JP4639835B2 - 反応染料組成物、及びその繊維材料への適用 - Google Patents
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また、赤色反応染料(I)を三原色用の反応染料として、黄色反応染料及び/又は青色反応染料と配合して染色すると、上記の黄色反応染料及び/又は青色反応染料との相容性が不良であることが多く、三原色用の反応染料として必ずしも適当なものではなかった。さらに、三原色用の吸尽染色法等においては、例え相容性が良好であっても、赤色反応染料と黄色反応染料及び/又は青色反応染料の堅牢度レベルが揃っておらず、得られた着色物が変色してしまうという問題があった。このため、カラーバリュー、相容性、及び着色物の汗日光堅牢度のバランスが良好である三原色用の赤色反応染料が望まれている。
本発明の目的は、黄色反応染料や青色反応染料との相容性が良好であり、しかも着色物の堅牢度及びそのバランスが良好な赤色反応染料を提供することにある。
b)下式(IV)で示される黄色反応染料
c)下式(V)〜(VII)で示される化合物群から選ばれる1種以上の青色反応染料
[式(I)中、A1はフェニル基又はナフチル基であり、該フェニル基における1個の水素原子は1個のスルホン酸基で置換されている。また、該ナフチル基における2又は3個の水素原子は2又は3個のスルホン酸基で置換されている。B1はフェニレン基又はナフチレン基であり、該フェニレン基における1個の水素原子は1個のメチル基で置換されていてもよく、該ナフチレン基における1個の水素原子は1個のスルホン酸基で置換されていてもよい。X1は、塩素原子、フッ素原子又は下式(Ia)で示される基である。
[式(III)中、A2はフェニル基、ナフチル基又は下式(IIIa)で示される基である。そして、該フェニル基における1個の水素原子は1個のスルホン酸基で置換されている。また、該ナフチル基における1個又は2個の水素原子は1個又は2個のスルホン酸基で置換されている。Y2はベンゾイル基、アセチル基、プロピオニル基又は下式(IIIb)で示される基である。但し、Y2がベンゾイル基、アセチル基又はプロピオニル基である場合は、A2は式(IIIa)で示される基である。
〔式(IV)中、A3はナフチル基であり、該ナフチル基中の水素原子の2又は3個は2個又は3個のスルホン酸基で置換されている。R4は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アセチルアミノ基又はウレイド基である。R5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。Z5は−CH=CH2又は−CH2CH2L5である。L5はアルカリの作用で脱離する基である。X8は塩素原子、フッ素原子又は下式(IVa)で示される基である。
{式(V)中、X9は塩素原子又はフッ素原子である。R7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。Z7は−CH=CH2又は−CH2CH2L7である。L7はアルカリの作用で脱離する基である。}
{式(VI)中、A4はナフチル基であり、該ナフチル基における1又は2個の水素原子は1又は2個のスルホン酸基で置換されている。X10は塩素原子又はフッ素原子である。R9は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。Z8は−CH=CH2又は−CH2CH2L8である。L8はアルカリの作用で脱離する基である。}
〔式(VII)中、P1及びP2は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はカルボキシル基を表す。R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。Z9は−CH=CH2又は−CH2CH2L9である。L9はアルカリの作用で脱離する基である。X11は塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキルアミノ基又はフェニルアミノ基である。該アルキルアミノ基におけるアルキルの1又は2個の水素原子は、塩素原子、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群より選ばれる1又は2個の置換基で置換されていてもよい。また、該フェニルアミノ基におけるフェニルの1又は2個の水素原子は、塩素原子、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群より選ばれる1又は2個の置換基で置換されていてもよい。〕
また、本発明は、上記反応染料組成物を用いてセルロース繊維材料を着色する方法を提供するものである。
また、本発明のセルロース繊維材料の着色方法によれば、特に汗日光堅牢度が優れた着色物が得られる。
