JP2008153140A - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 超電導特性を向上することのできる酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】 (Bi,Pb)2223超電導体の前駆体粉末を金属で被覆した形態の線材を伸線する伸線工程と、前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備え、該前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相を含み、それらの比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.2になるよう構成されていることおよび、前記伸線工程と前記圧延工程との間において、中間熱処理を加えることを特徴とする。
【選択図】 図9

Description

本発明は、超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置等の超電導応用機器に用いられる(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu310±δ(δは0.1程度の数:以下(Bi,Pb)2223とする)相を含む酸化物超電導線材の製造方法に関し、詳しくは(Bi,Pb)2223超電導線材の臨界電流値向上を目的とする酸化物超電導線材の製造方法に関する。
金属シース法で作製された(Bi,Pb)2223相を主成分とする酸化物超電導線材は高い臨界温度を持ちかつ、液体窒素温度等の比較的簡単な冷却下でも高い臨界電流値を示す有用な線材である(たとえば、非特許文献1を参照)。それゆえ更なる性能(臨界電流値)の向上が実現すれば、より実用に供される範囲が広がる。
また上記(Bi,Pb)2223超電導線材を使用することによって、従来の常伝導導体を用いるよりはるかにエネルギー損失を低減することが可能であると考えられている。そのため(Bi,Pb)2223超電導線材を導体として用いた超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置等の超電導応用機器開発も同時に進められている。
超電導線材の臨界電流値を上げる方法としては、(Bi,Pb)2223超電導線材を加圧された雰囲気下において焼結する方法が採用されている(特許文献1および非特許文献1を参照)。これにより液体窒素温度での臨界電流値は約100Aから120A級に向上している。
特開2002−093252号公報 SEIテクニカルレビュー、2004年3月 第164号 p36−42
上記の技術によっても、臨界電流値向上の効果は認められる。しかしながら、今後の市場からのニーズを考えれば、さらなる臨界電流値の増大が望まれる。そこで本発明はより臨界電流値の高い酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、(Bi,Pb)2223線材の製造工程中、用いられる前駆体粉末の成分構成と塑性加工工程に特徴をもたせることによって、臨界電流値が向上することを見出した。
本発明は、(Bi,Pb)2223超電導体の前駆体粉末を金属で被覆した形態の線材を伸線する伸線工程と、前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備え、該前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相を含み、それらの比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.2になるよう構成されていることおよび、前記伸線工程と前記圧延工程との間において、中間熱処理を加えることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法である。
本発明において、前記前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相の比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.5となるようにすることが好ましい。
本発明において、前記前駆体粉末はBi2212相と(Bi,Pb)2212相の比率がモル比でBi2212相>(Bi,Pb)2212相になるよう構成されていることが好ましい。
また本発明において、前記中間熱処理は、700℃以上、800℃以下の温度において、1時間以上5時間以下行われることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、高い臨界電流値を有する(Bi,Pb)2223酸化物超電導線材を得ることができる。
(実施の形態)
