JP4491960B2 - 反応染料組成物およびその適用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に黒色反応染料として有用な組成物及びその繊維材料への適用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロース繊維等を黒色に染色するための染料組成物としては、従来から、青色反応染料と黄色及び/又は赤色の反応染料との組成物が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の黒色反応染料組成物は染色性(均染性、ビルドアップ性、染色再現性、洗浄性及びカラーバリュー等)や堅牢度(耐汗日光性及び耐洗濯性等)において、更に改良が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の組成物に比べて、低塩濃度で染色でき、かつ、各種堅牢度と染色性に優れる黒色反応染料組成物を開発すべく鋭意研究した結果、特定の青色反応染料及び赤色反応染料からなる組成物が上記目的を達成することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、遊離酸の形が一般式(I)で示される赤色反応染料から選ばれる1種以上の染料と、遊離酸の形が一般式(IV)で示される青色反応染料から選ばれる1種以上の染料とを含有してなる反応染料組成物、並びに該組成物を用いて繊維材料を染色又は捺染する方法を提供するものである。
【0006】
【化6】
(I)
【0007】
〔式中、mは0又は1を表し、R1は水素原子またはメチルを表し、Z1は式(IIa)又は式(IIb)
【0008】
【化7】
(IIa)
【0009】
【化8】
(IIb)
【0010】
{式中、X1とX2は共にクロロを表すか、或いは、X1はフルオロ、クロロもしくは置換されていてもよいピリジニオ、又は式(IIIa)
―N(R2)―A1―SO2―Y1 (IIIa)
<式中、A1は置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、R2は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、Y1は−CH=CH2又は−CH2CH2L1を表し、L1はアルカリの作用で脱離する基を表す>
で示されるビニルスルホン系繊維反応基を表し、X2は式(IIIb)
―N(R3)―A2―SO2―Y2 (IIIb)
<式中、A2は置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、R3は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、Y2は−CH=CH2又は−CH2CH2L2を表し、L2はアルカリの作用で脱離する基を表
す>
で示されるビニルスルホン系繊維反応基、又は、式(IIIc)
―N(R4)―R5 (IIIc)
<式中、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表す>
、式(IIId)
【0011】
【化9】
(IIId)
【0012】
<式中、Qは−CH2−、−O−、−S−、−SO2−又は−NR7を表し、R7は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表し、nは1、2又は3を表す>
もしくは式(IIIe)
―O―R6 (IIIe)
<式中、R6は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表す。>で示される非繊維反応基を表す。
X3はフルオロ又はクロロを表し、X4は水素原子、クロロ、メチル又はシアノを表す。}
で示される繊維反応基を表す。〕
【0013】
【化10】
(IV)
【0014】
[式中、X5及びX6は、互いに独立に、ハロゲン原子または置換されていてもよいピリジニオを表し、R8、R9及びR10は、互いに独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキルを表し、A3は置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表し、Y3は−CH=CH2又は−CH2CH2L3を表し、L3はアルカリの作用で脱離する基を表す。]
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる赤色反応染料(I)におけるmは、0または1を表すが、好ましいmは0である。又、赤色反応染料(I)におけるR1は、水素原子又はメチルを表すが、好ましくは水素原子である。
赤色反応染料(I)におけるZ1は、前記式(IIa)又は(IIb)で示される繊維反応基を表すが、式(IIa)におけるX1及びX2は、共にクロロを表すか、或いは、X1はフルオロ、クロロもしくは置換されていてもよいピリジニオ、又は、式(IIIa)で示されるビニルスルホン系反応基を表し、X2は式(IIIb)で示されるビニルスルホン系反応基、式(IIIc)で示される非繊維反応基、式(IIId)で示される非繊維反応基又は式(IIIe)で示される非繊維反応基を表す。
