JP4650124B2 - 赤色反応染料組成物、及びその繊維材料への適用 - Google Patents
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Description
反応染料(II)は、三原色用途に使用される塩素堅牢度の良好な赤色染料であるが、得られた染色物の汗日光堅牢度が不良であり、特に配合染色した際に得られる染色物の汗日光堅牢度において赤色が著しく消色するという問題があった。
反応染料(III)は得られる染色物の汗日光堅牢度と塩素堅牢度が良好であるが、色相が橙色〜茶色であるため、三原色用途の赤色染料として使用するには難点があった。
本発明の目的は、三原色用途の赤色染料として、黄色染料および/または青色染料と配合染色した際に得られる染色物の塩素堅牢度と汗日光堅牢度堅牢度等のバランスが良好であり、配合染色した際に染色物の堅牢度試験において変色を生じず、吸尽速度、固着速度、温度感性、塩感性や浴比依存性等のバランスが良好であり、且つ、再現性良く染色物を得ることができる赤色反応染料組成物を提供することにある。
また、本発明は、上記赤色反応染料組成物を用いて繊維材料を染色又は捺染する方法を提供するものである。
[式中、m1及びm2は、互いに独立に、0または1を表す。Tは水素原子または水酸基を表す。U1及びU2は、互いに独立に、水素原子、メチル基、メトキシ基またはスルホ基を表す。Rは水素原子、メチル基またはスルホメチル基を表す。D1は、−SO2C2H4L(Lはアルカリの作用で脱離する基を表す。)、−SO2CH=CH2、下式(Ia)、(Ib)または(Ic)で示される基を表す。
[式中、D2はスルホ基、−SO2CH=CH2及び−SO2CH2CH2L2(L2はアルカリの作用で脱離する基である)からなる群より選ばれる1つの置換基で置換されていてもよいフェニル基、1〜2個のスルホ基で置換されていてもよいナフチル基、下式(IIa)で示される基、(IIb)で示される基又は(IIc)で示される基を表す。D3は、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基又は下式(IId)で示される基を表す。なお、D3−NH−基が置換されたベンゼン環における括弧を付した置換基(−SO3H)は上記D3−NH−が結合する炭素原子を1位としたとき、上記ベンゼン環の各炭素原子を右回りに番号付けした際に、上記の置換基−SO3Hが3又は4位の炭素原子に結合することを意味する。
(IIa)
(IIb)
(IIc)
(式中、Y3は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2L3を表す。L3はアルカリの作用で脱離する基である。)
(IId)
(式中、X3は塩素原子、フッ素原子、モルホリノ基又はフェニルアミノ基を表し、該フェニルアミノ基におけるフェニルの1〜2個の水素原子はスルホ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基及び塩素原子からなる群より選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。また、上記フェニルアミノ基に含まれるアミノにおける水素原子は、メチル基またはエチル基で置換されていてもよい。
X4は、フッ素原子または式(IIe)で示される基を表す。
−(CO)n−NH−B2−Y4 (IIe)
(式中、nは0または1を表す。B2はフェニレンまたは炭素数2〜4のアルキレンを表し、該アルキレンにおける炭素−炭素結合は酸素原子で中断されていてもよい。Y4は−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2L4を表す。L4はアルカリの作用で脱離する基である。)
ただし、式(II)において、D3がアセチル基、プロピオニル基またはベンゾイル基である場合、D2は式(IIa)又は式(IIb)で示される基であり、式(IId)におけるX4がフッ素原子である場合は、X3はモルホリノ又は置換されていてもよいフェニルアミノ基である。
(III)
(式中、Y5は−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2L5を表す。L5はアルカリの作用で脱離する基である。)]
式(I)におけるm1及びm2は、互いに独立に0または1を表す。Tは水素原子又は水酸基を表す。U1及びU2は、互いに独立に、水素原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基(−SO3H)を表す。Rは水素原子、メチル基またはスルホメチル基を表す。D1は−SO2CH2CH2L、−SO2CH=CH2、式(Ia)で示される基、式(Ib)で示される基又は式(Ic)で示される基を表す。ここでLはアルカリの作用で脱離する基である。Lとしては、例えば、硫酸エステル基、チオ硫酸エステル基、燐酸エステル基、酢酸エステル基やハロゲン原子、又はピリジニオ基等を挙げることができる。該ピリジニオ基における1〜2個の水素原子は、カルボキシル基及びウレイド基からなる群より選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
式(I)で示される好ましい化合物としては、例えば、下記に例示するもの等を挙げることができる。
式(IIe)におけるY4は−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2L4を表す。L4はアルカリの作用で脱離する基である。L4の具体例としては、Lで例示したものと同様のものが挙げられる。
D3がアセチル基又はプロピオニル基であり、且つD2が式(IIa)で示される基、又はD3がベンゾイル基であり、且つD2が式(IIb)で示される基である場合が特に好ましい。式(IId)におけるX4がフッ素原子である場合、X3はモルホリノ又は置換されていてもよいフェニルアミノ基である。
