JP2005055531A - 現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナーに対する帯電付与性を向上させた現像装置を提供する。
【解決手段】像担持体51上に形成された静電像をトナー及びキャリアを含む現像剤で現像する現像室21と、現像室21との間で現像剤循環経路を構成しトナー補給を受ける攪拌室22とを有する現像容器2と、現像室21と攪拌室22間で現像剤を循環させる循環手段と、を有する現像装置1は、循環手段は攪拌室22に現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって上方に傾斜して設けられた搬送部材14を有し、搬送部材14を乗り越えて現像剤の一部が戻るように攪拌室22の剤面Sを設定した構成とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式或いは静電記録方式を用いた画像形成装置にて用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の有彩色の画像に対するニーズの高まりによって、有彩色の画像形成を行う画像形成装置においても、白黒画像形成装置と同様に、装置の低コスト化と共に小型化が求められるようになっている。
【0003】
従来の電子写真方式を用いた画像形成装置、その中でも特に有彩色の画像形成を行う画像形成装置においては、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを混合して現像剤として使用する二成分現像方式が広く利用されており、二成分現像方式は現在提案されている他の現像方式に比較して、画質の安定性、装置の耐久性などの長所を備えている。
【0004】
二成分現像方式を用いた現像装置(二成分現像装置)において、像担持体にトナーを供給して現像を行うと、現像剤中におけるトナー濃度(トナーとキャリアとの割合、或いは現像剤全体に対するトナーの割合)が次第に低下する。このトナー濃度の低下を防止するためには、新たなトナーを補給する必要がある。
【0005】
従来の一般的な二成分現像装置を図10に示す。このような二成分現像装置に関する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0006】
現像装置101は、現像剤を収容する現像容器102を有する。現像容器102の被現像体たる像担持体に対向する一部分は開口しており、この開口部から一部露出するようにして、像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体としての現像スリーブ111が回転可能に配置されている。現像容器102は、現像スリーブ111の軸方向に沿って配置され現像スリーブ111に現像剤を供給する現像室(第1現像剤収容室)121と、補給されたトナーと現像容器102内の現像剤を混合攪拌しながら、現像剤を現像室121とは逆方向に搬送する攪拌室(第2現像剤収容室)122とを有する。現像室121、攪拌室122は、隔壁125によって区画されるが、その長手両端部には現像剤の通過を許す第1連通部123、第2連通部124が形成されている。そして、これら現像室121、攪拌室122に、それぞれ現像剤の搬送及び攪拌を行う搬送部材(現像剤搬送攪拌部材)113、114を配設することで、第1連通部123、第2連通部124を介して、現像室121と攪拌室122との間で現像剤を循環(図中矢印D方向)させている。
【0007】
トナー補給位置Tにおいて現像容器102に、通常、重力による落下で補給されたトナーは、攪拌室122において現像容器102内の現像剤と攪拌されることで、キャリアと接触して摩擦帯電する。しかし、攪拌室122における攪拌が不十分な場合は、補給されたトナーが十分に帯電されないまま第1連通部123より現像室121へ搬送されて現像動作に用いられるため、画像白地部にトナーかぶりが発生し、画像品位の低下を招くことがある。
【0008】
このようなトナーかぶりを防止するためには、補給されたトナーを第1連通部123まで搬送される間に十分に帯電させれば良い。その手段として、従来の現像装置101では、攪拌室122におけるトナー補給位置Tから第1連通部123までの距離(以下「攪拌距離」という。)Lを適宜設定している。
【0009】
【特許文献1】
特開昭55―32060号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の現像装置101においては、現像容器102内に補給されたトナーを十分に摩擦帯電させるために攪拌距離Lを適宜設定した結果、攪拌距離Lが画像形成幅Gよりも長くなることが多かった。
【0011】
例えば、図10の現像装置101では、トナー補給位置Tを画像形成域(画像形成幅G)よりも上流側に設けることで、補給されたトナーを十分に帯電するために必要な攪拌距離Lを確保している。
【0012】
一般に、現像装置101に要求される長手方向の最小長とは、画像形成幅Gに他ならない。しかし、図10に示した現像装置101では、補給されたトナーを第1連通部123まで搬送される間に十分に帯電させるために、攪拌距離Lが画像形成幅Gよりも長くなっている。そのため、現像装置101の小型化を阻害しているばかりか、延いては画像形成装置全体の小型化をも阻害している。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。
【0014】
本発明の第1の目的は、トナーに対する帯電付与性を向上させた現像装置を提供することである。
【0015】
