JP2008140769A - Bi2223超電導線材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物ガスの侵入を減少して、臨界電流値を向上するBi2223超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】Bi2212を主相とし、残部がBi−2223相および非超電導相である粉末状の前駆体11を準備する準備工程と、1000Pa以下の圧力下で金属管12に前駆体11を充填する充填工程と、1000Pa以下の圧力下で前駆体11が充填された金属管12を封止する封止工程とを備えている。充填工程と封止工程との間に、前駆体11が充填された金属管12を1000Pa以下下の圧力で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なう加熱工程をさらに備えていることが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、Bi2223超電導線材の製造方法に関する。
Bi2223超電導線材は、Bi−2223相からなる超電導体をパウダーインチューブ法により長尺なテープ状線材に形成される。この方法は、超電導相などの粉末を金属管に充填し、単芯材を製造する。その後に、単芯材を複数本束ねて、シース部に挿入することにより多芯構造を得られる。その多芯構造の母線に伸線、圧延などの加工を施し、線材形状にした後、熱処理を施して焼結することにより、超電導性を有するBi2223超電導線材を製造できる。
このような製造方法において、大気中で金属管に粉末を充填すると、極性分子などの不純物ガスが1000ppm以上吸着される。その後、伸線や圧延などの成形プロセスでは、粉末が高密度化されるので、吸着した不純物ガスにより、超電導体の結晶間に空隙を生じたり、不純物ガスと粉末とが結合して超電導フィラメントの乱れを引き起こし、臨界電流値が低下するという問題があった。
また、大気中で金属管に粉末を充填すると、空気抵抗のため、充填密度を30%以上にすることができない。充填密度の低い粉末領域では空隙が多いため、伸線や圧延などの成形プロセスで粗密化が進み、Bi2223超電導結晶の配向乱れを引き起こして、臨界電流値が低下するという問題があった。
また、吸着された不純物ガスを除去するために、加熱を施すことがある。しかし、加熱時の金属管の内部と外部との差圧が大きいため、粉末の充填密度が低下してしまう。粉末の充填密度が低下すると、同様に臨界電流値が低下するという問題があった。
そのため、金属管内の不純物ガスを除去することを目的として、特開2004−87488号公報(特許文献1)および特開2001−184956号公報(特許文献2)に、粉末を充填した金属管の開口部を減圧した状態で封止することが開示されている。
特開2004−87488号公報 特開2001−184956号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に開示の方法においても、金属管に粉末を充填する際に不純物ガスが吸着するので、不純物ガスの除去に改善の余地は未だある。
したがって、本発明の目的は、金属管に前駆体を充填する際および封止する際に不純物ガスの侵入を減少して、臨界電流値を向上するBi2223超電導線材の製造方法を提供することである。
本発明のBi2223超電導線材の製造方法は、準備工程と、充填工程と、封止工程とを備えている。準備工程では、Bi−2212相を主相とし、残部がBi−2223相および非超電導相である粉末状の前駆体を準備する。充填工程では、1000Pa以下の圧力下で金属管に前駆体を充填する。封止工程では、1000Pa以下の圧力下で前駆体が充填された金属管を封止する。
本発明のBi2223超電導線材の製造方法によれば、充填工程および封止工程を1000Pa以下の圧力下で行なうことにより、前駆体を金属管に充填する際に不純物ガスを減少できるとともに、不純物ガスを減少した状態で金属管を封止できる。そのため、伸線や圧延などの成形プロセスにおいて、不純物ガスによるBi2223超電導相の配向乱れの発生を防止できる。よって、臨界電流値を向上することができる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、酸素を含む雰囲気下で充填工程と封止工程とを実施する。
充填工程および封止工程で金属管の内部に酸素が含まれると、封止工程後の熱処理において、前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応を促進できる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、充填工程と封止工程とは、酸素分圧が1Pa以上100Pa以下の雰囲気で行なう。
これにより、封止工程後の熱処理において前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応をより促進できる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、充填工程と、封止工程とを1のチャンバ内で行なう。これにより、上記の圧力下で製造を容易に行なうことができる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、充填工程と封止工程との間に、前駆体が充填された金属管を1000Pa以下の圧力下で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なう加熱工程をさらに備えている。
