JP4501199B2 - 反応染料組成物およびそれを用いる染色方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、青色系の反応染料組成物及びそれを用いる繊維材料の染色又は捺染法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応染料は従来から繊維材料の染色及び捺染に多用されているが、セルロース系繊維材料を染色及び捺染するための青色反応染料組成物としては、例えば、アントラキノン系反応染料と銅ホルマザン系反応染料からなる混合物(特開平2−99564号公報、特開平1−103668号公報等)や、ビスアゾ系反応染料からなる組成物(特開平1−170663号公報、特開平8−209021号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
反応染料に関しては、(i)ビルドアップ性、均染性、洗浄性が良好で、染色温度依存性、無機塩濃度依存性及び浴比依存性等が小さい、(ii)耐光堅牢度や汗と日光との複合堅牢度、洗濯堅牢度、塩素堅牢度、NOxガス堅牢度など諸堅牢度が優れており、且つ、使用する染料の堅牢度のレベルが揃っていることが好ましい。特に、(i)項の性能については、近年、工場の自動化、染色時間の短縮化による操作の簡略化及び素材の種類や形態の多様化などに伴い、より均染性や洗浄性に優れ、染色の再現性が良好である反応染料組成物が強く望まれている。そして、(ii)項の性能については、染色に使用する染料の堅牢度のレベルが揃っていない場合は、耐光堅牢度や汗日光堅牢度、洗濯堅牢度及び塩素堅牢度の一部や全てにおいて変色が目立つ等の問題が生じる。特に、青色反応染料については、汗日光堅牢度、塩素堅牢度及びNOxガス堅牢度において満足できるものが少なく、これらの堅牢度が良好な染色物や捺染物を得ることは困難である。
一方、反応染料を用いた染色、特に染色濃度が高い染色の場合には、多量の無機中性塩を必要とするが、多量の無機中性塩の添加は、多大な時間と労力を要するので、染色作業の操作性を著しく低下させる。また、多量の無機中性塩の添加は、染色排水への無機中性塩の含量を増大させ、環境問題を考えると好ましくない。従って、少量の無機中性塩の添加で高濃度の染色物が得られる反応染料が要望されている。
更に、近年の環境問題への関心の高まりから、染色排水の着色負荷に対する規則も厳しくなる傾向にあり、固着率が高く、染色排水の着色度の低い反応染料が強く望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、反応染料の染色及び捺染における上記の問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の青色系の反応染料組成物がこの目的を達成することを見出して、本発明を完成した。
【0005】
即ち、本発明は、遊離酸の形が、下記式(I)で示される青色反応染料と、遊離酸の形が、下記式(II)で示される青色反応染料とを含有してなる反応染料組成物を提供し、該組成物を用いる繊維材料の染色又は捺染方法をも提供する。
【0006】
【化4】
(I)
【0007】
[式中、R1及びR2は、互いに独立に、ハロゲン原子又は置換されていてもよいピリジニオ基を表し、R3、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子又は置換されていてもよい低級アルキル基を表し、U1は、置換されていてもよいフェニレン、置換されていてもよいナフチレン又は置換されていてもよいC2〜C6アルキレンを表し、Y1は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z1を表し、Z1はアルカリの作用で脱離する基を表す。]
【0008】
【化5】
(II)
【0009】
[式中、R6及びR7は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよい低級アルコキシ基又はスルホ基を表し、Y2は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z2を表し、Z2はアルカリの作用で脱離する基を表す。
Y3は、−SO2CH=CH2基、−SO2CH2CH2Z3(Z3はアルカリの作用で脱離する基)基、或いは、下記式(III)
−NHCO(CH2)m−Y4 (III)
{式中、mは1〜3の整数或いは0を表すが、mが1〜3の整数であるときにY4は−SO2CH=CH2基を表し、mが0であるときにY4は−C(Br)=CH2基、−CH(Br)CH2Br基又は下記式(IV)
【0010】
【化6】
(IV)
【0011】
(式中、Y5は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2Z4を表し、Z4はアルカリの作用で脱離する基を表す。)で示される基を表す。}
で示される基を表す。]
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
