以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される給紙部20、画像形成部30、定着部40及びトナーコンテナ50(現像剤収容容器)とを含む。
本体ハウジング10の前面側(図1の右側)には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。ユーザーは、前カバー11を開放することで、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット21を含む。この給紙カセット21は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット21には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット21の後端側の上部にはシート繰出部21Aが設けられている。このシート繰出部21Aには、給紙カセット21内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すためのピックアップローラー(図略)が配置されている。
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(図1には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
感光体ドラム31は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。
現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置33は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー331と、現像ハウジング60(図2〜図5参照)の内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1搬送スクリュー332及び第2搬送スクリュー333とを含む。この現像装置33については、後記で詳述する。
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーであって、感光体ドラム31と転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。クリーニング装置35は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面を清掃する。
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
トナーコンテナ50は、現像装置33に補給するトナー(現像剤)を貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51(容器本体)と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置33内に供給される。このトナーコンテナ50については、図6以下を参照して後記で詳述する。
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート繰出部21Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
主搬送路22Fの、感光体ドラム31と転写ローラー34との転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
続いて、図2〜図5を参照して、現像装置33及びトナーコンテナ50の構造、並びにこれらの配置関係について説明する。図2は、現像装置33とトナーコンテナ50との組み付け状態を示す平面図、図3はその斜視図、図4は、現像装置33単体の斜視図、図5は、現像装置33の内部構造を示す平面図をそれぞれ示している。
現像装置33は、一方向(現像ローラー331の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング60を備える。現像ハウジング60は、その長手方向に延びる開口部が形成され、該開口部から現像ローラー331の周面の一部が露呈している。本実施形態において現像ハウジング60は、その長手方向が本体ハウジング10の左右方向と一致するよう、本体ハウジング10に組み付けられている。
現像ハウジング60の左端付近の天板60Tには、トナーコンテナ50から供給されるトナーを当該ハウジング内に受け入れるためのトナー補給口60Hが穿孔されている。このトナー補給口60Hと、トナーコンテナ50のトナー排出口521とが上下方向に重なるように、現像装置33とトナーコンテナ50とが組み付けられる。トナーコンテナ50は、図2に矢印Aで示すように、現像ハウジング60の長手方向と直交する方向(前後方向/第2方向)において、現像装置33に対して着脱される。トナーコンテナ50は上面視で一方向に長いハウジング形状を備えるので、現像装置33にトナーコンテナ50が装着された状態では、上面視で略L字型の構造体を形成することになる(図2参照)。
天板60Tの上面には、左右方向にスライド移動が可能な現像シャッター板61が配置されている。現像シャッター板61は、付勢バネ62で常時左方向に付勢されている。付勢バネ62はコイルバネであって、現像シャッター板61の右端縁と、該現像シャッター板61に隣接するリブとに各々設けられたバネ座621、622に各端部が取り付けられている。図4ではトナー補給口60Hが開放されている状態を示しているが、トナーコンテナ50が未装着の状態では、現像シャッター板61は付勢バネ62に付勢されて左方に位置し、トナー補給口60Hを塞ぐ。