これにより、金属管の内部に充填された前駆体に吸着している不純物ガスをより除去することができる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、充填工程と、加熱工程と、封止工程とを1のチャンバ内で行なう。これにより、上記の圧力下で製造を容易に行なうことができる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、充填工程後の金属管に充填された前駆体の充填密度は、30%以上50%以下である。
これにより、製造されるBi2223超電導線材において、Bi−2223相を主相とするフィラメントの密度を向上できる。そのため、臨界電流値を向上できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、準備工程では、Bi−2212相の超電導転移温度が74K以下である前駆体を準備する。
超電導転移温度を74K以下にすることにより、Bi−2212相に含有される酸素量を大幅に増加させることができる。そのため、封止工程後の熱処理において、前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応を効果的に促進できる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
なお、上記「超電導転移温度」とは、材料が超電導状態になる温度を意味し、超電導量子干渉素子(SQUID)を用いて温度−帯磁率曲線を測定し、5Kにおける磁化の大きさの0.5%の磁化を示した温度である。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、準備工程では、含有される水分が450ppm以下である前駆体を準備する。
不純物としての水分を450ppmにすることにより、成形プロセスによるBi2223超電導相の配向乱れの発生を効果的に抑制できる。そのため、臨界電流値を大幅に向上できるBi2223超電導線材を製造できる。
なお、上記「水分」はカールフィッシャー法によって測定される値である。具体的には、900℃まで加熱された試料から検出される水分量を測定した後、試料重量で除した値である。
本発明のBi2223超電導線材の製造方法によれば、金属管に前駆体を充填する際および封止する際に不純物ガスの侵入を減少できるので、臨界電流値を向上できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法により製造されたBi2223超電導線材を示す概略斜視図である。図1を参照して、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材を説明する。図1に示すように、実施の形態におけるBi2223超電導線材100は、長手方向に延びる複数本の超電導体であるフィラメント111と、それらを被覆するシース部110とを備えている。複数本のフィラメント111の各々の材質は、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表わされるBi−2223相を主相とし、残部がBi−2212相および不可避的不純物からなる。シース部110の材質は、たとえば銀や銀合金などの金属よりなっている。なお、主相とは、フィラメント111においてBi−2223相が60%以上含まれていることを意味する。
次に、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法を説明するための概略図である。
実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法では、図3に示すように、充填工程(S20)と、加熱工程(S30)と、封止工程(S40)とを1のチャンバ20内で行なっている。チャンバ20は、主室21と、排気部材22と、副室23とを含んでいる。排気部材22は、主室21および副室23の内部を1000Pa以下の圧力に調整できる。主室21と副室23とは接続されている。主室21は、内部に前駆体11を充填した金属管12を加熱するための加熱部材24を収容している。副室23は、内部に前駆体11を金属管12に供給するための供給部材25を収容している。
図2および図3に示すように、まず、Bi−2212相((BiPb)2Sr2Ca1Cu2ZまたはBi2Sr2Ca1Cu2Z)を主相とし、残部がBi−2223相((BiPb)2Sr2Ca2Cu3Z相)および非超電導相である粉末状の前駆体11を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)で準備される前駆体11は、Bi2223超電導線材100のフィラメント111を構成するBi2223超電導体の原料である。なお、主相とは、前駆体11においてBi−2212相が60%以上含まれていることを意味する。
