JP2005141968A - 複合超電導線材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複合化後に高温熱処理を必要としない複合超電導線材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 銅被覆3がなされた複数のNbTi系超電導部材2Aを横断面円形の第1の銅マトリックス2B中に埋設し、複数の第1の銅マトリックス2B(19本)をさらに第2の銅マトリックス2C中に埋設して形成されたNbTi系多芯超電導フィラメント2と、このNbTi系多芯超電導フィラメント2の外方に形成された無酸素銅パイプ5の管壁5cの軸方向に沿って埋設された複数のMgB2系超電導フィラメント4とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 銅被覆3がなされた複数のNbTi系超電導部材2Aを横断面円形の第1の銅マトリックス2B中に埋設し、複数の第1の銅マトリックス2B(19本)をさらに第2の銅マトリックス2C中に埋設して形成されたNbTi系多芯超電導フィラメント2と、このNbTi系多芯超電導フィラメント2の外方に形成された無酸素銅パイプ5の管壁5cの軸方向に沿って埋設された複数のMgB2系超電導フィラメント4とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複合超電導線材およびその製造方法に関し、特に、複合化後に高温熱処理を必要としない複合超電導線材およびその製造方法に関するものである。
従来のNbTi系超電導線材は、極低温(例えば、液体ヘリウム温度4.2K近傍)で使われる代表的な超電導線材であるが、臨界温度が9K相当であり、わずかな熱擾乱により導体温度が上昇し、熱的に不安定であることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図8は、特許文献1に記載された超電導線材を示す。この超電導線材40は、銀などの金属シース43により被覆された臨界温度の高い酸化物超電導体41の外側に銅等の金属シース44を被覆した臨界温度の低い金属系超電導体(例えば、NbTi)42と同心状に配置し、最外側を金属シース45で覆ったものであり、最終熱処理を800〜900℃の空気中で施すこととしている。この超電導線材によると、異なった臨界温度を有する複数の超電導線材を組み合わせたため、運転磁界、運転温度に対する超電導線材の適用範囲が広くなるので、結果的に熱的に安定な超電導線材を得ることができる。
特開平6−275146号公報(0013)
しかし、従来の超電導線材によると、金属系超電導体(例えば、NbTi)と酸化物超電導体を複合加工して、最終熱処理を行うため、熱処理温度が金属系超電導体にとっては高い温度となるので、特に金属系超電導体の熱的安定性を低下させてしまうおそれがある。
従って、本発明の目的は、複合化後に高温熱処理を必要としない複合超電導線材およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、低抵抗金属からなるマトリックス、およびその中に配置されたNbTi系超電導部材より構成されたNbTi系超電導フィラメントと、前記NbTi系超電導フィラメントの外周に配置された複数の複数のMgB2系超電導フィラメントとを備えることを特徴とする複合超電導線材を提供する。
前記複数のMgB2系超電導フィラメントは、低抵抗金属パイプ中に埋入されていることが好ましい。
前記複数のMgB2系超電導フィラメントは、低抵抗金属からなる複数の補強材とともに前記NbTi系超電導フィラメントの外周に配置されていることが好ましい。
前記MgB2系超電導フィラメントは、管状の金属部材の内側に配置されたMgB2系超電導材料を、前記管状の金属部材とともに縮径加工を施すことにより得られることが好ましい。
前記MgB2系超電導フィラメントは、横断面を矩形に形成することが好ましい。
本発明は、上記目的を達成するため、低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも2回以上のαTi相の析出熱処理を施したNbTi系多芯超電導部材と、前記NbTi系多芯超電導部材の外周上に巻回され、低抵抗金属からなる被覆で被覆された複数のMgB2系超電導部材とから形成される撚り合わせ集合部材を縮径して得られることを特徴とする複合超電導線材を提供する。