式(I)におけるX1は塩素原子、フッ素原子又は上式(Ia)で示される基を表す。式(Ia)におけるR1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。かかるアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。式(Ia)におけるZ1は−CH=CH2又は−CH2CH2L1を表す。該L1はアルカリの作用で脱離する基を表す。
上記のL1としては、例えば、−O−SO3H基、−S−SO3H基、リン酸残基、酢酸残基、ハロゲン原子又はピリジニウム化合物の残基等を挙げることができる。該ピリジニウム化合物の残基における1〜2個の水素原子は、カルボキシル基及びウレイド基からなる群より選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
式(I)におけるフェニレン基又はナフチレン基B1は、上記フェニレン基中の1個の水素原子がメチル基で置換されていてもよい。また、上記ナフチレン基中の1個の水素原子が1個のスルホン酸基で置換されていてもよい。X1は、塩素原子、フッ素原子又は上式(Ia)で示される基を表す。
式(I)で示される化合物としては、A1がフェニル基であり、該フェニル基中の炭素原子が−N=N−基と結合した位置を1位としたときに、上記の−N=N−基と結合した炭素原子の隣の炭素原子(2位)にスルホン酸基が結合した赤色反応染料化合物が好ましい。同様に、A1がナフチル基であり、該ナフチル基中の炭素原子が−N=N−基と結合した位置を2位としたときに、上記ナフチル基における4位、6位及び8位の炭素原子にそれぞれスルホン酸基が結合したトリスルホナフチル基である赤色反応染料化合物が好ましい。また、A1がナフチル基であり、該ナフチル基中の炭素原子が−N=N−基と結合した位置を2位としたときに、上記ナフチル基における4位及び8位の炭素原子にそれぞれスルホン酸基が結合した赤色反応染料化合物も好ましい。
式(I)で示される化合物としては、例えば下式(VIII)〜(XI)で示される化合物が挙げられる。
式(IIa)で示される基としては、X2及びX3の一方が塩素原子又はフッ素原子であり、他方がN−エチルアニリノ基又は式(IIc)で示される基であるとき、及び、X2及びX3が同時に式(IIc)で示される基であるときが好ましい。式(IIb)中におけるX4は水素原子又は塩素原子を表すが、塩素原子であることが好ましい。
式(III)におけるY2は、ベンゾイル基、アセチル基、プロピオニル基又は式(IIIb)で示される基を表す。Y2がベンゾイル基、アセチル基又はプロピオニル基である場合にA2は式(IIIa)で示される基である。
式(IIIb)におけるX6は塩素原子、フッ素原子又はモルホリノ基を表し、好ましいX6は塩素原子又はモルホリノ基である。式(IIIb)におけるX7は上式(IIIc)で示される基を表す。
(i)上述したように、A2が、1位の炭素原子に−N=N−基が結合し、2位の炭素原子にスルホン酸基が結合したフェニル基であり、Y2が式(IIIb)で示される基であり、X6が塩素原子又はフッ素原子である化合物、
(ii)上述したように、A2が、2位の炭素原子に−N=N−基が結合し、1位及び5位の炭素原子にそれぞれスルホン酸基が結合したジスルホナフチル基であり、Y2が式(IIIb)で示される基であり、X6が塩素原子又はフッ素原子である化合物、
(iii)上述したように、A2が、2位の炭素原子に−N=N−基が結合し、1位の炭素原子にスルホン酸基が結合したスルホナフチル基であり、Y2が式(IIIb)で示される基であり、X6が塩素原子又はモルホリノ基である化合物
X8は塩素原子、フッ素原子又は上式(IVa)で示される基を表す。式(IVa)におけるR6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。かかるアルキル基としてはメチル基又はエチル基が好ましい。Z6は−CH=CH2又は−CH2CH2L6を表し、L6はアルカリの作用で脱離する基を表す。L6としては、例えばL1で例示した基を挙げることができる。
式(IV)で示される化合物としては、A3における2位の炭素原子が−N=N−基と結合し、3位、6位及び8位の炭素原子がそれぞれスルホン酸基と結合したナフチル基であり、X8が塩素原子又は式(IVa)で示される基である化合物が好ましい。
式(IV)で示される化合物としては、例えば下式(XX)〜(XXII)で示される化合物が挙げられる。
式(V)で示される化合物としては、例えば下記(XXIII)〜(XXV)で示される化合物が挙げられる。
好ましいP1及びP2は水素原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。R10は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。好ましいアルキル基はメチル又はエチル基である。Z9は−CH=CH2又は−CH2CH2L9を表す。L9はアルカリの作用で脱離する基である。L9としては、例えばL1で例示した基を挙げることができる。
