JP4538901B2 - 反応染料組成物およびその適用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応染料組成物及びその適用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々のオレンジ〜スカーレット色の反応染料が知られており、例えば特開昭57-89679号、同60-173060号、同63-101458号公報などに反応染料化合物が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知の反応染料化合物を用いて繊維材料を染色又は捺染しても、染色性能(吸尽特性、固着率、均染性、ビルドアップ性、カラーバリュー、未固着染料の繊維材料からの洗浄除去の容易さ等)、乾燥状態、湿潤状態及び溶液状態での保存安定性、染色再現性、染浴等における溶解性、他の反応性染料との相容性、配合染色における染め上がり具合、より経済的な染色処方への適性等や、各種の堅牢度(耐塩素性、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性、耐過酸化洗濯性)、殊に、均染性、洗濯堅牢度及びビルドアップ性がバランスの良い性能を示す反応染料化合物はなく、上記諸性能に優れた反応染料の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、公知のオレンジ〜スカーレット色の反応染料に比べ、均染性、洗濯堅牢度及びビルドアップ性等がより良好であり、低塩濃度で染色でき、かつ、洗濯堅牢度以外の諸堅牢度にも優れる反応染料を開発すべく鋭意研究した結果、互いに異なる構造を有する2種の反応染料化合物からなる特定の組成物が上記の目的を達成することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下式(I)で示される反応染料と、遊離酸の形が下式(II)で示される反応染料とを含有してなる反応染料組成物、並びに、それを用いる繊維材料の染色又は捺染方法を提供するものである。
【0006】
【化8】
(I)
【0007】
[式中、n1は0又は1であり、R1は水素又はメチルを表し、R2及びR3は、互いに独立に、水素又は非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキルを表し、A1及びA2は、互いに独立に、非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキレン、非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニレン又は非繊維反応性基で置換されていてもよいナフチレンを表し、Y1及びY2は、互いに独立に、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z1(Z1はアルカリの作用で脱離する基)を表す。]
【0008】
【化9】
(II)
【0009】
[式中、n2は0又は1であり、R4は水素又はメチルを表し、R5は水素又は非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキルを表し、A3は非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキレン、非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニレン又は非繊維反応性基で置換されていてもよいナフチレンを表し、Y3は−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z2(Z2はアルカリの作用で脱離する基)を表し、Xはクロロ、フルオロ又は置換されていてもよいピリジニオを表す。]
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
上式(I)において、n1は0又は1を表すが、好ましくは0である。
式(I)におけるR1は、水素又はメチルを表すが、好ましくは水素である。
式(I)におけるR2及びR3は、互いに独立に、水素又は非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキルを表す。
式(I)におけるA1及びA2は、互いに独立に、非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキレン、非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニレン又は非繊維反応性基で置換されていてもよいナフチレンを表す。
式(I)におけるY1及びY2は、互いに独立に、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z1を表し、Z1はアルカリの作用で脱離する基である。上記Z1としては、例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル、ハロゲノ、或いは、カルボキシ及びカルバモイルからなる群より選ばれる置換基の1〜2個で置換されていてもよいピリジニオなどを挙げることができる。上記Z1としては、特に硫酸エステルが好ましい。
Y1及びY2の好ましい具体例としては、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2OSO3Hを挙げることができ、−SO2CH2CH2OSO3Hが特に好ましい。
【0011】
上式(II)において、n2は0又は1であり、好ましくは0である。式(II)におけるR4は水素又はメチルを表すが、好ましくは水素である。又、R5は水素又は非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキルを表す。
【0012】
