JP2021096400A - 現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内圧上昇を抑えながら、排出口からの現像剤の過剰排出を抑制する。【解決手段】現像装置は、撹拌室52の第1方向D1の下流側に配置され、且つ、返し羽根58cよりも第1方向D1の下流側に配置され、現像剤の一部を現像装置から排出する排出部70と、撹拌室52の返し羽根58cよりも上方の部位と排出部70とを連通して、現像剤を排出部70に排出する第1経路10と、第1経路10と仕切り壁57によって仕切られ、撹拌室52における撹拌室52に収容された現像剤5の剤面5aよりも上方の部位と排出部70とを連通して、撹拌室52から排出部70に空気を流通可能にする第2経路20と、を有する。【選択図】図7
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に適用される現像装置に関する。
電子写真方式などを用いた画像形成装置では、感光ドラムに形成された静電潜像を現像装置によりトナー像として現像する。このような現像装置として、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いたものが、従来から使用されている。二成分現像剤を用いた現像装置においては、キャリア粒子の劣化を抑制する目的で、余剰な現像剤を排出口から排出しつつ、微量のキャリアを含んだトナーを補給する所謂トリクル現像方式が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
現像装置では、例えば、現像スリーブの回転などにより現像容器内の内圧が上昇して、排出口から気流が吹き出す場合があり、この気流に乗って現像容器内の現像剤が過剰に排出される可能性がある。このため、特許文献1に記載の現像装置では、流路の内径を排出口に向けて段階的に小さくするようにして、排出口へ向かう空気の流れを抑制することで、このような気流による現像剤の過剰排出を抑制するようにしている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の現像装置では、排出口から外部に吹き出そうとする気流を出にくくしているので、現像装置の内圧は高いままである。このため、現像装置内の高圧の空気は、現像スリーブの取り込み部や端部など、別の部分から外部に吹き出してしまい、現像装置から外部へのトナー飛散を引き起こす虞がある。
本発明は、内圧上昇を抑えながら、排出口からの現像剤の過剰排出を抑制できる現像装置を提供することを目的とする。
本発明は、現像装置であって、像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、第1室と、前記第1室と隔壁によって区画され、前記第1室とで現像剤の循環経路を形成する第2室と、前記第1室に回転自在に設けられ、現像剤を第1方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも前記第1方向の下流側で現像剤を前記第1方向と反対の第2方向に搬送する第2搬送部と、を有する搬送部材と、を備え、前記第1室の前記第1方向の下流側に配置され、且つ、前記第2搬送部よりも前記第1方向の下流側に配置され、現像剤の一部を前記現像装置から排出する排出部と、前記第1室の前記第2搬送部よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、現像剤を前記排出部に排出する第1経路と、前記第1経路と仕切り壁によって仕切られ、前記第1室における前記第1室に収容された現像剤の剤面よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、前記第1室から前記排出部に空気を流通可能にする第2経路と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、現像装置であって、像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、第1室と、前記第1室と隔壁によって区画され、現像剤を第1方向に搬送し、前記第1室とで現像剤の循環経路を形成する第2室と、前記第1室に回転自在に設けられ、現像剤を前記第1方向と反対の第2方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも前記第2方向の上流側で現像剤を前記第2方向に搬送する第2搬送部と、を有する搬送部材と、を備えた現像装置であって、前記第1室の前記第1方向の下流側に配置され、且つ、前記第2搬送部よりも前記第1方向の下流側に配置され、現像剤の一部を前記現像装置から排出する排出部と、前記第1室の前記第2搬送部よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、現像剤を前記排出部に排出する第1経路と、前記第1経路と仕切り壁によって仕切られ、前記第1室における前記第1室に収容された現像剤の剤面よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、前記第1室から前記排出部に空気を流通可能にする第2経路と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、内圧上昇を抑えながら、排出口からの現像剤の過剰排出を抑制することができる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1乃至図8を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
第1の実施形態について、図1乃至図8を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられ4つの画像形成部PY、PM、PC、PKを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部PY、PM、PC、PKを後述する中間転写ベルト9の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置200は、画像形成装置本体に接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
画像形成装置200は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられ4つの画像形成部PY、PM、PC、PKを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部PY、PM、PC、PKを後述する中間転写ベルト9の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置200は、画像形成装置本体に接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