トナーコンテナ50の筒状部52の先端縁(他端部524)下部には、押圧板522が取り付けられている。また、筒状部52の先端面には、回転部材54に回転駆動力を入力するためのコンテナギア54Gが露出して配置されている。現像ハウジング60のトナー補給口60Hの左奥部には、入力ギア631とカップリング632とを備えるギアホルダー63が配置されている。カップリング632は、本体ハウジング10に備えられた図略のモーターからの回転駆動力が与えられる。入力ギア631は、トナーコンテナ50が現像装置33に装着された状態でコンテナギア54Gと歯合され、前記回転駆動力をコンテナギア54Gに伝達する。
トナーコンテナ50が現像装置33に装着される際、トナー補給口60Hに対してトナーコンテナ50の筒状部52が前方から後方に進入する。この際、トナーコンテナ50の押圧板522が、トナー補給口60Hを塞いでいる状態の現像シャッター板61と干渉し、当該現像シャッター板61を右方へ移動させる。具体的には、現像シャッター板61の上面に突設されている斜行凸条623と押圧板522とが干渉し、付勢バネ62の付勢力に抗して現像シャッター板61が右方へ押し遣られる。トナーコンテナ50の筒状部52が所定位置まで進入すると、トナー補給口60Hは完全に開放されると共に、入力ギア631にコンテナギア54Gが歯合することになる。
図5を参照して、現像ハウジング60は内部空間600を備える。二成分現像方式の場合、この内部空間600には、トナーとキャリアとからなる現像剤が充填される。キャリアは、内部空間600においてトナーと攪拌混合されトナーを帯電させると共に、トナーを現像ローラー331まで搬送する。トナーは、逐次現像ローラー331に供給されて消費され、その消費分はトナーコンテナ50から適宜供給される。
現像ハウジング60の内部空間600は、左右方向に延びる仕切り板601によって、左右方向に長尺の第1通路602と第2通路603とに区画されている。仕切り板601は、現像ハウジング60の左右方向幅よりも短く、仕切り板601の右端及び左端には、第1通路602と第2通路603とをそれぞれ連通させる第1連通部604及び第2連通部605が備えられている。これにより、現像ハウジング60の内部には、第1通路602、第1連通部604、第2通路603及び第2連通部605に至る循環経路が形成されている。
上述のトナー補給口60Hは、第1通路602の左端付近の上方に配置されている。第1通路602には第1搬送スクリュー332が収容され、第2通路603には第2搬送スクリュー333が収容されている。第1、第2搬送スクリュー332、333は、それぞれシャフトと、このシャフトの周上にスパイラル状に突設された羽根部材とを含む。第1搬送スクリュー332は、シャフト回りに回転駆動されることで、図5の矢印a方向に現像剤を搬送する。一方、第2搬送スクリュー333は、シャフト回りに回転駆動されることで、矢印b方向に現像剤を搬送する。
第1、第2搬送スクリュー332、333が回転駆動されることで、上述の循環経路に沿って現像剤が循環搬送される。トナー補給口60Hから新たに補給されたトナーについて説明すると、当該トナーは第1通路602に落下して既存の現像剤と混合され、第1搬送スクリュー332により矢印a方向に搬送される。この際、トナーはキャリアと攪拌され、帯電される。次いでトナーは、第1通路602の下流端から第1連通部604を経て第2通路603に入り、第2搬送スクリュー333によって矢印b方向に搬送される。この搬送の際、トナーは同様に帯電される一方で、一部が現像ローラー331の周面に供給される。そして、残部のトナーとキャリアとは、第2連通部605を経て、第1通路602の上流端に戻される。
続いて、図6〜図12を参照して、トナーコンテナ50の詳細構造について説明する。図6は、トナーコンテナ50を筒状部52側(図1では後方側)から見た斜視図、図7は、視線方向を180度変えて蓋部材53側から見た斜視図、図8は、トナーコンテナ50の側面図、図9はその側断面図、図10〜図12は、それぞれトナーコンテナ50内に配置される回転部材54の平面図、正面図、斜視図である。
既述の通り、トナーコンテナ50は、コンテナ本体51、筒状部52、蓋部材53及び回転部材54を含む。コンテナ本体51は、トナーを貯留する空間を形成するために、一の方向に延びる断面半円形状の底壁511と、該底壁511の一端縁から上方に延びる第1側壁512と、前記底壁511の他端縁から上方に延び前記第1側壁512と対向する第2側壁513と、筒状部52側の端縁部において第1側壁512及び第2側壁513を繋ぐ第3側壁514と、第1側壁512及び第2側壁513の上端縁同士を繋ぐ天壁515と、蓋部材53と対向する側の端縁に形成された第1フランジ部516とを備えている。なお、コンテナ本体51の第1フランジ部516の側は、側部開口面とされている。
コンテナ本体51は、底壁511の部分が最も幅が狭く、この底壁511から上方に向かうに連れて、第1側壁512と第2側壁513との間隔が広くなる縦長の外観形状を備えている。第1側壁512及び第2側壁513は平板状の部材であり、これら第1側壁512及び第2側壁513は断面視において直線状の内面を備えている。
