JP2009181817A - 酸化物超電導線材の製造方法および酸化物超電導線材 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法および酸化物超電導線材 Download PDF

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Abstract

【課題】 超電導特性を向上することのできる酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】 Bi2223超電導体の前駆体粉末を金属管に充填する充填工程と、前記前駆体粉末が充填された金属管を伸線し、線材を得る伸線工程と、前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備え、前記熱処理工程は750℃以上800℃以下の温度範囲まで昇温させる第1のステップと、第1のステップにおける最高温度から20℃以上降温させる第2のステップと、その後800℃以上870℃以下の温度範囲で熱処理する第3のステップからなる酸化物超電導線材の製造方法である。
【選択図】 図9

Description

本発明は、超電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵装置等の超電導応用機器に用いられる(BiPb)SrCaCu10±δ(δは0.1程度の数:以下Bi2223とする)相を含む酸化物超電導線材の製造方法に関し、詳しくはBi2223超電導線材の臨界電流値向上を目的とする酸化物超電導線材の製造方法に関する。
近年、酸化物の焼結体が高い臨界温度で超電導特性を示すことが報告され、この超電導体を利用して超電導技術の実用化が促進されている。Bi2223超電導線材は、比較的安価で入手できる液体窒素等の冷却下でも高い臨界電流値を示す有用な線材である。
このようなBi2223超電導線材の製造方法は、たとえば特開2007−26773号公報(特許文献1)および特表平11−506866号公報(特許文献2)に記載されている。具体的には、まず、(BiPb)SrCaCu8±δ(δは0.1に近い数:以下Bi2212と呼ぶ)相を主成分とする前駆体粉末を金属管に充填した後に、伸線加工して単芯材を形成する。その後に、単芯材を複数束ねて金属管に挿入し、伸線加工して多芯構造の多芯材を形成する。その多芯材を1次圧延して、テープ状線材を形成する。続いて、テープ状線材の熱処理を行ない、Bi2212相をBi2223相に相変態させて1次線材を得る。次に、1次線材を2次圧延した後に、2回目の熱処理を行ない、Bi2223超電導線材を製造している。
特開2007−26773号公報 特表平11−506866号公報
上記の技術によっても、臨界電流値向上の効果は認められる。しかしながら、今後の市場からのニーズを考えれば、さらなる臨界電流値の増大が望まれる。そこで本発明はより臨界電流値の高い酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
Bi2223超電導線材の製造方法において臨界電流密度を向上するために、超電導相からなる結晶の配向性を向上させることを目的とする。
本発明は、Bi2223超電導体の前駆体粉末を金属管に充填する充填工程と、前記前駆体粉末が充填された金属管を伸線し、線材を得る伸線工程と、前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備え、前記熱処理工程は750℃以上800℃以下の温度範囲まで昇温させる第1のステップと、第1のステップにおける最高温度から20℃以上降温させる第2のステップと、その後800℃以上870℃以下の温度範囲で熱処理する第3のステップを含むことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法である。
本発明において、前記熱処理工程の第2のステップにおける降温速度は2℃/時間以下であることが好ましい。
本発明において、前記熱処理工程の第3のステップにおける熱処理時間は10時間以上であることが好ましい。
また本発明の酸化物超電導線材は、上記のいずれかに記載の製造方法により製造された酸化物超電導線材である。
本発明の製造方法によれば、高い臨界電流値を有するBi2223酸化物超電導線材を得ることができる。
(実施の形態)
