JP2007149416A - 酸化物超電導材料およびその製造方法ならびに超電導線材、超電導機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い臨界温度を持つ(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料の製造方法を提供する。
【解決手段】(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz系酸化物超電導材料の製造方法であって、原料を混合する工程と、前記混合された原料を少なくとも1回以上の熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のPb含有量を減少させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の熱処理は前記第1の熱処理より低い温度で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz系酸化物超電導材料の製造方法であって、原料を混合する工程と、前記混合された原料を少なくとも1回以上の熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のPb含有量を減少させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の熱処理は前記第1の熱処理より低い温度で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz(zは10に近い数:以下(Bi,Pb)2223と呼ぶ)系酸化物超電導材料の製造方法および(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料を主相とする線材に関する。
金属シース法で作製された(Bi,Pb)2223相を主成分とする酸化物超電導線材は高い臨界温度を持ち、かつ液体窒素等の比較的簡単な冷却下でも高い臨界電流値を示す有用な線材である(たとえば、非特許文献1を参照)。だが更なる性能の向上が実現すれば、より実用される範囲が広がる。そのためその主相である(Bi,Pb)2223超電導材料そのものの性能向上が望まれる。
また上記(Bi,Pb)2223超電導材線材を使用することによって、従来の常伝導導体を用いるよりはるかにエネルギー損失を低減することが可能であると考えられている。そのため(Bi,Pb)2223超電導材線材を導体として用いた超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置等の超電導応用機器開発も同時に進められている。
性能のひとつとして臨界温度(Tc)がある。臨界温度をあげることによって、使用温度からの温度的マージンを拡大させることができ、線材として使用する場合にはそれが臨界電流値(Jc)に反映され、Jcも向上することになる。臨界温度を上昇させる技術として、(Bi,Pb)2223系超電導材料において、(Bi,Pb)2223結晶が生成しているバルク状ペレット材を真空状態に封止し、700℃近傍の温度で、100時間程度熱処理する方法が知られている(非特許文献2を参照)。これにより、臨界温度は110Kから115Kすると記載されている。
SEIテクニカルレビュー、2004年3月 第164号 p36-42
Jei Wang, 他4名, 摘nhancement of Tc in (Bi,Pb)-2223 superconductor by vacuum encapsulation and post-annealing Physica C, vol. 208, (1993), p323-327
上記の技術では、Tc向上は見られているものの、出発原料組成、焼鈍温度、焼鈍時間の製造パラメータが開示されているにすぎず、Tc向上の原理的な点は不明であった。そのため製造装置等が変わった場合、Tc=115Kの最高性能を得るのは困難であった。このような技術では工業的製造上に応用する場合は好ましくない。
そこで本発明は、再現性よく高い臨界温度を発揮する(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料およびそれを用いた超電導線材ならびに超電導機器を提供することを目的とする。本発明者らは、(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料において、熱処理により(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料に含まれているPb含有量を調整すること、およびその調整過程の最適化に着目し、高い臨界温度を再現性よく製造する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz系酸化物超電導材料の製造方法であって、原料を混合する工程と、前記混合された原料を少なくとも1回以上の熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のPb含有量を減少させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の熱処理は前記第1の熱処理より低い温度で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法である。
本発明において、前記第2の熱処理工程前の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるPb量を1とした場合、前記Pb含有量の減少量は、0.05以上0.15以下とすることが好ましい。
