この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態における現像装置を備える画像形成装置の主要部を示す図である。
図1を参照して、画像形成装置100は、電子写真方式により像担持体(感光体)51に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体110に転写して画像形成を行なう装置である。
画像形成装置100は、像担持体51、帯電部材53、露光装置56、現像装置10、転写ローラ54およびクリーニングブレード55を有する。
像担持体51は、画像を担持する。像担持体51は、矢印Aに示す方向に回転可能に設けられている。帯電部材53、露光装置56、現像装置10、転写ローラ54およびクリーニングブレード55は、ここに挙げた順に、像担持体51の回転方向に並んで設けられている。
帯電部材53は、像担持体51を帯電するための帯電手段として設けられている。露光装置56は、像担持体51に光を照射することによって、照射領域内の帯電レベルを低下させ、静電潜像を形成する。現像装置10は、像担持体51上の静電潜像を現像する。すなわち、現像装置10は、像担持体51に対して現像剤を供給し、その現像剤に含まれるトナーを静電潜像に付着させることによってトナー像を形成する。転写ローラ54は、像担持体51上のトナー像を転写媒体110に転写する。クリーニングブレード55は、像担持体51上の残留トナーの除去手段として設けられている。
画像形成装置100における画像形成の流れについて説明すると、像担持体51は、まず、帯電部材53により帯電される。次に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた露光装置56により露光されることによって、像担持体51の表面上に静電潜像が形成される。現像装置10は、この静電潜像をトナー像に現像する。転写ローラ54は、像担持体51上のトナー像を転写媒体110に転写し、その後、図中の矢印Cに示す方向に転写媒体110を排出する。クリーニングブレード55は、転写後の像担持体51上の残留トナーを機械的な力で除去する。
なお、画像形成装置100に用いられる像担持体51、帯電部材53、露光装置56、転写ローラ54およびクリーニングブレード55等として、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してもよい。たとえば、図1中には、帯電部材53として帯電ローラが示されているが、像担持体51と非接触の帯電装置が用いられてもよい。また、たとえば、クリーニングブレード55は用いられなくてもよい。
続いて、現像装置10の構造について説明する。現像装置10は、ケーシング20、現像剤担持体11、規制部材16、搬送部材(現像剤担持体側)31、搬送部材(トナー補給側)32およびトナー補給部15を有する。
現像剤担持体11は、その表面に、現像剤槽17に貯留される現像剤23を担持して搬送する。現像剤担持体11は、磁石ローラ25およびスリーブローラ26を有する。磁石ローラ25は、固定されている。スリーブローラ26は、磁石ローラ25を内包するように設けられている。スリーブローラ26は、矢印Bに示す方向に回転可能に設けられている。画像形成時、現像剤担持体11には、現像剤担持体11から像担持体51へのトナーを現像するためのバイアスが印加される。
規制部材16は、現像剤担持体11(スリーブローラ26)の外周面とギャップを設けて配置されている。規制部材16は、現像剤薄層化用であり、現像剤担持体11上の現像剤量を規制する。
ケーシング20は、現像剤槽17を形成する。現像剤槽17には、現像剤23が貯留されている。搬送部材31および搬送部材32は、ケーシング20に収容されている。搬送部材31および搬送部材32は、現像剤23を混合、撹拌しながら現像剤担持体11を現像剤槽17内で循環搬送する。搬送部材31は、現像剤担持体11と対向して配置されている。現像剤23は、搬送部材31により搬送されている間に現像剤担持体11に供給される。
好ましくは、搬送部材32に対向する位置には、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ21が設けられている。
トナー補給部15は、現像剤担持体11から像担持体51への供給により消費される分のトナーを現像剤槽17内に補給する。搬送部材32は、トナー補給部15と対向して配置されている。トナー補給部15は、搬送部材32の上方から現像剤槽17内に補給トナー22を補給する。
