JP2006107843A - テープ状超電導線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Bi系酸化物超電導体の相対密度が高く、電気特性に優れるテープ状超電導線材を提供する。
【解決手段】 Bi系酸化物超電導体を金属シースで覆ったテープ状超電導線材である。超電導体の相対密度が95%以上であり、冷媒中で外部磁界を加えずに電流を通電したとき、臨界電流近傍の電流域における電流密度Jと電界Eとの特性がE∝Jnとなり、その式中のn値が20以上である。n値の大きい線材の方がIc以下の低電流域での発生電圧が小さく、発熱も小さくなる。そのため、テープ状超電導線材の冷凍機器の冷凍能力を下げることができ、より効率的な超電導機器を構築することが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、テープ状超電導線材とその線材を用いた超電導機器に関するものである。特に、Bi系酸化物超電導体の相対密度が高く、電気特性に優れるテープ状超電導線材に関するものである。
パウダーインチューブ法によりBi2223相などの酸化物超電導体を長尺のテープ状線材に形成する技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、まず超電導相の原料粉末を銀などの第1金属パイプに充填する。次に、この第1金属パイプを伸線加工してクラッド線とする。複数のクラッド線を束ねて銀などの第2金属パイプに挿入し、伸線加工して多芯線とする。この多芯線を圧延加工してテープ状線材とする。テープ状線材に一次熱処理を施して目的の超電導相を生成させる。続いて、このテープ状線材を再度圧延してから二次熱処理を施して、超電導相の結晶粒同士を接合させる。これら2回の塑性加工と熱処理は、1回しか行わない場合もあるが、一般に大気雰囲気下にて行われる。そして、金属シース中に多数の超電導フィラメントが埋め込まれたテープ状の超電導線材を得る。
このようにして得られたテープ状超電導線材は、通常、超電導フィラメントの相対密度が90%未満である。また、冷媒中で外部磁界を加えずにテープ状超電導線材に電流を通電したとき、臨界電流近傍の電流域における電流密度Jと電界Eとの特性がE∝Jnとなることが知られている(例えば非特許文献1 p.107)。この指数nは、一般にn値と呼ばれるパラメータで、超電導状態から抵抗状態への遷移の鋭さを示す尺度とされており、Bi2223系酸化物超電導体では、20未満程度である(例えば非特許文献1 p.151)。さらに、上記のテープ状超電導線材では、不可逆磁界が高々0.1T程度である。不可逆磁界は、超電導であっても臨界電流密度Jcがゼロになる場合の磁界のことである。
特開2003-331668号公報 「超伝導応用の基礎」p.107、p.148、p.151 松下照男・長村光造・住吉文夫・圓福敬二著 米田出版 2004年2月19日初版
しかし、従来のテープ状超電導線材は超電導体(超電導フィラメント)の相対密度が低く、次のような問題があった。
(1)n値の大きなテープ状超電導線材を得ることができない。
上述したように、従来のテープ状超電導線材のn値は20未満であり、低い値しかえられていない。同じ臨界電流Icを持ち、n値の異なるテープ状超電導線材を比較すると、n値の大きい線材の方がIc以下の低電流域での発生電圧が小さく、発熱も小さい。発熱が小さいことは、例えばIc以下で定常運転を行う冷凍機冷却型の超電導マグネットでは冷凍機の冷凍能力を低く設定できる。そのため、工業的にはn値のより高いテープ状超電導線材が望まれているが、実際には実現されていない。
(2)不可逆磁界の大きなテープ状超電導線材を得ることができない。
同じ臨界電流Icを持ち、不可逆磁界の異なるテープ状超電導線材を比較すると、不可逆磁界の大きな線材の方がより大きな磁場を発生する超電導コイルを作ることができる。Bi2223系酸化物超電導体を用いた従来のテープ状超電導線材の不可逆磁界は、0.1T程度であり、重イオン照射などの特殊な処理を施すことによって初めて1T程度のオーダーになると考えられている(例えば非特許文献1 p.148)。そのため、このような特殊な処理を施すことなくより高い不可逆磁界を得ることが望まれている。
