JP4696811B2 - Bi系超電導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Bi系超電導体の製造方法に関する。
Bi2212(Bi2Sr2Ca1Cu28+δをいう、以下同じ)、Bi2223(Bi2Sr2Ca2Cu310+δをいう、以下同じ)などのBi系超電導体は、臨界温度が高く、高温酸化物超電導体の代表的なものとして、超電導線材などの用途に用いられている。
かかるBi系超電導体の中でも、Bi2223は臨界温度および臨界電流が高いものとして知られている。しかし、Bi2223の単相を得ることが非常に難しい。一方、このBi2223のBiサイト(超電導体結晶においてBiが配置される場所をいう、以下同じ)にPbを多量にドーピングすることによりBiサイトのBi原子の一部がPb原子により置換された(Bi,Pb)2223((Bi1-pPbp2Sr2Ca2Cu310+δ、ここで0<p<0.25、以下同じ)は、容易に単相が得られることが確認され、かかる(Bi,Pb)2223について臨界温度および臨界電流を高めるための検討が進められている(たとえば、非特許文献1を参照)。
臨界温度を高めるために、原材料を熱処理して(Bi,Pb)2223を含むBi系超電導体を形成した後、(Bi,Pb)2223を分解させない条件、たとえば、大気雰囲気(全圧101kPa、酸素分圧21kPa、窒素分圧80kPa)下780℃で10時間アニールすることが報告されている。しかし、この方法では、臨界温度を高めることができるが臨界電流が低下し、結果的に超電導特性を低下させる(たとえば、非特許文献2を参照)。
臨界温度だけでなく臨界電流も高められ超電導特性に優れた(Bi,Pb)2223を含むBi系超電導体およびそれを含むBi系超電導線材を開発することが求められている。
H. Deng、他7名、"PHASE TRANSFORMATION AND CRITICAL CURRENT DENSITY OF (Bi,Pb)-2223/Ag SUPERCONDUCTING TAPES BY A LOW TEMPERATURE-LOWOXGEN PRESSURE POST-ANNEALING METHOD"、Physica C 339、(2000)、p171-180 W. G. Wang、他4名、"EFFECT OF (Pb,Bi)3Sr2Ca2CuOy PHASE ON CRITICAL CURRENT DENSITY OF Ag/(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3O10TAPES" 、Physica C 297、(1998)、p1-9
本発明は、(Bi,Pb)2223を含む臨温度および臨界電流密度が高い超電導体の製造方法を提供することを目的とする。ここで、Bi系超電導体の臨界温度および臨界電流密度を高めることにより、Bi系超電導体および超電導線材のより広い応用が期待できる。
本発明は、超電導相と非超電導相とから構成され、超電導相が(Bi,Pb)2223を含み、(Bi,Pb)2223に対する非超電導相におけるPb化合物である(Bi,Pb)3221およびCa 2 PbO 4 のXRDによる回折ピーク強度の比較から以下の式(1)
(Pb化合物比率)(%)=100×((Bi,Pb)3221(300)+Ca 2 PbO 4 (130))/((Bi,Pb)2223(0014)) ・・・(1)
(式(1)において、(Bi,Pb)3221(300)は(Bi,Pb)3221の(300)面に由来する回折ピーク強度、Ca 2 PbO 4 (130)はCa 2 PbO 4 の(130)面に由来する回折ピーク強度、(Bi,Pb)2223(0014)は(Bi,Pb)2223の(0014)面に由来する回折ピーク強度を表す。)
により得られるPb化合物比率が6%以下であり、77K、0Tにおける臨界電流密度が310A/mm 2 より高いBi系超電導体の製造方法であって、原材料を熱処理して非超電導相および(Bi,Pb)2223を含む超電導相を形成する熱処理工程と、非超電導相および超電導相を、上記Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、アニールする工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(1−1)〜式(1−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.01 (620≦y≦680) ・・・(1−1)
y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
・・・(1−2)
y=0.0663x5−1.3297x4+9.9628x3−35.166x2+62.864x+754.66 (0.1≦x≦7) ・・・(1−3)
y=−4.3429×ln(x)+600 (0.01≦x≦0.1)
・・・(1−4)
y=−0.0294x5+0.5136x4−2.2529x3−5.4341x2+63.824x+602.41 (0.1≦x≦7) ・・・ (1−5)
x=7 (750≦y≦810) ・・・(1−6)
かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とするBi系超電導体の製造方法である。
また、本発明は、上記のBi系超電導体の製造方法であって、原材料を熱処理して非超電導相および(Bi,Pb)2223を含む超電導相とを形成する熱処理工程と、非超電導相および超電導相を、上記Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、アニールする工程は、Pb化合物である(Bi,Pb)3221を形成する第1のアニール工程と、(Bi,Pb)3221を分解する第2のアニール工程とを含み、第1のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2a−1)〜式(2a−4)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.1 (670≦y≦690) ・・・(2a−1)
