JP4673134B2 - シーリング剤の保管・注入容器 - Google Patents

シーリング剤の保管・注入容器

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Description

本発明は、空気入りタイヤにパンクが発生するまでは、パンクした空気入りタイヤをシールするためのシーリング剤を密閉状態で容器本体内に保管し、空気入りタイヤにパンクが発生した場合には、容器本体から空気入りタイヤ内にシーリング剤を供給するためのシーリング剤の保管・注入容器に関する。
近年、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際に、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修してタイヤ種類に応じて規定された指定圧まで内圧をポンプアップするシーリング・ポンプアップ装置が普及している。この種のシーリング・ポンプアップ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。
特許文献1に示されたシーリング・ポンプアップ装置は、内部がシーリング剤を収容する液体室とされた液剤容器と、この液剤容器の下側に隣接して内部が空気室とされたチャンバー容器とを備えており、これらの液剤容器及びチャンバー容器は、それぞれ側壁部が高さ方向に沿って伸縮可能な蛇腹構造とされている。また液剤容器にはシーリング剤の吐出口が設けられており、この吐出口には、先端部にタイヤバルブに接続可能とされたアダプタを備えたジョイントホースの基端部が接続されている。
上記のように構成されたシーリング・ポンプアップ装置では、ジョイントホースのアダプタをパンクしたタイヤのタイヤバルブに接続した後、予め圧縮状態とされたチャンバー容器内に圧縮空気を供給してチャンバー容器の容積を膨張させることにより、チャンバー容器からの加圧力(空気圧)を受けた液剤容器の容積が縮小に従って、チャンバー容器内からシーリング剤が加圧状態でジョイントホース内へ送り出され、このシーリング剤がジョイントホース及びアダプタを通して空気入りタイヤ内へ送り込まれる。
ところで、上記のようなシーリング・ポンプアップ装置で用いられるシーリング剤は密閉状態で保管しておかないと、含有成分の酸化、揮発成分の蒸発等により劣化が徐々に進行し、シーリング性能が経時的に低下するおそれがある。このため、上記のようなシーリング・ポンプアップ装置では、工場等で製造されてからタイヤのパンク修理が開始されるまでの保管時には、例えば、液剤容器の吐出口をアルミ箔等のシール材(内蓋)により封止すると共に、液剤容器には吐出口を外側から覆うようにキャップ(外蓋部材)がねじ止め等により取り付けられる。
特開2004−338476号公報
上記のようなシーリング・ポンプアップ装置では、タイヤのパンク修理を開始するためには、作業者がキャップを液剤容器から取り外し、シール材を液剤容器から除去した後に、液剤容器の吐出口にジョイントホースを接続する必要がある。このため、このようなシーリング・ポンプアップ装置では、タイヤに対するパンク修理を開始する際の作業者による準備作業が煩瑣なものになる。
またシーリング・ポンプアップ装置には、上記のような準備作業を簡単にするために、液剤容器の吐出口にジョイントホースを接続するか、又は液剤容器を装置本体に設けられた容器装填部に装填すると、ジョイントホースの基端部又は容器装填部に配設された筒状の破通管がシール材を突き破り、この破通管を通して液剤容器の内部をジョイントホースへ連通させるものもある。しかし、このように破通管によりシール材を突き破り、この破通管を通して液剤容器の内部をジョイントホースへ連通させると、破通管によりシール材の一部(破片)が切り離され、このシール材の破片がシーリング剤に混入した後、シーリング・ポンプアップ装置の破通管、ジョイントホース、内部配管、シーリング剤を圧送するためのポンプ、タイヤバルブ等からなるシーリング剤の流通経路内に詰まり、液剤容器に収容されたシーリング剤がタイヤ内へ供給不能になるおそれがある。
本発明の目的は、上記事実を考慮して、空気入りタイヤに対するパンク修理を開始する際に、液剤容器の吐出口を密閉した内蓋を吐出口から離脱する作業を自動的に行え、しかも吐出口から離脱した内蓋が液剤流路及び液剤流路を空気入りタイヤへ連通させるシーリング剤の流通経路内に詰まることを確実に防止できるシーリング剤の保管・注入容器を提供することある。
本発明の請求項1に係るシーリング剤の保管・注入容器は、パンクした空気入りタイヤのパンク穴を閉塞するための液状のシーリング剤を収容し、該シーリング剤を外部へ吐出するための吐出口が開口する蓋取付部が設けられた容器本体と、シーリング剤が流通可能とされた液剤流路が内部を貫通し、前記蓋取付部に連結されると共に、前記吐出口を通して前記液剤流路を前記容器本体内に連通させる外蓋部材と、前記吐出口内へ圧入されて該吐出口を密閉する閉栓位置に保持され、前記容器本体内に収容されたシーリング剤の圧力及びシーリング剤上における気体の圧力の少なくとも一方により前記閉栓位置から前記液剤流路内へ押し出される内蓋と、前記内蓋を、前記閉栓位置から前記液剤流路内へ移動可能となるように前記蓋取付部又は前記外蓋部材に連結すると共に、前記閉栓位置から前記液剤流路内へ押し出された前記内蓋の下流側への移動を制限する連結部材と、を有することを特徴とする。
上記請求項1に係るシーリング剤の保管・注入容器では、内蓋が、空気入りタイヤに対するパンク修理の開始前には、容器本体の吐出口内へ圧入されて吐出口を密閉する閉栓位置に保持され、空気入りタイヤに対するパンク修理時には、容器本体内に収容されたシーリング剤の圧力及びシーリング剤上における気体の圧力の少なくとも一方により閉栓位置から外蓋部材の液剤流路内へ押し出されることにより、空気入りタイヤに対するパンク修理の開始前には、容器本体の吐出口を内蓋により確実に密閉でき、また空気入りタイヤに対するパンク修理時には、容器本体内に収容されたシーリング剤又はシーリング剤上における気体を加圧状態にすれば、内蓋により密閉されていた容器本体の吐出口を開口し、容器本体内のシーリング剤を液剤流路を通して容器外部へ供給できる。
