以下、本発明に係る現像装置、カートリッジ及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
(参考形態)
(画像形成装置の全体構成及び動作)
図1は、本発明の参考形態に係る現像装置又はカートリッジを備える画像形成装置100の構成を示す断面図である。図1に示されるように、画像形成装置100は、複数の像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する4つの画像形成部50Y、50M、50C、50Kを備えたカラー電子写真画像形成装置である。画像形成装置100は、画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器、又は画像形成装置本体に付属若しくは通信可能に接続された原稿読取装置からの画像情報信号に応じて、シートPにカラー画像を形成できる。
先ず、画像形成装置100の全体の動作について説明する。画像形成装置100が備える各画像形成部50Y、50M、50C、50Kは、基本的に同一の構成を有し、形成する画像の色が異なる。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部に属する要素であることを示すために図中符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略し、総括的に「50」の符号を用いて説明する。
画像形成部50は、図中矢印方向に回転可能なドラム型の『像担持体』である電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)51を有する。画像形成時には、先ず回転する感光ドラム51の表面が、帯電手段としての一次帯電器52によって帯電される。帯電した感光ドラム51の表面を、各画像形成部50に対応する色分解された画像情報信号に応じて、画像書き込み手段(露光手段)としてのレーザスキャナ53によって走査露光する。これにより、感光ドラム51上に対応する色の画像情報信号に応じた静電像が形成される。そして、この静電像は、現像装置1によってトナーで現像され、感光ドラム51上にトナー像が形成される。
各画像形成部50の感光ドラム51に対向して無端移動可能なように、『シート搬送手段』としての搬送ベルト56が配設されている。そして、搬送ベルト56を介して各画像形成部50の感光ドラム51と対向する位置には、転写手段としての転写帯電器54が設けられている。上述のようにして感光ドラム51上に形成されたトナー像は、転写帯電器54により印加される転写バイアスによって、搬送ベルト56上のシートP上に転写される。
シートPは、シート収容部たるカセット61からピックアップローラ62などのシート供給手段によって、レジストローラ63まで搬送される。そして、シートPは、レジストローラ63によりここで各画像形成部50における画像形成動作と同期するようにして搬送ベルト56へと送り出される。
例えば、フルカラー画像を形成する場合、上述のような画像形成動作を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部50において行う。これにより、搬送ベルト56上を搬送されるシートPに、順次トナー像が転写され、シートP上に所望のフルカラー画像が形成される。単色画像の形成時には、所望の色を形成する画像形成部のみを用いることで、同様にシートPにトナー像を形成することができる。
その後、シートPは搬送ベルト56から剥離され、定着装置64に搬送される。定着装置64よって加圧及び加熱されることで、シートP上に転写されたトナー像は永久画像となる。又、転写後に感光ドラム51上に残った転写残トナーは、クリーニング手段としてのクリーニング装置55により除去され、次の画像形成に備える。クリーニング装置55は、ブレード状のクリーニング部材を有する。
(現像装置)
図2は、トナーカートリッジ3及び現像装置1の構成を示す断面図である。図3は、トナーカートリッジを外した現像装置の関し、図2のX−X線に沿う断面図である。これらの図2及び図3を参照して、現像装置1について説明する。
現像装置1は、現像剤を収容する現像容器2を有する。現像容器2内には、現像剤として主に非磁性トナー(トナー)及び磁性キャリア(キャリア)を備える二成分現像剤が収容されている。
現像容器2は、感光ドラム51に対向した一部分が開口しており、この開口部に一部露出するようにして『現像剤担持体』としての現像スリーブ11が回転可能に配置されている。現像スリーブ11は非磁性材料で構成され、『磁界発生手段』としての固定のマグネット12を内包する。参考形態では、マグネット12は、外周に沿って複数の磁極を有する。そして、現像動作時には、現像スリーブ11は、図中矢印方向に回転し、現像容器2の内部の二成分現像剤を層状に保持して、感光ドラム51と対向する現像領域に担持搬送する。現像スリーブ11上に担持された現像剤は、現像領域において穂立ちした磁気ブラシを形成する。この磁気ブラシは、感光ドラム51の表面に接触又は近接させられる。これにより、感光ドラム51の表面に形成されている静電像に応じて二成分現像剤中のトナーが感光ドラム51側に供給され、その静電像は現像される。この後、現像スリーブ11の表面に残留する現像剤は感光ドラム51と対向する現像位置を経由して現像室(第1現像剤収容室)21に回収される。