式(II)におけるA3は、非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキレン、非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニレン又は非繊維反応性基で置換されていてもよいナフチレンを表す。
【0013】
式(II)におけるY3は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z2を表し、Z2はアルカリの作用で脱離する基である。Z2としては、例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル、ハロゲノ、或いは、カルボキシ及びカルバモイルからなる群より選ばれる置換基の1〜2個で置換されていてもよいピリジニオ等を挙げることができる。上記Z2としては、硫酸エステルが好ましい。Y3の好ましい具体例としては、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2OSO3Hを挙げることができ、−SO2CH2CH2OSO3Hが特に好ましい。上式(II)におけるXは、クロロ、フルオロ又は置換されていてもよいピリジニオを表す。
【0014】
上式(I)及び(II)におけるR2、R3及びR5で表される非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキルの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、4−シアノブチル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキシカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニルオキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3−メチルカルボニルオキシプロピル、3−エチルカルボニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイルエチル、3−スルファモイルプロピル、4−スルファモイルブチル、クロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロブチル及び4−ブロモブチル等を挙げることができる。
R2、R3及びR5としては、水素、メチル又はエチルが好ましく、水素が特に好ましい。
【0015】
上式(I)及び(II)におけるA1、A2及びA3で表される非繊維反応性基で置換されていてもよいアルキレンとしては、好ましくは−(CH2)2−、−(CH2)3−及び−CH(CH3)CH2−等のC2〜C4アルキレンが挙げられる。
【0016】
上式(I)及び(II)において、A1、A2及びA3で表される非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニレンとしては、例えば炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノ(クロロ、ブロモ等)の群から選ばれる1又は2個の非繊維反応性の基により置換されていてもよいフェニレンが好ましい。中でも、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、クロロ、ブロモ及びスルホの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
かかるフェニレンとしては、例えば
【0017】
【化10】
【0018】
〔式中、***印は、−NR2−、−NR3−又は−NR5−(R2、R3及びR5は前記の意味を有する。)に通じている結合を意味する。〕
等を挙げることができる。特に、メチル及びメトキシからなる群より選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
【0019】
式(I)及び(II)におけるA1、A2及びA3で表される非繊維反応性基で置換されていてもよいナフチレンとしては、例えば1又は2個のスルホにより置換されていてもよいナフチレンが好ましい。かかるナフチレンとしては、例えば
【0020】
【化11】
【0021】
〔式中、***印は−NR2−、−NR3−又は−NR5−(R2、R3及びR5は前記の意味を有する。)に通じている結合を意味する。〕
等を挙げることが出来る。
【0022】
上式(II)におけるXは、クロロ、フルオロ又は置換されていてもよいピリジニオを表す。かかる置換されていてもよいピリジニオとしては、例えば、ピリジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピリジニオ、3−メチルピリジニオ及び3,5−ジカルボキシピリジニオ等を挙げることができる。中でも、3−又は4−カルボキシピリジニオが好ましい。
【0023】
上式(I)の中で、下式(III)
【0024】
【化12】
(III)
【0025】
[式中、R2,R3、A1、A2、Y1及びY2は前記の意味を表す。]で示される化合物が好ましく、中でもR3が水素、メチル又はメトキシである化合物が特に好ましい。更に、一般式(III)におけるR3が水素であり、A2が非繊維反応性基で置換されていてもよいフェニルであり、Y2は−SO2CH2CH2OSO3Hである反応染料が殊に好ましい。
【0026】
上式(II)の中で、下式(IV)
【0027】
【化13】
(IV)
【0028】
[式中,R5、A3、X及びY3は前記の意味を表す。]で示される反応染料が好ましく、Xがクロロ又は3−カルボキシピリジニオである反応染料がより好ましい。更に、上式(IV)におけるR5が水素である化合物が特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物における反応染料(I)及び(II)は、例えば遊離酸の形のものとその塩との混合物の形であってもよいが、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びそれらを含有する混合物であり、中でも、ソーダ塩、カリウム塩、リチウム塩及びそれらを含有する混合物が特に好ましい。