本発明においては、前記第1の熱処理工程は加圧熱処理とすることが好ましい。
本発明は前記に記載のいずれかの製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後、Cuの含有量を3とした場合の、Pbの含有量比が0.26以上、0.28以下であることを特徴とする酸化物超電導材料である。
また本発明は前記に記載のいずれかの製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後、(Bi,Pb)2223結晶の単位格子のc軸長さが3.713nm以上であることを特徴とする酸化物超電導材料である。
また本発明は、上記の製造方法により製造された超電導材料を含む超電導線材および超電導機器である。
本発明によれば、高い臨界温度を持つ(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料を再現性よくかつ、効率的に製造できる。その超電導材料を含むことによって臨界温度の高い超電導線材を得ることができ、またその線材を導体として用いることで、高性能な超電導機器を得ることができる。
(実施形態)
一般的に超電導材料に含まれる陽イオン成分(Bi、Pb、Sr、Ca、Cu)の比率調整は原料混合段階で行われる。例えば、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3〜0.4:2.0:2.0:3.0のような比率を最終目的超電導相の組成とすれば各成分の酸化物、炭酸化物をその比率で混合し、熱処理を繰り返し出発原料比と同じ組成比をもつ最終超電導材料を得る。
一般的に超電導材料に含まれる陽イオン成分(Bi、Pb、Sr、Ca、Cu)の比率調整は原料混合段階で行われる。例えば、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3〜0.4:2.0:2.0:3.0のような比率を最終目的超電導相の組成とすれば各成分の酸化物、炭酸化物をその比率で混合し、熱処理を繰り返し出発原料比と同じ組成比をもつ最終超電導材料を得る。
上記のような製法では目的とする(Bi,Pb)2223相が生成しにくい組成比も存在する。例えばBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.25:2.0:2.0:3.0のような場合、従来の混合、熱処理といったプロセスでは最も安定に生成しやすい比率の酸化物超電導材料が析出し、あまった陽イオンは異相として析出し、超電導相としては消費されない。例えば、大半の陽イオンは安定に存在するBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0比率の2223相を形成し、Pbの不足によって幾分のBi、Sr、Ca、Cuは余ってしまい2223相が形成できない。
そこで発明者らは、安定に生成しやすい比率で原料を混合し、その比率で一旦超電導相を形成させ、その形成された状態から特定の原子を引き抜いていく手法によって目的とする組成比率を持つ超電導材料を得る製造方法を見出した。
具体的には、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3〜0.4:2.0:2.0:3.0のような範囲に出発原料を調整し、それらが充分反応する温度で熱処理、粉砕プロセスを繰り返し、ほぼ単一の2223相からなる超電導材料を得る。その後この形成された各2223結晶が壊れない程度の温度、例えば600〜800℃で、10時間以上熱処理することにより、Pbイオンを2223結晶から排出させる。
このようにすれば、反応熱処理で形成された2223相の各結晶粒の結晶構造を維持したまま、その各結晶粒のPbイオン含有量を減じることができるのである。
また本発明では、第2の熱処理工程前の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるPb量を1とした場合、前記Pb含有量の減少量は、0.05以上0.15以下であることを特徴とする。
ここで規定されるPb含有量減少量とは、例えば排出熱処理前のPb含有量が例えば0.3とした場合これを1として表すものとする。したがって排出熱処理後のPb含有量が0.25となった場合は、(1−0.25/0.3)=0.167のように計算されるものである。
減少量が0.05以下であると、組成の変動分として少なすぎ、Pb排出前と差異が小さく、顕著な効果が得られにくい。一方0.15以上であるとPbが抜けすぎ、形成された(Bi,Pb)2223結晶が、その結晶構造を維持できずに分解し、超電導特性が低下する。
Pb排出熱処理時に排出されたPbイオンの一部は蒸気となり外部へ出て行くが、一部は超電導材料全体中に存在する微量な異相と再反応し化合物をつくり、超電導材料内に残る。その際排出されたPbが(Bi,Pb)3Sr2Ca2Cu1Oz (以下Pb3221と呼ぶ)相の形態で他元素と化合物を形成することが、好ましいことも見出した。これは、Pbの析出形態として、Ca2PbO4化合物として析出することもあるが、Pb3221相で析出する方が小さい粒として存在し、電流の流れを阻害しにくいからである。
さらに本発明では、第1の熱処理工程は加圧熱処理であることがさらに効果的であることも見出した。
