JP3858830B2 - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超電導線材の製造方法に関し、特定的には、Bi(ビスマス)2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を複数回熱処理する工程を備えた酸化物超電導線材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、Bi2223相を有する酸化物超電導体を金属被覆した多芯線からなる超電導線材(以下、Bi2223相を有する酸化物超電導線材)は、液体窒素温度での使用が可能であり、比較的高い臨界電流密度が得られること、長尺化が比較的容易であることから、超電導ケーブルやマグネットへの応用が期待されている。
【0003】
このようなBi2223相を有する酸化物超電導線材は、以下のようにして製造されていた。まず、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材が作製される。次に、熱処理と圧延とを繰り返すことにより、超電導相であるBi2223相が線材の超電導フィラメント部分に配向して生成し、テープ状の酸化物超電導線材が得られる。このような酸化物超電導線材の製造方法は、特許2636049号公報(特開平3−138820号公報)(特許文献1)、特許2855869号公報(特開平4−292812号公報)(特許文献2)に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許2636049号公報(特開平3−138820号公報)
【0005】
【特許文献2】
特許2855869号公報(特開平4−292812号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
Bi2223相を有する酸化物超電導線材の超電導フィラメントにおいて、Bi2223相が生成しやすいのは、主に金属シースとの界面部分である。これは、Bi2223相の結晶構造の異方性が大きいことに起因するものである。超電導フィラメントにおける金属シースとの界面部分に生成したBi2223相は、超電導結晶粒同士の接合が強く、かつ配向性が高い。このため、Bi2223相を有する酸化物超電導線材では、超電導フィラメントにおける金属シースとの界面部分に主に電流が流れる。
【0007】
しかしながら、通常、超電導相であるBi2223相が生成する際には、(Ca,Sr)2PbO4や(Ca,Sr)2CuO3のような非超電導相(以下、異相)もまた生成する。このような異相は、Bi2223相の配向性を低下させ、超電導結晶粒同士の結合を弱くする。従来の酸化物超電導線材の製造方法においては、これらの異相が超電導フィラメント全体に分散して生成していた。このため、超電導フィラメントにおける金属シースとの界面部分に生成する異相が電流の流れの妨げとなり、その結果、Bi2223相を有する酸化物超電導線材の臨界電流値が低下するという問題があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高い臨界電流値を有する酸化物超電導線材の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製する工程と、線材に複数回の熱処理をする工程とを備えていて、線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程は、酸素濃度が15%以下、温度835℃以上845℃以下での本焼結を含む。線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程直後から700℃までの降温時の降温速度は1℃/h以上10℃/h以下である。
【0010】
本発明の酸化物超電導線材によれば、酸素濃度15%以下、温度835℃以上845℃以下で本焼結が行なわれることにより、異相が超電導フィラメントの中心部分に集中し、かつ超電導結晶粒同士の接合が強くなる。これにより、超電導フィラメントにおける金属シースとの界面部分に生成する異相が減少するので、異相が電流の妨げとなりにくくなる。また、超電導結晶粒同士の接合が強くなり、かつ配向性が高くなる。これらの結果、酸化物超電導線材の臨界電流値が高くなる。また、熱処理する工程直後の降温時の降温速度が大きいと、Bi2223相と金属シースとの熱収縮率の差により、金属シースとの界面部分の超電導フィラメントにクラック(ひび割れ)が生じやすい。一方、降温速度が小さいと、異相が生成することによりBi2223相の配向性が低下し、超電導結晶粒同士の結合が弱くなる。その結果、臨界電流値が低下する。したがって、上記の降温速度の範囲で熱処理する工程直後から700℃まで降温することにより、クラックおよび異相の生成を抑止できるので、酸化物超電導線材の臨界電流値が高くなる。
【0011】
上記の製造方法において好ましくは、線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程は、800℃以上820℃以下でのアニール焼結を含む。
【0012】
これにより、本焼結により生成されたBi2223相がアニールされる効果により、Bi2223相の配向性が高くなり結晶粒同士の接合が強くなる。その結果酸化物超電導線材の臨界電流値が高くなる。