本発明の第2の目的は、トナーに対する帯電付与性を向上させることにより、現像剤の攪拌距離の短縮化を図り、必要以上に大型化することなく、トナーかぶりを防止することのできる現像装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る現像装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体上に形成された静電像をトナー及びキャリアを含む現像剤で現像する現像室と前記現像室との間で現像剤循環経路を構成しトナー補給を受ける攪拌室とを有する現像容器と、前記現像室と前記攪拌室間で現像剤を循環させる循環手段と、を有する現像装置において、前記循環手段は前記攪拌室に現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって上方に傾斜して設けられた搬送部材を有し、前記搬送部材を乗り越えて現像剤の一部が戻るように前記攪拌室の剤面を設定したことを特徴とする現像装置である。
【0017】
本発明の一実施態様によると、前記搬送部材の回転軸を、水平に対し2〜10度上方に傾斜して設ける。一実施態様では、前記攪拌室の剤面をトナー補給位置よりも下流側において前記搬送部材の上側となるように設定する。又、一実施態様では、前記攪拌室の底部を前記搬送部材に対応して上方に傾斜した形状とする。前記搬送部材は回転軸周面上にスパイラル状の搬送部が設けられたものであってよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1は、本発明を適用した画像形成装置100の一実施例の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置100は、複数の像形成手段として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する4つの画像形成部50Y、50M、50C、50Kを備えたカラー電子写真画像形成装置である。画像形成装置100は、装置本体Aに対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部ホスト機器、或いは装置本体Aに付属若しくは通信可能に接続された原稿読み取り装置からの画像情報信号に応じて、記録材P、例えば記録用紙、OHPシート、布などにカラー画像を形成することができる。
【0020】
先ず、画像形成装置100の全体の動作について説明する。本実施例では、画像形成装置100が備える各画像形成部50Y、50M、50C、50Kは、基本的に同一の構成を有し、形成する画像の色が異なる。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部に属する要素であることを示すために図中符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略し、総括的に説明する。
【0021】
画像形成部50は、像担持体として図中矢印方向に回転可能なドラム型の電子写真感光体(感光ドラム)51を有する。画像形成時には、先ず回転する感光ドラム51の表面を、帯電手段としての一次帯電器52によって帯電させる。帯電された感光ドラム51の表面を、各画像形成部50に対応する色分解された画像情報信号に応じて、画像書き込み手段(露光手段)としてのレーザスキャナ53によって走査露光することで、感光ドラム51上に対応する色の画像情報信号に応じた静電像を形成する。そして、この静電像を現像装置1によってトナーで現像することで、感光ドラム51上にトナー像を形成する。
【0022】
各画像形成部50の感光ドラム51に対向して無端移動可能なように、記録材搬送手段としての搬送ベルト56が配設されている。そして、搬送ベルト56を介して各画像形成部50の感光ドラム51と対向する位置には、転写手段としての転写帯電器54が設けられている。上述のようにして感光ドラム51上に形成されたトナー像は、転写帯電器54により印加される転写バイアスによって、搬送ベルト56上の記録材P上に転写される。
【0023】
記録材Pは、記録材収容部たるカセット61からピックアップローラ62などの記録材供給手段によって、レジストローラ63まで搬送され、ここで各画像形成部50における画像形成動作と同期するようにして搬送ベルト56へと送り出される。
【0024】
上述のような画像形成動作を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部50において行うことで、搬送ベルト56上を搬送される記録材Pに、順次トナー像が転写され、記録材P上に所望のフルカラー画像を形成することができる。
【0025】
その後、記録材Pは搬送ベルト56から剥離され、定着装置64に搬送される。定着装置64よって加圧/加熱されることで、記録材P上に転写されたトナー像は永久画像となる。又、転写後に感光ドラム51上に残った転写残トナーは、クリーニング手段としてのブレード状のクリーニング部材を有するクリーニング装置55により除去され、次の画像形成に備える。
【0026】
次に、現像装置1について説明する。
【0027】
図2に示すように、現像装置1は、現像剤を収容する現像容器2を有する。現像容器2内には、現像剤として主に非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを備える二成分現像剤が収容されている。初期状態の現像剤中のトナー濃度は、本実施例では7重量%である。但し、この値はトナーの帯電量、キャリア粒径、画像形成装置の構成などで適正に調整されるべきものであって、必ずしもこの数値に従わなければいけないものではない。
【0028】
現像容器2は、感光ドラム51に対向した一部分が開口しており、この開口部に一部露出するようにして現像剤担持体としての現像スリーブ11が回転可能に配置されている。現像スリーブ11は非磁性材料で構成され、磁界発生手段としての固定のマグネット12を内包する。本実施例では、マグネット12は、外周に沿って複数の磁極を有する。そして、現像動作時には、現像スリーブ11は、図中矢印方向に回転し、現像容器2内の二成分現像剤を層状に保持して、感光ドラム51と対向する現像領域に担持搬送する。現像スリーブ11上に担持された現像剤は、現像領域において穂立ちした磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを感光ドラム51の表面に接触させるか近接させて、感光ドラム51の表面に形成されている静電像に応じて二成分現像剤中のトナーを感光ドラム51側に供給し、その静電像を現像する。
