JP2007092926A - ショックアブソーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】 入力振幅の大きさに応じて適切な摩擦力を発生させる、すなわち、小振幅時には摩擦力を小さく、大振幅時には摩擦力を大きくし、これにより振幅の大きさに応じて最適な減衰力を得る。
【解決手段】 ピストンロッド5と摺動するとともに前記ピストンロッド5に対して摩擦力を発生する摩擦体20が、前記ピストンロッド5の摺動時及び静止時に前記ピストンロッド5に接触する略環状の接触部21と、該接触部に隣接して設けられ、前記ピストンロッド5の静止時には前記ピストンロッド5に非接触の略環状のリップ部22とからなる。
【選択図】 図3
【解決手段】 ピストンロッド5と摺動するとともに前記ピストンロッド5に対して摩擦力を発生する摩擦体20が、前記ピストンロッド5の摺動時及び静止時に前記ピストンロッド5に接触する略環状の接触部21と、該接触部に隣接して設けられ、前記ピストンロッド5の静止時には前記ピストンロッド5に非接触の略環状のリップ部22とからなる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、自動車などの車両に装着されるショックアブソーバに関し、特にピストンロッドに摺接する部材とピストンロッドとの間に生ずる摩擦力を減衰力として利用するショックアブソーバに関する。
自動車などの車両には、路面の凹凸によって生じる走行中の上下振動を吸収するためにサスペンション装置が用いられている。ショックアブソーバは、このサスペンション装置を構成する主要部品の一つである。ショックアブソーバにはモノチューブ式やツインチューブ式など、いくつかの種類があるが、その基本的な構造は次のようなものである。
油液で満たされたシリンダの内部に、シリンダの軸方向に摺動可能にピストンが挿入されている。ピストンは、シリンダ内部を2つの油室に区画し、2つの油室はピストン内部またはシリンダ外部に設けられた油液通路を介してつながっている。このピストンにはピストンロッドの一端が固定され、ピストンロッドの他方の端部は、シリンダの軸方向外部に延出している。そして、シリンダの内部または外部には気体が封入されるとともに油室と連通しているリザーバ室が設けられている。リザーバ室は、ピストンロッドがシリンダ内に侵入した場合に、侵入した体積に応じて気体が圧縮されることにより、ショックアブソーバ内部全体の体積を一定に保つ機能を有する。
ショックアブソーバを自動車等の車両に装着する場合、通常、シリンダは車輪に固定され、ピストンロッドは車体に固定される。車両が走行し、路面の凹凸が振動として車輪に入力されると、ピストンロッド(およびピストン)に対してシリンダが上下に移動しようとする。このとき、シリンダ内部の2つの油室はピストンによって隔てられているため圧力差が生じ、この圧力差によって、油液が油液通路を通じて圧力の高い油室から低い油室へと移動する。油液通路の断面積は、圧力差や油液の粘度を考慮して十分に小さくしてあるため、油液がその中を流れる際に大きな流体抵抗を発生する。この流体抵抗による力は、ピストンとシリンダの相対速度の反対方向に働くため振動が抑制される。そして、振動の運動エネルギーは熱エネルギーに変換されて周囲に放出される。以上が、ショックアブソーバの基本的な仕組みである。
ところで、この流体抵抗による減衰力は、油液の流速、すなわちピストンとシリンダとの相対速度(ピストン速度)が大きくなるに従って増加する。したがって、入力される振動の振幅が小さい、すなわち、相対速度が小さい場合、流体抵抗による減衰力は、発生しないか、発生してもごく小さいものとなる。そのため、入力振動の振幅が小さな高速走行時(例えば、入力振幅3mm以下)には、減衰力が小さいために車両のふらつきが起きることがある。
そこで、このようなときにも減衰力を発生させるため、適当な摩擦力を付与することで、車両のふらつきを抑制する技術が盛んに研究され、特許文献1などに開示されている。特許文献1に開示されているショックアブソーバは、シリンダ側またはピストンロッド側の一方に固定されるとともに、他方に摺接してオイルシールのシールリップ部よりも大きな摩擦を発生する摩擦部材を有している。この摩擦部材は、例えば、金属環と、そこに加硫接着された環状の摩擦体(フッ素系ゴム材などの弾性ゴム材料からなる)とで構成され、内周面全体が上端部に向かうにつれて小径となるテーパ穴形状に形成されているため、上向き摺動時における摩擦力と下向き摺動時における摩擦力に差が生じている。
本発明者らは、入力振幅に対するバネ上最大変位の比に与える摩擦の影響を調べるため、1輪線形モデルによる応答解析を行った。ここで、1輪線形モデルとは、車両の振動特性を解析するために車両を1組の車輪、バネ、ダッシュポットおよび車体からなるものとして単純化したモデルである。