(3)長手方向に均一な超電導体を持ったテープ状超電導線材を得ることができない。
超電導コイルや超電導マグネットでは、テープ状超電導線材の長手方向への特性の均一性が重要なパラメータである。特に、長手方向の臨界電流Icのばらつきが重要である。Icはテープ状超電導線材における超電導体の断面積と関係していると考えられ、この断面積が大きい部分では高いIcになり、同断面積が小さい部分では低いIcになる。そのため、テープ状超電導線材の長手方向で局所的にIcの低い箇所が存在すると、その部分で局所的な発熱が生じて熱暴走などのトラブルの元となり得る。そのため、テープ状超電導線材の長手方向にわたって超電導体の断面積が均一化されたテープ状超電導線材の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その主目的は、n値が高いテープ状超電導線材を提供することにある。
本発明の他の目的は、不可逆磁界の大きなテープ状超電導線材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、長手方向における超電導体の均一性に優れるテープ状超電導線材を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、本発明テープ状超電導線材を用いた超電導機器を提供することにある。
本発明者は、テープ状超電導線材の製造過程において、所定の加圧熱処理を施すことで超電導体の相対密度を高めることができ、テープ状超電導線材の電気的特性を改善できるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
<テープ状超電導線材>
本発明テープ状超電導線材は、Bi系酸化物超電導体を金属シースで覆ったテープ状超電導線材であって、以下の構成を単独であるいは複合して具えることを特徴としている。
構成A:超電導体の相対密度が95%以上であり、冷媒中で外部磁界を加えずに電流を通電したとき、臨界電流近傍の電流域における電流密度Jと電界Eとの特性がE∝Jnとなり、その式中のn値が20以上である。
構成B:超電導体の相対密度が95%以上であり、77.3Kでテープ状超電導線材のテープ面に垂直となる向きに外部磁界を加えたとき、臨界電流密度JcがJc<106A/m2となる磁場が0.2T以上である。
構成C:超電導体の相対密度が95%以上であり、前記超電導体の最大厚さの平均値d(ave)が16μm以下で、標準偏差σが5以下である。
これらの構成A〜構成Cのテープ状超電導線材において、テープ状超電導線材の製造過程で、全圧力が1MPa以上50MPa未満の加圧雰囲気中で熱処理を行って得ることが好適である。
以上のテープ状超電導線材において、相対密度はBi2223相の理論密度6.3g/cm3を用いて、アルキメデス法と断面写真とから算出する。この相対密度を95%以上、より好ましくは98%以上とすることで、超電導体における空隙や移相を大幅に低減し、超電導体の結晶間を流れる電流量を増加させ、臨界電流密度の向上やテープ状超電導線材の機械的強度の改善を図ることができる。
次に、上記のn値を20以上とすれば、効率的な超電導機器の構築に寄与することができる。同じ臨界電流Icを持ち、n値の異なるテープ状超電導線材を比較した際、n値の大きい線材の方がIc以下の低電流域での発生電圧が小さく、発熱も小さくなる。そのため、発熱が小さければ、テープ状超電導線材の冷凍機器の冷凍能力を下げることができ、より効率的な超電導機器を構築することが可能となる。このn値は、例えば、77.3Kにおいて外部磁界を加えずに電流を通電したとき、電界Eが1×10-4〜1×10-3V/mの電界領域で定義した値とする。より好ましいn値は21以上、さらに好ましいn値は22以上である。