【0029】
通常、少なくとも現像動作時には、現像スリーブ11に所定の現像バイアスが印加され、感光ドラム51と現像スリーブ11との間に形成される電界の作用により、トナーを感光ドラム51へと転移させる。又、現像スリーブ11上に担持する現像剤量を規制するために、現像領域より現像スリーブ11の回転方向上流側において、マグネット12と協働して磁界の作用によって現像剤層厚を規制する現像剤量規制手段18が設けられている。
【0030】
感光ドラム51上の静電像を現像した後の現像剤は、現像スリーブ11の回転にしたがって搬送され、現像容器2の、後述する現像室(第1現像剤収容室)21に回収される。
【0031】
図3をも参照して、現像容器2は、隔壁25により現像室(第1現像剤収容室)21(現像スリーブ11に近い側)と攪拌室(第2現像剤収容室)22(現像スリーブ11から遠い側)に略二分されている。現像室21、攪拌室22は、本実施例では現像スリーブ11の軸方向に沿って延在する。隔壁25は、現像容器2の内部の長手方向両端部側壁26、27までは達しておらず、これにより現像室21と攪拌室22との間で現像剤の通過を許す第1連通部23と第2連通部24とが形成されている。
【0032】
そして、現像室21、攪拌室22には、現像室21と攪拌室22との間で現像剤を循環させる循環手段が設けられている。この循環手段は、現像室21、攪拌室22の長手軸線方向に沿って、それぞれ現像剤の搬送及び攪拌を行う搬送部材として第1スクリュー13、第2スクリュー14を有する。これら第1、第2スクリュー13、14により、現像剤は、現像容器2内を循環しつつ混合及び攪拌される。本実施例の現像装置1における現像剤循環の方向は、現像室21で図2の紙面奥側から手前側に向かう方向、攪拌室22で図2の紙面手前側から奥側に向かう方向である(図3中矢印D方向)。
【0033】
本実施例の現像装置1では、画像形成装置本体Aに設けられた駆動モータとされる駆動源70からの駆動力が、駆動伝達手段としての回転軸71を介して現像スリーブ11に伝達される。又、この駆動力は、駆動伝達手段としてのギア系72a、72b、72cを介して第1、第2スクリュー13、14に伝達される。
【0034】
本実施例では、第1スクリュー13及び第2スクリュー14は、それぞれ現像室21、攪拌室22の長手軸線方向と略平行に設けられた回転軸13a、14aと、その周りに設けられたスパイラル形状の搬送部(翼部,スパイラル部材)13b、14bとを有する。本実施例では、第1、第2スクリュー13、14は共に、回転軸13a、14aの軸径が6mmであり、直径が16mmのスパイラル形状の搬送部13b、14bを15mm間隔で軸周面上に配設して成る。
【0035】
尚、本実施例では、第1、第2スクリュー13、14の夫々の現像剤搬送方向下流端部には、これら第1、第2スクリュー13、14と同軸的に、且つ、現像剤の搬送方向がそれぞれに対して逆方向(図中矢印r1、r2)となるように設けられたスクリューから成る返し部材15、16、即ち、回転軸13a、14aの軸周面上にスパイラル形状の搬送部(翼部)を配設して成る第1、第2返し部材15、16を設けている。これにより、第1、第2スクリュー13、14の現像剤搬送方向下流端部において、現像剤搬送方向(図中矢印D方向)とは逆方向に現像剤を押し戻し、第1、第2連通部23、24における現像剤の受け渡しを円滑にしている。
【0036】
現像剤の循環経路については、後述して更に詳しく説明するが、本実施例では、攪拌室22の底面(底部)が、現像剤循環方向上流側から下流側に向かって水平に対し所定角度を持って上方に傾斜しており、且つ、攪拌室22に於いて現像剤循環方向とは逆方向の現像剤の流れが、第2スクリュー14の上方に於いて形成される構成とされる。
【0037】
現像剤補給容器として補給用のトナーを収容するトナーカートリッジ3は、図4に示すように、略円筒形で、画像形成装置本体A、現像装置1から容易に脱着可能である。トナーカートリッジ3を、把手31が設けられた側とは反対側の長手端部を先頭にして、画像形成装置本体Aに手前側(図1、2中紙面手前側)から挿入し、手前側の把手31を右側にひねり、回転させることで、補給口33を開閉するように設けられたシャッター(図示せず)が開き、補給口33が開口する。それと共に、補給口33と、現像容器2が備える現像剤補給機構17の受取口17aとが連結されて補給用のトナーが通過可能となる。
【0038】
尚、トナーカートリッジ3を画像形成装置本体Aから離脱させる際には、把手31を左側にひねることで補給口33を閉じる。そして、把手31を手前側に引くことで、画像形成装置本体A、現像装置1から取り外すことができる。これにより、トナーカートリッジ3に内包する粉体が外部に漏れることはない。
【0039】
又、トナーカートリッジ3内には、補給されたトナーを搬送するための搬送部材32が設けられている。図4にトナーカートリッジ4の内部が一部示されているが、本実施例では、搬送部材32は、トナーカートリッジ3の長手軸線方向と略平行に配設された剛体の回転軸32aと、この回転軸32aの周りにらせん状に配設した搬送部(翼部)32b(樹脂フィルムなど)とを有する。そして、軸32aを適宜回転駆動することで、トナーカートリッジ3内のトナーを搬送し、補給を補助する。
【0040】
画像形成によって消費された分のトナーは、搬送部材32の回転力と重力とによって、トナーカートリッジ3から補給口33、及び現像容器2に配設された現像剤補給機構17の受取口17aを通過して、現像剤補給機構17内へと搬送される。そして、現像剤補給機構17が備える現像剤補給手段としての補給スクリュー17cの回転に従い、現像剤補給機構17内のトナーは、補給口17bを介して現像容器2の攪拌室22内に補給される。補給スクリュー17cは、トナー濃度検知手段として、例えば、現像装置1に設けられた反射型光センサ19の検知信号、或いは色毎の画像情報信号に基づく画素毎の濃度情報から演算(積算)されるトナーの消費量情報などに基づいて求められたトナー補給量に応じて、適宜、必要なトナー量が現像容器2に補給されるように駆動される。