【0013】
上記の製造方法において好ましくは、線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における酸素濃度は8%以下である。また、上記の製造方法において好ましくは、線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における熱処理時間は30時間以上であり、さらに好ましくは50時間以上である。さらに、上記の製造方法において好ましくは、本焼結の焼結時間が10時間以上50時間以下である。これにより、酸化物超電導線材の臨界電流値が一層高くなる。
【0016】
上記の製造方法において好ましくは、原料粉末における(ビスマスと鉛):鉛の原子比は、1:0.15以上1:0.17以下である。
【0017】
これにより、酸化物超電導線材の臨界電流値が一層高くなる。
なお、本明細書中で「Bi2223相」とは、ビスマスと鉛とストロンチウムとカルシウムと銅とを含み、その原子比として(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅が2:2:2:3と近似して表されるBi−Sr−Ca−Cu−O系の酸化物超電導相であり、具体的には(BiPb)2Sr2Ca1Cu28+z超電導相のことである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0019】
図1は、酸化物超電導線材の構成を概念的に示す部分断面斜視図である。図1を参照して、たとえば、多芯線の酸化物超電導線材について説明する。酸化物超電導線材1は、長手方向に延びる複数本の酸化物超電導体フィラメント2と、それらを被覆するシース部3とを有している。複数本の酸化物超電導体フィラメント2の各々は、Bi2223相を含む材質よりなっている。シース部3の材質は、たとえば銀や銀合金よりなっている。
【0020】
なお、上記においては多芯線について説明したが、1本の酸化物超電導体フィラメント2がシース部3により被覆される単芯線構造の酸化物超電導線材が用いられてもよい。
【0021】
次に、上記の酸化物超電導線材の製造方法について説明する。
図2は本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法を示すステップ図である。
【0022】
図2を参照して、まず、原料粉末が混合され、熱処理されることが繰り返される。これにより反応が起こり、最終目的の超電導体に変化する中間状態の前駆体粉末が作製される(ステップS1)。原料粉末としては、超電導相であるBi2223相と非超電導相とから構成される混合粉末が用意される。熱処理はたとえば700℃〜800℃の温度で行なわれる。次に、この前駆体粉末が金属シースに充填される(ステップS2)。次に、前駆体粉末が金属シースに充填されたものに対して伸線加工が行なわれる(ステップS3)。この際には伸線加工と中間軟化処理とが繰り返され、前駆体フィラメントを芯材として金属シースで被覆されたクラッド線となる。次に、複数のクラッド線が束ねられて再び金属シースに勘合される(ステップS4)。これにより、たとえば55芯を有する多芯線が作製される。次に多芯線に対して伸線加工される(ステップS5)。これにより、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材が作製される。その後、この多芯線に対して複数回の圧延加工と熱処理とが繰り返される(ステップS6)。
【0023】
上記の製造方法により、たとえば図1に示す酸化物超電導線材を製造することができる。
【0024】
本実施の形態においては、伸線加工された多芯線に対して複数回の圧延加工と熱処理とが繰り返される(ステップS6)。このうち、少なくとも1回の熱処理が、たとえば以下の熱処理方法により行なわれる。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態における熱処理方法における時間と温度の関係を示す図である。
【0026】
図3を参照して、本実施の形態における熱処理は本焼結とアニール焼結とを含む2段焼結により行なわれる。線材が設置された炉内は、酸素濃度15%以下、好ましくは8%以下に保たれている。まず、炉内が840℃まで昇温され、本焼結が行なわれる。焼結時間10時間以上50時間以下という条件で行なわれる。次にアニール焼結が行なわれる。アニール焼結は炉内温度810℃で行なわれる。また、熱処理時間(本焼結の焼結時間とアニール焼結の焼結時間との合計時間)が30時間以上、好ましくは50時間以上となるような条件で行なわれる。熱処理直後から炉内温度700℃までの降温時には、降温速度が1℃/h以上10℃/h以下となるように炉内温度が制御される。
【0027】
なお、上記においては多芯構造の酸化物超電導線材について示したが、1本の酸化物超電導体(超電導フィラメント)を、金属シースで被覆した単芯構造の酸化物超電導線材についても本発明を適用することができる。
【0028】
また、本焼結の炉内温度が840℃である場合について示したが、835℃以上845℃以下であればよい。さらに、アニール焼結の炉内温度が810℃である場合について示したが、800℃以上820℃以下であればよい。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0030】