第3側壁514の上部には、トナーをコンテナ本体51内に充填するための開口を塞ぐキャップ517が取り付けられている。第2側壁513には、当該トナーコンテナ50の管理情報が記録された無線タグ518が取り付けられている。また、第1側壁512及び第2側壁513の上端部付近には、底壁511が延びる方向に平行な一対の溝部519が形成されている。この溝部519は、トナーコンテナ50が本体ハウジング10に装着される際に、本体ハウジング10側の図略のガイド部材でガイドされる部分である。
筒状部52は、第3側壁514から、底壁511に連なって突設された円筒状の部分である。筒状部52の一端部523は、第3側壁514の下端部に連接され、コンテナ本体51の内部空間と筒状部52の内部空間とは連通状態とされている。筒状部52の他端部524は筒状部52の突出端であって、コンテナギア54Gは他端部524から更に外方に突出する状態で配置されている。筒状部52の底部525は、コンテナ本体51の底壁511に面一とされており、これにより断面半円形状の樋状部分が、第1フランジ部516から他端部524に亘って形成されている。筒状部52は、回転軸541の径方向の断面形状が円形である内壁面を備え、その一端部523から他端部524に向けて、僅かに先細りのテーパ形状とされている。
上述の通り、筒状部52にはトナー排出口521(現像剤排出口)が設けられ、当該筒状部52が現像装置33に装着される。なお、トナー排出口521は、筒状部52の底部525(下面)に配置された落下口である。前記装着の際に現像ハウジング60の一部と係合する係合部526が、底部525に配置されている。コンテナ本体51内に貯留されているトナーは、後述する回転部材54の回転駆動により筒状部52に送り出され、トナー排出口521から吐出される。
図9に示すように、トナー排出口521は、底部525の、他端部524の近傍に設けられている。トナー排出口521の下面には、筒状部52の延びる方向に沿ってスライド移動するシャッター板527が取り付けられている。シャッター板527は、図略の付勢部材により常時トナー排出口521を塞ぐよう、他端部524の方向に付勢されている。一方、筒状部52が現像装置33に装着される際、シャッター板527は現像ハウジング60の一部と干渉して、一端部523の方向にスライド移動する。図9は、シャッター板527が後退してトナー排出口521を開放している状態を示している。なお、シャッター板527と上述の係合部526とは一体の部材である。
蓋部材53は、コンテナ本体51の側部開口面を覆うもので、凹形状を備えた蓋本体部531と、蓋本体部531の周縁に設けられ第1フランジ部516と突き合わされる第2フランジ部532とを備える。蓋本体部531は、下方から上方へ膨らむように傾斜した傾斜面と、その傾斜面の上端に連なる垂直面とを備える。蓋本体部531の前記垂直面は、第2フランジ部532から相当突出した部分となっており、ユーザーは当該部分を摘んで、トナーコンテナ50の本体ハウジング10に対する着脱操作を行うことができる。蓋本体部531の内面下端には、後述する回転部材54の回転軸の第1端部542を回転自在に支持する軸支部533が設けられている。軸支部533に第1端部542が挿入された状態で、第2フランジ部532は第1フランジ部516に溶着される。
<回転部材の構造>
回転部材54(54M1)は、コンテナ本体51(容器本体)の底壁511から筒状部52の上に亘って配置され、軸回りに回転駆動されることによりトナーを搬送する部材である。図9〜図12に示すように、回転部材54(54M1)は、回転軸541と、この回転軸541と一体回転するフィルム部材546と、第1搬送部材55と、第2搬送部材56と、一対の分散部材57とを備えている。更に、回転部材54は、回転軸541と一体回転するスパイラル片56Rと、整流スパイラル70と、攪拌フィルム80とを備えている。
回転軸541は、底壁511の延びる方向に延在するように配置され、その両端に第1端部542及び第2端部543を備えている。第1端部542は、蓋部材53の軸支部533で回転自在に支持されている。第2端部543には、筒状保持片544が一体的に取り付けられている。この筒状保持片544に、コンテナギア54Gの胴部545が嵌め入れられることで、コンテナギア54Gと回転軸541とが一体化されている。胴部545は、筒状部52の他端部524で回転自在に支持されている。回転軸541は、コンテナ本体51から筒状部52に跨って架設されており、コンテナ本体51内に配置される第1部分54Aと、筒状部52内に配置される第2部分54Bとに分けられる。
フィルム部材546は、筒状保持片544に配設され、トナー排出口521にトナーを送り出す機能を備える。フィルム部材546は、略矩形状の薄い可撓性PETフィルムであり、回転軸541の軸方向と直交する方向に突出して、筒状保持片544の周面に取り付けられている。フィルム部材546は、回転軸541の回転時に周回し、筒状部52の他端部524付近に存在するトナーを流動化させ、トナー排出口521に送り出す。
第1搬送部材55は、回転軸541と一体で、回転軸541の周面にスパイラル状に突設された搬送部材である。第1搬送部材55は、回転軸541の軸方向のほぼ全長に亘って形成されている。つまり、回転軸541の第1部分54A及び第2部分54Bの双方に相当する部分の周面上に、第1搬送部材55は形成されている。
第2搬送部材56は、回転軸541の外周に、回転軸541及び第1搬送部材55との間にギャップを置いて配置された中空のスパイラル状搬送部材である。つまり、第2搬送部材56は、第1搬送部材55よりも径方向外側に配置されている。第2搬送部材56は、第1部分54Aに相当する領域にのみ配置されている。