【0030】
本発明の反応染料組成物は式(I)の反応染料と式(II)の反応染料を含有してなるものであり、各反応染料の混合方法は特に限定されるものではなく、染色前に予め混合しておいてもよいし、染浴中で混合・調製してもよい。
【0031】
本発明の反応染料組成物は、式(I)で示される反応染料群から選ばれる1種の染料又は2種以上の混合物と、式(II)で示される反応染料群から選ばれる1種の染料又は2種以上の混合物とからなるものであり、好ましくは、99〜1重量%の式(I)で示される反応染料と、1〜99重量%の式(II)で示される反応染料とを含有してなるものである。さらに好ましくは、80〜20重量%の式(I)で示される反応染料と、20〜80重量%の式(II)で示される反応染料とを含有してなるものである。
【0032】
本発明の組成物において用いられる上式(I)及び(II)の反応染料は、例えば特開昭63-101458号や特開昭60-173060号公報に記載の方法に準じて、下記のようにして製造することができる。
即ち、下式(VIII)
【0033】
【化14】
(VIII)
【0034】
[式中、n1及びR1は前記と同じ意味を表す。]
で示される化合物と、下式(IX)
【0035】
【化15】
(IX)
[式中、R2、A1及びY1は前記と同じ意味を表す。]
で示される化合物を、2, 4, 6―トリクロロ―s―トリアジン又は2, 4,6―トリフルオロ―s―トリアジンに、任意の順序で、それぞれ縮合させることにより製造することができる。
【0036】
2,4,6―トリクロロ―s―トリアジン又は2,4,6―トリフルオロ―s―トリアジンとの縮合反応において、その縮合の順序や各縮合反応条件は特に制限されるものではないが、一次的には温度―10℃〜40℃でpH1〜9、二次的には温度0〜70℃でpH4〜10に調整しながら縮合させることが好ましい。
【0037】
式(VIII)で示される化合物の製造方法も特に限定されないが、例えば、下式(X)
【0038】
【化16】
(X)
【0039】
〔式中、n1は前記と同じ意味を表す。]
で示される化合物をジアゾ化し、得られたジアゾ化物を下式(XI)
【0040】
【化17】
(XI)
【0041】
〔式中、R1は前記と同じ意味を表す。]
で示される化合物とジアゾカップリング反応させることにより、式(VIII)の化合物を得ることができる。
【0042】
本発明の反応染料組成物は、繊維材料を染色及び捺染する染料として用いることができる。かかる繊維材料としては、ヒドロキシ基及び/又はアミド基を含有するものであれば特に限定されないが、例えば、天然又は再生セルロース繊維、天然又は合成ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、皮革、及びこれらを含有する混紡材料等を挙げることができる。
天然セルロース繊維として、具体的には、木綿、リネン、麻、ジュート、ラミー繊維等を挙げることができる。好ましくは、木綿である。再生セルロース繊維として、具体的には、レーヨン、ポリノジック、キュプラ繊維、及び商品名「テンセル」、「タフセル」、「モダール」、「セルティマ」等を挙げることができる。天然又は合成ポリアミド繊維として、具体的には、羊毛、絹、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6、ポリアミド−11、ポリアミド−4等を挙げることができる。また、これらを含有する混紡材料としては、これら繊維材料の混紡材料の他、これらの繊維材料と、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維との混紡材料等も例示することができる。
【0043】
本発明の反応染料組成物は、上述の材料上、特に上述の繊維材料上に、物理的化学的性状に応じた方法で染色又は捺染できる。具体的には、例えば、上述の繊維上に、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色法、捺染法等の方法により染色又は捺染する方法を挙げることができる。例えば、セルロース繊維上に吸尽染色法で染色する場合においては、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、苛性ソーダ等の酸結合剤の存在下、必要に応じて芒硝、食塩等の中性塩を加え、更に必要に応じて、溶解助剤、浸透剤又は均染剤等を併用し、30〜100℃程度の温度で染色する方法等が例示される。ここで酸結合剤、中性塩等の添加は、一度に行ってもよく、分割して行ってもよい。
セルロース繊維上にコールドバッチアップ法で染色する場合においては、芒硝、食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソ−ダ等の酸結合剤を用いてパジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理する方法等が例示される。
セルロース繊維上に連続染色法で染色する場合においては、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ等の酸結合剤の存在下、公知の方法で室温又は高められた温度でパジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パジング法や、本発明の化合物が溶解されているパジング液に繊維を浸漬後、芒硝又は食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソ−ダ等の酸結合剤をパジングし、スチーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング法等が例示される。