(実施例1)
図2を用いて説明した方法により、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.163となるように混合された原料粉末を用いて、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。このうち2次熱処理においては2段焼結を行なった。1次熱処理と2次熱処理とについては、表1に示すように熱処理条件を変化させて熱処理を行なった。ここで、表1の1次熱処理における「大気焼結」とは、炉内の酸素濃度20%、炉内温度830℃以上840℃以下の条件で行なう本焼結のみの熱処理を意味している。表1の1次熱処理における「低酸素焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度820℃以上830℃以下の条件で行なう本焼結のみの熱処理を意味している。また、表1の2次熱処理における「大気焼結」とは、炉内の酸素濃度20%、炉内温度830℃以上840℃以下の条件で本焼結した後、炉内の酸素濃度20%、炉内温度800℃以上820℃以下の条件でアニール焼結する熱処理を意味している。さらに、表1の2次熱処理における「低酸素焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度820℃以上830℃以下の条件で本焼結した後、炉内の酸素濃度8%、炉内温度800℃以上820℃以下の条件でアニール焼結する熱処理を意味している。2次熱処理後に室温まで冷却した後、臨界電流値を測定した。その結果も表1に示す。
【0031】
なお、作製された酸化物超電導線材の外径サイズは、幅3.6mm、厚さ0.21mm、長さ100mmであり、酸化物超電導線材の横断面における酸化物超電導体部分の面積に対する金属部分の面積の比(以下、銀比)は2.0であった。
【0032】
【表1】
Figure 0003858830
【0033】
表1から明らかなように、1次熱処理および2次熱処理の少なくともいずれか1回の熱処理において低酸素焼結を行なった試料2〜4は、1次熱処理と2次熱処理との両方で大気焼結を行なった試料1よりも高い臨界電流値となっている。
【0034】
(実施例2)
実施例1と同様にしてBi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。このうち1次熱処理においては、表2に示すように熱処理条件を変えて行なった。なお、1次熱処理と2次熱処理との両方において炉内の酸素濃度は8%とした。
【0035】
【表2】
Figure 0003858830
【0036】
2次熱処理後に室温まで冷却した後、臨界電流値を測定した。図4は、本発明の実施例2において作製された酸化物超電導線材の全熱処理時間と臨界電流値との関係を示す図である。
【0037】
図4の結果より、2段焼結を行なった試料6および試料8は、2段焼結を行なわなかった試料5および7よりも高い臨界電流値となっている。また、試料6と試料8とを比較して、本焼結の焼結時間とアニール焼結の焼結時間との合計時間である熱処理時間が50時間である試料6は、熱処理時間が30時間である試料8よりも高い臨界電流値となっている。
【0038】
(実施例3)
実施例1と同様にしてBi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。1次熱処理と2次熱処理とについては、表3に示すように熱処理条件を変化させて熱処理を行なった。表3の1次熱処理および2次熱処理における「1段焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃の条件で行なう本焼結のみの熱処理を意味している。表3の1次熱処理および2次熱処理における「2段焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃の条件で本焼結した後、炉内温度810℃の条件でアニール焼結する熱処理を意味している。2次熱処理後に室温まで冷却した後、臨界電流値を測定した。その結果も表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0003858830
【0040】
表3から明らかなように、1次熱処理および2次熱処理の少なくともいずれか1回の熱処理において2段焼結を行なった試料10〜12は、1次熱処理と2次熱処理との両方で1段焼結を行なった試料9よりも高い臨界電流値となっている。
【0041】
(実施例4)
実施例1と同様にしてBi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。1次熱処理は、炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃、熱処理時間20時間の条件で本焼結のみの熱処理を行なった。2次熱処理では2段焼結を行なった。炉内の酸素濃度8%、炉内温度835℃および840℃の条件で、焼結時間を変化させて本焼結を行なった。本焼結後、炉内の酸素濃度8%、炉内温度810℃、焼結時間30時間の条件でアニール焼結を行なった。2次熱処理後に室温まで冷却した後、臨界電流値を測定した。図5は、本発明の実施例4において作製された酸化物超電導線材の本焼結の焼結時間と臨界電流値との関係を示す図である。
