JP4239237B2 - 反応染料混合物およびその適用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤色系の反応染料混合物及びその適用に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から種々の反応染料及びその混合物が知られており、セルロース系繊維材料の染色又は捺染の分野に広く使用されている。しかしながら、それらの反応染料及びその混合物を用いて繊維材料を染色又は捺染しても、現在の高い要求水準に比し、染色性能(低塩濃度での染色性、再現性、均染性、固着率、ビルドアップ性及びアルカリ浴安定性等)において、特に、低塩濃度での染色性、再現性及び均染性等において、十分満足することはないという問題がある。又、諸堅牢性(例えば、耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐塩素性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性及び耐過酸化洗濯性等)を十分満足することはないという問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、セルロース系繊維材料の染色又は捺染処理において、染色性能、特に、低塩濃度での染色性、再現性及び均染性に優れ、且つ、諸堅牢性の良好な染色物又は捺染物を与えることができる反応染料混合物を開発すべく鋭意検討した結果、2つのトリアジン環、2個のモノアゾ系の色素母体及び2個のビニルスルホン系反応基を有する特定のビスアゾ化合物と、他のビスアゾ化合物から選ばれる1種以上の特定の化合物とを含有して成る混合物が上記目的を達成することを見出して、本発明を完成した。
【0004】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される化合物またはその塩と、下記一般式(2)〜(4)で示される化合物またはその塩から選ばれる1種以上の化合物またはその塩とを含有して成る反応染料混合物である。
【0005】
【化8】
Figure 0004239237
【0006】
〔式中、Aは置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、Bは下記一般式(B1)又は(B2)
【0007】
【化9】
Figure 0004239237
【0008】
(ここで、*印は、アゾ基に接続する結合を表し、R1は水素原子、低級アルキル、低級アルコキシ又はスルホを表し、p及びqは、互いに独立に、0又は1を表す。)
で示される基を表し、
Uは、下記一般式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)
【0009】
【化10】
Figure 0004239237
【0010】
(ここで、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、D1は置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、D2は置換されていてもよいアルキレンを表し、Q1は−O−、−S−又は−NR5−を表し、ここに、R5は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、r及びsは、互いに独立に、2、3又は4を表し、tは1〜6の整数を表し、**印は−SO224Zに接続する結合を意味し、Zは、アルカリの作用で脱離する基を表す。)
で示される連結基を表し、
Xは、下記式(X1)
【0011】
【化11】
Figure 0004239237
【0012】
(ここで、R6は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、D3は置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいアルキルを表す。)
で示される基を表し、
Yは、ハロゲノまたは置換されていてもよいピリジニオを表す。〕
【0013】
【化12】
Figure 0004239237
【0014】
〔式中、A、B、U、X及びYは前記の意味を表し、Z1及びZ2は、ビニル又は−C2H4−Z’を表すが、少なくとも一方はビニルであり、Z’はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
【0015】
【化13】
Figure 0004239237
〔式中、A、B、U、X及びYは前記の意味を表し、Z3及びZ4は、ビニル、−C24−Z”または−C24−OHを表すが、少なくとも一方は、−C24−OHであり、Z”はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
【0016】
【化14】
Figure 0004239237
〔式中、A、B、U及びXは、前記の意味を表し、Z5及びZ6は、互いに独立に、ビニル又は−C24−Z*を表し、Z*はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記式(1)で示される化合物またはその塩と、前記式(2)〜(4)で示される化合物またはその塩から選ばれる1種以上の化合物またはその塩とを含有して成る反応染料混合物であるが、化合物(1)、化合物(2)中のZ1およびZ2、化合物(3)中のZ3およびZ4、化合物(4)中のZ5およびZ6の各定義において、Z、Z’、Z”およびZ*は、それぞれ、アルカリの作用で脱離する基を表すが、該脱離基としては例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル等の基や、ハロゲノなどを挙げることができる。中でも、硫酸エステル及びクロロが好ましい。