前記MgB2系超電導部材は、前記撚り合わせ集合部材の縮径加工時に、横断面を矩形に形成することが好ましい。
本発明は、上記目的を達成するため、NbTi系超電導部材とMgB2系超電導部材は、NbTi系超電導フィラメントの体積占有率をX(%単位)、MgB2系超電導フィラメントの体積占有率をY=α(100−X)(%単位)とするとき、α=0.02〜0.6となるような比率で構成されることを特徴とする複合超電導線材を提供する。
本発明は、上記目的を達成するため、低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも1回以上のαTi相の析出熱処理を施したNbTi系多芯超電導部材を形成するNbTi系多芯超電導部材形成工程と、低抵抗金属からなる管状部材と前記管状部材の内側に配置されたMgB2系超電導材料とを縮径加工を施してMgB2系超電導部材を形成するMgB2系超電導部材形成工程と、低抵抗金属からなる金属管に、前記NbTi系多芯超電導部材を組み込み、前記金属管に複数のMgB2系超電導部材を埋入することにより、NbTi系超電導材と複数のMgB2系超電導材の複合ビレットを形成するビレット形成工程と、前記複合ビレットに縮径加工を施して細線化する縮径工程とを含むことを特徴とする複合超電導線材の製造方法を提供する。
前記ビレットは、前記縮径工程の後に280℃を超えない温度でアニール処理がなされることが好ましい。
本発明は、上記目的を達成するため、低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも2回以上のαTi相の析出熱処理を施してNbTi系多芯超電導部材を形成するNbTi系多芯超電導部材形成工程と、低抵抗金属からなる被覆で被覆された複数のMgB2系超電導部材を形成するMgB2系超電導部材形成工程と、前記NbTi系多芯超電導部材の外周面に、前記複数のMgB2系超電導部材をスパイラルに巻き付けて撚り合わせ集合部材を形成する撚り合わせ集合部材形成工程と、前記撚り合わせ集合部材を縮径を施して細線化する縮径工程とを含むことを特徴とする複合超電導線材の製造方法を提供する。
本発明の複合超電導線材によれば、NbTi系超電導フィラメントとMgB2系超電導フィラメントを複合化した後のアニール温度が高温を要しないため、超伝導体の熱的安定性を低下させることがない。
本発明の複合超電導線材によれば、MgB2系超電導部材を安定化材として用いるため、クエンチに対して安定な導体を得ることができる。
本発明の複合超電導線材によれば、補強材を備えたため、機械的強度を有することができる。
本発明の複合超電導線材によれば、MgB2系超電導フィラメントは、管状部材にMgB2系超電導材料を配置して、それを縮径することとしたため、管状部材とMgB2系超電導材料との接触面積を大にできるので、管状部材がMgB2系超電導材料の安定化材としての機能を果たし、大径化することなく超電導部材を得ることができる。
本発明の複合超電導線材によれば、MgB2系超電導部材を断面矩形状に変更しても、断面円形のものと変わらない効果を奏することができる。
本発明の複合超電導線材によれば、NbTi系多芯超電導部材を形成する際にαTi相の析出熱処理を施してあるため、超電導化するための熱処理を行う必要がないので、製作が容易となる。
本発明の複合超電導線材によれば、MgB2系超電導部材を含む撚り合わせ集合部材を断面矩形状に変更しても、断面円形のものと変わらない効果を奏することができる。
本発明の複合超電導線材によれば、MgB2系超電導部材を所定量含むことにより、電気的に安定な超電導性を有することができる。
本発明の複合超電導線材の製造方法によれば、超電導化するための熱処理を行う必要がないため、NbTi系超電導部材とMgB2系超電導部材との複合超電導線材を容易に製造することができる。
本発明の複合超電導線材の製造方法によれば、アニール処理することにより均質な複合超電導線材を得ることができる。
