JPH0864044A - 高温超電導線材の製造方法 - Google Patents

高温超電導線材の製造方法

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JPH0864044A
JPH0864044A JP6200476A JP20047694A JPH0864044A JP H0864044 A JPH0864044 A JP H0864044A JP 6200476 A JP6200476 A JP 6200476A JP 20047694 A JP20047694 A JP 20047694A JP H0864044 A JPH0864044 A JP H0864044A
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Shinichi Kobayashi
慎一 小林
Kenichi Sato
謙一 佐藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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National Research Institute for Metals
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の方法よりも、より短時間で高い臨界電
流密度を有するビスマス系酸化物超電導線を製造できる
方法を提供する。 【構成】 焼結によりビスマス系酸化物超電導体の22
23相を主成分として生成し得る材料の粉末が充填され
た銀シースに塑性加工および熱処理を施すことにより、
2223相の体積分率が95vol%以上であるフィラ
メントを有する線材を調製する。得られた線材に塑性加
工を施す。塑性加工された線材を850〜870℃の温
度で1〜30分間加熱した後、引続きそれより低い温度
でアニールしながら冷却していく。このような工程によ
り、さらに塑性加工および焼結処理を施すことなく、高
いJcを有する超電導線材が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビスマス系酸化物超電
導体からなるフィラメントを有する線材の製造方法に関
し、特に、液体窒素温度でより高い臨界電流密度(J
c)を有する線材をより短時間で製造することができる
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Bi系酸化物超電導材料を用いた線材を
製造する方法の1つとして、実用化に最も適した方法と
して考えられているパウダー・イン・チューブ法があ
る。この方法では、まず、超電導体またはその原料の粉
末を金属(銀)シースに充填し、圧延加工を含む塑性加
工を施してテープ形状の線材を得る。得られたテープ形
状の線材は、酸化物超電導体の焼結のため熱処理され
る。熱処理の後、線材は再び圧延加工され、次いで再度
熱処理される。このように圧延加工および熱処理を繰り
返すことによって、比較的高い臨界電流密度(Jc)を
有する線材を得ることができる。このプロセスにおい
て、熱処理はそれぞれ数十時間行なわれる。
【0003】パウダー・イン・チューブ法の改良法とし
て、Appl. Phys. Lett. 60(23),8 June 199
2,2929−2931は、次のような熱処理のスキー
ムを報告している。超電導材料の粉末が充填された銀シ
ースを塑性加工して得られたテープ線は、まず830〜
839℃で70時間熱処理される(第1の熱処理)。次
に線材は、1軸方向にプレスされた後、860℃±3℃
で20〜30分間溶融プロセスに供され、続いて838
℃で60時間アニールされる(第2の熱処理)。線材
は、200℃/時間で室温まで冷却された後、1GPa
で1軸方向にプレスされ、838℃で80〜100時間
熱処理される(第3の熱処理)。同文献は、860℃±
3℃での溶融プロセスをとることによって、最終的に得
られる線材のJcを向上させることができると報告して
いる。このスキームでは、最初の熱処理により2223
相が形成され、第2の熱処理によってそれが2212相
と不純物相に分解され、第3の熱処理によって2223
相が再生されると見られている。このため、この方法
は、 high-Tc phase formation- decomposition- recov
ery (PFDR)プロセスと呼ばれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の方法よりも、より短時間で、高い臨界電流密度(J
c)を有するビスマス系酸化物超電導線を製造できる方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、830〜8
50℃における一定温度で長時間熱処理するだけでは、
酸化物超電導体の焼結密度を上げることができず、さら
に高いJcを得ることは困難であると考えた。一方、本
発明者は、2223相の体積分率が95%以上の銀シー
スビスマス系酸化物超電導線を850〜870℃の温度