前記式(I)及び(II)におけるR3、R4、R5、R6及びR7で表される低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソブチル等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができる。又、R6及びR7で表される低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、iso−プロポキシ等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
前記R3、R4、R5、R6及びR7で表される低級アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、ハロゲン、カルバモイル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、スルホ及びスルファモイル等を挙げることができる。これらの置換された低級アルキル基として、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、メトキシエチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、クロロメチル、ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイルエチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイルプロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキシカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニルオキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3−エチルカルボニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイルエチル、3−スルファモイルプロピル及び4−スルファモイルブチル等が挙げられる。
又、R6及びR7で表される低級アルコキシ基の置換基としては、例えば、メトキシ、シアノ、クロロ、ヒドロキシ、スルホ等が挙げられる。
【0013】
前記式(I)におけるU1で表される置換されていてもよいフェニレンとしては、好ましくは、C1〜C4アルキル基(メチル基、エチル基等)、C1〜C4アルコキシ基(メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン(塩素、臭素等)及びスルホ基の群から選ばれる1又は2個の置換基により置換されていてもよいフェニレンであり、例えば、
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、星印は、−Y1に通じている結合を意味する。)
等を挙げることができる。
前記式(I)におけるU1で表される置換されていてもよいナフチレンとしては、好ましくは、1個のスルホ基で置換されていてもよいナフチレンが挙げられる。これらの具体例としては、例えば、
【0016】
【化8】
【0017】
(式中、星印は、−Y1に通じている結合を意味する。)
等を挙げることができる。
【0018】
前記式(I)におけるU1で表される置換されていてもよいC2〜C6アルキレンとしては、好ましくは、−(CH2)2−、−(CH2)3−及び−CH(CH3)CH2−等のC2〜C4アルキレンが挙げられる。
【0019】
前記式(I)におけるY1は、ビニルスルホン系の繊維反応基を表す。又、アルカリの作用で脱離する基であるZ1としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロム等のハロゲン原子、スルファート、チオスルファート、フォスファート及びアセチルオキシ等を挙げることができ、特にスルファートが好ましい。
【0020】
前記式(I)におけるR1及びR2は、互いに独立に、ハロゲン又は置換されていてもよいピリジニオを表す。ハロゲンとしては、例えば、フルオロ、クロロ及びブロモ等を挙げることができ、クロロ又はフルオロが好ましい。
【0021】
又、置換されていてもよいピリジニオとしては、例えば、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、ハロゲノ及び置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルの群から選ばれる基で置換されていてもよいピリジニオ等が挙げられる。ピリジニオの置換基である置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル及び2−スルホエチル等を挙げることができる。
【0022】
前記ピリジニオの具体例としては、ピリジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピリジニオ、3−メチルピリジニオ及び3,5−ジカルボキシピリジニオ等を挙げることができる。
好ましくは、カルボキシ又はカルバモイルで置換されているピリジニオであり、特に3−又は4−カルボキシピリジニオが好ましい。
【0023】