通常、少なくとも現像動作時には、現像スリーブ11に所定の現像バイアスが印加され、感光ドラム51と現像スリーブ11との間に形成される電界の作用により、トナーを感光ドラム51へと転移させる。また、現像スリーブ11上に担持する現像剤量を規制するために、現像領域より現像スリーブ11の回転方向上流側において、現像剤量規制部材18が設けられている。現像剤量規制部材18は、マグネット12と協働して磁界の作用によって現像剤層厚を規制する。
感光ドラム51上の静電像を現像した後の現像剤は、現像スリーブ11の回転にしたがって搬送され、現像容器2の後述する現像室(第1現像剤収容室)21に回収される。
図2に示されるように、現像容器2は隔壁25により略二分されている。現像容器2の内部では、現像スリーブ11に近い側に『第1室』である『第1現像剤収容室』としての現像室21が配置され、現像スリーブ11から遠い側に『第2室』である『第2現像剤収容室』としての撹拌室22が配置される。
図3に示されるように、隔壁25は、現像容器2の内部の長手方向の両端部に形成される長手方向両端部側壁26、27までは達しておらず、現像室21及び撹拌室22の間には、現像剤の通過を許容する第1連結部23及び第2連結部24が形成されている。こうした現像剤を収納可能な現像室21及び撹拌室22、並びに、現像室21及び撹拌室22を連絡する第1連結部23及び第2連結部24を含んで、現像剤を循環させる『循環路』が形成される。また、第1スクリュー13、第2スクリュー14、撹拌部材30の長手方向の寸法はL2に設定され、現像スリーブ11の長手方向に確保される画像形成幅の寸法はAに設定され、隔壁25の長手方向の寸法はL1に設定される。従来技術では、L1及びL2はAよりも長い寸法に設定されていたが、このL1及びAの差分、L2及びAの差分は、後述するが、現像装置1では低減されることとなる。なお、現像剤の十分な撹拌が可能であれば、第2スクリュー14の長手方向の搬送距離L2の寸法に関しては、画像形成幅Aの寸法よりも小さくすることも可能である。また、現像剤の十分な撹拌が可能であれば、隔壁25の長手方向の撹拌距離L1の寸法は画像形成幅Aの寸法よりも小さくすることも可能である。
また、図2及び図3に示されるように、現像装置1は、現像室21の長手軸線方向に沿って現像剤を撹拌及び搬送する『第1撹拌搬送部材』である第1スクリュー13を有する。第1スクリュー13は回転軸13a及び回転羽根13bを有する。現像装置1は、撹拌室22の長手軸線方向に沿って現像剤を撹拌及び搬送する『第2撹拌搬送部材』である第2スクリュー14を有する。第2スクリュー14は回転軸14a及び回転羽根14bを有する。現像装置1は、撹拌室22の長手軸線方向に沿って現像剤を撹拌する撹拌部材30を有する。撹拌部材30は回転軸30aと、回転軸30aの表面に形成される板状部30bを有する。撹拌部材30は、第2スクリュー14よりも重力方向上方に配置され、撹拌室22の内部の現像剤を撹拌するようになっている。
これらの第1スクリュー13、第2スクリュー14及び撹拌部材30の回転により、現像剤は、現像容器2の内部で混合及び撹拌されながら循環する。現像装置1の内部における現像剤の循環方向は、図2に示されるように、現像室21の内部では、紙面手前側から奥側に向かう方向であり、撹拌室22の内部では、紙面奥側から手前側に向かう方向である。なお、現像剤の循環方向は、図3では、矢印Dに示す方向である。
現像容器2の撹拌室22の上部には現像剤補給口28が形成される。この現像剤補給口28には、少なくともトナーを含有する補給現像剤を収容するトナーカートリッジ3と連結される。トナーカートリッジ3及び撹拌室22の間は、撹拌部材30の回転軸30aの軸線上に設けられ、撹拌室22へトナーを補給するための補給路28aが設けられている(図2参照)。撹拌部材30は、補給路28aの内部のトナーを搬送する『搬送部』である板状部30bを有する(図2参照)。また、撹拌部材30は、第2スクリュー14の回転方向のうち下方から上方に回転する領域に対向するように第2スクリュー14の回転軸30aの中心に対して斜め上方に設けられている(図2参照)。
画像形成で消費されたトナー量に応じてトナーカートリッジ3から補給される。図示しないトナーカートリッジ3の内部における撹拌部材の回転力と重力によって、トナーカートリッジ3から現像剤補給口28を通過して、現像容器2の内部に補給される。トナー補給量は、トナー濃度検知手段として、例えば、現像装置1に設けられた反射型光センサ19の検知信号、或いは色毎の画像情報信号に基づく画素毎の濃度情報から演算(積算)されるトナーの消費量情報などに基づいて求められる。求められたトナー補給量に応じて、適宜、必要なトナー量が現像容器2に補給される。または、現像容器2の内部の現像剤のトナー濃度を検出し検出結果に基づいて、補給するトナー量を決めてもよい。
ここで、参考形態にて用いられる二成分現像剤について説明する。上述のように、現像装置1には、主に非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを備える二成分現像剤が収容されている。初期状態の現像剤中のトナー濃度は10重量%である。但し、この値はトナーの帯電量、キャリア粒径、画像形成装置の構成などで適正に調整されるべきものであって、必ずしもこの数値に従わなければならないものではない。
