JP3523129B2 - トナー収納容器 - Google Patents

トナー収納容器

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JP3523129B2
JP3523129B2 JP36337599A JP36337599A JP3523129B2 JP 3523129 B2 JP3523129 B2 JP 3523129B2 JP 36337599 A JP36337599 A JP 36337599A JP 36337599 A JP36337599 A JP 36337599A JP 3523129 B2 JP3523129 B2 JP 3523129B2
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伸夫 笠原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー収納容器、
それを用いた画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】像担持体に形成された静電潜像を粉体状
のトナーによって可視像化する現像装置を備えた電子写
真画像形成装置は従来より周知である。かかる画像形成
装置は、電子複写機、プリンタ、ファクシミリあるいは
その少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構
成されるが、いずれの形式の画像形成装置においても、
その現像部にトナー収納容器からトナーが供給され、そ
のトナーが現像部において静電潜像の可視像化に供され
る。
【0003】通常、トナー収納容器は、画像形成装置本
体ないしは現像部に対して着脱可能に装着され、そのト
ナー収納容器内のトナー残量が少なくなったとき、新た
なトナー収納容器と交換される。かかるトナー収納容器
は、トナーが充填された状態で、画像形成装置本体とは
別個の独立した商品として販売され、ユーザに提供され
る。
【0004】かかるトナー収納容器として通常用いられ
ているものは、例えば特開平7−20705公報に示さ
れる、内部壁とトナー排出口にかけて螺旋溝を設けた容
器であって、その中に収納したトナーを容器を回転させ
ることによって螺旋溝を介してトナーを排出して現像部
に供給するプラスチック等からなるタイプのものと、例
えば特開平7−281519公報に示される、トナー収
納容器内にトナー排出用のアジテータを設け、アジテー
タの回転によりトナーを攪拌し排出して現像部に供給す
るプラスチックあるいは厚紙からなるタイプのものに大
別でき、いずれも容器内にトナー排出機構を設けた容器
全体が硬い(ハードタイプと称する)ものである。
【0005】これらの容器からトナー排出機構によって
排出されたトナーを現像部のホッパー内に直接落下さ
せ、現像機構に移送させてトナー画像を形成させてい
る。従がって、画像形成装置内ではトナー収納容器を現
像部と隣接あるいは近接して配置しなければならず、さ
らにトナーを落下させることを考えると特別な機構をと
らない限り該容器を現像部の上側に配置することも必要
になっている。こうした理由で画像形成装置内に配置す
る各種手段とか部品のレイアウトを検討する場合に、通
常トナー収納容器と現像部とは一体物と捉えてスペース
を確保しなければならないと言った制約をもたらしてい
る。
【0006】さらに、トナー収納容器から現像部へのト
ナーの供給が連続的かつ安定に行われること必要がある
が、これらの容器によるトナーの現像部へ供給する従来
方式はこの要求を充分満足させていないため、形成され
る画像品質にも問題があり、しかも容器内に収納された
トナーの全量が画像形成に使われずに、一部残ってしま
う状態が発生している。
【0007】本発明者等の調査によると、このような問
題が提議された公知の事実はなく、従がってそれを解決
する方法として公知のものが未だにないのが実情であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、画像形成装置内においてトナー収納容器と現像部と
を隣接あるいは近接させなくても設置でき、レイアウト
上の配置スペースの制約を必要としない、新規なトナー
供給方式による電子写真画像形成方法と電子写真画像形
成装置及びそれに用いられる新規なトナー収納容器を提
案することである。
【0009】本発明の第二の目的は、トナーを終始安定
に排出して現像部に供給でき、しかも最後に残されるト
ナーの量を従来よりも大幅に減少させることのできる、
新規なトナー供給方式による電子写真画像形成方法と電
子写真画像形成装置及びそれに用いられる新規なトナー
収納容器を提案することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために誠意検討した結果、トナー収納容器と
現像部との間にトナー送流通路を設け、その中を空気流
によってトナーを現像部に供給することができ、その場
合トナー収納容器と現像部とを離間して配置しても供給
が可能であることを見出し、さらにその新規なトナー供
給方式に適用できる新規なトナー収納容器についても併
せて検討し、本発明に至った。
【0011】すなわち、本発明は、トナー排出口を有す
るトナー収納容器において、前記トナー排出口が長尺物
と嵌合しその状態を保持できる嵌合部を有するものであ
ることを特徴とするトナー収納容器を提供する。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
に従って詳細に説明する。図1は、画像形成装置本体内
に装着された現像部1と、この現像部1に補給されるト
ナーを収容したトナー収納容器2とこの両者を接続する
トナー送流手段3を示す部分断面図である。
【0016】図1に一例として示した現像部1は、トナ
ーとキャリアを混合して成る粉体状の二成分系の現像剤
Dを収容した現像容器4と、その現像剤Dを撹拌混合す
る第1及び第2の撹拌スクリュー5,6と、現像ローラ
7とを有していて、当該現像ローラ7が、潜像担持体の
感光体8に対向して配置されている。感光体8は図1に
矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が
形成される。
【0017】第1及び第2の撹拌スクリュー5,6が回
転することにより、現像容器4内の現像剤Dが撹拌さ
れ、そのトナーをキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電さ
れる。かかる現像剤Dが、矢印方向に回転駆動される現
像ローラ7の周面に供給され、その供給された現像剤
は、現像ローラ7の周面に担持され、当該現像ローラ7
の回転によって、その回転方向に搬送される。次いで、
この搬送された現像剤は、ドクターブレード9によって
量を規制され、規制後の現像剤が感光体8と現像ローラ
7との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナー
が、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電
潜像がトナー像として可視像化される。
【0018】図示していないトナー濃度センサによって
現像容器4内の現像剤Dのトナー濃度が低下したことが
検知されると、画像形成装置本体に着脱可能にセットさ
れたトナー収納容器2内のトナーが現像容器4内に補給
され、これによって現像容器4内の現像剤Dのトナー濃
度が一定の範囲内に維持することができる。
【0019】本発明の新規なトナー供給方式について説
明する。該トナー供給方式は、前述のように、トナー収
納容器と現像部との間にトナー送流通路を設け、その中
を空気流によってトナーを現像部に供給するものであ
る。
【0020】この方式によると、トナー収納容器と現像
部とを離間して配置してもトナーを現像部に供給するこ
とができる。さらにこの方式を採用する場合、トナー送
流通路は、少なくともトナーを現像部へ供給している間
は、可能な限り高い密閉状態であることが重要である。
【0021】この可能な限り高い密閉状態、すなわち実
質密閉状態とは、前記トナー送流通路からトナーが実質
漏れ出ない状態を意味する。前記トナー送流通路は、ト
ナー収納容器と現像部とを長尺のトナー送流手段で接続
することによって形成されるものであり、前記実質密閉
状態はこのトナー送流手段の一端部とトナー収納容器の
排出口との接続部からトナー送流手段の他の端部と現像
部との接続部までの間で形成されるものである。
【0022】高い密閉状態を確保するには、各部品間の
接続状態に留意する必要があるが、特にトナー送流手段
の一端部とトナー収納容器の排出口との接続部の影響が
大きく、この接続部が可能な限り密着していることが重
要であることが判明し、本発明においては、後述するよ
うに、この接続部の気密性の向上策について検討した。
【0023】前記トナー送流手段は、少なくとも空気流
を形成する手段(空気流形成手段という)とトナー送流
管からなり、このトナー送流管が細長いものであるた
め、トナー送流手段全体を長尺と表現するが、その長さ
は任意である。
【0024】従がって、該トナー送流手段とは、トナー
収納容器からトナーを排出し現像部に供給するために関
与しかつ容器と現像部の間に存在させた、空気流形成手
段とかトナー送流管のような部品を相互に接続された得
られたものの総称であり、またこうして接続することに
よって形成されトナーを通す通路をトナー送流通路とい
う。
【0025】該空気流形成手段には、例えばエアポンプ
のような容器内に空気を吹き込む手段(空気吹き込み手
段という)と例えば吸引ポンプのような容器内の空気を
吸引する手段(空気吸引手段という)が包含される。こ
の空気流形成手段を稼動させると、トナー送流通路内に
現像部に向けた一方向の空気流が形成され、トナーはこ
の空気流によって該送流通路内を通って、途中滞留する
ことなくかつ滞留させる必要もなく、現像部に供給され
る。この空気流形成手段の稼動を調整することによっ
て、空気流の強さを調整し、供給するトナー量を制御す
ることができる。
【0026】本発明の新規なトナー供給方式を、以下の
3つの具体例に基づいて説明するが、この例によって、
トナー送流手段、それを構成する部品およびトナー送流
通路が限定されることはない。
【0027】1) トナー収納容器内に空気を吹き込ん
でトナーを押し出す方式(吹き込み方式) 2) 容器内のトナーを空気と共に吸い出す方式(吸引
方式) 3) 1)2)の併用方式
【0028】先ず吹き込み方式について、説明する。図
2は、吹き込み方式の一例を示す概略図である。
【0029】この例におけるトナー送流手段3は、空気
吹き込み手段としての吹き込み用エアポンプ10の他
に、ノズル11、トナー送流管12およびエア供給管1
4からなり、これらのトナー送流管12およびエア供給
管14がそれぞれトナー収納容器、吹き込み用エアポン
プ、ノズルおよび現像部を接続している。