前記式(II)におけるR6及びR7は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよい低級アルコキシ基又はスルホ基を表す。置換されていてもよい低級アルキル基としては、メチル基及びエチル基が好ましく、置換されていてもよい低級アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
R6及びR7としては、特に、水素、メトキシ及びスルホが好ましい。
【0024】
前記式(II)におけるY2及びY3は、ビニルスルホン系の繊維反応基を表す。又、アルカリの作用で脱離する基であるZ2及びZ3としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロム等のハロゲン原子、スルファート、チオスルファート、フォスファート及びアセチルオキシ等を挙げることができ、特に、スルファートが好ましい。
【0025】
前記式(III)において、mが0の場合、Y4は−C(Br)=CH2基、−CH(Br)CH2Br基又は前記式(IV)で示される基を表し、mが1〜3である場合、Y4は−SO2CH=CH2を表す。Y4が−SO2CH=CH2のときは、好ましくは、mは2又は3である。
【0026】
前記式(IV)におけるY5は、ビニルスルホン系の繊維反応基を表す。又、アルカリの作用で脱離する基であるZ4としては、前記Z1、Z2で例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0027】
式(I)で示される化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば次のようにして製造することができる。
【0028】
式(I)において、R1及びR2が共にハロゲノである場合、例えば、以下の方法を例示することができる。
【0029】
式 H2NCN (V)で示される化合物と下式(VI)
【0030】
【化9】
(VI)
【0031】
〔式中、R3は前記の意味を有する。〕
で示されるジアミン化合物を、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと公知の方法に準じて縮合させることにより、下式(VII)
【0032】
【化10】
(VII)
【0033】
〔式中、R3は前記の意味を表し、W1はハロゲノを表す。〕を得ることができる。
【0034】
一方、式 R5NH−U1−Y1 (VIII)〔式中、R5、U1及びY1は前記の意味を有する。〕で示される化合物及び下式(IX)
【0035】
【化11】
(IX)
【0036】
〔式中、R4は前記の意味を有する。〕
で示されるジアミン化合物を、2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンと公知の方法に準じて縮合させることにより、下式(X)
【0037】
【化12】
(X)
【0038】
〔式中、R4、R5、U1及びY1は前記の意味を表し、W2はハロゲノを表す。〕を得ることができる。
【0039】
次いで、式(VII)及び(X)で示されるアミン化合物を各々常法に従ってジアゾ化し、得られたジアゾ化物のうち後者のものを、遊離酸の形が、下式(XI)
【0040】
【化13】
(XI)
【0041】
で示される1−アミノ−8−ナフトール化合物と、温度−10℃〜30℃でpH0〜4に調整しながらカップリングし、次いで、カップリング反応生成物に前者のジアゾ化物と、0℃〜40℃でpH2〜8に調整しながらカップリングすることにより、遊離酸の形が、下式(XII)で示される化合物を得ることができる。
【0042】
【化14】
(XII)
【0043】
〔式中、R3、R4、R5、U1及びY1は前記の意味を表し、W1及びW2はハロゲノを表す。〕を得ることができる。
【0044】
又、式(I)の青色染料のうち、R1及びR2が置換されていてもよいピリジニオであるものは、例えば、遊離酸の形が、上式(XII)の化合物を上述と同様の方法で合成し、置換されていてもよいピリジニオに対応するピリジン化合物を温度10℃〜100℃でpH2〜9の条件下で反応させることにより、下式(XIII)の化合物を得ることができる。
【0045】
【化15】
(XIII)
【0046】
〔式中、R3、R4、R5、U1及びY1は前記の意味を表し、W3及びW4は置換されていてもよいピリジニオを表す。〕
【0047】
上述した製造方法において2,4,6−トリハロゲノ−s−トリアジンとの縮合反応においては、その順序や反応条件は特に制限されないが、例えば、一番目の縮合反応は温度−10℃〜40℃、pH1〜10の条件下で実施し、二番目の縮合反応は温度0℃〜70℃、pH2〜10の条件下で実施することができる。
【0048】
前記式(II)で示される化合物は、公知の方法で、例えば特開平8−120188号公報、特開昭59−120656号公報等に記載の方法に準拠して、製造することができる。
【0049】
前記式(I)及び(II)の反応染料は、遊離酸の形で又はその塩の形で存在し、特にアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩が好ましく、とりわけ、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が好ましい。