図1は、酸化物超電導線材の構成を模式的に示す部分断面斜視図である。図1を参照して、例えば、多芯線の酸化物超電導線材について説明する。酸化物超電導線材11は、長手方向に伸びる複数本の酸化物超電導体フィラメント12と、それらを被覆するシース部13とを有している。複数本の酸化物超電導体フィラメント12の各々の材質は、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成が好ましく、特に(Bi,Pb):Sr:Ca:Cuの原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表される(Bi,Pb)2223相を含む材質が最適である。シース部13の材質は、例えば銀や銀合金等の金属から構成される。
次に、上記の酸化物超電導線材の製造方法について説明する。
図2は、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造工程を示すフロー図である。また図3〜7は、図2の各工程を示す図である。
図2および図3を参照して、まず、酸化物超電導体の前駆体粉末31を金属管32に充填する(ステップS1)。この酸化物超電導体の前駆体粉末31は、超電導相としてBi2Sr2Ca1Cu28±δ(δは0.1に近い数:以下Bi2212と呼ぶ)相、(Bi,Pb)2Sr2Ca1Cu28±δ(δは0.1に近い数:以下(Bi,Pb)2212と呼ぶ)相や、(Bi,Pb)2223相が含まれる。また非超電導相として、アルカリ土類酸化物(例えば、(Ca,Sr)CuO2、(Ca,Sr)2CuO3、(Ca,Sr)14Cu2441等)、Pb酸化物(例えば、Ca2PbO4、(Bi,Pb)3Sr2Ca2Cu1z)が含まれる。なお、金属管32としては銀や銀合金を用いることが好ましい。これは前駆体粉末と金属管が反応して化合物を形成することによる、前駆体粉末の組成ずれを防ぐためである。本発明の特徴は前駆体粉末を構成する化合物にある。その詳細、効果については後述する。
次に、図2および図4に示すように、上記前駆体粉末が充填された金属管41を所望の直径まで伸線加工し、前駆体42を芯材として銀などの金属に被覆された単芯線43を作製する(ステップS2)。
次に、図2および図5に示すように、この単芯線51を多数束ねて、例えば銀等からなる金属管52内に嵌合する(多芯嵌合:ステップS3)。これにより、前駆体粉末を芯材として多数有する多芯構造材が得られる。
次に、図2および図6に示すように、多芯構造材61を所望の直径まで伸線加工し、前駆体粉末62が金属シース部63に埋め込まれ、断面形状が円状あるいは多角形状の等方的多芯母線64を作製する(ステップS4)。これにより、酸化物超電導線材の前駆体粉末62を金属で被覆した形態を有する等方的多芯母線64が得られる。
次に、図2に示すように、この等方的多芯母線71に中間熱処理を施す。(ステップS5)。このステップが本発明の第二の特徴である。このステップについても詳細は後述する。
次に、図2および図7に示すように、この等方的多芯母線71を圧延する(1次圧延:ステップS6)。これによりテープ状前駆体線材72が得られる。
次に、テープ状前駆体線材を熱処理する(1次熱処理:ステップS7)。この熱処理は、たとえば大気圧下、または1MPa以上50MPa以下の加圧雰囲気において約830℃の温度で行われる。熱処理によって前駆体粉末から目的とする(Bi,Pb)2223超電導相が生成される。
その後、再び線材を圧延する(2次圧延:ステップS8)。このように、2次圧延を行うことにより、更なる配向化が進み、1次熱処理で生じたボイドが除去される。
続いて、例えば830℃の温度で線材を熱処理する(2次熱処理:ステップS9)。このときも、大気圧下、または加圧雰囲気で熱処理する。以上の製造工程により、図1に示す酸化物超電導線材が得られる。
以下、本発明の特徴であるステップ1における前駆体粉末とステップS5の中間熱処理について詳細を記す。
酸化物超電導線材において高臨界電流化を図るには超電導結晶粒の高度な配向化が重要である。そのためにステップS6の圧延が施される。これは線材を一軸方向に変形させテープ状にし、(Bi,Pb)2223超電導結晶のa−b面方向をテープ面と平行になるよう配向させるものである。
高臨界電流化のもう一つの方策は、最終熱処理後超電導フィラメント内はできる限り(Bi,Pb)2223相のみで構成されていることが望ましい。これを単相化という。従来の製造方法においても、超電導フィラメント内は95%程度の(Bi,Pb)2223相と若干の非超電導相から構成されるようになる。ただし従来製法では、残留する非超電導相が大きく凝集しやすい。非超電導相が大きく凝集しフィラメント内に存在している場合、これに接した超電導結晶は大きく傾き、いわゆる配向性が悪い部分となってしまう。一方、ある程度の非超電導相がフィラメント内に含まれていても、それが小さければその非超電導相に接している超電導結晶はさほど傾かず、ほぼ超電導結晶のa−b面方向をテープ面と平行になるよう維持できる。これを微細分散化という。
上記のように、非超電導相はその量が少ない方がよく、仮に同じ量含まれていたとしてもできる限り小さく多数に分かれて存在している方が高い性能をもたらすことになる。高臨界電流化の方策として、配向化、単相化、微細分散化を促す前駆体粉末の形態、その後の加工条件を検討した。その結果が本発明である。