【0016】
式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)及び(IIIe)におけるR2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立に,水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表す。上記の置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルの置換基としては、好ましくは、スルホ、ハロゲノ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。
【0017】
式(IIIa)及び(IIIb)におけるA1及びA2は、互いに独立に、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表す。上記の置換されていてもよいアルキレンの置換基としては、好ましくは、スルホ、ハロゲノ、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。又、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンの置換基としては、好ましくは、スルホ、ハロゲノ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。
【0018】
式(IIIa)及び(IIIb)におけるY1及びY2は、互いに独立に、−CH=CH2又は−CH2CH2L1もしくは−CH2CH2L2を表し、L1及びL2はアルカリの作用で脱離する基を表す。L1及びL2としては、例えば、硫酸エステル、チオ硫酸エステル、燐酸エステル、酢酸エステル、ハロゲノ、あるいは、カルボキシ又はカルバモイルの1〜2個で置換されていてもよいピリジニオ等を挙げることができる。
【0019】
式(IIId)におけるQは、−CH2−、−O−、−S−、−SO2−又は−NR7−を表し、R7は水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表す。置換されていてもよいアルキルの置換基としては、好ましくは、スルホ、ハロゲノ、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。
式(IIId)におけるnは、1,2又は3を表し、好ましくは2である。又、式(IIb)におけるX3はフルオロ又はクロロを表し、X4はクロロ、水素原子、メチル又はシアノを表す。
【0020】
本発明における青色反応染料は一般式(IV)で表されるものであるが、青色反応染料(IV)におけるX5及びX6は、互いに独立に、ハロゲン原子または置換されていてもよいピリジニオを表す。X5及びX6で表されるハロゲン原子としては、フルオロ、クロロやブロモ等を挙げることができ、クロロまたはフルオロが好ましい。又、置換されていてもよいピリジニオの置換基としては、例えば、ハロゲノ、置換されていてもよいアルキル、カルボキシ又はカルバモイル基等の非繊維反応基が挙げられる。
【0021】
式(IIId)中のQで表される−NR7−、式(IIIa)におけるR2、式(IIIb)におけるR3、式(IIIc)におけるR4及びR5、式(IIIe)におけるR6、並びに、一般式(IV)におけるR8、R9及びR10で表される置換されていてもよいアルキルの具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、4−シアノブチル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキシカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニルオキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3−メチルカルボニルオキシプロピル、3−エチルカルボニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイルエチル、3−スルファモイルプロピル、4−スルファモイルブチル、クロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロブチル及び4−ブロモブチル等を挙げることができる。
【0022】
式(IIId)中のQで表される−NR7−、式(IIIa)におけるR2、式(IIIb)におけるR3、式(IIIc)におけるR4及びR5、並びに、式(IIIe)におけるR6で表される置換されていてもよいフェニルの具体例としては、フェニル、2−、3−又は4−メチルフェニル、2−、3−又は4−メトキシフェニル、2−、3−又は4−エチルフェニル、2−、3−又は4−エトキシフェニル、2−、3−又は4−イソプロピルフェニル、2−、3−又は4−カルボキシフェニル、2−、3−又は4−カルバモイルフェニル、2−、3−又は4−クロロフェニル、2−、3−又は4−スルホフェニル、2−、3−又は4−ヒドロキシフェニル、2−スルホ−4−メトキシフェニル、2−スルホ−4−アセチルアミノフェニル、2−カルボキシ−4−アセチルアミノフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,4−ジメトキシフェニル及び2,5−ジメトキシフェニル等が好ましいものとして挙げられる。