【0050】
本発明の反応染料組成物は、式(I)及び(II)の反応染料を、固体状で混合してもよいし、染料液で混合してもよい。
【0051】
本発明の反応染料組成物は、式(I)の反応染料から選ばれる1つ以上の青色染料と、式(II)の反応染料から選ばれる1つ以上の青色染料とを含有するものであり、各反応染料の混合割合は特に限定されるものではないが、式(I)及び(II)の反応染料の総量1000重量部中に式(I)の反応染料が50〜950重量部であることが好ましい。
【0052】
本発明の反応染料組成物は、必要に応じ、芒硝や食塩等の無機塩、β−ナフタレンスルホン酸ソーダ/ホルマリン縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ソーダ/ホルマリン縮合物、アセチルアミノナフトール系化合物等の分散剤、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート系等の粉塵飛散防止剤、酢酸ナトリウム塩、燐酸ナトリウム塩等のpH緩衝剤、ポリ燐酸塩等の硬水軟化剤等の公知の染色助剤、そのほかの染料等を含有することができる。
本発明の反応染料組成物は、その形態において特に限定されるものではなく、例えば、粉末状であってもよく、顆粒状であってもよく、又、液体状であってもよい。
【0053】
本発明の反応染料組成物は、繊維材料、特にセルロース系繊維材料やポリアミド系繊維材料、及びそれらを含有する繊維材料の染色または捺染に有用である。セルロース系繊維材料は特に限定されるものではないが、木綿、リネン、麻、ジュード、ラミー繊維、ビスコース人絹、ベンベルグ等の天然あるいは再生セルロース繊維が例示され、ポリアミド系繊維材料としては特に限定されるものではないが、羊毛、絹等が例示される。また、これらを含有する繊維材料としては、木綿/ポリエステル、木綿/ナイロン、木綿/アクリル、木綿/羊毛、羊毛/ポリエステル混交品等が例示される。
【0054】
本発明における染色及び捺染方法としては、公知のいずれの方法でもよい。吸尽染色方法では、無水芒硝や食塩等の公知の無機中性塩、及び、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、苛性ソーダ、第三燐酸ソーダ等の公知の酸結合剤を単独に、あるいは併用して染色する方法が例示される。この際に用いる無機中性塩や酸結合剤の使用量についても制約はないが、少なくとも1g/L以上が好ましく、又、100g/L以上用いてもよい。又、これらの無機中性塩や酸結合剤の染浴への投入は一度に行ってもよいし、又、常法により分割して投入してもよい。又、その他、均染剤、緩染剤、浴中柔軟剤等の染色助剤を公知の方法で併用してもよいが、染色助剤としては特にこれらのものに限定されない。又、染色温度は通常40〜90℃であるが、好ましくは50〜90℃である。コールドバッチアップ染色法では無水芒硝や食塩等の公知の無機中性塩及び、苛性ソーダや珪酸ソーダ等の公知の酸結合剤を用いてパジング後、密閉包装材料中に0〜90℃の温度で好ましくは10〜40℃の温度で放置して染色する方法が例示される。連続染色方法では炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、苛性ソーダ等の公知の酸結合剤を染料パジング液に混合し、公知の方法でパジング後、乾熱または蒸熱により染色する一浴パジング法及び、染料パジング後、無水芒硝や食塩等の公知の無機中性塩及び、苛性ソーダや珪酸ソーダ等の公知の酸結合剤をパジングし、公知の方法で乾熱または蒸熱により染色する二浴パジング法が例示されるが、染色方法としてはこれらに限定されない。捺染方法では、炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ等の公知の酸結合剤を含む捺染ペーストを印捺後、乾燥後蒸熱して捺染する一相捺染法、及び捺染ペーストを印捺後、無水芒硝や食塩等の公知の無機中性塩、及び苛性ソーダや珪酸ソーダ等の公知の酸結合剤溶液の80℃以上の高温中に投入して捺染する二相捺染法等で捺染する公知の方法が例示される。又、染色又は捺染においては公知の均染剤、緩染剤、浴中柔軟剤を公知の方法で併用してもよい。
【0055】
セルロース繊維上に本発明の反応染料組成物を固定させるのに適した酸結合剤は、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属と無機塩又は有機酸あるいは加熱状態でアルカリを遊離する化合物との水溶性塩基性塩である。特に、アルカリ金属の水酸化物及び弱ないし中程度の強さの無機又は有機酸のアルカリ金属が挙げられ、そのうち、特にソーダ塩及びカリウム塩が好ましい。この様な酸結合剤として、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、重曹、炭酸ソーダ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一、第二又は第三燐酸ソーダ、珪酸ソーダ、トリクロロ酢酸ソーダ等が挙げられる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の反応染料組成物は、繊維材料の染色及び捺染において、均染性、染色再現性及びビルドアップ性等の各種染料特性に優れ、且つ、汗−日光の複合作用に対する堅牢度、塩素堅牢度及び酸化性ガスに対する堅牢度等の諸堅牢度の良好な染色物及び捺染物を与える。特に、吸尽染色において、染色温度依存性及び浴比依存性が小さく、染色再現性に優れ、しかも、高い染色濃度でも少ない中性無機塩の添加で十分なカラーイールドが得られ、固着率が高いので、染色排水の着色負荷が小さい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、例中、%及び部は、特記しない限り、重量%及び重量部を表す。