【0030】このトナー送流管とエア供給管の寸法およ
び材質は任意であり限定されないが、トナー収納容器と
吹き込み用エアポンプと現像部のそれぞれの配置を自由
にとれ、上下左右の任意方向へ配管させることができる
ので、フレキシブルなものが好ましい。
【0031】フレキシブルなチューブは、例えば直径が
4〜10mmのもので、例えば、ポリウレタン、ニトリ
ル、EPDM、シリコン等のような、耐トナー性に優れ
たゴム材料から作られているものを用いることがきわめ
て有効である。
【0032】図3は、ノズル11の一例を示し、図3a
が表面図、図3bが断面図である。このノズルは、プラ
スチックあるいは金属のような材料で作成された柱状体
で、該柱状体の長さ方向に内蔵されたトナー排出管部1
6と吹き込み空気流路管部18が、柱状体の両端面また
は側面から突出するように形成されている。
【0033】この例のノズルは、トナー排出管部16の
一端側にトナー排出用の開口15が設けられ、吹き込み
空気流路管部18はこのトナー排出管部16の周囲を環
状に囲むように形成され、これらが一体に形成されたも
のである。
【0034】このノズルの外壁部17が、トナー排出管
部の一端部に設けた前記トナー排出用の開口15がトナ
ー収納容器のトナー収納部内に位置するように、トナー
収納容器のトナー排出口を構成する嵌合部と接続され
る。この嵌合部については後で説明する。
【0035】開口15がないトナー排出管16の突出し
た端部はトナー送流管12と接続されるとともに、該ト
ナー送流管12の他端側は、図1に示すように、現像部
1のトナー受入口23に固定された接続部材24に接続
される。該接続部材24には、空気を通しトナーを透過
しないフィルタ25が設けられている。
【0036】一方、吹き込み空気流路管部18の突出し
た他端部は空気供給管14と接続され、エアー供給管1
4の他端部は、画像形成装置本体に装着された空気吹き
込み手段としてのエアーポンプ10の空気吐出口に接続
されている。
【0037】このように、ノズル11がトナー収納容器
2のトナー排出口13と嵌合されて、トナー排出管16
と現像部1の接続部材24とがトナー送流管12を介在
させて接続され、トナー送流通路が形成されている。
【0038】図4は、トナー収納容器を前記ノズル11
と接続させる状態の一例を示す断面図である。ここに示
すトナー収納容器は、本発明において使用可能なものの
一例であり、容器については後で詳述する。
【0039】トナー収納容器2の排出口13を下向きに
して、該排出口に形成された密着性を高める機構26中
にノズル11の一端側、すなわち先端部を差し込み嵌合
させている。
【0040】この例のトナー収納容器2では、排出口1
3である筒状体の内表面の空間を埋め込む大きさの、か
つ図10aに示めされるように、あらかじめスリット1
2が形成された板形状の弾性部材を固定して、密着性を
高める機構20を形成している。
【0041】このようにして固定された弾性部材は、ス
リットが形成されていても、容器からトナーを漏らさな
い封止効果をもたらすと共に、ノズル11の先端側が容
器2内に突出するようにして差し込むと、この弾性部材
が変形しノズル11と弾性部材との隙間がなく全体とし
て気密性が維持され、空気流によるトナーの送流を確実
なものにしている。
【0042】このように容器2内にエアーが供給される
と、その内部の粉体状のトナーが流動化し、しかも容器
2内の圧力が高められる。このため、その圧力が上昇し
た分、流動化したトナー粉が、トナー排出管16のトナ
ー排出口15を通してトナー収納容器2の外部に排出さ
れる。排出されたトナーTは、エアーと共にトナー送流
管16及びトナー送流管12中を搬送され、図1に示し
た現像部1の接続部材24に送り込まれ、次いでトナー
受入口23から現像容器3内に供給される。
【0043】このとき、トナーとエアーの混合気中のエ
アーのみがフィルタ25を通して外部に流出する。或る
時間エアーポンプ10が作動した後、その作動が停止さ
れる。このような動作が、現像装置1に収容された現像
剤Dのトナー濃度低下が検知される毎に行われ、これに
よって前述のように現像剤Dのトナー濃度が一定の範囲
内に維持される。
【0044】図5aと5bは、図3に示されるノズルの
変形例であり、該図の番号は図3と同じものを意味して
いる。この図に示されるノズルは図3のものとは異な
り、トナー排出管部16と空気流路管部18は独立にか
つほぼ平行に設けられ、ノズルとして一体化されたもの
である。
【0045】トナー排出管部16と空気流路管部18を
支持するノズルは内部が空間のものでも、内部が詰まっ
た柱状のものでも使用できる。吹き込み方式の他の例と
して、図示しないが、トナー収納容器自体にトナー排出
口と空気吹き込み口の2つの口を設けて、トナー排出口
の筒状構造体とトナー送流管12を直接嵌合させ、この
吹き込み口がエア供給管を介してエアポンプと接続さ
れ、この吹き込み口からエアポンプによって空気を吹き
込んでトナーをトナー排出口からトナー送流管を通して
現像部に送流することもできる。
【0046】吹き込み方式について、吹き込みポンプ、
ノズル、トナー送流管、およびエア供給管とからなるト
ナー送流手段にトナ収納容器をセットした概念を図6に
よって示す。図中の番号は、図2と同じものを意味す
る。
【0047】以上述べた吹き込み方式は、容器内でトナ
ーが長期に保存されて、たとえ凝集状態になている場合
にも、それをほぐして流動化するのに有効であるので、
特にトナーの排出を安定にできる点で優れた方式であ
る。
【0048】次に、吸引方式について、一例を示して説
明する。図7は、空気吸引手段として吸引ポンプを用い
た場合の概念図である。この例の吸引方式の特徴は、ト
ナー収納容器2と現像部1との間に吸引手段としての吸
引ポンプ30を配置して、それぞれをトナー送流管によ
って接続し、該吸引ポンプによってトナーを容器から吸
い出して、空気流と共にトナーを現像部に供給すること
にあり、空気吹き込みを行なわない以外の点について
は、吹き込み方式と略同じである。
【0049】図8は、本発明の吸引方式に用いる吸引ポ
ンプの一例を示す構成の断面図である。この吸引ポンプ
30は、いわゆるモーノポンプといわれる吸引型一軸偏
心スクリューポンプからなり、内壁に浅い螺旋溝を有す
るケーシング31内にねじり棒からなる回転軸32が設
けられたポンプ本体30と、ポンプ本体30の排出側に
設けられ、空気導入管33と送給管34を有する送出部
35とを有する。ポンプ本体30の吸入側はトナー吸引
口を有するトナー吸引管36をトナー送流管12−1
(トナー送流管A)を介してトナー収納容器2の排出口
13に接続され、送出部35の空気排出口を有する送給
管34は、トナー送流管12−2(トナー送流管B)を
介して現像部1に接続されている。
【0050】なお、吸引ポンプと現像部との接続は、ト
ナー送流管Bを介さずに直接であっても良い。特に吸引
ポンプを用いる方式の場合、トナー収納容器とかなり離
れた位置に設置しても、十分に機能を発揮することが出
来る。
【0051】従がって、この例の吸引方式においてはト
ナー送流管12−1、12−2及び吸引ポンプによって
トナー送流手段が構成され、かつトナー送流管12−
1,吸引ポンプ内の吸引管36と送給管34およびトナ
ー送流管12−2によってトナー送流通路が形成されて
いる。
【0052】トナー収納容器2の排出口13と吸引ポン
プ30と現像部1とが、それぞれ接続されて形成される
トナー送流通路は、可能な限り隙間のない接続状態であ
ること、すなわち密閉状態であることが特に望ましい。
中でもトナー収納容器2の排出口13とトナー送流管1
2−1との接続部がそのような状態であることが重要で
ある。
【0053】このような接続状態で吸引ポンプ30の送
出部35に空気導入管33から所定圧力の空気を供給し
ながらポンプ本体30の回転軸32を回転する。この回
転軸32の回転によりケーシング31との間の空間移動
により、トナー収納容器2に収納されたトナーがトナー
吸引口を通して吸引され、トナーを圧縮することなしに
送出部35に送られる。送出部35に送られたトナーは
空気導入管33から送られる空気流によって拡散されて
流動化し、送給管34の空気排出口からトナー送流管1
2−2を通って現像部2に供給される。
【0054】吸引方式は、ポンプの回転数と回転時間を
調節してトナーの排出量をコントロールできるので、特
にトナーの供給精度を高くできる点で優れた方式であ
る。なお、本発明のトナー収納容器の1つに、後述する
ように、フレキシブルな材料から形成される袋部とトナ
ー排出口からなり、空気の圧力によって変形し容量が変
化するものがある。
【0055】このような容器を吸引方式に適用する場
合、吸引すると袋を構成するフレキシブルな材料の間で
互いに密着してしまって、トナーが排出されなくなるこ
とが懸念される。
【0056】しかしながら本発明者等が確認したところ
によると、空気吸引手段を稼動すると容器の中央部から
先ず吸引されてその部分のトナーが排出されると同時
に、壁面にトナーが溜まって中央部に空間が形成された
状態になり、さらに吸引を続けていくと容器の壁面が次
第に凹凸ができ角が立つような状態に変化しながら、壁
面に溜まったトナーが中央部の空間に落ちて容器外に排
出され、これを繰り返し容器内のトナーを残すことなく
排出され、問題がないことが判った。
【0057】次に第3の併用式について一例を用いて説
明する。この方式は、吹き込み方式と吸引方式を併用す
るものであり、先に説明した吹き込み方式において、ト
ナー送流管12と現像部1との間に、例えば図8に示さ
れるような吸引ポンプ30を配置したものであり、図9
はその概念図である。
【0058】従がって、この例におけるトナー送流手段
は、先に説明した吹き込み方式において吸引ポンプを追
加する以外は同一である。このように配置して接続して
吸引ポンプ30を作動させると、ノズル11を構成する
トナー排出管部16のトナー排出用の開口15からトナ
ーが吸引される。この際、同時にエアポンプ10を作動
させて、エアー出口19からトナー収納容器2内に空気
を送り込む。
【0059】トナー排出用の開口15近傍にトナーが溜
って塊になっている場合にも、この送り込んだ空気によ
って、このトナーがほぐされ、塊りによる塞ぎを防止
し、さらに凝集されていても解砕されて1個1個のトナ
ー粒子に分離されることとなる。
【0060】トナーはその後吸引ポンプ30により吸引
され、トナー送流管12を通って現像部1に供給され
る。この例の併用式においては、トナー送流手段は吹き
込み用エアポンプ10、吸引ポンプ30、ノズル11、
トナー送流管12およびエア供給管14からなり、ノズ
ルの壁部17がトナー収納容器2のトナー排出口13と
嵌合されて、ノズル部17のトナー送流管16と吸引ポ
ンプ30と現像部1の接続部材24とがトナー供給チュ
ーブ12を介在させて接続され、トナー送流通路が形成
されている。