トナー補給部15は、補給トナー22を貯蔵するホッパ15hを有する。ケーシング20には、トナー補給口15iが設けられている。トナー補給口15iは、搬送部材32の上方で開口している。ホッパ15hから送られてきた補給トナー22が、トナー補給口15iを通じて現像剤槽17内に補給される。
現像剤23は、トナーと、トナーを帯電するためのキャリアとを含む現像剤(2成分現像剤)である。
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができる。トナーとしては、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、さらに外添剤により処理したものを使用することができる。トナー粒径は、特に限定されないが、3〜15μm程度であることが好ましい。
このようなトナーは、一般に使用されている公知の方法で製造することができ、たとえば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
トナーに使用するバインダー樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)や、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体として、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、たとえば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤は、上記のバインダー樹脂100重量部に対して2〜20重量部の割合で用いられることが好ましい。
荷電制御剤としては、公知のものを用いることができる。たとえば、正帯電性トナー用の荷電制御剤として、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などを用いることができ、負帯電性トナー用荷電制御剤として、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などを用いることができる。荷電制御剤は、上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いられることが好ましい。
離型剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を、単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。離型剤は、上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いられることが好ましい。
外添剤(流動化剤)としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、たとえば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を使用することができ、特に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で疎水化したものを用いることが好ましい。そして、このような流動化剤を、上記のトナー100重量部に対して0.1〜5重量部の割合で添加させて用いることが好ましい。外添剤の個数平均一次粒径は、10〜100nmであることが好ましい。
キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、たとえば、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどを使用することができる。キャリアの粒径は、特に限定されないが、15〜100μmであることが好ましい。
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
トナーとキャリアとの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるよう調整されればよい。トナー比は、トナーとキャリアとの合計量に対して3〜50重量%であることが好ましく、6〜30重量%であることがさらに好ましい。