【0041】
ここで、本実施例にて用いられる現像剤について説明する。上述のように、本実施例では、主に非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)とを備える二成分現像剤を用いる。
【0042】
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有しており、粉砕法により製造した負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は5μm以上、9μm以下が好ましい。本実施例では7.2μmであった。
【0043】
キャリアは、例えば、表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用化能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。そして、キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、抵抗率が10Ωcm以上、好ましくは10Ωcm以上である。本実施例では10Ωcmのものを用いた。
【0044】
尚、本実施例にて用いられるトナーについて、体積平均粒径は以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置としては、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)、個数平均分布、体積平均分布を出力するためのインターフェース(日科機製)及びCX−Iパーソナルコンピュータ(キヤノン製)を使用し、電解水溶液として、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を使用した。測定方法は以下に示す通りである。即ち、上記の電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電界水溶液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、上記のコールターカウンターTA−II型により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得る。
【0045】
又、本実施例にて用いられるキャリアの抵抗率は、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いて、片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加して、回路に流れた電流から、キャリアの抵抗率を得る方法によって測定した。
【0046】
次に、本実施例にて最も特徴的である、現像容器2における現像剤の循環経路について更に説明する。
【0047】
図2及び図3を参照して、本実施例の現像装置1では、攪拌室22の底面(底部)22aが水平方向に対して5度の傾きをもっている。このように、攪拌室22は、現像スリーブ11に対しねじれの位置関係にある。攪拌室22における現像剤の搬送方向(図中矢印D方向)上流から下流方向に登り勾配の傾斜を設けることにより、詳しくは後述するように、攪拌室22でのトナーへの帯電付与性を著しく向上させることができる。一方、本実施例では、現像室21の底面21は、現像スリーブ11長手全域への安定した現像剤供給のため、略水平方向、即ち、ここでは現像スリーブ11と略平行に配置される。
【0048】
尚、本明細書において、現像室21、攪拌室22の配向に関し、水平とは、現像装置1(現像容器2)、画像形成装置100の通常使用状態におけるものである。又、水平とは、厳密に水平であることのみを意味するものではなく、現像装置1(現像容器2)、画像形成装置100の通常使用に問題ない程度水平からずれていてもよい。典型的には、現像室21、攪拌室22の配向に関して、水平とは、現像装置1(現像容器2)の全体としての長手軸線方向に相当する。
【0049】
又、本実施例では、攪拌室22から現像室21へ現像剤を受け渡す第1連通部23においては、攪拌室22の底面22aと現像室21の底面21aとが鉛直方向同位置であり、現像室21から攪拌室22へ現像剤を受け渡す第2連通部24においては、攪拌室22の底面22aが現像室21の底面21aよりも鉛直方向下方位置にある。
【0050】
従って、第1連通部23においては、両底面21a、22aが鉛直方向同位置であるために、攪拌室22から現像室21への滑らかな現像剤の受け渡しが可能である。又、第2連通部24においても、現像室21から攪拌室22への現像剤の落下動作により現像剤の受け渡しを行うので、滑らかな受け渡しが可能である。
【0051】
本実施例の現像装置1では、画像形成幅Gは305mmであり、現像室21及び攪拌室22の長手長さも同様に305mmである。
【0052】
そして、本実施例の現像装置1におけるトナー補給位置Tは、攪拌室22において、現像室21及び攪拌室22の長手一方の端部に設けられた第2連通部24より10mm下流位置としている。
【0053】
このように、本実施例の現像装置1では、本発明に従うことによって、現像容器2の長手長さを短くすることが可能となり、特に、攪拌室22におけるトナー補給位置Tから第1連通部23までの距離(攪拌距離)Lを画像形成幅Gよりも短くすることができる。以下、更に詳しく説明する。
【0054】
ここで、本実施例の現像装置1における、現像容器2内に補給されたトナーへの帯電付与性についての実験結果について述べる。
【0055】
[実験例1]
本実験では、トナー補給位置Tにおいてトナー1gを補給し、この補給されたトナーの第2連通部24における帯電量を測定した。尚、本実験では、攪拌室22の水平方向に対する傾き(第2連通部24側から第1連通部23側に向かって登り勾配)(以下、単に「傾き」という。)Θを0度(水平)、1度、2度、5度、10度、12度として行った。各供試現像装置は、この傾きが異なる以外は同一の構成とした。