単相化、微細分散化を促すためには、前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相を含み、それらの比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.2になるよう構成されていることである。
従来製法の前駆体粉末では、(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)で表された比率が0.1程度であった。これは前駆体粉末中に、超電導成分(Bi,Pb)2223相、と2212系相(Bi2212相と(Bi,Pb)2212相)が約1:9程度以下の割合、つまり超電導成分としては(Bi,Pb)2223相が10%程度以下)で含まれていることを意味する。本発明では、(Bi,Pb)2223相の割合を増加させ、(Bi,Pb)2223相が20%以上前駆体粉末に含まれるようにするものである。
前駆体粉末中の(Bi,Pb)2223相の割合を増加させることによって、前駆体粉末中に含まれる非超電導相の比率が小さくなる。これは(Bi,Pb)2223相⇔2212系相+(Ca,Cu,Pbの元素)の反応において、左辺側が増え、非超電導相を形成する(Ca,Cu,Pbの元素)が消費されるからである。非超電導相の比率が小さいのでより単相化されやすい。
前駆体粉末はステップ7、9によって、(Bi,Pb)2223相⇔2212系相+(Ca,Cu,Pbの元素)反応式の左辺に進行するよう熱処理される。しかしながら非超電導相の存在割合が多く非超電導相粒子同士が隣接し存在している場合、非超電導相粒子間で反応が起こり大きく凝集しやすい。よって前駆体粉末中の(Bi,Pb)2223相割合を増加させることで、前駆体時点での非超電導相割合を減少させ、非超電導相同士の凝集反応を抑える。
次にステップS5における中間熱処理について説明する。断面形状が円状の等方的多芯母線を圧延した時の、内部の結晶の変化を模式的に表した線材断面図を図8に示す。図8では単芯線のケースをモデルとして表す。断面が円形状の等方的母線81においては金属管82中に平板状の超電導相を含む種々の結晶83が存在している。そのような状況において、図8(a)に示すように超電導結晶が圧延する前に充分大きいサイズを有していれば、圧延操作によりテープ材84になった際、各結晶は長手方向(a−b面方向)が圧延時の外力方向に対して垂直になるように倒れてその方向がそろう。一方、図8(b)に示すように結晶サイズが小さい場合、結晶83は倒れにくく配向化もおこりにくい。よって、圧延前にはできる限り結晶83のサイズが大きい方が、配向化には有利である。
ところで、圧延までに線材はステップS2とステップS4の伸線加工が施される。この伸線加工は縮径加工であり、ステップS1で充填された状況から各金属管はその直径において1/10〜1/100程度の縮小変形をうける。
この変形において、充填された前駆体粉末も外力を受け、砕けて結晶サイズが小さくなっていく。このような状況で圧延操作をおこなっても、配向化はおこりにくい。よって本発明では、伸線工程で砕けて小さくなった結晶粒を大きくするために圧延前に中間熱処理を施すものである。
本発明の効果を模式的に表した線材断面図を図9に示す。前駆体粉末の結晶粒は伸線加工により、砕け小さくなる。小さくなった結晶粒に対して熱処理を施し、結晶粒サイズを大きくする。大きくなった結晶粒に対して圧延操作を施すことにより、ステップS6の一次圧延において高度な配向化組織が得られる。
高度な配向化組織が一次圧延後(あるいはステップS7の一次焼結)に得られやすいことから、ステップS8の二次圧延が小さな加工度で済み、より高い臨界電流値が得られる。そこでステップS8の二次圧延においてさらなる配向化を目的とする強度な圧延は必要なくなる。二次圧延において強度な圧延を施すと一次焼結で形成された超電導結晶間の接合や、大きく成長した超電導結晶を破壊することになりできるだけ強度の加工は避けたい。
従来の製造方法においては、ステップS8の二次圧延は10%以上の厚み減少率(厚み減少率=(圧延前厚さ−圧延後厚さ)/(圧延前厚さ))で行われているが、本発明の工程を二次圧延前に施しておけば、厚み減少率10%未満での加工でも充分な配向組織が得られる。そのため一次焼結後の組織を大きく壊すことがなく、より高い臨界電流値が実現できる。
また次のような効果もある。前駆体粉末を構成する成分は、中間熱処理での非超電導相同士の凝集の度合いにも影響を与える。非超電導相の存在割合が多く非超電導相同士が隣接し存在している場合、ステップ7、9と同様に、中間熱処理においても非超電導相粒子間で反応が起こり大きく凝集しやすい。中間熱処理で非超電導相が凝集すると、その後の一次圧延で超電導結晶が配向しにくい。このため、記前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相の比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.2を用いた線材に、一次圧延前の中間熱処理を組み合わせるとより高い配向度が得られる。