ここで、現像装置10の動作について説明する。現像剤槽17内の現像剤23は、搬送部材31および搬送部材32により混合、撹拌されることによって、摩擦帯電すると同時に、現像剤槽17内で循環搬送される。この間、現像剤23は、搬送部材31から現像剤担持体11表面のスリーブローラ26へと供給される。現像剤23は、現像剤担持体11内部の磁石ローラ25の磁力によってスリーブローラ26の表面側に保持され、スリーブローラ26とともに回転移動する。スリーブローラ26に保持された現像剤23は、現像剤担持体11に対向して設けられた規制部材16において通過量を規制される。現像剤担持体11には、直流電圧のみ、または直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられており、現像領域62において、現像剤担持体11から像担持体51にトナーが現像される。
現像領域62を通過した現像剤23は、スリーブローラ26の回転とともに現像剤槽17に向けて搬送される。現像剤23は、現像剤回収領域63において、磁石ローラ25により発生された反発磁界により現像剤担持体11から剥離され、現像剤槽17内へと回収される。トナー補給部15に設けられた補給制御部(不図示)が、ATDCセンサ21の出力値から現像剤23中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、ホッパ15h内に貯蔵された補給トナー22が、トナー補給口15iを通じて現像剤槽17内に供給される。
図2は、図1中の現像装置における搬送部材(トナー補給側)を示す平面図である。図3は、図1中の現像装置における搬送部材(トナー補給側)を示す側面図である。図4は、図3中のIV−IV線上の矢視方向から見た搬送部材およびケーシングを示す断面図である。以下、搬送部材32の構造について詳細に説明する。
図1から図4を参照して、搬送部材32は、スクリューから構成されている。より具体的に説明すると、搬送部材32は、シャフト部33および羽根部34を有する。シャフト部33は、中心軸101に沿って延びるシャフト形状を有する。シャフト部33は、中心軸101を中心に回転可能に設けられている。すなわち、中心軸101は、シャフト部33の回転中心軸である。
羽根部34は、シャフト部33からその半径方向に延出し、シャフト部33の軸方向に沿ってスパイラル状に設けられている。シャフト部33の回転時、羽根部34が、シャフト部33と一体となって、中心軸101を中心に矢印103に示す方向に回転する。これにより、ケーシング20内の現像剤23は、羽根部34からの推進力を受けて矢印102に示す方向に搬送される。
なお、搬送部材31は、搬送部材32と同様の上記スクリュー構造を有し、搬送部材32と平行に配置されている。搬送部材31による現像剤23の搬送路と、搬送部材32による現像剤23の搬送路とは、これら搬送路の両端で接続されており、現像剤23の循環路を構成している。ケーシング20内を搬送される現像剤23の頂面の位置は、一般的には、搬送部材31,32(羽根部)の上端付近である。
現像装置10は、遮蔽部材36をさらに有する。遮蔽部材36は、現像剤槽17に設けられている。遮蔽部材36は、現像剤槽17のうちの、搬送部材32による現像剤23の搬送路に設けられている。遮蔽部材36は、搬送部材32による現像剤23の搬送路において、トナー補給部15よりも現像剤23の搬送流れにおける下流側に配置されている。すなわち、トナー補給部15は、図2および図3中に示される搬送部材32の範囲よりも左側に設けられている。
遮蔽部材36は、シャフト部33の回転中心軸である中心軸101よりも上方の領域において現像剤23の移動を規制し、かつ、シャフト部33の回転中心軸である中心軸101よりも下方の領域において現像剤23の移動を許容するように設けられている。
遮蔽部材36は、ケーシング20により支持されている。ケーシング20は、本体部42および蓋部41を有する(図4を参照のこと)。本体部42は、上方を向いて開口する筐体形状を有する。蓋部41は、本体部42の開口部を塞ぐように設けられている。トナー補給口15iは、蓋部41に設けられている。遮蔽部材36は、ケーシング20のうちの蓋部41により支持されている。
なお、遮蔽部材36は、蓋部41と一体に設けられてもよい。遮蔽部材36は、蓋部41以外のケーシング20の部位により支持されてもよい。
遮蔽部材36は、板状部37を有する。板状部37は、シャフト部33の回転中心軸である中心軸101よりも上方の領域に設けられている。板状部37は、その構成部位として、下端部37nを有する。下端部37nは、鉛直方向において、中心軸101と、羽根部34の外周縁との間に位置決めされている。