本発明の複合超電導線材の製造方法によれば、NbTi系多芯超電導部材の外周面に、複数のMgB2系超電導部材をスパイラルに巻き付けて撚り合わせ集合部材を形成したため、MgB2系超電導部材が安定化材としてより効果的に働くことができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る超電導導体を示す説明図である。この複合超電導導体1は、銅被覆3がなされた複数のNbTi系超電導部材2Aを横断面円形の第1の銅マトリックス2B中に埋設し、複数の第1の銅マトリックス2B(19本)をさらに第2の銅マトリックス2C中に埋設して形成されたNbTi系多芯超電導フィラメント2と、このNbTi系多芯超電導フィラメント2の外方に形成された金属部材としての無酸素銅パイプ5の管壁5cの軸方向に沿って埋設された複数のMgB2系超電導フィラメント4とを備える。
この複合超電導導体1は、例えば、無酸素銅パイプ5管壁5cの軸方向に沿って形成した穴の中にMgB2が挿入され、銅パイプ5の内側にNbTi系超伝導部材2Aを埋設して形成した第2の銅マトリックス2Cを挿入してなる複合ビレットを形成した後に縮径加工されることにより形成される。
MgB2系超電導フィラメント4は、Ex‐site法により製造されるため、MgB2系超電導材料を用いる必要がある。MgB2系超電導材料の成分としてMgB2の結晶構造が主相であることが好ましい。MgB2系超電導材料を用いることにより、複合ビレット形成後に超電導化熱処理を施さなくてもMgB2系超電導フィラメント4は、超電導特性を有する。MgB2系超電導材料は、複合ビレットを縮径加工することによりMgB2系超電導フィラメント4が形成される。複合ビレットに組み込まれるMgB2系超電導材料は、MgB2の原料粉末、あるいはその原料の粉末成型体、あるいは、MgB2系超電導材料を銅または銅合金で被覆した銅被覆MgB2系超電導材料のいずれかであることが好ましい。
NbTi系超電導部材2Aは、その外周を銅または銅合金の被覆3を施したものであり、α−Ti相の析出熱処理をすでに行った部材であることが好ましい。これにより、複合ビレットを形成した後で超電導化熱処理を施さなくてもNbTi系超電導部材は、超電導特性を有する。
金属部材としての無酸素銅パイプ5は、銅または銅合金からなるもので形成することが好ましい。
複合ビレットに縮径加工を施し、最終形状とした後の超電導化熱処理は施さないことが好ましい。
複合超電導線材を製造する方法として、少なくとも1回以上のα−Ti相の析出熱処理を施した横断面で丸型の銅または銅合金で被覆されたNbTi系多芯超電導部材を中心に配置し、その外周に、銅または銅合金で被覆したMgB2系超電導部材の複数本をスパイラル状に巻き付けて撚り合わせ集合部材を作製し、さらに、撚り合わせ集合部材に縮径加工を施し、銅または銅合金で被覆したNbTi系多芯超電導部材と、銅または銅合金で被覆したMgB2系超電導部材を密着させることが好ましい。撚り合わせ集合部材の縮径加工後の形状は、丸型、角型、平角型、テープ型等いずれでもよい。
前記の複合超電導線材において、MgB2系超電導フィラメント層が、複合ビレット構成前、複合ビレット構成後、あるいは撚り合わせ集合部材の縮径加工のいずれかの工程で、円形から矩形に変形加工されることが好ましい。MgB2超電導層の超電導特性が向上することが期待できるからである。
前記の複合超電導線材は、NbTi合金系超電導フィラメントの体積占有率をX(%単位)、MgB2系超電導フィラメントの体積占有率をY=α(100−X)とすると、α=0.02〜0.6となるような比率で構成されることが好ましい。α<0.02の場合、MgB2の比率が少ないため、複合化した効果があまりなく、α<0.6以上の複合部材を製作するのが加工上困難となる場合があるからである。
この実施の形態によれば、下記の効果が得られる。
(イ)MgB2系材料を用いることにより、複合ビレット形成後に超電導化熱処理を施さなくてもMgB2系超電導フィラメント4の超電導特性は、損なわれず、安定材としての役目を果たすことができる。
(ロ)NbTi系超電導部材2Aは、その外周を銅または銅合金の被覆3を施したものであり、α−Ti相の析出熱処理をすでに行った部材であるので、複合ビレットを形成した後に超電導化熱処理を施さなくても超電導特性を有する。
