JP4011131B2 - テープ状酸化物超電導線材ならびにそれを用いた超電導マグネットおよび電流リード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超電導材料を用いた超電導線材およびその用途に関し、特に、磁場中での超電導特性に優れたテープ状酸化物超電導線材ならびにそれを用いた超電導マグネットおよび電流リードに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、酸化物超電導体を利用した超電導マグネットに用いられる超電導コイルおよび電流リードの一例を示す斜視図である。図に示すように、超電導コイル60は、酸化物超電導線材61がコイル状に巻かれて形成されている。超電導コイルの形状として、たとえば、図6に示すように線材がパンケーキ状に巻かれてなる超電導コイルを数段重ねたものがあり、また1本の超電導テープ線材をソレノイド状に巻きつけたもの等も考えられる。このような形状の超電導コイルに、冷凍機等が組合されて、超電導コイル装置が形成される。
【0003】
一方、電流リードは、たとえば高温側から極低温下(4.2〜30K)にある超電導コイルへ通電するための手段である。図6に示すように、電源に接続される銅端子62(高温側)と超電導コイル60とは、電流リードのリード線63で接続される。電流リードにおいて、リード線63は、上端部を液体窒素または冷凍機等によって約77Kに冷却される。このリード線に、酸化物超電導線が使用される。リード部において、酸化物超電導線は複数枚重ねられたり、積層枚数を変化させて侵入熱を低減することもできる。
【0004】
このように構成される超電導コイルおよび電流リードにおいて、これらを構成する超電導線材の臨界電流密度−磁場特性(以下「Jc−B特性」と略す)が、超電導マグネットの性能を決定する上で重要となる。所定の磁場下で、より高い臨界電流密度(Jc)を示すことのできる線材はJc−B特性が良好な線材である。
【0005】
一般に、酸化物超電導線材は、液体窒素温度(77K)では、印加された磁場による臨界電流密度の低下が大きい。そのため、77K付近で使用するテスラ級の超電導マグネットに酸化物超電導体を応用するのは、現時点では難しい。一方、酸化物超電導体は、極低温下(4.2〜30K)では、Jc−B特性が良好になる。酸化物超電導体は、4.2Kにおいて、20テスラ以上の磁場中でも超電導性を維持することができるため、発生磁場20テスラ以上の超高磁場マグネットへの応用が考えられている。
【0006】
さて、これまでJc−B特性を向上させる方法として欠陥の導入があった。これは、X線、電子線、中性子線、イオン等を超電導物質に照射することにより欠陥を導入するものである。導入された欠陥は、ピン止め中心となり、磁束の運動を抑制する結果、臨界電流密度の低下を抑制することができる。しかしながら、この手法は、臨界電流密度の低下を少なくするのには有効であるが、臨界電流の向上にはあまり有効でない。また、長尺の超電導線材を量産する場合には問題が残る。
【0007】
Y系超電導体では、MPMG(Melt Powder Melt Growth )法や、ピン止め中心として211相を導入するなどの方法により、超電導体の磁場特性を向上させる有効な手法が発見されている。しかし、Bi系酸化物超電導体では、上述の照射以外に有効な手法は現時点では見つかっていない。
【0008】
したがって、テスラ級の磁場を発生するような超電導マグネットへの応用および高磁場下で使用される電流リードへの応用のためには、簡便な手法で、Jc−B特性を向上させた超電導線材の開発が期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べてきたように、酸化物超電導体をコイルに使用する際には、高い臨界電流密度を有していることが必要である。しかしながら、従来の酸化物超電導線材では、上述したように磁場中での臨界電流密度の低下が大きい傾向にあった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、磁場中における臨界電流密度等の超電導特性が向上した酸化物超電導線材ならびにその線材を用いた超電導マグネットおよび電流リードを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うテープ状酸化物超電導線材は、酸化物超電導体からなるフィラメントと、フィラメントを覆う安定化材とからなるテープ状酸化物超電導線材である。本発明では、このテープ状線材において、その厚みは0.5mm〜2mmの範囲内であり、かつその幅は5mm〜20mmの範囲内である。
【0012】
本発明の線材では、フィラメントの厚みを100μm以下、たとえば1μm〜100μmとすることができる。
【0013】