で短時間(1〜30分)熱処理すれば、その後、所定の
冷却工程をとることによって、より高いJcを有する線
材が得られることを見出した。そして冷却工程の後、再
度塑性加工および熱処理する必要がないことを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0006】本発明は、ビスマス系酸化物超電導体の2
223相を主成分とするフィラメントを有する高温超電
導線の製造方法であって、焼結によりビスマス系酸化物
超電導体の2223相を主成分として生成し得る材料の
粉末が充填された金属シースに塑性加工および熱処理を
施すことにより、ビスマス系酸化物超電導体の2223
相の体積分率が95vol%以上であるフィラメントを
有する線材を調製する工程と、調製された線材に塑性加
工を施す工程と、塑性加工された線材を850〜870
℃の温度で1〜30分間加熱した後、ひき続きそれより
低い温度でアニールしながら冷却していく工程とを備
え、さらに塑性加工および焼結処理を施すことなく、冷
却された線材を最終製品として供することを特徴とす
る。
【0007】本発明に従って、2223相の体積分率が
95vol%以上の線材を用い、塑性加工の後、850
〜870℃の温度での部分溶融工程に続いてそれより低
い温度でのアニールを行えば、冷却の後、さらに塑性加
工および焼結処理を施すことなく、高Jcを有する線材
がすみやかに得られる。この部分溶融工程に続く好まし
いアニール工程および冷却工程を備える本発明の好まし
い方法は、たとえば次の通りである。
【0008】本発明に従うより好ましい方法は、焼結に
よりビスマス系酸化物超電導体の2223相を主成分と
して生成し得る材料の粉末が充填された金属シースに塑
性加工および熱処理を施すことにより、ビスマス系酸化
物超電導体の2223相の体積分率が95vol%以上
であるフィラメントを有する線材を調製する工程と、調
製された線材に塑性加工を施す工程と、塑性加工された
線材を850〜870℃の温度で1〜30分間加熱する
工程と、加熱温度から820℃まで2℃/時間〜60℃
/時間の範囲におけるほぼ一定の温度勾配で線材を冷却
する工程と、820℃から800℃まで2℃/時間〜8
0℃/時間の範囲における温度勾配で線材を冷却する工
程と、800℃から室温まで8℃/時間より大きい温度
勾配で線材を冷却する工程とを備え、さらに塑性加工お
よび焼結処理を施すことなく冷却された線材を最終製品
として供することを特徴とする。
【0009】さらに本発明に従うより好ましい方法は、
焼結によりビスマス系酸化物超電導体の2223相を主
成分として生成し得る材料の粉末が充填された金属シー
スに塑性加工および熱処理を施すことにより、ビスマス
系酸化物超電導体の2223相の体積分率が95vol
%以上であるフィラメントを有する線材を調製する工程
と、調製された線材に塑性加工を施す工程と、塑性加工
された線材を850〜870℃の温度で1〜30分間加
熱する工程と、加熱温度から840〜800℃の温度ま
で60℃/時間以上の温度勾配で線材を冷却する工程
と、前記840〜800℃の温度で、5〜60時間線材
を保持する工程と、前記保持の後、8℃/時間より大き
い温度勾配で線材を冷却する工程とを備え、さらに塑性
加工および焼結処理を施すことなく冷却された線材を最
終製品として供することを特徴とする。
【0010】本発明において、金属シースに充填すべき
粉末は、通常のパウダー・イン・チューブ法に従って調
製できる。粉末は、Bi系酸化物超電導体またはその原
料から構成される。粉末におけるBi、Pb、Sr、C
aおよびCuの原子比は、たとえば次のとおりとするこ
とができる。
【0011】
【数1】Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=a:b:c:
d:e(原子比) a=1.7〜2.1 b=0〜0.4 c=1.7〜2.1 d=1.7〜2.3 e=2.9〜3.1 このような組成比において、たとえば粉末は、主に22
12相と非超電導相から好ましく構成することができ
る。このような粉末は、熱処理により2223相を主成
分とする超電導体に変えることができる。一方、粉末は
2223相を主成分としてもよい。たとえば上記組成に
おいて、2212相は(Bi,Pb)2 Sr2 CaCu
2 8+z 、2223相は(Bi,Pb)2 Sr2 Ca2
Cu3 10 +yである。
【0012】原料粉末は、Bi系酸化物超電導体を構成
する金属元素の酸化物または炭酸塩の粉末を所定の配合
比で混合し、焼結した後、粉砕して調製することができ
る。粉末を充填するシースは、たとえば銀または銀合金
等の安定化材からなる。銀合金を構成する元素として金
およびプラチナ等を用いることができる。粉末が充填さ
れたシースは、塑性加工に供される。塑性加工には、伸
線加工および圧延加工もしくはプレス加工が用いられ
る。圧延加工またはプレス加工の後、テープ形状の線材
は、酸化物超電導体を焼結するため熱処理される。多芯
線を製造する場合、伸線加工の後得られた複数の線材が