また、本発明の反応染料組成物の形態は、粉末状であってもよく、顆粒状であってもよく、水性の液体状であってもよい。
赤色反応染料組成物中における反応染料(I)と、反応染料(II)との混合割合は、(10〜90重量%):(90〜10重量%)であることが好ましい。また、赤色反応染料組成物中における反応染料(I)と、反応染料(II)との混合割合は、(30〜70重量%):(70〜30重量%)であることがより好ましい。
さらに、本発明の赤色反応染料組成物においては、反応染料(III)は、上記反応染料(I)、反応染料(II)及び反応染料(III)の総重量に対して60重量%以下であることが好ましい。
本発明の赤色反応染料組成物と配合する黄色染料及び/または青色染料は特に限定されるものではないが、例えば、ナフタレンモノアゾ系の黄色反応染料や、銅ホルマザン系の青色反応染料、オキサジン系の青色反応染料等を挙げることができる。
本発明の赤色反応染料組成物は、上述の材料上、特に上述の繊維材料上に、物理的化学的性状に応じた方法で染色又は捺染することができる。具体的には、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色法や捺染法等の方法により、上述の繊維上に染色又は捺染する方法を挙げることができる。
例えば、セルロース繊維上に吸尽染色法で染色する際は、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダや苛性ソーダ等のアルカリの存在下、必要に応じて芒硝や食塩等の中性塩を加え、溶解助剤、浸透剤や均染剤等を必要に応じて併用し、30〜100℃程度の温度で染色する方法等が例示される。アルカリや中性塩等は、一度に添加してもよく、分割して添加してもよい。
セルロース繊維上にコールドバッチアップ法で染色する際は、芒硝や食塩等の中性塩と苛性ソーダやケイ酸ソーダ等のアルカリを用いてパジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理する方法等が例示される。
セルロース繊維上に連続染色法で染色する際は、炭酸ソーダや重炭酸ソーダ等のアルカリの存在下、室温又は室温よりも高められた温度でパジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パジング法;上記の反応染料組成物が溶解しているパジング液に繊維を浸漬後、芒硝又は食塩等の中性塩と苛性ソーダ又はケイ酸ソーダ等のアルカリをパジングし、スチーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング法等が例示される。
セルロース繊維上に捺染する場合は、重曹等のアルカリを含有する捺染ペーストを用いて一相で印捺後、80℃以上の高温でスチーミングする方法や;中性又は弱酸性の捺染ペーストを用いて二相で印捺した後に電解質含有のアルカリ性浴に通過させた後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバパジングした後に、スチーミング又は乾熱処理する方法等が例示される。上記の捺染ペーストには、アルギン酸ソーダや澱粉エーテル等の糊剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、必要に応じて、尿素等の捺染糊剤及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
本発明の反応染料組成物は、所望の色相を得るために、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で他の染料と混合して使用することができる。混合して使用する染料としては、反応染料であれば特に制約はないが、例えば、反応基としてスルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基及びトリクロロピリミジン基の1種以上を1つ以上有する染料;Sumifix、Sumifix HF、Sumifix Supra、Remazol、Levafix、ReaNova、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Kayacion、Kayacelon React等の冠称名で市販されている染料、更には、特開昭50−178号公報、特開昭56−9483号公報、特開昭56−15481号公報、特開昭56−118976号公報、特開昭56−128380号公報、特開昭57−2365号公報、特開昭57−89679号公報、特開昭57−143360号公報、特開昭59−15451号公報、特開昭58−191755号公報、特開昭59−96174号公報、特開昭59−161463号公報、特開昭60−6754号公報、特開昭60−123559号公報、特開昭60−229957号公報、特開昭60−260654号公報、特開昭61−155469号公報、特開昭61−225256号公報、特開昭63−77974号公報、特開昭63−225664号公報、特開平1−185370号公報、特開平3−770号公報、特開平5−32907号公報、特開平5−247366号公報、特開平6−287463号公報、特公平7−53832号公報、特開平11−71534号公報、特開平11−43623号公報、特開2000−44830号公報、特開2001−2952号公報に記載されている染料及びC.I.Reactive Blue 19、C.I.Reactive Black5で表される染料等が例示される。
遊離酸の形で表すと、上式(V)で示される染料700部と、遊離酸の形で表すと、上式(VIII)で示される染料300部を混合して、赤色の反応染料組成物を得た。