一対の分散部材57は、回転軸541とほぼ同じ長さを有し且つ回転軸541と平行に配置される棒状の部材であって、第2搬送部材56の側部をそれぞれ連結する部材である。一の分散部材57と他の分散部材57とは、回転軸541の周方向に180度の間隔をおいて配置されている。一対の分散部材57は、その端部571Aにおいて連結ピース572Aによって連結されている。連結ピース572Aは、その中央部において、回転軸541の第1端部542付近に固着されている。第2端部543側も、同様な連結ピース572Bによって、一対の分散部材57の端部571Bが連結されている。すなわち、回転軸541と、第2搬送部材56及び分散部材57とは連結ピース572Aおよび572Bによって一体化されており、回転軸541が回転すると、第2搬送部材56及び分散部材57も一体回転する。分散部材57は、第1部分54A及び第2部分54Bの双方に跨って配置されている(図10〜図12)。
第1搬送部材55、第2搬送部材56および一対の分散部材57の構成を換言すると、第2搬送部材56は複数の半円形のアーチ状搬送片からなり、一対の分散部材57によりこれらアーチ状搬送片が一体化され、その結果として、軸心付近に中空部を備えたスパイラル状の第2搬送部材56が形成されている。前記第2搬送部材56の中空部の内径は、第1搬送部材55のスパイラル外径よりも大きい。そして、前記中空部の中に、第1搬送部材55を周面に備えた回転軸541が同心状に挿通された態様が、本実施形態の回転部材54の構成である。なお、第1搬送部材55のスパイラル方向と、第2搬送部材56のスパイラル方向は逆方向である。
スパイラル片56Rは、一対の分散部材57間に跨る半円形のアーチ状搬送片である。スパイラル片56Rは、第2搬送部材56から第2端部543側に所定の間隔をおいて配設される。このスパイラル片56Rは、第2搬送部材56のアーチ状搬送片と略同じサイズである。しかし、スパイラル片56Rは、第2搬送部材56のアーチ状搬送片とはスパイラル方向が逆となるように、配設されている。スパイラル片56Rは、第1部分54Aにおける第2部分54Bとの境界部の近傍に、回転軸541の軸方向において、第2搬送部材56の端部から所定の間隔を有して配置されている。スパイラル片56Rは、回転軸541の回転にともなって、分散部材57とともに回転される。
整流スパイラル70(第3搬送部材)は、回転軸541の側面視で回転軸541に対して傾斜し(図11参照)、一対の分散部材57間に配設されたアーチ状搬送片からなる。該アーチ状搬送片は、回転軸541の軸端から見て半楕円形を呈する。また、該アーチ状搬送片は、回転軸541に対して、半ピッチ分だけ配設されたスパイラル形状部材である。整流スパイラル70は、回転軸541の外周に、回転軸541及び第1搬送部材55との間にギャップを置いて配置される。すなわち、整流スパイラル70は、第1搬送部材55を備えた回転軸541を収容可能な中空部を備える。整流スパイラル70のアーチ状搬送片は、第2搬送部材56のアーチ状搬送片と略同じ内外径を備えつつ、第2搬送部材56のアーチ状搬送片を、回転軸541の軸方向に約2倍に引き伸ばした形状を有する。整流スパイラル70は、回転軸541の回転に伴って、一対の分散部材57とともに一体回転する。整流スパイラル70は、回転軸541の軸方向において、スパイラル片56Rの端部に連接される形態で配置され、第1部分54Aと第2部分54Bとの境界部近傍から、回転軸541の第2端部543に亘って配設されている。
攪拌フィルム80は、回転軸541の軸方向において、第2搬送部材56とスパイラル片56Rとの間に配置され、コンテナ本体51内のトナーを攪拌する機能を備える。また、攪拌フィルム80は、図10〜図12に示すように、T字型形状を有する薄い可撓性PPS(ポリフェニレンサルファイド) 樹脂フィルムである。攪拌フィルム80は、回転軸541の周面から、該回転軸541の軸方向と直交する方向に延伸され、回転軸の周面上に固定される固定端部80aと、第2搬送部材56よりも径方向外側に配置される自由端部80bと、を備える。攪拌フィルム80のT字形状は、固定端部80aから径方向に延びる比較的幅狭の基端部80dと、この基端部80dから更に径方向外側に延び、基端部80dよりも幅広の先端部80eとで構成されている。先端部80eは、第2搬送部材56の最外径部分よりも径方向外側に位置している。従って、自由端部80bの回転軸541の軸方向における長さは、固定端部80aの回転軸541における軸方向の長さよりも長く設定されている。また、固定端部80aの底辺には、長穴部80cが配設される。長穴部80cは、回転軸541に配設された保持片541a(図13(b))と係合する。該係合によって、攪拌フィルム80は回転軸541と一体的に回転駆動される。
<各部材のトナー搬送方向>
コンテナギア54Gに、回転軸541を所定の回転方向に回転させる回転駆動力が与えられると、第1搬送部材55及び第2搬送部材56は、それぞれのスパイラル方向に応じてトナーの搬送力を発生する。第2搬送部材56は、コンテナ本体51側から筒状部52(トナー排出口521)側に向かう方向(以下、第2搬送方向)に、トナーを搬送する。つまり、第2搬送部材56は、回転軸541の第1端部542側から第2端部543側に向けてトナーを搬送する。これに対し、第1搬送部材55は、トナーを筒状部52側からコンテナ本体51側に戻す方向(以下、第1搬送方向)に、トナーを搬送する。つまり、第1搬送部材55は、回転軸541の第2端部543側から第1端部542側に向けてトナーを搬送する。