準備工程(S10)では、原料粉末としてBi、Pb、Sr、CaおよびCuを用い、たとえばBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.7:0.4:1.9:2.0:3.0の組成比になるように原料粉末を混合する。これに700℃〜860℃程度の熱処理を複数回施し、多量のBi−2212相、少量のBi−2223相、および非超電導相から構成される粉末状の前駆体11を準備する。
また、準備工程(S10)では、必要に応じて前駆体11を、充填工程(S20)を実施する前に、たとえば400℃以上800℃以下で熱処理して、前駆体11に含有されるガスや水分などを除去することが好ましい。たとえば、噴霧した液滴を加熱炉内に導入し、溶媒の蒸発および、化学反応により微粒子を核生成・成長させた後、焼結して組織と形状を整える噴霧熱分解法(Spray Pyrolysis法)を用いることが好ましい。
準備工程(S10)では、酸素を含む雰囲気で上記熱処理によって、Bi−2212相の超電導転移温度(Tc)が74K以下である前駆体を準備することが好ましい。超電導転移温度(Tc)は74K以下が好ましく、55K以上69K以下がより好ましい。74K以下とすることによって、Bi−2212相に酸素を多く含有されているため、後述する封止工程(S40)後の熱処理において、前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応を効果的に促進できる。69K以下とすることによって、前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応をさらに促進できる。なお、超電導転移温度の下限値は、製造に要する時間を短縮する観点からたとえば55K以上である。たとえば50%以上の酸素を含む雰囲気で上記温度範囲で熱処理を行なうことにより、上記範囲の超電導転移温度(Tc)のBi−2212相が得られる。
準備工程(S10)では、含有される水分が450ppm以下である前駆体を準備することが好ましい。含有される水分は、450ppm以下が好ましく、40ppm以上400ppm以下がより好ましい。450ppm以下とすることによって、不純物としての水分を低減できるので、後述する伸線や圧延などの成形プロセスにおいてBi2223超電導相の配向乱れの発生を効果的に抑制できる。そのため、臨界電流値を大幅に向上できるBi2223超電導線材を製造できる。400ppm以下とすることによって、不純物としての水分をさらに低減できるので、後述する伸線や圧延などの成形プロセスにおいてBi2223超電導相の配向乱れの発生をさらに効果的に抑制できる。なお、水分の下限値は、製造に要する時間を短縮する観点からたとえば40ppm以上である。たとえば乾燥炉を用いて800℃で加熱することによって、上記範囲の水分を含有する前駆体11が得られる。
準備工程(S10)では、含有されるBi−2212相はオーバードープ状態である前駆体11を準備することが好ましい。オーバードープ状態とは、Bi−2212相の超電導転移温度が最大となる最適酸素含有状態に比べて過剰に酸素が取り込まれた状態を意味する。準備される前駆体11に含まれるBi−2212相がオーバードープ状態であれば、前駆体のBi−2212相からBi−2223相への反応を効果的に促進できる。
準備工程(S10)で準備される前駆体11は、最大粒径が10μm以下であることが好ましく、平均粒径が2μm以下であることがより好ましい。これにより、後述する充填工程(S20)で、前駆体11を金属管12により高密度に充填できる。
準備工程(S10)で準備される前駆体11は、副室23の内部の供給部材25に配置されることが好ましい。
次に、図2に示すように、1000Pa以下の圧力下で金属管12に前駆体11を充填する充填工程(S20)を実施する。充填工程(S20)では、図3に示すように、たとえば供給部材25を介して、前駆体11の自重を利用して、前駆体11を金属管12に充填する。その際、主室21内において、金属管12に導入するための部材26を介してもよい。
金属管12は特に限定されないが、Ag(銀)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、およびOs(オスミウム)より選択される金属またはこれらの金属をベースとする合金からなることが好ましい。加工性が良いこと、Bi−2223相との反応性が低いこと、およびクエンチ現象による発熱を速やかに取り去ることができる観点から、金属管12としては熱伝導率の高い銀や銀合金などを用いることが好ましい。
充填工程(S20)で金属管12に前駆体11を充填する時の圧力は、1000Pa以下であり、0.001Pa以上900Pa以下が好ましく、1Pa以上300Pa以下がより好ましい。1000Paを超える圧力下で前駆体11を充填すると、前駆体11にたとえば水蒸気、炭素、炭化水素などの不純物ガスが吸着しやすくなる。900Pa以下とすることによって、前駆体11への不純物ガスの吸着をより防止できる。300Pa以下とすることによって、前駆体11への不純物ガスの吸着をより一層防止できる。一方、設備性能の観点から、0.001Pa以上とすることが好ましい。1Pa以上とすることによって、チャンバ20の内部の圧力をより調整しやすい。