また請求項1に係るシーリング剤の保管・注入容器では、内蓋を蓋取付部又は外蓋部材に連結した連結部材が、閉栓位置から液剤流路内へ押し出された内蓋の液剤流路内における下流側への移動を制限することにより、容器本体から液剤流路内へのシーリング剤の流出時に、このシーリング剤の流れに抗して、内蓋を液剤流路内における所定位置に保持できるので、液剤流路における所定位置よりも上流側の内径を内蓋の外径よりも大きくしておけば、液剤流路を通してシーリング剤が容器外部へ確実に供給可能になると共に、内蓋が液剤流路や容器外部で液剤流路を空気入りタイヤの内部へ連通させるシーリング剤の流通経路に詰まることを確実に防止できる。この結果、吐出口内から離脱した内蓋が液剤流路やシーリング・ポンプアップ装置におけるシーリング剤の流通経路内に詰まって、容器本体内のシーリング剤が空気入りタイヤ内へ供給不能になることを確実に防止できる。
本発明の請求項2に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項1記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記蓋取付部と前記外蓋部材との間に挟持されて蓋取付部と外蓋部材との間をシールするシール部材を有し、前記シール部材を前記連結部材及び前記内蓋と一体的に形成したことを特徴とする。
本発明の請求項3に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項1又は2記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記連結部材は、前記液剤流路内におけるシーリング剤の流通方向に沿って弾性的に伸縮可能とされたことを特徴とする。
本発明の請求項4に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項1記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記連結部材は、前記記吐出口の内径よりも外径が小さい棒状に形成され、一端部が前記内蓋に接合されると共に、他端側が前記吐出口を通して前記容器本体内へ挿入されるコード部と、前記吐出口の内径よりも全長が長い棒状に形成され、長手方向中央部が前記連結部の他端部に固着されて前記容器本体内に保持されるアンカー部と、を有することを特徴とする。
本発明の請求項5に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項1乃至4の何れか1項記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記液剤流路における上流部に前記内蓋の外径よりも内径が大きい貯液部を設けると共に、該貯液部の下流側に前記内蓋の外径よりも内径が小さい縮流部を設け、前記外蓋部材に、前記内蓋の前記貯液部から前記縮流部への移動を阻止しつつ、シーリング剤の前記貯液部から前記縮流部への流入を許容する内蓋トラップ手段を設けたことを特徴とする。
本発明の請求項6に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項1乃至5の何れか1項記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記容器本体内に配置され、該容器本体の内部をシーリング剤が充填された液室部と外部から圧縮空気が供給される気室部とに区画すると共に、前記気室部の内容積を膨張させつつ前記液室部の内容積を収縮させる注入方向へ移動可能とされたプランジャ部材を有することを特徴とする。
本発明の請求項7に係るシーリング剤の保管・注入容器は、請求項6記載のシーリング剤の保管・注入容器において、前記容器本体内に配置され、該容器本体の内部をシーリング剤が充填された液室部と外部から圧縮空気が供給される気室部とに区画すると共に、前記気室部の内容積を膨張させつつ前記液室部の内容積を収縮させる注入方向へ移動可能とされたプランジャ部材を有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明のシーリング剤の保管・注入容器によれば、空気入りタイヤに対するパンク修理を開始する際に、容器本体の吐出口を密閉した内蓋を吐出口から離脱する作業を自動的に行うことができ、かつ吐出口から離脱した内蓋が液剤流路及び液剤流路を空気入りタイヤへ連通させるシーリング剤の流通経路内に詰まることを確実に防止できる。
以下、本発明の実施の形態に係るシーリング剤の保管・注入容器であるシリンダ容器について説明する。
〔第1の実施形態〕
(シーリング・ポンプアップ装置の構成)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るシリンダ容器が適用されたタイヤのシーリング・ポンプアップ装置が示されている。シーリング・ポンプアップ装置30は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という。)がパンクした際、そのタイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤをシーリング剤により補修して所定の指定圧まで内圧を再加圧(ポンプアップ)するものである。