【0023】
青色反応染料(IV)におけるR8、R9及びR10は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキルを表す。該アルキルの置換基としては、例えばスルホ、スルファモイル、ハロゲノ、アルコキシ、カルボキシ、アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、シアノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル等の非繊維反応基が挙げられる。
青色反応染料(IV)におけるA3は、置換されていてもよいアルキレン、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンを表す。該アルキレンの置換基としては、例えば、スルホ、ハロゲノ、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。又、置換されていてもよいフェニレン又は置換されていてもよいナフチレンの置換基としては、好ましくは、例えばスルホ、ハロゲノ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ等の非繊維反応基が挙げられる。
【0024】
青色反応染料(IV)におけるY3は、−CH=CH2又は−CH2CH2L3を表し、L3はアルカリの作用で脱離する基を表す。L3で表されるアルカリの作用で脱離する基としては、前記L1及びL2で例示したものと同様のものが例示される。
【0025】
前記式(IIIa)、(IIIb)及び(IV)におけるA1、A2及びA3で表される置換されていてもよいアルキレンとしては、−(CH2) 2−、−(CH2)3−及び−CH(CH3)CH2−等のC2〜C4のアルキレン等が挙げられる。
前記式(IIIa)、(IIIb)及び(IV)におけるA1、A2及びA3で表される置換されていてもよいフェニレンとしては、例えば炭素数1〜4個のアルキル、炭素数1〜4個のアルコキシ、スルホ及びハロゲノ(クロロ、ブロモ等)の群から選ばれる1又は2個の基により置換されていてもよいフェニレンが好ましい。特に、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、クロロ、ブロモ及びスルホの群から選ばれる1又は2個の基により置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
置換されていてもよいフェニレンとしては、例えば、
【0026】
【化11】
【0027】
〔式中、***印は、−NR2−、−NR3−又は−NR10−に通じている結合を意味する。〕
等が挙げられる。特に、メチル及びメトキシから選ばれる1又は2個の基で置換されていてもよいフェニレンが好ましい。
【0028】
前記式(IIIa)、(IIIb)及び(IV)におけるA1、A2及びA3で表される置換されていてもよいナフチレンとしては、1又は2個のスルホにより置換されていてもよいナフチレンが好ましい。かかるナフチレンとしては、例えば、
【0029】
【化12】
【0030】
〔式中、***印は前記の意味である。〕等を挙げることができる。
【0031】
前記式(IIa)及び(IV)におけるX1、X5及びX6で表されるピリジニオとしては、例えばピリジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピリジニオ、3−メチルピリジニオ及び3,5−ジカルボキシピリジニオ等が挙げられる。特に、3−又は4−カルボキシピリジニオが好ましい。
【0032】
本発明において用いられる赤色反応染料(I)及び青色反応染料(IV)は、遊離酸の形のものとその塩との混合物の形であってもよいが、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びそれらを含有する混合物であり、特に、ソーダ塩、カリウム塩、リチウム塩及びそれらを含有する混合物が好ましい。
本発明の赤色反応染料(I)及び青色反応染料(IV)の組成物は、好ましくは、染料(I)の90〜1重量%と染料(IV)の10〜99重量%の割合であり、より好ましくは、染料(I)の80〜3重量%と染料(IV)の20〜97重量%の割合である。赤色反応染料(I)及び青色反応染料(IV)は、それぞれ、1種でもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0033】
本発明の組成物において、赤色反応染料(I)及び青色反応染料(IV)の混合方法は特に限定されるものではなく、染色前に予め混合しておいてもよいし、染浴中で混合してもよい。
【0034】
赤色反応染料(I)は、例えば、特開昭63−101458号公報に記載の方法に準じて製造することができる。
【0035】