図1は、酸化物超電導線材の構成を模式的に示す部分断面斜視図である。図1を参照して、例えば、多芯線の酸化物超電導線材について説明する。酸化物超電導線材11は、長手方向に伸びる複数本の酸化物超電導体フィラメント12と、それらを被覆するシース部13とを有している。複数本の酸化物超電導体フィラメント12の各々の材質は、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成が好ましく、特に(Bi、Pb):Sr:Ca:Cuの原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表されるBi2223相を含む材質が最適である。シース部13の材質は、例えば銀や銀合金等の金属から構成される。
次に、上記の酸化物超電導線材の製造方法について説明する。
続いて、図2〜図7を参照して、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態におけるBi2223超電導線材の製造方法を示すフロー図である。図3は本発明の実施の形態における単芯母線を得る工程(S1ステップ)を示す概略斜視図である。図4は本発明の実施の形態における単芯母線を伸線する工程(S2ステップ)を示す概略斜視図である。図5は本発明の実施の形態における多芯嵌合する工程(S3ステップ)を示す概略斜視図である。図6は本発明の実施の形態における多芯母線を伸線する工程(S4ステップ)を示す概略斜視図である。図7は本発明の実施の形態における多芯線を圧延する工程(S5ステップ)を示す概略斜視図である。
図2および図3を参照して、まず、酸化物超電導体の前駆体粉末31を金属管32に充填する(ステップS1)。この酸化物超電導体の前駆体粉末31は、Bi2212相を主超電導相とし、Bi2223相、アルカリ土類酸化物(例えば、(CaSr)CuO、(CaSr)CuO、(CaSr)14Cu2441等)、Pb酸化物(例えば、CaPbO、(BiPb)SrCaCu)を含む材質よりなっている。なお、金属管32としては銀や銀合金を用いることが好ましい。これは前駆体粉末31と金属管32が反応して化合物を形成することによる、前駆体粉末31の組成ずれを防ぐためである。
次に、図2および図4に示すように、上記前駆体粉末が充填された単芯母線41を所望の直径まで伸線加工し、前駆体粉末31を芯材として銀などの金属に被覆された単芯線42を作製する(ステップS2)。
次に、図2および図5に示すように、この単芯線42を多数束ねて、例えば銀等からなる金属管51内に嵌合する(多芯嵌合:ステップS3)。これにより、前駆体粉末を芯材として多数有する多芯母線52が得られる。
次に、図2および図6に示すように、多芯母線52を所望の直径まで伸線加工し、前駆体粉末31が金属シース部61に埋め込まれ、断面形状が円状あるいは多角形状の多芯線62を作製する(ステップS4)。
次に、図2および図7に示すように、伸線後の多芯線62を圧延する(1次圧延:ステップS5)。これによりテープ状前駆体線材71が得られる。
次に、テープ状前駆体線材を熱処理する(1次熱処理:ステップS6)。本発明の特徴はこの段階の熱処理にあり、詳細は後述する。本熱処理の基本的な狙いは、前駆体粉末を目的とするBi2223超電導相に変態させることである。
その後、再び線材を圧延する(2次圧延:ステップS7)。このように、2次圧延を行うことにより、1次熱処理で生じたボイドが除去される。
ステップS7に続いて、大気圧下または加圧雰囲気で例えば830℃の温度で線材を熱処理する(2次熱処理:ステップS8)。以上の製造工程により、図1に示す酸化物超電導線材が得られる。
以下、本発明の特徴であるステップS6の熱処理工程について詳細を記す。酸化物超電導線材において高臨界電流密度化を図るには超電導結晶粒の高度な配向化が重要である。そのためにステップS5の圧延が施される。これは線材を一軸方向に変形させテープ状にし、前駆体粉末中のBi2212超電導相結晶のa−b面方向をテープ面と平行になるよう配向させるものである。
目的とするBi2223相は、テープ状前駆体線材中のBi2212相の組織をテンプレートとして配向組織を形成する。そのためテープ状前駆体線材中のBi2212相組織が高配向化されていることが望ましい。
ところで、ステップS5の圧延工程を行っても、充分なBi2212相の高配向組織が得られないこともある。そこで本発明は、熱処理時における結晶の粒成長作用を利用して、Bi2212相結晶の高配向化を促すものである。
前駆体粉末に含まれる各種結晶粒は、熱をかけることにより、周りの同種あるいは異種の結晶と反応し大きな結晶へと成長する。図1に示されるように、圧延されたテープ線材中では、前駆体粉末31によって構成される酸化物超電導体フィラメント12は平たい帯形状をなしている。Bi2212超電導相はa−b面方向が銀界面に沿うように結晶成長しやすい。つまり図1に示されるような形状において、Bi2212超電導相に熱をかけるとBi2212超電導相結晶はそのa−b面方向がテープ面と平行になるように成長する。すなわち圧延と同様な配向化がおこる。この配向化の度合いは、Bi2212超電導相結晶が大きく成長するほど良くなる。つまり、テープ形状にして、できるだけ大きくBi2212超電導相結晶を成長させることが高配向組織を得る方策である。