一方、分散部材57は、第1搬送部材55及び第2搬送部材56によって搬送されるトナーを、回転軸541の径方向外側へ分散させる役目を果たす。すなわち、分散部材57は、第1搬送部材55又は第2搬送部材56のスパイラル片によって推進力を与えられたトナーの周囲に存在するトナーを、径方向外側へ分散する。これにより、トナーの前記第1搬送方向又は第2搬送方向への移動が促進される。
スパイラル片56Rは、第2搬送部材56のスパイラル方向と逆方向に配置されているので、トナーを第1搬送方向に搬送する。スパイラル片56Rは、コンテナ本体51の、筒状部52との境界部付近において、トナーを筒状部52からコンテナ本体へ積極的に戻す搬送力を発生させる。
整流スパイラル70は、第2搬送部材56のスパイラル方向と同方向のスパイラル形状を有するので、トナーを第2搬送方向に搬送する。整流スパイラル70は、筒状部52内のトナーに対して、トナー排出口521に向かう搬送力を補助的に与える。
<回転部材の動作説明>
以上の通り、本実施形態の回転部材54は、径方向内側(第1搬送部材55)と外側(第2搬送部材56)とで、互いに異なる方向にトナーを搬送する能力を有する。次に、この回転部材54(54M2)によるトナー搬送動作を、図13、図14に基づいて説明する。図13は、回転部材54M2によるトナーの搬送動作を説明するための、トナーコンテナ50Aの模式的な(a)側断面図および(b)断面図であり、図14は、図13の状態から回転部材54M2が90度回転した状態の、トナーコンテナ50Aの模式的な(a)側断面図および(b)断面図である。なお、図10〜図12で示す回転部材54M1と、図13および図14で示す回転部材54M2とは、攪拌フィルム80の回転軸541上の周方向における配置が異なる。また、図10〜図12で示す回転部材54M1と、図13および図14で示す回転部材54M2とは、各スパイラル形状を有する部材の傾斜方向(螺旋形状の巻き方向)が逆となっている。このように、各スパイラル形状の傾斜方向は、各部材の相対的な傾斜関係を維持すれば、逆方向(逆巻き)であってもよい。この場合、回転部材54M1(図10〜図12)と回転部材54M2(図13、14)とは、回転軸541を中心に互いに逆方向に回転させることで、各部材の効果を同様に奏することが可能となる。
図13(a)を参照して、第2搬送部材56は、回転駆動されることで、トナーに第2搬送方向へ向かう押圧力を与える。第2搬送部材56によって筒状部52に向かわされるトナーは、図中に矢印C1で示すように、専ら回転部材の外周部付近を移動する。本実施形態では、筒状部52内には第2搬送部材56が存在しない。しかし、回転軸541の径方向で見て第2搬送部材56とほぼ同じ周回軌道上に存在する分散部材57が筒状部52の内周壁に近い部分のトナーを流動させるので、トナーの第2搬送方向への推進力は維持される。更に、筒状部52内において、分散部材57上に配設された整流スパイラル70が、トナーの第2搬送方向への移動をアシストする。従ってトナーは、筒状部52内においても、その内周壁に近い部分において、矢印C1で示すように他端部524に向けて移動する。
第2搬送方向へ搬送されるトナーは、やがて筒状部52の他端部524近傍に到達する。到達したトナーの一部は、フィルム部材546で押圧される形で、トナー排出口521から現像ハウジング60内に落下する。
一方、トナー排出口521から吐出されなかったトナーは、第1搬送部材55の駆動によって、図中に矢印C2で示すように、専ら筒状部52の中心軸に近い部分において、第1搬送方向に逆搬送される。逆搬送されるトナーは、やがて筒状部52とコンテナ本体51との境界を通過し、分散部材57による分散効果も相俟って、コンテナ本体51に戻される。
この際、スパイラル片56Rは、上記の逆搬送機能をより促進する。筒状部52内においてトナーは、回転軸541の径方向外側への逃げ場が制限されており、筒状部52とコンテナ本体51との境界部付近においても、トナーの逃げ場が比較的少ない。このような前記境界部付近において、スパイラル片56Rの回転によって、トナーを筒状部52からコンテナ本体51へ送り出す、図13(a)の矢印C3方向の押圧力を発生させることができる。矢印C3方向に押し戻されたトナーは、分散部材57の回転駆動によって、図14(a)の矢印C4方向に示すように、回転部材54の径方向外側へ分散される。従って、第2搬送部材56によって第2搬送方向へ順方向搬送されるトナーと、第1搬送部材55によって第1搬送方向へ逆方向搬送されるトナーとの衝突が緩和され、トナーの筒状部52からコンテナ本体51への戻りを円滑に行わせることができる。
このように、本実施形態のトナーコンテナ50においては、第2搬送部材56によって一旦、筒状部52に送り出されたトナーが、第1搬送部材55によってコンテナ本体51に戻される循環搬送機能が具備されている。このため、筒状部52の先端にトナー排出口521が設けられた構造のトナーコンテナ50であっても、トナー排出口521の近傍においてトナーが凝集することを抑止できる。
すなわち、筒状部52は、第2搬送部材56のスパイラル外径よりやや大きい内径を有する程度の狭小な筒状内部空間を備える部位である。このような筒状部52を有するトナーコンテナ50において、回転部材54に、第2搬送方向にトナーを搬送する機能のみが備えられている場合、トナーの送り量に対して吐出量が少ないと、やがてトナーは行き場を失い筒状部52内で押し固められ、ついには凝集化する。そうすると、トナー排出口521がトナーの凝集体で塞がれ、トナーが吐出できなくなる不具合が生じる。