【0042】
図5の結果より、炉内温度が835℃の場合と840℃の場合との両方で、10時間以上50時間以下の焼結時間で本焼結を行なった場合の方が、50時間を超える焼結時間で本焼結を行なった場合よりも高い臨界電流値となっている。
【0043】
(実施例5)
実施例1と同様にしてBi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。2次熱処理では2段焼結を行なった。炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃、焼結時間30時間の条件で本焼結した後、炉内の酸素濃度8%、炉内温度810℃、焼結時間30時間の条件でアニール焼結する熱処理を行なった。2次熱処理終了直後(810℃)から炉内温度700℃まで降温する際に、降温速度を0.9〜55℃/hの範囲で変化させて降温した。室温まで冷却した後、臨界電流値を測定した。なお、銀比が1.3で、原料粉末中の鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)(図6中z)=0.143となる酸化物超電導線材についても同様の測定を行なった。図6は、本発明の実施例5において作製された酸化物超電導線材の降温速度と臨界電流値との関係を示す図である。
【0044】
図6の結果より、両方の酸化物超電導線材で、降温速度が1℃/h以上10℃/h以下の場合に臨界電流値が向上している。
【0045】
(実施例6)
図2を用いて説明した方法により、鉛の原子比がそれぞれPb/(Bi+Pb)=0.143、0.163となるように混合された2種類の原料粉末を用いて、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理を行なった。1次熱処理については、表4に示すように熱処理条件を変化させて熱処理を行なった。1次熱処理後、室温まで冷却して、臨界電流値を測定した。
【0046】
【表4】
Figure 0003858830
【0047】
なお、表4の1次熱処理の熱処理条件における「1段焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃の条件で行なう本焼結のみの熱処理を意味している。表4の1次熱処理の熱処理条件における「2段焼結」とは、炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃の条件で本焼結した後、炉内温度810℃、焼結時間20時間の条件でアニール焼結を行なう熱処理を意味している。
【0048】
図7は本発明の実施例6において作製された酸化物超電導線材の1次熱処理の熱処理時間と1次熱処理後の臨界電流値との関係を示す図である。図7の結果より、1次熱処理において、1段熱処理を行なった場合と2段焼結を行なった場合の両方で、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.163となる原料粉末を用いた試料19〜24は、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.143となる原料粉末を用いた試料13〜18よりも高い臨界電流値となっている。
【0049】
続いて、表4における試料15と試料21とについて、2次圧延および2次熱処理を行なった。2次熱処理では2段焼結を行なった。炉内の酸素濃度8%、炉内温度840℃の条件で、焼結時間を10〜50時間の範囲で変化させて本焼結を行なった。本焼結後、炉内の酸素濃度8%、炉内温度810℃、焼結時間30時間の条件でアニール焼結を行なった。2次熱処理後、室温まで冷却して臨界電流値を測定した。
【0050】
図8は、本発明の実施例6において作製された酸化物超電導線材の2次熱処理における本焼結時間と2次熱処理後の臨界電流値との関係を示す図である。図8の結果より、2次熱処理における本焼結の焼結時間に関係なく、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.163となる原料粉末を用いた試料21は、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.143となる原料粉末を用いた試料15よりも高い臨界電流値となっている。
【0051】
(実施例7)
図2を用いて説明した方法により、鉛の原子比がPb/(Bi+Pb)=0.163となるように混合された原料粉末を用いて、Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製した。その後、1次圧延、1次熱処理、2次圧延および2次熱処理を行なった。このうち2次熱処理においては、炉内の酸素濃度8%、本焼結温度840℃、アニール焼結温度810℃の2段焼結を行なった。2次熱処理直後から700℃までの降温速度を3℃/hとした。室温まで冷却して臨界電流値を測定した。
【0052】
図9(a)は、従来の酸化物超電導線材の断面を模式的に示す図である。図9(b)は、本発明の実施例7における製造方法により製造された酸化物超電導線材の断面を模式的に示す図である。
【0053】