充填工程(S20)では、酸素を含む雰囲気下で行なうことが好ましく、具体的には、酸素分圧を1Pa以上100Pa以下、好ましくは8Pa以上100Pa以下で行なう。酸素分圧を1Pa以上とすることによって、金属管12の内部に酸素が含まれるので、後述する熱処理を実施することにより前駆体11のBi−2212相をBi−2223相へ反応させることを促進できる。8Pa以上とすることによって、前駆体11のBi−2212相からBi−2223相への反応をより促進できる。一方、100Pa以下とすることによって、金属管12に充填された前駆体11の充填密度を低下させない。
充填工程(S20)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度は、30%以上50%以下であることが好ましく、33%以上40%以下であることがより好ましい。1000Pa以下の圧力雰囲気下で充填することによって、空気抵抗を減少できるので、前駆体11の自重のみを利用して、上記範囲内の充填密度で前駆体11を金属管12に充填できる。充填密度を30%以上とすることによって、後述する伸線や圧延などの成形プロセスにおいて、Bi−2223相を主相とするフィラメント111の密度を向上できるので、より高い臨界電流値を有する。充填密度を33%以上とすることによって、フィラメント111の密度をより向上できる。一方、充填密度を50%以下とすることによって、金属管12の内部の通気性が良好であり、後述する加熱工程(S30)で金属管12の内部を均一に加熱できるので、内部の不純物ガスを均一に除去できる。充填密度を40%以下とすることによって、加熱工程(S30)で不純物ガスをより均一に除去できる。
なお、上記「充填密度」とは、{(充填される前駆体11の重量÷前駆体11が充填されている部分の体積)÷理論密度}×100の式で示される値(%)を意味する。理論密度とは、前駆体11が単結晶のように隙間なく詰まった状態の密度である。
充填工程(S20)によって、1000Pa以下の圧力下で金属管12に前駆体11を充填すると、前駆体11が充填された金属管12の内部の不純物濃度は1000ppm以下となる。
次に、図2に示すように、前駆体11が充填された金属管12を1000Pa以下の圧力下で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なう加熱工程(S30)を実施する。加熱工程(S30)では、たとえば図3に示すように、主室21内に配置された加熱部材24により、前駆体11が充填された金属管12を加熱する。周囲を加熱部材24に囲まれるように配置するために、前駆体11が充填された金属管12をたとえばロボットアーム(図示せず)などにより移動させる。なお、加熱工程(S30)は、省略されてもよい。
加熱工程(S30)で前駆体11が充填された金属管12を充填する時の圧力は、1000Pa以下であり、0.001Pa以上900Pa以下が好ましく、1Pa以上300Pa以下がより好ましい。1000Pa以下の圧力とすると、前駆体11に吸着した不純物ガスを除去しやすい。900Pa以下とすることによって、前駆体11へ吸着した不純物ガスをより除去しやすい。300Pa以下とすることによって、前駆体11へ吸着した不純物ガスをより一層除去できる。一方、設備性能の観点から、0.001Pa以上とすることが好ましい。1Pa以上とすることによって、チャンバ20の内部の圧力をより調整しやすい。
加熱工程(S30)で前駆体11が充填された金属管12を充填する時の温度は、100℃以上800℃以下であり、500℃以上800℃以下が好ましい。100℃以上とすることによって、充填工程(S20)で金属管12に充填された前駆体11に吸着した不純物ガスを除去しやすい。500℃以上とすることによって、前駆体11に吸着した不純物ガスをより除去しやすい。800℃以下とすることによって、前駆体11が溶解しない。
加熱工程(S30)では、充填工程(S20)と同様に、酸素を含む雰囲気下で行なうことが好ましく、具体的には、酸素分圧を1Pa以上100Pa以下で行なうことが好ましい。
また、加熱工程(S30)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度は、充填工程(S20)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度と同様であり、30%以上50%以下であることが好ましい。
加熱工程(S30)によって、前駆体11が充填された金属管12を1000Pa以下の圧力下で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なうと、前駆体11が充填された金属管12の内部の不純物濃度は10ppm以下となる。
次に、1000Pa以下の圧力下で前駆体11が充填された金属管12を封止する封止工程(S40)を実施する。封止工程(S40)では、たとえば図3に示すように、金属管12の端部の開口部を封止部材13で封止する。
封止工程(S40)で金属管12に前駆体11を充填する時の圧力は、1000Pa以下であり、0.001Pa以上900Pa以下が好ましく、1Pa以上300Pa以下がより好ましい。1000Paを超える圧力とすると、封止する際に金属管12内部に不純物ガスが混入しやすくなる。900Pa以下とすることによって、金属管12内部への不純物ガスの混入をより防止できる。300Pa以下とすることによって、金属管12内部への不純物ガスの混入をより一層防止できる。一方、設備性能の観点から、0.001Pa以上とすることが好ましい。1Pa以上とすることによって、チャンバ20の内部の圧力をより調整しやすい。