青色反応染料(IV)は、例えば次のようにして製造することができる。
先ず、反応染料(IV)におけるX5及びX6が共にハロゲン原子である染料は、例えば、以下の方法により製造できる。
下記式(V)
H2NCN (V)
で示されるシアナミドと、下記式(VI)
【0036】
【化13】
(VI)
【0037】
〔式中、R8は前記の意味を有する。〕
で示されるジアミン化合物を、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと縮合させて、下記式(VII)
【0038】
【化14】
(VII)
【0039】
〔式中、R8は前記の意味を、W1はハロゲノを表す。〕
で示されるアミン化合物を得ることができる。
【0040】
一方、下記式(VIII)
R10NH−A3−SO2−Y3 (VIII)
〔式中、R10、A3及びY3は前記の意味を有する。〕
で示される化合物、下記式(IX)
【0041】
【化15】
(IX)
【0042】
〔式中、R9は前記の意味を有する。〕
で示されるジアミン化合物及び2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンを縮合させて、下記式(X)
【0043】
【化16】
(X)
【0044】
〔式中、R9、R10、A3及びY3は前記の意味を、W2はハロゲノを表す。〕で示されるアミン化合物を得ることができる。
【0045】
次に、前記式(VII)及び(X)で示されるアミン化合物を各々常法に従ってジアゾ化し、得られたジアゾ化物のうち、式(X)で示されるアミン化合物のジアゾ化物を、先ず、遊離酸の形が下記式(XI)
【0046】
【化17】
(XI)
【0047】
で示される1−アミノ−8−ナフトール化合物と、温度−10℃〜30℃でpH0〜4に調整しながらカップリング反応させる。得られたカップリング反応生成物を、さらに式(VII)で示されるアミン化合物のジアゾ化物と、0〜40℃で、pH2〜8に調整しながらカップリング反応させることにより、下式(XII)で示される化合物を得ることができる。
【0048】
【化18】
(XII)
【0049】
〔式中、R8、R9、R10、A3及びY3は前記の意味を、W1及びW2はハロゲノを表す。〕を得ることができる。
【0050】
又、青色反応染料(IV)のうち、X5及びX6が置換されていてもよいピリジニオである染料は、例えば遊離酸の形が前記式(XII)の化合物を上述と同様の方法で製造し、置換されていてもよいピリジニオに対応するピリジン化合物を温度10℃〜100℃でpH2〜9の条件下で反応させることにより、下式(XIII)で示される化合物を得ることができる。
【0051】
【化19】
(XIII)
【0052】
〔式中、R8、R9、R10、A3及びY3は前記の意味を表し、W3及びW4は置換されていてもよいピリジニオを表す。〕
【0053】
上述した製造方法において2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンとの縮合反応は、その順序や反応条件は特に制限されず、例えば一番目の縮合反応は温度−10℃〜40℃、pH1〜10の条件下で実施し、二番目の縮合反応は温度0℃〜70℃、pH2〜10の条件下で実施することができる。
【0054】
本発明の反応染料組成物は、繊維材料を染色及び捺染する染料として用いることができる。かかる繊維材料としては、ヒドロキシ基及び/又はアミド基を含有するものであれば特に限定されないが、例えば、天然又は再生セルロース繊維、天然又は合成ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、皮革、及びこれらを含有する混紡材料等を挙げることができる。天然セルロース繊維として、具体的には、木綿、リネン、麻、ジュート、ラミー繊維等を挙げることができる。好ましくは、木綿である。再生セルロース繊維として、具体的には、レーヨン、ポリノジック、キュプラ繊維、及び商品名「テンセル」、「タフセル」、「モダール」、「セルティマ」等を挙げることができる。
天然又は合成ポリアミド繊維として、具体的には、羊毛、絹、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6、ポリアミド−11、ポリアミド−4等を挙げることができる。また、これらを含有する混紡材料としては、これら繊維材料の混紡材料の他、これらの繊維材料と、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維との混紡材料等も例示することができる。
本発明の反応染料組成物又はその塩は、上述の材料上、特に上述の繊維材料上に、物理的化学的性状に応じた方法で、染色又は捺染できる。