このようにして得た組成物0.01g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な赤色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
遊離酸の形で表すと、上式(V)で示される染料600部と、遊離酸の形で表すと、上式(XVII)で示される染料400部を混合して、赤色の反応染料組成物を得た。
このようにして得た組成物0.01g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な赤色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
遊離酸の形で表すと、上式(XI)で示される染料450部と、遊離酸の形で表すと、上式(XVII)で示される染料550部を混合して、赤色の反応染料組成物を得た。
このようにして得た組成物0.01g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な赤色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
遊離酸の形で表すと、上式(V)で示される染料400部と、遊離酸の形で表すと、上式(VIII)で示される染料200部、及び上式(XVII)で示される染料400部を混合して、赤色の反応染料組成物を得た。
このようにして得た組成物0.01g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な赤色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
遊離酸の形で表すと、上式(IV)で示される染料600部と、遊離酸の形で表すと、上式(XIII)で示される染料400部を混合して、赤色の反応染料組成物を得た。
このようにして得た組成物0.01g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な赤色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
C.I.Reactive Yellow 145で示される黄色染料440部、C.I.Reactive Blue 221で示される青色染料240部、及び実施例4で得た赤色染料組成物320部を混合して、茶色の反応染料組成物を得た。この反応染料組成物0.01g及び無水芒硝5gを綿繊維からなる編み物5gをセットした染色装置(浴比1:20、浴温は60℃)中に投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで、炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に60℃で60分間編み物を染色後、洗浄した。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、斑のない均一な茶色の染色物を得た。また、上記染色の再現性も良好であった。
実施例5と同様に、黄色染料(1)、青色染料(2)及び下表1に記載の比率で配合した赤色染料組成物を使用して実施例2で得られた染色物と濃度、色相近似の茶色の染色物を得た。得られた染色物の汗日光堅牢度及び塩素堅牢度結果を表1に記載した。特定の比率で配合した赤色染料組成物を使用した場合、汗日及び塩素堅牢度が良好であったのに対し、比較例は汗日光堅牢度と塩素堅牢度のバランスが不良であった。
塩素堅牢度:ISO 105−E03 有効塩素20ppm
実施例1で得た赤色の反応染料組成物200部を熱水で溶解後、25℃迄冷却し、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部及び炭酸水素ナトリウム20部を添加し、更に水を加えて全量を25℃で1000部とし、この液をパジング液として木綿織物をパジングし、織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして染料を固着させる。均一な赤色であり、汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好な染色物が得られる。また、上記染色の再現性は良好である。
実施例1で得た反応染料組成物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
実施例1で得た反応染料組成物30gをそれぞれ熱水に溶解した後、25℃に冷却する。この染料溶液に32.5%苛性ソーダ水溶液15g及び50度ボーメの水ガラス150gを添加し、更に25℃で水を加えて全量を1000gとした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジングした木綿織物を巻き上げ、ポリエチレンフィルムで密閉して25℃の室温で20時間放置した後、常法で洗浄し、乾燥して仕上げる。汗日光堅牢度及び塩素堅牢度が良好であり、均一な赤色の染色物が得られる。
Claims (4)
- 式(IV)で示される反応染料と式(XIII)で示される反応染料を含み、両者の割合が式(IV)で示される反応染料と式(XIII)で示される反応染料の総重量に対して(10〜90%):(90〜10%)である請求項1記載の赤色反応染料組成物。
- 式(IV)で示される反応染料と式(XIII)で示される反応染料を含み、両者の割合が式(IV)で示される反応染料と式(XIII)で示される反応染料の総重量に対して(30〜70%):(70〜30%)である請求項1記載の赤色反応染料組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の赤色反応染料組成物を用いることを特徴とする繊維材料の着色方法。
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