JP4689866B2 - 特に自動車において移動可能に支持された構造部品用の空気ダンパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車において移動可能に支持された構造部品用の空気ダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
この型式の空気ダンパーは、例えば独国実用新案第29518171号(DE29518171)又は独国特許第4319641号(DE4319641)により公知である。ピストン運動における減速は、ピストンの環状溝又は環状凹部に画成されたオーバフローダクトによりもたらされる。シールリングは凹部に着座していて、シールリングの軸方向長さが凹部の長さより短かい。従ってシールリングはピストンの往復運動の間、凹部の壁面のどちらかに摺動する。凹部の壁面が溝を有していて、空気はピストンの一方から他方へ流れてもよい。もし凹部の底面と壁面とにおける溝が適切な寸法になっていれば、絞り作用(throttling effect)は、それぞれの変位方向において異なる減衰効率(damping efficiency)を達成するべく異なっていてもよい。
【0003】
ピストンが移動する速度と、オーバーフローダクトの断面積又は長さとは調和している必要がある。もしそうでない場合には、ピストンの作動中に中間停止が生じるかも知れない。構造部品は“揺らぐ(nodding)”一方で、最終停止に向かって階段状に振動する。もし空気ダンパーに作用する力が特異な大きさとなると、この問題は深刻化する。最良の動きは、シリンダー径が大きい場合に得られる。しかしながら必要とされるスペースは応々にしてない。
【0004】
以下のことはまた公知であって、そのような空気ダンパーに、シリンダーふたとピストンとの間に配置された、引張りばね又は圧縮ばねを設けている。ばねを有する空気ダンパー又はばねのない空気ばねのどちらもが、穏やかな減衰作用に反する振動系を構成する。付け加えて、ばねがノイズの潜在源となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における目的は、加速がより大きい場合でさえ、効果的な減衰を発生して、振動系を構成しない空気ダンパーを提供することである。さらに、空気ダンパーにおけるノイズの発生は最小限にするべく意図されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的は請求項1の形態により達成されている。
本発明における空気ダンパーが、熱可塑性エラストマーで作られたブロック状のシールリングを構成していて、そのシールリングは所定の圧縮力でシリンダーの壁面と協働している。シールリングが適切に塗膜されていて、その塗膜はシールリングを、静摩擦又はすべり摩擦のどちらかにほぼ同一の値となるすべり特性となっている。言いかえると、シールリングは実質的に始動トルクを有していない。従って、いわゆるノイズ発生をもたらすスティックスリップは生じない。実際、潤滑材の使用により一定の摩擦とすることは想像可能である。しかしながら、潤滑材は温度により粘性が異なる。加えて、オーバーフローダクトが潤滑材により、サイズにおいて縮小されるか、又は閉塞されてしまうかもしれない。同様に、もし空気ブレーキが視界内に使用されていると、汚染災害があるので、潤滑材は所望されるものではない。
【0007】
本発明における空気ダンパーが温度に依存しない一定の摩擦となるようになっていて、温度により変化するショアー硬度は摩擦に対して最小限の影響を与えるだけである。従って空気ダンパーにおける、減衰挙動と減衰速度に影響する二つの因子があって、その二つの因子は、隔てられたシリンダー空間部の間における圧力差と摩擦とである。
【0008】
発生するかも知れないどのような振動も摩擦により緩和されていて、空気ダンパーが移動を要する場合その摩擦に打ち勝つ必要がある。所定の摩擦とすることを可能とするために、シールリングは一定の圧縮力を受ける成形リングでなければならない。しかしながらそのような力は、温度とは無関係に再生可能であるべきである。その場合、所望されない振動は生じないし、所望されないノイズは発生しない。
【0009】
この場合シールリングに使用され、かつ要求を満たす塗膜はポリシロキサンをベースにしたポリマー塗膜である。リングは高温下においても永久的に圧縮状態を維持できる材料で作られている。