図5は、上記の一輪線形モデルを用いた応答解析の結果を示すグラフである。横軸は摩擦倍数、縦軸はバネ上変位を入力変位で割った値の最大値である。摩擦倍数は、摩擦力の相対的な値を示すものであり、摩擦倍数が2倍であれば、摩擦力も2倍となる。バネ上変位を入力変位で割った値の最大値は、減衰の程度を表し、1より大きい場合はバネ上が共振していることを示す。図に示されるように、入力振幅に対するバネ上最大変位への摩擦力の影響は、入力振幅の大きさによって傾向が異なる。具体的には、摩擦力の大きさを決める摩擦倍数を1.0と高くした場合、2.0mm程度の入力変位の場合にはバネ上変位を小さくすることができるが、0.5mm程度の入力変位の場合にはバネ上変位が大きくなる。逆に、摩擦倍数を0.2と低くした場合、0.5mm程度の入力変位の場合にはバネ上変位を小さくすることができるが、2.0mm程度の入力変位の場合にはバネ上変位が大きくなる。つまり、微小振動のうちで、小振幅時(振幅が0.5mm程度。以下同じ)には摩擦力を小さく、大振幅時(振幅が2.0mm程度。以下同じ)には摩擦力を大きくすることで、バネ上最大変位を低減できるのである。
なお、乗用車に用いられる通常のショックアブソーバの最大許容振幅は数cmであるが、本明細書においては、微小振動、例えば3mm以下の場合のみを議論している。したがって、本明細書における「大振幅」とは、上記のとおり、おおよそ2mm程度のものである。
この知見によれば、上記特許文献1の摩擦部材を用いた場合、摩擦部材の内周面が常にピストンロッドに接しているため、入力振幅の大きさにかかわらず摩擦力はほぼ一定となると考えられる。そのため、振幅の大小に応じた最適な摩擦力を発生することがない。
本発明は上記のような問題にかんがみてなされたものであり、入力振幅の大きさに応じて適切な摩擦力を発生させる、すなわち、微小振動中の小振幅時には摩擦力を小さく、大振幅時には摩擦力を大きくし、これにより振幅の大きさに応じて最適な減衰力を得るものである。
請求項1に記載の発明は、油液が封入されるとともに開口部を有するシリンダと、該シリンダに摺動可能に嵌装され、該シリンダの内部を第1油室と第2油室とに分割するピストンと、一端が前記ピストンに設けられ、他端が前記シリンダの外部に延出するピストンロッドと、前記シリンダの開口部に設けられ、前記ピストンロッドを前記シリンダの外部に摺動可能に案内するロッドガイドと、前記ロッドガイドに設けられ、前記ピストンロッドと摺動するとともに前記シリンダの内部と外部とを隔絶するオイルシールと、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの一方に固設され、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方と摺動するとともに前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に対して摩擦力を発生する摩擦部材とからなる油圧緩衝器において、前記摩擦部材が、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に常時接触する略環状の接触部と、該接触部に隣接して設けられ、前記ピストンロッドの静止時には前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に非接触で、かつ、前記ピストンロッドの摺動時であって振幅が所定値より大きいときには前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に接触して前記摩擦部材が発生する摩擦力を増大する略環状のリップ部とからなることを特徴とするショックアブソーバである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のショックアブソーバであって、前記リップ部が、前記接触部の軸方向片側に複数設けられていることを特徴とするショックアブソーバである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のショックアブソーバであって、前記リップ部が、前記接触部の軸方向両側にそれぞれ設けられていることを特徴とするショックアブソーバである。
請求項1に記載の発明によれば、入力振幅が小さいときは接触部のみがピストンロッドと摺動するため小さい摩擦力を発生し、入力振幅が大きいときは接触部に加えてリップ部もピストンロッドと摺動するため大きな摩擦力を発生する。これにより、入力振幅の大きさに応じて適切な摩擦力を発生することができる。
また、形状が単純であるため、製作が容易で安価である。
請求項2に記載の発明によれば、複数のリップ部を有するので、振幅の大きさに応じてピストンロッドに接触するリップ部の数が変化するため、発生する摩擦力を複数の段階で設定できる。