板状部37は、中心軸101の軸方向から見た場合に、羽根部34と重なり合うように設けられている。板状部37は、中心軸101の軸方向から見た場合に、シャフト部33と重なり合わないように設けられている。板状部37の下端部37nと、シャフト部33との間には、隙間が設けられている。下端部37nは、シャフト部33の直上にて、水平方向に直線状に延びている。板状部37の下端部37nは、鉛直方向において、羽根部34の外周縁よりもシャフト部33に近い位置に設けられている。
板状部37は、その構成部位として、上端部37mをさらに有する。上端部37mは、羽根部34の外周縁よりも高い位置にある。上端部37mは、ケーシング20の蓋部41に接続されている。すなわち、上端部37mと、ケーシング20(蓋部41)との間には、隙間が設けられていない。
板状部37は、中心軸101に直交する面内に配置されている。板状部37は、中心軸101に直交する平面内で延在する板形状を有する。板状部37は、中心軸101の軸方向から見た場合に、矩形形状を有する。
板状部37は、水平方向において、中心軸101を通る鉛直線を跨ぐように設けられている。ケーシング20は、隔壁部43をさらに有する(図4を参照のこと)。隔壁部43は、図1中の搬送部材31による現像剤23の搬送路と、搬送部材32による現像剤23の搬送路との間を区画するように設けられている。ケーシング20内を平面視した場合に、板状部37と、シャフト部33の回転方向における前方に位置するケーシング20(本実施の形態では、隔壁部43)との間には、隙間44(図4を参照のこと)が設けられている。
中心軸101の軸方向から見て、板状部37は、中心軸101を通る鉛直線に対して、シャフト部33の回転方向の後方側にシフトして設けられている。すなわち、図4中において、中心軸101を通る鉛直線よりもシャフト部33の回転方向の後方側に位置する板状部37の面積は、中心軸101を通る鉛直線よりもシャフト部33の回転方向の前方側に位置する板状部37の面積よりも大きい。
なお、ケーシング20内を平面視した場合に、板状部37と、シャフト部33の回転方向において後方に位置するケーシング20との間には、隙間が設けられてもよいし、設けられなくてもよい。
遮蔽部材36は、その構成部位として、突出部38をさらに有する。突出部38は、板状部37の表面から現像剤23の搬送流れにおける上流側に向けて突出するように設けられている。突出部38は、現像剤23の搬送流れの上流側に面する板状部37の表面から突出するように設けられている。
突出部38は、鉛直方向に直線状に延びるリブ形状を有する。ケーシング20内を平面視した場合に、突出部38は、シャフト部33の回転方向の前方側に位置する板状部37の端部に設けられている。
なお、突出部38は、上記形状に限られず、たとえば、中心軸101の軸方向から見た場合に円弧状に延びるリブ形状を有してもよい。また、突出部38は、上記の板状部37の端部から、シャフト部33の回転方向の後方側にずれた位置に設けられてもよい。
現像装置10は、複数の遮蔽部材36を有する。複数の遮蔽部材36は、中心軸101の軸方向において等ピッチで設けられている。複数の遮蔽部材36は、中心軸101の軸方向における羽根部34のスパイラルピッチ以上の間隔で設けられている(図2中において、L1≧L2)。特に本実施の形態では、複数の遮蔽部材36が、中心軸101の軸方向における羽根部34のスパイラルピッチと同じ間隔で設けられている(図2中において、L1=L2)。
なお、複数の遮蔽部材36は、中心軸101の軸方向における羽根部34のスパイラルピッチよりも小さい間隔で設けられてもよい(図2中において、L1<L2)。
羽根部34には、切り欠き部35が形成されている。切り欠き部35は、シャフト部33の回転に伴って遮蔽部材36が通過可能なように設けられている。より具体的には、中心軸101の半径方向からみた場合の切り欠き部35の幅は、中心軸101の半径方向から見た場合の遮蔽部材36の厚みよりも大きい(図3中において、B2>B1)。切り欠き部35は、中心軸101の半径方向において、羽根部34の内周縁から外周縁に渡って設けられている。
切り欠き部35の幅を小さくするため、遮蔽部材36の厚みは可能な限り小さいことが好ましい。遮蔽部材36の厚みが小さい場合であっても、遮蔽部材36をケーシング20(蓋部41)によって支持することにより、遮蔽部材36の強度を確保することができる。また、切り欠き部35の幅を小さくするため、板状部37が中心軸101に直交する面内に配置される構成が有利である。