このような画像形成プロセスの概略を説明すると、まず、各画像形成部PY、PM、PC、PKでは、それぞれ、感光ドラム13Y、13M、13C、13K上に各色のトナー像を形成する。このように形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト9上へ転写され、続いて中間転写ベルト9から記録材上に転写される。トナー像が転写された記録材は、定着装置11に搬送されて、トナー像が記録材に定着される。以下、詳しく説明する。
なお、画像形成装置200が備える4つの画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表して画像形成部PYについて説明し、他の画像形成部の構成は、画像形成部PYにおける構成に付した符号の添え字「Y」をそれぞれM、C、Kに置き換えて示し、説明を省略する。
画像形成部PYには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム13Yが配設されている。感光ドラム13Yの周囲には、帯電ローラ12Y、現像装置1Y、一次転写ローラ17Y、クリーニング装置15Yが配置されている。感光ドラム13Yの図中下方には、露光装置14Yが配置されている。
帯電ローラ12Yは、画像形成時に感光ドラム13Yに従動回転する。帯電ローラ12Yは、感光ドラム13Yに向かって加圧ばね(不図示)によって付勢されている。また、帯電ローラ12Yは、高圧電源から帯電バイアスが印加される。これによって、感光ドラム13Yは、帯電ローラ12Yによりほぼ均一に帯電される。
また、感光ドラム13Y、13M、13C、13Kと対向して中間転写ベルト9が配置されている。中間転写ベルト9は、複数の張架ローラにより張架され、複数の張架ローラの何れかである駆動ローラの駆動により周回移動する。複数の張架ローラのうちの二次転写内ローラ18と中間転写ベルト9を挟んで対向する位置には、二次転写部材としての二次転写外ローラ16が配置され、中間転写ベルト9上のトナー像を記録材に転写する二次転写部T2を構成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には定着装置11が配置される。また、画像形成装置200の下部には、不図示の給送部が配置されている。画像形成動作開始とともに給送部から給送された記録材は、所定のタイミングで二次転写部T2に搬送される。
上述のように構成される画像形成装置200により画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始すると、回転する感光ドラム13Yの表面が帯電ローラ12Yによって一様に帯電される。次いで、感光ドラム13Yは、露光装置14Yから発せられる画像信号に対応したレーザ光により露光される。これにより、感光ドラム13Y上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム13Y上の静電潜像は、現像装置1Y内に収容されたトナーによって顕像化され、可視像(トナー像)となる。
感光ドラム13Y上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト9を挟んで配置される一次転写ローラ17Yとの間で構成される一次転写部T1Yにて、中間転写ベルト9に一次転写される。一次転写後に感光ドラム13Yの表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置15Yによって除去される。
このような動作をマゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部でも順次行い、中間転写ベルト9上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングに合わせて給送部の記録材収納カセット(図示せず)に収容された記録材が二次転写部T2に搬送され、中間転写ベルト9上の4色のトナー像が、記録材上に一括で二次転写される。二次転写部T2で転写しきれずに中間転写ベルト9に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナ19により除去される。
次いで、記録材は定着装置11に搬送される。定着装置11は、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する定着ローラ11aと加圧ローラ11bを備え、定着ローラ11aと加圧ローラ11bによって定着ニップ部を形成する。定着装置11に搬送された記録材を、定着ニップ部を通過させることにより、記録材に対してトナー像が定着される。その後、記録材は機外に排出される。これにより、一連の画像形成プロセスが終了する。なお、所望の画像形成部のみを用いて、所望の色の単色又は複数色の画像を形成することも可能である。
[現像剤]
ここで、本実施形態で用いる二成分現像剤について説明する。現像剤はマイナス帯電極性の非磁性トナーと、プラス帯電極性の磁性キャリアを混合したものを用いる。非磁性トナーは、ポリエステル、スチレンアクリル等の樹脂に着色料、ワックス成分などを内包し、粉砕あるいは重合によって粉体としたものに、酸化チタン、シリカ等の微粉末を表面に添加したものである。磁性キャリアは、フェライト粒子や磁性粉を混錬した樹脂粒子からなるコアの表層に樹脂コートを施したものである。
ここで、本実施形態で用いる二成分現像剤について説明する。現像剤はマイナス帯電極性の非磁性トナーと、プラス帯電極性の磁性キャリアを混合したものを用いる。非磁性トナーは、ポリエステル、スチレンアクリル等の樹脂に着色料、ワックス成分などを内包し、粉砕あるいは重合によって粉体としたものに、酸化チタン、シリカ等の微粉末を表面に添加したものである。磁性キャリアは、フェライト粒子や磁性粉を混錬した樹脂粒子からなるコアの表層に樹脂コートを施したものである。
[現像装置]
次に、現像装置1Yの詳細な構成について、図2及び図3を用いて説明する。なお、現像装置1M、1C、1Kについても同様である。現像装置1Yは、磁性を有するキャリアと非磁性のトナーからなる現像剤を収容する現像容器2と、現像容器2内の現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ54を有する。現像スリーブ54は、その表面が回転可能に保持されている一方、内部には複数の磁極(S1、S2、S3、N1、N2)からなるマグネットロール54aが回転不能に配置されている。
次に、現像装置1Yの詳細な構成について、図2及び図3を用いて説明する。なお、現像装置1M、1C、1Kについても同様である。現像装置1Yは、磁性を有するキャリアと非磁性のトナーからなる現像剤を収容する現像容器2と、現像容器2内の現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ54を有する。現像スリーブ54は、その表面が回転可能に保持されている一方、内部には複数の磁極(S1、S2、S3、N1、N2)からなるマグネットロール54aが回転不能に配置されている。