本発明の線材では、液体ヘリウム温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(ICO)に対する液体ヘリウム温度において線材の長手方向にほぼ垂直でかつ線材の主要面にほぼ平行な10Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(ICB(平行))の比(ICB(平行)/ICO)を0.6以上とすることができる。
【0014】
また、本発明の線材では、液体窒素温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(I′CO)に対する液体窒素温度において線材の長手方向にほぼ垂直でかつ線材の主要面にほぼ平行な0.1Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(I′CB(平行))の比(I′CB(平行)/I′CO)を0.8以上とすることができる。
【0015】
本発明に従う線材において、酸化物超電導体はビスマス系酸化物超電導体、更にはBi2223高温相であることが好ましい。また本発明の線材において、安定化材は銀および銀合金からなる群から選択される材料であることが好ましい。
【0016】
本発明の線材は、単芯線および多芯線のいずれともすることができるが、複数本のフィラメントを有する多芯線であることがより好ましい。
【0017】
本発明に従って、上述したテープ状酸化物超電導線材からなるコイルを備える超電導マグネットを提供することができる。
【0018】
また、上述したテープ状酸化物超電導線材をリード部に備える電流リードを本発明に従って提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に従う線材は、図1に示すようなテープ状の線材である。テープ状線材11は、その長手方向に延びるほぼ平らな1対の主要面11aおよび11bを有し、これらの主要面同士はほぼ平行である。これらの主要面間の距離tが線材の「厚み」に相当する。一方、線材の「幅」は、線材の長手方向に垂直でかつ上記主要面に平行な方向における線材の一端から他端までの距離wである。なお上述した「厚み」および「幅」は、上述した主要面に垂直な方向の断面の厚みおよび幅にもそれぞれ相当する。
【0020】
本発明では、厚みtが0.5mm〜2mmの範囲内にあり、幅wが5mm〜20mmの範囲内にある。線材の長さは任意である。厚みを0.5mm以上としたのは、それより小さいと、後述するように磁場下での超電導特性の低下を効果的に抑制できないからであり、2mm以下としたのは、それより大きなサイズの線材とすると、臨界電流密度が極端に小さい線材しか得られなくなるからである。また幅を5mm以上としたのは、同様にそれより小さいと後述するように磁場下での超電導特性の低下を効果的に抑制できないからであり、20mm以下としたのは、それより大きなサイズの線材とすると、臨界電流密度が極端に小さい線材しか得られなくなるからである。
【0021】
本発明は、これらの寸法を採用することで、磁場下における超電導特性を向上させている。その理由は明らかではないが、これらのサイズを採用することで、テープ状線材の酸化物超電導体フィラメントにおいて、結晶粒のサイズ、ピン止め中心として働き得る転位や結晶粒間の歪み等が、磁場下での超電導特性を向上させるような状態になり得ることが予想される。従来、臨界電流密度の向上などの理由から、薄厚化を進める方向にあり、線材の厚みは0.10〜0.4mmの範囲内に設定され、幅は2〜4mmの範囲内に設定されてきたが、以下の実施例にも示すように、本発明者らはこれらよりサイズの大きな線材の方が、磁場において超電導特性を低下させにくいことを見いだしたものである。
【0022】
一般に超電導体に磁場を印加していくと、臨界電流密度が低下するが、本発明に従うテープ状線材では、臨界電流密度(Jc)および臨界電流(Ic)等の超電導特性が磁場によって低下する割合を従来よりも低く抑えることができる。
【0023】
図2に示すように、テープの長手方向をx方向、長手方向に垂直でありかつテープの主要面に平行な方向をy方向、テープの主要面に垂直な方向すなわち厚み方向をz方向とすると、y方向およびz方向に印加される磁場に対して、本発明の線材は次のような特性を示すことができる。
【0024】
まず、以下のようなパラメータを設定する。
ICO:液体ヘリウム温度(4.2K)において磁場が印加されていない条件下での臨界電流値
ICB(平行):液体ヘリウム温度(4.2K)において10Tの磁場がy方向に印加された条件下での臨界電流値
ICB(垂直):液体ヘリウム温度(4.2K)において10Tの磁場がz方向に印加された条件下での臨界電流値
I′CO:液体窒素温度(約77K)において磁場が印加されていない条件下での臨界電流値
I′CB(平行):液体窒素温度(約77K)において0.1Tの磁場がy方向に印加された条件下での臨界電流値