これに対して本実施形態のトナーコンテナ50では、第1搬送部材55が筒状部52内に配置され、トナーを第1搬送方向へ逆方向送りする搬送機能を備えるので、トナーが押し固められることはない。すなわち、筒状部52においては、径方向外側にはトナーの逃げ場が無いので、トナーは筒状部52の軸心方向に向かおうとする。その軸心部分には第1搬送部材55が配置され、トナーを第1搬送方向に搬送する。従って、トナーが凝集化する前に、トナーを筒状部52からコンテナ本体51へ効率良く戻すことができる。
<攪拌フィルムについて>
上記のように、本実施形態では、回転部材54M2が、第1搬送部材55と、第2搬送部材56とを備える。これによって、第2搬送部材56が回転して描かれる円筒形状部の内外部では、トナーの軸方向の動きが円滑に実行される。一方、トナーコンテナ50の設置環境などによって、トナーの流動性が悪い場合、第2搬送部材56の回転力が及びにくい円筒形状部の外側では、トナーコンテナ50内に貯留されているトナーがトンネル状に凝集することがある。このような場合であっても、本実施形態では、回転軸541に配置された攪拌フィルム80が、円筒形状部の外側に配置されるトナーを攪拌することが可能となる。
図13(b)に示すように、攪拌フィルム80は、コンテナ本体51内で、回転軸541と一体で矢印R1方向に回転される。この際、固定端部80aに設けられた長穴部80c(図10参照)は、自由端部80bが鉛直上方に向いている状態で、回転軸541から第2側壁513側に突設された保持片541aに係合している。この係合によって、回転軸541と攪拌フィルム80とが一体的に回転される。図13(b)の状態から、図14(b)の状態まで、回転軸541が矢印R1方向に90度回転すると、第2搬送部材56の外側に配置される自由端部80bが、回転方向上流側(矢印R1の逆方向)に撓みながら、第2側壁513の内壁に当接する。
更に、回転軸541の回転にともなって、攪拌フィルム80の自由端部80bは、第2側壁513、底壁511、第1側壁512の各内壁に順に当接しながら、内壁付近のトナーを矢印R1方向に移動させる。また、攪拌フィルム80は可撓性PETフィルムからなるため、自由端部80bが第1側壁512の内壁から離れる際に、自由端部80bの弾性力が解放され、自由端部80bが周囲の現像剤を弾くように作用する。このため、周囲の現像剤の流動を促進することが可能となる。ここで、攪拌フィルム80において、自由端部80bの回転軸541の軸方向における長さは、固定端部80aの回転軸541における軸方向の長さよりも長く設定されている。このため、攪拌フィルム80の自由端部80bが、コンテナ本体51内でより広い範囲でトナーを攪拌することが可能となる。
また、攪拌フィルム80は、回転軸541の軸方向において、第1部分54Aの第1方向側、すなわち第1部分54Aと第2部分54Bとの境界付近に配置されている。このため、第2搬送部材56、分散部材57およびスパイラル片56Rによって、第1部分から第2部分側に移動されたトナーは、該攪拌フィルム80の回転力によって、コンテナ本体51の上方に押し上げられる。攪拌フィルム80の上方に押し上げられたトナーは、コンテナ本体51内で、第1方向側にトナーの山が崩れるように移動し(図13点線S参照)、再び、第2搬送部材56によって、第2方向に搬送される。このように、攪拌フィルム80の回転によって、回転部材54M2よりも上方に位置するトナーに、循環流が生じる。したがって、トナーの流動性が悪化する環境下においても、トナーがコンテナ本体51内でトンネル状に凝集することが抑止される。
更に、本実施形態では、図13(b)および図14(b)に示すように、センサー90が、第2側壁513の自由端部80bが当接する位置に対向して配設されている。センサー90は、トナーコンテナ50内に収容されているトナーを検知することで、トナーコンテナ50の交換時期を通知するために使用される。
センサー90は、平板状の磁気センサーであって、トナーコンテナ50内のトナー残量に応じた電圧信号を出力する。すなわち、センサー90と対向する位置にトナーが存在していると、センサー90は高い電圧を出力し、トナーが存在していないと低い電圧を出力する。しかしながら、トナーコンテナ50の各内壁には、トナーが付着することがある。そして、センサー90が対向する第2側壁の内壁にトナーが付着したまま、トナーコンテナ50内のトナーが空に近づくと、センサー90は、誤って高い電圧を出力し続け、トナーコンテナ50内のトナーが空であることを正しく検知することができない。
このような場合であっても、本実施形態では、第2側壁513の内壁のうち、センサー90が対向する部分に、攪拌フィルム80の自由端部80bが当接しながら回転する。このため、自由端部80bが、第2側壁513の内壁に付着したトナーを掻き取ることが可能となる。したがって、トナーコンテナ50内のトナー量の誤検知が抑制される。