羽根部34には、複数の遮蔽部材36に対応して複数の切り欠き部35が形成されている。複数の遮蔽部材36を羽根部34のスパイラルピッチ以上の間隔で設けることによって、切り欠き部35の数を少なくすることができる。
遮蔽部材36は、非磁性材料から形成されてもよいし、磁性材料から形成されてもよい。遮蔽部材36は、現像剤23を堰き止める時に発生する圧力に耐える必要があるため、強度のある材料から形成されることが好ましい。
続いて、一般的な現像装置の課題を交えながら、本実施の形態における現像装置10によって奏される作用効果について説明する。
トナーが現像剤に補給されてから十分に撹拌される時間を稼ぐため、一般的に、トナー供給部は、現像剤担持体から最も遠い位置に配置される。しかしながら、近年、印字速度が速くなり、トナーを補給してから現像剤担持体まで搬送する時間が短くなってきている。また、現像装置の小型化が進み、現像剤槽の容量も小さくなっている。このため、必要量のトナーを現像剤担持体に供給するには、現像剤の搬送速度を高める必要があり、トナーを補給してから現像剤担持体に現像剤を搬送する時間はさらに短くなっている。補給トナーが現像剤と十分に混合、撹拌されないために低帯電量のトナーが生じると、かぶりやトナー飛散を引き起こすおそれがある。
一方、現像装置における搬送部材には、搬送の効率がよく、現像剤に与えるストレスが比較的小さいという理由から、スクリューが用いられている。しかしながら、搬送部材の上方からトナーを補給した場合、補給トナーが、スクリューピッチ間(羽根部と羽根部との間)にある現像剤の上面に落ちたのち、現像剤と十分に混合されずに、現像剤の上面に乗ったまま搬送されていく現象がみられる。この対策としては、スクリューの羽根部に小さいパドルなどを設けることにより、上面にある補給トナーを現像剤の底側にもぐりこませる方法が考えられるが、補給トナーが現像剤担持体まで到達する時間が短いため十分ではない。
本実施の形態における現像装置10は、搬送部材32による現像剤23の搬送路に、現像剤23を堰き止めるための遮蔽部材36を設けることによって、上記課題を解決するものである。以下、そのメカニズムについて説明する。
図5から図7は、図2中の搬送部材によって搬送される現像剤の様子を示す平面図である。
図5から図7を参照して、シャフト部33が回転すると、シャフト部33の上面側に現れる羽根部34が、矢印102に示す方向に平行移動しているように見える。図中には、特定の遮蔽部材36を横切って平行移動する羽根部34A、羽根部34Bおよび羽根部34Cと、羽根部34Aおよび羽根部34Bの間で搬送される現像剤23Pと、羽根部34Bおよび羽根部34Cの間で搬送される現像剤23Qとが示されている。
図5および図6中に示すように、羽根部34Aおよび羽根部34Bが順に遮蔽部材36を横切って平行移動すると、中心軸101よりも上方の領域にて、羽根部34Aおよび羽根部34Bの間の現像剤23Pの一部が遮蔽部材36によって堰き止められる。遮蔽部材36によって堰き止められた現像剤23Pは、切り欠き部35を通じて羽根部34Bおよび羽根部34Cの間に進入する。本実施の形態では、現像剤23を板状部37により堰き止め、その堰き止めた現像剤23を突出部38により抱え込むことによって、現像剤23を遮蔽部材36に効率的に留めることができる。
次に、図6および図7中に示すように、羽根部34Bおよび羽根部34Cがさらに平行移動すると、中心軸101よりも上方の領域にて、遮蔽部材36により堰き止められた現像剤23Pが、羽根部34Bおよび羽根部34Cの間の現像剤23Qと一体となって搬送されていく。
このように中心軸101よりも上方の領域にて、遮蔽部材36により現像剤23を堰き止めることによって、補給トナー22を多く含む現像剤23の見掛け上の搬送速度を遅らせ、補給トナー22が帯電する時間を稼ぐことができる。これにより、高速または小型の現像装置であっても、十分にトナーを帯電させて、カブリやトナー飛散などの現象を防ぐことができる。また、中心軸101よりも下方の領域では、遮蔽部材36により現像剤23を堰き止めないため、現像剤23の搬送が著しく低下することはない。すなわち、中心軸101よりも上方の領域にある補給トナー22を多く含む現像剤23にのみに、遮蔽部材36による堰き止め効果を作用させるため、現像剤23の搬送が著しく低下することがない。