1本の金属チューブ内に合わされ、さらに塑性加工に供
される。塑性加工の後得られた線材は、たとえば830
〜850℃好ましくは840〜850℃の温度で30〜
70時間、好ましくは40〜60時間熱処理される。こ
の熱処理により、Bi系2223相を生成させることが
できる。本発明では、以上のプロセスによって、Bi系
2223相のフィラメントに占める割合(体積分率)が
95vol%以上である線材を作製する。95%以上の
2223相を得るため、たとえば、シースに充填する粉
末の粒径を1μm以下にすることが好ましい。
【0013】以上のプロセスによって製造されたテープ
状超電導線のフィラメントは、テープの長手方向にわた
ってほぼ均一な超電導相を有し、超電導相のc軸は、テ
ープの厚み方向にほぼ平行に配向している。また、フィ
ラメントにおける結晶粒は、テープの長手方向に延びる
フレーク状であり、結晶粒同士は強く結合している。フ
レーク状の結晶粒は、テープ線の厚み方向に積層され
る。
【0014】本発明において、重要な特徴の1つは、2
223相の割合が95%以上である線材を850〜87
0℃における短時間の熱処理に供することである。本発
明者は、この割合が95%未満であれば、高いJcを有
する超電導線材を最終的に得られないことを見出した。
体積分率は、X線回折により次のように求めることがで
きる。線材におけるフィラメントをX線回折で分析し、
Bi系2223相の(0010)ピーク強度(以下I
2223とする)と、2212層の(008)ピーク強度
(以下I2212とする)をそれぞれ求める。そして以下の
式に従って体積分率が求められる。
【0015】
【数2】Bi系2223相の体積分率={I2223/(I
2223+I2212)}×100% 上述したプロセスにおいて、2223相が95%以上の
線材を得ることができるが、本発明では、必要に応じて
2223相の体積分率を測定し、2223相が95%以
上であるかどうか確認してもよい。
【0016】830〜850℃で数十時間熱処理された
線材は、冷却され、塑性加工(圧延またはプレス加工)
に供される。次いで線材は、850〜870℃、1〜3
0分間の部分溶融ステップに供される。部分溶融ステッ
プは、酸化物超電導体の焼結密度を上げ高いJcを有す
るフィラメントを生成させるため用いられる。部分溶融
ステップにおける温度が870℃を超えると、2223
相の分解が進み、線材のJcは低下する。一方、温度が
850℃より低いとき、焼結密度を上げることができ
ず、Jcの上昇は望めない。また、保持時間は1〜30
分であり、これより短くても長くてもより高いJcを得
ることができなくなってくる。部分溶融工程は、大気圧
に限らず、減圧下または加圧下においても行なうことが
できる。また部分溶融工程の雰囲気における酸素分圧は
任意である。一方、830〜850℃での熱処理は、通
常の方法に従い酸素を含む雰囲気(酸素および窒素を含
む雰囲気)で行なうことが好ましい。
【0017】本発明のもう1つの重要な特徴は、850
〜870℃の加熱の後の降温過程である。この降温過程
において、アニールを行ないながらの温度制御を行なう
ことで、従来必要であったさらなる塑性加工および熱処
理を行なわなくとも、高いJcを有する線材を得ること
ができるようになった。本発明では、たとえば以下に示
す2種類の降温過程を好ましく用いることができる。1
つの過程では、850〜870℃の加熱温度から、82
0℃まで2℃/時間〜60℃/時間の範囲におけるほぼ
一定の温度勾配で線材を冷却し、引続き820℃から8
00℃まで2℃/時間〜80℃/時間の範囲における温
度勾配で冷却し、続いて800℃から室温まで8℃/時
間より大きな温度勾配で、たとえば10〜200℃/時
間、好ましくは50〜150℃/時間、より好ましくは
60〜100℃/時間の温度勾配で冷却する。もう1つ
の過程では、850〜870℃の加熱温度から840℃
〜800℃まで60℃/時間以上の温度勾配、たとえば
60℃〜200℃/時間、好ましくは80℃/時間〜1
60℃/時間の温度勾配で冷却した後、800℃〜84
0℃の温度で5〜60時間保持し、引続き8℃/時間よ
り大きい温度勾配、たとえば10〜200℃/時間、好
ましくは50〜150℃/時間、より好ましくは60〜
100℃/時間の温度勾配で冷却する。これらの降温過
程により、従来よりも短時間で高Jcの線材を得られる
ようになった。
【0018】
【発明の作用効果】超電導線材の製造において、焼結お
よび塑性加工を繰り返す場合、初期の焼結は超電導相の
形成に主に寄与し、後期の焼結は配向性が改善された結
晶粒同士の結合の強化に主に寄与していると考えられ
る。一方、複数の焼結工程の間に行なわれる塑性加工
は、結晶の配向性を機械的に改善する目的で行なわれ
る。したがって、初期の焼結で超電導相が十分に生成し
ておれば、後期の焼結では粒界の改善のみを効果的に行
なえば、高いJcの線材が得られると考えられた。
【0019】図1は、超電導線材におけるBi系222
3相の体積分率と、77.3KにおけるJcとの関係を
示している。図に示すとおり、95%の割合を境にし