これは、前記のように排出されたPbはその析出サイズが小さいことからPb3221相として析出されることが好ましいが、小さいながらもPb3221相は(Bi,Pb)2223結晶間の粒界に存在するようになる。このPb3221相の析出により、(Bi,Pb)2223結晶間の粒界が押し広げられ、粒間結合が若干ではあるが弱められてしまう。この現象は線材として使用する場合においては、通電特性に対しては好ましくない。そのため、Pb排出前の状態は各(Bi,Pb)2223結晶どうしが強固に結合していること好ましい。そのような状態を形成しておくため、結晶間の密着性が強くなる加圧熱処理を用いる。
図1は本発明の超電導材料を含む超電導線材製造工程を示す図である。図1を参照して本発明の具体的な工程を説明する。
まず、原料粉末(Bi2O3, PbO, SrCO3, CaCO3, CuO)を所望の比率で混合し、熱処理し粉砕を繰り返し前駆体粉末を作製する(ステップS1)。この前駆体粉末を金属管に充填する(ステップS2)。この前駆体は、たとえば(Bi,Pb)2Sr2Ca1Cu2Oz(以下(Bi,Pb)2212と呼ぶ)相、(Bi、Pb)2223相等を含む材質よりなっている。なお、金属管としては前駆体と化合物を形成しにくい、銀や銀合金を用いることが好ましい。
次に、所望の直径まで上記線材を伸線加工し、前駆体を芯材として銀などの金属に被覆された単芯線を作製する(ステップS3)。次に、この単芯線を多数束ねて、例えば銀等からなる金属管内に嵌合する(多芯嵌合:ステップS4)。これにより、原料粉末を芯材として多数有する多芯構造材が得られる。
次に、所望の直径にまで多芯構造材を伸線加工し、原料粉末が例えば銀等のシース部に埋め込まれ、断面形状が円状あるいは多角形状の等方的多芯母線を作製する(ステップS5)。これにより、酸化物超電導線材の原料粉末を金属で被覆した形態を有する等方的多芯母線が得られる。次に、この等方的多芯母線を圧延する(1次圧延:ステップS6)。これによりテープ状の酸化物超電導線材が得られる。
次に、テープ状線材を熱処理する(1次熱処理:ステップS7)。この熱処理は、たとえば酸素分圧1〜20kPaの雰囲気において約800℃〜850℃の温度で行われ、熱処理によって原料粉末から目的とする酸化物超電導相が生成される。この熱処理により、前駆体は目的とする(Bi,Pb)2223結晶に変態する。
その後、再び線材を圧延する(2次圧延:ステップS8)。このように、2次圧延を行うことにより、1次熱処理で生じたボイドが除去される。続いて、例えば酸素分圧1〜20kPaの雰囲気において約820〜840℃の温度で線材を熱処理する(2次熱処理:ステップS9)。このとき、加圧雰囲気で熱処理することが好ましい。この熱処理により各(Bi,Pb)2223結晶は強固に結合する。
最後に2次熱処理後の線材を、全圧は大気圧、酸素分圧1〜20kPaの雰囲気において、約600〜800℃の温度で再度熱処理する(3次熱処理:ステップS10)。この熱処理により(Bi,Pb)2223結晶からPbが排出され、(Bi,Pb)2223結晶中のPb含有量を減少させることができる。
本発明により製造される超電導線材は、高い臨界温度を有するため液体窒素冷却時の使用温度からの温度マージンを拡大させることができかつ、結晶粒間の結合も強いため高い臨界電流値が実現できる。
また本発明にかかる超電導機器は、上記のような臨界電流値の高い超電導線材から構成されるため、優れた超電導特性を有する。ここで、超電導機器は、上記超電導線材を含むものであれば特に制限なく、超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置などが挙げられる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
原料粉末(Bi2O3, PbO, SrCO3, CaCO3, CuO)をBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0の比率で混合し、大気中で700℃×8時間、粉砕、800℃×10時間、粉砕、840℃×4時間、粉砕の処理を施し前駆体粉末を得る。また前駆体粉末を、5種類の原料粉末が溶解した硝酸水溶液を、加熱された炉内に噴射することにより、金属硝酸塩水溶液の粒子の水分が蒸発し、硝酸塩の熱分解、そして金属酸化物同士の反応、合成が瞬時に起こさせる噴霧熱分解法で作製することもできる。こうして作製された前駆体粉末は、(Bi,Pb)2212相が主体となった粉末である。
原料粉末(Bi2O3, PbO, SrCO3, CaCO3, CuO)をBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0の比率で混合し、大気中で700℃×8時間、粉砕、800℃×10時間、粉砕、840℃×4時間、粉砕の処理を施し前駆体粉末を得る。また前駆体粉末を、5種類の原料粉末が溶解した硝酸水溶液を、加熱された炉内に噴射することにより、金属硝酸塩水溶液の粒子の水分が蒸発し、硝酸塩の熱分解、そして金属酸化物同士の反応、合成が瞬時に起こさせる噴霧熱分解法で作製することもできる。こうして作製された前駆体粉末は、(Bi,Pb)2212相が主体となった粉末である。
上記により作製された前駆体粉末を外径25mm、内径22mmの銀パイプに充填し、直径2.4mmまで伸線して単芯線を作製する。この単芯線を55本に束ねて外径25mm、内径22mmの銀パイプに挿入し、直径1.5mmまで伸線し、多芯(55芯)線材を得る。この多芯線を圧延し、厚み0.25mmのテープ状線材に加工する。得られたテープ状線材を8kPa酸素雰囲気中で820℃〜840℃、30時間〜50時間の1次熱処理を施す。
1次熱処理後のテープ状線材を厚み0.23mmになるように再圧延する。再圧延後のテープ状線材に酸素分圧8kPaを含む加圧雰囲気下にて820℃〜840℃、50時間〜100時間の2次熱処理を施す。ここで得られた線材の一部を切り出し(試料番号1)、臨界温度測定、臨界電流値測定、組成分析、構造解析の評価を行った。