【0061】この方式においてもトナー送流通路の密閉
性の点について、前記の2つの方式と同様に、十分に留
意する必要がある。併用式は、エアポンプによって常に
流動化されたトナーを吸引するので、トナーの排出と供
給が安定でかつ精度を高く維持できる点に優れた方式で
ある。
【0062】次に、本発明のトナー収納容器について説
明する。ここで説明するトナー収納容器は、先述の新規
なトナー供給方式に適用可能なものとして考え出された
ものであるが、このトナー供給方式にのみ使用できるも
のとして限定されるものではない。
【0063】また以下に述べる、トナー収納容器自体及
びトナーが充填されたトナー収納容器について創出され
た各種の技術的工夫は、新規なトナー供給方式を実施す
るにあたって、本発明の目的についてより高いレベルで
効果をもたらすために用いうるものであり、それぞれの
技術的工夫は、組合わせなくとも単独でも有効なもので
ある。
【0064】さらに、本発明のトナー収納容器の排出口
部を下に向けた状態で用いる場合について主として説明
するが、本発明のトナー収納容器は画像形成装置内で排
出口部を下に向けた状態に限らず、どのような状態でも
設置できるものである。
【0065】本発明のトナー収納容器は、少なくともト
ナー収納部とトナー排出口からなり、該トナー排出口が
長尺物と嵌合しその嵌合状態を保持できる筒状部を有す
るものである。
【0066】『長尺物と嵌合しその嵌合状態を保持でき
る嵌合部』とは、前記トナー送流手段の一端部と接続さ
れるトナー排出口の部分の特性機能を表現するものであ
る。すなわち、長尺物を前記部分と嵌合して試て、嵌合
できかつその状態を保持できれば、ここで言う嵌合部と
みなすものとする。従がって、長尺物とはこの特性の有
無を確認するもので、比較的細長い柱状物あるいは管状
物であれば良く、本発明のトナー供給方式を構成する前
記トナー送流手段に限定されない。
【0067】このような嵌合部を有する本発明のトナー
収納容器には、全体が硬いハードタイプのものと、トナ
ー収納部がフレキシブルな材料から形成される袋状のも
の(以後袋部という)からなるソフトタイプのものがあ
る。
【0068】ハードタイプの容器は全体が硬い材料から
なるものである。その材料としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのような樹
脂あるいは厚みのある紙などが用いられる。
【0069】本発明のトナー収納容器の特徴は、トナー
の排出と供給を空気流で行なうために従来のような容器
自体にトナー排出機構を持たないことと、ハードタイプ
であろうとソフトタイプであろうとその新規なトナー供
給方式に適用させるために、前述のトナー送流手段の一
端部を構成するノズルあるいはトナー送流管(以後ノズ
ル等という)との接続を嵌合によることし、そのために
排出口部の少なくともノズル等と嵌合させる部分(嵌合
部という)に前記のような特性機能を持たせたことであ
る。
【0070】空気流を用いるトナー供給方式であるから
こそ容器内にトナー排出機構を必要とせず、従がって従
来のようなトナー排出機構を設けるために材質がハード
ある必要性がなくなってために、ソフトタイプの容器が
実現し使用可能になったものである。
【0071】該嵌合部としては、排出口部の少なくとも
ノズル等と嵌合させる部分が比較的剛性の筒状体からな
るものであるが、筒状体そのもので構成される場合と、
前述の嵌合状態を継続的に保持する機能をより高めるた
めにさらに加工された筒状体で構成される場合とが包含
される。
【0072】さらにその加工は、筒状体そのものに行な
う場合と、筒状体について他の材料を利用して行なう場
合が有る。加工しないで筒状体そのものを用いる場合に
は、特に両者間で面接触する部分ができるような形状あ
るいは、そのための材質とサイズを選択して、筒状部と
ノズル等とが嵌合してもその状態がぐらつかないで継続
的に保持し、さらに可能な限り高い密着状態を確保す
る。
【0073】筒状体は、嵌合操作上、円筒であることが
好ましい。また、筒状体が樹脂製のハードタイプの場合
は、この筒状体が通常トナー収納部と一体成型によって
製造されるものが用いられる。しかしながら、トナー収
納部とトナー排出口とを別途に製造し及び/またはトナ
ー収納部を少なくとも2つに別途に製造し、それらを接
続し分離できる構造も本発明のハードタイプのトナー収
納容器に包含される。この場合、接続すると密閉状態を
確保できるような構造、例えばネジ構造あるいは嵌合構
造を形成することが好ましい。
【0074】ソフトタイプの場合については、後に説明
する。排出口の筒状体部とノズル等との嵌合は、筒状体
内部にノズル等を嵌め込むA方式と、トナー送流管にあ
るいは筒構造を持つノズルに筒状体を嵌め込むB方式が
ある。
【0075】本発明のトナー供給方式は、トナー送流通
路を可能な限り密閉状態にすることが重要であり、特に
ノズル等と嵌合部との間から空気が漏れると、トナーが
安定に排出されずにトナーの残量が多くなり、さらに装
置内がトナーに汚染される等の問題が発生するので、嵌
合部とノズル等とは可能な限り高い密着状態で嵌合され
ることが必要である。
【0076】本発明においては、前述の加工しないで筒
状体そのものを用いる場合に比べて、筒状体部とノズル
等との嵌合状態を維持しかつその両者間の密着状態をさ
らに高めるための機構(以後密着性向上機構という)を
設けた嵌合部を提案する。この筒状体に密着性向上機構
を設ける場合が、前述の加工された筒状体に該当する。
【0077】なお、この密着性向上機構は、先述のトナ
ー送流部材を構成する他の各部品間の密着状態を高める
ためにも適用可能である。該密着性向上機構を設ける場
所は、前記A方式においては筒状体の内部あるいノズル
等の外表面であり、B方式においては筒状体の外表面お
よびノズル等がトナー送流管の場合は内部であり、さら
にノズルを筒構造にしてその内部に密着性向上機構を設
けることもできる。
【0078】以後、該密着性向上機構について、これを
筒状体の内部に設ける場合を取上げて具体的に説明す
る。先に図4を用いて弾性部材を密着性向上機構として
筒状体の内部に設けることついて説明したが、この弾性
部材としては弾性と伸縮性があって、通気性があるもの
を用いるとトナーが漏れる場合があるので、通気性のな
いものが好ましい。例えば発泡ポリウレタンのようなス
ポンジ、ゴム、フエルト等のような材料を用いることが
できる。スポンジの場合は、ノズル等との接触面積をな
るべく大きくするために、通気性がないもので密度の高
いものが好適である。
【0079】図4の場合は、筒状体の口を覆う大きさの
板形状でスリットを形成した弾性部材を、筒状体の内側
に嵌め込んで用いている。この際弾性部材26を筒状体
の内側表面上に接着した方が堅固に固定できるので好ま
しい。
【0080】フレキシブル性の高いスポンジを用いる場
合には、ノズル部等の挿入作業を困難にすることがある
ので、板形状表面上に厚さ約0.1mm以下の薄いフイル
ムを貼りつけて剛性を高めることができる。
【0081】図4に示す密着性向上機構は、トナー収納
容器をノズル等と嵌合して装置内に設置する前には、ト
ナーが容器から漏れ出ない封止機能を併せ持っている。
さらに、ノズル等がスリットに差し込まれた状態でも、
ノズル等とスリットの間は弾性部材26の弾性によって
隙間が生ぜず、高い密着状態を保つことができる。
【0082】図10a及び図10bは、2本のスリット
12設けた弾性部材で筒状体の口を覆って、密着性向上
機構とした例を示す状態を示すものである。この2本の
スリット間の角度(θ)を90度になるように設ける
と、ノズル11の全周に渡ってより均等な力で弾性部材
26により押圧されて、密閉性を確実に確保できるので
好ましい。スリットの数に制限はないが、出来る限りス
リット間の角度を同一にすることが肝要である。
【0083】図10cは、弾性部材を用いる他の例であ
り、弾性部材26の周面に適度の剛性を有するカバー部
材30が装着されている。このカバー部材41は、弾性
部材26挿入可能な円管状に形成されているとともに、
カバー部材41の内径が弾性部材40の外径よりも若干
小さく設定されている。こうすると、カバー部材41に
挿入装着された弾性部材26はその中心方向に圧縮され
るため自栓効果が高まって、密閉性がより確実に保つこ
とができる。
【0084】また図示しないが、弾性部材を用いる別の
例として、通気性のないものと通気性のあるもので双方
ともスリットを設けた2つの弾性部材を用い、前者を容
器の収納器側にしかつスリットが合致しないように取り
付けて、筒状体に装着し密着性向上機構を形成するやり
方である。
【0085】このやり方にすると、容器がソフトタイプ
の場合に、トナーが消費されて空になると容器が減容し
て残留したトナーがスリットから吹き出されて飛散する
ことがあるが、通気性のある弾性部材によって残留トナ
ーが補足され、減容時のトナー飛散を大幅に低減するこ
とができる。
【0086】図11aは弾性部材を用いる別の例を示
す。ここで示される筒状体は、後述する図16aに示さ
れるような、内部に突起部Cを持つものであり、図11
aの13−1は、この突起部によって形成され筒状体内
部にあるトナー送出口である。弾性部材26とトナー送
出口13−1の間に中空弾性部材31を設け、この中空
弾性部材31は、ノズル11の抜き差し方向に貫通され
た中空部としての孔31−1が設けられ、この孔31−
1はその径D1がノズル11の径D2よりも若干小さく
なるように設定されている。
【0087】このように構成されたトナー収納容器2
は、ノズル11が差し込まれると、孔31−1の径D1
がノズル部11の径D2よりも小さいので、ノズルが中
空弾性部材31に密着して弾性部材26とによる二重で
気密が保持されるとともに、ノズル11が抜かれると
き、該ノズルが中空弾性部材31を通過するので、ノズ
ルに付着したトナーが中空伸縮性部材31によってクリ
ーニングされる。
【0088】さらに、ノズル11は弾性部材26によっ
てもクリーニングされるため、ノズル11に付着したト
ナーによる二次汚染の発生を防止できる。図11bは、
本発明のさらにまた他の実施形態を示す説明図であり、
本例のトナー収納容器2はそのトナー送出口13−1の
口径D3を弾性部材26のスリット26−aの長さLよ
りも小さくしている。この場合の弾性部材26には、4
本のスリットが設けられている。
【0089】弾性部材26にスリット26−aが3本以
上の場合、ノズル11が差し込まれたときにスリット2
6−aがめくれ上がってしまい、ノズルのトナー排出用
の口等を覆ってしまう可能性がある。このとき、上記の
ようにトナー送出口13−1の口径D3を弾性部材26
のスリット26−aの長さLよりも小さくすることで、
めくれ上がりを防止することができる。
【0090】このようなめくれ上がりを防止する方法と
しては、図11cに示すように、スリット26−aの長
さLよりも小さい口径D4の孔が形成されたフィルム3
2を設けてもよい。