封止工程(S40)では、充填工程(S20)と同様に、酸素を含む雰囲気下で行なうことが好ましく、具体的には、酸素分圧を1Pa以上100Pa以下で行なうことが好ましい。
封止工程(S40)で金属管12に前駆体11を充填する時の温度は、100℃以上800℃以下が好ましい。100℃以上とすることによって、封止する際に前駆体11への不純物ガスの吸着をより防止できる。800℃以下とすることによって、前駆体11が溶解しない。
また、封止工程(S40)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度は、充填工程(S20)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度と同様であり、30%以上50%以下であることが好ましい。
封止工程(S40)では、前駆体11が充填された金属管12を封止する方法は特に限定されない。封止する方法は、金属管12を封止した状態で伸線加工を行なう観点から、伸線加工に耐えることができるとともに、真空封入に適用可能な接合方法が好ましい。具体的には、封止する方法は、誘導加熱方式、電子ビーム溶接、ロウ付け、金属管12に溶接した排気ノズルの圧着のいずれかの方法を用いることが好ましい。
また、封止部材13は特に限定されないが、金属管12と同じ材料からなり、金属管12の開口部に嵌合できる形状のものを用いることが好ましい。
以上の工程(S10〜S40)を実施することによって、前駆体11と、前駆体11を内部に充填した金属管12と、金属管12内に空気などが侵入しないための封止部材13とを備える素線10を製造できる。以下、素線10を用いてBi2223超電導線材を製造するための成形プロセスについて説明する。
次に、素線10を伸線加工して、前駆体11を芯材として銀などの金属で被覆された単芯線を作製する。次に、この単芯線を多数束ねて、たとえば銀などの金属よりなる金属管内に嵌合する(多芯嵌合)。これにより、前駆体11を芯材として多数有する多芯構造の線材が得られる。
なお、上記においては多芯線の線材の製造方法について説明したが、1本の素線10からなる単芯線構造のBi2223超電導線材を製造する場合には、多芯嵌合が省略されてもよい。
次に、所望の直径にまで多芯構造の線材を伸線加工し、前駆体11がたとえば銀などのシース部110に埋め込まれた多芯線を作製する。これにより、超電導線材100の前駆体11を金属で被覆した形態を有する長尺の多芯線の線材が得られる。
次に、この多芯線の線材を圧延することによって、テープ状の線材にする。この圧延によって、前駆体11の密度がさらに高められる。
充填密度が高く、かつ不純物ガスの濃度が低減された素線10を用いているので、上記の伸線や圧延などの成形プロセスにおいて粗密が起こらず、Bi2223超電導結晶の配向乱れを引き起こさない。
次に、このテープ状の線材をたとえば大気圧で、400℃〜900℃の温度で、熱処理する。熱処理することによって、前駆体11のBi−2212相が結晶成長し、Bi−2223相よりなる超電導結晶を主相とするフィラメント111となる。熱処理によって前駆体11のBi−2212相がBi−2223相に変わりきらないため、フィラメント111は、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の元素比がほぼ2:2:1:2よりなるBi−2212相よりなる超電導結晶を含む場合もある。なお、熱処理および圧延をテープ状の線材に複数回施してもよい。
以上の製造工程を実施することにより、図1に示すBi2223超電導線材100が得られる。Bi2223超電導線材100は、金属管12に侵入する不純物ガス濃度を低減できる素線により製造されているので、Bi2223超電導線材100の結晶配向性は向上し、臨界電流値を向上することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材100の製造方法によれば、Bi−2212相を主相とし、残部がBi−2223相および非超電導相である粉末状の前駆体11を準備する準備工程(S10)と、1000Pa以下の圧力下で金属管12に前駆体11を充填する充填工程(S20)と、1000Pa以下の圧力下で前駆体11が充填された金属管12を封止する封止工程(S40)とを備えている。充填工程(S20)および封止工程(S40)を1000Pa以下の圧力下で行なうことにより、前駆体11を金属管12に充填する際に、金属管12に侵入する不純物ガスを減少できるとともに、不純物ガスを減少した状態で金属管12を封止できる。そのため、伸線や圧延などの成形プロセスにおいて、不純物ガスによるBi2223超電導相の配向乱れの発生を防止できる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材100を製造することができる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、酸素を含む雰囲気下で充填工程(S20)と封止工程(S40)とを実施する。これにより、充填工程(S20)および封止工程(S40)を実施する際に、金属管12の内部に酸素を含有させることができる。