(ハ)複合ビレットの内部は、NbTi系多芯超電導部材とMgB2系超電導部材に加えて補強及び熱的安定化のために、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを内在させるため、熱的安定性に優れる。したがって、この複合ビレットを縮径加工を施すことにより得られる複合超電導線材は、熱的安定性に優れ、かつ機械的強度をも有する。
(イ)MgB2系材料を用いることにより、複合ビレット形成後に超電導化熱処理を施さなくてもMgB2系超電導フィラメント4の超電導特性は、損なわれず、安定材としての役目を果たすことができる。
(ロ)NbTi系超電導部材2Aは、その外周を銅または銅合金の被覆3を施したものであり、α−Ti相の析出熱処理をすでに行った部材であるので、複合ビレットを形成した後に超電導化熱処理を施さなくても超電導特性を有する。
(ハ)複合ビレットの内部は、NbTi系多芯超電導部材とMgB2系超電導部材に加えて補強及び熱的安定化のために、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを内在させるため、熱的安定性に優れる。したがって、この複合ビレットを縮径加工を施すことにより得られる複合超電導線材は、熱的安定性に優れ、かつ機械的強度をも有する。
図2は、本発明の実施例1に係る複合超電導線材1を製作するための複合ビレットを示す。以下、図1および図2を参照しながら、本発明の実施例1に係る複合超電導線材1の製作方法を説明する。まず、直径20mmの銅被覆NbTi系多芯超電導線材を準備し、3回の時効処理と伸線加工を行い、外径が1mmでフィラメント構造が19芯×19芯の銅被覆された第2の銅マトリックス2Cを形成した。
―方、結晶構造の主相がMgB2構造であるMgB2粉末4Aを無酸素銅パイプ(外径76mm、肉厚5mm、長さ380mm)3Aに充填し、その無酸素銅パイプ3Aに伸線加工を施し、銅とMgB2フィラメントの体積占有率が50%の外径4mmの銅被覆されたMgB2系超電導部材4Bを製作した。次に、図2に示すように、金属部材として外径34mm、肉厚2mm、長さ2000mmの無酸素銅パイプ5Aに、銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2D(第2の銅マトリックス2C)を中心に配置し、その外周に18本の銅被覆されたMgB2系超伝導部材4Bを組み込み、複合ビレット10とする。その複合ビレット10に伸線加工を施し外径1mmの形状とした。次に、アニール処理として250℃5時間の熱処理を不活性雰囲気のArガス中で行い、複合超電導導体1(部材A)とした。この複合超電導導体1において、NbTi系超電導フィラメント2の銅に対するNbTiフィラメント体積占有率は80%である。
図3は、本発明の実施例2に係る複合超電導線材を製作するための複合ビレットを示す図である。実施例1と同様の製作方法で直径20mmの銅被覆NbTi系多芯超電導部材2Dを準備した。図3に示すように、金属部材として外径が33mmであって、中心に直径21mmの穴5aがあけられ、その管壁5cに直径4mmの小穴5bが18個あけられた無酸素銅パイプ5Aを準備した。この無酸素銅パイプ5Aの中心に銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Dを配置し、小穴5bにMgB2粉末を充填して、複合ビレット20を形成する。それに伸線加工を施し外径1mmの形状とし、アニール処理として250℃5時間の熱処理を不活性雰囲気のArガス中で行い、複合超電導線材(部材B)とした。
なお、比較例として、銅被覆されたMgB2系超電導部材のMgB2フィラメントの部分が無酸素銅に置き換わった部材(比較材1)を作製した。表1に、実施例の線材の構造を示す。
図4は、本発明の実施例3に係る複合超電導線材を示す説明図である。この複合超電導線材30は、銅被覆されたMgB2系超電導フィラメント4が埋め込まれた無酸素銅パイプ5Bの管壁5cに電気的安定化のためのCu−Ni合金被覆アルミニウム合金からなる補強材4Cを埋設した点が図1の複合超電導導体1と異なる。