【0091】このフィルム32は、孔32−1の中心と
トナー送出口13−1の中心を合わせるように取り付
け、その取付方法としては両面テープを利用すれば容易
に行い得る。
【0092】なお、孔32−1を有するフィルム32は
弾性部材26の全面に貼り付けるようにしても良い。す
なわち、上の弾性部材26のスリット26−aと下の弾
性部材26のスリット26−aは中心点が一致している
が、他の部分では全く合わないよう設定している。
【0093】図12と13は、以上述べたような弾性部
材を筒状体内部に嵌め込むやり方ではなく、任意の幅の
板状あるいはシート状またはパッキン材のような弾性部
材26、筒状体の内表面(図12)あるいは筒状体の外
表面(図13)のそれぞれの周囲上に固定して、密着性
向上機構とするやり方を示している。この場合、弾性部
材の幅aは任意であり、さらに複数本設けても良い。
【0094】さらに別の密着性向上機構の具体例を、図
14に基づいて説明する。ノズルを装着する前の容器
は、収納されたトナーが漏れ出ないように、通常トナー
排出口は何らかの手段で封止されている。
【0095】この例では、この封止部材として筒状体断
面上にシート状材料33を貼り付けて(図14a)、そ
の上からノズルを押圧し(図14b)、シート状材料を
破って嵌め込んでいる(図14b)。この際破れたシー
ト状材料が筒状体13とノズルとの間に挟まる状態にな
り、これが密閉性を高める効果をもたらしている。
【0096】封止部材のシート状材料としては、例え
ば、ゴムシート、アルミシート、発泡ウレタンシート等
を用いることができ、さらにノズルを勘合する際にやぶ
れ易くするために、中心部分に予め窪み等を形成してお
くなどの工夫をすることも有効である。
【0097】この方法においては、筒状体断面上にシー
ト状材料を堅固に貼り付けることが重要であり、さらに
ノズル側の嵌合先端部がひっかかるような突起構造13
−1を筒状体に設けると、密閉性をさらに高めるのに有
効である。
【0098】密着性向上機構として、筒状体自体の外表
面上周囲に凹凸構造を設けて、それにトナー送流管に嵌
め込むやり方もある。さらに筒状体とノズルの内表面ま
たは外表面上にネジ機構を設けて接続するようにして、
密着性向上機構とすることも可能である。このネジがト
ナー漏れ防止用に筒状体の口を封止するために用いるキ
ャップを固定するネジ溝ともなる。キャップにもネジ機
構を設けておくことは言うまでもない。
【0099】本発明のトナー収納容器は、少なくともト
ナー収納部とトナー排出口部からなる旨先に述べたが、
図15に基づいて詳しく言えば、少なくともトナー排出
口部50、底部51およびこれらを結ぶ側壁からなり、
特に限定されないが、断面50−1の最大径が底部面5
1の最大径より小さく、従がって、側壁52は底部51
からトナー排出口部50に向けて少なくとも途中から縮
径構造52−1になっているものが一般的である。
【0100】このような容器の条件を満足するものであ
りさえすれば、底部の形及び容器の立体形は、特に限定
されない。本発明のトナー収納容器は、空気流による新
規なトナー供給方式によると、画像形成装置内では縦で
も横でもどのような設置状態でも可能であるが、排出口
部を下に向けた状態で用いるのが重力の観点から自然で
あり、最も有効である。
【0101】容器の排出口部を下に向けた状態で、空気
流によってトナーを安定に排出し、しかも残留トナー量
を可能な限り少なくするためには、前記の側壁の縮径構
造部52−1の面が筒状体の断面50−1に対して傾斜
をもたせておくことが有効であり、特にソフトタイプの
容器の場合には、たるみやすいためこのような傾斜をも
たせることは好ましいやり方である。
【0102】従がって、限定的なものではないが、縮径
構造部52−1の面と筒状体の断面50−1とがなす角
度θが、約45°〜90°が好ましく、特に約60°〜
90°が好ましい。
【0103】図15aはθが左右ほぼ同じ場合であり、
図15bはθ1が約90°でθ2が90°より低く設定さ
れた場合である。この縮径構造部は側面全体である必要
はない。
【0104】次に、ソフトタイプの容器について説明す
る。前述のように、ソフトタイプの容器はフレキシブル
な材料から形成される袋状のトナー収納部(以後袋部と
いう)と剛性の材料からなるトナー排出口から少なくと
も構成されるものである。なお、袋部全体がフレキブル
な材料から形成されていない、一部が剛性のある材料で
形成されている場合も、本発明のソフトタイプのトナー
収納容器に包含される。トナー排出口は、先に延べたよ
うな特性機能を持った嵌合部にするためには、比較的剛
性の材質を用いることが望ましい。
【0105】本発明のソフトタイプの容器に関し、「容
器内の空気の圧力によって変形可能」とは、吸引して脱
気していくにつれて内容積が減少していくと共に、逆に
空気を流入すると内容積が増加する特性を意味し、さら
に前述の「容器の立体形」とはソフトタイプの場合は空
気を充満させた際の形を意味する。
【0106】ソフトタイプの容器のハードタイプの容器
にない利点を述べる。トナーを容器に充填する工程にお
いて、トナー充填を行なう前に予め容器の袋部を減容し
ほとんど空気を抜いた状態にでき、従がってホッパーか
ら落下したトナー粉体間に空気が入らないので、トナー
の沈降が早く、全体として充填作業時間を短縮でき、か
つトナー汚染も発生しにくい。
【0107】容器内にトナーを充填し末端ユーザーの手
元に届けるまでに、容器がフレキシブルであるため、振
動や衝撃によって容器が破損せず、しかもハードタイプ
の容器のように特に緩衝材を用いずに運搬したり保管す
ることができ、従がって諸経費を大幅に低減することが
できる。
【0108】さらに、容器内のトナーを使い終えて容器
を取り外した後、袋部を折畳んだり、時には折畳んだ上
丸めた状態にして、容器の容量を非常にコンパクトにで
きるので、ユーザーにとっては取り扱いが容易であり、
例えば容器のリサイクル使用のために郵送することも可
能である。
【0109】また、運搬業者にとっても容器一個あたり
の重量が軽くかつ嵩が大幅に低くなる上に、フレキシブ
ルである故取り扱いが容易で空になった容器に疵が付い
たり破損したりしにくいため、空容器の運搬経費を大幅
に低減することができる。さらに、トナー製造業者にと
っても容器を再使用できるため、コスト軽減をはかるこ
とができる。
【0110】フレキシブルなためハードタイプのものよ
り、残留トナー等の汚染物を除去しやすいことが本発明
者等によって確認されており、リサイクル使用にも適し
ている。
【0111】前述したように、ソフトタイプの場合は、
袋部と排出口とを別々に作り、その後相互に固着する方
が製造上有利である。袋部を構成するフレキシブルな材
料としては、ポリエステル,ポリエチレン,ポリウレタ
ン,ポリプロピレン,ナイロン樹脂等のプラスチック製
シートあるいは紙等を、単層であるいは異種のものを複
層に加工したもの、さらには紙上に樹脂をコーテイング
した牛乳パックのようなものも用いることができる。
【0112】2層とも樹脂からなるものの場合、外部の
圧力等によっても破れにくいものが好ましく、内側をポ
リエチレンのような軟性、外側をナイロン樹脂のような
硬性のものからなるものが好適である。
【0113】さらに、フレキシブル材料にアルミ蒸着す
るとか帯電防止剤を含有させて、静電気対策とすること
もできる。フレキシブルな材料の厚さは特に限定的では
ないが、厚すぎると柔軟性であるがための上述の利点が
得られにくく、また薄すぎるとトナーが充填された部分
がたるんでトナーの排出が十分に行われなくなることが
あるため、好ましくは約20μm〜200μm,さらに
約80μm〜150μmが適当である。
【0114】また、本発明のソフトタイプのトナー収納
容器には、袋部と排出口とが独立体で接続分離可能なも
のが包含される。この場合、接続すると密閉状態を確保
できるような構造、例えばネジ構造あるいは嵌合構造を
設けることが好ましく、そのために袋部の少なくとも開
口部は比較的厚目のフレキブルな材料で構成することが
好ましい。
【0115】袋部には、排出口部と固着させる開口部を
設けられている。さらに袋部としては所定の容器の形に
なるように、予め準備した複数のフレキシブルな材料片
をヒートシール法等によって接着し形成した継ぎ目のあ
るものと、フレキシブルな材料がプラスチック樹脂の場
合には、チューブ押し出し法で一体成型によって所定の
形に形成される継ぎ目のないものが用いられる。先述の
ように、この袋部には全体がフレキシブルな材料から形
成されていない、一部が剛性の材料で形成される場合
も、包含される。
【0116】排出口を構成する筒状体は、例えばポリエ
チレン,ポリプロピレンのようなプラスチックまたは金
属からなり、比較的剛性であるが、材料は、少なくとも
袋部を構成する材料と同一または同系のものであること
が、両者を固着する上で好ましい。
【0117】該筒状体は、ノズル等との嵌合部及び袋部
の開口部と固着させる部分(固着部という)に大別さ
れ、その各部分の目的に応じて内径と構造を変化させる
ことができる。
【0118】例えば、図16aは口部の一例を示す断面
図で、Aは嵌合部で、Bは固着部である。この場合は、
筒状体の内径はA部分xの方がB部分yより小さく、突
起部Cまでに密閉性向上機構を装着させて、ノズル等が
嵌合出来るような構造にしたものであり、すなわち、筒
状体の嵌合部の内径を固着部の内径より大きくしたもの
である。
【0119】このような筒状体の構造は、ハードタイプ
の容器にも適用できる。さらに、筒状体の嵌合部と固着
部とを分離できる構造にすることもできる。このような
構造にすると、特に嵌合部を形成する筒状体内部に弾性
部材のような密閉性向上機構を設ける場合に作業が容易
にでき、また再利用にあたって破損した部分を取り替え
ることができる等の利点がある。
【0120】この分離構造としては、特に限定されない
が、嵌合構造とかネジ構造などを適用できるが、両者を
接続する場合に気密性が必要であることは言うまでもな
い。前記の固着は、密閉状態を確保し空気が漏れないよ
うにするために、例えば加熱あるいは超音波等によって
溶着させて行なうことが適当である。
【0121】この固着をより確実に行なうための一方法
として、前記B部分の形状を工夫することが挙げられ
る。例えば図16bは、B部分の断面図であり、この図
に示されるように固着部を構成する筒状体の断面を船型
形状にすることによって、円筒形状では得られない、密
閉状態の高い固着状態を得ることが出来る。
【0122】また、空気流によってトナーをより排出し
やすくする工夫について説明する。例えば図16cの表
示記号は図16aと同じであり、B部分で袋部の開口部
が口部に固着されている。この場合、B部分で固着した
袋部のD部分の面を、口部のB部分の面とほぼ平行にな
るように形成すると、この部分にトナーが集まりやすく
なってトナーの排出と供給をより安定に行なうことがで
きる。D部分の長さは、特に限定されないがB部分の長