【0010】
時に、空気ダンパーにより発生された変位力が他に比較して一方向により大きくなることがある。これはばねによりもたされるかも知れない。本発明の形態において択一的又は付加的に、凹部の底面は円錐状に形成されてもよい。この方法で、シールリングの場所により異なる大きさの圧縮力、すなわち異なる大きさの摩擦が凹部内において発生する。
【0011】
シリンダーに好適な変位方向を与えることを意図したコイルばねは、シリンダーの内側又は外側に配置されてもよい。コイルばねが、シリンダーの内側に配置された場合、多少の問題が生じるかも知れない。第一番に、ばねはノイズ源となることである。すなわち、もし空気ダンパーが静かな走行中にきしむと、ノッキングノイズが聞こえるかも知れない。ばねがピストンロッド又はシリンダー壁面に対してノッキングして振動し始める。圧縮ばねは比較的不安定で、作動すると急激にバックリング点に達する。この点において、ばねは一方側へ寄ってしまう。それがまたピストンロッド又はシリンダー壁面に対してノッキングとなるかも知れない。付け加えて、摩擦ノイズ又は揺動ノイズ(whizzing noise)が発生するかも知れない。ピストンロッドが作動される場合、摩擦ノイズはシャンクとばねの巻線との間で発生する。表面が粗いと影響がより大きくて、ばねは揺動し始め、きしみノイズが感じられるようになる。
【0012】
前述の問題を解決するために、本発明における形態が以下のことを提供していて、ピストンロッドがそこに形成された細長いリブを有しており、ばねの巻き線は解放されるとそのリブに係合する。以下のことは注意すべきことであって、ばねが圧縮されると、ばねは中央領域において実質的に巻線の直径の増大化にさらされるが、ばねの巻線の最終端部は実質的に初期状態のままである。しかしながら、もしばねの端部がピストンに対して移動される場合、以下の注意が払われるべきであって、解放状態においてさえも、ばねの巻線とピストンロッドとの間の確実な係合は行われるべきではない。この点において、考慮されるべきことはピストンロッドとばねとの製作公巻である。それゆえ、以下のことが推奨されていて、リブはピストンロッドに沿って、ほぼ全体長さにわたって伸長されるべきであるけれど、ばねの巻線の最終端部はそのリブのどこにも係合されるべきではない。
【0013】
本発明におけるもう一つの改善は以下のとうりであって、コイルばねはくびれ(necked down)ていて、くびれた部分だけがリブに係合している。近接して巻かれたばねの中央部巻線だけが揺動防止リブ(whizz removal rib)に係合していて、残りの巻線はまた巻線のほとんどの重なりに適合するためにフレキシブルに作られてもよい。例えば、このことは、細長い貫通開口により達成されてもよい。以下のことは好適であって、ばねは対称形状をしていて、ピストンロッド上でばねが摺動する位置は問題ではない。
【0014】
本発明におけるもう一つの形態において、ばねワイヤがプラスチック塗膜を備えている。好ましくは、ばねがプラスチック塗膜されたばねワイヤで巻かれている。このことはばねと揺動防止リブとの間におけるすぐれた摺動効果を得る役割を果している。
【0015】
摩擦ノイズおよびきしみノイズはふたとピストンシャンクの間におけるガイド領域において発生している。間隙を小さくするために、ふた又はクロージュアはきしみノイズを防止する適切なばね部分を備えていてもよい。摩擦及びノイズを低減するために、ピストンロッドの表面に係合するばね部分がボール形状であってもよい。
【0016】
本発明が、図面に示めされた実施の形態を参照にして詳細に説明される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜4において、空気ダンパーは全体として10で示めされている。空気ダンパーがシリンダー12を有していて、そのシリンダーは、下端部で閉じていてもよくて、開口している上端部においてふた14により閉じられていてもよい。ふた14がスナップ継手(snap connection:付番されていない)によりシリンダー12に取り付けられている。シリンダーに収納されたピストン16は比較的広い環状の凹部18及び18aを有している。環状の凹部はそこに着座したブロック状のシールリング20を有している。ブロック状のシールリング20は、その内面が円筒状であって、その外面の一部分が円筒状であり、その一部分22が円錐状であって、シリンダ12の壁面に係合するある種のリップとなっている。シールリング20は、一定の接触力で凹部18及び18aの底面とシリンダーの壁面との間に配置されていて、一定の摩擦力を発生している。シールリング20は、ポリシロキサンをベースにしたポリマー塗膜が施されていて、もしピストン16が移動されても始動トルクに打ち勝つ必要性はないことを確実にしている。さらに、シールリングの材料は、熱可塑性ポリマーであって、高温下においても形状を維持するべく、高圧状態を持続できるように選択されている。