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂を用いて、例えば粉砕法により製造したものを好適に使用し得る。又、トナーの体積平均粒径は5μm以上、9μm以下が好ましい。参考形態では5.7μmであった。
キャリアは、例えば表面酸化或いは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。そして、キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、抵抗率が107Ωcm以上、好ましくは108Ωcm以上である。参考形態では、109Ωcmのものを用いた。
(現像剤の循環経路)
次に、参考形態の特徴である現像装置1における現像剤の循環経路及び補給されたトナーの挙動に関して詳述する。図2及び図3に示されるように、第1スクリュー13及び第2スクリュー14は、それぞれ現像室21、撹拌室22の長手軸線方向と略平行に設けられた回転軸13a、14aを有する。また、第1スクリュー13及び第2スクリュー14は、回転軸13a、14aの周りに設けられたスパイラル形状の『搬送部』である『翼部』『スパイラル部材』としての回転羽根13b、14bを有する。図2及び図3に示されるように、撹拌室22の第2スクリュー14の近傍には撹拌部材30が配置される。
第1及び第2スクリュー13、14の回転軸13a、14aの直径は6mmである。第1及び第2スクリュー13、14の回転羽根13b、14bの直径は18mmである。この回転羽根13b、14bの直径は、回転軸13a、14aの方向から見たときの回転羽根13b、14bの回転によって形成される外接円の直径を指す。また、回転羽根13b、14bのピッチは19mm間隔である。
第1スクリュー13及び第2スクリュー14の夫々の現像剤搬送方向の下流端部には、返し部材15及び返し部材16が設けられる。現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を押し戻し、第1連結部23及び第2連結部24における現像剤の受け渡しを円滑にしている。第1スクリュー13及び第2スクリュー14は図2に示されるように時計方向に回転する。
撹拌部材30の回転軸30aの直径は6mmである。撹拌部材30は回転軸30aを備える。回転軸30aには、幅30mm、高さ4.5mmの板状部30bが設けられる。この板状部30bは、5mmの間隔をおいて、周方向180度ごとに交互に配置されている。回転した際の直径(回転軸30a方向に見たときの『搬送部』である板状部30bの回転よって形成される外接円の直径)は15mmである。撹拌部材30は、図2中にて反時計方向に回転する。図2に示されるように、撹拌部材30は、撹拌室22の内部で第2スクリュー14の周囲を通過する現像剤を撹拌する。
撹拌部材30の上端は、第2スクリュー14の上端よりも上方に配置される。図示しないトナー補給機構から補給されるトナー、及び、撹拌室22に格納された現像剤が合流される合流位置が設定され、撹拌部材30は前記合流位置よりも上方でトナー補給機構から補給されるトナーを撹拌可能な位置に配置される。なお、図示しないトナー補給機構から補給されるトナー、及び、撹拌室22に格納された現像剤が合流される合流位置が設定され、撹拌部材30は合流位置で現像剤を撹拌可能な位置に配置されても良い。また、第2スクリュー14の中心に対して、撹拌部材30の中心は、高さ方向15mm、第1スクリュー13と逆側の方向に12mmずれた位置に配置されている。なお、図2中では、撹拌部材30の下端は、第2スクリュー14の上端よりも上方に配置されるが、この形態に限定されない。すなわち、撹拌部材30の下端が第2スクリュー14の上端より低い位置に配置される構成であっても、撹拌部材30が第2スクリュー14の上半分より上に来た現像剤を撹拌できる配置であれば良い。
図3に示されるように、第2スクリュー14の上に補給トナーのトナー補給位置Tが設定され、撹拌室22の上部に現像剤補給口28が形成されている。補給されたトナーは、第2スクリュー14の回転によって、図3に示されるように矢印Dの方向へ搬送されていく。
図4は、第2スクリュー14の構成を示す斜視図である。図4に示されるように、第2スクリュー14は、回転軸14aと、回転軸4aの周りに設けられたスパイラル形状の回転羽根14bとを備える。また、第2スクリュー14の回転羽根14bのピッチ間には突起14cが形成される。第2スクリュー14を平面視する(回転軸14aと直交する方向から見る)と、突起14cは、回転軸14aの一端部から同一距離の位置で回転軸14aと直交する方向に2本ずつ設けられる。突起14cは、回転軸14aを介して同一直線上に形成される。この突起14cが回転することによって、現像剤の搬送スピードが下がるために、後述する現像剤面Sが変化するようになっている。