図1に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置30は外殻部としてケーシング32を備えており、ケーシング32は、その内部が仕切板34により装置の幅方向(矢印W方向)に沿って2個の小室36,38に区画されている。一方の小室36内には、モータ、ポンプ、電源回路等が一体化されたエアコンプレッサ40が配置されている。エアコンプレッサ40は、電源回路に接続された電源ケーブル(図示省略)を備えており、この電源ケーブルの先端部に設けられたプラグを、例えば、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差し込むことにより、車両に搭載されたバッテリによりエアコンプレッサ40に電源が供給可能になる。
また他方の小室38の内部には、略円筒状に形成されたシリンダ容器42が収納されており、このシリンダ容器42は、シーリング剤52を収容した略円筒状の容器本体43を備えている。容器本体43の内部には、のシリンダ容器42を装置の高さ方向(矢印H方向)に沿って2個の隔室である液室部44と気室部46とに区画する略円板状のプランジャ部材48が配設されている。プランジャ部材48の外周面には全周に亘って断面半円状の嵌挿溝49が形成されており、この嵌挿溝49内には、シリコーンゴム等の弾性材料からなるOリング50が嵌め込まれている。Oリング50は、その外周部を容器本体43の内周面に圧接させてプランジャ部材48の外周面と容器本体43の内周面との間をシールしている。プランジャ部材48は、Oリング50を容器本体43の内周面に圧接させつつ、容器本体43内で高さ方向へ移動可能とされている。
容器本体43には、プランジャ部材48の上方に設けられる液室部44内に液状のシーリング剤52が充填されている。具体的には、液室部44内には、シーリング・ポンプアップ装置30により修理すべきタイヤ90の種類、サイズ等に応じた規定量(例えば、200g〜400g)よりも若干多めのシーリング剤52が充填されている。この規定量よりも多めのシーリング剤52が液室部44内に充填された状態では、プランジャ部材48は、図1(A)に示される液室部44の内容積を最大とすると共に、気室部46の内容積を最小とする下限位置に保持されている。シーリング・ポンプアップ装置30では、下限位置にあるプランジャ部材48が上方(注入方向)へ移動するに従って、液室部44の内容積が連続的に縮小すると共に気室部46の内容積が連続的に膨張する。
図1(A)に示されるように、容器本体43には、その頂板部82の中央部分に円筒状の上側首部54が上方へ突出するように形成されている。図3(A)に示されるように、上側首部54の外周面はねじ山が形成された雄ねじ部55とされている。また上側首部54には、その上端側の開口を部分的に閉塞するように円板状のノズル板56が一体的に形成されると共に、このノズル板56の中央部に円形の吐出口57が穿設されている。図3(B)に示されるように、シリンダ容器42には、上側首部54にねじ止めにより連結固定される外蓋キャップ58及び、この外蓋キャップ58と上側首部54との間に挟持固定される内蓋部材59が設けられている。
図5に示されるように、内蓋部材59には、その外周側に円環状のシールリング60及び、このシールリング60の内周側に同軸的に内蓋61が形成されている。また内蓋部材59には、シールリング60と内蓋61とを繋ぐ一対の連結コード62が形成されている。内蓋部材59では、シールリング60、内蓋61及び連結コード62がNBR(ニトリルブチルゴム)、シリコーンゴム等の弾性材料により一体成形(モールド成形)されている。
連結コード62は細長い紐状ないし梁状に形成されており、その内周側の端部が内蓋61の外周部に接合されると共に、外周側の端部がシールリング60の内周部に接合されている。一対の連結コード62は、内蓋部材59の軸心Sを中心として互いに対称的な位置関係となるように配置されると共に、軸心Sを中心として互いに対称な形状とされている。
連結コード62には、図5(A)に示されるように、その内周部及び外周部に軸心Sを中心とする径方向に沿って外周側及び内周側へそれぞれ延出する延出部63及び延出部64が形成されると共に、これらの延出部63,64間を繋いだ湾曲部65が一体的に形成されている。湾曲部65は、軸心Sを中心とする周方向に沿って約1/4周に亘って延在するように形成されている。連結コード62は、軸方向に沿った加圧力を受けた場合、延出部63,64及び湾曲部65を軸方向へ撓み変形させると同時に、湾曲部65を曲率半径が拡大するように変形させることにより、非変形状態(図5(B)参照)から、図5(C)に示されるように軸方向に沿って弾性的に変形可能とされている。
図3(B)に示されるように、内蓋部材59の内蓋61は下端側が閉止された有底円筒状に形成されており、その外径が吐出口57の内径よりも僅かに大きくなっている。内蓋61は、タイヤに対するパンク修理の開始前には、吐出口57内に圧入されて吐出口57を密閉状態となるように閉止する閉栓位置に保持されている。このとき、内蓋61は、その外周面と吐出口57の内周面との摩擦力が保持力となって閉塞位置に保持される。また内蓋部材59のシールリング60は、上側首部54の頂面上における外周側に配置される。
図3(A)に示されるように、外蓋キャップ58には、その下端側に円筒部66が形成されると共に、この円筒部66の上端側を閉止するように半球状に湾曲した頂部67が一体的に形成されている。これにより、外蓋キャップ58の内部には、下端側が円柱状とされ上端側が半球状とされた空間である貯液室68が形成される。円筒部66の内周面には、その下端側に上側首部54の外径(雄ねじ部55のねじ径)に対応する内径を有する雌ねじ部69が形成されると共に、この雌ねじ部69の上端部から内周側へ延出する段差状のフランジ部70が形成されている。
図3(B)に示されるように、外蓋キャップ58は、その雌ねじ部69が雄ねじ部55の外周側に捻じ込まれることにより上側首部54に連結固定される。このとき、外蓋キャップ58は、フランジ部70が上側首部54頂面上のシールリング60に圧接するまで雄ねじ部55に捻じ込まれる。これにより、シールリング60は、フランジ部70と上側首部54の頂面との間に圧縮状態で挟持され、外蓋キャップ58と上側首部54との間を液密及び気密状態となるようにシールする。