さ程度である。
【0123】このような構造は、ハードタイプの容器に
も適用可能である。さらに、図17に示されるように、
筒状体の嵌合部と固着部との間に鍔部Eを筒方向とほぼ
直角に設け、この部分で紙製あるいはプラスチック製等
の箱体等の所定部に引っかけて容器を保持すると、トナ
ーを充填した容器を保管し輸送し、あるいは画像形成装
置内での設置に有効である。
【0124】またこのような鍔部を設けると、排出口を
上向きにして容器にトナーを充填する際に、容器を支持
するのに都合が良い。鍔部を設けることについては、ハ
ードタイプの容器にも適用可能である。
【0125】また、図18に示すような、空気を通すが
トナーを通さない空気窓のような圧力調整手段31を袋
部に設けると、特にトナー供給方式が吹き込み方式ある
いは併用方式の場合には、過剰な空気は圧力調整手段か
ら外に出るので、空気を際限なくと言えるほどに吹き込
むことができる。こうすることによってトナーの排出と
供給をより安定に行なうことができる。またトナーを収
納した容器を長時間保存しておくと容器が膨張してきて
トナーの凝集が発生することがあるが、この圧力調整手
段を設けると空気が抜けるためこのような現象の発生を
未然に防止できる。
【0126】さらに、この圧力調整手段は、容器にトナ
ーを充填する際に、容器内の空気を外部に適度に逃が
し、効率良くトナーを充填することができ、また低気圧
環境における容器の破損も防止できる。
【0127】この圧力調整手段を構成する材料として
は、トナーのような微粒子は通さないが、空気を通すも
のが適用でき、例えば多孔質のフッ素系樹脂フイルムの
ような合成樹脂製のフィルム、紙あるいは金属薄膜を組
み合わせたものを用いることができる。
【0128】この圧力調整手段を設ける容器の場所は、
任意であり、容器の形状、適用するトナー供給方式ある
いは排出口を下向きにするかどうかの容器の設置向き等
によって選択できる。
【0129】また、この圧力調整手段をハードタイプの
容器に設けても良い。次に、本発明のトナー収納容器の
変形例を列挙する。図19aに示すように、袋部2の口
部13との接続部近傍に絞り部53を設けたり、図19
bに示すように、袋部2の側面に複数の絞り部53を設
けた容器は、絞り部53より上側のトナーの自重を受け
て口部13に伝えずに口部13近傍のトナーの固まりや
締まりを防止するとともに大きいサイズのトナーの塊り
を通過させずに、トナー供給チューブ12やトナー送流
口が塞がれることを防ぐことができる。
【0130】図20に示すように邪魔板54を設ける
と、トナーの塊をほぐしたり大きいサイズの塊りが通過
することを防ぎ、トナーの詰まりを防ぐのに有効であ
る。またほぼ同形の2枚のフレキシブル材料を準備し
て、開口部以外の端部をヒートシールし、前述のように
さらに口部を開口部に固着して形成された、封筒型の容
器も本発明に用いることが出来る。
【0131】さらに、図21a,21bに示すように、
この封筒型の容器袋部の底に吊り下げ孔55を有する吊
り下げ部56を設けたり、図21cに示すように、袋部
6の側面に取手57を設けておくと、トナー収納容器を
画像形成装置内に装着する際に、吊り下げ部56や取手
57によってトナー収納容器を保持すれば、この封筒型
の容器6が柔軟性であるために、収納したトナーが少な
くなったときにトナー収納容器が倒れることを防ぐこと
ができる。また、吊り下げ部56や取手57を設けるこ
とにより、トナーを収納したトナー補給容器の持ち運び
を容易にすることができる。
【0132】トナー収納容器の袋部を内部が見える材料
で形成すると、トナーの残量やトナー収納容器の交換時
期を簡単に判断するできるので、有効である。。さら
に、本発明のトナー収納容器の変形例について説明す
る。
【0133】図22に示すトナー収納容器は袋部がプラ
スチックフィルムをヒートシールにより袋状に形成した
ものである。図23に示すトナー収納容器は、袋部を牛
乳パックのようなある程度の強度と固さのある紙で形成
したものである。
【0134】図24に示すトナー収納容器は、袋部に丸
まる特性をスプリング等によって与えられており、トナ
ーが排出すると図示するように自身の弾性で丸まり、容
器の回収が容易になる。
【0135】図25に示すトナー収納容器の立体形は、
図15bの断面図で示したものに類似したものである。
このような袋部の底部が四角形であって、4つの側壁の
内1つまたは2つが筒状体断面に対して90°未満の角
度を持つ形のものは容積効率が優れている。
【0136】ソフトタイプの容器は、画像形成装置内に
設置して稼動させ画像形成を繰り返すと、収納されるト
ナー量が減少するにつれて、立体形状が変形して折曲が
って、トナー排出が十分にできなくなる場合がある。
【0137】本発明に従えば、トナー収納容器ができる
限り当初の姿勢を保持できる手段(以下姿勢保持手段と
いう)を用いて、この問題を解決することができた。図
25aはその一例を示すものであり、内側が容器の排出
口を下向きにしたソフトタイプの容器49で、48がそ
の外側に容器の周囲を囲むように設けた姿勢保持手段で
ある。
【0138】姿勢保持手段の材質は、その機能を達成す
るために比較的硬いプラスチック、紙あるいはこれらの
合成物等が用いられるが、特に限定されない。また、姿
勢保持手段としてはその機能を有するものであれば、形
状及び構造は任意である。
【0139】図25aの場合は、箱型でしかも容器の周
囲を接するように概ね囲んでいるが、必ずしもこのよう
な構造である必要はない。図25bは、図25aに示す
六面体の姿勢保持手段の変形例であり、内側の容器は示
されていない。この場合は、容器のトナー排出口が支持
されるa面以外の面はすべて端部以外の部分がくり貫か
れているものであり、これも本発明の箱型に包含され
る。
【0140】姿勢保持手段として、例えば空気を充満さ
せた空気袋を用いるとか、図17に示す排出口を構成す
る筒状体に設ける鍔、図21の吊り下げ部56や取手5
7を支持する姿勢保持手段を装置内に設けることもでき
る。
【0141】さらに、袋部の任意の箇所に貼着部材を固
定して姿勢保持手段とし、装置内の所定箇所に貼りつけ
て所期の目的を発揮させることも可能である。姿勢保持
手段の構造によっては、それで支持されたソフトタイプ
の容器はそのまま搬送あるいは保存するにも有効であ
る。
【0142】1つのトナー収納容器に出来る限り多量の
トナーを収納できれば、保存と搬送が効率的に行なえる
上、ユーザーにとっても多くの枚数の複写が可能になっ
て容器の取り換え回数が少なくて済むなどの利便性があ
るため、そのような高充填されたトナー収納容器が望ま
れる。
【0143】しかしながら反面、トナー収納容器内に充
填するトナー量が多すぎては、本発明のトナー供給方式
の利点を発揮するのが難しいことにもなる。本発明者等
は、新規なトナー供給方式と新規なトナー収納容器とを
組み合わせた場合に、実効性のあるトナー充填量につい
て、好ましい条件を検討した。
【0144】その結果、トナー収納容器内に充填された
トナーの重量(g)を、該トナー収納容器内の容積(cm
3)で除した値、すなわち、〔未使用のトナー収納容器
内のトナー重量(g)〕/〔トナー収納容器内の容積
(cm3)〕を、前述のようにトナー充填密度としたと
き、そのトナー充填密度を0.7g/cm3以下に設定す
ると、容器がハードタイプであろうとソフトタイプであ
ろうが、常に安定したトナーの補給が可能となると共
に、最後にトナー収納容器内に残されるトナーの量を極
めて少なくできることが判明した。
【0145】この0.7g/cm3を境とした効果の差が
大きいことは明確な事実であるが、この条件に合致しな
い場合でも新規なトナー供給方式は実施可能であり、こ
の条件は最も好ましいものとして理解すべきである。
【0146】容器内でトナーが長期間高温状態で保存さ
れると塊状に固まってしまうことがあるので、本発明者
らは、そのような状態が発生する要因を解明するため
に、以下に示す2つの実験を行なった。
【0147】(実験1)使用した容器は、直径63.5
mm、高さ135mmの円柱形状で容積250ccのトナ
ー充填口となる口部を有するガラス瓶と、100μmの
厚さのポリエチレンとナイロンの複合材料のフレキシブ
ルなシートで作られたソフトタイプのものである。
【0148】ソフトタイプの容器は、予め準備した前記
シートの切片を熱溶着して形成された袋部と、ポリエチ
レン製の口径がφ14mmのトナー充填口となる剛性の
部材とを熱溶着によって作られたもので、一辺が100
mmの四角形の底部を有する高さ200mmの立体形も
のを、3つ準備した。
【0149】容器に収納するトナーは、流出開始温度約
89℃の比較的低融点を有する株式会社リコー製の低温
定着性カラートナーを用い、充填は常温環境下で実施し
た。合計4つの容器それぞれに100gのトナーを常温
環境下で充填後、蓋により密閉状態にした。
【0150】ソフトタイプの容器については、3000
メッシュの多孔質ステンレス鉱製のフィルターからなる長さ
60mm、直径5mmのからなるノズルによって、15
0mmHGの吸引圧で脱気を行なって、所望の充填密度に
調整し、その後蓋をした。
【0151】ここで容器の充填密度は、トナーの充填量
(g)/脱気して蓋をした後の容器の体積、によって求
められる。脱気して蓋をした後の容器の体積は、容器を
水中に沈めて、変化する水面の高さを測定して、体積を
求めた。
【0152】このような充填方法によって、試料として
充填密度0.4のガラス瓶(試料名a)の1つと、充填
密度がそれぞれ0.4(試料名b)、0.54(試料名
c)、0.67(試料名d)のソフトタイプ容器につい
て3つを作成し、これらの試料について、保存温度が5
0℃における保存期間に対する凝集度の変化を確認し
た。
【0153】また、凝集度は、目開き149μm、74
μm、45μmの金属メッシュを重ねたものに、149
μmメッシュの上にトナー2gをのせ、30秒ふるいに
かけ、残留した凝集トナーの重量を測定し、定数をかけ
たものの総和を、全量に対する比率(パーセント)で表
わしたものである。
【0154】図26は、その結果を示したものである
が、トナー収納容器がソフトタイプの場合はいずれの試
料についても、この充填密度の変化範囲では充填密度を
変えても凝集度はほとんど変わらないのに対して、ガラ
ス瓶の場合は短時間で凝集が起こって測定が不可能にな
っている事を示している。なお、保存中の容器の状態は
ソフトタイプでは容器が若干膨らむ程度であった。
【0155】(実験2)実験1に用いた同じ種類の容器
を用い、同じトナーを同じ方法によって100g充填
し、充填後容器に気密性を保つために蓋がされた、充填
密度がいずれも0.4のガラス瓶とソフトタイプの容器
のそれぞれ3つ、合計6つの試料を準備した。
【0156】この2種類の試料について、保存温度を5
0℃、45℃、40℃に変えた時の保存時間に対するト
ナーの凝集状態を観察し、該トナー凝集状態は針入度に