図5は、現像装置1の撹拌室22における現像剤面Sの様子を示す断面図である。すなわち、図5(a)は、図2の縮小図であり、図5(b)は、図5(a)の左方から見た撹拌室22の内部を示す断面図である。図5に示されるように、撹拌室22の現像剤面Sは、撹拌部材30が配置されている高さまで存在する。図5(b)に示されるように現像剤が撹拌部材30に接触すると、現像剤は、撹拌部材30の回転によって撹拌されて第2スクリュー14の側に振り掛けられる。同時に、振り掛けられた現像剤を含めて、第2スクリュー14は現像剤を撹拌及び搬送する。
このように、撹拌部材30は、第2スクリュー14の上側にある現像剤の撹拌及び搬送を補助している。前述したことから当然ではあるが、第2スクリュー14の回転羽根14bにかかる現像剤は、十分に撹拌及び搬送される。しかし、第2スクリュー14より高い位置にある現像剤は、従来技術では、回転羽根14bの位置の現像剤に比べ、十分に撹拌されない状態で搬送されていっていた。撹拌部材30は、第2スクリュー14より高い位置に配置されており、第2スクリュー14では十分に撹拌されなかった第2スクリュー14より高い位置にある現像剤を撹拌する効果をもつ。
本来は、搬送されていく過程において、補給されたトナーは、現像剤中に取り込まれ摩擦帯電していくことが好ましい。しかし、画像形成を繰り返し行った耐久した現像剤においては、現像剤の流動性が低下することが知られており、流動性が低下した現像剤は、補給トナーは現像剤に取り込まれにくくなる。取り込まれなかったトナーは、現像剤と混ざることなく現像剤の上面を滑るように搬送されていく。当然、現像剤中に取り込まれないと十分な摩擦帯電されないため、前述のように白地部のかぶり画像となってしまう。ここで問題となる現像剤面Sの上面を搬送されてきた補給トナーと現像剤に対しても、撹拌部材30が効果を発揮する。第2スクリュー14より上部に撹拌部材30を配置しているので、仮に補給トナーが取り込まれずに現像剤面Sの上面を搬送されてきても、現像剤と撹拌、混合することができる。むろん、撹拌部材30は撹拌及び搬送が可能であることは言うまでもない。
図6は、撹拌室22に補給されたトナーが第2スクリュー14によって搬送されるときに、撹拌室22の内部の様子を示す断面図である。図6(a)は撹拌室22の上方から見た断面図、図6(b)は撹拌室22の側方から見た断面図である。図6(c)は、図6(b)中のP−P線に沿う断面図である。図6(d)は、図6(b)中のQ−Q線に沿う断面図である。図6(e)は、図6(b)のR−R線に沿う断面図である。図6を参照して、撹拌部材30の回転によって、現像剤面Sの上面を搬送される補給トナーが現像剤中に取り込まれて混合される過程を以下に詳述する。
図6(c)に示される個所では、補給トナーが補給され、補給トナーが現像剤と共に第2スクリュー14の回転によって搬送されている。図6(d)に示される個所では、現像剤に積み上げられた補給トナーによって、撹拌室22の現像剤面Sの高さが高くなっている。そして、撹拌部材30が補給トナー及び現像剤に接触している。接触した現像剤は、撹拌部材30の回転によって第2スクリュー14へと振り掛けられる。つまり、このときに、第2スクリュー14の現像剤面Sの最上面へ補給トナー及び現像剤をかぶせるように撹拌部材30は動作する。または、現像剤の上面を搬送されてきた補給トナーそのものが撹拌部材30に接触し、現像剤と供に第2スクリュー14の側へと撹拌搬送される。図6(e)に示される個所では、現像剤面Sの上面で搬送されてきた補給トナーは現像剤中に取り込まれて混合されていく。このような混合によって、現像剤と混合された補給トナーは十分に摩擦帯電した状態となり、現像室21へと搬送され、現像に供される。十分に摩擦帯電された状態であるので、補給トナーがかぶり画像となることはない。
以上のように、撹拌部材30により補給したトナーは撹拌室22の現像剤と撹拌及び混合される効果がある。次に、撹拌部材30と撹拌室22の現像剤面Sの高さとの関係について述べる。一般的にスクリューなどの撹拌部材は、撹拌部材が現像剤に埋もれた状態に近づくほど、撹拌及び混合性能が低下することが知られている。本発明においては、撹拌部材30が補給したトナーを撹拌、混合してこそ課題を解決する効力を発揮する。
そこで、発明者は、撹拌室22の側の現像剤を増減させて意図的に現像剤面高さHを変化させ、撹拌部材30の撹拌性能と現像剤面高さHとの関係を調査した。現像剤面高さHは、第2スクリュー14と撹拌部材30の形状と位相によって大きく異なる。現像装置1の動作中においては、撹拌部材30の動きに応じて現像剤が暴れるため現像剤面Sを測定することは不可能ではないが困難である。そこで、本発明においては現像剤面高さHを次のように定義する。23℃、50%の環境において現像装置1を画像形成装置100の内部に設置し、画像を出力できる状態において48時間以上なじませ、画像比率5%の画像を50枚出力し現像装置1の状態を安定させる。その後、更に現像剤の状態を安定させるために補給をせず30秒の空回転を行い停止する。