現像容器2は、隔壁51によって第1室としての撹拌室52と、第2室としての現像室53に区切られており、撹拌室52と現像室53とは、両端部の連通口によって互いに連通している。即ち、現像室53は、撹拌室52と隔壁51によって区画され、撹拌室52とで現像剤の循環経路を形成する。現像容器2には、現像剤を撹拌しつつ搬送する2本のスクリュ部材が設けられている。即ち、撹拌室52には搬送部材としての第1搬送スクリュ58が、現像室53には第2搬送スクリュ59がそれぞれ回転自在に設けられている。
第1搬送スクリュ58は、回転軸58aと、回転軸58aの周りに螺旋状に設けられた第1搬送部としての羽根58bと、第2搬送部としての返し羽根58cと、を有している。羽根58bは、現像剤を、現像装置1Yの長手方向(回転軸58aの軸方向)の一方側である第1方向D1に搬送する。返し羽根58cは、羽根58bよりも第1方向D1の下流側で羽根58bから搬送された現像剤を第1方向D1と反対の第2方向D2に搬送する。
第2搬送スクリュ59は、回転軸59aと、回転軸59aの周りに螺旋状に設けられた羽根59bと、を有する。第2搬送スクリュ59は、回転軸59a周りに回転すると、螺旋状の羽根59bによって現像室53で現像剤を、現像装置1Yの長手方向の他方側である第2方向D2に搬送する。第1搬送スクリュ58及び第2搬送スクリュ59の回転により、撹拌室52と現像室53との間で、現像剤を循環させている。
現像装置1Yは、現像容器2内のトナー濃度(キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合、T/D比)を検出可能なトナー濃度センサ(透磁率センサ)61を有する。トナー濃度センサ61は、撹拌室52の第1方向D1の所定位置に設けられ、撹拌室52でトナー濃度に関する情報を検出する。本実施形態では、トナー濃度センサ61として、インダクタンスセンサを用いており、撹拌室52内にインダクタンスセンサのセンサ面(検出面)を露出させている。インダクタンスセンサは、センサ面から所定の検出範囲の透磁率を検出する。現像剤のトナー濃度が変化すると、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による透磁率も変化するため、その透磁率の変化をインダクタンスセンサにより検出することで、トナー濃度を検出できる。
現像室53内の現像剤は、現像室53の内部で現像スリーブ54の下方に設置されている第2搬送スクリュ59によって、S2極の磁力範囲内に汲み上げられ、現像スリーブ54の表面に担持される。即ち、現像室53は、現像剤を担持して搬送する現像スリーブ54に現像剤を供給する室である。担持された現像剤は、現像スリーブ54の回転に伴って搬送される。現像スリーブ54のN1極の近傍には、現像剤の薄層を形成する部材として、現像スリーブ54の表面から所定の隙間をあけて規制ブレード55が配置される。現像スリーブ54と規制ブレード55の間の隙間は200〜500μmほどに設定されるのが一般的であり、隙間が広いほど現像スリーブ54上に担持される現像剤の量が多くなる関係がある。
搬送された現像剤は、N1極において磁気ブラシを形成し、現像スリーブ54と所定の間隔をあけて設置された規制ブレード55によって所望量の現像剤が現像スリーブ54の表面上に薄層形成される。その後、感光ドラム13Yの対向部まで搬送された現像剤は、S1極で再び磁気ブラシを形成し、感光ドラム13Yとの間で現像ニップを形成する。
感光ドラム13Yの表面は、上述したように、帯電ローラ12Yによって一定の電位に帯電されつつ、露光装置14Yによって画像部が露光されて露光電位を形成する。一方で、現像スリーブ54には、不図示の高圧回路を通じて現像バイアスが印加される。現像バイアスは、例えば一定電圧のDC波形に矩形のAC波形を重畳したバイアスである。現像装置1Y内で帯電したトナーは、現像ニップ内で、現像バイアスとドラム表面の電位差によって駆動力を得て露光部に付着することで現像工程が完了する。
キャリア及び現像されなかったトナーは、さらに現像スリーブ54の回転方向下流に搬送され、S3極とS2極の間に形成されたゼロガウス帯(径方向の磁束密度がゼロになる領域)において磁気的拘束力を失い、再び現像室53に回収される。
現像動作が行われると、現像剤のうちのトナーのみが消費されるので、現像剤とトナーの重量比(T/D比)が減少する。そのため、トナーの補給動作を行うことでT/D比を所定の値に制御する。本実施形態では、所定のT/D比を8%としている。
図2に示すように、現像装置1Yの上方にはトナーと磁性キャリアからなる補給現像剤を備えたホッパ75が設置されており、画像形成に用いられた分のトナーを現像装置1Yに供給できる仕組みになっている。トナーの補給量は、制御部3(図1参照)が供給スクリュ76を回転させることによって制御される。具体的には、制御部3が、画像形成時の画像比率、トナー濃度センサ61によって現像容器2内のT/D比を磁気的に検知した結果などに基づいて、画像形成に用いたトナー消費量を計算し、トナーの補給量を決定する。尚、例えば、画像形成を所定枚数した毎に中間転写ベルト9上に制御用のトナー像(パッチ画像)を形成し、これを不図示の反射濃度センサによって検知した結果もトナー補給量の決定に使用するようにしている。
トナー補給は、現像容器2に設けられたトナー補給口40(図3参照)から行われる。本実施形態においては、第1搬送スクリュ58の第1方向D1の上流端部であり撹拌室52の搬送経路外の上方にトナー補給口40が設けられている。但し、トナー補給口40の位置については、画像形成装置200の本体構成などによって様々な場所に設置することが考えられ、この場所に限るものではない。補給されたトナーは撹拌室52と現像室53を、第1搬送スクリュ58と第2搬送スクリュ59によって現像剤とともに撹拌されつつ搬送されながら循環する。
[トリクル現像方式]
本実施形態における現像装置1Yでは、現像剤中のキャリアの劣化を抑制するためのトリクル現像方式(以下、トリクルと呼ぶ)を採用している。トリクルとは、現像容器2内の現像剤の嵩が一定以上になったとき、現像容器2に設けられた排出口71(図4など参照)から余剰現像剤(現像剤の一部)を現像装置1Yから排出し、補給トナーに含まれる微量のキャリアによってキャリア補給を行う現像方式である。
本実施形態における現像装置1Yでは、現像剤中のキャリアの劣化を抑制するためのトリクル現像方式(以下、トリクルと呼ぶ)を採用している。トリクルとは、現像容器2内の現像剤の嵩が一定以上になったとき、現像容器2に設けられた排出口71(図4など参照)から余剰現像剤(現像剤の一部)を現像装置1Yから排出し、補給トナーに含まれる微量のキャリアによってキャリア補給を行う現像方式である。
図4(a)、(b)は、一般的なトリクルの構成の一例とメカニズムを説明する図である。以下、「上流」、「下流」という用語を用いる際には、第1搬送スクリュ58の羽根58bによる搬送方向(第1方向D1)の上流(紙面右側)と下流(紙面左側)を示すこととする。