以下、Bi2212超電導相結晶を大きく成長させる熱処理パターンについて述べる。図8は従来技術における1次熱処理(ステップS6)パターンを模式的に表した図である。図8中のA線は最も一般的に用いられているパターンである。B線は少し改良が加えられたパターンである。いずれも酸素を含む、大気圧あるいは加圧雰囲気下で行われる。図8中、T1(約700℃)とT2(約800℃)ではさまれる温度範囲(T2212)では、Bi2212相の結晶粒成長が起こりやすい。T2とT3(約870℃)ではさまれる温度範囲(T2223)では、Bi2212相からBi2223相への変態が起こる。
パターンAでは、Bi2223相への変態を目的として一気にT2223領域まで温度を上昇させる。その後目標とする温度で保持しBi2223相への変態を進行させる。このパターンでは、線材がT2212領域にさらされている時間は短い。よってBi2212相結晶の粒成長はあまり起こらない。パターンBでは、Bi2212相結晶粒の粒成長を目的として、T2212領域で保持するステップ(図8中のX部分)が設けられている。これによりある程度Bi2212相結晶粒の粒成長が起こる。本発明の熱処理工程は、パターンBよりもさらに大きくBi2212相結晶が成長させることができるパターンである。
図9は本発明の1次熱処理パターンを示した図である。図9を参照して本発明を説明する。本発明の熱処理パターンは、第1のステップにおいてT2212領域のT4(約750℃)とT2(約800℃)ではさまれる、T2212の高温領域(750〜800℃)まで昇温する。第2のステップにおいて降温する。この際、降温幅は20℃以上であると効果的である。第3のステップにおいてT2223領域まで昇温し保持するものである。
大きな特徴は、第2のステップにおいて降温操作を施すことである。これは大型単結晶成長に用いられる手法、すなわち結晶が成長する温度領域において、その高温部から低温部へ温度を変化させることでより大きく結晶が成長するといった作用を応用したものである。温度変化が結晶成長の駆動力となる。
第2のステップに続き、Bi2223相への変態を目的とした第3のステップを行うことで、第2のステップで大きく且つ配向性よく成長したBi2212相組織がテンプレートとなり、Bi2223相組織も高配向化されたものとなる。
第2のステップにおける降温速度は、2℃/時間以下であることが好ましい。2℃/時間を超える速さで降温すると結晶成長が充分に起こらないこともある。
第3のステップにおける熱処理時間(目的温度の保持時間)は10時間以上であることが好ましい。保持時間が10時間以上であれば、Bi2212相からBi2223相への変態がほぼ完了する。
上記のようにして、圧延された線材に本発明の熱処理を施すことにより、高度な配向化組織が得られ、高い臨界電流値を有する超電導線材を製造することができる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
原料粉末(Bi、PbO、SrCO、CaCO、CuO)をBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:1.9:2.0:3.0の比率で混合し、大気中で700℃×8時間の熱処理、粉砕、800℃×10時間の熱処理、粉砕、820℃×4時間の熱処理、粉砕の処理を施し前駆体粉末を得る。また、5種類の原料粉末が溶解した硝酸水溶液を、加熱された炉内に噴射することにより、金属硝酸塩水溶液の粒子の水分が蒸発し、硝酸塩の熱分解、そして金属酸化物同士の反応、合成を瞬時に起こさせる噴霧熱分解法で前駆体粉末を作製することもできる。こうして作製された前駆体粉末は、Bi2212相が主体となった粉末である。
上記により作製された前駆体粉末を外径25mm、内径22mmの銀パイプに充填し、直径2.4mmまで伸線して単芯線を作製する。この単芯線を55本に束ねて外径25mm、内径22mmの銀パイプに挿入し、直径1.5mmまで伸線し、多芯(55芯)線材を得る。この多芯線を圧延し、厚み0.25mmのテープ状線材に加工する(1次圧延)。得られたテープ状線材を以下種々の条件で熱処理する(1次熱処理)。
(第1のステップにおける到達温度の効果)