セルロース繊維上に捺染する場合においては、一相で、重曹等の酸結合剤を含有する捺染ペーストで印捺し、次いで80℃以上の高温でスチーミングする方法や、二相で、例えば中性又は弱酸性の捺染ペーストで印捺し、これを電解質含有のアルカリ性浴に通過させた後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバパジングし、その後スチーミング又は乾熱処理することにより処理する方法等が例示される。ここで、捺染ペーストには、例えばアルギン酸ソーダ、澱粉エーテル等の糊剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、また必要に応じて、例えば尿素等の捺染助剤及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
セルロース繊維上に本発明の化合物を染色又は捺染する場合、用いられる酸結合剤は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と無機又は有機酸との水溶性塩基性塩、あるいは加熱状態でアルカリを遊離する化合物等を例示できる。特に、アルカリ金属の水酸化物及び弱ないし中程度の強さの無機又は有機酸のアルカリ金属塩が挙げられ、これらの中でも、ナトリウム又はカリウムの水酸化物、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。このような酸結合剤として具体的には、上述した炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、苛性ソーダ、ケイ酸ソーダの他、苛性カリ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一又は第二燐酸ソーダ、トリクロロ酢酸ソーダ等を用いることもできる。
合成又は天然のポリアミド繊維上や、ポリウレタン繊維上に吸尽染色する場合においては、酸性〜弱酸性の染浴中、pHの制御下に、本発明の化合物を吸尽させ、次いで60〜120℃程度の温度下、中性〜アルカリ性にpHに変化させる方法等が例示される。ここで必要に応じて、均染剤等、例えば、塩化シアヌルとアミノベンゼンスルホン酸の縮合生成物、塩化シアヌルとアミノナフタレンスルホン酸の縮合生成物、ステアリルアミンとエチレンオキサイドとの付加生成物等の均染剤等を用いても差し支えない。
【0044】
本発明の反応染料組成物は、所望の色相を得るために、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、他の反応染料と混合して使用することができる。混合して使用する反応染料としては、例えば、反応基としてスルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基、および、トリクロロピリミジン基の少なくとも1種を少なくとも1つ以上有する染料、又はSumifix 、Sumifix HF 、Sumifix Supra 、Remazol 、Levafix 、Procion 、Cibacron、Basilen 、Drimarene 、Kayacion、Kayacelon React などの冠称名で市販されている染料、更には、特開昭50-178号、特開昭 56-9483号、特開昭56-15481号、特開昭 56-118976号、特開昭 56-128380号、特開昭 57-2365号、特開昭57-89679号、特開昭 57-143360号、特開昭59-15451号、特開昭 58-191755号、特開昭59-96174号、特開昭 59-161463号、特開昭 60-6754号、特開昭 60-123559号、特開昭 60-229957号、特開昭 60-260654号、特開昭 61-126175号、特開昭 61-155469号、特開昭 61-225256号、特開昭63-77974号、特開昭 63-225664号、特開平1-185370号、特開平 3-770号、特開平5-32907 号、特開平5-117538号、特開平5-247366号、特開平6-287463号の各公報に記載されている染料、及びC.I.Reactive Blue 19、C.I.Reactive Black 5で表される染料等が例示される。
【0045】
【発明の効果】
本発明の反応染料組成物は、繊維材料に対する染色及び捺染において優れた性能を発揮する点に特徴がある。特にセルロース繊維材料の染色及び捺染に好適であり、上記組成物から得られる染色物及び捺染物は、良好な耐光性、耐汗日光性、耐湿潤性(例えば耐洗濯性、耐過酸化洗濯性、耐塩素性、耐汗性、耐酸加水分解性及び耐アルカリ性)を有し、更に良好な耐摩擦性と耐アイロン性を有する。
また、本発明の反応染料組成物は、良好な溶解性と優れた染色力(ビルドアップ性、均染性、ウオッシュオフ性、吸尽・固着性)を有する点、特に、濃色での優れた染色力や低塩濃度における染色力に優れている。そして、染色温度、塩やアルカリ剤などの染色助剤の量や浴比の変動による影響を受けにくく、安定した品質の染色物が得られるものである。更に、得られた染色物のフィックス処理時や樹脂加工時における変色が少なく、保存時の塩基性物質との接触による変化が少ないことにおいても優れている。
【0046】
【例】
以下、例により本発明を更に詳細に説明する。例中、「部」は重量部である。
【0047】
例1
常法により合成した、遊離酸の形が式(1)
【0048】
【化18】
(1)
【0049】
で示される化合物80部と遊離酸の形が式(2)
【0050】
【化19】
(2)
【0051】
で示される化合物20部を混合させて100部の反応染料組成物を得た。
【0052】
例2
綿繊維からなる編み物100部を低浴比型液流染色装置にセットし、浴比を1:10とし、水温を70℃にした。予め溶解させた例1において得た反応染料組成物1部及び無水芒硝30部を公知の方法で浴中に投入した後、この温度で20分間編み物を処理し、公知の方法で炭酸ソーダ20部を浴中に投入した。次いで、この温度で60分間編み物を処理し染色を終了した。得られた染色物は常法で洗浄して仕上げた。この染色物は斑のない均一で濃いスカーレット色であった。得られた染色物の洗濯、汗日光、耐光、塩素堅牢度はいずれも良好であった。又、上記の染色を繰り返し行ったがいずれも染色の再現性が良好であった。