第1搬送スクリュ58は、回転軸58aと、撹拌室52内を現像剤の第1方向D1に搬送する羽根58bと、第1搬送スクリュ58の下流端部において現像剤を上流方向へ押し戻す第2搬送部としての返し羽根58cとを備える。撹拌室52の下流には、余剰現像剤を排出するための排出部70が接続されており、その下流には排出口71が重力方向下側に開かれている。即ち、排出口71は、返し羽根58cよりも第1方向D1の下流側に配置されて現像剤を排出可能である。排出部70は、現像容器2の循環経路外に設けられ、撹拌室52の第1方向D1の下流側に配置されて、撹拌室52に接続している。排出部70内には、排出搬送部72が備えられている。
図4(a)、(b)において、定常状態における現像剤5の剤面5aを疑似的に示している。図4(a)に示すように、撹拌室52内の現像剤5の嵩が少なく、剤面5aが低いときには、羽根58bによって搬送される現像剤は返し羽根58cによって全て押し戻される。一方、図5(b)に示すように、撹拌室52内の現像剤5の嵩が増えて剤面5aが一定以上まで上昇すると、返し羽根58cにより押し戻しきれない現像剤5が返し羽根58cを乗り越えて排出口71側にこぼれ落ちる。こぼれ落ちた現像剤5bは、排出口71から余剰現像剤として排出される。
現像装置1Yの使用が進むにつれて、キャリアの表面にトナーに含まれる外添剤が付着していくことでキャリアの帯電能が低下していくことが知られている。図5は、トリクルを実行した場合と、実行しなかった場合とで、画像形成枚数に対する現像容器2内のキャリアの平均滞在時間(キャリアの劣化度合いを表す)の関係を示したグラフである。キャリアの平均滞在時間の算出条件は、画像濃度5%、現像容器2内の現像剤量250g、現像剤のT/D比8%、補給トナー中のキャリアの重量比10%とした。
図5に示すように、トリクル不実行の場合は、使用期間(画像形成枚数)に比例して平均滞在時間が増加していく。一方、トリクル実行の場合は、古いキャリアが消費されて新しいキャリアが補給されるので、トリクル不実行の場合よりもキャリアの平均滞在時間は短くなり、ある時間(飽和滞在時間)に収束する。つまり、一定以上キャリアの劣化が進まないことになり、キャリアによるトナー帯電能を維持することができる。
前述したように、トリクル現像方式では補給トナーに微量のキャリアが含まれる。そのため、補給動作に伴い現像容器2内の現像剤5の量が増加していき、嵩が一定以上になると一部が返し羽根58cのさらに奥へこぼれて、排出口71から現像剤5が排出される。このように、現像剤5の嵩が少ない場合は排出が止まり、嵩が多い場合は排出される仕組みにより、現像容器2内の現像剤5の量は一定の範囲内に保たれる。
[現像剤の過剰排出について]
以上のように、トリクル現像方式は現像剤中のキャリア劣化を抑制するのに効果的な技術である。しかしながら、トリクル現像方式による現像剤の排出が想定より過剰になってしまうことがある。例えば、近年の画像形成装置200の高速化に伴い現像装置1Yの駆動速度が高速化すると、現像スリーブ54の回転に伴って現像容器2内に取り込まれる空気の量が増大し、現像容器2の内圧が上昇する。更に、画像形成装置200の小型化により、現像装置1Yが小型化するとより内圧が上昇し易い。現像容器2外は大気圧であるのに対して現像容器2内の内圧が上昇した結果、内外の気圧差が生じ、現像容器2の内部から外部へと気流が生じる。
以上のように、トリクル現像方式は現像剤中のキャリア劣化を抑制するのに効果的な技術である。しかしながら、トリクル現像方式による現像剤の排出が想定より過剰になってしまうことがある。例えば、近年の画像形成装置200の高速化に伴い現像装置1Yの駆動速度が高速化すると、現像スリーブ54の回転に伴って現像容器2内に取り込まれる空気の量が増大し、現像容器2の内圧が上昇する。更に、画像形成装置200の小型化により、現像装置1Yが小型化するとより内圧が上昇し易い。現像容器2外は大気圧であるのに対して現像容器2内の内圧が上昇した結果、内外の気圧差が生じ、現像容器2の内部から外部へと気流が生じる。
現像容器2の内部から外部への気流のうち、主要な流れの1つが排出口71から排出される気流である。即ち、図6に示すように、排出口71から現像容器2の外部へと吹き出るような気流が生じる。ここで、図6以降において、実線の矢印は空気の流れを示し、白抜き矢印は気流に乗った現像剤5の流れを示すものとする。この気流は、第1搬送スクリュ58によって巻き上げられた現像剤を含んでしまうため、排出部70へ現像剤が達してしまい、排出搬送部72によって下流へ搬送される。このようにして、本来現像剤の排出を行うべきでない嵩の場合でも現像剤5を含んだ空気が流出してしまう。即ち、返し羽根58cを乗り越えて排出口71へ流れる気流が大きくなることが現像剤の過剰排出の原因である。
このように、現像剤の嵩が少ないにも関わらずトリクル排出が行われてしまう“過剰排出”の状態が続くと、現像容器2内の現像剤が徐々に減少していき、現像スリーブ54へ満足に現像剤を供給できなくなる虞がある。
[第1経路及び第2経路]
そこで、本実施形態では、図7に示すように、現像容器2が、撹拌室52と排出部70とを第1経路10及び第2経路20の2本の経路により連通するようにしている。以下、第1経路10及び第2経路20を中心に、現像容器2の構成を図7及び図8を参照しながら詳細に説明する。
そこで、本実施形態では、図7に示すように、現像容器2が、撹拌室52と排出部70とを第1経路10及び第2経路20の2本の経路により連通するようにしている。以下、第1経路10及び第2経路20を中心に、現像容器2の構成を図7及び図8を参照しながら詳細に説明する。
現像容器2は、返し羽根58cと排出部70との上部において、上部カバー56と、仕切り壁57とを有している。上部カバー56は、現像容器2の本体とは別部品により構成され、接着などにより一体化されている。仕切り壁57は、上部カバー56の内部に位置し、上部カバー56と第1搬送スクリュ58との間で第1経路10及び第2経路20の間を仕切っている。即ち、第1搬送スクリュ58と仕切り壁57との間が第1経路10であり、上部カバー56と仕切り壁57との間が第2経路20である。
第1経路10は、撹拌室52の返し羽根58cよりも上側の部位と排出部70とを連通して、返し羽根58cを第1方向D1に乗り越えた現像剤5を排出部70に排出する経路である。即ち、第1経路10は、トリクル現像方式において余剰現像剤を排出する経路である。第2経路20は、第1経路10とは異なった経路であり、撹拌室52における現像剤5の剤面5aよりも上側の部位と排出部70とを連通して、撹拌室52から排出部70に空気を流通可能にする経路である。即ち、第2経路20は、撹拌室52と排出部70とを連通して空気を流通させるバイパスとして機能する経路である。本実施形態では、第2経路20は、第1経路10よりも上方に設けられている。第2経路20は、第1方向D1の上流側の第1開口21と下流側の第2開口22とを有している。