X11は塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキルアミノ基又はフェニルアミノ基を表す。該アルキルアミノ基中のアルキルにおける1〜2個の水素原子は、塩素原子、スルホン酸基及びカルボキシル基からなる群より選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
また、上記フェニルアミノ基中のフェニルにおける1〜2個の水素原子は、塩素原子、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基からなる群より選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
本発明の反応染料組成物は、上述の材料上、特に上述のセルロース繊維繊維材料上に、物理的化学的性状に応じた方法で染色又は捺染することができる。具体的には、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色法や捺染法等の方法により、上述の繊維上に染色又は捺染する方法を挙げることができる。
例えば、セルロース繊維上に吸尽染色法で染色する際は、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダや苛性ソーダ等のアルカリの存在下、必要に応じて芒硝や食塩等の中性塩を加え、溶解助剤、浸透剤や均染剤等を必要に応じて併用し、30〜100℃程度の温度で染色する方法等が例示される。アルカリや中性塩等は、一度に添加してもよく、分割して添加してもよい。
セルロース繊維上にコールドバッチアップ法で染色する際は、芒硝や食塩等の中性塩と苛性ソーダやケイ酸ソーダ等のアルカリを用いてパジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理する方法等が例示される。
セルロース繊維上に連続染色法で染色する際は、炭酸ソーダや重炭酸ソーダ等のアルカリの存在下、室温又は室温よりも高められた温度でパジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パジング法;上記の反応染料組成物が溶解しているパジング液に繊維を浸漬後、芒硝又は食塩等の中性塩と苛性ソーダ又はケイ酸ソーダ等のアルカリをパジングし、スチーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング法等が例示される。
セルロース繊維上に捺染する場合は、重曹等のアルカリを含有する捺染ペーストを用いて一相で印捺後、80℃以上の高温でスチーミングする方法や;中性又は弱酸性の捺染ペーストを用いて二相で印捺した後に電解質含有のアルカリ性浴に通過させた後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバパジングした後に、スチーミング又は乾熱処理する方法等が例示される。上記の捺染ペーストには、アルギン酸ソーダや澱粉エーテル等の糊剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、必要に応じて尿素等の捺染糊剤及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
本発明の反応染料組成物は、所望の色相を得るために、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で他の染料と混合して使用することもできる。混合して使用する染料としては、反応染料であれば特に制約はなく、またその形態にも特に制約はないが、例えば、スルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基及びトリクロロピリミジン基からなる群より選ばれる反応基の1種以上を有する染料が挙げられる。具体的には、Sumifix、Sumifix HF、Sumifix Supra、Remazol、Levafix、ReaNova、Procion、Cibacron、Basilen、Drimarene、Kayacion、Kayacelon React、Reactive等の冠称名で市販されている染料が挙げられる。より好ましい染料としては、CAS No.143804-55-1、107231-52-7、74388-34-4、109736-54-1、88159-08-4、83400-21-9、72509-99-0、63817-39-0、140876-14-8、146177-84-6、143683-22-1、12226-33-4、12226-32-3、372515-94-1、212652-59-0やC.I.Reactive Blue 19等が例示される。
また、本発明の反応染料組成物は、良好な溶解性を有し、濃色での染色力や低塩濃度における染色力に優れている。更に、染色温度、塩やアルカリ剤等の染色助剤の量や浴比の変動による影響を受けにくく、また、テーリング、スチーム時間依存性が良好で安定した品質の染色物が得られ、得られた染色物のフィックス処理時や樹脂加工時における変色が少なく、保存時の塩基性物質との接触による変化が少ない点でも優れている。このように、本発明の反応染料組成物は、セルロース繊維材料を再現性良く染色することができ、特に汗日光堅牢度が優れた染色物を与える。