そのため、封止工程(S40)後の熱処理において、前駆体11のBi−2212相からBi−2223相への反応を促進できる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、充填工程(S20)と封止工程(S40)とは、酸素分圧を1Pa以上100Pa以下で行なう。これにより、封止工程(S40)後の熱処理において、前駆体11のBi−2212相からBi−2223相への反応をより促進できる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、充填工程(S20)と、封止工程(S40)とを1のチャンバ20内で行なう。これにより、上記の圧力下で製造を容易に行なうことができる。また、充填工程(S20)と、封止工程(S40)とを効率良く実施できる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、充填工程(S20)と封止工程(S40)との間に、前駆体11が充填された金属管12を1000Pa以下の圧力下で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なう加熱工程(S30)をさらに備えている。これにより、充填工程(S20)で充填された前駆体11に吸着している不純物ガスを、より多く除去することができる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、充填工程(S20)と、加熱工程(S30)と、封止工程(S40)とを1のチャンバ20内で行なう。これにより、上記の圧力下で製造を容易に行なうことができる。また、充填工程(S20)と、加熱工程(S30)と、封止工程(S40)とを効率良く実施できる。
上記Bi2223超電導線材100の製造方法において好ましくは、充填工程(S20)後の金属管12に充填された前駆体11の充填密度は、30%以上50%以下である。これにより、製造されるBi2223超電導線材のフィラメント111においてBi−2223相の密度が向上する。そのため、臨界電流値を向上できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、準備工程(S10)では、Bi−2212相の超電導転移温度が74K以下である前駆体11を準備する。超電導転移温度を74K以下にすることにより、Bi−2212相に含有される酸素量を大幅に増加させることができる。そのため、封止工程(S40)後の熱処理において、前駆体11のBi−2212相からBi−2223相への反応を効果的に促進できるので、Bi−2223相をより多く含むフィラメント111を形成できる。よって、高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
上記Bi2223超電導線材の製造方法において好ましくは、準備工程(S10)では、含有される水分が450ppm以下である前駆体11を準備する。不純物としての水分を450ppmにすることにより、成形プロセスによるBi2223超電導相の配向乱れの発生を効果的に抑制できる。そのため、非常に高い臨界電流値を有するBi2223超電導線材を製造できる。
[実施例1]
本実施例では、充填工程および封止工程において1000Pa以下の圧力下で行なうことの効果について調べた。具体的には、本発明例1〜15および比較例1のBi2223超電導線材を製造し、それぞれのBi2223超電導線材の配向ずれ角および臨界電流値を測定した。
(本発明例1〜15)
本発明例1〜15のBi2223超電導線材は、本発明の実施の形態のBi2223超電導線材の製造方法に従って製造した。
本発明例1〜15では、充填工程(S20)と、加熱工程(S30)を実施する場合には加熱工程(S30)と、封止工程(S40)とを図3に示す1のチャンバ内で行なった。そのため、下記の表1中、全体圧力は、充填工程(S20)、加熱工程(S30)を実施する場合には加熱工程(S30)、および封止工程(S40)を実施したときの圧力(全圧:Pa)を意味する。また、表1中、酸素圧力は、充填工程(S20)、加熱工程(S30)を実施する場合には加熱工程(S30)、封止工程(S40)を実施したときの酸素分圧を意味する。なお、酸素圧力(Pa)は、チャンバ内の酸素濃度を濃度計で測定し、全圧×濃度により算出した。
具体的には、準備工程(S10)では、Bi−2212相、Ca2PbO4、Ca2CuO3、(Ca,Sr)14Cu2441からなる前駆体を準備した。準備した前駆体の超電導転移温度(Tc)および水分量をそれぞれ下記の表1に記載する。ここで、超電導転移温度(Tc)は、超電導量子干渉素子(SQUID)を用いて測定した帯磁率曲線から、5Kにおける磁化の0.5%の磁化を示す温度とした。水分は、カールフィッシャー法によって、900℃まで加熱された試料から検出される水分量を測定した後、試料重量で除した値とした。
充填工程(S20)では、表1に記載の圧力下でAgからなる金属管にBi−2212相、Ca2PbO4、Ca2CuO3、(Ca,Sr)14Cu2441からなる前駆体を充填した。
次に、加熱工程(S30)を実施する場合には、表1に記載の温度および圧力下でヒータにより金属管の外部から加熱した。
次に、封止工程(S40)では、表1に記載の圧力下で、前駆体が充填された金属管をAgからなる封止部材を誘電加熱方式により封止した。