【0056】
実験結果を表1に示す。表1中のトナー帯電性は、トナー3000個の帯電量をHOSOKAWA MICRON Corp.社製のE−Spart Analizerによって測定し、実質的に全てのトナーが負極性の場合を良好(○)、トナーが摩擦帯電されない(帯電量0)若しくは正極性となる場合を不良(×)としている。
【0057】
画像白地部にトナーかぶりするトナーは、周知の通り、正規の極性と逆極性(本実施例のトナーの場合は正極性)、若しくは帯電量0のトナーである。従って、補給されたトナーが実質的に全て第1連通部23において負極性であれば、トナーかぶりすることはない。
【0058】
又、表1中の現像剤搬送性は、攪拌室22における現像剤搬送の様子を本発明者が主観評価したものであり、上流から下流方向へ現像剤搬送が行われる場合を良好(○)、行われない場合を不良(×)としている。
【0059】
【表1】
Figure 2005055531
【0060】
又、図8には、本実験におけるトナー帯電性の結果を示す。攪拌室22の傾きが1度以下では、第1連通部23において正極性に帯電したトナーや帯電量が0のトナーが存在するが、傾きが2度以上では実質的に全てのトナーが負極性に帯電している。
【0061】
本発明は、如何なる理論によっても束縛されることを意図するものではないが、以下、本発明が好適に作用するメカニズムについて考察する。
【0062】
現像装置1に補給したトナーを十分に摩擦帯電させるためには、攪拌室22に以下の3つの性能が必要とされると考えられる。
1)補給されたトナーを現像剤中に取り込む取り込み性
2)補給されたトナーを解す分散性
3)補給されたトナーを現像剤中でキャリアと混ぜ合わせる混合性
これらの夫々について説明する。
【0063】
1)一般に、現像装置へのトナー補給は、現像剤循環経路を循環している現像剤上にトナーを自由落下させる方式が多いが、この方式の場合、補給されたトナーは現像剤上を浮遊しやすい。補給されたトナーを現像剤中のキャリアと混合するためには、先ず、現像剤上を浮遊する補給されたトナーを現像剤中に取り込む必要がある。そのため、一般的な現像装置では円筒軸周面上にスパイラル形状の部材を設けた、所謂、スクリューにより補給されたトナーを現像剤中に取り込んでいる。更なる取り込み性の向上を図る場合には、円筒軸周面上に四角形や台形形状の部材を追加して設けることもある。
【0064】
2)一般に、トナー補給精度の安定化のため、現像装置に補給される直前のトナーにある程度の圧力を施し、ある程度凝集した状態にして、補給することが多い。そのため、補給されたトナーを現像剤中のキャリアと均一に混合するためには、このある程度凝集した状態のトナーを解し、分散させる必要がある。そのため、一般的な現像装置では前述のスクリューにより補給したトナーを解し、分散させている。
【0065】
3)トナーを十分に帯電させるためには、トナーとキャリアとを数多く接触させる混合動作を積極的に行う必要がある。そのため、一般的な現像装置では前述のスクリューにより補給したトナーとキャリアとの混合を行っている。
【0066】
以上のように、現像装置に補給したトナーを十分に帯電させるためには、スクリューにより上記3つの性能を満足することが必要であると考えられるが、従来の現像装置の構成では、補給されたトナーの取り込み及び分散性能が低いがために、攪拌距離Lが画像形成幅Gよりも長くなる構成が多かった。
【0067】
そこで、本発明に係る現像装置1では、攪拌室22の上流から下流方向に登り勾配の傾斜を設ける。これにより、攪拌室22の現像剤には搬送方向に対して重力方向の力が作用するため、第2スクリュー14の搬送部14b間の現像剤面(剤面)Sの高さは、上流側の搬送部14b近傍で著しく高く、下流側の搬送部14b近傍で著しく低くなり、搬送部14bの上方を下流側から上流方向へ乗り越える現像剤の流れが形成される。
【0068】
図9をも参照して更に説明すると、図9に攪拌室22における現像剤の動きを示す。図9(a)に示すように、攪拌室22の傾きが1度以下の場合では、第2スクリュー14の搬送部14b間における現像剤面(剤面)Sの高さが比較的均一であるため、現像剤が搬送方向(図中矢印D方向)とは逆方向へ搬送部14bの上方を乗り越えることはない。
【0069】
一方、攪拌室22の傾きが2度以上の場合では、図9(b)に示すように、現像剤が搬送方向(図中矢印D方向)とは逆方向へ搬送部14bの上方を乗り越える。つまり、攪拌室22の傾きが2度以上になると、搬送部14bの上方を、現像剤搬送方向下流側から上流方向へ乗り越える現像剤の流れFが形成される。そのため、搬送部14b間の下流側で未だ現像剤中に取り込まれず現像剤上を浮遊している補給されたトナーは、下流側から落下してくる現像剤中に容易に取り込まれる。又、搬送部14b間の上流側で未だ現像剤中に取り込まれず現像剤上を浮遊している補給されたトナーは、現像剤と一緒に上流方向へ落下する際に、現像剤中に容易に取り込まれる。
【0070】
加えて、搬送部14b間の下流側にある補給されたトナーは、下流側から落下してくる現像剤の衝撃により容易に分散され、又、搬送部14b間の上流側にある補給されたトナーは、現像剤と一緒に上流方向に落下する際の衝撃で容易に分散する。
【0071】
このように、本実施例では、本発明に従い攪拌室22に設けられる第2スクリュー14は、現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって上方に傾斜して設けられ、第2スクリュー14を乗り越えて現像剤の一部が戻るように攪拌室22の剤面Sが設定される。つまり、攪拌室22の上流から下流方向に登り勾配の傾斜を設け、好ましくは攪拌室22の傾きを2度以上として、又、好ましくは攪拌室22の剤面Sを、トナー補給位置Tよりも現像剤搬送方向下流側において第2スクリュー14の上側となるように設定することにより、現像剤が搬送部14bの上部を下流側から上流方向へ乗り越える流れFが形成される。この流れFにより、補給されたトナーの現像剤中への取り込み及び分散が容易に行われるので、攪拌室22における補給されたトナーに対する帯電付与性が著しく向上し、第1連通部23において実質的に全てのトナーが負極性に帯電する。