I′CB(垂直):液体窒素温度(約77K)において0.1Tの磁場がz方向に印加された条件下での臨界電流値
本発明の線材では、臨界電流値の比ICB(平行)/ICOを0.6以上、好ましくは0.7以上とすることができる。また本発明では、ICB(垂直)/ICOを0.3以上好ましくは0.4以上とすることができる。さらに本発明の線材では、I′CB(平行)/I′COを0.8以上好ましくは0.9以上とし、I′CB(垂直)/I′COを0.3以上好ましくは0.4以上とすることができる。
【0025】
本発明の線材は、銀または銀合金等の安定化材中に酸化物超電導体からなるフィラメントが埋込まれた構造を有するテープ状酸化物超電導多芯線または単芯線とすることができる。この線材において、フィラメントは、その長手方向に延びるリボン状とすることができる。酸化物超電導体としては、たとえば、イットリウム系、ビスマス系またはタリウム系酸化物超電導体が用いられる。特に、ビスマス系酸化物超電導体は、高い臨界温度、高い臨界電流密度、低い毒性および線材化の容易さといった点からより好ましい。
【0026】
テープ状超電導線は、一般に、酸化物超電導体の原料粉末の焼成および粉砕、粉末の安定化材シースへの充填、塑性加工ならびに焼結のプロセス(いわゆるパウダー・イン・チューブ法)を経て製造される。原料粉末の調製では、超電導体を構成する元素の酸化物または炭酸化物の粉末が所定の配合比で混合され、かつ焼結された後、焼結物が粉砕されて原料粉末となる。粉末を充填するシースは、たとえば銀または銀合金からなる。銀合金として、銀−金合金、銀−プラチナ合金、銀−マンガン合金などを挙げることができる。塑性加工には、伸線加工および圧延加工等が用いられる。圧延加工の後、テープ状にされた線材は、約800℃〜約900℃、たとえばビスマス系酸化物超電導体を用いる場合、好ましくは約840℃〜850℃の温度において焼結が施され、シース材中の超電導体が、高い配向性および高い臨界電流密度を得るようになる。多芯線を製造する場合、伸線加工の後切断して得られた複数の線材が合わされ、塑性加工および焼結に供される。上述したプロセスにおいて、塑性加工と焼結の組合せにより、高い配向性を有するほぼ単一の超電導相を生成することができる。
【0027】
このプロセスにより製造されたテープ状超電導線のフィラメントは、テープ線の長手方向にわたってほぼ均一な超電導相を有し、超電導相のc軸は、テープ線の厚み方向にほぼ平行に配向している。また、フィラメントにおける結晶粒は、テープ線の長手方向に延びるフレーク状であり、結晶粒同士は強く結合している。フレーク状の結晶粒は、テープ線の厚み方向に積層される。このような線材において、フィラメントの厚みは、100μm以下、たとえば1〜100μmとすることができる。
【0028】
また、以下に示すように、本発明の線材では、上述したy方向に磁場をかけた場合のJc−B特性が優れる。したがって、本発明は、インサートコイルなど、特に超電導線材に平行に印加される磁場の影響が大きいマグネットのコイルに使用する際に有効である。そして、本発明の線材により、磁場の印加による電流密度の低下の少ない安定性に優れた超電導コイルを形成することができ、このようなコイルを備える超電導マグネットを提供することができる。
【0029】
さらに、本発明による超電導マグネットでは、超電導コイルを形成した線材のIcが数100〜数1000Aと高いため、従来の線材に比べて大電流を流すことができる。このため、コイルターン数が小さくなり、コイルの作製が容易になるばかりでなく、インダクタンスが小さくなり、運転が容易になる。
【0030】
一方、電流リードでは、配置方法により、線材にかかる磁場方向を制御できるため、テープ面に水平に磁場がかかるようにリード線材を配置することによって、十分なIcを得ることができる。
【0031】
以下に、本発明をより具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
Bi2 O3 、PbO、SrCO3 、CaCO3 、CuOを用いてBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.4:2:2.2:3の組成比の粉末を準備した。この粉末を800℃で8時間熱処理した後、得られた焼結体を粉末状にするため、自動乳鉢を用いて2時間粉砕を行なった。次に粉砕して得られた粉末を850℃で5時間熱処理した後、再び自動乳鉢を用いて焼結物を同様に粉砕した。得られた粉末を用いて、以下のように線材を作製した。
【0033】
61多芯線の製造方法は以下のとおりである。粉砕して得られた粉末を外径25mm、内径22mmの銀パイプに充填した後、粉末を充填した銀パイプについて伸線加工を施し、1.45mmφの線材を得た。次に得られた線材を切断し、61本束ねて外径15mm、内径13mmの銀パイプに挿入し、さらに、4.9mmφまで伸線加工を施し、次いで得られた線材に圧延加工を施した。