【0018】
環状の凹部18及び18aにおける、底面と壁面とはブリッジダクト24を形成されていて、もしピストン16がシリンダー12内において移動すると、空気はそのブリッジダクトを通過することができる。そのようなブリッジダクト装置は、例えば独国特許公開第4319641号又は独国実用新案第29518171号により公知である。
【0019】
図2からわかるように、環状の凹部18aの底面は円錘状である。従って、シールリングが図2に示めされる位置から、凹部の対向壁面に係合する位置へ移動する場合、接触力は小さくなり、摩擦も小さくなる。このようにして、ピストン16の変位方向により、必要とされる変位力は異なる。
【0020】
ピストン16がピストンロッド26を備えていて、そのピストンロッドは、開口28を通ってふた14を貫通しており、例えばグローブコンパートメントのフラップ等の作動する必要がある構造部品への、連結用アイレット30に取り付けられていて、それに反してシリンダー12は、自動車に固定された部品に連結されている。これらの部品への連結は、また反対にされてもよい。自動車における他の部品を制動することも可能である。例えば、ピストンロッド26が断面において、二重T字形若しくは長方形、又はK字形若しくは円形であってもよくて、そのことは図1〜4に詳細に示めされていない。図5は、例として二重T字形を示めしている。コイルばね32がふた14と、ふたに面するピストン16の面との間に配置されている。図1〜4において、ばねは解放状態で示めされている。図1において、ふたの下側が少なくとも一つのリング状の突起36を形成されていて、その突起はばね32の最上段の巻き線をばねに接して取り囲んでいる。ばね32の最下段の巻線がピストン16の軸方向角38の外側にあって、このことはばね32をこの点において横方向に配置している。図1及び2における実施の形態において、二つの正反対に対向した揺動防止ロッカー40,42がピストンロッド26の軸と平行に形成されている。揺動防止ロッカー40,42がばね32の広い範囲に伸長しているけれど、その力はふた14に向って上部三分の一において減少している。ばね32個々の巻き線は、図1及び2における解放状態において、ほぼ接触力なしにリブ40,42と係合している。このように、ばね32は圧縮時において、横方向に振動すること又はバックリングすることを防止されている。ところで、ばね32の材料は容易に摺動するプラスチック塗膜が施されていて、ばねの巻き線とリブ40,42との間の接触において実質的に摩擦が発生しないようになっている。このことがばねの巻き線におけるどのようなきしみ(squeak)又は揺動(whizz)をも回避している。
【0021】
図3における実施の形態は図2の実施の形態と区別されるものであって、ばね32aは円筒形状ではなくて、くびれた形状である。従って対称に設計されたばね32の中央部の巻線だけが揺動防止リブ40,42と係合するであろう。
【0022】
図4の実施の形態における特徴は、揺動防止リブ40b,42bが軸方向に平行な貫通開口44及び48により、半径方向においてフレキシブルに形成されている。リブ40b,42bの外形は前述した実施の形態におけるリブ40,42の外形と一致している。
このことが、重なり合いのリスクもなくより広いばねの許容作動範囲に適合していて、従ってばねの摩擦はリブにおいて非常に大きくなる。
【0023】
図5は図1の空気ダンパーに対応する空気ダンパー用シリンダー12の上端部を示めしていて、そのダンパーはここではふた14により閉じられている。ピストンロッド26が二重T字形であって、図1〜3の実施の形態対応する正反対に対向した揺動防止リブ40,42を有している。開口28aの端部が適切な脚を含むU字形ばね部分50,52を構成していて、その脚は二重T字形のクロス−ウェブを外側から把持している。ばね部分の端部は、54に示めすようなボール形状をしている。ばね部材50,52がピストンロッド26をガイドしていて、ピストンロッドと開口端部との間におけるがたによるノイズは回避されている。ボール形状ベアリング部分54のために、この領域において小さな摩擦しか発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における空気ダンパーの第一の実施の形態を概略的に示めしている。