請求項3に記載の発明によれば、リップ部が接触部の両側にあるので、ピストンの伸び方向および縮み方向の両方向の摺動において、入力振幅の大きさに応じて適切な摩擦力を発生することができ、バネ上変位を小さくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるショックアブソーバの断面図である。上端部が開口したシリンダ1には、ピストン4がシリンダ1と摺動可能に挿入され、シリンダ1内をピストン上室2とピストン下室3とに分けている。ピストン4には、ピストンロッド5の一方の端部が固定されており、ピストンロッド5の他方の端部はシリンダ1の軸方向外部に延出している。ピストン上室2およびピストン下室3には油液が満たされており、ピストン4には、シリンダ1とピストンロッド5との相対運動に応じて、油液が通過するピストン油液通路6が設けられている。ピストン油液通路6の両端には、油液の流れを制限するように環状のピストンバルブ6Aが設けられ、減衰力を発生する。
シリンダ1の外周部には下端部が閉塞された円筒状のアウタシェル7がシリンダ1と同軸上に設けられている。アウタシェル7とシリンダ1とは、下端部に設けられたボディ部17を介して固定されている。ボディ部17には、ピストン下室3とリザーバ室8とを連通する油通路15、ボディバルブ16などが設けられている。アウタシェル7内部とシリンダ1の外周部により形成されるリザーバ室8は、油通路15を介してピストン下室3と連通しており部分的に油液で満たされている。そして、残りの部分には気体が封入されている。この気体は、シリンダ1へのピストンロッド5の侵入及び退出に伴うシリンダ1内のピストンロッド5体積の変化分を補償するものである。すなわち、ピストンロッド5がシリンダ1内に侵入したときは気体が侵入体積の分だけ圧縮され、ピストンロッド5が退出したときは膨張することでシリンダ1内部の体積を一定に保っている。
ピストンロッド5は、ロッドガイド9の内周側に設けられたブシュ10によって径方向の移動が拘束され、軸方向の移動のみ許容される。ブシュ10は、ピストンロッド5と摺動する内周面がフッ化樹脂などでコーティングされた金属の筒またはフッ化樹脂成型品などであり、ピストンロッド5との摺動性に優れるものである。ロッドガイド9は小径部Aと大径部Bとからなり、小径部Aがシリンダ1に挿入されることによってシリンダ1を固定している。大径部Bは、アウタシェル7に挿入されることによりロッドガイド9とアウタシェル7との径方向の相対移動を規制している。また、アウタシェル7の上端部を径方向内側に向かってかしめを行うことによりロッドガイド9とアウタシェル7との軸方向の相対移動を規制している。
アウタシェル7の上端部には、これを覆うようにキャップ11が圧入されている。キャップ11は、オイルシール12を保護するとともに、本実施例のショックアブソーバが車両に搭載した場合であって、大きく圧縮されたときに、ピストンロッド5の上端部に設けられる図示しないバンプラバーを受け止めるためのものである。
ロッドガイド9とキャップ11の間には、シリンダ1内の油液が外部へ漏れることを防ぐためのオイルシール12、外部からのダストなどがシリンダ1内に侵入することを防ぐためのダストリップ13およびピストンロッド5との摺動によって摩擦力を発生する摩擦部材18が配置され、ピストンロッド5がそれらを貫通するように設けられている。
図2に、ロッドガイド9近傍の拡大図を示す。ロッドガイド9の内側凹部9Aには、金属環19が圧入により軸方向に移動しないよう固定されている。金属環19の内周側には、おおむね環状のゴム材料からなる摩擦体20が加硫接着されている。摩擦体20は、ピストンロッド5に挿入されていない状態では、その開口部の直径がピストンロッド5の径より小さくなるように設定されている。そのため、ピストンロッド5に挿入されると摩擦体20は、ピストンロッド5の径方向内側への緊縛力を発揮し、ピストンロッド5に対して摩擦力を発生する。
摩擦体20は、常時ピストンロッド5に接触する略環状の接触部21と、接触部21の軸方向両側にそれぞれ設けられた略環状のリップ部22とからなる。ピストンロッド5への挿入時におけるリップ部22の開口の直径は、ピストンロッド5の径よりわずかに大きく設定されており、このため、摩擦体20をピストンロッド5に挿入した場合、ピストンロッド5が摺動していないときは、リップ部22はピストンロッド5に接していない。
金属環19にはピストンロッド5と略平行に油液通路23が設けられ、金属環19の中心軸方向の両側に圧力差が生じることを防止している。なお、油液通路23の位置及び形状は、金属環19の軸方向両側に圧力差が生じない限り特に限定されるものではない。
次に、このように構成された第1の実施形態のショックアブソーバについて、その動作状態を説明する。
図3は、振動の振幅が小さい場合における摺動状態を模式的に示す摩擦部材18の断面図である。この図に示される摩擦体20においては、金属環19のロッド側端部(金属環19の中心側端部)から接触部21までの距離l1が、金属環19のロッド側端部からリップ部22までの距離l2より小さく(l1<l2)設定されている。このように設定することにより、後述のように、摩擦体20の変形が大きいときにのみリップ部22をピストンロッド5に接触させることができる。