具体的には、例えば、上述の繊維上に、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色法、捺染法等の方法により染色又は捺染する方法を挙げることができる。例えば、セルロース繊維上に吸尽染色法で染色する場合においては、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、苛性ソーダ等の酸結合剤の存在下、必要に応じて芒硝、食塩等の中性塩を加え、更に必要に応じて、溶解助剤、浸透剤又は均染剤等を併用し、30〜100℃程度の温度で染色する方法等が例示される。ここで酸結合剤、中性塩等の添加は、一度に行ってもよく、また常法により分割して行ってもよい。セルロース繊維上にコールドバッチアップ法で染色する場合においては、芒硝、食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソ−ダ等の酸結合剤を用いてパジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理する方法等が例示される。
セルロース繊維上に連続染色法で染色する場合においては、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ等の酸結合剤の存在下、公知の方法で室温又は高められた温度でパジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パジング法や、本発明の組成物が溶解されているパジング液に繊維を浸漬後、芒硝又は食塩等の中性塩、及び、苛性ソーダやケイ酸ソ−ダ等の酸結合剤をパジングし、スチーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング法等が例示される。
セルロース繊維上に捺染する場合においては、一相で、重曹等の酸結合剤を含有する捺染ペーストで印捺し、次いで80℃以上の高温でスチーミングする方法や、二相で、例えば中性又は弱酸性の捺染ペーストで印捺し、これを電解質含有のアルカリ性浴に通過させた後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバパジングし、その後スチーミング又は乾熱処理することにより処理する方法等が例示される。ここで、捺染ペーストには、例えばアルギン酸ソーダ、澱粉エーテル等の糊剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、また必要に応じて、例えば尿素等の捺染助剤及び/又は分散剤を含んでいてもよい。
【0055】
セルロース繊維上に本発明の組成物を染色又は捺染する場合、用いられる酸結合剤は特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と無機又は有機酸との水溶性塩基性塩、あるいは加熱状態でアルカリを遊離する化合物等を例示できる。特に、アルカリ金属の水酸化物及び弱ないし中程度の強さの無機又は有機酸のアルカリ金属塩が挙げられ、これらの中でも、ナトリウム又はカリウムの水酸化物、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。このような酸結合剤として具体的には、上述した炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、苛性ソーダ、ケイ酸ソーダの他、苛性カリ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一又は第二燐酸ソーダ、トリクロロ酢酸ソーダ等を用いることもできる。
【0056】
合成又は天然のポリアミド繊維上や、ポリウレタン繊維上に吸尽染色する場合においては、酸性〜弱酸性の染浴中、pHの制御下に、本発明の組成物を吸尽させ、次いで60〜120℃程度の温度下、中性〜アルカリ性にpHに変化させる方法等が例示される。ここで必要に応じて、均染剤等、例えば、塩化シアヌルとアミノベンゼンスルホン酸の縮合生成物、塩化シアヌルとアミノナフタレンスルホン酸の縮合生成物、ステアリルアミンとエチレンオキサイドとの付加生成物等の均染剤等を用いても差し支えない。
【0057】
本発明の組成物は、所望の色相を得るために、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、他の染料と混合して使用することができる。混合して使用する染料としては、反応染料であれば特に制約はないが、例えば、反応基としてスルファトエチルスルホン基、ビニルスルホン基、モノクロロトリアジン基、モノフルオロトリアジン基、モノニコチン酸トリアジン基、ジクロロトリアジン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基、および、トリクロロピリミジン基の少なくとも1種を少なくとも1つ以上有する染料、又はSumifix 、Sumifix HF 、Sumifix Supra 、Remazol 、Levafix 、Procion 、Cibacron、Basilen 、Drimarene 、Kayacion、Kayacelon React などの冠称名で市販されている染料、更には、特開昭50-178号、特開昭 56-9483号、特開昭56-15481号、特開昭 56-118976号、特開昭 56-128380号、特開昭 57-2365号、特開昭57-89679号、特開昭 57-143360号、特開昭59-15451号、特開昭 58-191755号、特開昭59-96174号、特開昭 59-161463号、特開昭 60-6754号、特開昭 60-123559号、特開昭 60-229957号、特開昭 60-260654号、特開昭 61-126175号、特開昭 61-155469号、特開昭 61-225256号、特開昭63-77974号、特開昭 63-225664号、特開平1-185370号、特開平 3-770号、特開平5-32907 号、特開平5-117538号、特開平5-247366号、特開平6-287463号の各公報に記載されている染料、及びC.I. Reactive Blue 19、C.I. Reactive Black 5で表される染料等が例示される。