一方、遮蔽部材36を設けると現像剤23の搬送を阻害することになるため、搬送部材32に投入するエネルギーは大きくなる。この場合、現像剤23にストレスを与えることとなり、トナーやキャリアの劣化に繋がるおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、遮蔽部材36により中心軸101よりも上方の領域の現像剤23のみ堰き止めるため、現像剤23が流動する自由度を高く維持することができる。このため、現像剤23に過度なストレスが加わることがなく、トナーやキャリアの劣化を防ぐことができる。
図8は、図2中の遮蔽部材の別形態を模式的に示す平面図である。図8を参照して、遮蔽部材36が現像剤の搬送路の幅一杯に設けられる場合、シャフト部33の回転時に、羽根部34と遮蔽部材36との間に挟持された現像剤(範囲120に示す現像剤)の流動性が低下して、現像剤にストレスが加わる可能性がある。
これに対して、本実施の形態では、板状部37と隔壁部43との間に隙間44が設けられているため、現像剤に加わるストレスをより効果的に抑制することができる。
以上に説明した、この発明の実施の形態における現像装置10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における現像装置10は、トナーおよびキャリアを含む現像剤23が用いられる現像装置である。現像装置10は、シャフト部33と、シャフト部33からその半径方向に延出し、シャフト部33の軸方向に沿ってスパイラル状に設けられる羽根部34とを有し、シャフト部33の回転に伴って現像剤23を搬送する搬送部材32と、搬送部材32の上方からトナーを補給するトナー補給部15と、トナー補給部15よりも現像剤23の搬送流れにおける下流側に配置され、シャフト部33の回転中心軸よりも上方の領域において現像剤23の移動を規制し、かつ、シャフト部33の回転中心軸よりも下方の領域において現像剤の移動を許容するように設けられる遮蔽部材36とを備える。
このように構成された、この発明の実施の形態における現像装置10によれば、十分に帯電されたトナーを、画像形成装置100における像担持体51に供給することができる。
遮蔽部材36は、中心軸101よりも上方の領域において現像剤23の移動を規制し、かつ、シャフト部33の回転中心軸である中心軸101よりも下方の領域において現像剤23の移動を許容するものであれば、図2から図4に示すものに限られない。以下、遮蔽部材36の各種変形例について説明する。
図9は、図4中の遮蔽部材の第1変形例を示す断面図である。図9を参照して、本変形例では、板状部37の下端部37nが中心軸101と同じ高さに設けられている。この場合、シャフト部33と遮蔽部材36との干渉を避けるため、下端部37nに円弧状の切り欠き部が設けられる。
なお、ケーシング20内を搬送される現像剤23の高さによっては、遮蔽部材36は、中心軸101よりも上方の領域において、中心軸101の軸方向から見た場合に搬送部材32(羽根部34)と重なり合わないように設けられてもよい。
図10および図11は、図4中の遮蔽部材の第2変形例を示す断面図である。図10および図11を参照して、本変形例では、現像装置10が、移動機構部47をさらに有する。移動機構部47は、遮蔽部材36が現像剤23の搬送路に位置決めされる第1状態(図10中に示す状態)と、遮蔽部材36が現像剤23の搬送路から退避する第2状態(図11中に示す状態)との間で、遮蔽部材36を移動させるように構成されている。
より具体的には、遮蔽部材36は、その構成部位として、アーム部46をさらに有する。アーム部46は、移動機構部47により支持される一方端と、板状部37(上端部37m)に接続される他方端とを有する。ケーシング20(蓋部41)には、スリット孔49が形成されている。板状部37は、スリット孔49に挿通されている。移動機構部47は、ソレノイド等のアクチュエータから構成されており、中心軸106を中心に遮蔽部材36を揺動させる。
図10中に示す第1状態において、遮蔽部材36は、中心軸101の軸方向から見て板状部37が羽根部34と重なり合うように位置決めされている。図11中に示す第2状態において、遮蔽部材36は、中心軸101の軸方向から見て板状部37が羽根部34と重なり合わないように位置決めされている。遮蔽部材36は、図10中に示す第1状態から図11中に示す第2状態への移行時、中心軸101から遠ざかる方向に移動し、図11中に示す第2状態から図10中に示す第1状態への移行時、中心軸101に近づく方向に移動する。