前駆体粉末中の超電導相比率を(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.5になるよう、さらに(Bi,Pb)2223相の存在比率を高めてもよい。図2においてステップS9までの全てのステップを行う場合は、前記比率が0.2以上であれば、臨界電流値に大きな変化はないが。ステップS7の一次熱処理までしか工程を行えない線材を製造する場合には、前記比率が0.5以上であると効果的であることを実験より見出した。
前駆体粉末を構成する成分により、この中間熱処理での結晶粒の成長度合いが影響を受ける。充填される前駆体粉末中には、斜方晶である(Bi,Pb)2212相と正方晶であるBi2212相の2つの2212相が混在する。これらの割合は前駆体粉末を作製する段階で調整できる。Bi2212相は周りに存在するPb化合物からPbを吸収し、(Bi,Pb)2212相にかわることができる。この反応がおこる際に、Bi2212相から非常に大きな(Bi,Pb)2212相が生成されやすい。よって主相として前駆体粉末は、正方晶Bi2212相が主相であることが好ましく、それに対して中間熱処理を施すとより効果的である。
また効果的な中間熱処理条件は、700℃以上、800℃以下の温度において、1時間以上5時間以下であることも実験的に見出した。
上記のように、前駆体粉末に含まれる超電導相成分を調整し、伸線加工後に中間熱処理を加えることによって、高度に配向化しており、(Bi,Pb)2223相が単相化され、さらには非超電導相が微細分散化した組織が得られる。よって高い臨界電流値を有する超電導線材が実現できる。
(実施例1)
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
原料粉末(Bi23,PbO,SrCO3,CaCO3,CuO)をBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:1.9:2.0:3.0の比率で混合し、大気中で700℃×8時間の熱処理、粉砕、800℃×10時間の熱処理、粉砕する。得られた粉末をいくつかに分け、最後に830から840℃の温度範囲、1から10時間の範囲で異なる熱処理を行い、(Bi,Pb)2223相と2212系相(Bi2212相と(Bi,Pb)2212相)の含有比率が異なる8種の粉末を得る。それぞれを粉砕処理し前駆体粉末とする。また、5種類の原料粉末が溶解した硝酸水溶液を、加熱された炉内に噴射することにより、金属硝酸塩水溶液の粒子の水分が蒸発し、硝酸塩の熱分解、そして金属酸化物同士の反応、合成を瞬時に起こさせる噴霧熱分解法で前駆体粉末を作製することもできる。こうして作製された8種の粉末における(Bi,Pb)2223相、2212系相の含有成分比(モル比)を表1に示す。
それぞれ粉末の含有成分比率(モル比)は粉末X線回折のθ/2θスキャン法で測定されるピーク強度を用いて算出する。(Bi,Pb)2223相と2212系相の比は、(Bi,Pb)2223相の(0、0、14)と2212系相の(0、0、12)ピーク強度を使用し、(Bi,Pb)2223相の割合を、(Bi,Pb)2223相(0、0、14)/((Bi,Pb)2223相(0、0、14)+2212系相(0、0、12))として算出する。
上記により作製された前駆体粉末を外径25mm、内径22mmの銀パイプに充填し、直径2.4mmまで伸線して単芯線を作製する。この単芯線それぞれを55本に束ねて外径25mm、内径22mmの銀パイプに挿入し、直径1.5mmまで伸線し、多芯(55芯)線材を得る。この多芯線材に中間熱処理を施す。熱処理雰囲気は全圧1気圧(0.1MPa)、酸素分圧0.0001MPaに設定し、温度750℃、2時間で熱処理を行った。
上記熱処理後、多芯線を圧延し、厚み0.25mmのテープ状線材に加工する。得られたテープ状線材を全圧1気圧(0.1MPa)、酸素分圧8kPaの雰囲気中で830℃、30時間〜50時間の1次熱処理を施す。熱処理後の線材はやや厚みが大きくなっており、平均厚さ0.26mmとなっていた。ここで各線材の一部を切りだし臨界電流値(Ic)を測定する。その結果を表1に記す。
1次熱処理後のテープ状線材を厚み0.24mmになるように再圧延する(厚み減少率:7.7%=(0.26mm−0.24mm)/0.26mmと計算される)。再圧延後のテープ状線材に酸素分圧8kPaを含む、全圧30MPaの加圧雰囲気下にて830℃、50時間〜100時間の2次熱処理を施す。作製された線材の臨界電流値(Ic)を測定する。その結果を表1に記す。
臨界電流値は、温度77K、ゼロ磁場中、四端子法で電流―電圧曲線を測定し、その曲線から線材1cmあたり1×10-6Vの電圧を発生させる電流を臨界電流値と定義した。
Figure 2008153140
試料1、2、3(比較例)は、(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)の比率が0.2未満である。一方、試料4〜8(実施例)は0.2以上である。それらを比べると、2次熱処理後の臨界電流値は試料4〜8(実施例)の方が格段に高いことが判る。また1次熱処理後の臨界電流値は前記比率が0.5以上である試料7、8にて高くなることが判る。
(実施例2)