得られたテープ状線材に対して以下の熱処理を施す。大気雰囲気中で室温から700℃(比較例1),730℃(比較例2)、750℃(実施例1)、770℃(実施例2)、800℃(実施例3)、820℃(比較例3)まで温度(第1のステップの到達温度)を上昇させ、それぞれ2℃/時間の速度を持って20℃降温する。温度が20℃下がった時点でクエンチして熱処理を終了する。得られた各線材を切断し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、Bi2212相結晶のサイズを測定した。測定方法は断面に表れたBi2212相結晶を任意に100個選び、その長い方向のサイズを結晶サイズとしてカウントし、それらの平均値を求めた。またBi2212相の配向度をX線回折θ/2θスキャン法によって同定した。具体的には、テープ材の銀被覆をはがし、XRDパターンを測定しそのパターンからBi2212相の(0.0.8)のピーク強度(I008)と(2.0.0)のピーク強度(I200)とを求め、その強度を(式1)にあてはめBi2212の配向度を算出する。
Bi2212の配向度=I008/(I008+I200)×100・・・(式1)
(式1)によって算出された数値が100に近いほど、Bi2212超電導相結晶のa−b面方向がテープ面と平行になるよう配向していると判断される。各線材のBi2212超電導相結晶サイズと配向度を表1に示す。
Figure 2009181817
表1からわかるように、第1のステップの到達温度が750℃以上の線材では、Bi2212相結晶が6μm以上に大きく成長し、Bi2212相の配向度も90以上となり良い。到達温度が820℃の比較例3では、Bi2223相が発生し結晶サイズ、配向度がともに小さくなっている。
(第2のステップにおける降温幅の効果)
圧延によって得られたテープ状線材に対して以下の熱処理を施す。大気雰囲気中で室温から800℃まで温度を上昇させ、800℃から降温速度2℃/時間で10℃(比較例4)、20℃(実施例3)、30℃(実施例4)、50℃(実施例5)、70℃(実施例6)温度を下げ、目的の温度に到達した時点でクエンチして熱処理を終了する。上記と同様に各線材のBi2212相の配向度をXRDパターンから求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2009181817
表2からわかるように、第2のステップの降温幅が20℃未満である比較例4はBi2212相の配向度が、実施例3から6に比べかなり低い。よって第2のステップにおける降温幅は20℃以上が必要であるといえる。
(第3のステップにおける到達温度の効果)
圧延によって得られたテープ状線材に対して以下の熱処理を施す。大気雰囲気中で室温から770℃まで温度を上昇させ、770℃から降温速度2℃/時間で750℃まで温度を下げ、750℃になったら再び温度を上昇させ、780℃(比較例5)、790℃(比較例6)、800℃(実施例7)、830℃(実施例8)、850℃(実施例9)、870℃(実施例10)、880℃(比較例7)、でそれぞれ10時間保持する。10時間保持後自然に冷却させ熱処理を終了する。
これらの線材に関しては、線材中のBi2222相の割合をXRDパターンから評価する。評価は以下のとおりである。XRDパターンよって同定されたBi2212(0.0.12)のピーク強度I2212とBi2223(0.0.14)のピーク強度I2223とから(式2)にしたがってBi2223相の存在割合を判断する。
Bi2223の存在割合=I2223/(I2212+I2223)×100・・・(式2)
(式2)の値を存在割合と定義し、この値が大きいほどBi2223相が多く発生しているということである。結果を表3に示す。
Figure 2009181817
表3からわかるように、第3のステップの到達温度が800℃未満である場合は、Bi2212相への変態が少なく、Bi2212相がかなり残る。一方到達温度が880℃の場合温度が高すぎて、超電導部がメルトし非超電導相が析出する。これより第3のステップの到達温度は800℃から870℃が適切であるといえる。
(第2のステップにおける降温速度の効果)
圧延によって得られたテープ状線材に対して以下の熱処理を施す。大気雰囲気中で室温から800℃まで温度を上昇させ、降温速度1℃/時間(実施例11)、2℃/時間(実施例3)、3℃/時間(実施例12)、5℃/時間(実施例13)をもって780℃まで温度を下げ、780℃に到達した時点でクエンチして熱処理を終了する。前記と同様に各線材のBi2212相の配向度をXRDパターンから(式1)を用いて求めた。その結果を表4に示す。
Figure 2009181817
表4からわかるように、第2のステップの降温速度が2℃/時間以下であるとBi2212相配向度はほぼ100に近くなる。よって、降温速度は2℃/時間以下であることが好ましい。
(第3のステップにおける熱処理時間の効果)