y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−2)
y=0.0028x4−0.1405x3+2.4131x2−17.81x+669.88 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−3)
x=21 (600≦y≦825) ・・・(2a−4)
かつ、アニール時間が10時間以上200時間以下であり、
第2のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2b−1)〜式(2b−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.01 (650≦y≦680) ・・・(2b−1)
y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
・・・(2b−2)
y=10.085×ln(x)+783.99 (0.1≦x≦5)
・・・(2b−3)
y=17.372×ln(x)+730 (0.01≦x≦0.1)
・・・(2b−4)
y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦5) ・・・(2b−5)
x=5 (790≦y≦800) ・・・(2b−6)
かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とするBi系超電導体の製造方法である。
本発明にかかるBi系超電導体の製造方法において、熱処理工程を、酸素分圧が1kPa以上9kPa以下、熱処理温度が750℃以上830℃以下、熱処理時間が30時間以上100時間以下で行なうことができる。また、上記アニールする工程後のBi系超電導体を高酸素分圧雰囲気でアニールする高酸素アニール工程をさらに含み、高酸素アニール工程の条件は、酸素分圧を21kPa以上、アニール温度を200℃以上500℃以下とすることができる。
本発明によれば、(Bi,Pb)2223を含む臨界温度および臨界電流密度が高いBi系超電導体およびBi系超電導線材を提供できる。
(実施形態1)
本発明にかかるBi系超電導体の一実施形態は、超電導相と非超電導相とから構成されているBi系超電導体であって、超電導相は(Bi,Pb)2223を含み、非超電導相におけるPb化合物の(Bi,Pb)2223に対するXRDによる回折ピーク強度の比較から得られる比率が6%以下であり、77K、0Tにおける臨界電流密度が310A/mm2より高いことを特徴とする。
本実施形態のBi系超電導体は、超電導相と非超電導相とから構成され、超電導相が(Bi,Pb)2223を含むことにより高い臨界温度および臨界電流密度が得られ、さらに非超電導相におけるPb化合物比率を6%以下にすることにより77K、0Tにおける臨界電流密度(JCという、以下同じ)が310A/mm2より高い電流密度が得られる。
本発明にかかるBi系超電導体の超電導相には、(Bi,Pb)2223相以外の相(異相)として、Bi2212相、(Bi,Pb)2212相などが存在し得、非超電導相には(Bi,Pb)3221相、Ca2PbO4相などのPb化合物相、Ca−Sr−Cu系化合物により形成されているCa−Sr−Cu系化合物相などが存在し得る。
ここで、本願において非超電導相におけるPb化合物とは、(Bi,Pb)3221およびCa2PbO4を意味する。また、非超電導相におけるPb化合物の(Bi,Pb)2223に対するXRDによる回折ピーク強度の比較から得られる比率(Pb化合物比率という、以下同じ)とは、(Bi,Pb)3221、Ca2PbO4および(Bi,Pb)2223のXRDによる回折ピーク強度を用いて、以下の式(1)
(Pb化合物比率)(%)=100×((Bi,Pb)3221(300)+Ca2PbO4(130))/((Bi,Pb)2223(0014))
・・・(1)
で定義される。式(1)において、(Bi,Pb)3221(300)は(Bi,Pb)3221の(300)面に由来する回折ピーク強度、Ca2PbO4(130)の(130)面に由来する回折ピーク強度、(Bi,Pb)2223(0014)は(Bi,Pb)2223の(0014)面に由来する回折ピーク強度を表わす。
また、臨界電流(単位:A)は、四端子法により、77K、外部磁場なしの条件で測定され、かかる臨界電流をBi系超電導体の電流の流れる方向に垂直な断面の面積(単位:mm2)で除することにより臨界電流密度(単位:A/mm2)が算出される。
本実施形態のBi系超電導体においては、Pb化合物である(Bi,Pb)3221および/またはCa2PbO4の形成により、常電導体から超電導体への転移(超電導転移という、以下同じ)を開始する温度が高くなるが、超電導転移が鈍化する傾向があり、臨界電流密度も必ずしも高くならない。しかし、Pb化合物比率を6.0%以下とすると、超電導転移が急峻となり臨界温度とともに臨界電流密度を高めることができる。かかる観点から、Pb化合物比率は2.0%以下がより好ましい。
また、本実施形態のBi系超電導体は、95Kで規格化された磁化率(−M/M(95K)と表記する、以下同じ)が−0.001となる臨界温度(TCという、以下同じ)が110.0Kであることが好ましい。以下の実施形態2または実施形態3のようにBi系超電導体の製造の際のアニール条件を満たすことにより、JC>310A/mm2、かつ、TC>110.0KであるBi系超電導体が得られる。