現像装置10は、移動機構部47の駆動を制御する制御部(不図示)をさらに有する。制御部は、トナー補給部15よりトナーが補給された場合に、遮蔽部材36を第1状態にし、トナー補給部15よりトナーが補給されない場合、または、補給トナー量が少ない場合に、遮蔽部材36を第2状態とするように、移動機構部47の駆動を制御する。
このような構成によれば、トナー補給部15よりトナーが補給された場合に、現像剤の上面に滞留しているトナーを遮蔽部材36によって堰き止め、補給トナーを現像剤に十分に撹拌する時間を確保することができる。また、トナー補給部15よりトナーが補給されない場合、または、補給トナー量が少ない場合には、現像剤に加わるストレスを最小限に抑えることができる。
(実施例)
現像装置10により奏される作用効果を確認するための実施例について説明する。本実施例では、図1中に示す画像形成装置100を耐久実験装置として用いた。
現像装置10における主要な条件を、下記の示すものとした。
(a)搬送部材(現像剤担持体側)31
直径:24mm(シャフト部の軸径:10mm)
羽根部のスパイラルピッチ:30mm
回転速度:200rpm
回転方向:反時計回り(図1において)
(b)搬送部材(トナー補給側)32
直径:24mm(シャフト部の軸径:10mm)
羽根部のスパイラルピッチ:30mm
回転速度:200rpm
回転方向:反時計回り(図1において)
(c)現像剤担持体11
直径:30mm
スリーブローラ26の回転速度:60rpm
現像剤搬送量:220g/m2
現像剤担持体11および規制部材16間のギャップ:0.6mm
(d)バイアス
像担持体51:−50V(トナーのベタ現像時)、−500V(非現像時)
現像剤担持体11:AC1000Vpp(10kHz)、DC−350V
(e)現像剤
コニカミノルタジャパン株式会社製のbizhubC368用Black現像剤
続いて、試験方法について説明する。現像装置10と像担持体51との間の現像領域62の上部に、下記のパーティクルカウンターを設置した。
リオン株式会社製、型式:KR-11B(5μm以上で計測)
図1中の耐久実験装置にて、まず、過酷な耐久試験として非現像モード(トナーを像担持体51に現像しないモード)で2時間駆動した。次に、画像面積率20%の現像を行なった。この際、ATDCセンサ21によりトナー濃度の低下が検知されて、トナー補給部15よりトナーが補給された。画像面積率20%の現像を開始した後、パーティクルカウンターを作動させ、測定を開始した。開始から1分後の飛散トナー量を測定した。
実施例1では、図2から図4に示す搬送部材32を用いた。
比較例1では、図2から図4に示す搬送部材32から遮蔽部材36を取り除くとともに、羽根部34に切り欠き部35を設けなかった。
実施例2では、図10および図11中に示す現像装置を用いた。現像装置を画像面積率20%のモードで稼働させる前に現像剤槽17にある現像剤をサンプリングして、初期と2時間後との間のトナーの帯電量の変化を調べた。この際、トナー補給のタイミングで、遮蔽部材36が第1状態(図10中に示す状態)となり、トナー補給のない非現像モードで、遮蔽部材36が第2状態(図11中に示す状態)となるように移動機構部47の駆動を制御した。
実施例3では、図10および図11中に示す現像装置を用いた。現像装置を画像面積率20%のモードで稼働させる前に現像剤槽17にある現像剤をサンプリングして、初期と2時間後との間のトナー帯電量の変化を調べた。この際、トナー補充の有無に関わらず、遮蔽部材36を常に第1状態(図10中に示す状態)とした。
図12は、実施例1および比較例1における飛散トナー量の測定結果を示す表である。図12を参照して、現像装置を画像面積率20%のモードで稼働させた1分後の飛散トナー量は、実施例1の方が比較例1よりも少なくなった。
図13は、実施例2および実施例3における帯電量変化および飛散トナー量の測定結果を示す表である。図13を参照して、実施例2および実施例3における飛散トナー量は、比較例1における飛散トナー量よりも少なくなった。実施例2および実施例3における帯電量変化は、両者とも問題の無い範囲ではあるが、実施例3における2時間後の帯電量が若干低くなった。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。