【0058】
【発明の効果】
本発明の反応染料組成物は、セルロース繊維材料等の繊維材料を黒色に染色又は捺染する染料として有用であり、低塩濃度で上記繊維材料を染色でき、良好な染色性と堅牢性を有する。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、例中、%及び部は、特記しない限り、重量%及び重量部を表す。
【0060】
例1
遊離酸の形が、式(1)
【0061】
【化20】
(1)
【0062】
で示される染料500部と、遊離酸の形が、式(2)
【0063】
【化21】
(2)
【0064】
で示される染料500部を混合すると、黒色の反応染料組成物が得られる。
得られた組成物6部及び無水芒硝50部を、綿繊維からなる編み物100部をセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は70℃)中に公知の方法で投入し、投入後70℃で約20分間編み物を処理し、次いで、炭酸ソーダ20部を浴中に投入し、更に、この温度で60分間編み物を染色及び洗浄すると、洗濯及び汗日光堅牢度の良好な、斑のない均一で濃い黒色の染色物が得られる。又、上記染色の再現性も良好である。
【0065】
例2
遊離酸の形が、下式(3)
【0066】
【化22】
(3)
【0067】
で示される染料750部、及び、遊離酸の形が、下式(4)
【0068】
【化23】
(4)
【0069】
で示される染料250部を混合すると、黒色の組成物が得られる。
この組成物8部及び無水芒硝60部を、例1と同様に、綿繊維からなる編み物100部をセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は80℃)中に公知の方法で投入し、投入後80℃で約20分間編み物を処理し、次いで、38度ボーメの苛性ソーダ3mlを浴中に投入し、更に、この温度で50分間編み物を染色及び洗浄すると、洗濯及び汗日光堅牢度の良好な、斑のない均一な濃い黒色の染色物が得られる。又、上記染色の再現性も良好である。
【0070】
例3
遊離酸の形が、下式(5)
【0071】
【化24】
(5)
【0072】
で示される染料400部、遊離酸の形が、下式(6)
【0073】
【化25】
(6)
【0074】
で示される染料600部を混合すると、黒色の組成物が得られる。
この組成物60部と食塩500部を、綿繊維からなる糸1000部をセットしたチーズ染色装置(浴比は1:10、浴温は80℃)に公知の方法で投入し、80℃で20分間処理後、炭酸ソーダ200部を浴中に投入し、次いで、この温度で60分間染色及び洗浄すると、洗濯及び汗日光堅牢度が良好な、チーズの内外層間で濃度差のない均一な黒色の染色糸が得られる。又、このチーズ染色の再現性も良好である。
【0075】
例4
遊離酸の形が、下式(7)
【0076】
【化26】
(7)
で示される染料500部、遊離酸の形が、下式(8)
【0077】
【化27】
(8)
【0078】
で示される染料500部を混合すると、黒色の反応染料組成物が得られる。
レーヨンからなる編み物100部をセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は80℃)中に、上記組成物2部及び無水芒硝30部を投入し、80℃で20分間編み物を処理し、炭酸ソーダ20部を投入後、この温度で60分間染色及び洗浄すると、洗濯及び汗日光堅牢度が良好な、斑の無い均一な黒色の染色物が得られる。又、上記染色を繰り返しても再現性は良好である。
【0079】
例5
レーヨンからなる編み物100部を染色装置にセットし、浴比を1:10、水温を70℃にした。
遊離酸の形が、下式(9)
【0080】
【化28】
(9)
【0081】
で示される染料180部、遊離酸の形が、下式(10)
【0082】
【化29】
(10)
【0083】
で示される染料720部、前記式(5)で示される染料100部を充分混合することにより得られる組成物3部、及び、無水芒硝40部を公知の方法で浴中に投入した後、この温度で20分間編み物を処理し、公知の方法で炭酸ソーダ20部を浴中に投入した。次いで、この温度で60分間編み物を処理し、染色を終了した。得られた染色物は常法で洗浄して仕上げた。得られた染色物は斑の無い均一な黒色であった。得られた染色物の洗濯及び汗日光堅牢度はいずれも良好であった。又、上記染色を繰り返し行ったが、いずれも染色の再現性が良好であった。
【0084】
例6
遊離酸の形が、下式(11)
【0085】
【化30】
(11)
【0086】