ここで、磁化率測定による臨界温度は、物質が常電導体から超電導体に変化する際に、その物質の磁化率が0からその物質固有の磁化率Mに変化する現象を利用して算出されるものである。電気抵抗測定による臨界温度は、抵抗が減少を開始する温度の判断が難しくまた抵抗が0になる温度が試料の状態に依存するという問題点があるのに対して、磁化率測定による臨界温度には、電気抵抗測定による臨界温度の場合の上記問題点がなく、容易に正確な測定が行なえる。
また、−M/M(95K)が−0.001となるTCとは、物質の一部が常電導体から超電導体に転移し始める転移開始温度に相当する。また、95Kで規格化するとは、その物質の任意の温度における磁化率の大きさを95Kにおける磁化率に対する比で表すことをいう。
さらに、本実施形態のBi系超電導体の超電導相は(Bi,Pb)2223内に形成された(Bi,Pb)2212を含む場合があり、かかる場合は(Bi,Pb)2212の臨界温度が80.0K以上であることが好ましい。本実施形態のBi系超電導体においては、超電導相の主成分として(Bi,Pb)2223の結晶が形成されている。この(Bi,Pb)2223結晶内に他の超電導相である(Bi,Pb)2212の結晶が成長している場合が多い。かかる場合には、(Bi,Pb)2223結晶内にインターグロースしている(Bi,Pb)2212結晶の臨界温度(TC-2212という、以下同じ)が高いほど、Bi系超電導体の全体としてのJCなどが高くなる。
(Bi,Pb)2223結晶内にインターグロースしている(Bi,Pb)2212結晶は、TEM(透過型電子顕微鏡)により観察することができる。(Bi,Pb)2223内に形成された(Bi,Pb)2212の臨界温度TC-2212は、(Bi,Pb)2212結晶がインターグロースしている(Bi,Pb)2223結晶を含むBi系超電導体を砕いてその磁化率を測定することにより得られる。本発明において、(Bi,Pb)2212の臨界温度TC-2212は5Kで規格化された磁化率曲線において変曲点として現われ、より詳しくは、この変曲点に高温側から近づく点の接線と、低温側から近づく点の接線との交点として算出される。
(実施形態2)
上記実施形態1のBi系超電導体の製造方法の一実施形態は、原材料を熱処理して非超電導相および(Bi,Pb)2223を含む超電導相を形成する熱処理工程と、非超電導相および超電導相を、上記Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、アニールする工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(1−1)〜式(1−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.01 (620≦y≦680) ・・・(1−1)
y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
・・・(1−2)
y=0.0663x5−1.3297x4+9.9628x3−35.166x2+62.864x+754.66 (0.1≦x≦7) ・・・(1−3)
y=−4.3429×ln(x)+600 (0.01≦x≦0.1)
・・・(1−4)
y=−0.0294x5+0.5136x4−2.2529x3−5.4341x2+63.824x+602.41 (0.1≦x≦7) ・・・(1−5)
x=7 (750≦y≦810) ・・・(1−6)
かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とする。
上記のように、本実施形態のアニール工程の条件においては、酸素分圧とアニール温度とに密接な関係があり、酸素分圧が低いときはアニール温度は低く、酸素分圧が高いときはアニール温度は高くなっている。上記アニール条件は、Pb化合物の形成量がPb化合物比率として6%以下となり、また、(Bi,Pb)2223が部分溶融を介する結晶成長しない条件である。すなわち、上記アニール条件を満たすことにより、非超電導相として形成されるPb化合物である(Bi,Pb)3221および/またはCa2PbO4からPbを超電導相の(Bi,Pb)2223にドーピングすることにより、非超電導相におけるPb化合物の形成を抑制するとともに、(Bi,Pb)2223の金属元素組成を変化させることにより、TCが高く急峻な超電導転移を有しJCが高い優れた超電導体が得られると考えられる。なお、本実施形態のアニール工程において、(Bi,Pb)2212から(Bi,Pb)2223に相変態する可能性も考えられ、TCおよびJCの向上が期待できる。
上記アニール工程における酸素分圧x(単位:kPa)とアニール温度y(単位:℃)との関係において、x<0.01(620≦y≦680)であるとBi系超電導体に含まれる酸素量が低下するためTCおよびJCが低下し、x>7(750≦y≦810)であるとPb化合物特に(Bi,Pb)3221が形成されやすくBi系超電導体におけるPb化合物比率が6%を超えるため超電導転移の急峻さおよびJCが低下する。また、y>34.744×ln(x)+840(0.01≦x≦0.1)またはy>0.0663x5−1.3297x4+9.9628x3−35.166x2+62.864x+754.66(0.1≦x≦7)であると(Bi,Pb)2223が部分溶融により分解しJCが低下する傾向があり、y<−4.3429×ln(x)+600(0.01≦x≦0.1)またはy<−0.0294x5+0.5136x4−2.2529x3−5.4341x2+63.824x+602.41 (0.1≦x≦7)であると(Bi,Pb)3221は形成されないが(Bi,Pb)2223においてTCおよびJCを高めるような金属元素組成の変化が起こらないと考えられる。