図5は、本発明の実施例3に係る複合超電導線材を製作する複合ビレットを示す。図4および図5を参照しながら、本発明の実施例3に係る複合超電導線材30の製作方法を説明する。まず、第1の実施の形態に係る複合超電導線材1の製作方法の湯合と同様に、直径20mmの銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2D及び外径4mmの銅被覆されたMgB2系超電導部材4Bを準備した。また、直径4mmのCu‐Ni合金が被覆されたアルミニウム合金からなる補強材4Cを準備した。
金属部材として、外径35mm、肉厚2.5mm、長さ2000mmの無酸素銅パイプ5C、銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Dを中心に配置し、その外周に10本の銅被覆されたMgB2系超電導部材4B、さらに、機械的強度を得るため、あるいは電気的安定性を得るための4本の補強材4Cを図5に示すように組み込み、複合ビレット40とする。その複合ビレット40に伸線加工を施し外径1mmの形状とし、アニール処理として250℃5時間の熱処理を不活性雰囲気のArガス中で行い、複合超電導線材(部材C)とした。
なお、部材Cの比較材として、銅被覆されたMgB2系超電導部材のMgB2フィラメントの部分がアルミニウム合金に置き換わった部材(比較材2)を作製した。表2に、実施例の線材の構造を示す。
図6は、本発明の実施例4に係る超電導導体を示す説明図である。この超電導導体50は、銅被覆されたMgB2系超電導フィラメント4が扇面型に形成されている点が図1の超電導導体1と異なる。
図7は、本発明の実施例4に係る超電導導体を製作するための撚り合わせ部材を示す。この撚り合わせ部材60は、銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Eの周囲に無酸素銅パイプ3Bにより被覆したMgB2系超電導部材を撚り合わせたものである。
以下、図6および図7を参照しながら、本発明の実施例4の複合超電導線材の製作方法を示す。まず、直径1.5mmの銅被覆されたNbTi系多芯超電導線材を準備し、3回の時効処理と仲線加工を行い、外径が1mmでフィラメント構造が19芯×19芯の銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Eを製作した。なお、この銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Eの銅に対するNbTiフィラメント体積占有率は80%である。一方、結晶構造の主相がMgB2構造であるMgB2粉末を無酸素銅パイプ(外径76mm、肉厚12mm、長さ380mm)3Bに充填し、その無酸素銅パイプ3Bにに伸線加工を施し、銅とMgB2フィラメントの体積占有率が16%の外径0.65mmの銅被覆されたMgB2系超電導部材4Eを準備した。
銅被覆されたNbTi系多芯超電導部材2Eの外周に9本の銅被覆されたMgB2系超電導部材4Eをピッチ5mmで撚り合わせ、撚り合わせ部材60を作製した。次に、撚り合わせ部材60に、伸線加工を施し、外径を1mmの形状とし、アニール処理として250℃5時間の熱処理を不活性雰囲気のArガス中で行い、複合超電導線材(部材D)とした。部材DのNbTi占有率は34%、銅被覆されたMgB2系超電導部材のMgB2フィラメント体積占有率は15%、安定化銅占有率は51%であり、各体積占有率は、部材Aおよび部材Bと同じであった。
以下、部材A〜部材Dについて安定性マージンの測定を行った。安定性マージンの測定は、以下のように行った。まず、約1mの長さの部材A〜部材Dを直径20mmの銅ボビンに巻き付け、冷凍機を用いて伝導冷却により銅ボビンの温度を5.0Kに冷却し、臨界電流を流せる電流端子と電圧端子を取り付けた。また、部材A〜部材Dには直径0.1mmのマンガニン線をヒータとして巻き付けて、部材A〜Dに熱を投入した。ヒータの抵抗は20Ωである。測定は、外部磁場8Tで実施した。この部材A〜Dの臨界電流は、全て270Aであった。