なお、本実施形態では、図13(a)および図14(a)に示すように、攪拌フィルム80は、該攪拌フィルム80が配設される回転軸541の軸方向の領域のうちの、第2搬送部材56のアーチ状搬送片およびスパイラル片56Rが配設されている領域において、回転軸541の径方向に向かって突設されている。攪拌フィルム80の周方向における配置は、これに限定されるものではない。すなわち、図10〜図12における回転部材54M1では、攪拌フィルム80は、該攪拌フィルム80が配設される回転軸541の軸方向の領域のうちの、第2搬送部材56のアーチ状搬送片およびスパイラル片56Rが配設されていない領域(図10では、回転軸541の下側)において、回転軸541の径方向に向かって突設されている。この場合、回転軸541の回転に伴って、攪拌フィルム80が周方向に撓みながら回転する際に、該攪拌フィルム80と、第2搬送部材56のアーチ状搬送片およびスパイラル片56Rとの間で、閉空間が形成されにくい。換言すれば、第2搬送部材56のアーチ状搬送片とスパイラル片56Rとの間であって、回転部材54M1の内部に位置するトナーに対して、撓みながら回転する攪拌フィルム80が蓋状に覆いかぶさることがない。このため、第2搬送部材56およびスパイラル片56Rの内側に位置するトナーが凝集することが抑制される。
<整流スパイラル70について>
以上のように、本実施形態では、一の方向に延びる底壁511を有し、トナーを収容するコンテナ本体51と、底壁511に連なってコンテナ本体51から突設され、トナー排出口521が備えられた筒状部52との間に、回転部材54が配設されている。トナー排出口521から、トナーが徐々に排出され、コンテナ本体51内のトナー残量が少なくなると、第2搬送部材56や分散部材57の回転に伴って、コンテナ本体51内に貯留されるトナーは、空気を抱き込みやすくなる。この結果、コンテナ本体51内のトナーは、流動性が増し、コンテナ本体51から筒状部52に向かって、液体に近い動きをしながら搬送される。このため、一時的に、トナー排出口521から排出されるトナーの排出速度が上昇する。
トナー排出口521から排出されるトナーの排出速度が上昇した場合、通常よりも多くのトナーが現像ハウジング60内に流入し、現像ハウジング60内の古いトナーと混合される。この際、急激な新しいトナーの流入によって、攪拌不良が生じ、現像ハウジング60内のトナーの帯電量が不安定となる。この結果、感光体ドラム31上でのトナーかぶりなどがもたらされる。特に、回転軸541上に攪拌フィルム80が配設されている場合、該攪拌フィルム80が、コンテナ本体51内の少なくなったトナーを、コンテナ本体51内の上方に舞い上げる。このため、トナーの流動性は更に増しやすい。
上記のように、コンテナ本体51内のトナー残量が少なくなり、トナーの流動性が増した場合であっても、本実施形態に係る整流スパイラル70(第3搬送部材)は、筒状部52内に搬送されるトナーの搬送速度を一時的に低下させる機能を備える。
図13および図14において、流動性の増したトナーは、第2搬送部材56の搬送力を受けて、コンテナ本体51から筒状部52内に、通常よりも大きな搬送速度をもって送り込まれる。図15は、この際、筒状部52内で回転する整流スパイラル70の一端を拡大した模式図である。上記のように、通常よりも大きな搬送速度で、第2搬送方向に進行するトナー(矢印J1)は、整流スパイラル70のうちの、第1搬送方向側に面した壁部70hに受け止められる。壁部70hに受け止められることで、該トナーの第2搬送方向の速度が低下する。そして、該トナーの一部は、整流スパイラル70の回転に伴って、第2搬送方向と交差する径方向(図中矢印J2)に分散される。
整流スパイラル70の壁部70hに衝突し、筒状部52内で第2搬送方向への速度が低下した上記トナーは、整流スパイラル70の回転(図15の矢印RB)に伴い、整流スパイラル70のうち、第2搬送方向側に面した搬送壁70fによって、トナー排出口521(図13、図14)に向かって搬送される(図15の矢印J3)。この際、予め、整流スパイラル70の角度およびピッチなどが調整され、整流スパイラル70がトナーを第2搬送方向に搬送する搬送量(第2搬送量)が、第2搬送部材56がトナーを第2搬送方向に搬送する搬送量(第1搬送量)よりも小さくなるように設定されている。
本実施形態では、整流スパイラル70の回転軸541に対して傾斜する第1の傾きが、第2搬送部材56のスパイラルの回転軸541に対して傾斜する第2の傾きよりも小さくなるように設定されている。この結果、筒状部52内で搬送されるトナーが径方向に分散されやすい。また、整流スパイラル70は、回転軸541に対して、周方向に180度分(半ピッチ分)だけ配設されている。すなわち、整流スパイラル70が配設されていない回転軸541の外周部分では、第2搬送方向への搬送性能が存在しない。このため、整流スパイラル70が全周に亘って配設されている場合と比べて、トナーの搬送量が小さく設定される。以上の構成により、整流スパイラル70が備えるトナーの第2搬送量は、第2搬送部材56が備えるトナーの第1搬送量よりも小さく設定される。
図17は、整流スパイラル70の詳細な配置を説明するための模式図である。Lは、整流スパイラル70の第2搬送方向端部を支持する連結ピース572Bと、筒状部52の入口に相当する第3側壁514との距離を表す。また、Pは、整流スパイラル70のアーチ状搬送片が、回転軸541方向に延伸する第1の長さを表し、Rは、該アーチ状搬送片が、回転軸541の回転方向に延伸する第2の長さを表している。
R<Pの場合、整流スパイラル70が、筒状部52内で、回転軸方向において広い範囲で延伸するため、コンテナ本体51から筒状部52に搬送されたトナーが、整流スパイラルの壁部70h(図15)に受け止められやすくなる。また、整流スパイラル70が、該衝突したトナーを径方向に分散させやすくなる。