また、アニール時間が10時間より短いとPb化合物特に(Bi,Pb)3221の形成および(Bi,Pb)2223においてTCおよびJCを高めるような金属元素組成の変化が起こりにくくなると考えられ、400時間より長いと(Bi,Pb)2223の分解が大きくなり、JCが低下する傾向がある。かかる観点から、アニール温度は20時間以上200時間であることが好ましい。
(実施形態3)
上記実施形態1のBi系超電導体の製造方法の他の実施形態は、原材料を熱処理して非超電導相および(Bi,Pb)2223を含む超電導相とを形成する熱処理工程と、非超電導相および超電導相を、Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、アニールする工程は、Pb化合物である(Bi,Pb)3221を形成する第1のアニール工程と、(Bi,Pb)3221を分解する第2のアニール工程とを含み、
第1のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2a−1)〜式(2a−4)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.1 (670≦y≦690) ・・・(2a−1)
y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−2)
y=0.0028x4−0.1405x3+2.4131x2−17.81x+669.88 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−3)
x=21 (600≦y≦825) ・・・(2a−4)
かつ、アニール時間が10時間以上200時間以下であり、
第2のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2b−1)〜式(2b−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
x=0.01 (650≦y≦680) ・・・(2b−1)
y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
・・・(2b−2)
y=10.085×ln(x)+783.99 (0.1≦x≦5)
・・・(2b−3)
y=17.372×ln(x)+730 (0.01≦x≦0.1)
・・・(2b−4)
y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦5) ・・・(2b−5)
x=5 (790≦y≦800) ・・・(2b−6)
かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とする。
(Bi,Pb)2223を含む超電導体のTCおよびJCを高めるためには、実施形態2で説明した(I)Pb化合物からPbを(Bi,Pb)2223にドーピングして(Bi,Pb)2223の金属元素組成を変える方法の他に、(II)(Bi,Pb)2223結晶の粒界に形成される液相を減少させる方法なども有効と考えられる。上記液相は、(Bi,Pb)2212が部分融解して形成されるものと考えられる。
ここで、(I)の方法は非超電導相のPb化合物である(Bi,Pb)3221および/またはCa2PbO4からPbを超電導相である(Bi,Pb)2223にドーピングさせることにより(Bi,Pb)2223を安定化させて、(Bi,Pb)2223結晶そのものの特性(すなわち、粒内特性)を向上させるものである。
また、(II)の方法は(Bi,Pb)2223結晶の粒界に存在する液相からPb化合物を形成させて、液相の「面」としての異相をPb化合物の「点」としての異相に変化させることにより、(Bi,Pb)2223結晶の粒界に存在する液相を低減し(Bi,Pb)2223結晶同士の結合を強めて粒間特性を向上させるものであり、TCおよびJCが高まることが期待できる。
上記(I)および(II)の方法は、単独に用いても超電導体の臨界温度および臨界電流を高めることができるが、(I)および(II)の方法を併用することにより、超電導体の超電導体のTCおよびJCをより高めることができる。特に、(II)の方法においては、Pb化合物が形成されることから、これによる超電導転移の鈍化およびJC向上の抑制などが懸念される。この懸念を解消するためには、(II)の方法において形成されるPb化合物を(I)の方法により分解して低減することが好ましい。
すなわち、(II)の方法により(Bi,Pb)2223結晶の粒界における異相である液相から固相(Pb化合物)を形成して粒界における液相を低減した後、(I)の方法によりPb化合物のPbを(Bi,Pb)2223相にドーピングして上記Pb化合物を低減することにより、超電導体の臨界温度および臨界電流がより高まることが期待できる。ここで、(Bi,Pb)2223の粒界の液相を低減するために形成させるPb化合物としては、形成しやすさの観点から、(Bi,Pb)3221が好ましい。
本実施形態においては、(Bi,Pb)3221を形成するための(II)の方法として、第1のアニール工程が用いられる。第1のアニール工程におけるアニール条件において、酸素分圧とアニール温度とには密接な関係があり、適量な(Bi,Pb)3221の形成の条件は、酸素分圧が低いときは好適なアニール温度範囲は狭く、酸素分圧が高いときは好適なアニール温度範囲は広くなる。(Bi,Pb)2212および(Bi,Pb)2221中のPbの価数が2+であるのに対し、(Bi,Pb)3221およびCa2PbO4中のPbの価数は4+であるため、(Bi,Pb)3221およびCa2PbO4の形成には酸素分圧が高い方が有利だからである。