図9(a)、(b)を参照して、従来の酸化物超電導線材1は、異相5が超電導フィラメント2全体に分散して生成している。一方、本実施例における酸化物超電導線材1は、異相5が超電導フィラメント2の中心部分に集中している。したがって、電流が流れる部分である金属シース3との界面部分の超電導フィラメント2には、異相5が少なくBi2223相4が多いので、異相5が電流の妨げとなりにくくなり、酸化物超電導線材1の臨界電流値が高くなる。
【0054】
本実施の形態においては、伸線加工された多芯線に対して行なう複数回の熱処理のうち、少なくとも1回の熱処理が2段焼結である場合について示したが、本発明はこのような熱処理方法に限定されるものではなく、酸素濃度が15%以下で、835℃以上845℃以下での本焼結を含む熱処理であればよい。
【0055】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明の酸化物超電導線材によれば、酸素濃度15%以下、温度835℃以上845℃以下で本焼結が行なわれることにより、異相が超電導フィラメントの中心部分に集中し、かつ超電導結晶粒同士の接合が強くなる。これにより、超電導フィラメントにおける金属シースとの界面部分に生成する異相が減少するので、異相が電流の妨げとなりにくくなる。また、超電導結晶粒同士の接合が強くなり、かつ配向性が高くなる。これらの結果、酸化物超電導線材の臨界電流値が高くなる。また、上記の降温速度の範囲で熱処理する工程直後から700℃まで降温することにより、クラックおよび異相の生成を抑止できるので、酸化物超電導線材の臨界電流値が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酸化物超電導線材の構成を概念的に示す部分断面斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法を示すステップ図である。
【図3】 本発明の実施の形態における熱処理方法における時間と温度の関係を示す図である。
【図4】 本発明の実施例2において作製された酸化物超電導線材の熱処理時間と臨界電流値との関係を示す図である。
【図5】 本発明の実施例4において作製された酸化物超電導線材の本焼結の焼結時間と臨界電流値との関係を示す図である。
【図6】 本発明の実施例5において作製された酸化物超電導線材の降温速度と臨界電流値との関係を示す図である。
【図7】 本発明の実施例6において作製された酸化物超電導線材の1次熱処理における熱処理時間と1次熱処理後の臨界電流値との関係を示す図である。
【図8】 本発明の実施例6において作製された酸化物超電導線材の2次熱処理における本焼結時間と2次熱処理後の臨界電流値との関係を示す図である。
【図9】 (a)従来の酸化物超電導線材の断面を模式的に示す図である。(b)本発明の実施例7における製造方法により製造された酸化物超電導線材の断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 酸化物超電導線材、2 超電導フィラメント、3 金属シース、4 Bi2223相、5 異相。

Claims (7)

  1. Bi2223相を含む酸化物超電導体の原料粉末を金属で被覆した形態を有する線材を作製する工程と、
    前記線材に複数回の熱処理をする工程とを備え、
    前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程は、酸素濃度が15%以下である、酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程は、835℃以上845℃以下での本焼結を含み、
    前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程直後から700℃までの降温時の降温速度は1℃/h以上10℃/h以下である、酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程は、800℃以上820℃以下でのアニール焼結を含むことを特徴とする、請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における前記酸素濃度は8%以下である、請求項1または2に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における熱処理時間は30時間以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における熱処理時間は50時間以上である、請求項4に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記線材に複数回の熱処理をする工程のうち少なくとも1回の工程における前記本焼結の焼結時間は10時間以上50時間以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記原料粉末における、(ビスマスと鉛):鉛の原子比は、1:0.15以上1:0.17以下である、請求項1〜のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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