一方、R>Pの場合、整流スパイラル70が、筒状部52に送り込まれるトナーを塞き止める力が弱くなる。この場合、回転軸541の軸方向に、複数の整流スパイラル70を備えることが好ましい。
また、L>Pの場合、整流スパイラル70の第1搬送方向の端部が、第2部分54B側から第1部分54A側に突き出すことがない。このため、整流スパイラル70が、コンテナ本体51内のトナーを筒状部52に取り込みすぎることが抑止される。
このように、コンテナ本体51内で一時的に流動性が増し、大きな搬送速度で筒状部52側に送り込まれたトナーは、整流スパイラル70の壁部70hによって受け止められるとともに、その一部が径方向に分散される。そして、整流スパイラル70が、該トナーを第2搬送量でトナー排出口521に向かって搬送する。したがって、筒状部52内に送り込まれたトナーが、大きな搬送速度をもったまま、トナー排出口521に到達することが抑制され、トナー排出口521から現像ハウジング60に排出されるトナーの排出速度が安定して維持される。
以上、本発明の実施形態に係るトナーコンテナ50及び画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、現像剤収容容器の具体例としてトナーコンテナ50を例示した。現像剤収容容器は、例えばトナー貯留部と現像ローラー等とが一体化された現像ユニットであっても、トナーコンテナと現像装置との間に介在される中間ホッパー等であっても良い。
(2)上記実施形態では、分散部材57が、回転軸541の軸方向全長に亘って形成されている例を示した。分散部材57は、これに限られるものではなく、第1部分54Aのみに配設される態様でも良い。図16は、変形実施形態に係る回転部材54M3を備えたトナーコンテナ50Bの模式的な(a)側断面図と(b)断面図である。図示する通り、分散部材572は、トナーコンテナ50Bのコンテナ本体51に相当する第1部分54Aにのみ、回転軸541の周面に形成されている。また、トナーコンテナ50Bの筒状部52に相当する第2部分54Bには、一対の整流スパイラル70Bが、それぞれ回転周方向において反対側に配置されている。このような構成の回転部材54M3であっても、一対の整流スパイラル70Bは、コンテナ本体51から筒状部52に流入されたトナーを受け止め、その一部を径方向に分散するとともに、トナー排出口521に向かって該トナーを搬送する。したがって、コンテナ本体51内のトナー残量が減少し、一時的にトナーの流動性が増した場合であっても、トナー排出口521から現像ハウジング60に供給されるトナー量が、安定して維持される。
(3)上記の実施形態では、筒状部52内で、トナーの流れを整流するとともに、トナー排出口521に向かってトナーを搬送する部材として、アーチ状搬送片からなる整流スパイラル70を示して説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、コンテナ本体51から筒状部52に流入するトナーを一旦受け止める壁部を有し、かつ、該トナーを径方向に分散し、トナー排出口521に向かって搬送する形状を有する部材であれば、同様の効果が発現される。たとえば、一対の分散部材57間に、回転軸541に対して所定の傾斜角度をもって、直線的に架け渡された板状部材(リブ部材)であってもよい。また、アーチ状搬送片は、回転軸541に対して、半ピッチ分だけ配設されるものに限られず、3分の1ピッチ、4分の3ピッチの範囲に配設されるものであってもよい。
<実施例>
次に、上記の実施形態に係る回転部材54を用いて実施した実施例の結果について説明する。なお、実施例は以下の諸元及び条件で行った。
回転部材:回転部材54M2(整流スパイラル70を有する場合と有さない場合)、回転数:120rpm
・第1搬送部材55:直径7mm、スパイラルピッチ10mm、軸径5mm
・第2搬送部材56:最大外径21mm、最小外径16mm、内径14mm、スパイラルピッチ20mm
・分散部材57:円周方向厚み1mm
トナーコンテナ50:
・コンテナ本体51:厚み17mm、長さ100mm
・筒状部52:内径17mm、長さ65mm
攪拌フィルム80:
・材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド) 樹脂フィルム、厚さ0.1mm
整流スパイラル70
・形状:アーチ状搬送片、軸方向長さ30mm、周方向長さ16mm
上記の条件において、トナーコンテナ50内のトナー残量とトナー排出口521からのトナー排出速度(落下速度)との関係について評価した。いずれの条件においても、回転部材54M2を回転駆動し、トナー排出口521からトナーを排出させながら、所定時間あたりの落下トナー重量を測定した。
図18は、トナーコンテナ50内のトナー残量が減少していった際の、トナー排出口521から落下するトナー排出速度の推移を示したグラフである。整流スパイラル70を備えていない場合では、トナー残量が65g以下となると、トナー排出速度が上昇し、トナー残量が15g程度の場合、トナー排出速度が上昇前と比較して約2倍となっている。これに対して、整流スパイラル70を備えた場合では、トナー残量が65g以下になっても、トナー排出速度が安定して推移している。このように、コンテナ本体51内で一時的に流動性が増し、大きな搬送速度で筒状部52側に送り込まれたトナーは、整流スパイラル70によって、一旦搬送速度が低下されたのち、整流スパイラル70の搬送性能によってトナー排出口521に向かって搬送される。したがって、トナー排出口521から現像ハウジング60に排出されるトナーの排出速度が安定して維持される。