第1開口21は、撹拌室52に開口し、第1搬送スクリュ58の上側に位置すると共に、返し羽根58cの第1方向D1の下流側端部58dよりも第1方向D1の上流側に位置するように設けられている。即ち、第1開口21は上下方向に連通している。第2開口22は、排出部70に開口し、返し羽根58cの下流側端部58dよりも下流側に位置するように設けられている。また、仕切り壁57は第1方向D1の下流側に下方に突出した形状の垂直案内部57aを有しており、第2開口22は、垂直案内部57aの下端部に形成されている。尚、本実施形態では、第1経路10と第2経路20とが分流する第1開口21よりも第1方向D1の上流側を第3経路30とする。
このように、本実施形態の現像容器2は、撹拌室52の第1方向D1の下流端部に、本来の余剰現像剤を排出するための第1経路10の他に、空気を流通するための第2経路20が設けられている点で、図6に示す現像容器2と異なっている。即ち、返し羽根58cの上方に第1開口21が設けられ、返し羽根58cより更に下流の排出部70に第2開口22によって連通している。
ここで、現像容器2内の内圧上昇によって撹拌室52の第3経路30を第1方向D1へ流れる第3気流F3は、返し羽根58cの上方に達すると分流する。即ち、第3気流F3は、返し羽根58cの上方において、返し羽根58cを乗り越えて第1経路10に流れる第1気流F1と、第1開口21を通って上方に流れる第2気流F2とに分流する。第3気流F3には、現像剤5の剤面5aから現像剤5が巻き上げられる(図中、白抜き矢印で示す)。
現像容器2内を流れる空気が非圧縮状態であると仮定すれば、単位時間あたりに流れる空気の体積流量(cm3/s)は保存する。そして、第1経路10の気流の体積流量をV1、第2経路20の気流の体積流量をV2、第3経路30の気流の体積流量をV3とする。このとき、以下の数式1、2が成り立つ。
V3=V1+V2 ・・・数式1
V1=V3−V2 ・・・数式2
V3=V1+V2 ・・・数式1
V1=V3−V2 ・・・数式2
一方、図6に示す現像容器2のように、第2経路20を有さない場合は、数式1、2においてV2=0となるので、以下の数式3が成り立つ。
V1=V3 ・・・数式3
V1=V3 ・・・数式3
つまり、第1開口21から第2経路20に流れた空気の体積流量V2の分だけ、開口がない場合よりも返し羽根58cを乗り越える空気の体積流量V1が減少することになる。その結果、現像剤の粒子(トナー粒子及びキャリア粒子)が排出口71の方向に受ける力(第1気流F1によって現像剤粒子の表面が受ける力)に対して、鉛直方向の下方に受ける力である重力が相対的に大きくなる。これにより、第1方向D1の上流から第3気流F3に乗って運ばれてきた現像剤5の多くは、返し羽根58cを乗り越えて排出部70に入り込む一部の現像剤5cを除いて、返し羽根58cの搬送領域内に落下するようになる。
また、第3気流F3から第2気流F2に分流する際に、気流は上方に曲げられる。このため、第2気流F2は第1開口21において上昇するのに対し、現像剤5の重力方向は反対の下向きであるので、第2気流F2に乗りかけた現像剤5dは上昇する第2気流F2に乗り切れずに落下する。更に、第3気流F3が第1気流F1及び第2気流F2に分流することにより、流速が低下する。これによっても、第1気流F1及び第2気流F2に乗ることができる現像剤5の量が第3気流F3よりも減るため、分流してから現像剤5dが落下することになる。これらの理由により、空気の流れによって現像剤5が排出口71から過剰に排出されてしまうことを、効果的に抑制できる。
本実施形態では、第1経路10の気流の体積流量V1と第2経路20の気流の体積流量V2とをほぼ同等にしている。これにより、第3気流F3に巻き上げられた現像剤のうち、少なくとも第2気流F2の分は落下するので、半減することができる。尚、体積流量V1と体積流量V2との比は、設計に応じて適宜設定することができる。
次に、第1開口21と第2開口22とのそれぞれの位置に関して、以下に説明する。まず、第1開口21に関しては、第1開口21の第1方向D1の下流端部21aが返し羽根58cの下流側端部58dより上流側にあることが望ましい。また、現像剤5の過剰排出を抑制する観点では、第1開口21は返し羽根58cの下流側端部58dより遠い方が望ましい。このため、例えば図8に示すように、第1開口21の第1方向D1の下流端部21aが返し羽根58cより第1方向D1の上流側に位置することが望ましい。但し、第1開口21を返し羽根58cの下流側端部58dより遠く配置するほど、現像容器2が大型化してしまうので、他の条件も参酌して設定する必要がある。
第1開口21の下流端部21aが返し羽根58cの下流側端部58dより上流側にあることが望ましい理由について説明する。これは、図9に示すように、第1開口21が返し羽根58cの下流側端部58dより第1方向D1の下流側にあると、分流前の強い第3気流F3の領域が返し羽根58cより下流側にも存在することになる。このため、返し羽根58cの下流側に現像剤が落下する可能性が高まってしまい、これでは気流に起因する余剰現像剤の過剰排出の抑制を実現できない虞があるためである。
第2開口22に関しては、第2開口22の第1方向D1の上流端部22aが返し羽根58cの下流側端部58dより下流側にあることが望ましい。例えば、図10に示すように、第2開口22の上流端部22aが返し羽根58cの下流側端部58dより上流側にあると、第1開口21で分流した第2気流F2が返し羽根58cの上で第1気流F1と合流してしまう。合流した箇所では乱流が発生し、返し羽根58cの上部の現像剤が巻き上げられる可能性がある。更に、この合流後の気流は返し羽根58cを乗り越えることになり、その際に第1気流F1より強い力で現像剤を巻き上げて排出部70側へと運んでしまうため、この場合も余剰現像剤の過剰排出が起こってしまう虞があるためである。
上述したように、本実施形態の現像装置1Yでは、現像容器2は、撹拌室52と排出部70との間には、トリクル現像方式において余剰現像剤を排出する第1経路10の他に、バイパスとして機能する第2経路20を有している。このため、第2経路20において体積流量V2の第2気流F2が流れる分、第1経路10において返し羽根58cを乗り越える第1気流F1の体積流量V1が第3気流F3の体積流量V3よりも減少する。これにより、内圧上昇を抑えながら、現像剤が排出口71から過剰に排出されることを効果的に抑制できる。
また、本実施形態の現像装置1Yによれば、第2経路20は第1経路10よりも上方に設けられ、第1開口21は第1搬送スクリュ58の上側に位置する。このため、第1開口21は上下方向に連通しているので、第2気流F2は第1開口21において上昇するのに対し、現像剤5の重力方向は反対の下向きである。これにより、第2気流F2に乗りかけた現像剤5dは、上昇する第2気流F2に乗り切れずに落下するので、現像剤が排出口71から過剰に排出されることを効果的に抑制できる。