外蓋キャップ58には、頂部67の上端付近から径方向に沿って外周側へ突出する円管状の連結管72が一体的に形成されている。連結管72内には給液路74が貫通しており、この給液路74は、その一端部が貯液室68内へ面して開口すると共に、他端部が連結管72の先端面へ開口している。ここで、給液路74の内径(断面積)は、貯液室68の内径(断面積)よりも十分に小さいものになっている。また貯液室68の内径は、内蓋61の外径DO(図3(A)参照)よりも十分に大きくなっている。
ここで、外蓋キャップ58における貯液室68及び給液路74は、吐出口57を通して容器本体43(液室部44)内から吐出されたシーリング剤52をシリンダ容器42の外部へ供給するための液剤流路を構成している。
図6に示されるように、外蓋キャップ58には、その頂部67の内壁面から貯液室68内へ延出する複数枚(本実施形態では、7枚)のトラップ板76が一体的に形成されている。これらのトラップ板76はそれぞれ略二等辺三角形の板状に形成されており、その斜辺部が頂部67の内壁面に接合されている。また7枚のトラップ板76は、周方向に沿って給液路74の開口部付近を除く領域に等間隔(約45°間隔)で配設されている。これにより、図6(B)に示されるように、貯液室68の上端側には、複数枚のトラップ板76の内周側に高さ方向へ延在する空間である主流通部78が形成されると共に、図6(A)に示されるように、互いに隣接する一対のトラップ板76間に高さ方向へ延在し断面が扇状とされた空間である副流通部80が形成される。
ここで、主流通部78の内径DI(図6(B)参照)は、内蓋部材59の内蓋61の外径DO(図3(A)参照)よりも数ミリ以上小さくなっている。また互い隣接するトラップ板76の先端部間の周方向に沿った間隔L(図6(B)参照)は、内蓋61の外径DO及び厚さB(図3(A)参照)よりも十分に狭くなっている。
図1に示されるように、シーリング・ポンプアップ装置30は、ジョイントホース160を備えており、このジョイントホース160の先端部には、タイヤ90のタイヤバルブ92にねじ止め可能とされたアダプタ162が配置されている。またジョイントホース160の基端部は、図3に示されるように、外蓋キャップ58における連結管72の先端部外周側に嵌挿固定されている。これにより、連結管72内の給液路74は、ジョイントホース160内を貫通するシーリング剤52の流通路161に連通する。従って、シーリング・ポンプアップ装置30では、アダプタ162をタイヤバルブ92にねじ止めすれば、ジョイントホース160の流通路161を通して外蓋キャップ58内の貯液室68及び給液路74が空気入りタイヤ90の内部へ連通する。
図1に示されるように、容器本体43には、その底板部84の中央部分に円筒状の下側首部156が下方へ突出するように一体的に形成されており、この下側首部156外周側には、圧力配管168の先端部に設けられた連結キャップ170がねじ止めされている。この圧力配管168の基端部はエアコンプレッサ40に接続されている。これにより、エアコンプレッサ40は圧力配管168を通して気室部46内に連通し、エアコンプレッサ40を作動させると、エアコンプレッサ40により発生した空気(圧縮空気)が圧力配管168を通して気室部46内へ供給される。ここで、エアコンプレッサ40は、シーリング・ポンプアップ装置30により修理すべきタイヤ90の種類毎に規定された指定圧よりも高圧の圧力(例えば、0.2MPa〜0.3MPa)を発生可能とされている。
シーリング・ポンプアップ装置30では、エアコンプレッサ40により気室部46内に圧縮空気を供給すると、気室部46内の空気圧が上昇すると共に、この空気圧を受けたプランジャ部材48がシーリング剤52の静圧に抗してゆっくり上方(注入方向)へ移動し、気室部46の内容積が徐々に膨張する。この気室部46の膨張開始後、液室部44内に収容されたシーリング剤52がプランジャ部材48により加圧されてシーリング剤52の液圧が徐々に上昇する。このとき、シーリング剤52の液圧が所定値まで上昇すると、図4に示されるように、シーリング剤52の液圧により内蓋61が吐出口57内の閉栓位置から貯液室68内へ押し出され、吐出口57が開口する。これにより、吐出口57を通して容器本体43の液室部44が外蓋キャップ58の貯液室68に連通し、シーリング剤52が液室部44内から貯液室68内へ流入する。
シーリング・ポンプアップ装置30では、吐出口57の開口後は、気室部46の内容積の膨張に従って、液室部44の内容積が気室部46の膨張量と等しい量だけ縮小する。この結果、液室部44内のシーリング剤52が吐出口57を通って外蓋キャップ58内の貯液室68内へ流入し、貯液室68内を満たした後、給液路74を通ってジョイントホース160内へ加圧状態で吐出される。この加圧状態のシーリング剤52は、ジョイントホース160及びタイヤバルブ92を通ってタイヤ90の内部へ注入される。
図4に示されるように、内蓋61は、一対の連結コード62によりシールリング60に連結されており、このシールリング60が上側首部54の頂面と外蓋キャップ58のフランジ部70との間に挟持固定されている。従って、吐出口57内の閉栓位置から貯液室68内へ押し出された内蓋61は、吐出口57から流出するシーリング剤52の液圧を受け、容器本体43内からのシーリング剤52の吐出完了後は、後述するように、吐出口57から噴出する圧縮空気の空気圧を受けるが、シーリング剤52の液圧又は圧縮空気の空気圧を受けても、連結コード62により貯液室68内で所定距離以上下流側へ移動することが制限される。このとき、連結コード62は、内蓋61が受ける液圧又は空気圧の大きさに応じた量だけ上方へ伸長し、内蓋61を吐出口57とトラップ板76の下端部との中間位置に保持する。