【0018】
化合物(1)〜(4)においてAは、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表す。
かかる置換されていてもよいフェニレンとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレン等を挙げることができる。
好ましいフェニレンとしては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、クロロ、ブロモ及びスルホの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレンが挙げられる。
【0019】
かかるフェニレンの具体例としては、例えば、
【0020】
【化15】
Figure 0004239237
【0021】
〔式中、*印は−SO2−に接続する結合を表す。〕
等を挙げることができる。
とりわけ、無置換又はメチル又はメトキシから選ばれる1個の基で置換されているものが好ましい。
【0022】
Aで表される置換されていてもよいナフチレンとしては、例えば、炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノの群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいナフチレン等を挙げることができる。
Aで表される置換されていてもよいナフチレンとしては、好ましくは、1又は2個のスルホにより置換されていてもよいナフチレンである。
かかるナフチレンの具体例としては、例えば、
【0023】
【化16】
Figure 0004239237
【0024】
〔式中、*印は、−SO2−に接続する結合を表す。〕
等を挙げることができる。
【0025】
Aは、好ましくは、置換されていてもよいフェニレンであり、無置換フェニレン及び、メチル又はメトキシで置換されているフェニレンが特に好ましい。
【0026】
又、化合物(1)〜(4)において、Bは、前記一般式(B1)又は(B2)で示される基を表し、p及びqは互いに独立に0又は1を表し、前記一般式中の*印はアゾ基に接続する結合を表し、R4は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ又はスルホを表す。
ここで、上記低級アルキル基や低級アルコキシとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシやsec−ブトキシ等が挙げられる。
上記Bの具体例としては、例えば、
【0027】
【化17】
Figure 0004239237
【0028】
〔式中、*印は、アゾ基に接続する結合を表す。〕
等の基を挙げることができる。
【0029】
中でも、2−スルホ−1,5−フェニレン(この場合、1−位で、アゾ基に結合している)等が、特に好ましい。
【0030】
化合物(1)〜(4)において、Uは、前記式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)で示される連結基を表し、これらの式中、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表すが、当該アルキルは、好ましくは、炭素数1〜4個のものであり、該アルキルの置換基としては、例えば、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4個のアルコキシ、ハロゲノ、カルバモイル、カルボキシ、アルコキシ(炭素数1〜4)カルボニル、アルキル(炭素数1〜4)カルボニルオキシ、スルホ及びスルファモイル等を挙げることができる。
上記アルキル、該アルキルの置換基としての炭素数1〜4個のアルコキシ、同じくアルコキシ(炭素数1〜4)カルボニル及び同じくアルキル(炭素数1〜4)カルボニルオキシは、直鎖状でもよく、又、分岐状でもよい。
【0031】
2、R3及びR4で表される置換されていてもよいアルキルの具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、クロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキシカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニルオキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3−メチルカルボニルオキシプロピル、3−エチルカルボニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイルエチル、3−スルファモイルプロピル及び4−スルファモイルブチル等を挙げることができる。
【0032】
2、R3及びR4としては、好ましくは、水素原子、メチル及びエチルである場合が挙げられ、この場合、R3及びR4が、水素原子であるときが、特に好ましい。
【0033】
Uにおける前記式(U1)中、D1は置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表すが、当該フェニレンとしては、前記Aで例示したものと同様の置換されていてもよいフェニレンが挙げられる。
【0034】
とりわけ、メチル又はメトキシから選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいフェニレンが特に好ましい。
