取り、画像データを作成する。
画像形成部40は、原稿読取部43の下方に設けられ、感光体44、帯電装置45、露光部46、を備えている。
感光体44は、略円筒形状の静電潜像担持体であり、回転可能に設置される。感光体44の表面には、原稿読取部43で作成された画像データ、あるいは通信ネットワーク等を介して外部から伝達された画像データに応じた静電潜像が形成される。
帯電装置45は、感光体44の表面を所定の電位に均一に帯電させる装置である。帯電装置45としては、接触ローラ型の帯電器、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触チャージャー型の帯電器などが使用できる。
露光部46は、レーザービームスキャナーを備え、帯電装置45によって帯電された感光体44を画像データに応じて露光することにより、感光体44の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
また、感光体44の周辺には、感光体44表面に残留するトナー(現像剤)を除去するクリーニング部49を備えている。
電子写真プロセス部60は、現像装置47と、転写部48と、定着部51とを備える。
現像装置47は、静電潜像が形成された感光体44の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する装置である。
現像装置47の上方には、トナーが収容されるトナーカートリッジ1とトナーホッパ13を備えたトナー補給装置10が設けられている。トナーホッパ13にはトナーカートリッジ1からトナーが補給されるようになっている。トナーカートリッジ1の詳細は後述する。
転写部48は、現像装置47により現像された感光体44のトナー画像を、シート供給部50から搬送されるシート(記録用紙、記録材)に転写する。
定着部51は、トナー画像が形成されたシートに画像を定着させる。トナー画像が定着した用紙は、排紙トレイ上に排出される。
次に、本実施形態のトナーカートリッジ(現像剤収納容器)1について説明する。トナーカートリッジ1は、図3、4に示すように、円筒形状を有するトナーボトル(現像剤容器)2と、トナー補給部(現像剤補給部)3とを備えている。
トナーボトル2は、補給用のトナー(現像剤)を収容する有底筒状のトナー収容部21と、トナー収容部21内のトナーを排出するトナーボトル排出口(第1排出口)31とを備えている。トナーボトル2は、軸線L1回りに回転駆動されることにより、トナーボトル2(トナー収容部21)内に収容したトナーを搬送して、トナーボトル排出口31から排出する。
さらに、トナーボトル2は、図1、4に示すように、トナー補給部3内部に位置し、軸線L1を中心としてトナーボトル排出口31が設けられている側とは反対側に、通気孔34を備えている。通気孔34は、本実施形態では、幅が1mm以下のスリットとして設けられている。なお、通気孔34の形状は、幅が1mm以下のスリット以外でも、トナー漏れを抑制しつつ、トナーボトル2内に空気を流入できれば、どのような形状でも構わない。
トナー補給部3は、トナーボトル排出口31周囲を包囲するトナー補給部外壁(一時格納部)3aと、トナーを外部に排出する補給部排出口(第2排出口)5とを備えている。トナーボトル排出口31から排出されたトナーは、トナー補給部外壁(一時格納部)3aの内部に一旦格納される。また、トナー補給部3は、トナー補給部外壁3aの内部から、補給部排出口5へトナーを搬送するトナー搬送部材(搬送部)9を有している。
なお、通気孔34とトナー補給部外壁3aとの間には、摩擦を抑えるために、微小な隙間(例えば、1mm程度)を開ける。
トナー補給部3は、本実施系形態では、円筒形状を有し、トナーボトル排出口31を含むトナーボトル2の一部を外周面の全周にわたり包囲するとともに、トナーボトル2を軸線L1回りに回転可能に支持する。トナーボトル2を軸線L1回り回転させることにより、トナーボトル2(トナー収容部21)内のトナーは、トナーボトル排出口31からトナー補給部3に排出され、トナー搬送部材9にて搬送され、補給部排出口5からトナーカートリッジ1の外部に排出される。