より測定した。針入度とは保存後のトナーの一定量に針
を落しどの程度迄浸入するかでみる方法であり、この方
法はJIS−K2207で定められている。単位は該標
準で規定された単位で、数値は小さい程針が侵入しない
ことであり凝固している。
【0157】図27のグラフは、保存温度を50℃で行
なった場合の結果を示すもので、ガラス瓶の場合スター
トから40時間経過すると凝集が進行し120時間では
ソフトタイプの容器の場合に比べ、はげしく凝集状態に
なっていることが判る。
【0158】この傾向は、保存温度が40℃及び45℃
についても同様であった。これらの実験結果から、トナ
ーが充填され封がされたガラス瓶を高温で保存すると、
時間の経過と共にトナーの凝集が発生することが明らか
となった。その要因は、ガラス瓶の場合には、温度上昇
に伴って内部の空気が膨張しても、内壁がフレキシブル
性のない硬い材質でその膨張を吸収できないために、内
圧が上昇してしまい、それがトナー凝集を起すものと考
えられる。
【0159】この事実は、ソフトタイプの容器の場合で
も、内部温度が上昇してこれ以上膨らまない程に最大容
積まで膨らんで壁にそれを吸収できるフレキシブル性が
なくなった状態になると、ガラス瓶と同じように内圧が
上昇して、トナーの凝集が発生することが考えられる。
【0160】この対策としては、先に延べたような圧力
調整手段を容器のトナー収納部に設けることもあるが、
本発明者は圧力調整手段を用いずに内部温度が上昇して
もトナーの凝集が発生しにくいソフトタイプの容器に関
する好ましい条件を検討した。
【0161】その結果、次のような条件にすればこのよ
うな状態が発生しないことを見出した。『ソフトタイプ
の容器を用いる場合において、該容器の最大容積をCma
x、容器にトナーを充填し封止後のトナーが占める容積
をCtoner、容器にトナーを充填し封止後に占める容器
内の空気の容積をCairとしたとき、
【式1】 (Cmax)−{(Ctoner)+(Cair)}≧0.1×(Cair) 式1 を満足するようにトナーを充填すること。』
【0162】ここで、「容器の最大容積」とは、ソフト
タイプ容器を最大にふくらませた時の容積である。容積
の測定は容器を水中に沈め、水量の変化により、容易に
測定できる。
【0163】「容器中の空気が占める容積」は、容器に
充填されたトナー粉体間に存在する空気の容積とトナー
の存在しない空隙の容積を加えたものである。容器中の
空気の容積は、トナーを充填し封止した後の容器の容積
からトナーの占める容積を引けば算出でき、トナーの占
める容積は、トナーの重量をトナーの真比重で除すれば
算出できるものである。
【0164】式中「0.1」は、トナー収納容器中の温度上
昇に伴う気圧の変化に対する空隙の余裕度と言えるもの
であり、次にこの「0.1」について考察する。トナー収納
容器内の温度変化による気圧、体積の変化量は、PV/
T=一定の法則から導き出せる(Pは気圧、Vは体積、
Tは絶対温度)。
【0165】前述の実験におけるガラス瓶の場合は、体
積Vが一定の系と考えられる。ガラス瓶内の気密が保た
れていることから、体積が一定と仮定すると、例えばト
ナー充填時を(20℃、P1)、保管時の最高を(50
℃、P2)とすると、P2/P1=1.102の関係に
なる。
【0166】同様に最高を(40℃、P3)とすると、
P3/P1=1.068の関係になる。すなわち温度上
昇により、容器内のトナー粉は空気により圧縮され、5
0℃では10%アップとなりこの温度上昇と温度上昇に
よる圧力アップの両者により、トナー粉を凝集、固着が
起こると考えられる。
【0167】一方、ソフトタイプの容器の場合は圧力一
定の系と考えられる。トナー収納容器中のトナーは50
℃のとき最も容器内圧の影響が受けることが、前記の実
験から判ったいるので、充填時の温度を20℃、保存最
高温度を50℃と設定すると、温度差30℃で容器内圧
を一定にすれば、トナー粉を凝集、固着を防ぐ事ができ
る。
【0168】上記と同様に計算すると容器内の気圧Pを
一定とすると、トナー充填時を(20℃、V1)、保管
時の最高を(50℃、V2)とするとV2/V1=1.
102の関係になる。トナー収納容器中との空気が存在
しない体積が、容器中の空気の体積の1/10倍存在す
れば温度上昇による、容器内圧上昇の影響を受けないこ
とになりトナーの凝集・固着等を防ぐことができる。
【0169】したがって、上記「0.1」はこの1/10を
意味するものである。また、本発明はトナーの有する特
性の内熱的特性である、低温定着性(低温で定着できる
特性)と大きく関連があることが図示しないが実験で明
らかになった。すなわち、トナーの流出開始温度(低温
定着性と関連する特性。低温で溶融または軟化する特
性。)が、カラートナーに存在する例えば85℃前後の
いわゆる低温定着性トナーにおいて、容器の違いによる
凝集度の差がさらに顕著であり、凝集が起こりやすいこ
とが判明した。
【0170】逆に、流出開始温度が105℃以上のトナ
ーであると、ケースの違いによる凝集の差が少ないこと
が判った。以上の低温定着用トナーで効果が顕著となる
理由は、低温定着用トナーはより凝集・固着し易いこと
と関連があると推測される。
【0171】本発明のトナー収納容器に収納するトナー
としては、電子写真法を利用する画像形成プロセスに用
いるものであれば特に制限はなく、例えば通常の一成分
トナーでも二成分トナーでも良く、磁性トナーでも非磁
性トナーでも使用可能である。
【0172】トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂などのようなバインダー樹脂と着色材及び
必要に応じて電荷制御剤や他の添加剤から構成される
が、特にこれらに限定されない。一成分系磁性トナーの
場合は、さらにフェライト系あるいはマグネタイト系磁
性材料が添加される。
【0173】トナーは、黒色のみならず、有彩色のもの
も紙予可能である。フルカラー画像形成には黒色、シア
ン、マゼンタおよびイエローの各色の計4種のトナーが
それぞれ別個の容器に収納されて用いられる。容器の大
きさと収納するトナーの量は、画像プロセスの種類によ
って適宜選択される。
【0174】一成分トナーは、現像部を構成する現像ロ
ーラに引き付けられる強さが大きすぎても小さすぎて
も、現像はうまくいかず、一成分系のトナーの場合、真
比重が1.55〜1.75であるものが好ましい。
【0175】一方、二成分トナーの場合には、その真比
重として1.1〜1.3のものを用いるのが好ましい。
本発明のトナー収納容器において、トナーをこのような
真比重を持つトナーを用いると、容器に充填する際にト
ナーの沈み込みがはやく、トナー内の空気量も少ない
為、容器容積を結果的に少なくすることができ、容器の
小型化につながる。
【0176】本発明のトナー収納容器においては、トナ
ー粒子の体積平均粒径は4.0〜12.0μm、好まし
くは5.0〜9.0μmである。トナー粒子の体積平均
粒径が4.0μmより小さくなると、画像形成装置内で
現像工程後の転写工程とかクリーニング工程での問題が
発生し、12.0μmを超えると画像の解像度を高く維
持することが難しくなる。画像の高精細化のためには、
トナー粒子の体積平均粒径は9.0μm以下であること
が望ましい。
【0177】本発明において使用する実際のトナーの粒
度分布の例を示す。なお、トナー粉の個数と重量平均粒
径はコールター(Coulter)社製の粒度分布測定
器(コールターTA−2)を用いて測定した。
【0178】(1)体積平均粒径7.5μmのトナー 4.0μm以下の微分の個数が全体の18% 7.0μm以上の粗粉の重量が全体の1.5%
【0179】(2)体積平均粒径9.0μmのトナー 4.0μm以下の微分の個数が全体の15% 7.0μm以上の粗粉の重量が全体の2.0% 次に、本発明のトナー収納容器にトナーを充填する方法
について述べるが、基本的には例えば特開平8−334
968に示されるような、従来公知の充填方法を用いる
ことができるので、ここでは概略を図28に基づいて説
明する。
【0180】先ず、トナー充填管挿入口とエア吸引管挿
入口を有し、トナー収納容器の排出口に設けた嵌合部内
に嵌め込むことが可能な大きさの部材60に、トナー充
填管61とエア吸引管62を挿入固定した後、この部材
を該嵌合部内に嵌め込んで装着する。なお、図示されて
いないが、エア吸引管62の先端部近傍はフィルターで
覆われており、トナーが吸引管内に入らないようにして
ある。
【0181】トナー充填機のホッパー63がこのトナー
充填管61に、およびエアー吸引ポンプ64がエア吸引
管62にそれぞれ接続され、エアー吸引ポンプ64を稼
動させて、従来法によってトナー収納容器にトナーが充
填される。
【0182】エアー吸引ポンプを用いて容器内の空気を
抜きながら充填を行うと、最後まで中に空隙ができるこ
ともなく安定して充填でき、しかも高密度の充填が可能
となる。
【0183】従来のようなハードタイプの容器を用いる
場合には、容器内に空気が入っている状態の中にホッパ
ーからトナーを落下させることになるので、その空気が
トナー粉体間に入りトナーが沈降しにくくして充填に時
間がかかりやすくなり、さらにトナー汚染がおこりがち
である。
【0184】しかしながらソフトタイプの容器を用いる
場合には、トナー充填を行なう前に予め容器の袋部を減
容しほとんど空気を抜いた状態にできるので、充填作業
を行なってもハードタイプの容器を用いる場合のような
問題は起こらないという利点がある。
【0185】さらにソフトタイプの容器の場合、充填作
業中ホッパーから容器に入る付近でトナーが詰まったり
しても、その詰まった部分に袋部を構成するフレキシブ
ルな材料を介して圧力をかけることができるので、トナ
ーの塊を容易にほぐすことができる。
【0186】このようなことから、トナーを高充填する
には特にハードタイプの容器の場合には、前記のエアー
吸引ポンプを用いて空気を抜くことが必要になるが、ソ
フトタイプの容器の場合にはエアー吸引ポンプを用いな
くてもかなりの量のトナーを充填することができる。
【0187】充填が終わった後は、何らかの方法で密封
する。その具体的な方法については先述のとおりであ
る。以下に、本発明の実施例を示すが、これによって本
発明が限定されるものではない。
【0188】実施例1 この実施例は、本発明のトナー供給方式の一例である吹
き込み方式と、トナー排出部を構成する筒状体の嵌合部
が密着性向上機構を設けたハードタイプのトナー収納容
器とを組み合わせ、空気吹き込み手段としてのエアポン
プを稼動させると、空気流によってトナーが実際に所定
部に送流されることと、容器内のトナーの充填密度が
0.7g/cm3以下の場合に容器内のトナー残量が特
に少なくなる事実を示すことを目的とするものである。
【0189】図29は、実験装置の概念図である。ここ
では、図3に示した型のノズル11が用いられ、トナー
排出管部16は内径φ6mm、厚さ0.5mmで、外側の吹