【0034】
また、361多芯線の製造は以下のとおり行なった。粉砕して得られた粉末を外径25mm、内径22mmの銀パイプに充填した後、粉末を充填した銀パイプについて伸線加工を施し、2.59mmφの線材を得た。次に、得られた線材を切断し、19本束ねて外径14mm、内径13mmの銀パイプに挿入し、伸線加工を施し、2.59mmφの線材を得た。さらに得られた線材を切断し、19本束ねて外径15mm、内径13mmの銀パイプに挿入し、4.9mmφまで伸線加工を施し、次いで得られた線材に圧延加工を施した。
【0035】
以上に示すプロセスにおいて、最後の圧延時の加工率を変え、次の5種類のサイズのテープ状超電導線を得た。圧延加工の後、通常どおり、焼結処理を施し、ビスマス系酸化物超電導体が銀によって被覆されたテープ状線材を得た。作製したビスマス系酸化物超電導線材の断面サイズとそのJcを表1にまとめる。なお、比較例である厚み0.2mm、幅3.0mmの線材は61多芯線であり、厚み3.0mm、幅30mmの線材も61多芯線であった。一方本発明例である厚み1.0mm、幅10mmの線材は61多芯線であり、厚み0.6mm、幅10mmの線材は361多芯線であった。なお本発明の線材において、61多芯線のフィルラメントの厚みは約85μmであり、361多芯線のフィラメントの厚みは約15μmであった。
【0036】
【表1】
【0037】
表に示すように、線材の断面積を大きくしていくと、Jcの値は小さくなり、断面サイズが厚さ2.0mm、幅20mmを超えるとその低下は顕著になり、超電導線材として使用するのに適さなくなる。また、断面サイズが厚さ0.2mm、幅3.0mmの線材は従来例であり、高いJcを有するが、以下に述べるように、磁場を印加した状態での超電導特性は、本発明例の方が優れている。
【0038】
液体ヘリウム中(4.2K)、および液体窒素中(約77K)において、磁場に対する超電導特性(臨界電流)の影響を調べ、上述した本発明例と従来例とを比較した。
【0039】
図3は、液体ヘリウム中(4.2K)における線材の超電導特性を示すグラフである。図3において、横軸は超電導線材に印加した磁場B(T)の値を示し、縦軸は、磁場を印加しない場合のそれぞれの線材における臨界電流値で規格化した臨界電流値(ICB(平行)/ICO)を示している。黒丸でプロットされたグラフAは、本発明に従う61多芯線に上述したy方向に磁場を印加した場合を示し、黒三角でプロットしたグラフBは、本発明に従う361多芯線に上述したy方向の磁場を印加した場合を示し、黒四角でプロットしたグラフCは、従来の線材に上述したy方向の磁場を印加した場合の特性をそれぞれ示している。これらのグラフを比較した結果、本発明の線材は、従来の線材に比べて上述したy方向の磁場の印加による臨界電流の低下が少ないのがわかる。
【0040】
図4は、液体ヘリウム中(4.2K)において上述したz方向の磁場を印加した場合の線材の超電導特性を示している。白丸でプロットされたグラフDは、本発明の61多芯線にz方向の磁場を印加した場合、白三角でプロットされたグラフEは、本発明の361多芯線にz方向の磁場を印加した場合、白四角でプロットされたグラフFは、従来の線材にz方向の磁場を印加した場合をそれぞれ示している。これらのグラフを比較して明らかなように、Dの方がEよりも超電導特性が優れるものの、本発明の線材は、従来の線材に比べて磁場の印加による臨界電流の低下が少ないのがわかる。
【0041】
図5は、液体窒素中(77K)における線材の超電導特性を示す図である。図5において、横軸は超電導線材に印加した磁場B(T)の値を示し、縦軸は、磁場を印加しない場合のそれぞれの線材における臨界電流値で規格化した線材の臨界電流値(I′CB(平行または垂直)/I′CO)を示している。黒丸でプロットされたグラフGは、本発明の361多芯線に上述したy方向に磁場を印加した場合、黒四角でプロットしたグラフHは、従来の線材に上述したy方向の磁場を印加した場合をそれぞれ示す。白丸でプロットされたグラフIは、本発明の361多芯線に上述したz方向の磁場を印加した場合、白四角でプロットされたグラフJは、従来の線材にz方向の磁場を印加した場合をそれぞれ示している。これらのグラフを比較して明らかなように、77Kにおいて超電導線材にy方向の磁場を印加した場合、本発明の線材は従来の線材に比べて臨界電流の低下が非常に少なく、またz方向に磁場を印加した場合も、本発明の線材は従来の線材に比べて臨界電流の低下が少ないことがわかる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による超電導線材では、従来の超電導線材よりも磁場の印加による超電導特性の低下が少ない。したがって、本発明の超電導線材を用いることにより、超電導特性に優れ、かつ安定性の良好な超電導マグネットおよび電流リードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線材における寸法を説明するための斜視図である。