次に、前駆体を内部に充填した金属管を伸線加工して、単芯線を作製した。次に、この単芯線を多数束ねて、Agからなる金属管内に嵌合して多芯構造の線材を得た。次に、多芯構造の線材を伸線加工し、圧延して、テープ状の線材にした。次に、840℃、50時間、酸素濃度8%の条件で熱処理を行なった。
以上の工程を実施することによって、本発明例1〜15におけるBi2223超電導線材を得た。
(比較例1)
比較例1におけるBi2223超電導線材の製造方法は、基本的には本発明例1〜15のBi2223超電導線材の製造方法と同様であるが、1000Paを超える1050Paの圧力下で充填工程および封止工程を実施した点においてのみ異なる。
Figure 2008140769
(評価方法)
本発明例1〜15および比較例1のBi2223超電導線材の製造方法に従って製造されたBi2223超電導線材について、以下の方法で充填密度、配向ずれ角、および臨界電流値を測定した。なお、これらの結果を表1に示す。
充填密度は、充填工程後に、金属管の開口部の上方からレーザを照射して、ミラーによりレーザを反射させて、金属管において前駆体が充填された高さを測定した。そして、測定された高さと金属管の底面積より前駆体が充填されている部分の体積を算出した。また、金属管に充填した前駆体の重量を測定した。そして、前駆体の材料の理論密度が6.3g/cm3であること、測定した高さおよび前駆体の重量から、{(充填される前駆体の重量÷前駆体が充填されている部分の体積)÷理論密度}×100の式により算出した。
配向ずれ角は、製造された本発明例1〜15および比較例1におけるBi2223超電導線材のフィラメントにおいて、Bi−2223相よりなる超電導結晶のXRDロッキングカーブで測定された(0.0.24)ピークのFWHMを測定した。なお、FWHMは、Bi−2223相からなる超電導結晶のa−b面方向が、Bi2223超電導線材の延びる方向(Bi2223超電導線材に電流が流れる方向)に対する傾角を反映する値であり、超電導結晶の配向性を示す指標となる。FWHMの値が小さいほど各超電導結晶のa−b面が良好に配向していることを示す。
臨界電流値は、製造された本発明例1〜15および比較例1のBi2223超電導線材について、温度が77Kで、自己磁場中において、臨界電流値を測定した。臨界電流値は、10-6V/cmの電界が発生したときの通電電流値とした。
(評価結果)
表1に示すように、比較例1のBi2223超電導線材の充填密度が15%と低かったのに対して、本発明例1〜15のBi2223超電導線材は、充填工程(S20)で1000Pa以下の圧力下で金属管に前駆体を充填したので、充填密度を30%以上50%以下にできた。そのため、本発明例1〜15のBi2223超電導線材のBi2223結晶配向ずれ角は比較例1よりも小さくなった。また、本発明例1〜15のBi2223超電導線材の臨界電流値は比較例1よりも大きかった。
特に、酸素分圧を1Pa以上100Pa以下で充填工程、加熱工程、および封止工程を実施した本発明例12のBi2223超電導線材は、配向ずれ角および臨界電流値を大きく向上できた。
[実施例2]
本実施例では、準備工程において準備される前駆体に含まれるBi−2212相の超電導転移温度が74K以下であることの効果について調べた。具体的には、本発明例16〜21のBi2223超電導線材を製造し、それぞれのBi2223超電導線材の臨界電流値を測定した。
(本発明例16〜21)
本発明例16〜21は、基本的には本発明例12と同様の製造方法としたが、準備工程(S10)においてのみ異なる。
詳細には、Bi−2212相、Ca2PbO4、Ca2CuO3、(Ca,Sr)14Cu2441からなる粉末を準備した。その粉末を650℃の温度で下記の表2に記載の濃度の酸素を含有する雰囲気で熱処理を行なった。これにより、前駆体を準備した。本発明例16〜21の準備工程(S10)で準備された前駆体の超電導転移温度(Tc)を下記の表2に記載する。なお、超電導転移温度(Tc)は実施例1と同様に測定した。前駆体に含有されている水分は、400ppmであった。その後、本発明例12と同様に充填工程(S20)、加熱工程(S30)および封止工程(S40)を実施した。
(評価方法)
得られた本発明例16〜21のBi2223超電導線材について、実施例1と同様に臨界電流値を測定した。その結果を下記の表2に記載する。
Figure 2008140769
(評価結果)
表1および表2に示すように、本発明例16〜21のBi22223超電導線材は比較例1のBi2223超電導線材よりも臨界電流値が高かった。また、準備工程(S10)においてBi−2212相の超電導転移温度が74K以下である前駆体を用いて製造された本発明例19〜21のBi2223超電導線材は、74Kを超えている前駆体を用いた本発明例16〜18と比較して、臨界電流値を大幅に向上できた。
以上より、本実施例によれば、効果的に臨界電流値を向上させるためには、準備する前駆体に含有されるBi−2212相の超電導転移温度(Tc)が74K以下であることが確認できた。
[実施例3]
本実施例では、準備工程において準備される前駆体に含まれる水分が450ppm以下であることの効果について調べた。具体的には、本発明例22〜29のBi2223超電導線材を製造し、それぞれのBi2223超電導線材の臨界電流値を測定した。
(本発明例22〜29)