その状態において、画像形成装置100から静かに現像装置1を取り出し、撹拌室22の側の現像剤面高さHを長手1cm毎に区切って測定をしていく。測定は補給トナーの撹拌性について調べるが目的であるので、現像剤補給口28より現像剤の搬送方向の下流側について調べればよい。例えば、現像剤補給口28より下流が長手30cmの撹拌室22であれば、長手を30の区画に分け30個の現像剤面高さHのデータを測定する。現像剤面高さHのデータは、現像剤面Sが撹拌部材30の下端からどの高さまで現像剤に満たされているかの割合をデータとしたものである。夫々のデータは50%、67%といった%で測定する。例えば、撹拌部材30の下端から上端までの高さが15mmあるとして、現像剤面Sが撹拌部材30の下端から7.5mmであれば、50%というデータになる。以上のようにして測定した30個のデータを平均し、平均の現像剤面高さHとして現像剤面高さHを算出する。
算出した平均の現像剤面高さHを20%、30%・・・80%、90%、100%と変化させ、撹拌室22から搬送され現像スリーブ11に供給された現像剤の帯電性を調べた。帯電性の測定は、詳細は後述するがトナーが3000個の帯電量(fC)をHOSOKAWA MICRON Corp.社製のE−Spart Analizerによって測定した。かぶりの原因となるトナーの帯電性は、正極性もしくはゼロにちかい極性であることが分かっているので、正極性またはゼロに近い極性のトナーの割合が多ければかぶりが発生すると判断できる。
平均の現像剤面高さHを20%、30%・・・80%、90%、100%と変化させたところ、現像剤面高さHが80%までは、正極性またはゼロに近い極性のトナーの割合が少なく、実際に画像形成を行ってもかぶり画像は発生しなかった。しかし、平均の現像剤面高さHが85%を超えたあたりから正極性またはゼロに近い極性のトナーの割合が増加しはじめる。平均の現像剤面高さHが90%を超えると、更に正極性またはゼロに近い極性のトナーの割合が増加し、出力画像にかぶり画像が発生した。よって、撹拌室22の平均の現像剤面高さHが80%以下であれば、撹拌部材30は効果を発揮し、補給したトナーを十分に撹拌及び混合し、かぶり発生を防止できる。このため、現像剤が現像室21の内部で搬送される現像剤高さHを、撹拌部材30の下端からの高さの80%以下になるように現像剤の補給量を調整する図示しないコントローラが備えられる。
ここで、本発明の原理について更に説明する。補給したトナーをキャリアと十分に摩擦帯電させるためには、一般に、撹拌室22に以下の3つの性能が必要である。(1)補給トナーを現像剤中に取り込む、取り込み性、(2)補給トナーを解かす分散性、(3)補給トナーを現像剤中でキャリアと混ぜ合わせる混合性、の3つである。
それぞれの性能に関して参考形態の構成における効果を以下に説明する。(1)の『補給トナーの取り込み性』に関しては、一般に、現像装置1へのトナー補給は現像剤循環経路を循環している現像剤上にトナーを自由落下させる方式が多い。しかし、前述のように、補給トナーは現像剤上を浮遊し易い。補給トナーを現像剤中のキャリアと混合するためには、先ず、現像剤上を浮遊する補給トナーを現像剤中に取り込む必要がある。そのため、一般的な現像装置では、円筒軸周面上にスパイラル形状の部材を設けた、所謂、スクリューにより補給トナーを現像剤中に取り込んでいる。更なる取り込み性の向上を図る場合には、円筒軸周面上に四角形や台形形状の部材を追加して設けることもある。しかしながら、それでも不十分な場合がある。そこで、参考形態の現像装置1では、現像剤の上面を浮遊してきた補給トナーへ現像剤をかぶせる働きをもつ撹拌部材30を設けた。撹拌部材30により現像剤中への取り込み性を向上させた。
次に、(2)の『補給トナーの分散性』に関しては、一般に、トナー補給精度の安定化のために、現像装置1に補給される直前のトナーにある程度の圧力を施し、ある程度凝集した状態にした後に補給することが多い。従って、補給トナーを現像剤中のキャリアと均一に混合するためには、このある程度凝集した状態のトナーを解かし、分散させる必要がある。そのため、一般的な現像装置では、上記第2スクリュー14により、補給されたトナーを解かし、分散させている。そこで、参考形態の現像装置1では、補給トナーが撹拌室22の内部へ補給された後、撹拌部材30により搬送されてきた現像剤と衝突する際に生じる衝撃によって、補給トナーは容易に解かされ分散される。または、前述のように直接、補給トナーに作用し、現像剤中に溶かし分散する効果がある。
さらに、(3)の『補給トナーの混合性』に関しては、トナーを十分に帯電させるためには、トナーとキャリアとを数多く接触させるように、混合動作を積極的に行う必要がある。そのため、一般的な現像装置では、上記第2スクリューにより補給したトナーとキャリアとの混合を行っている。そこで、参考形態の現像装置1では、撹拌部材30により、現像剤の上面を浮遊してきた補給トナーへ現像剤をかぶせることによって、トナーとキャリアをより多く接触させるよう混合動作を助けている。また、かぶせる際には、(2)の『補給トナーの分散性』にて前述した現像剤と衝突する衝撃によって、補給トナーを現像剤中でキャリアと混ぜ合わせる混合性を向上させている。
なお、参考形態の現像装置1では、撹拌部材30の回転軸30aには板状部30bが設けられると記載したが、形状は板状に限定されない。つまり、スクリュー形状やほかの形状であっても前述のような作用が得られるのであれば良い。
従来の現像装置では、補給トナーの現像剤中への取り込み性能及び分散性能が低いために、撹拌距離L1が画像形成幅Aよりも長くなる構成が多かった。または、特許文献2に記載の現像装置のように現像容器を下側に広げた構成をとっていた。