図の下方に示されているピストンロッド5は、摩擦部材18の位置に対して矢印の方向に移動している。このとき、ピストンロッド5に接触している接触部21が摩擦力によってピストンロッド5の移動方向に引っ張られ、変形する。ただし、振動の振幅が小さいため変形量は非常に小さく、リップ部22がピストンロッド5の表面に接することはない。
一方、振動の振幅が大きい場合は、図4に示すように、ピストンロッド5の変位が大きいために摩擦体20の変形が大きくなり、摺動方向上流にあるリップ部22がピストンロッド5に接触する。このとき、ピストンロッド5とリップ部22との間にも摩擦力が発生するため、摩擦体20とピストンロッド5との間の摩擦力は、振幅が小さい場合と比較して大きくなる。
小振幅時には摩擦力を小さく、大振幅時には摩擦力を大きくすることで、バネ上最大変位を低減できることは先に述べた。ここで図5をもう一度説明する。このグラフは、ある一輪線形モデルのショックアブソーバについて、0.5mmから2.0mmの3種類の振幅における摩擦倍数nに対するバネ上変位/入力変位の特性を示している。
まず、振幅が0.5mmの場合、ひし形の点を結んだ曲線が示すように、摩擦倍数nが0.4以下のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。次に、振幅が1.0mmの場合、四角形の点を結んだ曲線が示すように、摩擦倍数nが0.4から0.8のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。同様に、振幅が2.0mmの場合、三角形の点を結んだ曲線が示すように、摩擦倍数nが0.8以上のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。つまり、このショックアブソーバの場合、振幅が0.5mmの場合は摩擦倍数を小さくし、振幅が2.0mmの場合は摩擦倍数を大きくすることでバネ上の振動変位を低減することが可能となる。
このことから、接触部21のみがピストンロッド5と摺動しているときの摩擦倍数を0.5以下とし、接触部21とリップ部22がピストンロッド5と摺動しているときの摩擦倍数を0.5以上となるように適宜設定することで、振幅の大きさにかかわらず(ただし2.0mmを大きく超えない範囲)、バネ上振動が低減可能となる。つまり、本発明の第1の実施形態のショックアブソーバを用いるとバネ上最大変位を低減できる。これを車両に装着した場合、高速走行時など、流体抵抗による減衰力がほとんど発生しない程度に入力振幅が小さいとき(例えば、振幅が3.0mm以下)でも、良好に振動を抑制して乗り心地を改善することができる。
次に、図6に本発明の第2の実施形態によるショックアブソーバの摩擦部材118を拡大した図を示す。第1の実施形態と同じ部分については同じ参照番号を付し、その説明は省略する。また、図に示されていない部分については第1の実施形態と同じである。第2の実施形態の摩擦部材18が第1の実施形態のそれと異なる点は、摩擦体120において、摩擦体121に対して軸方向片側だけにリップ部122が設けられている点である。このように構成した場合、当然ながら、伸び行程と縮み行程における振幅−摩擦特性が異なる。
ところで、高速走行時など、流体抵抗による減衰力がほとんど発生しない程度に入力振幅が小さい場合(例えば、振幅が3.0mm以下)、通常のショックアブソーバでは、接地荷重が小さくなり、走行が不安定になることがある。
そこで、伸び側の摩擦力が低く、かつ、縮み側の摩擦力が高くなるようにリップ部122を設けることにより、接地荷重を常に高く維持することが可能となり、走行を安定させることになる。
次に、図7に本発明の第3の実施形態によるショックアブソーバの摩擦部材218を拡大した図を示す。第1の実施形態と同じ部分については同じ参照番号を付し、その説明は省略する。また、図に示されていない部分については第1の実施形態と同じである。第3の実施形態の摩擦部材218が第1の実施形態のそれと異なる点は、リップ部が片側だけに2つ(第1リップ部222と第2リップ部223)設けられている点のみである。このように構成した場合、振幅の大きさに応じてピストンロッド5に接触するリップ部の数が変化するため、発生する摩擦力を段階的に増加させることができる。例えば、0.5mmの振幅の場合には接触部221のみが、1.0mmの振幅の場合には接触部221と第1リップ部222が、2.0mmの振幅の場合には接触部221、第1リップ部222および第2リップ部223がピストンロッド5と摺動するように設定すれば、振幅の大きさに応じて摩擦力を段階的に増加させることが可能となり、振動抑制効果が大きくなる。このことを図5に基づいて説明すれば次のようになる。