図2に示されるように、容器本体43には、その周壁部上端側に容器本体43の内壁面を外周側へ向って凹状に陥没させるように複数個(本実施形態では、4個)の流路形成部164が一体的に成形されている。流路形成部164は、内周側(シリンダ容器42内)へ向って開いた半円筒状に形成され、高さ方向に沿ったか端部が半円状の底板部及び容器本体43の頂板部82によりそれぞれ閉塞されており、その内部には、高さ方向に沿って延在する断面半円状のバイパス流路166が形成されている。このバイパス流路166は、高さ方向に沿って液室部44の中間部からシリンダ容器42の頂板部82まで延在している。
シーリング・ポンプアップ装置30では、図1(B)に示されるように、圧縮空気の圧力によりプランジャ部材48が液室部44の内容積を最小とすると共に、装置の設定上、気室部46の内容積を最大とする上限位置まで上昇すると、プランジャ部材48がバイパス流路166に達し、プランジャ部材48の外周面におけるバイパス流路166に面した部分がシリンダ容器42の内周面から離間する。これにより、気室部46はバイパス流路166を通して液室部44内へ連通し、バイパス流路166を通してエアコンプレッサ40により発生した圧縮空気が気室部46内から液室部44内へ流入した後、吐出口57を通して液室部44から外蓋キャップ58の貯液室68内へ噴射される。このとき、圧縮空気の空気圧を受けた内蓋61は、前述したように、連結コード62により貯液室68内における吐出口57とトラップ板76の下端部との中間位置(図4参照)に保持される。また液室部44内に充填されていたシーリング剤52は大部分がジョイントホース160を通してタイヤ90内へ注入されている。
従って、シーリング・ポンプアップ装置30では、プランジャ部材48が上限位置まで上昇すると、エアコンプレッサ40により発生した圧縮空気が圧力配管168、気室部46、バイパス流路166、液室部44、貯液室68、給液路74及びジョイントホース160を通ってタイヤ90内へ充填開始される。またプランジャ部材48が上限位置まで上昇した時点で、液室部44内及び貯液室68内に残存した少量のシーリング剤52は、その少なくとも一部が圧縮空気と共にタイヤ90内へ圧送される。
(シーリング・ポンプアップ装置の作用)
次に、本実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置30を用いてパンクしたタイヤ90を修理する作業手順を説明する。
タイヤ90にパンクが発生した際には、先ず、作業者は、ジョイントホース160のアダプタ162をタイヤバルブ92にねじ止めした後、エアコンプレッサ40を作動させ、圧力配管168を通してエアコンプレッサ40により発生した圧縮空気を容器本体43の気室部46内へ供給する。これにより、気室部46の内圧が徐々に上昇し、この内圧の上昇に従って下限位置にあったプランジャ部材48が注入方向へ移動して気室部46の内容積を膨張させると共に、液室部44内のシーリング剤52を圧縮して液圧を徐々に上昇させる。液室部44内のシーリング剤52の液圧が所定値まで上昇すると、内蓋61が吐出口57内の閉栓位置から貯液室68内へ押し出される。このとき、内蓋61は、連結コード62により下流側へ移動が制限されることにより、シーリング剤52の液圧に抗して貯液室68内における吐出口57とトラップ板76との中間位置に保持される。
シーリング・ポンプアップ装置30では、吐出口57の開口後、プランジャ部材48の上方への従って液室部44の内容積が縮小すると、容器本体43の液室部44内からはその内容積の縮小量と略等しい量のシーリング剤52が加圧状態となって貯液室68、給液路74、ジョイントホース160及びタイヤバルブ92を通ってタイヤ90内部へ注入される。
図1(B)に示されるように、プランジャ部材48が上限位置まで移動して容器本体43内から所定量のシーリング剤が吐出完了すると、複数本のバイパス流路166を通して気室部46が液室部44に連通する。これにより、エアコンプレッサ40から気室部46内へ送られてくる圧縮空気が液室部44、貯液室68、給液路74及びジョイントホース160を通してタイヤ90の内部へ供給される。この後、作業者は、エアコンプレッサ40に設けられた圧力ゲージ(図示省略)によりタイヤ90の内圧が所定の指定圧になったことを確認したならば、エアコンプレッサ40を停止し、アダプタ162をタイヤバルブ92から取り外す。
作業者は、タイヤ90の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤52が注入されたタイヤ90を用いて一定距離に亘って予備走行する。これにより、タイヤ90内部にシーリング剤52が均一に拡散し、シーリング剤52がパンク穴に充填されてパンク穴を閉塞する。予備走行完了後に、作業者は、タイヤ90の内圧を再び測定し、必要に応じて再びジョイントホース160のアダプタ162をタイヤバルブ92にねじ止めし、エアコンプレッサ40を作動させてタイヤ90を指定圧まで加圧する。これにより、タイヤ90のパンク修理が完了し、このタイヤ90を用いて所定の速度以下での走行が可能になる。
以上説明した本実施形態に係るシーリング・ポンプアップ装置30のシリンダ容器42では、タイヤ90に対するパンク修理の開始前には、内蓋61が容器本体43の吐出口57内へ圧入されて吐出口57を密閉する閉栓位置に保持され、パンク修理時に、エアコンプレッサ40により容器本体43の気室部46内に圧縮空気が供給されると、プランジャ部材48により加圧されたシーリング剤52の液圧により閉栓位置から外蓋キャップ58の貯液室68内へ押し出されることにより、タイヤ90に対するパンク修理の開始前には、容器本体43の吐出口を内蓋61により確実に密閉でき、また空気入りタイヤに対するパンク修理時に、エアコンプレッサ40により容器本体43の気室部46内に圧縮空気を供給すれば、内蓋61により密閉されていた容器本体43の吐出口57を自動的に開口させ、貯液室68、給液路74及びジョイントホース160を通して容器本体43内のシーリング剤52を容器外部のタイヤ90へ供給できる。