また、本実施形態の現像装置1Yによれば、第1開口21の第1方向D1の下流端部21aが返し羽根58cの下流側端部58dより上流側にある。このため、分流前の強い第3気流F3が返し羽根58cを乗り越えることは抑制されるので、現像剤が排出口71から過剰に排出されることを効果的に抑制できる。
また、本実施形態の現像装置1Yによれば、第2開口22の第1方向D1の上流端部22aが返し羽根58cの下流側端部58dより下流側にある。このため、第2気流F2と第1気流F1とが合流してから返し羽根58cを乗り越えることは抑制されるので、現像剤が排出口71から過剰に排出されることを効果的に抑制できる。
尚、上述した本実施形態の現像装置1Yでは、第2経路20は第1経路10よりも上方に設けられ、第1開口21は第1搬送スクリュ58の上側に位置する場合について説明したが、これには限られない。例えば、第2経路20を第1経路10の真上ではなく、斜め上方や側方に配置してもよい。これらの場合、第1開口21は第1搬送スクリュ58の斜め上方や側方に位置することも可能である。いずれの場合も、現像装置1Yを取り付ける画像形成部PYの形状などによって、適宜設計することができる。
また、本実施形態の現像装置1Yでは、第2経路20を構成する上部カバー56は、現像容器2の本体とは別部品により構成され、接着などにより一体化されている場合について説明したが、これには限られない。例えば、現像容器2の撹拌室52と排出部70とに内外を連通する孔を形成し、各孔同士を管により連通するようにしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図11及び図12を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1開口21の下流端部21aから下方に向けて第1経路10の遮蔽部57bが形成されている点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態を、図11及び図12を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1開口21の下流端部21aから下方に向けて第1経路10の遮蔽部57bが形成されている点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
図11に示すように、第1開口21の下流端部21aの鉛直下方向に向けて、第3経路30から第1経路10への搬送経路を狭める板状の遮蔽部57bが設けられている。図12は、遮蔽部57bを第1方向D1に沿って第3経路30側から見た図である。遮蔽部57bは第1開口21の下流端部21aから鉛直下方向に延びており、下端は返し羽根58cの回転領域に沿うように円弧形状をしている。即ち、遮蔽部57bは、現像容器2の上側の壁部である仕切り壁57から下方に向けて突出した形状である。そして、遮蔽部57bは、第1搬送スクリュ58の長手方向(回転軸線方向)Xから見たときに、下端部が第1搬送スクリュ58の外周部の上側部に対して所定間隔を開けた円弧形状であるように形成されている。
この遮蔽部57bが返し羽根58cを乗り越えようとする第1気流F1を阻害して、阻害した分の空気を第1開口21へ効果的に流すことができる。つまり、上記数式2において体積流量V2が増加するため、体積流量V1がさらに減少する。このように、遮蔽部57bによって気流を整流し、返し羽根58cを乗り越える第1気流F1に起因する現像剤の過剰排出をさらに抑制することが可能である。また、体積流量V1を減少させるために、第2経路20を流れる空気の体積流量V2が、第1経路10を流れる空気の体積流量V1以上であるようにすることが望ましい。
ここで、遮蔽部57bの上下方向の長さは、適切な長さに設定される必要がある。遮蔽部57bが短すぎると、第1気流F1の流通を阻害する役割を十分に果たせない可能性がある。また、遮蔽部57bが長すぎると、現像剤5の嵩が増加したときに適切に余剰現像剤を排出するトリクル現像方式の機能を阻害してしまう。
本願発明者が遮蔽部57bと返し羽根58cの頂部との空隙を変えていって余剰現像剤の排出量を測定した結果、空隙が3mm以上あれば余剰現像剤の排出が満足に行われることを確認した。即ち、気流を整流する役割を果たすのに十分な長さ、かつ、余剰現像剤の適正な排出を妨げない長さとして、本実施形態では、遮蔽部57bの上下方向の長さL1は4mmで、返し羽根58cとの空隙の長さL2は3mmとしている。但し、これらの長さL1、L2は、上述の値には限られないのは勿論である。また、例えば、第1開口21の下流端部21aが羽根58bの上部に位置する場合であっても、羽根58bとの空隙の長さL2は3mmとすることが好ましい。
上述したように、本実施形態の現像装置1Yでは、第1開口21の下流端部21aから下方に向けて遮蔽部57bを有している。このため、遮蔽部57bによって気流を整流し、返し羽根58cを乗り越える第1気流F1の一部を遮蔽することができるので、現像剤の過剰排出をさらに抑制することができる。
尚、上述した本実施形態の現像装置1Yでは、遮蔽部57bは第1開口21の下流端部21aに設けられている場合について説明したが、これには限られない。即ち、遮蔽部57bの長手方向Xの位置は、第1開口21の下流端部21aから、返し羽根58cの第1方向D1の下流側端部58dまでの少なくとも一部であればよい。
また、本実施形態の現像装置1Yでは、遮蔽部57bの下端は返し羽根58cの回転領域に沿うような円弧形状とした場合について説明したが、これには限られない。例えば、返し羽根58cの頂部との空隙に合わせた長方形形状としてもよい。即ち、本実施形態における遮蔽部57bついて構成は一例であり、遮蔽部57bの長さや形状に関しては、これに限るものではない。第1開口21の下流端部21aの下側に気流を整流する形状を有するようにしていれば、本実施形態の効果を発揮することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、図13を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第2経路20を現像室53の第2方向D2の上流部に配置した点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施形態を、図13を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第2経路20を現像室53の第2方向D2の上流部に配置した点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
図13は、現像装置1Yにおける撹拌室52の第1方向D1の下流及び現像室53の第2方向D2の上流部分を上から見た平面図である。第1及び第2の実施形態では、排出部70を撹拌室52の最下流部から下流側に隣接して配置した。これに対して、例えば、図13に示すように、排出部70を現像室53の第2方向D2の上流端に隣接して設けた構成においても、図6と同様に気流による現像剤の過剰排出が起こる可能性がある。尚、図13中、矢印は搬送される現像剤の流れを示す。