ここで、トナーボトル2内がトナーで満杯のときなど、トナーによってトナーボトル排出口31からトナーボトル2内に空気が入り込まないように塞がれた状態で、トナーボトル2からトナーが排出されると、トナーボトル2の内圧が瞬間的に低下して、トナー排出量が少なくなることがある。
しかし、本実施形態のトナーボトル2では、通気孔34を備えるため、トナーボトル排出口31が塞がれた状態であっても、通気孔34からトナーボトル2内に空気が流入する。よって、トナーボトル2内がトナーで満杯のときでも、トナーボトル2内の内圧低下を抑え、トナーボトル排出口31からのトナー排出量を安定化できる。
また、図1、4、6に示すように、トナー補給部3は、トナーボトル排出口31からトナーの排出量を規制するトナー排出位置規制衝立(排出量規制部)6を有している。トナー排出位置規制衝立6は、図4、6に示すように、トナーボトル排出口31を覆う、軸線L1の垂直面と平行に設置される平面部6aを有する。平面部6aには、トナーボトル2が回転され、トナーボトル排出口31がトナーボトル2の設置方向下部(トナーカートリッジ1の下部)に来たときに、トナーボトル2からのトナーをトナー補給部3の一時格納部に通過させる切り欠き(通過口)6bが設けられている。
平面部6aに切り欠き6bが設けられたトナー排出位置規制衝立6により、トナーの排出は次のようになる。トナーボトル2が回転され、傾斜面32に設けられたトナーボトル排出口31が、トナーボトル2の設置方向下部に来て、切り欠き6bを通過するときには、傾斜面32に設けられたトナーボトル排出口31から重力方向にトナーが排出され易くなる。トナーは、トナーボトル排出口31から、切り欠き6bを通して、トナー補給部3に排出される。また、トナーボトル2が回転され、傾斜面32に設けられたトナーボトル排出口31が、トナーボトル2の設置方向上部にきたときには、次のようになる。傾斜面32に設けられたトナーボトル排出口31と、トナー排出位置規制衝立6の軸線L1の垂直面と平行に設置される平面部6aとの隙間から、外気をトナーボトル2内に引き込みやすくなり、多量のトナーをトナーボトル2から排出することが可能となる。
ここで、平面部6aの切り欠き6bが、トナーボトル2の設置方向の最下点にくるようトナー排出位置規制衝立6は配置される。このように配置されていると、切り欠き6bから排出されるトナーが重力の影響を最も受けやすくなる。
以上からわかるように、本実施形態のトナーカートリッジ1では、トナーボトル2内のトナーの量に関わらず、多量で一定量のトナーを安定して補給することが可能となる。なお、通気孔34を、幅が1mm以下のスリットとして設けると、効果的に、通気孔34からのトナー漏れを抑制しつつ、トナーボトル2内に空気を流入できる。また、トナーカートリッジ1は、トナーボトル排出口31周囲を包囲する形のトナー補給部3を備えているため、画像形成装置100の大型化やコストアップを防ぐことができる。
また、トナーボトル2の内周面には、図3、4に示すように、トナー収容部21の内側へ隆起した複数の凸部であるトナー案内突起4が設けられている。トナー案内突起4は、トナーボトル2の回転方向に対応して分割された(断続した)螺旋状に形成されている。これにより、トナーボトル2が軸線L1回りに回転することによって、トナー収容部21内のトナーがトナー案内突起4に沿ってトナーボトル排出口31側に向かって搬送(案内)される。
また、トナーボトル2の、軸線L1方向におけるトナー搬送方向下流側の端部(先端部)には、駆動連結窪み2aを備える撹拌台座2bが円筒状に突出して設けられている。撹拌台座2bは、図4に示すように、トナー収容部21よりも直径が小さい円筒形状に形成されている。トナーボトル2は、駆動連結窪み2aによって画像形成装置100本体と連結し、画像形成装置100から伝達される回転駆動力を受ける。
次に、トナーボトル排出口31周辺の形状について、より詳細に説明する。
本実施形態では、トナーボトル排出口31は、図1、5に示すように、トナーボトル2端部の、トナーボトル2の軸線L1の垂直面に対して軸線L1方向におけるトナー搬送方向上流側に角度θ傾斜した傾斜面32に、設けられている。