【図2】図2は、本発明における空気ダンパーの第二の実施の形態を概略的に示めしている。
【図3】図3は、本発明における空気ダンパーの第三の実施の形態を概略的に示めしている。
【図4】図4は、本発明における空気ダンパーの第四の実施の形態を概略的に示めしている。
【図5】図5は、本発明における特殊なふたを有する空気ダンパーの平面図である。
【符号の説明】
10…空気ダンパー
12…シリンダー
14…ふた
14a…ふた
16…ピストン
18…凹部
18a…凹部
20…シールリング
26…ロッド
32…コイルばね
46…貫通開口
48…貫通開口

Claims (10)

  1. 特に自動車において移動可能に支持された構造部品用の空気ダンパーであって、
    −自身の一方の端部で閉じている中空のシリンダー(12)と、
    −該シリンダーの他の一方の端部に取り付けられたふた(14,14a)と、
    −該シリンダー内部で摺動可能にガイドされていて、ふた(14,14a)を貫通して該シリンダーの外側に向けて伸長しているピストンロッド(26)を有しているピストン(16)と、
    −該ピストン(16)の周囲における環状の凹部と、
    −該凹部において、該シリンダー(12)の内面と該凹部の底面との間にシール的に係合していて、軸方向の伸長長さが該凹部(18,18a)の伸長長さより短かい環状のシールリング(20)と、
    −該空気ダンパーが振動系を構成する該凹部における、一方の壁面から他の一方の壁面において断面が変化している、該凹部(18,18a)の該底面における少なくとも一つの軸方向溝と、該軸方向溝に連通している該凹部の壁面における少なくとも一つの半径方向溝と、を具備している空気ダンパーにおいて、
    環状の該シールリングが、熱可塑性エラストマーで作られていて、該シリンダーの該壁面と該凹部の該底面とに所定の摩擦で協働していて、該シールリングは該凹部の該壁面と該底面と概ね等しい静止摩擦および滑り摩擦を有した層により塗膜されており、かつ、該ダンパーの摩擦部分が振動系を円滑にする寸法にて形成されており、
    該ふた(14a)の開口(28a)の内側端部が、該ピストンロッド(26)の表面に係合するボール形の端部を有した弾性部分(50,52)を備えている空気ダンパー。
  2. 該シールリングがポリシロキサンをベースにしたポリマーで塗膜されているところの、請求項1に記載の空気ダンパー。
  3. 該シールリング(20)、高温下でも圧縮状態が維持される材料から形成される請求項1又は2に記載の空気ダンパー。
  4. 該凹部(18a)の該底面が円錐状であるところの、請求項1に記載の空気ダンパー。
  5. コイルばね(32,32a)が、該ふた(14,14a)と該ピストン(16)との間に配置されていて、該ピストンロッド(26)は、該ピストンロッドの軸に平行に伸長している正反対に対向して配置された細長いリブ(40,42,40b,42b)を有していて、該コイルばねが解放されると、該リブは該コイルばねの巻線に係合するところの、請求項1に記載の空気ダンパー。
  6. 該コイルばね(32a)がその端部間でくびれた形状であって、該コイルばねが解放されると、該くびれ部分は該リブ(40,42,40b,42b)に係合するところの、請求項5に記載の空気ダンパー。
  7. 該リブ(40b,42b)が、細長い貫通開口(46,48)により半径方向に弾性的であるところの、請求項6に記載の空気ダンパー。
  8. 該コイルばね(32,32a)が熱可塑性塗膜を備えているところの、請求項5に記載の空気ダンパー。
  9. 該コイルばね(32,32a)がプラスチック塗膜されたばねワイヤで形成されているところの、請求項8に記載の空気ダンパー。
  10. 該くびれたコイルばね(32a)が対称的であるところの、請求項6に記載の空気ダンパー。
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