参考形態では、上述のように撹拌部材30を設けることによって、上記3つの補給トナーに対する摩擦帯電性能を十分に満足させることができる。したがって、図3などでは撹拌距離L1が画像形成幅Aよりも長くなる構成を示したが、撹拌距離L1及び画像形成幅Aが同じ幅となる構成も可能となる。また、特許文献2に記載の現像装置のように現像容器を下側に広げた構成ととる必要もない。その結果、現像装置1の小型化が実現される。
以上のように、現像装置1によれば、撹拌室22の内部では現像剤は効率良く撹拌及び搬送される。そして、現像室21の内部では、良く撹拌された現像剤が効率よく更に撹拌及び搬送される。その結果、撹拌室22の内部の第2スクリュー14の長さ、現像室21の内部の第1スクリュー13の長さの短縮化が実現されて、現像装置1の小型化が実現される。そして、画像形成装置100の小型化も実現される。加えて、第1スクリュー13及び第2スクリュー14の回転数を高速回転することなく効率良く撹拌及び搬送することができる。その結果、かぶり、トナー飛散、温度上昇等の不具合を抑制することができる。
撹拌部材30の上端は、第2スクリュー14の上端よりも上方に配置される。撹拌室22の内部で第2スクリュー14の上端よりも高い位置まで現像剤が入っている場合には、撹拌部材30は、第2スクリュー14の撹拌及び搬送を補うことができる。
撹拌室22の内部の現像剤高さHが、撹拌部材30の下端からの高さの80%以下に設定されると、正極性又はゼロに近い極性のトナーの割合が低減され、実際に画像形成してもかぶり画像の発生が低減される。
図示しないトナー補給機構から補給されるトナー、及び、撹拌室22に格納された現像剤が合流される合流位置が設定され、撹拌部材30は前記合流位置よりも上方でトナー補給機構から補給されるトナーを撹拌可能な位置に配置される。こうすると、撹拌部材30が合流位置よりも上方でトナー補給機構から補給されるトナーを撹拌可能な位置に配置されることから、撹拌部材30は補給されるトナーを搬送する機能を備えることになる。
なお、図示しないトナー補給機構から補給されるトナー、及び、撹拌室22に格納された現像剤が合流される合流位置が設定され、撹拌部材30は合流位置で現像剤を撹拌可能な位置に配置されても良い。こうすると、撹拌部材30がトナー及び現像剤の合流位置でトナー及び現像剤を撹拌することから、トナーは現像剤に効率良く取り込まれる。
撹拌部材30が、回転軸30aと、回転軸30aの表面に形成される板状部30bとを有する。板状部30bが回転することにより、現像剤は効率良く撹拌される。
図7は、参考形態の現像装置1に対する比較例としての現像装置501の構成を示す断面図である。図8は、参考形態の現像装置1に対する比較例としての現像装置501の構成を示し、トナーカートリッジ3を外した現像装置の関し、図7のY−Y線に沿う断面図である。これらの図7及び図8の現像装置501と比較して、現像装置1の利点について説明する。特に、参考形態の現像装置1における『補給トナーへの摩擦帯電性』すなわち『帯電付与性』について、実験結果に即して更に詳しく説明する。
(第1実験例)
第1実験例では、参考形態の現像装置1と、図7及び図8に示す比較例の現像装置501とを比較する。図8に示されるように、比較例の現像装置501は、長手方向の搬送距離L2は参考形態の現像装置1と同じである。ところが、図7に示されるように、図2及び図3に示した撹拌部材30が存在しない。上記の点以外は、参考形態の現像装置1と比較例の現像装置501は実質的に同じ構成を有している。
参考形態の現像装置1及び比較例の現像装置501を用いて同条件にて画像形成に行いトナーかぶりについて比較を行った。具体的な比較方法は、1000枚毎に通常のトナー補給に加え、トナーを1g追加補給し、形成した画像にトナーかぶりが発生しているかどうかを測定確認した。トナーかぶりが発生していない場合は再びトナーを1g補給し再び、1000枚画像形成を行い、トナーかぶりが画像上に発生する枚数を調べた。
上述の方法にてトナーかぶりを比較すると、参考形態の現像装置1の構成においては、45000枚までトナーかぶりが発生しなかったのに対して、比較例の現像装置501の構成においては、8000枚でトナーかぶりが発生してしまった。
(第2実験例)
参考形態の現像装置1及び比較例の現像装置501で、それぞれ図示のトナー補給位置Tでトナーを1g補給した。すなわち、参考形態の現像装置1では第2スクリュー14の上流側(図3参照)、比較例の現像装置501では撹拌室22の長手方向において参考形態の現像装置1と同位置(図8参照)で補給する。そして、その直後に、第1連結部23における現像室21の内部のトナー帯電性を測定した。
なお、トナーの帯電性は、トナー3000個の帯電量(fC)をHOSOKAWA MICRON Corp.社製のE−Spart Analizerによって測定した。全てのトナーが負極性の場合は、トナーに対する帯電付与性は良好であると言える。また、トナーが摩擦帯電されない(帯電量がゼロ)、若しくは正極性となるトナーが存在する場合は、トナーに対する帯電付与性は劣っている。