【0035】
前記D1の置換されていてもよいナフチレンとしては、前記Aで例示したものと同様の置換されていてもよいナフチレンが挙げられる。
【0036】
1は、好ましくは、置換されていてもよいフェニレンであり、とりわけ、メチル及びメトキシから選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
【0037】
また、前記式(U2)中、D2は置換されていてもよいアルキレンを表すが、かかるアルキレンとしては、炭素数1〜4個のアルキル、ハロゲノ、ヒドロキシ、スルホ、シアノ、炭素数1〜4個のアルコキシ、炭素数1〜4個のアルコキシカルボニル、炭素数1〜4個のアルキルカルボニルオキシ及びカルバモイルの群から選ばれる置換基により置換されていてもよい炭素数2〜4個のアルキレン等が挙げられる。
2で表される置換されていてもよいアルキレンとしては、好ましくは、無置換の炭素数2〜4個のアルキレンが挙げられ、中でも、エチレン及びトリメチレンが、特に好ましい。
【0038】
前記式(U3)中、Q1は−O−、−S−又は−NR5−を表し、ここでR5は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表す。
5で表される置換されていてもよいアルキルとしては、例えば、前記R2、R3及びR4で例示したものと同様の、炭素数1〜4個のアルキル等を挙げることができる。
又、R5で表される置換されていてもよいフェニルとしては、例えば、スルホで置換されていてもよいフェニルを挙げることができる。
5は、好ましくは、水素原子、メチル又はエチルである。
【0039】
前記一般式(U3)中、r及びsは、互いに独立に2、3又は4である。
一般式(U3)で示される基としては、Q1が−O−であり、且つ、r及びsが、互いに独立に、2又は3であるものが好ましく、具体的には、
【0040】
#−CH2CH2−O−CH2CH2
#−CH2CH2−O−CH2CH2CH2
#−CH2CH2CH2−O−CH2CH2
#−CH2CH2CH2−O−CH2CH2CH2
【0041】
〔式中、#で示した結合は、−NR4−(R4は前記の意味を有する。)に接続する結合を意味する。〕
である基が好ましい。
【0042】
とりわけ、
#−CH2CH2−O−CH2CH2
〔式中、#は前記の意味を有する。〕
である基が、特に好ましい。
【0043】
前記式(U4)中、tは1〜6の整数を表すが、中でも、2、3又は4であるものが、好ましい。
【0044】
このようなUで示される連結基としては、前記一般式(U1)又は(U2)で示される連結基が好ましく、中でも、前記一般式(U2)で示される基が、特に好ましい。
【0045】
更に、Uが前記式(U1)で示される基である場合、D1が、置換されていてもよいフェニレン、特にメチル、メトキシ及びスルホから選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンであり、且つ、R2が、水素原子、メチル又はエチルであるものが好ましい。
【0046】
また、Uが前記一般式(U2)で示される基である場合、D2が、エチレン又はトリメチレンであり、且つ、R3が、水素原子、メチル又はエチル、特に水素原子であるものが好ましい。
【0047】
化合物(1)〜(4)においてXは、式(X1)で示される基を表す。式(X1)中、R6は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表すが、当該アルキルとしては、前記R2、R3及びR4で例示したものと同様の、置換されていてもよいアルキルが挙げられる。好ましいR6は、水素原子、メチル及びエチルである。
【0048】
また、式(X1)中、D3は置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいアルキルである。
ここで置換されていてもよいフェニルとしてはC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、スルホ、カルボキシ、ハロゲノ(クロロなど)、ヒドロキシ、シアノ、カルバモイル、カルボン酸エステル、アミノ及びアシルアミノから選ばれる1個または2個の置換基により置換されていてもよいフェニルが好ましい。なかでも特に好ましくは、フェニル、2−、3−または4−メチルフェニル、2−、3−または4−メトキシフェニル、2−、3−または4−エチルフェニル、2−、3−または4−エトキシフェニル、2−、3−または4−カルボキシフェニル、2−、3−または4−クロロフェニル、2−、3−または4−スルホフェニル、3−スルホ−4−メトキシフェニル、2−、3−または4−ヒドロキシフェニルなどが挙げられる。
【0049】
式(X1)中、D3が置換されていてもよいアルキルの場合、当該アルキルとしては、前記R2、R3及びR4で例示したものと同様の、置換されていてもよいアルキルが挙げられる。好ましくは、2−スルホエチル、3−スルホプロピル等が挙げられる。
【0050】
化合物(1)、(2)及び(3)において、Yは、ハロゲノ又は置換されていてもよいピリジニオを表す。
ここで、ハロゲノとしては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ等を挙げることができる。
【0051】
また、置換されていてもよいピリジニオとしては、例えば、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、ハロゲノ及び置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルの群から選ばれる基で置換されていてもよいピリジニオ等が挙げられる。