で示される染料400部、遊離酸の形が、前記式(5)で示される染料600部を十分混合すると、黒色の染料組成物が得られる。
この染料組成物200部を熱水で溶解後、25℃に冷却し、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部、及び、炭酸水素ナトリウム20部を添加し、更に水を加えて全量を25℃で1000部とし、この液をパジング液として用いて木綿織物をパジングし、織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして染料を固着させると、均一な濃い黒色であり、洗濯及び汗日光堅牢度が良好な染色物が得られる。又、上記染色を繰り返しても、染色の再現性は良好である。
【0087】
例7
例3で得られる反応染料組成物0.5部を、各々、200部の水に溶解し、芒硝20部を加え、さらに木綿10部を加えて70℃に昇温する。70℃に達してから、30分経過後、炭酸ソーダ4部を加え、同温度で1時間染色する。次いで水洗い及びソーピングを行う。水洗い及びソーピング時の染色排水の着色量は僅かであり、均一で濃い色の洗濯堅牢度等の諸堅牢度に優れた染色物が得られる。
【0088】
例8
反応染料組成物6部に代えて反応染料組成物12部及びメチルナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のナトリウム塩(スルホン化度110%、平均重合度1.8)0.6部を用いる以外は、例1と同様に染色する。得られる染色物は、例1で得られる染色物と同等の品質を有する。
【0089】
例9
例1で得た反応染料組成物6部に代えて、反応染料組成物12部を用いる以外は、例1と同様に染色する。得られる染色物は、反応染料組成物12部を用いたものでは、6部を用いた例1のものに比べて十分に濃く、使用した組成物のビルドアップ性は良好である。
【0090】
例10
例1で得た反応染料組成物を用いて、以下の組成をもつ色糊を作る。
【0091】
<色糊組成>
反応染料組成物 5部
尿素 5部
アルギン酸ソーダ(5%)元糊 50部
熱湯 25部
重曹 2部
バランス(水) 13部
合 計 100部
【0092】
この色糊をシルケット加工綿ブロード上に印捺し、中間乾燥後、100℃で5分間スチーミングを行い、湯洗い、ソーピング、湯洗い、そして乾燥して、仕上げる。得られる捺染物は、いずれも均一で濃い色である。得られる捺染物の諸堅牢度は良好である。
【0093】
例11
例1で得た反応染料組成物30部をそれぞれ熱水に溶解した後、25℃に冷却する。この染料溶液に、32.5%苛性ソーダ水溶液15部および50度ボーメの水ガラス150部を添加し、さらに25℃で水を加えて全量を1000部とした直後に、この液をパジング液として木綿織物をパジングする。パジングした木綿織物を巻き上げ、ポリエチレンフィルムで密閉して、25℃の室温で20時間放置した後、常法で洗浄し、乾燥して仕上げる。得られた染色物は、均一で濃い色である。得られる染色物の諸堅牢度は良好である。
Claims (4)
- 遊離酸の形が一般式(I)で示される赤色反応染料から選ばれる1種以上の染料と、遊離酸の形が一般式(IV)で示される青色反応染料から選ばれる1種以上の染料を含有してなる反応染料組成物。
〔式中、mは0又は1を表し、R1は水素原子またはメチルを表し、Z1は式(IIa)
{式中、X 1 は式(IIIa)
―N(R2)―A1―SO2―Y1 (IIIa)
<式中、A1 はフェニレンを表し、R2は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、Y1は−CH=CH2又は−CH2CH2 OSO 3 Hを表す>
で示されるビニルスルホン系繊維反応基を表し、X2は式(IIIb)
―N(R3)―A2―SO2―Y2 (IIIb)
<式中、A2 はフェニレンを表し、R3は水素原子、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいフェニルを表し、Y2は−CH=CH2又は−CH2CH2 OSO 3 Hを表す>
で示されるビニルスルホン系繊維反応基を表す。}
で示される繊維反応基を表す。〕
[式中、X5及びX6は、共に塩素原子を表し、R8、R9及びR10は、互いに独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキルを表し、A3 はフェニレンを表し、Y3は−CH=CH2又は−CH2CH2 OSO 3 Hを表す。] - 一般式(I)で示される赤色反応染料から選ばれる1種以上の染料の90〜1重量%と、一般式(IV)で示される青色反応染料から選ばれる1種以上の染料の10〜99重量%を含有してなる請求項1に記載の組成物。
- 一般式(I)で示される赤色反応染料から選ばれる1種以上の染料の80〜3重量%と、一般式(IV)で示される青色反応染料から選ばれる1種以上の染料の20〜97重量%を含有してなる請求項1に記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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