【0072】
又、上記のような現像剤が搬送部14bの上方を乗り越える流れFは、補給トナーを攪拌する攪拌距離Lの略全ての範囲で形成することが好ましいが、補給トナーに対して十分な帯電付与が可能な長さに適宜設定することも可能である。本実施例の場合では、攪拌距離Lの3分の1以上において現像剤が搬送部14bの上方を乗り越える流れFを形成すれば、十分な帯電付与が可能であった。
【0073】
従って、本実施例の現像装置1は、従来と比較して、補給されたトナーの取り込み及び分散性能が著しく高いため、補給のために必要な攪拌距離Lを大幅に短縮することが可能となる。これにより、現像装置1に要求される長手方向の最小長である画像形成幅Gよりも短い攪拌距離Lでも十分に補給されたトナーを帯電することができるので、現像装置1を大型化することなく、画像白地部にトナーかぶりが発生するのを防止することができる。
【0074】
ところで、攪拌室22の傾きが0度〜1度の場合においても、攪拌距離Lを図10に示す従来の現像装置101のように画像形成幅Gよりも長くして、つまり、トナー補給位置Tを画像形成域よりも上流側に設けて補給されたトナーを十分に帯電させるために必要な攪拌距離Lを確保すれば、第1連通部23におけるトナーの帯電極性は実質的に全て負極性になる。しかしながら、その場合、多くは攪拌距離Lが画像形成幅Gよりも長くなり、現像装置1が必要以上に大型化してしまう。
【0075】
一方、攪拌室22の傾きが12度以上の場合、攪拌室22における現像剤の搬送を行うことができなくなる。これは、搬送方向に対する重力方向の影響が大きくなり過ぎることに起因する現象であると考えられる。このように、傾き12度以上では事実上現像剤の搬送を成り立たすことが不可能である。
【0076】
上述より理解されるように、攪拌室22の底面22aの水平方向に対する傾きを2度〜10度の範囲で適宜設定することにより、補給されたトナーを安定して所望の極性に帯電することができ、且つ、現像剤の循環を円滑に行うことができる。これにより、現像装置1を必要以上に大型化することなく、トナーかぶりを防止することが可能となる。本発明者の更なる検討により、上記トナーへの帯電付与性、現像剤搬送性の両方の観点から、攪拌室22の底面22aの水平に対する傾きは、より好ましくは3度〜8度であり、更に好ましくは5度〜6度である。
【0077】
以上、本実施例の現像装置1によれば、補給されたトナーと現像剤を混合攪拌しながら現像剤を現像室21に搬送する攪拌室22におけるトナーへの帯電付与性を向上させることで、攪拌距離Lの短縮化を図り、現像装置1を必要以上に大型化することなく、トナーかぶりを防止することが可能となる。
【0078】
そして、上記のように本発明に従う現像装置1が必要以上に大型化することなくトナーかぶりを防止することが可能であるので、この現像装置1を備える本発明に従う画像形成装置100は、装置本体を大型化することなく、トナーかぶりを防止することができる。
【0079】
実施例2
次に、図5を参照して、本発明の他の実施例ついて説明する。本実施例では、本発明は、実施例1と同様の現像装置、これを備える画像形成装置にて具現化され、現像装置及び画像形成装置の基本構成は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一若しくは相当する構成、作用を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0080】
本実施例の現像装置1は、図5に示すように、実施例1で説明した現像装置1と同様に、攪拌室22の底面22aが水平方向に対して5度の傾きをもっている(第2連通部24側から第1連通部23側に向かって登り勾配)。
【0081】
そして、本実施例では、攪拌室22から現像室21へ現像剤を受け渡す第1連通部23において、攪拌室22の底面22aが現像室21の底面21aよりも鉛直方向上方にあり、現像室21から攪拌室22へ現像剤を受け渡す第2連通部24においては、攪拌室22の底面22aと現像室21の底面21aが鉛直方向同位置にある。
【0082】
従って、第2連通部24においては、両底面21a、22aが鉛直方向同位置であるために、現像室21から攪拌室22への滑らかな現像剤の受け渡しが可能である。又、第1連通部23においても、攪拌室22から現像室21への現像剤の落下動作により現像剤の受け渡しを行うので、滑らかな受け渡しが可能である。
【0083】
本実施例の現像装置1は、上述のように第1連通部23、第2連通部24における攪拌室22の底面22aと現像室21の底面21aとの鉛直方向の位置関係の違いを除くその他の構成は、実施例1で説明したものと同様である。従って、本実施例の現像装置1の構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【0084】
実施例3
次に、図6を参照して、本発明の更に他の実施例ついて説明する。本実施例は、上記実施例2と同様、実施例1の現像装置1に対して、第1連通部23、第2連通部24における攪拌室22の底面22aと現像室21の底面21aとの鉛直方向の位置関係を変更したものである。
【0085】
本実施例の現像装置1は、図6に示すように、実施例1で説明した現像装置1と同様に、攪拌室22の底面22aが水平方向に対して5度の傾きをもっている(第2連通部24側から第1連通部23側に向かって登り勾配)。
【0086】
そして、本実施例では、攪拌室22から現像室21へ現像剤を受け渡す第1連通部23において、攪拌室22の底面22aが現像室21の底面21aよりも鉛直方向上方にあり、現像室21から攪拌室22へ現像剤を受け渡す第2連通部24においては、攪拌室22の底面22aが現像室21の底面21aよりも鉛直方向下方位置にある。