トナーボトル2内に多量のトナーが入っている場合、トナーボトル2が軸線L1回りに回転されると、傾斜面32により、トナーボトル排出口31近傍のトナーが攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面32に設けられたトナーボトル排出口31から、多量のトナーをトナーボトル2から排出することが可能となる。
よって、本実施形態のトナーボトル2を有するトナーカートリッジ1は、図9,10に示す従来のトナーボトル20を有するトナーカートリッジ101のように、トナーボトル排出口30がトナーボトル20端部にてトナーボトル20の軸線の垂直面である端面29に設けられている場合に比べて、多量のトナーを一定量安定して排出させることができる。
なお、トナーボトル2内のトナーが減少すると、トナーボトル2が回転されることにより、トナーボトル2内のトナーが攪拌されやすくなり、またトナー排出口31がトナーボトル2内のトナーにより塞がれる時間が少なくなり、トナーボトル2内に外気を引き込みやすくなる。よって、引き続き多量のトナーを排出することができる。
ここで、傾斜面32の角度θは、20度から60度の範囲であるのが好ましい。傾斜面32が20度から60度の角度を有していることで、適切に、多量で一定量のトナーを安定してトナーボトル排出口30から排出することが可能となる。また、画像形成装置100が、高速稼動されるものである程、傾斜面32の角度θが大きい方が好ましい。
また、トナーボトル2は、図5に示すように、その端部において、傾斜面32のトナーボトル2回転方向上流側の脇に、トナーボトル2内側へ沈降した退避空間33を有している。この退避空間33は、傾斜面32のトナーボトル2回転方向上流側の脇に設けられた側面と傾斜面32の傾斜方向に傾斜した誘導傾斜面35とに囲まれた空間である。さらに、誘導傾斜面35の法線方向は、トナーボトル2回転方向下流側に傾斜している。
このように、トナーボトル2が退避空間33を有していることで、トナーボトル排出口31から排出され、傾斜面32と平面部6aとの間に溜まったトナーは、退避空間33に移動することができる。そのため、トナーのストレスを緩和することができる。
ここで、誘導傾斜面35は、傾斜面32の傾斜方向に傾斜しており、さらに、その法線は、トナーボトル2回転方向下流側に傾斜している。そのため、トナーボトル2の回転により、誘導傾斜面35にはトナー排出位置規制衝立6の平面部6aに向かって押し出す力が働く。いわゆる、スクリューと同じ働きである。よって、誘導傾斜面35が平面部6aの開口6bの位置にくると、退避空間33から切り欠き6bに向かってトナーを誘導させることができる。このように、退避空間33にトナーが溜まることを防止できる。
誘導傾斜面35のエッジ35aは、トナー補給部3とは非接触に配置されている。つまり、誘導傾斜面35のエッジ35aとトナー補給部3とには、微小な隙間を設けてられている。そのため、誘導傾斜面35のエッジ35aとトナー補給部3との間でトナーが摩擦されてストレスを受けるのを防ぐことができる。
誘導傾斜面35の軸線L1方向の長さとしては、設計可能範囲で長い方が好ましいが、トナーボトル排出口31の軸線L1方向の長さ以上であることが好ましい。誘導傾斜面35の軸線L1方向の長さが、トナーボトル排出口31の軸線L1方向の長さ以上であると、トナー排出位置規制衝立6の平面部6aの切り欠き6bからトナーが排出されやすくなる。よって、退避空間33にトナーが溜まることを抑えることができる。
次に、トナーボトル2から排出されたトナーの補給部排出口5までの搬送について説明する。トナー補給部3の補給部排出口5での切断斜視図を図7に示す。図7に示すように、トナーボトル2からトナー補給部3に排出されたトナーは、トナーボトル2と同期して回転するトナー搬送部材9により補給部排出口5まで搬送され、トナーカートリッジ1の外部に排出される。トナーボトル2が軸線L1回りに回転し、トナーボトル排出口31が切り欠き6bに対向して通過するとき、トナーボトル2内のトナーが、トナー補給部3に排出されると共に、トナー搬送部材9が有するトナー搬送羽根9bで汲み上げられて、トナー補給部3からトナーボトル2へ逆流するのを防ぐことができる。よって、補給部排出口5からトナーカートリッジ1の外部へ排出されるトナー量がより安定化される。