て、Jcが急激に上昇することがわかる。一方、222
3相が95%未満であると、線材のJcは低く抑えられ
る。
【0020】本発明では、初期の焼結工程で2223相
をフィラメントにおいて95%以上生成させ、高Jcの
線材を得るのに十分な条件を整えている。そして、線材
を塑性加工した後、850℃〜870℃の温度で短時間
熱処理することにより、焼結密度を高めている。次に、
適切な降温条件を設定することにより、2223相結晶
粒界の均一性を向上させ、高Jcの線材をもたらしてい
る。
【0021】本発明によれば、降温過程の後、さらに塑
性加工および焼結工程を行なう必要はない。したがっ
て、本発明は従来より短時間で高Jcを有する線材を作
製することができる。
【0022】
【実施例】
実施例1 Bi2 3 、PbO、CaCO3 、SrCO3 、CuO
を用いてBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.82:
0.31:1.89:1.99:3.02(原子比)の
組成比の粉末を調製した。この粉末に熱処理を施し、粉
砕を行なった後、主に2212相と非超電導相からなる
粉末を得た。得られた粉末を、外径12.5mm、内径
8.55mmの銀パイプに充填した。粉末を充填したパ
イプについて伸線加工を施し、直径1mmの単芯線材を
得た。このようにして得られた線材61本を、外径1
2.0mm、内径9.0mmの銀パイプに詰め、伸線加
工を施し、直径1mmの線材を得た後、さらに一次圧延
を施して、厚さ0.2mm、幅3mmの多芯テープ線を
作製した。
【0023】得られた多芯テープ線材を4cmごとに複
数に分割した。得られたセグメントに、最初の焼結とし
て、845℃で50時間の熱処理を行なった。X線回折
法によりフィラメントにおけるBi系2223相の体積
分率が95%以上であることを確認した。室温まで冷却
された線材に二次圧延を施して、厚さ0.18mmとし
た。圧延された線材を860℃において1〜60分の範
囲で表1に示すように保持時間を変えて加熱した後、8
20℃まで5時間で降温し、さらに室温まで80℃/時
間で降温した。熱処理の結果、860℃での保持時間1
〜30分において、77.3KのJcが30,000〜
36,000A/cm2 と、高いJc値を有する超電導
線材が得られた。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 実施例1と同様にして得られた銀シース多芯線材に、8
45℃、50時間の一次焼結を施した。次に、室温まで
冷却された線材に圧延加工を施した。圧延された線材を
860℃で20分間保持した後、それぞれ以下の表2に
示すような16通りのスキームで、すなわち840〜7
80℃まで1〜30時間で降温し、その後、室温まで8
0℃/時間で降温した。降温の後得られた線材のJcを
表3に示す。1〜20時間で800〜830℃まで降温
させることにより、77.3Kで30,000〜35,
000A/cm2 の高いJcが得られた。
【0026】
【表2】a:840℃まで1時間で降温(20℃/時
間) b:820℃まで1時間で降温(40℃/時間) c:800℃まで1時間で降温(60℃/時間) d:780℃まで1時間で降温(80℃/時間) e:840℃まで10時間で降温(2℃/時間) f:820℃まで10時間で降温(4℃/時間) g:800℃まで10時間で降温(6℃/時間) h:780℃まで10時間で降温(8℃/時間) i:840℃まで20時間で降温(1℃/時間) j:820℃まで20時間で降温(2℃/時間) k:800℃まで20時間で降温(3℃/時間) l:780℃まで20時間で降温(4℃/時間) m:840℃まで30時間で降温(0.67℃/時間) n:820℃まで30時間で降温(1.33℃/時間) o:800℃まで30時間で降温(2℃/時間) p:780℃まで30時間で降温(2.67℃/時間)
【0027】
【表3】
【0028】実施例1と実施例2における降温過程を図
2に示す。図において線a〜pは実施例2の降温過程、
線qは実施例1の降温過程である。実線は比較的高いJ
cが得られた過程、点線は相対的に低いJcが得られた
過程を示している。図を参照して、まず、860℃から
降温するにあたり、2℃/時間〜60℃/時間の温度勾
配で降温させることが好ましい。たとえば、線i(1℃
/時間)、m(0.67℃/時間)、n(1.33℃/
時間)のように温度勾配が緩やかであると、高いJcが
得られなくなる。一方、線d(80℃/時間)のように
温度勾配が急になっても、高いJcが得られなくなる。
また、860℃から820℃までは、ほぼ一定の温度勾
配で降温することが好ましい。たとえば、840℃で温
度勾配を変え急冷すると(線aおよびe参照)、高いJ
cが得られなくなる。したがって、860℃から820
℃までは、2℃/時間〜60℃/時間の範囲においてほ
ぼ一定の温度勾配で冷却することが望ましい。次に、8
20℃から800℃までは、2℃/時間(線o)〜80
℃/時間(線b、f、j、q)の温度勾配で冷却するこ
とが望ましい。一方、800℃からは、急冷することが