【0087】
従って、第1連通部15及び第2連通部16のいずれにおいても現像剤の落下動作により現像室21、攪拌室22間で現像剤の受け渡しを行うので、滑らかな受け渡しが可能である。
【0088】
本実施例の現像装置1の構成によれば、実施例1と同様の作用効果を奏し得るのに加え、更に、現像室21、攪拌室22間での現像剤の受け渡しを円滑に行うことができる。
【0089】
以上の説明から明らかなように、本発明において、現像容器2の攪拌室22に傾きを設けるに際し、第1連通部23、第2連通部24において滑らかな現像剤の受け渡しを行うためには、現像剤循環経路において、攪拌室22から現像室21へ現像剤を受け渡す第1連通部23においては、攪拌室22の底面22aの位置が現像室21の底面21aの位置に対して鉛直方向同位置若しくは上方位置にあり、且つ、現像室21から攪拌室22へ現像剤を受け渡す第2連通部24においては、現像室21の底面21aの位置が攪拌室22の底面22aの位置に対して鉛直方向同位置若しくは上方位置にあるようにすればよい。
【0090】
実施例4
次に、本発明の更に他の実施例ついて説明する。本実施例では、本発明に従う現像装置は、プロセスカートリッジとして画像形成装置本体に対して着脱可能とされる。尚、ここでは、プロセスカートリッジ方式とされていることを除いて、実施例1のものと同じ画像形成装置100にて本発明が具現化されるものとして説明する。従って、実施例1のものと同一若しくは相当する構成、作用を有する要素には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0091】
図7は、本発明に従う現像装置1を具備するプロセスカートリッジBの一例の概略断面を示す。
【0092】
本実施例のプロセスカートリッジBは、感光ドラム51と、感光ドラム51に作用するプロセス手段としての一次帯電器52、クリーニング装置55及び現像装置1とを、枠体41により一体的にカートリッジ化して成る。プロセスカートリッジBは、画像形成装置本体Aに設けられたガイド、位置決め手段などとされる装着手段42を介して、画像形成装置本体Aに対して取り外し可能に装着される。
【0093】
プロセスカートリッジBが適正に画像形成装置本体Aに装着されると、画像形成装置本体A側に設けられた駆動連絡部(図示せず)と、プロセスカートリッジB側の駆動連絡部(図示せず)とが連結され、画像形成装置本体Aに設けられた駆動源(感光ドラム51用の駆動源(図示せず)、現像装置1用の駆動源70(図3)、或いはこれらは共通であってもよい。)からの駆動力を、プロセスカートリッジBに設けられた感光ドラム51、現像スリーブ11(更には第1、第2スクリュー13、14)に伝達可能となる。又、同様に、プロセスカートリッジBが画像形成装置本体Aに適正に装着されると、画像形成装置本体A側の接点(図示せず)と、プロセスカートリッジB側の接点(図示せず)が接続され、画像形成装置本体Aに設けられた電圧印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)、現像バイアス電源(図示せず)から、一次帯電器52、現像スリーブ11にそれぞれ一次帯電バイアス、現像バイアスを印加可能となる。
【0094】
そして、本実施例では、プロセスカートリッジBは、実施例1で説明したものと同じ構成の現像装置1を一体的に有している。尚、現像装置1は、実施例2及び実施例3にて説明した現像装置1であってもよいことは当然である。
【0095】
一般に、プロセスカートリッジBは、感光ドラム51が寿命に達したり、現像装置1内の現像剤が著しく劣化した場合において、プロセスカートリッジBの全体を画像形成装置本体Aから取り出し、新しいプロセスカートリッジBを装着することにより、画像形成装置を復帰させることができる。これにより、メンテナンス性の向上を図ることが可能となる。又、この高メンテナンス性のため、機器交換の専門知識を有するサービスマンに頼ることなく、装置のメンテナンスをユーザー自身が行なうことができるので、レーバーコストの低減による、画像形成装置のランニングコストの低減も可能となる。
【0096】
本実施例のプロセスカートリッジBでは、実施例1と同じ構成の現像装置1を用いているため、現像装置1の現像容器2内の現像剤循環経路について、攪拌室22における現像剤の動き、又、攪拌室22における補給されたトナーの帯電付与性に関しては、それぞれ実施例1の現像装置1について説明した通りである。
【0097】
これにより、本実施例のプロセスカートリッジBでは、メンテナンス性に優れるという上述のようなプロセスカートリッジ方式の利点を保持すると共に、必要以上に大型化することなくトナーかぶりを防止することができる。従って、本発明に従うプロセスカートリッジBでは、小型化を図ることにより、更なるメンテナンス性の向上、低コスト化を図ることが可能となる。
【0098】
そして、このプロセスカートリッジBが着脱可能な本発明に従う画像形成装置100は、装置本体を大型化することなく、トナーかぶりを防止することができる。
【0099】
尚、プロセスカートリッジBは、本実施例の態様に限定されるものではなく、通常電子写真感光体である像担持体と、この像担持体に作用する少なくとも現像手段を含むプロセス手段と、を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能としたものであればよい。従って、プロセスカートリッジの態様としては、像担持体、帯電手段、クリーニング手段及び現像手段を備える本実施例の態様の他、像担持体、帯電手段及び現像手段を備える態様、或いは像担持体、クリーニング手段及び現像手段を備える態様が挙げられる。
【0100】
又、画像形成装置本体Aに対して着脱可能なカートリッジは、ユーザのメンテナンス性及び各要素の寿命等を考慮して適宜その構成を決めれば良く、例えば、上記プロセスカートリッジ(像担持体と、これに作用するプロセス手段とを有するもの。)に限らず、現像装置1のみを画像形成装置本体Aに対して着脱可能なカートリッジとしたり、或いは現像装置と、一次帯電器及びクリーニング装置のうち少なくとも1つとを一体的にカートリッジ化したものであってもよい。