また本実施形態に係るシリンダ容器42では、内蓋61を容器本体43の上側首部54に連結した連結コード62が、吐出口57内の閉栓位置から貯液室68内へ押し出された内蓋61の貯液室68内における下流側への移動を制限することにより、容器本体43から貯液室68内へのシーリング剤52の流出時に、このシーリング剤52の流れ(液圧)に抗して、内蓋61を貯液室68内における吐出口57とトラップ板76の下端部との中間位置に保持でき、かつ中間位置における貯液室68の内径が内蓋61の外径DOよりも十分に大きいことから、貯液室68及び給液路74を通してシーリング剤52が容器外部へ確実に供給可能になると共に、内蓋61が貯液室68及び給液路74や容器外部へ流出してジョイントホース160に詰まることを確実に防止できる。この結果、吐出口57内から離脱した内蓋61が貯液室68及び給液路74やジョイントホース160に詰まって、容器本体43内のシーリング剤52がタイヤ90内へ供給不能になることを確実に防止できる。
また本実施形態に係るシリンダ容器42では、シールリング60を上側首部54の頂面と外蓋キャップ58のフランジ部70との間に挟持固定すると共に、シールリング60を連結コード62及び内蓋61と一体的に形成したことより、シールリング60、連結コード62及び内蓋61をそれぞれ独立した部品として製造する必要がなくなるので、シリンダ容器42を構成する部品の点数を減少して製造コストを低減できると共に、シールリング60を上側首部54の頂面と外蓋キャップ58のフランジ部70との間に挟むだけで、連結コード62を介して内蓋61を上側首部54及び外蓋キャップ58に連結できるので、連結コード62の先端部を上側首部54及び外蓋キャップ58に固定する作業を不要にできる。
むろん、外蓋キャップ58からシールリング60を省略して、連結コード62の先端部を上側首部54及び外蓋キャップ58の一方又は双方に固定することにより、連結コード62を介して内蓋61を上側首部54又は外蓋キャップ58に連結するようにしても良い。
また本実施形態に係るシリンダ容器42では、連結コード62が貯液室68内におけるシーリング剤52の流通方向に沿って弾性的に伸縮可能とされていることにより、連結コード62の破断強度を十分に高いものに保ちつつ、前記流通方向に沿った連結コード62の変形抵抗を効果的に小さくできるので、連結コード62の変形抵抗により内蓋61が吐出口57内から抜け出にくくなることを防止でき、シーリング剤52の液圧を受けた内蓋61を円滑に吐出口57内から貯液室68内へ押し出すことができる。更には、内蓋61が吐出口57内から離脱した後、シリンダ容器42内からタイヤ90へのシーリング剤52の供給が一時的に停止した場合でも、内蓋61には連結コード62の付勢力が作用するので、この付勢力により内蓋61が吐出口57を塞ぐような位置に移動することを防止できる。
また本実施形態に係るシリンダ容器42では、外蓋キャップ58の頂部67に内蓋61に対するトラップ手段として複数枚のトラップ板76を形成し、これらのトラップ板76により貯液室68内へ延出して貯液室68の上端側(下流側)に主流通部78及び副流通部80を形成することにより、例えば、容器本体43からタイヤ90へのシーリング剤52の供給中に、連結コード62が破断して内蓋61が貯液室68の下流側へ流されても、内蓋61がトラップ板76の下端部により保持(トラップ)されて、トラップ板76よりも下流側へ移動することが阻止されるが、シーリング剤52は複数枚のトラップ板76間に形成された主流通部78及び副流通部80を通って下流側へ支障なく流れるので、吐出口57内から離脱した内蓋61が貯液室68及び給液路74やジョイントホース160に詰まって、容器本体43内のシーリング剤52がタイヤ90内へ供給不能になることを確実に防止できる。
なお、上記のようなトラップ手段は、トラップ板76を外蓋キャップ58に設けること以外にも、例えば、貯液室68の中間部に内蓋61の外径よりも開口径が小さい複数の開口が網目状に形成されたトラップ部材を設置することにより構成しても良く、これ以外にも、トラップ手段は、内蓋61の下流側への移動を防止でき、かつシーリング剤52の下流側への流通を許容するものならば、いかなる構造のものであっても良い。
〔第2の実施形態〕
図7には、本発明の第2の実施形態に係るシリンダ容器が示されている。このシリンダ容器100は、図1に示される第1の実施形態に係るシリンダ容器42に代えて、シーリング・ポンプアップ装置30に適用可能なものである。なお、本実施形態に係るシリンダ容器100では、第1の実施形態に係るシリンダ容器42と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るシリンダ容器100が第1の実施形態に係るシリンダ容器42と異なる点は、容器本体43の吐出口57を閉塞するための内蓋部材102として図8に示されるものを用いている点のみであり、シリンダ容器100の他の部分については、シリンダ容器42と同一となっている。
図8に示されるように、内蓋部材102には、その上端側に有底円筒状に形成された内蓋104が設けられると共に、この内蓋104の底面中央部から下方へ突出する細長い棒状の連結コード部106が形成されている。また内蓋部材102には、連結コード部106の先端部から径方向外周側へ延出する棒状のアンカー部108が形成されている。内蓋部材102では、内蓋104、連結コード部106及びアンカー部108がNBR、シリコーンゴム等のゴム組成物や樹脂材料により一体成形(モールド成形)されている。