圧延によって得られたテープ状線材に対して以下の熱処理を施す。大気雰囲気中で室温から770℃まで温度を上昇させ、770℃から降温速度2℃/時間で750℃まで温度を下げ、750℃になったら再び温度を850℃まで上昇させる。850℃における熱処理時間(保持時間)を次のよう変え試料とする。2時間(実施例14)、5時間(実施例15)、10時間(実施例9)、20時間(実施例16)各時間保持後自然に冷却させ熱処理を終了する。これらの線材に関しても、XRDパターンと(式2)を用いてBi2223相の存在割合を評価する。その結果を表5に示す。
Figure 2009181817
表5からわかるように、第3のステップの熱処理時間(保持時間)が10時間以上であると、ほぼBi2223相の単相となる。それ以上時間を延長しても反応は進行しない。よって第3のステップの熱処理時間は10時間以上であれば充分である。
(超電導線材性能)
上記実施例9のテープ材(1次熱処理後)に対し、厚みが0.22mmとなるよう再度圧延工程(2次圧延)を施した。再度圧延されたテープ材に対し、830℃で50時間、酸素分圧が8kPaで全圧30MPaの条件で熱処理(2次熱処理)を行ない最終的な超電導線材(実施例17)とした。一方、1次圧延後テープ材の一部に対し、図8中パターンAの1次熱処理を施した。熱処理条件は850℃、10時間である。このテープ材に対し、実施例17と同じように、厚みが0.22mmとなるよう再度圧延工程(2次圧延)を施した。再度圧延されたテープ材に対し、830℃で50時間、酸素分圧が8kPaで全圧30MPaの条件で熱処理(2次熱処理)を行ない超電導線材(比較例8)とした。
実施例17および比較例8の超電導線材について臨界電流値Icを測定した。臨界電流値は、温度が77Kで、自己磁場中において測定した。臨界電流値の定義は、10−6V/cmの電界が発生したときの通電電流値とした。
実施例17の臨界電流値は250A、比較例8の臨界電流値は210Aであった。これらの結果から、本発明に従って製造された超電導線材は、従来技術によって製造された線材にくらべ高い超電導特性をもつことがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
酸化物超電導線材の構成を模式的に示す部分断面斜視図である。 本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造工程を示すフロー図である。 図2中S1ステップを示す図である。 図2中S2ステップを示す図である。 図2中S3ステップを示す図である。 図2中S4ステップを示す図である。 図2中S5ステップを示す図である。 従来技術における1次熱処理(ステップS6)パターンを模式的に表した図である。 本発明の1次熱処理パターンを示した図である。
符号の説明
11 酸化物超電導線材
12 酸化物超電導フィラメント
13 シース部
31 前駆体粉末
32 金属管
41 単芯母線
42 単芯線
51 金属管
52 多芯母線
61 金属シース部
62 多芯線
71 テープ状前駆体線材

Claims (4)

  1. Bi2223超電導体の前駆体粉末を金属管に充填する充填工程と、
    前記前駆体粉末が充填された金属管を伸線し、線材を得る伸線工程と、
    前記伸線工程後の線材を圧延する圧延工程と、
    前記圧延工程後の線材を熱処理する熱処理工程とを備え、
    前記熱処理工程は750℃以上800℃以下の温度範囲まで昇温させる第1のステップと、
    第1のステップにおける最高温度から20℃以上降温させる第2のステップと、
    その後800℃以上870℃以下の温度範囲で熱処理する第3のステップを含むことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記熱処理工程において、第2のステップの降温速度は2℃/時間以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記熱処理工程において、第3のステップの熱処理時間は10時間以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の酸化物超電導線材の製造方法により製造された、酸化物超電導線材。
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CN111292899A (zh) * 2020-02-21 2020-06-16 中国科学院电工研究所 一种复合包套铁基超导线材的制备方法
CN111292899B (zh) * 2020-02-21 2021-08-27 中国科学院电工研究所 一种复合包套铁基超导线材的制备方法

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