ここで、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルとしては、2−ヒドロキシエチル、2−スルホエチル等を挙げることができる。
【0052】
かかるピリジニオの具体例としては、ピリジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピリジニオ、3−メチルピリジニオ、3,5−ジカルボキシピリジニオ等を挙げることができる。
好ましくはカルボキシ又はカルバモイルで置換されているピリジニオであり、とりわけ、3−又は4−カルボキシピリジニオが特に好ましい。
【0053】
化合物(1)、(2)及び(3)において、Yは、フルオロ、クロロ又は3−カルボキシピリジニオが好ましい。
中でも、Yとしては、フルオロ又はクロロが、特に好ましい。
【0054】
また、化合物(1)〜(4)は、遊離酸の形であっても、その塩の形であっても、又は、それらの混合物の形であってもよい。好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びそれらを含有する混合物であり、中でもナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩及びそれらを含有する混合物が好ましい。
【0055】
化合物(1)の製造方法は特に限定されないが、例えば、遊離酸の形が、下記一般式(5)
【0056】
【化18】
Figure 0004239237
【0057】
〔式中、Z、A及びXは前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(6)
【0058】
【化19】
Figure 0004239237
【0059】
〔式中、B、U、Y及びZは、前記の意味を有する。〕
で示される化合物のジアゾ化物を、常法によりカップリングさせることにより、製造することができる。
【0060】
化合物(2)の製造方法は特に限定されないが、例えば、遊離酸の形が、下記一般式(7)
【0061】
【化20】
Figure 0004239237
【0062】
〔式中、Z1、A及びXは前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(8)
【0063】
【化21】
Figure 0004239237
【0064】
〔式中、B、U、Y及びZ2は前記の意味を有する。〕
で示される化合物のジアゾ化物を、常法によりカップリングさせることにより、製造することができる。
【0065】
化合物(3)の製造方法は特に限定されないが、例えば、遊離酸の形が、下記一般式(9)
【0066】
【化22】
Figure 0004239237
【0067】
〔式中、Z3、A及びXは前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(10)
【0068】
【化23】
Figure 0004239237
【0069】
〔式中、B、U、Y及びZ4は前記の意味を有する。〕
で示される化合物のジアゾ化物を、常法によりカップリングさせることにより、製造することができる。
【0070】
化合物(4)の製造方法は特に限定されないが、例えば、遊離酸の形が、下記一般式(11)
【0071】
【化24】
Figure 0004239237
【0072】
〔式中、Z5、A及びXは前記の意味を有する。〕
で示される化合物に、常法によりジアゾ化した下記一般式(12)
【0073】
【化25】
Figure 0004239237
【0074】
〔式中、B、U及びZ6は前記の意味を有する。〕
で示される化合物のジアゾ化物を、常法によりカップリングさせることにより、製造することができる。
【0075】
以上の製造方法に於いて、原料となる化合物、例えば、一般式(5)〜(12)は、それ自身公知の方法で製造することができる。すなわち、公知のジアゾ化反応及び公知のカップリング反応によって、または、公知の2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンとアミン化合物との縮合反応によって、さらには必要に応じて、それらの反応を任意に組み合わせることによって、それぞれの原料化合物を製造することができる。
【0076】
本発明で用いられるビスアゾ化合物(1)〜(3)及びその原料化合物を得るに当たり、用いる2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンの具体化合物としては、例えば、塩化シアヌル、フッ化シアヌル等を挙げることができる。
【0077】
2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンにかかわる縮合反応においては、上述したように、その縮合順序は特に制限されるものではない。又、かかる縮合反応の条件も特に制限されないが、例えば、一番初めの縮合反応は温度−10℃ないし40℃でpH1ないし10の条件下で実施し、二番目の縮合反応は温度0℃ないし70℃でpH2ないし10の条件下で実施し、三番目の縮合反応は温度10℃ないし100℃でpH2ないし9の条件下で実施することができる。
【0078】
本発明における反応染料混合物は合成時において同時に合成されることで混合されてもよく、また別々に合成された後に混合されてもよい。さらには染色時に混合されても差し支えない。混合される形態は粉状や顆粒状などの固体でも、水溶液でもよく、またそれらの組み合わせでもよい。
【0079】