また、不可逆磁界を0.2T以上とすることで、より強力な磁場を発生できる超電導マグネットなどの構築が可能となる。この不可逆磁界は、77.3Kでテープ状超電導線材と垂直となる向きに外部磁界を加えたとき、臨界電流密度JcがJc<106A/m2となる磁場を求めることとする。本来、不可逆磁界は超電導であってもJcがゼロとなる場合の磁場を求めるのであるが、このような測定は現実的でないため、ここではJc<106A/m2となる磁場を不可逆磁界としている。
さらに、超電導体の最大厚さの平均値d(ave)を16μm以下、標準偏差σを5以下とすることで、長手方向にわたって特性の安定した、特に臨界電流Icのばらつきが小さいテープ状超電導線材とすることができる。この平均値と標準偏差は、適宜な長さのテープ状超電導線材のサンプルを用意し、このサンプルを例えば1.5mmの長さに切断して、この各切断試料の断面を顕微鏡で観察し、各超電導体の最大厚さを測定して、それらの最大厚さから算出して求める。
特に、このように超電導体の最大厚さのばらつきが抑えられた線材は、長尺化した際にその有効性を発揮する。例えば、400m以上、さらには1000m以上の長尺のテープ状超電導線材においても長手方向に亘って特性が均一化したテープ状超電導線材とすることができる。
<テープ状超電導線材の製造方法>
(製造工程の概要)
本発明テープ状超電導線材の製造工程は、代表的には「原料粉末の調整→クラッド線の作製→多芯線の作製→圧延してテープ状線材の作製→熱処理」により行われる。必要に応じて、圧延と熱処理を複数回繰り返す。例えば、「多芯線の作製」に続いて「一次圧延してテープ状線材の作製→一次熱処理→テープ状線材の二次圧延→二次熱処理」を行う。この熱処理(複数回熱処理を行った場合は少なくとも最終熱処理)において、所定の加圧熱処理を行うことでBi系酸化物超電導体の相対密度を向上させる。
(原料粉末)
原料粉末には、最終的に77K以上の臨界温度を持ちうる超電導相が得られるように配合した粉末が好適である。この原料粉末には、複合酸化物を所定の組成比となるように混合した粉末のみならず、その混合粉末を焼結し、これを粉砕した粉末も含まれる。
例えば、最終的にBi2223系テープ状超電導線材を得る場合、出発原料にはBi2O3、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOを用いる。これら粉末を700〜870℃、10〜40時間、大気雰囲気又は減圧雰囲気下にて少なくとも1回焼結する。このような焼結により、Bi2223相よりもBi2212相が主体となった原料粉末を得ることができる。
具体的な組成比は、BiaPbbSrcCadCueでa+b:c:d:e=1.7〜2.8:1.7〜2.5:1.7〜2.8:3を満たすものが好ましい。中でもBiまたはBi+Pb:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3を中心とする組成が好適である。特に、Biは1.8付近、Pbは0.3〜0.4、Srは2付近、Caは2.2付近、Cuは3.0付近が望ましい。
この原料粉末は、最大粒径が2.0μm以下であり、平均粒径が1.0μm以下であることが好ましい。このような微粉末を用いることで、高温超電導相を生成しやすくなる。
(クラッド線の作製)
クラッド線の作製は、前記原料粉末を安定化材となる第1金属パイプに充填し、この第1金属パイプを伸線することで行う。この伸線加工により、安定化材中に超電導相の原料粉末が単芯に配置されたクラッド線が形成される。クラッド線の断面形状は円形のものや多角形のものがある。
ここで用いる第1金属パイプの寸法を、「肉厚/内径」が0.06以上、好ましくは0.07以上、さらに好ましくは0.085以上となるように選択する。第1金属パイプの断面形状は、円形や多角形(特に正多角形)が挙げられる。金属パイプ内周の断面形状が多角形の場合、その多角形に外接する円の直径を「内径」とする。
また、第1金属パイプの材料としては、Ag、Cu、Fe、Ni、Cr、Ti、Mo、W、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osより選択される金属またはこれらの金属をベースとする合金が好ましい。特に、酸化物超電導体との反応性や加工性からAgまたはAg合金が好ましい。Ag合金にはAg-Mn合金やAg-Mg合金が好適である。