以下、本実施形態におけるトリクル現像方式の動作について説明する。第1搬送スクリュ58によって搬送されてきた現像剤は、撹拌室52の下流部と現像室53の上流部とを連通する連通部51aにおいて受け渡される。第2搬送スクリュ59は、螺旋状の羽根59bと、羽根59bより第2方向D2の上流側に設けられた螺旋状の返し羽根59cとを有する。羽根59bは、連通部51aによって受け渡された現像剤を第2方向D2に送りつつ、現像スリーブ54(図2参照)に現像剤を供給する役割を持つ。一方、返し羽根59cは、更に上流側に位置する排出部70の排出口71に現像剤が流入しようとするのを押し返す役割を持つ。即ち、返し羽根59cは、羽根59bよりも第2方向D2の上流側で羽根59bで搬送しきれずに第1方向D1に逆行した現像剤を第2方向D2に搬送する。現像容器2内の現像剤の量が増加して嵩が増してくると、返し羽根59cによって全ての現像剤を押し返すことができなくなり、一部の現像剤が返し羽根59cを乗り越えて排出口71から排出される。
ここで、図6を用いて説明したように、排出口71へ流れる気流の要因は、現像スリーブ54(図2参照)の回転に伴って現像装置1Y内に取り込まれる空気によって内圧が上昇することである。そのため、第2搬送スクリュ59(搬送部材)の第2方向D2の上流端部に排出口71がある構成でも、現像剤の過剰排出を引き起こす気流が発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、現像室53と排出部70とを連通する第1経路10及び第2経路20を備え、現像室53の第3経路30からの気流を第1経路10と第2経路20とに分流するようにしている。図13に示すように、第2経路20の第1開口21は返し羽根59cの真上に設けられ、第2開口22は排出部70に開口するように設けられている。この場合も、第1の実施形態と同様に、返し羽根59cに対して、第1開口21の下流端部21aが返し羽根59cの下流端部59dより上流側にあり、第2開口22が返し羽根59cより下流にあることが望ましい。
尚、本実施形態では、撹拌室52は第2室、現像室53は第1室、第2搬送スクリュ59は搬送部材、羽根59bは第1搬送部、返し羽根59cは第2搬送部にそれぞれ相当する。
上述したように、本実施形態の現像装置1Yでは、排出部70が現像室53の第2方向D2の上流端に隣接して設けられた構成であっても、第1経路10の他に第2経路20を設けることで現像剤の過剰排出を抑制することができる。
<その他の実施形態>
現像装置1Yにおける排出口71の配置位置は、トリクル排出された後の現像剤の搬送経路を画像形成装置内でどのようにレイアウトするかに応じて、様々な形態を適用することができる。例えば、本発明を適用可能な位置は、第1の実施形態に示した撹拌室52の最下流部や第3の実施形態に示した現像室53の最上流部に限定されるものではない。その他の形態としては、現像室53の下流端部に排出口71を設ける構成にも適用することができる。この場合に関しても、気流によるトリクルの過剰排出が課題となるが、本発明を適用することによりそれを効果的に抑制することが可能である。
現像装置1Yにおける排出口71の配置位置は、トリクル排出された後の現像剤の搬送経路を画像形成装置内でどのようにレイアウトするかに応じて、様々な形態を適用することができる。例えば、本発明を適用可能な位置は、第1の実施形態に示した撹拌室52の最下流部や第3の実施形態に示した現像室53の最上流部に限定されるものではない。その他の形態としては、現像室53の下流端部に排出口71を設ける構成にも適用することができる。この場合に関しても、気流によるトリクルの過剰排出が課題となるが、本発明を適用することによりそれを効果的に抑制することが可能である。
1C,1K,1M,1Y…現像装置、2…現像容器、5…現像剤、5a…剤面、10…第1経路、20…第2経路、21…第1開口、22…第2開口、52…撹拌室(第1室、第2室)、53…現像室(第2室、第1室)、57…仕切り壁、57b…遮蔽部、58…第1搬送スクリュ(搬送部材)、58b…羽根(第1搬送部)、58c…返し羽根(第2搬送部)、59…第2搬送スクリュ(搬送部材)、59b…羽根(第1搬送部)、59c…返し羽根(第2搬送部)、70…排出部、71…排出口、D1…第1方向、D2…第2方向。
Claims (20)
- 現像装置であって、
像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、
第1室と、
前記第1室と隔壁によって区画され、前記第1室とで現像剤の循環経路を形成する第2室と、
前記第1室に回転自在に設けられ、現像剤を第1方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも前記第1方向の下流側で現像剤を前記第1方向と反対の第2方向に搬送する第2搬送部と、を有する搬送部材と、を備え、
前記第1室の前記第1方向の下流側に配置され、且つ、前記第2搬送部よりも前記第1方向の下流側に配置され、現像剤の一部を前記現像装置から排出する排出部と、
前記第1室の前記第2搬送部よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、現像剤を前記排出部に排出する第1経路と、
前記第1経路と仕切り壁によって仕切られ、前記第1室における前記第1室に収容された現像剤の剤面よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、前記第1室から前記排出部に空気を流通可能にする第2経路と、を有する、
ことを特徴とする現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記第1室に開口した開口が、前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部よりも上流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記第1室に開口した前記開口が、前記第2搬送部よりも前記第1方向の上流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第1経路よりも上方に設けられ、前記第2経路の前記第1室に開口した開口が、前記搬送部材の上側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1経路において、前記第2経路の前記第1室に開口した開口の前記第1方向の下流側端部と前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部との間の少なくとも一部に、前記第1経路の一部を遮蔽する遮蔽部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記遮蔽部は、前記第1室