内蓋104は、その下端側の外径が吐出口57の内径よりも僅かに大きくなっており、上端部には外周側へ延出するフランジ状の鍔部105が一体的に形成されている。鍔部105の外径は吐出口57の内径よりも大きくなっている。図7に示されるように、連結コード部106は、その外径が吐出口57の内径よりも十分に細径とされ、長手方向に沿った寸法が容器本体43のノズル板56の厚さよりも長くなっている。またアンカー部108も、その外径が吐出口57の内径よりも十分に細径とされ、長手方向に沿った寸法が吐出口57の内径よりも長くなっている。このアンカー部108の長手方向中央部には連結コード部106の下端部が接合されている。
図7(A)に示されるように、内蓋部材102は、タイヤ90に対するパンク修理の開始前には、内蓋104における鍔部105の下端側を吐出口57内へ圧入して吐出口57を密閉する閉栓位置に保持している。このとき、鍔部105は、容器本体43にノズル板56へ当接しており、内蓋104が吐出口57を通して容器本体43内へ脱落することを防止している。内蓋部材102は、図7(A)及び(B)に示されるように、常に、連結コード部106を吐出口57内に挿通して連結コード部106の先端側及びアンカー部108を容器本体43内へ挿入している。
シーリング・ポンプアップ装置30では、エアコンプレッサ40により気室部46内に圧縮空気を供給すると、気室部46内の空気圧が上昇すると共に、この空気圧を受けたプランジャ部材48がシーリング剤52の静圧に抗してゆっくり上方(注入方向)へ移動し、気室部46の内容積が徐々に膨張する。この気室部46の膨張開始後、液室部44内に収容されたシーリング剤52がプランジャ部材48により加圧されてシーリング剤52の液圧が徐々に上昇する。このとき、シーリング剤52の液圧が所定値まで上昇すると、図7(B)に示されるように、シーリング剤52の液圧により内蓋104が吐出口57内の閉栓位置から貯液室68内へ押し出され、吐出口57が開口する。これにより、吐出口57を通して容器本体43の液室部44が外蓋キャップ58の貯液室68に連通し、シーリング剤52が液室部44内から貯液室68内へ流入する。
シーリング・ポンプアップ装置30では、吐出口57の開口後は、気室部46の内容積の膨張に従って、液室部44の内容積が気室部46の膨張量と等しい量だけ縮小する。この結果、液室部44内のシーリング剤52が吐出口57を通って外蓋キャップ58内の貯液室68内へ流入し、貯液室68内を満たした後、給液路74を通ってジョイントホース160内へ加圧状態で吐出される。この加圧状態のシーリング剤52は、ジョイントホース160及びタイヤバルブ92を通ってタイヤ90の内部へ注入される。
図7に示されるように、内蓋部材102は、内蓋104がシーリング剤52の液圧により貯液室68内へ押し出されると、アンカー部108によりノズル板56の下面側を係止し、連結コード部106を介してアンカー部108に連結された内蓋104の下流側への移動を制限し、シーリング剤52の液圧を受けている内蓋104を貯液室68内における吐出口57とトラップ板76の下端部との中間位置に保持する。また、プランジャ部材48が上限位置に達してバイパス流路166が開通した後、容器本体43内の圧縮空気が吐出口57から噴出する際にも、内蓋部材102は、空気圧を受ける内蓋104を貯液室68内における吐出口57とトラップ板76の下端部との中間位置に保持し続ける。
以上説明した本実施形態に係るシリンダ容器100によれば、第1の実施形態に係るシリンダ容器42に代えてシーリング・ポンプアップ装置30に適用することにより、第1の実施形態に係るシリンダ容器42と同様に、タイヤ90に対するパンク修理の開始前には、容器本体43の吐出口を内蓋104により確実に密閉でき、また空気入りタイヤに対するパンク修理時に、エアコンプレッサ40により容器本体43の気室部46内に圧縮空気を供給すれば、内蓋104により密閉されていた容器本体43の吐出口57を自動的に開口させ、貯液室68、給液路74及びジョイントホース160を通して容器本体43内のシーリング剤52を容器外部のタイヤ90へ供給できる。
また本実施形態に係るシリンダ容器100によれば、第1の実施形態に係るシリンダ容器42と同様に、貯液室68及び給液路74を通してシーリング剤52が容器外部へ確実に供給可能になると共に、内蓋104が貯液室68及び給液路74や容器外部へ流出してジョイントホース160に詰まることを防止できるので、吐出口57内から離脱した内蓋104が貯液室68及び給液路74やジョイントホース160に詰まって、容器本体43内のシーリング剤52がタイヤ90内へ供給不能になることを確実に防止できる。
なお、本実施形態に係るシリンダ容器100では、第1の実施形態に係るシリンダ容器42と比較し、上側首部54と外蓋キャップ58との間をシールするシールリングが省略されているが、例えば、上側首部54の雄ねじ部55及び外蓋キャップ58の雌ねじ部69をそれぞれテーパねじ(パイプねじ)とすることにより、上側首部54と外蓋キャップ58とのシール性を確保でき、あるいは内蓋部材102とは別体とされたシールリングを上側首部54と外蓋キャップ58との間に配置するようにしても良い。
また本発明の第1及び第2の実施形態に係るシリンダ容器42,100では、容器本体43内に配置されたプランジャ部材48により液室部44内のシーリング剤52を加圧したが、容器本体自体を外部からの圧縮力により押し潰して容器本体内に収容されたシーリング剤52を加圧するシリンダ容器においても、容器本体の吐出口を本実施形態に係る内蓋部材59,100により閉塞することにより、本発明の第1及び第2の実施形態に係るシリンダ容器42,100と同様な効果を得られる。
図9には、本発明の第1の実施形態に係るシリンダ容器42(図1〜図4参照)に所定量のシーリング剤52を充填し、シリンダ容器42の気室部46にエアコンプレッサにより0.2MPaの圧縮空気を供給した場合における気室部46の空気圧P1と液室部44内のシーリング剤52の液圧P2との関係が示されている。