1)吸尽染色法
綿繊維から成る編物5gをセットした染色装置(浴比は1:20、浴の温度は70℃)中に、下表2に記載した三原色用反応染料混合物と無水芒硝5gとを入れ、70℃で20分間編物を処理した。次いで、炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、さらに70℃で60分間編物を染色した。得られた染色物を洗浄後、乾燥した。
実施例1〜7では、乾燥後、斑のない均一な茶色の染色物を得た。上記の染色を繰返し行った結果、下表2に記載のように、後述する浴比依存性も含めて染色再現性は良好であった。一方、比較例1〜4では、下表2に記載のように、得られた染色物の汗日光堅牢度が2級以下であった。また、褪色バランスについても赤みに変色するか、又は赤みが消色してしまった。なお、各実施例や比較例における赤色染料、黄色染料及び青色染料のそれぞれの組成は、下表1のとおりである。
下表4に記載した三原色用反応染料混合物とアルギン酸ソーダ1部とメタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部を熱水で溶解後、水を加えて全量を25℃で1000部とした。この液を染料パジング液として木綿織物をパジングし、織物を120℃で90秒間乾燥した。得られた織物を、40度ボーメの苛性ソーダ10ml、炭酸ソーダ15g及び食塩250gを水1lに溶解したアルカリ水溶液でパジングし、次に100℃で40秒間スチーミングして染料を固着させた後、洗浄及び乾燥して染色物を得た。得られた染色物は斑のない均一なものであり、染色の再現性も良好であった。なお、各実施例や比較例における赤色染料、黄色染料及び青色染料のそれぞれの組成は、下表3のとおりである。
実施例8〜14の本発明の組成物では、いずれも場合もテーリング性が良好であり、得られた染色物の汗日光堅牢度も良好であった。一方、比較例の組成物では、汗日光堅牢度が2級以下であった。
1)項の吸尽染色法に記載した方法に準じて、それぞれ浴比1:10及び1:40の染色を行った。浴比1:20で染色して得られた染色布を基準とした場合の各浴比における染色布の濃度と色相のバラツキを比較し、浴比依存性を評価した。
○・・各浴比で染色した布の色相がほぼ同じである
△・・各浴比で染色した布の色相が多少異なるが、ほぼ同系統の色相である
×・・各浴比で染色した布の色相の変化が大きい
染料パジング液100mlの全量を木綿織物にパジングし、2)項の二浴連続染色法に準じて染色を行った。最初に染料パジング液がパジングされた部分(反始)、染料パジング液が最後にパジングされた部分(反末)及びこれらの中央部分(反央)の濃度と色相のバラツキを比較して、テーリング性を評価した。
○・・反始−反央間と反央−反末間の色相がほぼ同じである
△・・反始−反央間と反央−反末間の色相が多少異なるが、ほぼ同系統の色相である
×・・反始−反央間と反央−反末間の色相の変化が大きい
実施例3で使用した反応染料組成物200部を熱水で溶解後、25℃迄冷却し、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部及び炭酸水素ナトリウム20部を添加し、更に水を加えて全量を25℃で1000部とし、この液をパジング液として木綿織物をパジングし、織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして染料を固着させると、汗日光堅牢度が良好であり、均一な茶色の染色物が得られる。また、上記染色を繰り返しても、その再現性は良好である。
実施例3で使用した反応染料組成物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
実施例3で使用した反応染料組成物30gを熱水に溶解後、25℃に冷却して得られる染料溶液に32.5%苛性ソーダ水溶液15g及び50度ボーメの水ガラス150gを添加後、更に25℃で水を加えて全量を1000gとした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングし、パジングした木綿織物を巻き上げ、次いでポリエチレンフィルムで密閉して25℃で20時間放置後、常法で洗浄し、乾燥して仕上げると、諸堅牢度が良好な均一な茶色の染色物が得られる。
Claims (6)
- 赤色染料a)が、遊離酸の形で表すと、式(VIII)で示される化合物と、式(XIII)で示される化合物と、式(XVIII)で示される化合物とを含有する赤色反応染料である請求項1〜3のいずれか記載の反応染料組成物。
- 赤色染料a)における式(VIII)で示される化合物の割合が、赤色染料a)の総重量に対して20〜90重量%である請求項1〜4のいずれか記載の反応染料組成物。
- 請求項1〜5のいずれか記載の反応染料組成物を用いることを特徴とする繊維材料の着色方法。
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