一般式(1)で示される化合物又はその塩の100重量部に対して、一般式(2)〜(4)で示される化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種以上の化合物又はその塩の割合が1〜50重量部(より好ましくは2〜30重量部)である場合が好ましい。
【0080】
本発明の反応染料混合物は、繊維反応性を有し、ヒドロキシ基又は/及びアミド基を含有する繊維材料の染色及び捺染に使用できる。繊維材料は繊維基材の形で用いても、糸の形で用いても、又、混紡基材の形で用いてもよい。ヒドロキシ基を含有する繊維材料としては天然又は合成ヒドロキシ基含有材料、例えば、セルロース繊維材料、その再生生成物、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。セルロース繊維材料としては、木綿、その他の植物繊維、例えばリネン、麻、ジュート及びラミー繊維等を挙げることができる。再生セルロース繊維としては、例えばビスコース・ステープル、フィラメントビスコースを挙げることができる。又、カルボンアミド基繊維材料としては、例えば合成及び天然のポリアミド、ポリウレタン、特に繊維の形で、例えば羊毛、その他の動物毛、絹、皮革、ポリアミド- 6, 6、ポリアミド- 6、ポリアミド- 11、ポリアミド-
4を挙げることができる。
【0081】
本発明の反応染料混合物は、上述の繊維材料上に、物理的化学的性状に応じた方法で、染色又は捺染できる。
例えば、セルロース繊維上に吸尽染色する場合は、炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、苛性ソーダ等の酸結合剤の存在下、場合により中性塩、例えば芒硝又は食塩を加え、所望によっては、溶解助剤、浸透剤又は均染剤を併用し、比較的低い温度で染色することができる。染料の吸尽を促進する中性塩は、本来の染色温度に達した後に初めて又はそれ以前に、場合によっては分割して添加してもよい。
パジング法に従ってセルロース繊維を染色する場合は、室温又は高められた温度でパッドし乾燥後、スチーミング又は乾熱によって固着できる。
セルロース繊維に対して捺染を行う場合は、一相で、例えば重曹又はその他の酸結合剤を含有する捺染ペーストで捺染し、次いで95〜160℃でスチーミングすることによって、あるいは二相で、例えば中性又は弱酸性捺染ペーストで捺染し、これを熱い電解質含有アルカリ性浴に通過させ、又はアルカリ性電解質含有パジング液でオーバパジングし、スチーミング又は乾熱処理して実施できる。
捺染ペーストには、例えばアルギン酸ソーダ又は澱粉エーテルのような糊剤又は乳化剤が、所望によっては、例えば尿素のような通常の捺染助剤及び/又は分散剤と併用して用いることができる。
本発明の反応染料混合物をセルロース繊維上に固定させるに適した酸結合剤も特に限定されないが、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、重曹、炭酸ソーダ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一、第二又は第三燐酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、トリクロロ酢酸ソーダ等が挙げられる。
又、本発明の反応染料混合物を用いて、合成又は天然のポリアミド又はポリウレタン繊維を染色する場合は、例えば、酸性〜弱酸性の染浴中でpH値の制御下に吸尽させ、次に中性、場合によりアルカリ性のpH値に染浴のpH値を変化させることによって行う方法等を挙げることができる。染色は、60〜120℃の温度で行うことができ、又、染色時には、均染剤、例えば塩化シアヌルと3倍モルのアミノベンゼンスルホン酸や、アミノナフタレンスルホン酸との縮合生成物、又はステアリルアミンとエチレンオキサイドとの付加生成物等を用いることもできる。
【0082】
本発明の反応染料混合物は、所望の色相を得るために、必要に応じて、本発明の特徴を損なわない範囲で、他の染料と混合して使用することができる。混合して使用する染料としては、反応染料であれば特に制約はないが、例えば、反応基としてβ−スルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基およびトリクロロピリミジン基の少なくとも1種を少なくとも1つ有する染料、又はSumifix 、Sumifix Supra 、Remazol 、Levafix 、Procion 、Cibacron、Basilen 、Drimarene 、Kayacion、Kayacelon React などの冠称名で市販されている染料、更には、特開昭50-178号、特開昭 56-9483号、特開昭56-15481号、特開昭 56-118976号、特開昭 56-128380号、特開昭 57-2365号、特開昭57-89679号、特開昭 57-143360号、特開59-15451号、特開昭 58-191755号、特開昭59-96174号、特開昭 59-161463号、特開昭 60-6754号、特開昭 60-123559号、特開昭 60-229957号、特開昭 60-260654号、特開昭 61-126175号、特開昭 61-155469号、特開昭 61-225256号、特開昭63-77974号、特開昭 63-225664号、特開平1-185370号、特開平 3-770号、特開平5-117538号、特開平5-247366号、特開平6-287463号の各公報に記載されている染料、及びC.I.Reactive Blue 19、C.I.Reactive Black 5で表される染料等が例示される。
【0083】
【発明の効果】