図9において、DPは閉栓位置にあった内蓋61が貯液室68内へ押し出された時のP1とP2と圧力差であり、この圧力差DPは約50kPaであった。またTは気室部46への圧縮空気の供給開始から内蓋61が貯液室68内へ押し出されるまでの所要時間を示しており、この所要時間Tは0.6秒であった。また空気圧P1と液圧P2との圧力差(圧力損失)LPは約40kPaであった。
本発明の第1の実施形態に係るシリンダ容器が適用されたシーリング・ポンプアップ装置の構成を示す側面断面図であり、(A)はタイヤへのシーリング剤注入前の状態を示し、(B)はタイヤへのシーリング剤注入完了後の状態を示している。 本発明の第1の実施形態に係るシリンダ容器の構成を示す斜視図である。 図2に示されるシリンダ容器における上側首部、内蓋部材及び外蓋キャップの構成を示す側面断面図であり、(A)は内蓋部材及び外蓋キャップが上側首部から取り外された状態を示し、(B)は内蓋部材及び外蓋キャップが上側首部に取り付けられた状態を示している。 図2に示されるシリンダ容器における上側首部、内蓋部材及び外蓋キャップの構成を示す側面断であり、内蓋が容器本体の吐出口から外蓋キャップの貯液室内へ押し出された状態を示している。 図2に示されるシリンダ容器における内蓋部材の構成を示す平面図及び斜視図である。 図2に示されるシリンダ容器における外蓋キャップの構成を示す平面図及び側面断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るシリンダ容器における上側首部、内蓋部材及び外蓋キャップの構成を示す側面断面図であり、(A)が内蓋が吐出口を密閉位置にある状態を示し、(B)は内蓋が吐出口から貯液室内へ押し出された状態を示している。 図7に示される内蓋部材の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るシリンダ容器に所定量のシーリング剤を充填し、気室部に圧縮空気を供給した場合における気室部内の空気圧と液室部内の液圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
30 シーリング・ポンプアップ装置
42 シリンダ容器(シーリング剤の保管・注入容器)
43 容器本体
48 プランジャ部材
52 シーリング剤
57 吐出口
58 外蓋キャップ(外蓋部材)
59 内蓋部材
60 シールリング(シール部材)
61 内蓋
62 連結コード(連結部材)
68 貯液室(貯液部、液剤流路)
74 給液路(縮流部、液剤流路)
76 トラップ板(トラップ手段)
90 タイヤ(空気入りタイヤ)
100 シリンダ容器
102 内蓋部材
104 内蓋
106 連結コード部(コード部)
108 アンカー部

Claims (7)

  1. パンクした空気入りタイヤのパンク穴を閉塞するための液状のシーリング剤を収容し、該シーリング剤を外部へ吐出するための吐出口が開口する蓋取付部が設けられた容器本体と、
    シーリング剤が流通可能とされた液剤流路が内部を貫通し、前記蓋取付部に連結されると共に、前記吐出口を通して前記液剤流路を前記容器本体内に連通させる外蓋部材と、
    前記吐出口内へ圧入されて該吐出口を密閉する閉栓位置に保持され、前記容器本体内に収容されたシーリング剤の圧力及びシーリング剤上における気体の圧力の少なくとも一方により前記閉栓位置から前記液剤流路内へ押し出される内蓋と、
    前記内蓋を、前記閉栓位置から前記液剤流路内へ移動可能となるように前記蓋取付部又は前記外蓋部材に連結すると共に、前記閉栓位置から前記液剤流路内へ押し出された前記内蓋の下流側への移動を制限する連結部材と、
    を有することを特徴とするシーリング剤のシーリング剤の保管・注入容器。
  2. 前記蓋取付部と前記外蓋部材との間に挟持されて蓋取付部と外蓋部材との間をシールするシール部材を有し、前記シール部材を前記連結部材及び前記内蓋と一体的に形成したことを特徴とする請求項1記載のシーリング剤の保管・注入容器。
  3. 前記連結部材は、前記液剤流路内におけるシーリング剤の流通方向に沿って弾性的に伸縮可能とされたことを特徴とする請求項1又は2記載のシーリング剤の保管・注入容器。
  4. 前記連結部材は、前記記吐出口の内径よりも外径が小さい棒状に形成され、一端部が前記内蓋に接合されると共に、他端側が前記吐出口を通して前記容器本体内へ挿入されるコード部と、前記吐出口の内径よりも全長が長い棒状に形成され、長手方向中央部が前記連結部の他端部に固着されて前記容器本体内に保持されるアンカー部と、を有することを特徴とする請求項1記載のシーリング剤の保管・注入容器。
  5. 前記液剤流路における上流部に前記内蓋の外径よりも内径が大きい貯液部を設けると共に、該貯液部の下流側に前記内蓋の外径よりも内径が小さい縮流部を設け、
    前記外蓋部材に、前記内蓋の前記貯液部から前記縮流部への移動を阻止しつつ、シーリング剤の前記貯液部から前記縮流部への流入を許容する内蓋トラップ手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のシーリング剤の保管・注入容器。
  6. 前記容器本体内に配置され、該容器本体の内部をシーリング剤が充填された液室部と外部から圧縮空気が供給される気室部とに区画すると共に、前記気室部の内容積を膨張させつつ前記液室部の内容積を収縮させる注入方向へ移動可能とされたプランジャ部材を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のシーリング剤の保管・注入容器。
  7. 前記プランジャ部材の移動により前記液室部の内容積を収縮させて、前記シーリング剤の圧力及び前記シーリング剤上における気体の圧力の少なくとも一方を上昇させることにより、前記内蓋を前記閉栓位置から前記液剤流路内へ押し出すことを特徴とする請求項6記載のシーリング剤の保管・注入容器。
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