なお、本実施形態では、本発明に係るトナーカートリッジを図2に示すような画像形成装置100に適用した例について説明した。しかし、本発明に係るトナーカートリッジは、トナーカートリッジや現像装置が搭載され、あるいは搭載可能に設けてあり、現像剤(トナー)を補給する必要のある画像形成装置であれば、上述した構成の画像形成装置や複写機に限定されるものではなく、その他の画像形成装置等に適用が可能である。
(実施例)
トナーボトル内のトナー残留量とトナーカートリッジからのトナー排出量との関係を調べる実験を行った。実験では、以下の実施例1,2のトナーカートリッジと、比較例のトナーカートリッジを用意した。
実施例1のトナーカートリッジは、上述した実施の形態1のトナーカートリッジ1の形状を有し、トナーボトル2の通気孔34として幅1mm、長さ4mmのスリットを設け、トナーボトル排出口31が設けられた面32の傾斜角は、θ=0度とした。なお、実施例1では、退避空間33は設けていない。
実施例2のトナーカートリッジは、上述した実施の形態1のトナーカートリッジ1の形状を有し、トナーボトル2の通気孔34として幅1mm、長さ4mmのスリットを設け、トナーボトル排出口31が設けられた面32の傾斜角は、θ=40度とした。実施例2では、退避空間33を設けた。
比較例のトナーカートリッジは、上記で、図9,10を用いて説明した従来のトナーカートリッジ101の形状を有するものを用いた。つまり、比較例のトナーカートリッジのトナーボトルには、通気孔は設けられておらず、トナーボトル排出口30が設けられた傾斜面32の傾斜角は、θ=0度である。比較例においても、退避空間は設けていない。
これら実施例1,2及び比較例のトナーカートリッジにおいて、トナーボトルの通気孔の有無、トナーボトル排出口が設けられている面の傾斜角の違い、及び、退避空間33の有無、以外は、全て同じ構成にした。また、実施例1,2及び比較例では、トナーボトル排出口の面積も同じにした。また、実施例1,2及び比較例では、トナーボトルに初めに収納するトナーも同量にした。
上記実施例1,2及び比較例のトナーカートリッジを用いた実験の結果を、表1及び図11に示す。表1及び図11から、比較例に比べて、トナーボルトに通気孔を設けた実施例1の方が、トナーが多く安定して排出されていることがわかる。通気孔に加え、トナーボトル排出口を傾斜面に設け、さらに退避空間を設けた実施例2では、トナーがより多く排出されていることがわかる。また、トナーボトル内のトナーの残留量が多い立ち上がり時でも、比較例よりも、実施例1が、さらには実施例2が、トナーを多量に排出していることがわかる。
〔実施の形態2〕
図8は、実施の形態2のトナーカートリッジが有するトナーボトル200を示す図である。なお、以下では、実施の形態1と異なる構成のみ説明し、同様の構成については、説明を省略する。
実施の形態1のトナーボトル2とは異なり、本実施形態のトナーボトル200では、トナーボトル排出口310が第1開口部31aと第2開口部31bとに分割されている。さらに、トナーボトル200では、通気孔34aが、トナーボトル200の軸線の垂直面である端面36に設けられている。
本実施形態のように通気孔34aをトナーボトル200の端面36に設けることにより、実施の形態1のように通気孔34をトナーボトル2の外周曲面に設けるよりも、通気孔付近においてトナーの重力がダイレクトにかからずに、トナー漏れを抑えることができる。
トナーボトル排出口310周辺の形状について、より詳細に説明する。本実施形態では、トナーボトル排出口310は2つに分割されているが、3以上に分割されてもよい。なお、図8では第1開口部31a及び第2開口部31bは、大きさ及び形状が異なっているが、同じであってもよい。この第1開口部31a及び第2開口部31bに分割されたトナーボトル排出口310からトナーボトル200内のトナーが、トナー補給部3に排出される。
ここで、トナーボトル排出口の面積は、トナーボトル200(トナー補給部210)に一定量(例えば満杯)のトナーが格納されている際の、所定の回転数における、排出量(排出速度)によって決定される。そのため、第1開口部31aの面積に第2開口部31bの面積を加えた面積(総面積)が、上記のように排出量によって決定された面積になるようにすればよい。