本発明の反応染料混合物は、染色又は捺染処理において、吸尽特性、溶解性、均染性に優れ、固着率が高く、特に濃色域でも高い固着率を示すビルドアップ性に優れたものである。
又、本発明の反応染料混合物は、染色時の温度変化や中性塩・酸結合剤の量の変動、染浴比の変動等による影響を受けにくく、これを用いて得た染色物及び捺染物は安定した品質を有しており、諸堅牢性が良好であり、フイックス処理時、樹脂加工時、マーセライズ加工時等における変色が小さく、保存中の塩基性物質との接触による変色も小さい。
【0084】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。例中、部および%は特記ない限り、各々重量部及び重量%を表す。
【0085】
実施例1
遊離酸の形が、下記構造式(1)
【0086】
【化26】
Figure 0004239237
【0087】
(1)
【0088】
で示される化合物100部と、遊離酸の形が、下記構造式(2)
【0089】
【化27】
Figure 0004239237
【0090】
(2)
【0091】
で示される化合物5部と、遊離酸の形が、下記構造式(3)
【0092】
【化28】
Figure 0004239237
【0093】
(3)
【0094】
で示される化合物5部と、遊離酸の形が、下記構造式(4)
【0095】
【化29】
Figure 0004239237
【0096】
(4)
で示される化合物2部と、遊離酸の形が、下記構造式(5)
【0097】
【化30】
Figure 0004239237
【0098】
(5)
【0099】
で示される化合物2部と、遊離酸の形が、下記構造式(6)
【0100】
【化31】
Figure 0004239237
【0101】
(6)
で示される化合物5部とを十分混合して、反応染料混合物を得る。この混合物0.1 、0.3 及び0.6 部を、各々、水200部に溶解し、芒硝10部と木綿10部を加え、60℃に昇温し、炭酸ソーダ4部を加えて、1時間染色の後、水洗、ソーピング、水洗そして乾燥を行う。水洗時及びソーピング時において、染色排水の着色量はわずかであり、得られた染色物は、いずれも均一で色の濃い赤色である。
又、反応染料混合物0.6 部を用いて得られる染色物は、0.3 部を用いて得られる染色物に比べて十分に濃く、同様に、反応染料混合物0.3 部を用いて得られる染色物は、0.1 部を用いて得た染色物に比べて十分に濃いものであり、用いた反応染料混合物のビルドアップ性は良好であることがわかる。
染色加工時において、吸尽特性、溶解性及び均染性は優れており、又、高い固着率を示す。さらに、得られた染色物の耐光性、耐汗性、耐汗日光性、耐塩素性、耐酸加水分解性、耐アルカリ性、耐洗濯性、耐過酸化洗濯性の諸堅牢度はいずれも良好である。
【0102】
実施例2
実施例1において、芒硝の使用量を10部から4部に代える以外は、実施例1に準拠して染色を行う。この染色物は、各々、実施例1で得られる染色物と同等の品質を有している。
【0103】
実施例3
実施例1〜2の各々において、染色の温度を60℃から70℃に代える以外は、実施例1〜2に準拠して染色を行う。この染色物は、各々、実施例1〜2の染色物と同等の品質を有している。
【0104】
実施例4
実施例1〜3の各々において、反応染料混合物0.1 、0.3 及び0.6 部を用いる際に、スルホン化度110%、平均重合度1.8のメチルナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のナトリウム塩0.06部を併用する以外は、実施例1〜3に準拠して染色を行う。この染色物は、各々、実施例1〜3で得られる染色物と同等の品質を有している。
【0105】
実施例5
実施例1における反応染料混合物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
【0106】
Figure 0004239237
【0107】
この色糊をシルケット加工綿ブロード上に印捺し、中間乾燥後、100℃で5分間スチーミングを行い、湯洗い、ソーピング、湯洗い、そして乾燥して、仕上げる。得られる捺染物は、均一で色の濃い赤色であり、良好なビルドアップ性を有しており、又、その諸堅牢度及び保存安定性も良好である。
【0108】
実施例6
実施例1における反応染料混合物30部を熱水に溶解した後、25℃に冷却する。この染料溶液に、32.5%苛性ソーダ水溶液15部及び50度ボーメの水ガラス150部を添加し、さらに25℃で水を加えて全量を1000部とした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジングした木綿織物を巻き上げ、ポリエチレンフィルムで密閉して、25℃の室温で20時間放置後、常法で洗浄し、乾燥して仕上げることにより、得られる染色物は、均一で色の濃い赤色であり、良好なビルドアップ性を有しており、又、その諸堅牢度及び保存安定性も良好である。
【0109】
実施例7
実施例1における反応染料混合物20部を熱水に溶解後、25℃に冷却する。この染料溶液に、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部、及び重炭酸ソーダ20部を添加し、さらに25℃で水を加えて全量を1000部とした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジング後の木綿織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして、染料を固着させることにより、得られる染色物は、均一で色の濃い赤色であり、良好なビルドアップ性を有しており、又、その諸堅牢度及び保存安定性も良好である。