き込み空気流路管部18は、前記トナー排出管部16の
外壁との隙間1mmの幅をもって設けられ、厚さ0.5
mm外径φ9mmであり、両者の接続部分は気密が保た
れている。
【0190】上記のトナー排出管部16の端部には、フ
レキシブルに変形可能な内径φ7mmでEPDMゴム製のト
ナー送流管12が気密性を保ち接続されている。トナー
送流管の長さは、全長1000mmで、途中、300m
mの高低差をもち、その他端は、電子天秤65(エーア
ンドデイー社製FA−2000)の上にセットされたビ
ーカ66の上に位置するよう固定されている。
【0191】吹き込み空気流路管部18の一端には、エ
アーポンプ10がフレキシブルなチューブ(内径φ5m
m、EPDMゴム)を介して気密性を保ち接続されている。
エアーポンプとしては流量1.5L/minのダイヤフラ
ムポンプ.(信明電機株式会社製 SR−01)を用い
た。エアーポンプ10にはタイマーが接続されており、
エアーの供給時間、間隔が設定可能となっている。
【0192】トナーを充填した容器2はトナー排出口を
下向きにして位置させ、上記ノズル11と接続されてい
る。トナー排出口は直径φ14mmで、その上が内径φ
22mm、深さ10mmの筒状体であり、その内部に厚
さ10mm、直径φ22mmのスリット入りウレタンス
ポンジを嵌め込んで貼り付けて、密着性向上機構を設け
た嵌合部を形成している。スリットは2本で、中央で約
90°で交わり、その長さは12mmである。
【0193】ノズル11を、このスポンジのスリットを
貫通させて、吹き込み空気流路管部18の開口部15
が、容器内に位置するように、容器内部に挿入する。容
器は、高密度ポリエチレン製のハードタイプのもので、
厚さ1mm、外形φ65mmの円柱形状で、中央にトナ
ー排出口を有し、容積が210ccのものである。
【0194】トナーを充填したトナー収納容器2を先に
説明したように、ノズルと接続して、トナー送流管12
の他端側を、電子天秤65上に載せたビーカ−66の上
方に配置した。
【0195】この状態でエアーポンプ10を作動させ
て、トナー収納容器2からトナーを排出し、その排出ト
ナーをビーカ−66に移し、この動作をトナー収納容器
2からトナーが排出されなくなるまで続け、このときビ
ーカ−66に移されたトナーの重量を電子天秤60で測
定して、トナー収納容器内に残されたトナーの重量を計
測した。なお、エアーポンプ10を1秒間駆動させて5
秒間休止させ、この繰り返しで、トナーをビーカに排出
させた。
【0196】かかるトナー収納容器2にトナーを充填
し、充填密度(g/cm3)が0.4,0.5,0.6,
0.7,0.8及び0.9の5つのものを用意した。な
お充填は、容器の排出口にロートを挿入し、該ロートか
らスプーンでトナーを入れた。容器の底部に金属棒にて
手動で振動を与えて、充填量を調整した。
【0197】使用した粉体状のトナーは、樹脂に酸化鉄
より成る磁性体と極性制御剤を内添したトナー粒子に添
加剤を外添したトナーである。かかるトナーは、(株)
リコー製のレーザプリンタPC−LASER SP−1
0用のトナーとして広く使用されているものである。
【0198】その各トナー収納容器について上述の実験
を行った。その際、ノズル11に接続する前の各トナー
収納容器2を水平方向と垂直方向に各10回振ってか
ら、その各トナー収納容器2をノズル11にセットし
た。
【0199】以上の実験から、トナー収納容器と電子天
秤とを途中300mmの高低差をもたせて遠隔に配置し
ても、1000mmもの長さを有するフレキシブルなト
ナー送流管を通って、トナーを容器から電子天秤上まで
送ることができ、本発明のトナー供給方式の吹き込み方
式が実効性のあるものであることを実証している。
【0200】さらに、図30のグラフから判るように、
トナー充填密度が0.7g/cm3よりも大きくなると、
トナー収納容器2から最後まで排出されずに残されるト
ナーの量、すなわちトナー残量が急激に増大している。
【0201】この事実から、未使用状態にあるトナー収
納容器2のトナー充填密度が0.7g/cm3以下に設定
されていると、現像部1にトナーを安定状態で供給で
き、しかもトナー収納容器内に最後に残されるトナーの
量を極めて少なくでき、或いは実質的にこれをゼロとす
ることができ、ユーザに不要な経済的負担をかける不具
合を阻止できることを理解することができる。
【0202】なお、この実験は容器内のトナー残量を相
対比較したものであるため、容器内の残量が多くでてい
るが、実際には容器形状を先細りにする、すなわち先述
のように容器の側面を縮径構造することによって、全体
の残量をさらに減少できることが確認されている。
【0203】実施例2 この実施例の目的は、実施例1と同じであり、トナー供
給方式として併用式を採用し、実施例1にさらに吸引ポ
ンプを用いたもので、実施例1と同様な実験を行なっ
た。図31が実験装置の概念図である。
【0204】実験の方法は、上記実施例1の装置のトナ
ー送流管の先端に、図8に示す構造の、一軸偏心スクリ
ューポンプの吸引口を接続し、さらに該ポンプの空気排
出口を別のトナー送流管と接続し、そのトナー送流管の
端部の下にビーカを設置し、電子天秤でトナー排出量を
測定した。
【0205】トナー収納容器の底部に圧力調整手段とし
て直径φ12mm目開き3μmのフィルターを貼り付け
た。なお、使用した、トナー及び、トナー充填方法、ト
ナー充填密度は実施例1と同じ物、方法を用いた。ノズ
ルと容器の接続、及び、測定前の容器を振る条件等もす
べて同じである。
【0206】実験は一軸偏心スクリューポンプを一秒回
転させてから5秒休止させ、その間にトナー排出量を電
子天秤にて測定し、トナーが排出されなくなるまで行な
いその時点での容器内のトナー残量を計算した。
【0207】この実験から、本発明のトナー供給方式の
一例の吹き込み方式と吸引方式との併用式が、実効性の
あるものであることを実証している。さらに、図32の
グラフから判るように、トナー充填密度が0.7g/cm
3以下になると、トナー収納容器2残るトナーの量、す
なわちトナー残量が急激に減少することが判る。
【0208】実施例3 この実施例は、ソフトタイプの容器を用いる以外の点
で、目的と実験内容は実施例1とほぼ同じである。ソフ
トタイプの容器は、袋部がポリエチレンとナイロンの複
合材料の厚さ0.1mmのシート材で形成され、該袋部
に設けた開口部を、トナー排出口部として形成されたポ
リエチレン製の筒状体の固着部外面と熱溶着されて作ら
れたものである。
【0209】容器の立体形状は、図33に示されるもの
であるが、脱気すると底部と2つの側面の中央部の縦方
向に折り目ができるように折りたためるものである。該
容器は、底部が縦110mmと横80mmの四角形で、
側面と前記固着部の断面とのなす角度が約60°の縮径
構造部を有するもので、高さ130mm容積約700C
Cのものである。
【0210】この容器の袋部は、所期の立体形状になる
ように、予め4つのシート材の切片を準備しておき、そ
れの端部を熱溶着することによって形成されたものであ
る。トナー排出口部として形成されたポリエチレン製の
筒状体を構成する前記固着部には、直径φ14mmのト
ナー通路が設けられている。
【0211】また前記筒状体を構成するもう一方の嵌合
部は、その内部が内径φ22mm、長さ10mmの空洞
となっており、その空洞にウレタンスポンジ(ブリジス
トン製エバーライトST)の断面に厚さ25μmのPE
Tフィルムを貼り付けたものが両面テープ(日東電工製
5000N)で装着固定されている。
【0212】該ウレタンスポンジは、厚さ10mm、直
径φ22mmの円形状で、2本の長さ12mmのスリッ
トが中央でほぼ90°の角度で交わるように設けられた
ものである。
【0213】用いるトナーは、(株)リコー製のレーザ
プリンタPC−LASER SP−10用のもので、充
填密度が0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、
0.9となるように、6つの試料を準備した。充填密度
は、トナー充填量g/ソフトケースの最大容積CCの計算
式によって算出される。
【0214】充填は、容器が柔らかく振動が伝わりにく
くて高充填しにくいために、3000メッシュの多孔質ステ
ンレス鉱製のフィルターを先端部に設けた長さ60m
m、直径5mmのノズルを用いて、150mmHGの吸引
圧で脱気しながら行なった。
【0215】実験装置、実験方法は実験1と同じ方法で
行なった。この実験から、本発明のソフトタイプの容器
を用いても、トナーを遠隔にある所定位置に送ることが
でき、本発明が実効性のあるものであることを実証して
いる。
【0216】さらに、図34に示されるグラフから明ら
かなように、トナー充填密度が0.7を超えるとトナー
残量が急激に増加する事が確認された。なお、容器内の
トナー残量は、容器がトナー排出口に向かい縮径構造と
なっている為、格段に減少した。
【0217】実施例4 この実施例は、容器に収納したトナーの保存状態を示す
ことを目的とするものである。使用する容器とトナー
は、実施例3で使用したものと同じである。
【0218】トナーを20℃の環境に100時間放置し
たのち、20℃の環境で容器にトナー300gを充填
し、容器の袋部を構成する材料と同じポリエチレンとナ
イロンの複合材料を封止材料として用いて、容器のトナ
ー排出口に熱融着して密閉した。
【0219】この密閉した容器について、前記式1に一
致するものかどうか検証した。 (Cmax)−{(Ctoner)+(Cair)}≧0.1×(Cair) 式1 Cmax=700cc、 トナーの真比重が1.2であるから、Ctoner=(30
0÷1.2)=250cc、Cairについては、先述の
ように、トナーを充填後密閉した容器を水中に沈めて、
変化する水面の高さから算出した。Cair=409cc
これらの値を式1に当て嵌めると、 700−(250+409)=41≧0.1×409=4
0.9 になり、この密閉した容器は、式1を満足することが確
認できた。
【0220】次に、このトナーを充填後密閉した容器
を、50℃の環境下で10日間保存した後、トナーを取
出してその状態を観察したところ、凝集は認められなか
った。 実施例5
【0221】この実施例は、本発明のトナー収納容器の
トナー排出口に設ける密着性向上機構の効果を実証する
ことを目的とする。まず密着性向上機構を形成する2つ
のサンプルを準備した。
【0222】サンプル:密着状態の悪いサンプルとし
て、排出口に密着性向上機構を形成する部材として、通
気性が極めて高い、連続気泡のエステル系ウレタンスポ
ンジ(ブリジストンエバーライトST)を装着したも
の。 サンプル:第二に、密着性の良いサンプルとして、サ
ンプルのウレタンスポンジ表面に25μmのPETフィルムシ
ートを貼り付けたもの。この構成では、フィルムにより、
空気が遮断され通過できない。
【0223】両サンプルに用いるスポンジは、直径φ2
2mm、厚さ10mmで、断面に幅12mmのスリット