第1のアニール工程における酸素分圧x(単位:kPa)とアニール温度y(単位:℃)との関係において、x<0.1(670≦y≦690)であると(Bi,Pb)3221が形成されにくくなり、x>21(600≦y≦825)であると(Bi,Pb)3221の形成量が多くなり過ぎてその後の分解処理が困難となる。また、y>−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22(0.1≦x≦21)であると(Bi,Pb)3221が形成されずに(Bi,Pb)2223が形成され、y<0.0028x4−0.1405x3+2.4131x2−17.81x+669.88(0.1≦x≦21)であると(Bi,Pb)3221が形成されにくくなる。
また、アニール時間が10時間より短いと(Bi,Pb)3221の形成がおこりにくく、200時間より長いと(Bi,Pb)3221の形成量が多くなり過ぎてその後の分解処理が困難となる。
本実施形態においては、上記第1のアニール工程により形成した(Bi,Pb)3221を分解するために、(I)の方法として、第2のアニール工程が用いられる。第2のアニール工程におけるアニール条件においても、酸素分圧とアニール温度とには密接な関係があり、形成した(Bi,Pb)3221を分解するのに好適な条件としては、酸素分圧が低いときはアニール温度は低い方が好ましく、酸素分圧が高いときはアニール温度は高い方が好ましい。なお、本実施形態の第2のアニール工程において、(Bi,Pb)2212から(Bi,Pb)2223に相変態する可能性も考えられ、TCおよびJCの向上が期待できる。
第2のアニール工程における酸素分圧x(単位:kPa)とアニール温度y(単位:℃)との関係において、x<0.01(650≦y≦680)であるとBi,Pb)3221は分解するが(Bi,Pb)2223の酸素量が減少するためTCおよびJCが低下し、x>5(790≦y≦800)であると(Bi,Pb)3221の分解が困難となりTCおよびJCを高めることができない。また、y>34.744×ln(x)+840(0.01≦x≦0.1)またはy>10.085×ln(x)+783.99(0.1≦x≦5)であると(Bi,Pb)3221の分解できるが(Bi,Pb)2223が分解する可能性があり、y<17.372×ln(x)+730(0.01≦x≦0.1)またはy<−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22であると(Bi,Pb)3221の分解が困難となる。
また、アニール時間が10時間より短いと(Bi,Pb)3221の分解が不十分であり、400時間より長いと(Bi,Pb)2223が分解する可能性がある。
上記実施形態2または実施形態3のBi系超電導体の製造方法において、熱処理工程の条件は、特に制限はないが、(Bi,Pb)2223を形成を促進する観点から、酸素分圧は1kPa以上9kPa以下、熱処理温度は750℃以上830℃以下、熱処理時間は30時間以上100時間以下が好ましい。
熱処理工程の酸素分圧が1kPaより低いと酸化物である(Bi,Pb)2223が形成されにくくなり、9kPaより高いと(Bi,Pb)2223相以外の異相(たとえば、Pb化合物相、Ca−Sr−Cu系化合物相など)が形成されやすい。かかる観点から、熱処理工程の酸素分圧は4kPa以上8kPa以下が好ましい。
熱処理工程の熱処理温度が750℃より低いと(Bi,Pb)2223が形成されにくくなり、830℃より高いと(Bi,Pb)2223が分解されやすく異相が凝集されやすくなる。かかる観点から、熱処理工程の熱処理温度は810℃以上825℃以下が好ましい。
熱処理工程の熱処理時間が30時間より短いと(Bi,Pb)2223が単相化されにくくなり、100時間より長いと(Bi,Pb)2223が分解する。かかる観点から、熱処理工程の熱処理時間は50時間以上75時間以下が好ましい。
また、実施形態2または実施形態3のBi系超電導体の製造方法において、アニール工程後のBi系超電導体を高酸素分圧雰囲気下でアニールする高酸素アニール工程をさらに含み、高酸素アニール工程は、酸素分圧が21kPa以上、高酸素アニール温度が200℃以上500℃以下で行なわれることが好ましい。(Bi,Pb)2223にキャリアとしてO(酸素)がドーピングされ、磁束のピンニング領域が広くなるため、磁束のピンニング効果が大きくなり、低温磁場特性が向上する(具体的には、低温領域において臨界磁場が高くなる。
高酸素アニール工程の酸素分圧が21kPaより低いとOがドーピングされにくくなる。高酸素アニール工程のアニール温度が200℃より低いとOは拡散速度が小さくドーピングされにくくなり、500℃より高いとOがドーピングされ過ぎてTCが低下する。
(実施形態4)
本発明にかかる超電導線材の一実施形態は、上記実施形態1のBi系超電導体を含み、具体的には、実施形態1のBi系超電導体をフィラメントとして複数含み、フィラメントが金属シース内に含まれている。実施形態1のBi系超電導体は、高いTCおよびJCを有しているため、かかるBi系超電導体をフィラメントとして含む超電導線材は、高いTCおよびJCが得られる。
(実施形態5)
上記実施形態4のBi系超電導線材の製造方法の一実施形態は、原材料を金属シースに充填する工程と、原材料を充填した金属シースを塑性加工して線材を形成する工程と、線材を熱処理してフィラメントとして非超電導相と(Bi,Pb)2223を含む超電導相とから構成されるBi系超電導体を形成する熱処理工程と、熱処理工程後の線材をPb化合物の(Bi,Pb)2223に対するXRDによる回折ピーク強度の比較から得られる比率が6%以下になるようにアニールする工程とを含む。ここで、塑性加工には、伸線加工、圧延加工などの材料の塑性変形を含むすべての加工を意味する。かかる製造方法により、高いTCおよびJCを有するBi系超電導線材が得られる。