(多芯線の作製)
多芯線の作製は、複数本のクラッド線を第2金属パイプ中に束ねて挿入し、この金属パイプを伸線することで行う。これにより、安定化材中に超電導相の原料粉末が多芯に配置された多芯線が形成される。
この多芯線の作製に用いる第2金属パイプの材料、断面形状もクラッド線の作製に用いる第1金属パイプと同様である。クラッド線の配置の仕方は、断面が円形の第2金属パイプ中に複数のクラッド線を多角形に配置したり、断面が六角形の第2金属パイプ中に複数のクラッド線を配置することなどが挙げられる。
(圧延加工)
上記の多芯線を圧延してテープ状線材とする。多芯線からテープ状線材に加工するのは、最終的に形成される超電導導体の結晶の向きを揃えるためである。一般に、酸化物系の超電導導体は結晶の方向により、流すことができる電流密度に大きな違いがあり、結晶方向を揃えることでより大きな電流密度を得ることができる。二次圧延まで行う場合、二次圧延は一次熱処理による反応で形成された空隙を押し潰し、機械的に結晶の配向化を促進させると共に、後に行う二次熱処理で超電導体の結晶同士を強固に結合させるために行われる。
(熱処理)
熱処理は、代表的には一次熱処理と二次熱処理の2回の熱処理が行われる。一次熱処理は、主としてBi2223相などの超電導相を生成させることを目的として行われる。二次熱処理は、主としてBi2223相などの結晶粒同士を強固に結合させるために行う。この2回の熱処理のうち、少なくとも二次熱処理では後述するように加圧熱処理とする。
処理温度は、一次熱処理・二次熱処理共に815℃超860℃以下とすることが好ましい。より好ましくは820℃〜850℃程度である。
処理時間は、一次熱処理・二次熱処理共に30時間以上250時間以下とすることが好ましい。より好ましくは、一次熱処理・二次熱処理共に30時間以上100時間以下である。
雰囲気は、一次熱処理・二次熱処理共に不活性ガスと酸素の混合ガスにて行うことが好ましい。不活性ガスには窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンが挙げられる。この雰囲気は空気であっても良い。
加圧熱処理を行う場合は、全圧力を1MPa以上50MPa未満とする。より好ましくは、20MPa以上50MPa未満である。また、不活性ガスと酸素の混合ガスの場合、酸素分圧を7kPa以上21kPa以下とすることが好ましい。この圧力調整により、雰囲気ガスによる外圧を線材に等方的に印加し、超電導体の相対密度を向上させることができる。なお、この圧力調整した加圧熱処理は、一次熱処理・二次熱処理の両方に行っても良いし、二次熱処理のみ行ってもよい。
<超電導機器>
上述した本発明テープ状超電導線材は種々の超電導機器に利用することができる。例えば、超電導マグネット、超電導変圧器、超電導ケーブルなどに好適に利用できる。特に、n値の大きなテープ状超電導線材であれば、冷凍機冷却型の超電導マグネットに用いた場合、同線材の発熱が小さいため、冷凍機の冷凍能力を低く設定できて好ましい。また、不可逆磁界が大きなテープ状超電導線材は、より大きな磁場を発生する超電導コイルを形成できるため、超電導マグネットなどへの応用において有効である。その他、テープ状超電導線材における超電導体の長手方向へのばらつきが小さいテープ状超電導線材は、Icの長手方向におけるばらつきを抑えることに有効であり、長尺の線材として長手方向への性能の均一性が要求される超電導マグネットや超電導ケーブルへの応用において有利である。
本発明テープ状超電導線材は、次の効果を奏する。
テープ状超電導線材における超電導体の相対密度を高めることで、臨界電流密度や機械的強度を向上させることができる。
テープ状超電導線材のn値を20以上とすれば、発生電圧が小さくなり、発熱も小さくなるため、テープ状超電導線材の冷凍機器の冷凍能力を下げることができる。
テープ状超電導線材の不可逆磁界を0.2T以上とすることで、より強力な磁場を発生でき、より効率的な超電導マグネットなどの構築が可能となる。
超電導体の最大厚さのばらつきを抑えることで、長手方向にわたって特性の安定した、特に臨界電流Icのばらつきが小さいテープ状超電導線材とすることができる。