実施例1において作製し、試料4に用いた前駆体粉末の一部に対し、金属管に充填する前に窒素雰囲気中、800℃、1時間の熱処理を加えた後、金属管に充填し実施例1と同様に線材を作製し試料9とする。以下の方法にて試料4と試料9に用いられた前駆体粉末中のBi2212相と(Bi,Pb)2212相の存在割合を判定する。
これの比率についても粉末X線回折のθ/2θスキャン法で測定されたデータの特定のピークからBi2212相と(Bi,Pb)2212相の存在割合の大小を判定する。使用するピークは2θ=33.0°近傍のBi2212相の(2、0、0)および(Bi,Pb)2212相の(2、0、0)、(0、2、0)面に由来するピークである。Bi2212相は正方晶なので(2、0、0)面に由来するピーク(2θ=33.0°)しか観測されない。一方(Bi,Pb)2212相は斜方晶であるため2θ=33.1°に(0、2、0)に由来するピークが現れる。Bi2212相の割合が(Bi,Pb)2212相の割合より多い場合は2θ=33.0°にしかピークが現れず、その割合が逆転した場合には2θ=33.1°にもピークが観測される。よって2θ=33.1°にピークが現れない粉末をBi2212相>(Bi,Pb)2212相の存在比をもつとする。
上記の方法により試料4に用いられた前駆体粉末はBi2212相>(Bi,Pb)2212相であり、試料9に用いられた粉末ではBi2212相<(Bi,Pb)2212相となっていると判定した。なお(Bi,Pb)2223相の比率は試料4と9で変化がない。試料9の2次熱処理後の臨界電流値(Ic)は167Aであり、やや試料4に比べ劣っている。このことから前駆体粉末はBi2212相>(Bi,Pb)2212相の状態の方が好ましいといえる。
(実施例3)
実施例1において作製し、試料4に対し伸線加工後の中間熱処理の温度、時間変えて試料を作製した。中間熱処理以外の工程は実施例1と同様である。その中間熱処理条件と臨界電流値(Ic)を表2に記す。
Figure 2008153140
表2からも判るように、中間熱処理が700〜800℃の範囲で施されると、170A以上の臨界電流値(Ic)が得られる。また時間的には1から5時間程度で良好な結果が得られることが判る。
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
酸化物超電導線材の構成を模式的に示す部分断面斜視図である。 本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造工程を示すフロー図である。 図2中S1ステップを示す図である。 図2中S2ステップを示す図である。 図2中S3ステップを示す図である。 図2中S4ステップを示す図である。 図2中S5ステップを示す図である。 圧延時における、金属管内部の結晶の変化を模式的に表した線材断面図である。 本発明の効果を模式的に表した線材断面図である。
符号の説明
11 酸化物超電導線材、12 酸化物超電導フィラメント、13 シース部、31 前駆体粉末、32 金属管 41 前駆体粉末が充填された金属管、42 前駆体、43 単芯線、51 単芯線、52 金属管、61 多芯構造材、62 前駆体原料粉末、63 金属シース部、64 等方的多芯母線、71 等方的多芯母線、72 テープ状前駆体線材 81 等方的母線、82 金属管、83 結晶、84 テープ材。

Claims (4)

  1. (Bi,Pb)2223超電導体の前駆体粉末を金属で被覆した形態の線材を伸線する伸線工程と、
    前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、
    前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備える酸化物超電導線材の製造方法において、
    該前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相を含み、それらの比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.2になるよう構成されていることおよび、
    前記伸線工程と前記圧延工程との間において、中間熱処理を加えることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記前駆体粉末は(Bi,Pb)2223相とBi2212相、(Bi,Pb)2212相の比率がモル比で(Bi,Pb)2223相/((Bi,Pb)2223相+Bi2212相+(Bi,Pb)2212相)≧0.5になるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記前駆体粉末はBi2212相と(Bi,Pb)2212相の比率がモル比でBi2212相>(Bi,Pb)2212相になるよう構成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記中間熱処理は、700℃以上、800℃以下の温度において、1時間以上5時間以下行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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