本実施形態のBi系超電導線材の製造方法は、たとえば、以下のようにして行なうことができる。まず、原料としてBi23、SrCO3、CaCO3、CuOおよびPbOを、(Bi1-pPbp2Sr2Ca2Cu310+δ(0<p<0.25)の化学組成となるように配合、混合した後、700℃〜860℃の温度で焼成し、得られた多結晶体を粉砕して原材料の粉末を得る。ここで、原材料の粉末は、粉末全体として、(Bi1-pPbp2Sr2Ca2Cu310+δ(0<p<0.25)の化学組成を有する。
次に、上記の方法により得られた原材料粉末をAgなどの金属管に充填し伸線する。伸線した線材を圧延した後、たとえば酸素分圧1kPa〜9kPa、熱処理温度750℃〜830℃、熱処理時間30時間〜100時間の熱処理を加えて、(Bi,Pb)2223を形成させる(これを1次焼結という、以下同じ)。
次に、熱処理後の線材を2次圧延した後、たとえば酸素分圧1kPa〜9kPa、熱処理温度750℃〜830℃、熱処理時間30時間〜100時間の熱処理を加えて、(Bi,Pb)2223の結晶を粒接合させる(これを2次焼結という、以下同じ)。次に、(Bi,Pb)2223を含む2次焼結後の線材を実施形態2または実施形態3に示した条件によりアニールすることにより、Pb化合物比率が6%以下になるようにアニールして、Bi系超電導線材のTCおよびJCを高める(アニール工程)。
上記アニール工程の後の線材を、たとえば酸素分圧21kPa以上、アニール温度200℃以上500℃以下の条件で、高酸素アニールすることにより、Bi系超電導線材のJCの増大、特に、20K程度の極低温雰囲気下、磁場雰囲気中におけるJCの増大が期待できる。TCを上昇させるアニールにより、超電導線材中のBi系超電導体の(Bi,Pb)2223などの超電導相の酸素含有量が減少し、Bi系超電導体の結晶粒界における結合が弱くなる。このようなBi系超電導体の結晶粒界における結合を高め、臨界電流を増大させるために、超電導線材の上記高酸素アニールが有効である。
(実施形態6)
本発明にかかるBi系超電導機器は、TCおよびJCが高い実施形態4の超電導線材を含んでいるため、優れた超電導特性を有する。ここで、Bi系超電導機器は、上記Bi系超電導線材を含むものであれば特に制限なく、超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導限流器、超電導電力貯蔵装置などが挙げられる。
以下、比較例および実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
(比較例1)
原料として、Bi23、SrCO3、CaCO3、CuOおよびPbOを、Bi1.8Pb0.3Sr1.9Ca2.0Cu3.010+δの標準組成となるような化学量論比で配合、混合した後、830℃で24時間焼成して得られた多結晶体を粉砕して原材料の粉末を調整した。この原材料粉末を直径46mmの銀管に充填した後、伸線加工して、直径4.4mmのクラッド線を得た。このクラッド線55本を束ねて再び直径46mmの銀管に挿入し、伸線加工して、原材料粉末がフィラメント状となった多芯線を得た。
次に、上記多芯線について1次圧延、1次焼結、2次圧延および2次焼結を行い、銀比1.6で55芯のフィラメントで構成された長さ100mm、幅4.2mm、厚さ0.23mmのテープ状の超電導線材を得た。ここで、1次および2次の焼結は、酸素および窒素の混合ガス(酸素分圧8kPa、窒素分圧93kPa、全圧101kPa)雰囲気下、820℃で50時間行なった。これらの焼結により、上記フィラメント状の原材料粉末から(Bi,Pb)2223を含むBi系超電導体が形成される。なお、銀比とは、線材の横断面(幅×厚さ方向の断面)におけるフィラメント部分の面積に対する銀部分の面積の比をいう。
得られた超電導線材を液体窒素温度から昇温させながら、その磁化率をSQUID(超電導量子干渉計)型磁束計(Quantum Design社製MPMS-XL5S)を用いて、超電導線材のテープ面(幅4.2mmの面)に垂直な方向に0.2Oe(15.8A/m)の磁界を印加した環境下で測定し、TCを算出した。ここで、超電導線材の昇温速度は、0.3K/minとしていたため、TCの精度は±0.1K以内と考えられる。また、77K、0T雰囲気下における超電導線材の臨界電流ICを四端子法により電流−電圧特性を測定し、超電導線材の横断面におけるフィラメント面積0.388mm2で除して臨界電流密度JCを算出した。
また、この超電導線材の幅×厚さ方向の面についてXRD測定を行い、(Bi,Pb)3221、Ca2PbO4および(Bi,Pb)2223のXRDによる回折ピーク強度を用いて、上記の式(1)によりPb化合物((Bi,Pb)3221およびCa2PbO4)比率を算出した。
さらに、この超電導線材を砕いてその磁化率を測定することにより、線材中の(Bi,Pb)2223内にインターグロースしている(Bi,Pb)2212の臨界温度TC-2212を算出した。具体的には、5Kで規格化された磁化率曲線に現われた変曲点に高温側から近づけた点の接線と、低温側から近づけた点の接線との交点の温度をTC-2212とした。これらの結果を表1にまとめた。
(実施例1〜12,比較例2〜19)
比較例1と同様にして、(Bi,Pb)2223を含むBi系超電導体のフィラメントを有する超電導線材(以下、(Bi,Pb)2223を含む超電導線材という)を形成した後、この超電導線材を表1に示す条件で、それぞれアニールをした後、比較例1と同様にして、アニール工程後のそれぞれの超電導線材のTC、IC、JCおよびTC-2212を算出した。
ここで、アニールの際には、室温(たとえば20℃)から100℃/hrで昇温させて、表1に示すアニール温度およびアニール時間のアニールを行った後、50℃/hrで降温させて室温とした。また、酸素分圧0.0001kPa、0.01kPa、0.1kPa、1kPa、4kPaおよび21kPaの不雰囲気は、それぞれ、その酸素分圧を有する酸素および窒素の混合ガス(全圧101kPa)を用いて形成した。これらの結果を表1にまとめた。また、実施例1〜12および比較例2〜15のそれぞれのアニールにおける酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とを示す点を図1にプロットした(S1〜S12、R2〜R15)。