【0053】
例3
式(1)及び(2)の化合物の代わりに、各々、下表第二欄の化合物及び第三欄の化合物を用いる以外は例1及び例2に準拠して製造、染色することにより、各々対応する染色物が得られる。得られる染色物は、いずれも斑のない均一で濃いスカーレット色である。得られる染色物の洗濯、汗日光、耐光、塩素堅牢度はいずれも良好である。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
例4
例3で得られる反応染料組成物0. 5部を、各々、200部の水に溶解し、芒硝20部を加え、さらに木綿10部を加えて70℃に昇温する。70℃に達してから、30分経過後、炭酸ソーダ4部を加え、同温度で1時間染色する。次いで水洗い及びソーピングを行う。水洗い及びソーピング時の染色排水の着色量はわずかであり、洗濯堅牢度等の諸堅牢度に優れた均一で濃い色の染色物が得られる。
例5
芒硝の使用量を20部から10部に変える以外は例3〜4と同様に染色する。得られる染色物は、例3〜4で得られる染色物と同等の品質を有する。
例6
芒硝の使用量を20部から4部に変える以外は、例3〜4と同様に染色する。得られる染色物は、例3〜4で得られる染色物と同等の品質を有する。
例7
染色温度を70℃から60℃に代える以外は、例3〜6と同様に染色する。得られる染色物は、各々、例3〜6で得られる染色物と同等の品質を有する。
例8
染色の温度を70℃から80℃に代える以外は、例3〜7と同様に染色する。得られる染色物は、各々、例3〜7で得られる染色物と同等の品質を有する。
例9
反応染料組成物0.5部に代えて、反応染料組成物0.5部及びメチルナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のナトリウム塩(スルホン化度110%、平均重合度1.8)0.06部を用いる以外は、例4〜8の各々と同様に染色する。得られる染色物は、各々、例3〜7で得られる染色物と同等の品質を有する。
例10
例1で得られる反応染料組成物0.5部に代えて、反応染料組成物1部を用いる以外は、例4〜9と同様に染色する。得られる染色物は、反応染料組成物1部を用いたものでは、0.5部を用いた例4〜9のものに比べて十分に濃く、使用した反応染料組成物のビルドアップ性はいずれも良好である。
【0058】
例11
例1で得られる反応染料組成物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
【0059】
色糊組成
反応染料組成物 5部
尿素 5部
アルギン酸ソーダ(5%)元糊 50部
熱湯 25部
重曹 2部
バランス(水) 13部
合 計 100部
【0060】
この色糊をシルケット加工綿ブロード上に印捺し、中間乾燥後、100℃で5分間スチーミングを行い、湯洗い、ソーピング、湯洗い、そして乾燥して、仕上げる。得られる捺染物は、いずれも均一で濃い色である。得られる捺染物の諸堅牢度は、いずれも良好である。
【0061】
例12
例1で得られる反応染料組成物30部をそれぞれ熱水に溶解した後、25℃に冷却する。この染料溶液に、32.5%苛性ソーダ水溶液15部および50度ボーメの水ガラス150部を添加し、さらに25℃で水を加えて全量を1000部とした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジングした木綿織物を巻き上げ、ポリエチレンフィルムで密閉して、25℃の室温で20時間放置した後、常法で洗浄し、乾燥して仕上げる。得られた染色物は、いずれも均一で濃い色である。得られる染色物の諸堅牢度はいずれも良好である。
例13
例1で得られる反応染料組成物20部をそれぞれ熱水に溶解した後、25℃に冷却する。この染料溶液に、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部、および重炭酸ソーダ20部を添加し、さらに25℃で水を加えて全量を1000部とした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジングした木綿織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして、染料を固着させる。得られる染色物はいずれも均一で濃い色である。又、染色物の諸堅牢度は、いずれも良好である。
Claims (7)
- 遊離酸の形が下式(I)で示される反応染料と、遊離酸の形が下式(II)で示される反応染料とを含有してなる反応染料組成物。
(I)
[式中、n1は0であり、R1及びR2は水素を表し、R3は、水素又はエチルを表し、A1及びA2は、互いに独立に、アルキレン又はメチルもしくはメトキシで置換されていてもよいフェニレンを表し、Y1及びY2は、互いに独立に、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH 2 OSO3Hを表す。]
(II)
[式中、n2は0であり、R4及びR5は水素を表し、A3はフェニレンを表し、Y3は−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2OSO3Hを表し、Xはクロロ、フルオロ又はカルボキシで置換されていてもよいピリジニオを表す。] - 式(I)及び(II)で示される各反応染料の割合が、99:1〜1:99重量%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 式(I)及び(II)で示される各反応染料の割合が、80:20〜20:80重量%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の反応染料組成物を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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