また、本発明超電導機器は、本発明テープ状超電導線材を用いることで、(1)テープ状超電導線材の冷却機構の冷却能力を低く設定できる、(2)より大きな磁場を発生させて効率的な機器とすることができる、(3)臨界電流のばらつきを抑えてより安定した製品とすることができる、といった効果を奏することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<テープ状超電導線材の構成>
本発明テープ状超電導線材は、図1に示すように、複数本のフィラメント状の超電導体(超電導フィラメント1)が金属シース2中に埋め込まれたテープ状の線材である。ここでは、超電導フィラメント1としてBi2223酸化物超電導体を用い、同フィラメント1の数を61芯とし、金属シース2としてAgを用いている。
<テープ状超電導線材の製造方法>
以上のテープ状超電導線材は、「原料粉末の調整→クラッド線の作製→多芯線の作製→一次圧延加工→一次熱処理→二次圧延加工→二次熱処理」の製造工程により製造する。
図2(A)に示すように、Bi2O3、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの各粉末を1.81:0.40:1.98:2.20:3.01の割合で混合して混合粉末10を作製する。混合粉末10を大気中にて700℃×8時間、800℃×10時間、133Pa(1Torr)の減圧雰囲気において760℃×8時間の熱処理を順次行う(図2B)。各熱処理後にはそれぞれ粉砕を行う。このようにして得られた粉末に、さらに845℃×12時間の熱処理(図2B)をして原料粉末を調整する。この原料粉末11を肉厚2.0〜4.5mm、内径31.5〜34.0mm、外径36.0mmの銀パイプ20(第1金属パイプ)に充填し(図2C)、直径2.4mmまで伸線して断面が円形のクラッド線30を作製する(図2D)。
このクラッド線30を61本束ねて六角形となるように配置し、外径25mm、内径22mmの銀パイプ40(第2金属パイプ)に挿入して(図2E)、これを直径1.6mmにまで伸線して多芯線50を得る(図2F)。
次に、得られた多芯線50を圧下率80%にて圧延し(一次圧延:図2G)、テープ状線材60に加工する。得られたテープ状線材60に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧0.1MPa、酸素分圧8kPa、830℃×30時間の一次熱処理を施す(図2H)。一次熱処理後のテープ状線材を圧下率10%にて再圧延し(二次圧延:図2G)、幅4.2mm×厚さ0.21mmのテープ状線材とする。そして、再圧延後のテープ状線材60に不活性ガスと酸素の雰囲気にて全圧30MPa、酸素分圧8kPa、820℃×50時間の二次熱処理を施す(図2H)。
以上の工程にて得られたテープ状線材を実施例とし、上記製造工程のうち一次熱処理および二次熱処理を大気圧下で行って得られたテープ状線材を比較例として以下の試験を行う。
<超電導フィラメントの相対密度の評価>
実施例・比較例の各テープ状線材について、アルキメデス法と断面写真とから超電導フィラメントの相対密度を算出する。Bi2223相の理論密度は6.3g/cm3とした。その結果、比較例では相対密度が約88%であったのに対し、実施例では約99%であった。そして、各テープ状超電導線材の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観察したところ、実施例では空隙や移相がほとんど認められなかったのに対し、比較例では空隙やCa-Sr-Cu-Oなどの異相が多く認められた。
<n値の評価>
次に、n値の評価を行う。ここでは、通電法を用いて臨界電流密度の磁界依存性を評価した。測定試料の長さは3.5cmで、1cmの電圧端子をとり、電流によるジュール発熱を抑えるためにパルス通電を行った。この測定は冷媒中にて行った。すなわち、温度:77.3K、外部磁場の印加:なしとし、臨界電流近傍の電流域における電流密度Jと電界Eとの特性がE∝Jnとなるn値を求めた。なお、実施例のIcは130A、比較例のIcは95Aである。