Figure 0004696811
表1および図1を参照して、実施例1〜12に示すように、各実施例のアニール工程における酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが上記の式(1−1)から式(1−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)内に存在し、アニール時間が10時間〜400時間の範囲内に存在することにより、JC>310A/mm2、かつ、TC>110.0KであるBi系超電導体が得られた。
なお、実施例1〜12,比較例2〜19においては、全圧が101kPa(大気圧)である酸素および窒素の混合ガス雰囲気下でアニールを行なったが、全圧が異なっても(たとえば、101kPaを超える加圧下においても)、酸素分圧が同一である限り、上記と同様の結果が得られることが期待される。
(実施例13〜20、比較例20,21)
比較例1と同様にして、(Bi,Pb)2223を含む超電導線材を形成した後、この超電導線材を表2に示す条件で、それぞれ第1のアニール工程および第2のアニール工程を行なった後、比較例1と同様にして、第1のアニール工程後のそれぞれの超電導線材のPb化合物比率ならびに第2のアニール工程後のそれぞれの超電導線材のTC、IC、JC、Pb化合物比率およびTC-2212を算出した。これらの結果を表2にまとめた。なお、参考のため、比較例1(第1および第2のアニールを行なわないもの)の結果についても、表2の第2のアニール後の物性の欄に、括弧書きで記載した。また、実施例13〜17および実施例18〜20のそれぞれの第1のアニールおよび第2のアニールにおける酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とを示す点をそれぞれ図2(a)および(b)にプロットした(S13〜S17、S13〜S20)。
Figure 0004696811
表2および図2を参照して、実施例13〜実施例20に示すように、各実施例の第1のアニール工程における酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが上記の式(2a−1)から式(2a−4)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)内に存在し、アニール時間が10時間〜200時間の範囲内に存在し、各実施例の第2のアニール工程における酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが上記の式(2b−1)から式(2b−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)内に存在し、アニール時間が10時間〜400時間の範囲内に存在することにより、JC>310A/mm2、かつ、TC>110.0KであるBi系超電導体が得られた。
(実施例21〜26、比較例22)
実施例21は実施例8で得られたBi系超電導線材について、77K、3Tにおける臨界電流(IC1、以下同じ)および臨界電流密度(JC1、以下同じ)、20K、3Tにおける臨界電流(IC2、以下同じ)および臨界電流密度(JC2、以下同じ)を測定したものであり、実施例22〜26は実施例8で得られたBi系超電導線材を表3に示す条件で高酸素アニールした後IC1、JC1、IC2およびJC2を測定したものである。また、比較例22は比較例1で得られたBi系超電導線材を表3に示す条件で高酸素アニールした後IC1、JC1、IC2およびJC2を測定したものである。なお、参考のため、表3の高酸素アニール後の物性の欄に、比較例1で得られたBi系超電導線材をアニールおよび高酸素アニールを行なうことなく測定したIC1、JC1、IC2およびJC2の値を括弧書きで記載した。
Figure 0004696811
表3を参照して、酸素分圧21kPa以上、アニール温度200℃以上500℃以下の条件で高酸素アニールすることによりBi系超電導線材の極低温(20K)におけるIC2およびJC2を高めることができ、極低温における磁気特性の向上が認められた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかるBi系超電導体の製造方法の一実施形態のアニール工程における酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)との関係を示す図である。 本発明にかかるBi系超電導体の製造方法の他の実施形態のアニール工程における酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)との関係を示す図である。ここで、(a)は第1のアニール工程における関係、(b)は第2のアニール工程における関係を示す。

Claims (4)

  1. 超電導相と非超電導相とから構成され、前記超電導相が(Bi,Pb)2223を含み、前記(Bi,Pb)2223に対する前記非超電導相におけるPb化合物である(Bi,Pb)3221およびCa 2 PbO 4 のXRDによる回折ピーク強度の比較から以下の式(1)
    (Pb化合物比率)(%)=100×((Bi,Pb)3221(300)+Ca 2 PbO 4 (130))/((Bi,Pb)2223(0014)) ・・・(1)
    (式(1)において、(Bi,Pb)3221(300)は(Bi,Pb)3221の(300)面に由来する回折ピーク強度、Ca 2 PbO 4 (130)はCa 2 PbO 4 の(130)面に由来する回折ピーク強度、(Bi,Pb)2223(0014)は(Bi,Pb)2223の(0014)面に由来する回折ピーク強度を表す。)