先に述べたように、図5の一輪線形モデルのショックアブソーバでは、振幅が0.5mmの場合、摩擦倍数nが0.4以下のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。次に、振幅が1.0mmの場合、摩擦倍数nが0.4から0.8のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。同様に、振幅が2.0mmの場合、摩擦倍数nが0.8以上のときにバネ上変位/入力変位が他の曲線よりも小さくなる。つまり、振幅が0.5mmの場合は摩擦倍数を0.4以下とし、振幅が1.0mmの場合は摩擦倍数を0.4から0.8とし、振幅が2.0mmの場合は摩擦倍数を0.8以上とすることでバネ上の振動変位を低減することが可能となる。
このことから、接触部221のみがピストンロッド5と摺動しているときの摩擦倍数を0.4以下とし、接触部221と第1リップ部222がピストンロッド5と摺動しているときの摩擦倍数を0.4から0.8とし、接触部221、第1リップ部222および第2リップ部223がピストンロッド5と摺動しているときの摩擦倍数を0.8以上となるように適宜設定することで、振幅の大きさにかかわらず(ただし2.0mmを大きく超えない範囲)、バネ上振動が低減可能となる。
次に、図8に本発明の第4の実施形態によるショックアブソーバを示す。第1の実施形態と同じ部分については同じ参照番号を付し、その説明は省略する。第4の実施形態では、金属環319がピストンロッド5に固定されており、摩擦部材318は、シリンダ1に対して摺動する。また、本実施形態では、油液通路323の通路断面積をピストン油液通路6よりも大きくとり、油液通路323で減衰力が発生しないようにしている。このように構成することで、第1の実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、上記の実施形態ではツインチューブ式ショックアブソーバの例を示したが、本発明がモノチューブ式ショックアブソーバにも適用できることは言うまでもない。
上記実施形態では、摩擦部材を金属環と摩擦体で構成したが、金属環を樹脂等からなる環状の部材で代用することができる。また、環状のゴム材を直接ロッドガイドに接着すれば、金属環は不要であり、摩擦体は摩擦部材と同一となる。
上記第1の実施形態では、接触部の上側(一方の側)に設けられるリップ部の数と下側(他方の側)のそれが同じであったが、これを変えることで、伸び方向と縮み方向の振幅・摩擦力特性を変えることができる。
また、上記実施形態における摩擦体は単一の材料からなるものであったが、複数の材料から構成してもよく、例えば接触部とリップ部の材料を別のものとすることでリップ部がピストンロッドに接触したときの摩擦体の摩擦力と離れているときの摩擦体の摩擦力との差を任意に調整できる。
1 シリンダ
2 第1油室
3 第2油室
4 ピストン
5 ピストンロッド
9 ロッドガイド
12 オイルシール
18 摩擦部材
21 接触部
22 リップ部
122 リップ部
222 第1リップ部
223 第2リップ部
318 摩擦部材
2 第1油室
3 第2油室
4 ピストン
5 ピストンロッド
9 ロッドガイド
12 オイルシール
18 摩擦部材
21 接触部
22 リップ部
122 リップ部
222 第1リップ部
223 第2リップ部
318 摩擦部材
Claims (3)
- 油液が封入されるとともに開口部を有するシリンダと、
該シリンダに摺動可能に嵌装され、該シリンダの内部を第1油室と第2油室とに分割するピストンと、
一端が前記ピストンに設けられ、他端が前記シリンダの外部に延出するピストンロッドと、
前記シリンダの開口部に設けられ、前記ピストンロッドを前記シリンダの外部に摺動可能に案内するロッドガイドと、
前記シリンダの開口部に設けられ、前記ピストンロッドと摺動するとともに前記シリンダの内部と外部とを隔絶するオイルシールと、
前記シリンダまたは前記ピストンロッドの一方に固設され、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方と摩擦力を発生しつつ摺動する摩擦部材とからなる油圧緩衝器において、
前記摩擦部材が、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に常時接触する環状の接触部と、該接触部に隣接して設けられ、前記ピストンロッドの静止時には前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に非接触で、かつ、前記ピストンロッドの摺動時であって振幅が所定値より大きいときには前記シリンダまたは前記ピストンロッドの他方に接触して前記摩擦部材が発生する摩擦力を増大する環状のリップ部とからなることを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項1に記載のショックアブソーバであって、
前記リップ部が、前記接触部の軸方向片側に複数設けられていることを特徴とするショックアブソーバ。 - 請求項1に記載のショックアブソーバであって、
前記リップ部が、前記接触部の軸方向両側にそれぞれ設けられていることを特徴とするショックアブソーバ。
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