5K,8Tにおけるこれら超電導部材の特性は、NbTiで臨界電流密度Jc=1000A/mm2相当、MgB2でJc=10〜50A/mm2相当と絶対値に大きな差があるため、MgB2を占有した線材も臨界電流値に差はなかった。ここでは、臨界電流の90%の負荷に相当する電流値=234Aを通電したまま、ヒータの電流を0Aから0.01A/秒のスイープ速度で通電し、部材A〜Dがクエンチを起こすまでのヒータに投入したエネルギー(J)を算出し、それをクエンチエネルギー(J)とした。部材A〜Dの超電導導体の臨界電流及びクエンチ時の熱安定性マージンの測定結果を、表3に示す。
さらに、複合ビレットの加熱の影響を調べるため、図5に示す複合ビレット40を伸線加工後直径60mmに形成して部材E〜部材Nとし、表4に示すように異なる温度で加熱処理(全てアルゴンガス中、50時間)を施した。
請求項8で記載した、αの数値限定の根拠となる実施結果について説明する。実施例4の場合と同様の線材を作製するために、直径1.5mmの銅被覆されたNbTi系多芯超電導線材を準備し、3回の時効処理と伸線加工を行い、外径が1mmでフィラメント構造が19芯×19芯の銅被覆NbTi系超電導部材を製作した。なお、この銅被覆されたNbTi系超電導部材の銅に対するNbTiフィラメント体積占有率は85%である。
一方、結晶構造の主相がMgB2構造であるMgB2粉末および肉厚の異なる無酸素銅パイプを準備した。無酸素銅パイプにMgB2粉末を充填し、それに伸線加工を施すことで銅とMgB2フィラメントの体積占有率の異なる外径0.65mmの銅被覆されたMgB2系超電導部材を製作した。銅被覆NbTi系多芯超電導部材の外周に9本の銅被覆されたMgB2系超電導部材されるピッチ3mmで撚り合わせ、横断面構造で図7に示すように撚り合わせ部材60を作製した。この撚り合わせ部材の最外径は2.5mmであった。次に、撚り合わせ部材60に、伸線加工を施し、外径が1mmの完成部材(サンプルP1〜P10)とした。これらサンプルは、アニール処理を実施しないものとした。
表5は、各サンプルにおける銅被覆されたMgB2系超電導線材(外径0.65mm)のMgB2フィラメントの体積占有率(%)、完成部材のNbTi,銅,MgB2の各構成比率(%)、および完成部材のα、4.2Kおよび8Tにおける超電導臨界電流(A)、クエンチエネルギー測定結果(J)を示す。なお、部材P8については完成部材の外径1mmよりさらに縮径加工を施すと断線が発生した。部材9については、銅被覆されたMgB2系超電導部材の伸線加工中に断線し、完成部材を製作できなかった。
完成部材を製作できたP1〜P7について、臨界電流を測定し、実施例5と同じ条件でクエンチエネルギーを測定した。また、比較材として、銅被覆MgB2系超電導線材(外径0.65mm)をその銅線に置き換えた部材を同様に撚り合わせ、伸線加工することにより作製し、部材Sとし、P1〜P7と同様の測定を実施した。P1の部材については、比較材の部材Sと同様、若干のクエンチエネルギーを示したが、部材P2〜P8については、クエンチエネルギーが増加しており、安定化の効果を確認できた。
また、本発明の各実施例で述べた製造方法は、MgB2系超電導フィラメントやNbTi系超電導フィラメントの本数、その配置および寸法、MgB2やNbTi超電導部材の組成、金属部材の組成、熱処理条件、NbTi,MgB2,銅、アルミニウムなどの占有率は、例示的なものであり、それらに限定されるものではない。また、使用環境についても、5K、8Tに限定されるものではなく、MgB2及びNbTi超電導部材が超電導を示す温度、磁場環境で本導体の使用が可能である。また、被覆材として銅を利用したものについて説明してきたが、アルミニウム等の安定化材に利用される材料であってもよい。また、被覆材としてパイプを使用したが、アルミニウムや銅のインゴットに穴をあけ、その穴にMgB2を充填して縮径加工したものであってもよい。
1 超電導導体
2 NbTi系超電導フィラメント
2A NbTi系超電導部材
2B 第1の銅マトリックス
2C 第2の銅マトリックス
2D,2E NbTi系多芯超電導部材
3 銅被覆
3A,3B,5,5A,5B,5C 無酸素銅パイプ
4 MgB2系超電導フィラメント
4A MgB2粉末
4B MgB2系超電導部材
4C 補強材
5a 穴
5b 小穴
5c 管壁
10,20,40 複合ビレット
30,50 複合超電導線材
41 酸化物超電導体
43,44,45 金属シース
60 撚り合せ部材
2 NbTi系超電導フィラメント
2A NbTi系超電導部材