及び前記第2室を有する現像容器の上側の壁部から下方に向けて突出した形状であり、前記搬送部材の回転軸線方向から見たときに、前記遮蔽部の下端部が前記搬送部材の外周部の上側部に対して所定間隔を開けた円弧形状であるように形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記排出部に開口した開口が、前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部よりも下流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1室及び前記第2室を有する現像容器は、前記第2経路を流れる空気の体積流量が、前記第1経路を流れる空気の体積流量以上であるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第2室は、前記現像剤担持体に現像剤を供給する室である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1室は、前記現像剤担持体に現像剤を供給する室である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像装置。 - 現像装置であって、
像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、
第1室と、
前記第1室と隔壁によって区画され、現像剤を第1方向に搬送し、前記第1室とで現像剤の循環経路を形成する第2室と、
前記第1室に回転自在に設けられ、現像剤を前記第1方向と反対の第2方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部よりも前記第2方向の上流側で現像剤を前記第2方向に搬送する第2搬送部と、を有する搬送部材と、を備えた現像装置であって、
前記第1室の前記第1方向の下流側に配置され、且つ、前記第2搬送部よりも前記第1方向の下流側に配置され、現像剤の一部を前記現像装置から排出する排出部と、
前記第1室の前記第2搬送部よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、現像剤を前記排出部に排出する第1経路と、
前記第1経路と仕切り壁によって仕切られ、前記第1室における前記第1室に収容された現像剤の剤面よりも上方の部位と前記排出部とを連通して、前記第1室から前記排出部に空気を流通可能にする第2経路と、を有する、
ことを特徴とする現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記第1室に開口した開口が、前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部よりも上流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項11に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記第1室に開口した前記開口が、前記第2搬送部よりも前記第1方向の上流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項12に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第1経路よりも上方に設けられ、前記第2経路の前記第1室に開口した開口が、前記搬送部材の上側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1経路において、前記第2経路の前記第1室に開口した開口の前記第1方向の下流側端部と前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部との間の少なくとも一部に、前記第1経路の一部を遮蔽する遮蔽部を備える、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記遮蔽部は、前記第1室及び前記第2室を有する現像容器の上側の壁部から下方に向けて突出した形状であり、前記搬送部材の回転軸線方向から見たときに、前記遮蔽部の下端部が前記搬送部材の外周部の上側部に対して所定間隔を開けた円弧形状であるように形成されている、
ことを特徴とする請求項15に記載の現像装置。 - 前記第2経路は、前記第2経路の前記排出部に開口した開口が、前記第2搬送部の前記第1方向の下流側端部よりも下流側に位置するように設けられている、
ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1室及び前記第2室を有する現像容器は、前記第2経路を流れる空気の体積流量が、前記第1経路を流れる空気の体積流量以上であるように形成されている、
ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第2室は、前記現像剤担持体に現像剤を供給する室である、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の現像装置。 - 前記第1室は、前記現像剤担持体に現像剤を供給する室である、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載の現像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019228642A JP2021096400A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 現像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019228642A JP2021096400A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 現像装置 |
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JP2021096400A true JP2021096400A (ja) | 2021-06-24 |
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JP (1) | JP2021096400A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11846892B2 (en) | 2021-11-26 | 2023-12-19 | Canon Kabushiki Kaisha | Developing device |
-
2019
- 2019-12-18 JP JP2019228642A patent/JP2021096400A/ja active Pending
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