が二本中央で直角に交わるように開けらたものである。
実験に用いるトナー収納容器は、実施例3で用いたもの
と同じで、図32に示すものであるが、底部に空気圧調
整手段であるフィルター(目開き3μm、直径φ12m
m)が貼られている点が相異する。上記のスポンジは、
両面テープ(日東電工製5000N)で固定した。
【0224】トナーは、リコー製imagio Color トナータイフ゜
Sイエローを用い、300gを充填した。実験はトナー
収納容器内に空気を吹き込んで、吸引する方法で、すな
わち併用式によって、トナーの排出性と、トナー残量を
比較した。
【0225】用いる実験装置は、実施例2で用いたもの
と同じである。実施例1で説明したように、この装置の
ノズル11を、このスポンジのスリットを貫通させて、
吹き込む空気流路管部18の開口部15が、容器内に位
置するように、容器内部に挿入する。
【0226】この様にセットされた状態で、エアーを1
秒流し、ポンプを1秒駆動させた時のトナー排出量を電
子天秤で測定した。その結果をプロットしたのが、図3
5(サンプル)と図36(サンプル)のグラフで、
横軸にトナー収納容器内のトナー残量、縦軸にポンプ駆
動単位時間当たりのトナー排出量を示している。
【0227】サンプルの容器を用いた場合には、図3
5のグラフから、一秒毎に排出されるトナーの量は時に
はゼロのこともあって安定ではなく、かつ最終的に残る
トナー量も35g程度であることが判る。一方、サンプ
ルの容器を用いた場合には、図36のグラフから一秒
毎に排出されるトナーの量はほぼ0.6g前後に安定
で、かつ最終的に残るトナー量もほぼ0gであることが
判る。
【0228】サンプルを用いた場合は、スポンジが連
続気泡構造であるために、ノズルとの密着性を高めるこ
とができず、従がって実際トナー収納容器をノズルから
外した時は、スポンジ周辺はトナーで汚染されていた。
【0229】それに比べ、サンプルでは、PETフィ
ルムが貼ってあってスポンジに空気が漏れないために、
ノズルとの密着性が上がり、その結果、トナーの排出が
安定し、トナー残量も少なくする事ができたものと判断
できる。
【0230】なおサンプルの場合にトナー収納容器を
外したとき、スポンジ周りのトナー汚染は見られなかっ
た。
【0231】
【発明の効果】以上のように、本発明の新規なトナー収
納容器によれば、トナー収納容器の装脱時にトナー飛散
や長尺物に付着したトナーによる二次汚染の発生を防止
することができるようになった。
【0232】
【0233】
【0234】
【図面の簡単な説明】
【図1】現像装置と、この現像装置に補給されるトナー
を収納したトナー収納容器を示す部分断面説明図であ
る。
【図2】吹き込み方式の一例を示す概略図である。
【図3】ノズルの一例を示し、aが表面図、bが断面図
である。
【図4】トナー収納容器をノズルと接続させる状態の一
例を示す断面図である。
【図5】ノズルの変形例を示し、aが表面図、bが断面
図である。
【図6】トナー送流手段にトナ収納容器をセットした状
態を示す断面図である。
【図7】空気吸引手段として吸引ポンプを用いた場合の
概念図である。
【図8】本発明の吸引方式に用いる吸引ポンプの一例を
示す構成の断面図である。
【図9】その吸引方式の吸引ポンプを配置した概念図で
ある。
【図10】密着性向上機構の一例を示し、aは斜視図、
bは平面図、cは弾性体を密着性向上機構に用いた他例
を示す斜視図である。
【図11】a,b,cは弾性体を密着性向上機構に用い
たそれぞれ別の例を示す斜視図である。
【図12】密着性向上機構の他の実施形態を示し、aは
斜視図、bは断面図である。
【図13】密着性向上機構のさらに他の実施形態を示
し、aは斜視図、bは断面図である。
【図14】a,b,cはさらに別の密着性向上機構の具
体例における手順を説明する説明図である。
【図15】a,bは本発明に係るトナー収納容器の異な
る例を示す説明図である。
【図16】aは筒状体の口部の一例を示す断面図、bは
そのB部の断面図、cは筒状体の口部の断面説明図であ
る。
【図17】筒状体の口部の他の例を示す断面図である。
【図18】トナー収納容器の他の実施形態を示す斜視図
である。
【図19】a,bはトナー収納容器のそれぞれ別の例を
示す断面図である。
【図20】トナー収納容器のさらに別の例を示す断面図
である。
【図21】a,b,cはさらにそれぞれ別のトナー収納
容器の例を示す表面図である。
【図22】トナー収納容器のさらにまた別の例を示す斜
視図である。
【図23】トナー収納容器のさらにまた別の例を示す斜
視図である。
【図24】トナー収納容器のさらにまた別の例を示す斜
視図である。
【図25】a,bはトナー収納容器の姿勢を保持する手
段のそれぞれ別の例を示す斜視図である。
【図26】ハードタイプとソフトタイプのトナー収納容
器を用いたトナー凝集度の実験結果を示すグラフであ
る。
【図27】ハードタイプとソフトタイプのトナー収納容
器を用いた針入度の実験結果を示すグラフである。
【図28】従来公知の充填方法の概略を示す説明図であ
る。
【図29】吸引ポンプを用いないトナー送流用の実験装
置の概念図である。
【図30】図29の実験装置のトナー充填密度とトナー
残量の関係を示すグラフである。
【図31】吸引ポンプを用いたトナー送流用の実験装置
の概念図である。
【図32】図31の実験装置のトナー充填密度とトナー
残量の関係を示すグラフである。
【図33】ソフトタイプのトナー収納容器から吸引ポン
プを用いずトナー送流用の実験装置の概念図である。
【図34】図33の実験装置のトナー充填密度とトナー
残量の関係を示すグラフである。
【図35】密着性が悪いサンプル1の横軸にトナー収納
容器内のトナー残量、縦軸にポンプ駆動単位時間当たり
のトナー排出量をとったグラフである。
【図36】密着性が良いサンプル2の横軸にトナー収納
容器内のトナー残量、縦軸にポンプ駆動単位時間当たり
のトナー排出量をとったグラフである。
【符号の説明】
1 現像装置 2 トナー収納容器 3 トナー送流手段 10 エアーポンプ 30 吸引ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 伸夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 小形 文男 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 田丸 威 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭64−52181(JP,A) 特開 昭61−59464(JP,A) 特開 平9−106156(JP,A) 特開 平8−314272(JP,A) 特開 平8−171281(JP,A) 特開 平6−175490(JP,A) 特開 平5−232810(JP,A) 特開 平4−87901(JP,A) 実開 昭60−82651(JP,U) 実開 昭57−57451(JP,U) 実開 平2−53055(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/08 - 13/095 G03G 15/08 - 15/095

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トナー排出口を有するトナー収納容器にお
    いて、前記トナー排出口が長尺物と嵌合しその状態を保
    持できる嵌合部を有するものであり、嵌合部と長尺物と
    を嵌合した際に両者間の密着性を高める性質を有する機
    構(以後、密着性向上機構という)を嵌合部に持たせ、
    該密着性向上機構が、厚さ方向にスリットが形成され、
    かつ該スリット前記長尺物が通過する際、該長尺物に対
    して変形密着する弾性部材と、前記長尺物が通過し、か
    つ通過時に密着する中空部が形成された中空弾性部材と
    からなることを特徴とする電子写真画像形成用トナー収
    納容器。
  2. 【請求項2】嵌合部が筒状体のみからなることを特徴と
    する、請求項1に記載の電子写真画像形成用トナー収納
    容器。
  3. 【請求項3】筒状体自体を加工して表面に密着性向上機
    構を設けた特徴とする、請求項2に記載の電子写真画像
    形成用トナー収納容器。
  4. 【請求項4】嵌合部が筒状体とその内部に密着性向上機
    構を設けたものであることを特徴とする、請求項1に記
    載の電子写真画像形成用トナー収納容器。
  5. 【請求項5】嵌合部が筒状体とその外部表面に密着性向
    上機構を設けたものであることを特徴とする、請求項1
    に記載の電子写真画像形成用トナー収納容器。
  6. 【請求項6】弾性部材が発泡体またはゴムであることを
    特徴とする、請求項に記載の電子写真画像形成用トナ
    ー収納容器。
  7. 【請求項7】弾性部材が筒状体の断面内部を覆う大きさ
    の板形状でその厚さ方向にスリットが形成されたもので
    あって、該弾性部材を筒状体内部に嵌め込みかつ筒状体
    内表面に接着して密着性向上機構としたことを特徴とす
    る、請求項1または6に記載の電子写真画像形成用トナ
    ー収納容器。
  8. 【請求項8】スリットが複数形成されかつ該スリット間
    の角度が等しいものでであることを特徴とする、請求項
    1または7に記載の電子写真画像形成用トナー収納容
    器。
  9. 【請求項9】複数の弾性部材を用いかつ弾性部材間のス
    リットが重ならないことを特徴とする、請求項1、7及
    び8の何れかに記載の電子写真画像形成用トナー収納容
    器。
  10. 【請求項10】少なくともトナー排出口、底部およびこ
    れらを結ぶ側壁からなり、側壁が底部からトナー排出口
    に向けて縮径構造を有することを特徴とする、請求項1
    乃至9の何れかに記載の電子写真画像形成用トナー収納
    容器。
  11. 【請求項11】縮径構造部を形成する側壁の面とトナー
    排出口の筒状体の断面とがなす角度が、約45°〜90
    °であることを特徴とする、請求項10に記載の電子写
    真画像形成用トナー収納容器。
  12. 【請求項12】底部が円形であることを特徴とする、請
    求項10または11に記載の電子写真画像形成用トナー
    収納容器。
  13. 【請求項13】底部が四角形であることを特徴とする、
    請求項10または11に記載の電子写真画像形成用トナ
    ー収納容器。
  14. 【請求項14】側壁を構成する4つの面の少なくとも一
    つの面とトナー排出口の筒状体の断面とがなす角度が、
    90°未満であることを特徴とする、請求項13に記載
    の電子写真画像形成用トナー収納容器。
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