さらに、第1開口部31a及び第2開口部31bは、トナーボトル200端部の、トナーボトル200の軸線L1の垂直面に対して軸線L1方向におけるトナー搬送方向上流側に角度θ傾斜した傾斜面320に、設けられている。傾斜面320は、トナーボトル200の周囲方向に連続する複数の部分傾斜面である第1傾斜平面32a及び第2傾斜平面32bから成る。ここで、図8に示すように、第1傾斜平面32aと第2傾斜平面32bとが成す、トナーボトル内部での角度は、180未満となっている。第1傾斜平面32aと第2傾斜平面32bとが成すこの角度は、第1開口部31a及び第2開口部31bの幅(周方向の長さ)から受動的に決まる。つまり、第1傾斜平面32aと第2傾斜平面32bとの交線は、トナーボトル200の外周面側に突出することになる。
そして、第1開口部31a及び第2開口部31bは、それぞれ、第1傾斜平面32a及び第2傾斜平面32bに形成されている。このように、本実施形態では、連続する部分傾斜面は2つであるが、3以上であってもよい。また、1つの部分傾斜面に1以上の開口部が設けられていてもよい。
本実施形態のトナーカートリッジ1では、上記のように、トナーボトル排出口310は第1開口部31a及び第2開口部31bに分割されており、第1開口部31a及び第2開口部31bは、トナーボトル200端部の傾斜面320に形成されている。そして、傾斜面320は、トナーボトル200の軸線L1の垂直面に対して当該軸線方向におけるトナー搬送方向上流側に角度θ傾斜している。
そのため、トナーボトル200内に多量のトナーが入っている場合、トナーボトル200が軸線L1回りに回転されたとき、傾斜面320により、第1開口部31a及び第2開口部31bに分割されたトナーボトル排出口310近傍のトナーが攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面320に設けられた、第1開口部31a及び第2開口部31bに分割されたトナーボトル排出口310から、多量のトナーをトナーボトル200から排出することが可能となる。このような構成であるため、図9,10に示す従来のトナーカートリッジ101のトナーボトル20ように、トナーボトル排出口30が、トナーボトル20端部において、トナーボトル20の軸線L1の垂直面である端面29に設けられている場合に比べて、多量のトナーを一定量安定して排出させることができる。
ここで、トナーボトル200内のトナーが減少していく過程において、トナーボトル200内の空気量が多くなると、トナーボトル200が回転されるため、トナーボトル200のトナーが空気とともに攪拌されて、流動性が極めて高くなる状態(エアロゾル状態)になりやすい。その際に、トナー排出量が著しく多くなることがある(トナー雪崩)。しかし、特に、トナーボトル排出口310が複数(本実施形態では2つ)の開口部に分割されているため、トナーの流動性が高い時の過補給を抑制することができ、トナーの流動性が低い時の補給不足を防止することができる。
また本実施形態では、以上のように、傾斜面320は、トナーボトル200の周囲方向に連続する第1傾斜平面32a及び第2傾斜平面32bから成り、第1開口部31a及び第2開口部31bは、第1傾斜平面32a及び第2傾斜平面32bにそれぞれ形成されている。
このように傾斜面320が、トナーボトル200の周囲方向に連続する第1傾斜平面32a及び第2傾斜平面32bから形成されることで、第1開口部31a及び/又は第2開口部31bの開口面積を広くしても、例えばシールテープによって第1開口部31a及び第2開口部31bを隙間なく確実に封鎖(密閉)することができるようになる。
ここで、シール(テープ)とは、トナーボトル200からトナーボトル排出口310を介してトナーが排出しないようにトナーボトル排出口310を封じるための部材ある。トナーボトル200の使用時(画像形成装置100に装着後)にはこのシールは、取り外される。この構成によると、トナーカートリッジの輸送時におけるトナーボトル200からのトナー漏れを確実に防止できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。