画像白地部に発生するトナーかぶりのトナーは、周知の通り、トナーの正規の帯電極性(本例では負極性)とは逆極性(本例では正極性)、若しくは帯電量がゼロに近いトナーである。従って、補給されたトナーが全て第1連結部23において正規の帯電極性(本例では負極性)であれば、トナーかぶりが発生することはほとんどない。
図9は、参考形態の現像装置1及び比較例の現像装置501における所定帯電量毎のトナーの個数の分布を示す帯電量分布のグラフである。図9のプロットD1は、参考形態の現像装置1におけるトナー帯電量分布を示す。図9中のプロットD2は、比較例の現像装置501におけるトナー帯電量分布を示す。
比較例の現像装置501(プロットD2の分布)では、図9に示されるトナー帯電量分布から明らかなように、トナー帯電量がゼロ近傍のトナーが多数存在する。すなわち、比較例の現像装置501に関するプロットD2では、ゼロ近傍の山及びマイナス領域の山の2つの山を持つ分布であることが分かる。マイナス領域の山は問題ないが、ゼロ近傍の山に相当するトナーは、白地画像部でのかぶり発生の原因となる。
これに対して、本実施形態の現像装置1では、正極性若しくは帯電量がゼロのトナーはほとんどないことが分かる。これは、参考形態の現像装置1では、前述の原理や実験結果を参照して説明したように、補給トナーを撹拌部材30によって現像剤と十分に混合し摩擦帯電できたことを意味している。その結果、第1実験例で示したトナーかぶりを長期わたって発生することなく画像形成を行うことを可能としている。
(第1実施形態)
図10は、本発明の第1実施形態に係る現像装置201の構成を示す断面図である。現像装置201の構成のうち現像装置1と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。第1実施形態においても、参考形態と同様の画像形成装置に採用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。第1実施形態の現像装置201が参考形態の現像装置1と異なる点は、撹拌部材30に替えて撹拌部材230が用いられている点である。この撹拌部材230は、補給トナーの搬送機能を兼ねている。回転軸230aは回転軸30aと同一構成、回転羽根230bは板状部30bと同一構成である。
撹拌部材230は、第2スクリュー14の鉛直方向真上ではなく、斜め上方に配置されている。すなわち、第2スクリュー14の上方に単に撹拌部材230を配置するだけでなく、斜め上方に空間を設けて撹拌部材230を設ける。このことで、水平方向に関して第2スクリュー14及び撹拌部材230の間のトナー受渡しが生じ(撹拌が生まれ)、トナー撹拌性のより一層の向上を図れる。
『補給トナーの搬送機能』のために、撹拌部材230の左側端部がスクリュー形状になっている。この撹拌部材230の端部に形成される端部スクリュー230cは、トナー補給機構から送られてきたトナーを、現像装置の内部の補給地点まで搬送し、トナーを補給する。参考形態では、トナーカートリッジ3の内部の現像剤を現像剤補給口28まで搬送するために、他の搬送スクリューを別途設ける構成が想定される。しかしながら、第1実施形態では、撹拌部材30の端部スクリュー230cが第2スクリュー14に対する現像剤の補給地点まで現像剤を搬送する。その結果、端部スクリュー230cは、補給地点まで現像剤を搬送する他の搬送スクリューを兼ねることができる。そのために、現像剤の構成は簡略化される。部品点数が低減されるので、低コスト化及び小型化が可能になる。
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係る現像装置301の構成を示す断面図である。現像装置301の構成のうち現像装置1と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。第2実施形態においても、参考形態と同様の画像形成装置に採用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。第2実施形態の現像装置301が参考形態の現像装置1と異なる点は、撹拌部材30に替えて撹拌部材330が用いられている点である。すなわち、この撹拌部材330は、『補給トナーの搬送機能』を兼ねている。また、この撹拌部材330は、『撹拌時間の時間稼ぎ機能』を兼ねて回転軸330aは回転軸30aと同一構成、板状部330bは板状部30bと同一構成である。
『補給トナーの搬送機能』のために、撹拌部材330の端部がスクリュー形状になっている。この撹拌部材330の端部に形成される端部スクリュー330cは、トナー搬送機構から送られてきたトナーを、現像装置301の内部の補給地点まで搬送し、トナーを補給する。この点では、第1実施形態の撹拌部材230と同様な構成である。
また、『撹拌時間の時間稼ぎ機能』のために、撹拌部材330は、『逆方向誘導部』である逆向き誘導羽根330dを有している。この逆向き誘導羽根330dは、撹拌室22の現像剤の搬送方向の下流側における第2連結部24の側で、撹拌室22の現像剤の搬送方向の上流側へ(逆方向に)搬送する螺旋状(スパイラル)に形成される。この点では、第1実施形態の撹拌部材230と異なる構成である。以下に、第2実施形態の撹拌部材330の構成に関して詳述する。