電界Eが1×10-4〜1×10-3V/mで定義されるn値を図3のグラフに示す。このグラフは、テープ状線材のテープ面(図1のテープ状超電導線材の上下面)と垂直な磁場とn値との関係を示している。同グラフから明らかなように、比較例では外部磁場ゼロでのn値が18以下であったのに対し、実施例では約22となっていた。
<不可逆磁界の評価>
SQUID磁束計を用いて磁化のヒステリシスから臨界電流密度を評価した。測定には長さ4.5mmに切断した試料を用いた。77.3Kにおいて、テープ状超電導線材のテープ面と垂直となる向きに外部磁場を加え、臨界電流密度の磁界依存性を調べた結果を図4のグラフに示す。ここでは、臨界電流密度JcがJc<106A/m2となる磁場を不可逆磁界としている。
このグラフから明らかなように、比較例では0.13T程度であった不可逆磁界が、実施例では約0.2Tとなり、約1.5倍に向上していることがわかる。
<超電導フィラメントの最大厚さの分布>
実施例、比較例の各線材を1.5mmの長さに切断して多数の試料を作製し、その試料の断面をSEMにて観察し、試料断面中の各超電導フィラメントの最大厚さを全ての試料について求める。この最大厚さは、図1に示すように、各超電導フィラメント1の断面が扁平形状をしているため、その扁平形状の最も厚い箇所の厚みを最大厚さdとした。そして、この最大厚さdの分布を実施例と比較例の各線材について求め、図5のヒストグラムにまとめると共に、平均値d(ave)と標準偏差σを算出した。
図5のヒストグラムから明らかなように、実施例では最大厚さのばらつきが小さくなっており、平均値が比較例よりもより薄い側にずれていることがわかる。また、実施例の平均値d(ave)は16μm、標準偏差σは5であったのに対し、比較例の平均値d(ave)は19μm、標準偏差σは6であった。
本発明テープ状超電導線材は、超電導マグネット、超電導変圧器、超電導ケーブルなど種々の超電導機器に利用することができる。
本発明テープ状超電導線材の模式断面図である。 本発明テープ状超電導線材の製造工程を示す説明図である。 磁場とn値との関係を示すグラフである。 磁場と電流密度との関係から不可逆磁場を示すグラフである。 超電導フィラメントの最大厚さの分布を示すヒストグラムである。
符号の説明
1 超電導フィラメント 2 金属シース
10 混合粉末 11 原料粉末 20 銀パイプ 30 クラッド線
40 銀パイプ 50 多芯線 60 テープ状線材

Claims (5)

  1. Bi系酸化物超電導体を金属シースで覆ったテープ状超電導線材であって、
    前記超電導体の相対密度が95%以上であり、
    冷媒中で外部磁界を加えずに電流を通電したとき、臨界電流近傍の電流域における電流密度Jと電界Eとの特性がE∝Jnとなり、その式中のn値が20以上であることを特徴とするテープ状超電導線材。
  2. Bi系酸化物超電導体を金属シースで覆ったテープ状超電導線材であって、
    前記超電導体の相対密度が95%以上であり、
    77.3Kでテープ状超電導線材のテープ面と垂直となる向きに外部磁界を加えたとき、臨界電流密度JcがJc<106A/m2となる磁場が0.2T以上であることを特徴とするテープ状超電導線材。
  3. Bi系酸化物超電導体を金属シースで覆ったテープ状超電導線材であって、
    前記超電導体の相対密度が95%以上であり、
    前記超電導体の最大厚さの平均値d(ave)が16μm以下で、標準偏差σが5以下であることを特徴とするテープ状超電導線材。
  4. 前記テープ状超電導線材の製造過程で、全圧力が1MPa以上50MPa未満の加圧雰囲気中で熱処理を行って得られたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテープ状超電導線材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のテープ状超電導線材を用いたことを特徴とする超電導機器。
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