2B 第1の銅マトリックス
2C 第2の銅マトリックス
2D,2E NbTi系多芯超電導部材
3 銅被覆
3A,3B,5,5A,5B,5C 無酸素銅パイプ
4 MgB2系超電導フィラメント
4A MgB2粉末
4B MgB2系超電導部材
4C 補強材
5a 穴
5b 小穴
5c 管壁
10,20,40 複合ビレット
30,50 複合超電導線材
41 酸化物超電導体
43,44,45 金属シース
60 撚り合せ部材
Claims (11)
- 低抵抗金属からなるマトリックス、およびその中に配置されたNbTi系超電導部材より構成されたNbTi系超電導フィラメントと、
前記NbTi系超電導フィラメントの外周に配置された複数のMgB2系超電導フィラメントとを備えることを特徴とする複合超電導線材。 - 前記複数のMgB2系超電導フィラメントは、低抵抗金属パイプ中に埋入されていることを特徴とする請求項1記載の複合超電導線材。
- 前記複数のMgB2系超電導フィラメントは、低抵抗金属からなる複数の補強材とともに前記NbTi系超電導フィラメントの外周に配置されていることを特徴とする請求項1記載の複合超電導線材。
- 前記MgB2系超電導フィラメントは、管状の金属部材の内側に配置されたMgB2系超電導材料に、前記管状の金属部材とともに縮径加工を施すことにより得られることを特徴とする請求項1記載の複合超電導線材。
- 前記MgB2系超電導フィラメントは、横断面を矩形に形成することを特徴とする請求項1記載の複合超電導線材。
- 低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも2回以上のαTi相の析出熱処理を施したNbTi系多芯超電導部材と、前記NbTi系多芯超電導部材の外周上に巻回され、低抵抗金属からなる被覆で被覆された複数のMgB2系超電導部材とから形成される撚り合わせ集合部材を縮径して得られることを特徴とする複合超電導線材。
- 前記MgB2系超電導部材は、前記撚り合わせ集合部材の縮径加工時に、横断面を矩形に形成することを特徴とする請求項6記載の複合超電導線材。
- NbTi系超電導部材とMgB2系超電導部材は、NbTi系超電導フィラメントの体積占有率をX(%単位)、MgB2系超電導フィラメントの体積占有率をY=α(100−X)(%単位)とするとき、α=0.02〜0.6となるような比率で構成されることを特徴とする複合超電導線材。
- 低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも1回以上のαTi相の析出熱処理を施したNbTi系多芯超電導部材を形成するNbTi系多芯超電導部材形成工程と、
低抵抗金属からなる管状部材と前記管状部材の内側に配置されたMgB2系超電導材料とを縮径加工を施してMgB2系超電導部材を形成するMgB2系超電導部材形成工程と、
低抵抗金属からなる金属管に、前記NbTi系多芯超電導部材を組み込み、前記金属管に複数のMgB2系超電導部材を埋入することにより、NbTi系超電導材と複数のMgB2系超電導材の複合ビレットを形成するビレット形成工程と、
前記複合ビレットに縮径加工を施して細線化する縮径工程とを含むことを特徴とする複合超電導線材の製造方法。 - 前記ビレットは、前記縮径工程の後に280℃を超えない温度でアニール処理がなされることを特徴とする請求項9記載の複合超電導線材の製造方法。
- 低抵抗金属からなるマトリックス中に配置され、少なくとも2回以上のαTi相の析出熱処理を施してNbTi系多芯超電導部材を形成するNbTi系多芯超電導部材形成工程と、
低抵抗金属からなる被覆で被覆された複数のMgB2系超電導部材を形成するMgB2系超電導部材形成工程と、
前記NbTi系多芯超電導部材の外周面に、前記複数のMgB2系超電導部材をスパイラルに巻き付けて撚り合わせ集合部材を形成する撚り合わせ集合部材形成工程と、
前記撚り合わせ集合部材を縮径を施して細線化する縮径工程とを含むことを特徴とする複合超電導線材の製造方法。
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-
2003
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