撹拌部材330は、回転軸330aの直径が5mmである。そして、回転軸330aには、幅30mm、高さ5mmの板が2mmの間隔をおいて、周方向180度ごとに交互に配置されている。さらに、図11に示されるように、撹拌室22の下流側の第1連結部23側の端部から長手全域のうち1/3の範囲には、スパイラル形状の『搬送部』である逆向き誘導羽根330dを回転軸方向に15mm間隔で軸周面上に配設した。これにより、第1及び第2スクリュー13、14の夫々における現像剤の搬送方向の下流端部に返し部材15、16を設け、現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を押し戻しているのと同様、撹拌部材30においても、逆方向に現像剤を押し戻す。尚、回転した際の直径(回転軸方向に見たときの『搬送部』である板状部330bの回転よって形成される外接円の直径)は15mmである。
撹拌部材330に逆方向のスパイラル形状を設けることによって、撹拌部材330に接触してきた現像剤を押し戻すため、現像室21に到達するまでの撹拌経路を実質的に長くし、撹拌時間を長期化することができる。これにより、従来は撹拌室22の長手を伸ばす事により、撹拌経路を延長し撹拌性能を向上させていたが、長手を大きくする必要なく実質の撹拌経路を延長することができる。よって、長手を大きくする必要が無くなり現像装置301の小型化が可能になる。
なお、第1、第2スクリュー13、14は、回転軸13a、14aの直径が6mmである。そして、直径(回転軸方向に見たときの『搬送部』である回転羽根13b、14bの回転よって形成される外接円の直径)が18mmのスパイラル形状の『搬送部』である回転羽根13b、14bが、回転軸方向に24mm間隔で軸周面上に配設されている。また、第1、第2スクリュー13、14の夫々における現像剤の搬送方向の下流端部に返し部材15、16を設けることで、現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を押し戻し、第1、第2連結部23、24における現像剤の受け渡しを円滑にしている。
撹拌部材30の一部には、現像剤の搬送方向と逆向きに現像剤を搬送する逆向き誘導羽根330dが形成される。したがって、撹拌部材30に接触した現像剤は押し戻される。その結果、現像室21に到達するまでの現像剤の撹拌経路が実質的に長くされ、撹拌時間が長期化される。
(第3実施形態)
第3実施形態の現像装置の構成のうち現像装置1と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。第3実施形態においても、参考形態と同様の画像形成装置に採用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。
第3実施形態の現像装置は、参考形態の現像装置で説明したクリーニング装置55を省略した現像装置である。従来の画像形成装置の中には、参考形態で説明した感光ドラム51の上に残った転写残トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置55を持たない構成のものもある。感光ドラム51にクリーニング装置55を有さない構成では、転写残トナーが現像装置によって回収されるため、現像剤の流動性が変化しやすい。発明者の検討によれば、画像形成を繰り返し行うと、感光ドラム51にクリーニング装置55がある装置に比べ、画像形成枚数にして120%程早く、流動性が低下してくる。また、トナーがかぶると転写残トナーの増加につながり、帯電ローラ等への付着により帯電不良を起こしやすい。そのため、感光ドラム51のクリーニング装置55を有する構成に比べ、トナーかぶりをより低減させる必要がある。
感光ドラム51のクリーニング装置55を有さない構成においても、参考形態〜第2実施形態で説明した現像装置の構成を投入すれば、撹拌部材30の効果によってトナーかぶりを抑えることができる。よって感光ドラム51のクリーニング装置55やクリーニング装置55で回収したトナーを搬送する回収トナー搬送経路などをなくすことができるので、画像形成装置100全体として簡略化および低コスト化が可能になる。
なお、前述の実施形態では、例えば、回転軸に板をとりつけ回転パドルの構成を上記に説明したが、回転することや現像剤を撹拌搬送するのがパドルである必要はない。回転動作ではなく、往復運動をする板状のものを配設し、板の動作により撹拌、搬送する構成などでもかまわない。
トナー及びキャリアは、上記各実施形態にて使用したものに限定されるものではない。また、上記実施形態では、現像容器2には、画像形成によって消費された分に相当するトナーを補給するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像容器2から少量ずつキャリアを排出し、劣化したキャリアを新たなキャリアに交換する方式がある。このような場合、トナーと一緒にキャリアをも補給することができる。この場合にも、本発明は適用できる。
以上、本発明を具体的な実施形態に則して説明したが、上記各実施形態は、本発明を実施するための一例に過ぎず、本発明を上記各実施形態の態様に限定することを意図するものではない。上記説明及び特許請求の範囲に照らして本発明の精神から逸脱することなく、現像装置、カートリッジ及び画像形成装置の構成の種々の設計変更が可能である。