【0110】
実施例1〜7の各々において、用いる反応染料混合物中、上記構造式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)で示される化合物の各々を、表1〜10における第2欄の化合物及び第3欄の組成比に代える以外は、実施例1〜7に準拠して染色を行う。得られる染色物は、各々、木綿上で表1〜10における第4欄に示す色調を与え、いずれも実施例1〜7で得られた染色物と同等の品質を有している。
【0111】
【表1】
Figure 0004239237
【0112】
【表2】
Figure 0004239237
【0113】
【表3】
Figure 0004239237
【0114】
【表4】
Figure 0004239237
【0115】
【表5】
Figure 0004239237
【0116】
【表6】
Figure 0004239237
【0117】
【表7】
Figure 0004239237
【0118】
【表8】
Figure 0004239237
【0119】
【表9】
Figure 0004239237
【0120】
【表10】
Figure 0004239237

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物またはその塩と、下記一般式(2)〜(4)で示される化合物またはその塩から選ばれる1種以上の化合物またはその塩とを含有して成る反応染料混合物。
    Figure 0004239237
    〔式中、Aは置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、Bは下記一般式(B1)又は(B2)
    Figure 0004239237
    (ここで、*印は、アゾ基に接続する結合を表し、R1は水素原子、低級アルキル、低級アルコキシ又はスルホを表し、p及びqは、互いに独立に、0又は1を表す。)
    で示される基を表し、
    Uは、下記一般式(U1)、(U2)、(U3)又は(U4)
    Figure 0004239237
    (ここで、R2、R3及びR4は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、D1は置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、D2は置換されていてもよいアルキレンを表し、Q1は−O−、−S−又は−NR5−を表し、ここに、R5は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、r及びsは、互いに独立に、2、3又は4を表し、tは1〜6の整数を表し、**印は、−SO224Zに接続する結合を意味し、Zはアルカリの作用で脱離する基を表す。)
    で示される連結基を表し、
    Xは、下記式(X1)
    Figure 0004239237
    (ここで、R6は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、D3は置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよいアルキルを表す。)
    で示される基を表し、
    Yは、ハロゲノまたは置換されていてもよいピリジニオを表す。〕
    Figure 0004239237
    〔式中、A、B、U、X及びYは前記の意味を表し、Z1及びZ2は、ビニル又は−C24−Z’を表すが、少なくとも一方はビニルであり、Z’はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
    Figure 0004239237
    〔式中、A、B、U、X及びYは前記の意味を表し、Z3及びZ4は、ビニル、−C24−Z”または−C24−OHを表すが、少なくとも一方は、−C24−OHであり、Z”はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
    Figure 0004239237
    〔式中、A、B、U及びXは、前記の意味を表し、Z5及びZ6は、互いに独立に、ビニル又は−C24−Z*を表し、Z*はアルカリの作用で脱離する基を表す。〕
  2. 一般式(1)で示される化合物又はその塩の100重量部に対して、一般式(2)〜(4)で示される化合物又はその塩から選ばれる1種以上の化合物又はその塩の割合が、1〜50重量部である請求項1記載の混合物。
  3. Aが、置換されていてもよいフェニレンである請求項1又は2記載の混合物。
  4. Uが、一般式(U1)又は(U2)で示される基である請求項1〜3のいずれかに記載の混合物。
  5. Uが、一般式(U2)で示される基である請求項4に記載の混合物。
  6. Uが、一般式(U2)で示される基であり、かつ、D2がエチレン又はトリメチレンであり、R3が水素原子である請求項5に記載の混合物。
  7. Bが、一般式(B1)で示される基であり、R1が水素原子であり、且つ、pが0である請求項1〜6のいずれかに記載の混合物。
  8. Z、Z’、Z”及びZ*が、硫酸エステル基またはクロロ基である請求項1〜7のいずれかに記載の混合物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の混合物を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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