    により得られるPb化合物比率が6%以下であり、77K、0Tにおける臨界電流密度が310A/mm 2 より高いBi系超電導体の製造方法であって、
    原材料を熱処理して前記非超電導相および前記(Bi,Pb)2223を含む前記超電導相を形成する熱処理工程と、前記非超電導相および前記超電導相を、前記Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、
    前記アニールする工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(1−1)〜式(1−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
    x=0.01 (620≦y≦680) ・・・(1−1)
    y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
    ・・・(1−2)
    y=0.0663x5−1.3297x4+9.9628x3−35.166x2+62.864x+754.66 (0.1≦x≦7) ・・・(1−3)
    y=−4.3429×ln(x)+600 (0.01≦x≦0.1)
    ・・・(1−4)
    y=−0.0294x5+0.5136x4−2.2529x3−5.4341x2+63.824x+602.41 (0.1≦x≦7) ・・・(1−5)
    x=7 (750≦y≦810) ・・・(1−6)
    かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とするBi系超電導体の製造方法。
  2. 超電導相と非超電導相とから構成され、前記超電導相が(Bi,Pb)2223を含み、前記(Bi,Pb)2223に対する前記非超電導相におけるPb化合物である(Bi,Pb)3221およびCa 2 PbO 4 のXRDによる回折ピーク強度の比較から以下の式(1)
    (Pb化合物比率)(%)=100×((Bi,Pb)3221(300)+Ca 2 PbO 4 (130))/((Bi,Pb)2223(0014)) ・・・(1)
    (式(1)において、(Bi,Pb)3221(300)は(Bi,Pb)3221の(300)面に由来する回折ピーク強度、Ca 2 PbO 4 (130)はCa 2 PbO 4 の(130)面に由来する回折ピーク強度、(Bi,Pb)2223(0014)は(Bi,Pb)2223の(0014)面に由来する回折ピーク強度を表す。)
    により得られるPb化合物比率が6%以下であり、77K、0Tにおける臨界電流密度が310A/mm 2 より高いBi系超電導体の製造方法であって、
    原材料を熱処理して前記非超電導相および前記(Bi,Pb)2223を含む前記超電導相を形成する熱処理工程と、前記非超電導相および前記超電導相を、前記Pb化合物比率が6%以下になるように、アニールする工程とを含み、
    前記アニールする工程は、前記Pb化合物である(Bi,Pb)3221を形成する第1のアニール工程と、前記(Bi,Pb)3221を分解する第2のアニール工程とを含み、
    前記第1のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2a−1)〜式(2a−4)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
    x=0.1 (670≦y≦690) ・・・(2a−1)
    y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−2)
    y=0.0028x4−0.1405x3+2.4131x2−17.81x+669.88 (0.1≦x≦21) ・・・(2a−3)
    x=21 (600≦y≦825) ・・・(2a−4)
    かつ、アニール時間が10時間以上200時間以下であり、
    前記第2のアニール工程の条件は、酸素分圧x(kPa)とアニール温度y(℃)とが以下の式(2b−1)〜式(2b−6)の線分で囲まれる領域(各式の線分を含む)に存在し、
    x=0.01 (650≦y≦680) ・・・(2b−1)
    y=34.744×ln(x)+840 (0.01≦x≦0.1)
    ・・・(2b−2)
    y=10.085×ln(x)+783.99 (0.1≦x≦5)
    ・・・(2b−3)
    y=17.372×ln(x)+730 (0.01≦x≦0.1)
    ・・・(2b−4)
    y=−0.0023x4+0.1451x3−3.3054x2+33.254x+689.22 (0.1≦x≦5) ・・・(2b−5)
    x=5 (790≦y≦800) ・・・(2b−6)
    かつ、アニール時間が10時間以上400時間以下であることを特徴とするBi系超電導体の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は、酸素分圧が1kPa以上9kPa以下、熱処理温度が750℃以上830℃以下、熱処理時間が30時間以上100時間以下で行なわれることを特徴とする請求項または請求項に記載のBi系超電導体の製造方法。
  4. 前記アニールする工程後のBi系超電導体を高酸素分圧雰囲気でアニールする高酸素アニール工程をさらに含み、
    前記高酸素アニール工程の条件は、酸素分圧が21kPa以上、アニール温度が200℃以上500℃以下である請求項から請求項までのいずれかに記載のBi系超電導体の製造方法。
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