試料番号2は500℃、100時間、試料番号3〜9は、大気雰囲気中で600℃〜800℃、48時間〜250時間の各種条件下で再度の熱処理(3次熱処理:ステップS10)を施した。試料番号1と2は本発明と対比する比較例であり、試料番号3〜9は実施例となる。その熱処理条件を表1に示す。それらについても上記と同様の評価を行った。
評価についての詳細は以下のとおりである。臨界温度(Tc)は以下のように測定し、定義する。得られた超電導線材を液体窒素温度から昇温させながら、その磁化率をSQUID(超電導量子干渉計)型磁束計(Quantum Design社製MPMS-XL5S)を用いて、超電導線材のテープ面に垂直な方向に0.2Oe(15.8A/m)の磁界を印加し、各温度の磁界率を測定する。そして各温度の磁化率を95Kの磁化率で規格化し、その大きさが-0.001となる温度を臨界温度とした。
また臨界電流値は、温度77K、ゼロ磁場中、四端子法で電流―電圧曲線を測定し、その曲線から線材1cmあたり1×10-6Vの電圧を発生させる電流を臨界電流値と定義した。
構造解析は粉末X線回折により、構成相評価と単位格子のc軸長算出を行った。組成分析はEDX法により行った。組成算出手段は、各試料5箇所の組成を分析し、その平均値を各試料の組成値とした。それらの結果を表1に示す。
試料番号1は、2次熱処理で工程が終了しているため、本発明のPb排出熱処理(3次熱処理)を施していない。これとPb排出熱処理を施された試料番号3〜9について比較して説明する。
まずPb排出処理(3次熱処理)を施していない試料番号1は、臨界温度、臨界電流値がそれぞれ110.2K、110Aである。Pb組成は分析結果からCu(銅)の含有比を3として、それに対する割合を導出している。その導出方法によるとPb含有率(組成比)は0.3となる。
3次熱処理を施された、試料番号3〜8においては、臨界温度、臨界電流値いずれも試料番号1に比べ、向上している。一方3次熱処理を施された試料番号2では、両特性の向上が見られない。これは3次熱処理を施したものの、温度が低いため(Bi,Pb)2223結晶中からPbが排出されていないことによると考えられる。一方試料番号9では、若干の臨界温度向上がみられるが、他にくらべ顕著ではない。これは(Bi,Pb)2223結晶中から多量のPb排出が起こったことに起因する。これより、Pbの排出量(減少量)は、排出熱処理前の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるPb量を1とした場合、0.05以上0.15以下が好ましいことがわかる。
また、試料番号3〜8のPb含有量を、Cu(銅)の含有比を3として、それに対する割合で算出すると0.26〜0.28であり、最終材料の組成は前記範囲が好ましいといえる。
また表1から、臨界温度が高くなると同時に、単位格子のc軸長も長くなる傾向にあることが見出せる。
図2は試料番号1、3、4、5、6のX線回折パターンを示す図である。図中(0010)、(0012)、(119)、(0016)で示されるピークは(Bi,Pb)2223結晶からのピークである。Agで示されるピークは被覆材である銀からのピークである。2θ=31〜32degに★で示されるピークがPb3221相に起因するピークである。3次熱処理を施さない試料番号1は、そのピークが見えず、Pb3221相が存在しないといえる。一方3次熱処理された試料番号3、4、5、6はこれらピークが観測され、Pb3221相が析出していることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (7)
- (Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz系酸化物超電導材料の製造方法であって、原料を混合する工程と、前記混合された原料を少なくとも1回以上の熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のPb含有量を減少させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の熱処理は前記第1の熱処理より低い温度で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法。
- 前記第2の熱処理工程前の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるPb量を1とした場合、前記Pb含有量の減少量は、0.05以上0.15以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 前記第1の熱処理工程は加圧熱処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後、Cuの含有量を3とした場合の、Pbの含有量比が0.26以上、0.28以下であることを特徴とする酸化物超電導材料。
- 請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後、(Bi,Pb)2223結晶の単位格子のc軸長さが3.713nm以上であることを特徴とする酸化物超電導材料。
- 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の製造方法により製造された酸化物超電導材料を含む超電導線材。
- 請求項6に記載の超電導線材を導体として含む超電導機器。
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