【0101】
即ち、画像形成装置本体に対して着脱可能なカートリッジは、少なくとも現像装置を有するものであり、更に、その上にトナー像が形成される像担持体、像担持体を帯電させる帯電手段、像担持体表面を清掃するクリーニング手段の少なくとも1つと一体的にカートリッジ化されていてよい。この場合も、画像形成装置本体は、それぞれのカートリッジを取り外し可能に装着するための装着手段を有する。
【0102】
以上、本発明をいくつかの実施例を通して具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神から逸脱することなく種々の変更が可能である。非制限的ないくつかの変更例を以下に示す。
【0103】
例えば、上記実施例では、画像形成装置は、複数の画像形成部を備えるカラー電子写真画像形成装置であるとして説明したが、画像形成装置は、単一の画像形成部を有する単色の画像形成装置であってもよい。
【0104】
又、当業者には周知の、像担持体との対向部を通る経路で回転可能な回転体(現像器支持体)に単数若しくは複数の現像器を収め、この回転体を回転させることで所望の現像器を像担持体との対向位置に配置させ、像担持体上の静電像を現像することによって、単色若しくは複数色の現像剤像から成る画像を形成する画像形成装置、現像器に本発明を適用してもよい。
【0105】
又、上記実施例では、像担持体に形成した現像剤像は、記録材搬送手段上に担持搬送される記録材に順次に転写するとしたが、当業者には周知の中間転写方式、即ち、複数の画像形成部の像担持体若しくは複数の現像器によって順次その上に現像剤像が形成される像担持体に対向して周回移動可能な中間転写体を有し、一旦この中間転写体上に重ねて転写して形成した複数種の現像剤から成る現像剤像(例えば、フルカラートナー像)を、次いで記録材上に一括して転写する方式を用いた画像形成装置であっても、本発明を等しく適用することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体上に形成された静電像をトナー及びキャリアを含む現像剤で現像する現像室と現像室との間で現像剤循環経路を構成しトナー補給を受ける攪拌室とを有する現像容器と、現像室と攪拌室間で現像剤を循環させる循環手段と、を有する現像装置は、循環手段は攪拌室に現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって上方に傾斜して設けられた搬送部材を有し、搬送部材を乗り越えて現像剤の一部が戻るように攪拌室の剤面を設定した構成とされるので、トナーに対する帯電付与性を向上させることができる。そして、本発明によれば、トナーに対する帯電付与性を向上させることにより、現像剤の攪拌距離の短縮化を図り、現像容器、現像装置、延いてはこれらを備えるカートリッジ、画像形成装置を必要以上に大型化することなく、トナーかぶりを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る画像形成装置の一例の概略断面図である。
【図2】本発明に係る現像装置の一実施例の概略断面図である。
【図3】本発明に係る現像装置の一実施例の上面図である。
【図4】トナーカートリッジを説明するための模式図である。
【図5】本発明に係る現像装置の他の実施例の概略断面図である。
【図6】本発明に係る現像装置の更に他の実施例の概略断面図である。
【図7】本発明に係るプロセスカートリッジの一実施例の概略断面図である。
【図8】本発明に係る現像装置におけるトナー帯電付与性を説明するためのグラフ図である。
【図9】本発明に係る現像装置における攪拌室の現像剤の動きを説明するための模式図である。
【図10】従来の現像装置の一例の上面図である。
【符号の説明】
1 現像装置
2 現像容器
3 トナーカートリッジ(現像剤補給容器)
13 第1スクリュー(搬送部材)
14 第2スクリュー(搬送部材)
17 現像剤補給機構
21 現像室(第1現像剤収容室)
22 攪拌室(第2現像剤収容室)
23 第1連通部
24 第2連通部
42 装着手段
51 感光ドラム(像担持体)
52 一次帯電器(帯電手段)
55 クリーニング装置(クリーニング手段)
100 画像形成装置
A 画像形成装置本体
B プロセスカートリッジ
T トナー補給位置
L 攪拌距離
G 画像形成幅

Claims (5)

  1. 像担持体上に形成された静電像をトナー及びキャリアを含む現像剤で現像する現像室と前記現像室との間で現像剤循環経路を構成しトナー補給を受ける攪拌室とを有する現像容器と、前記現像室と前記攪拌室間で現像剤を循環させる循環手段と、を有する現像装置において、
    前記循環手段は前記攪拌室に現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって上方に傾斜して設けられた搬送部材を有し、前記搬送部材を乗り越えて現像剤の一部が戻るように前記攪拌室の剤面を設定したことを特徴とする現像装置。
  2. 前記搬送部材の回転軸を水平に対し2〜10度上方に傾斜して設けたことを特徴とする請求項1の現像装置。
  3. 前記攪拌室の剤面をトナー補給位置よりも下流側において前記搬送部材の上側となるように設定したことを特徴とする請求項1又は2の現像装置。
  4. 前記攪拌室の底部を前記搬送部材に対応して上方に傾斜した形状とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の現像装置。
  5. 前記搬送部材は回転軸周面上にスパイラル状の搬送部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の現像装置。
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