【図2】テープ状酸化物超電導線材に印加される磁場の方向を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の線材と従来の線材に、平行方向の磁場を印加した場合の4.2Kにおける超電導特性を示す図である。
【図4】本発明の線材と従来の線材に、垂直方向の磁場を印加した場合の4.2Kにおける超電導特性を示す図である。
【図5】本発明の線材と従来の線材に、平行方向および垂直方向の磁場を印加した場合の77Kにおける超電導特性を示す図である。
【図6】超電導マグネットに用いられる超電導コイルおよび電流リードの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 テープ状線材
11a、11b 主要面
Claims (10)
- 酸化物超電導体からなるフィラメントと、前記フィラメントを覆う安定化材とからなるテープ状酸化物超電導線材であって、
0.5mm〜2mmの範囲の厚みおよび5mm〜20mmの範囲の幅を有し、
前記フィラメントの厚みが100μm以下であることを特徴とする、テープ状酸化物超電導線材。 - 液体ヘリウム温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(ICO)に対する液体ヘリウム温度において前記線材の長手方向にほぼ垂直でかつ前記線材の主要面にほぼ平行な10Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(ICB(平行))の比(ICB(平行)/ICO)が0.6以上であることを特徴とする、請求項1に記載のテープ状酸化物超電導線材。
- 酸化物超電導体からなるフィラメントと、前記フィラメントを覆う安定化材とからなるテープ状酸化物超電導線材であって、
0.5mm〜2mmの範囲の厚みおよび5mm〜20mmの範囲の幅を有し、
液体ヘリウム温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(I CO )に対する液体ヘリウム温度において前記線材の長手方向にほぼ垂直でかつ前記線材の主要面にほぼ平行な10Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(I CB (平行))の比(I CB (平行)/I CO )が0.6以上であることを特徴とする、テープ状酸化物超電導線材。 - 液体窒素温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(I′CO)に対する液体窒素温度において前記線材の長手方向にほぼ垂直でかつ前記線材の主要面にほぼ平行な0.1Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(I′CB(平行))の比(I′CB(平行)/I′CO)が0.8以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテープ状酸化物超電導線材。
- 酸化物超電導体からなるフィラメントと、前記フィラメントを覆う安定化材とからなるテープ状酸化物超電導線材であって、
0.5mm〜2mmの範囲の厚みおよび5mm〜20mmの範囲の幅を有し、
液体窒素温度において磁場が印加されない条件下での臨界電流値(I′ CO )に対する液体窒素温度において前記線材の長手方向にほぼ垂直でかつ前記線材の主要面にほぼ平行な0.1Tの磁場が印加された条件下での臨界電流値(I′ CB (平行))の比(I′ CB (平行)/I′ CO )が0.8以上であることを特徴とする、テープ状酸化物超電導線材。 - 前記酸化物超電導体がビスマス系酸化物超電導体であり、かつ前記安定化材が銀および銀合金からなる群から選択される材料であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープ状酸化物超電導線材。
- 前記酸化物超電導体がBi2223相であることを特徴とする、請求項6に記載のテープ状酸化物超電導線材。
- 複数本の前記フィラメントを有する多芯線であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のテープ状酸化物超電導線材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のテープ状酸化物超電導線材からなるコイルを備えることを特徴とする、超電導マグネット。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のテープ状酸化物超電導線材をリード部に備えることを特徴とする、電流リード。
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