望ましい。たとえば、線h、l、pのように、800℃
から8℃〜2.67℃/時間でゆっくり降温させると、
高いJcが得られなくなる。したがって、800℃から
は、8℃/時間を超える温度勾配、たとえば60〜20
0℃/時間で冷却することが好ましい。
【0029】実施例3 実施例1と同様にして得られた銀シース多芯線材に、8
45℃、50時間の一次焼結を施した。次に、室温まで
冷却された線材を圧延加工した。圧延した線材を860
℃で20分間保持し、部分溶融工程を行なった後、10
分間で840℃まで降温し、表4に示すように1〜70
時間それぞれ保持した。保持の後、室温まで80℃/時
間で降温した。その結果、保持時間5〜60時間におい
て、77.3Kで高いJcが得られた。表4に、保持時
間とJcの関係を示す。また、図3に、それぞれ用いら
れた冷却工程を示す。ただし、冷却速度は60〜200
℃/時間であることが好ましい。
【0030】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】Bi系2223相の体積分率と77.3Kにお
けるJcの関係を示す図である。
【図2】実施例1および2で行なった降温スキームを示
す図である。
【図3】実施例3で行なった降温スキームを示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 慎一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 佐藤 謙一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスマス系酸化物超電導体の2223相
    を主成分とするフィラメントを有する高温超電導線材の
    製造方法であって、 焼結によりビスマス系酸化物超電導体の2223相を主
    成分として生成し得る材料の粉末が充填された金属シー
    スに塑性加工および熱処理を施すことにより、ビスマス
    系酸化物超電導体の2223相の体積分率が95vol
    %以上であるフィラメントを有する線材を調製する工程
    と、 調製された線材に塑性加工を施す工程と、 塑性加工された線材を850〜870℃の温度で1〜3
    0分間加熱した後、ひき続きそれより低い温度でアニー
    ルしながら冷却していく工程とを備え、 さらに塑性加工および焼結処理を施すことなく、冷却さ
    れた線材を最終製品として供することを特徴とする、高
    温超電導線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビスマス系酸化物超電導体の2223相
    を主成分とするフィラメントを有する高温超電導線材の
    製造方法であって、 焼結によりビスマス系酸化物超電導体の2223相を主
    成分として生成し得る材料の粉末が充填された金属シー
    スに塑性加工および熱処理を施すことにより、ビスマス
    系酸化物超電導体の2223相の体積分率が95vol
    %以上であるフィラメントを有する線材を調製する工程
    と、 調製された線材に塑性加工を施す工程と、 塑性加工された線材を850〜870℃の温度で1〜3
    0分間加熱する工程と、 前記加熱温度から820℃まで、2℃/時間〜60℃/
    時間の範囲におけるほぼ一定の温度勾配で、線材を冷却
    する工程と、 前記820℃から800℃まで、2℃/時間〜80℃/
    時間の範囲における温度勾配で線材を冷却する工程と、 前記800℃から室温まで、8℃/時間より大きい温度
    勾配で、線材を冷却する工程とを備え、 さらに塑性加工および焼結処理を施すことなく、冷却さ
    れた線材を最終製品として供することを特徴とする、高
    温超電導線材の製造方法。
  3. 【請求項3】 ビスマス系酸化物超電導体の2223相
    を主成分とするフィラメントを有する高温超電導線材の
    製造方法であって、 焼結によりビスマス系酸化物超電導体の2223相を主
    成分として生成し得る材料の粉末が充填された金属シー
    スに塑性加工および熱処理を施すことにより、ビスマス
    系酸化物超電導体の2223相の体積分率が95vol
    %以上であるフィラメントを有する線材を調製する工程
    と、 調製された線材に塑性加工を施す工程と、 塑性加工された線材を850〜870℃の温度で1〜3
    0分間加熱する工程と、 前記加熱温度から840〜800℃の温度まで、60℃
    /時間以上の温度勾配で線材を冷却する工程と、 前記840〜800℃の温度で、5〜60時間線材を保
    持する工程と、 前記保持の後、8℃/時間より大きい温度勾配で線材を
    冷却する工程とを備え、 さらに塑性加工および焼結処理を施すことなく、冷却さ
    れた線材を最終製品として供することを特徴とする、高
    温超電導線材の製造方法。
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