本発明例22〜29は、基本的には本発明例12と同様の製造方法としたが、準備工程(S10)においてのみ異なる。
詳細には、Bi−2212、Ca2PbO4、Ca2CuO3、(Ca,Sr)14Cu2441からなる粉末を780℃の温度で8時間加熱することにより準備した。その後、この粉末について、下記の表2に記載の時間、大気中にさらして大気中の水分を吸収させることにより、前駆体を準備した。本発明例22〜29の準備工程(S10)で準備された前駆体の水分を下記の表3に記載する。なお、水分は実施例1と同様に測定した。前駆体に含有されている超電導転移温度(Tc)は、61Kであった。本発明例2の前駆体は乾燥炉から取り出して時間をあけずに充填工程(S20)を実施した。その後、本発明例12と同様に充填工程(S20)、加熱工程(S30)および封止工程(S40)を実施した。
(評価方法)
得られた本発明例22〜29のBi2223超電導線材について、実施例1と同様に臨界電流値を測定した。その結果を下記の表3に記載する。
Figure 2008140769
(評価結果)
表1および表3に示すように、本発明例22〜29のBi22223超電導線材は比較例1のBi2223超電導線材よりも臨界電流値が高かった。また、表3に示すように、準備工程(S10)において含有される水分が450ppm以下である前駆体を用いて製造された本発明例24〜28は、水分が450ppmを超える本発明例22、23および29と比較して、臨界電流値を大幅に向上できた。
以上より、本実施例によれば、効果的に臨界電流値を向上させるためには、準備する前駆体に含有される水分が450ppm以下であることが確認できた。
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明のBi2223超電導線材の製造方法により製造されるBi2223超電導線材は、金属管に前駆体を充填する際および封止する際に不純物ガスを減少できるので、臨界電流値を向上できる。そのため、本発明のBi2223超電導線材の製造方法により製造されるBi2223超電導線材は、たとえば超電導ケーブル、超電導変圧器、超電導限流器、および電力貯蔵装置などの超電導機器に用いることができる。
本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法により製造されたBi2223超電導線材を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法を説明するための概略図である。
符号の説明
10 素線、11 前駆体、12 金属管、13 封止部材、20 チャンバ、21 主室、22 排気部材、23 副室、24 加熱部材、25 供給部材、26 部材、100 超電導線材、110 シース部、111 フィラメント。

Claims (9)

  1. Bi−2212相を主相とし、残部がBi−2223相および非超電導相である粉末状の前駆体を準備する準備工程と、
    1000Pa以下の圧力下で金属管に前記前駆体を充填する充填工程と、
    1000Pa以下の圧力下で前記前駆体が充填された前記金属管を封止する封止工程とを備える、Bi2223超電導線材の製造方法。
  2. 酸素を含む雰囲気下で前記充填工程と前記封止工程とを実施する、請求項1に記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  3. 前記充填工程と前記封止工程とは、酸素分圧が1Pa以上100Pa以下の雰囲気で行なう、請求項2に記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  4. 前記充填工程と、前記封止工程とを1のチャンバ内で行なう、請求項1〜3のいずれか1つに記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  5. 前記充填工程と前記封止工程との間に、前記前駆体が充填された前記金属管を1000Pa以下の圧力下で、100℃以上800℃以下の温度で加熱を行なう加熱工程をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1つに記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  6. 前記充填工程と、前記加熱工程と、前記封止工程とを1のチャンバ内で行なう、請求項5に記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  7. 前記充填工程後の前記金属管に充填された前記前駆体の充填密度は、30%以上50%以下である、請求項1〜6のいずれか1つに記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  8. 前記準備工程では、前記Bi−2212相の超電導転移温度が74K以下である前記前駆体を準備する、請求項1〜7のいずれか1つに記載のBi2223超電導線材の製造方法。
  9. 前記準備工程では、含有される水分が450ppm以下である前記前駆体を準備する、請求項1〜8のいずれか1つに記載のBi2223超電導線材の製造方法。
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