【0058】
実施例1
遊離酸の形が、式(1)
【0059】
【化16】
(1)
【0060】
で示される染料500部、遊離酸の形が、式(2)
【0061】
【化17】
(2)
【0062】
で示される染料500部を混合すると、紺色の反応染料組成物が得られる。
このようにして得られる組成物0.4g及び無水芒硝5.0gを、綿繊維からなる編み物10gをセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は70℃)中に公知の方法で投入し、投入後70℃で約20分間編み物を処理し、次いで、炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入し、更に、この温度で60分間編み物を染色及び洗浄すると、耐光、塩素及び洗濯堅牢度の良好な、斑のない均一で濃い紺色の染色物が得られる。又、上記染色の再現性も良好である。
【0063】
実施例2
遊離酸の形が、下式(3)
【0064】
【化18】
(3)
【0065】
で示される染料625部、及び、遊離酸の形が、下式(4)
【0066】
【化19】
(4)
【0067】
で示される染料375部を混合すると、紺色の組成物が得られる。
この組成物0.6g及び無水芒硝5.0gを、実施例1と同様に、綿繊維からなる編み物10gをセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は60℃)中に公知の方法で投入し、投入後60℃で約20分間編み物を処理し、次いで、38度ボーメの苛性ソーダ0.3mlを浴中に投入し、更に、この温度で50分間編み物を染色及び洗浄すると、耐光、汗日光、塩素及び洗濯堅牢度の良好な、斑のない均一な紺色の染色物が得られる。又、上記染色の再現性も良好である。
【0068】
実施例3
遊離酸の形が、下記式(5)
【0069】
【化20】
(5)
【0070】
で示される染料670部、遊離酸の形が、下記式(6)
【0071】
【化21】
(6)
【0072】
で示される染料330部を混合すると、紺色の組成物が得られる。
この組成物70gと食塩500gを、綿繊維からなる糸1000gをセットしたチーズ染色装置(浴比は1:10、浴温は60℃)に公知の方法で投入し、60℃で20分間処理後、炭酸ソーダ200gを浴中に投入し、次いで、この温度で60分間染色し、次いで洗浄すると、耐光、汗日光、塩素及び洗濯堅牢度が良好な、チーズの内外層間で濃度差のない均一な紺色の染色糸が得られる。又、このチーズ染色の再現性も良好である。
【0073】
実施例4
遊離酸の形が、下式(7)
【0074】
【化22】
(7)
【0075】
で示される染料500部、遊離酸の形が、下式(8)
【0076】
【化23】
(8)
【0077】
で示される染料500部を混合すると、青色の反応染料組成物が得られる。
レーヨンからなる編み物10gをセットした染色装置(浴比は1:10、浴温は60℃)中に、上記組成物0.2g及び無水芒硝3.0gを投入し、60℃で20分間編み物を処理し、炭酸ソーダ2.0gを投入後、この温度で60分間染色及び洗浄すると、斑の無い均一な青色の、耐光、汗日光、塩素及び洗濯堅牢度が良好な染色物が得られる。又、上記染色を繰り返しても、再現性は良好である。
【0078】
実施例5
レーヨンからなる編み物10gを染色装置にセットし、浴比を1:10、浴温を60℃にした。
遊離酸の形が、下記式(9)
【0079】
【化24】
(9)
【0080】
で示される染料190部、予め溶解させた遊離酸の形が、下式(10)
【0081】
【化25】
(10)
【0082】
で示される染料750部、前記式(5)で示される染料60部を充分混合することにより得られる組成物0.5g、及び、無水芒硝5.0gを公知の方法で浴中に投入した後、この温度で20分間編み物を処理し、公知の方法で炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入した。次いで、この温度で60分間編み物を処理し、染色を終了した。得られた染色物は常法で洗浄して仕上げた。得られた染色物は斑の無い均一で濃い紺色であった。得られた染色物の耐光、汗日光、塩素、洗濯堅牢度はいずれも良好であった。又、上記染色を繰り返し行ったが、いずれも染色の再現性が良好であった。
【0083】
実施例6
遊離酸の形が、下式(11)
【0084】
【化26】
(11)
【0085】
で示される染料700部、遊離酸の形が、前記式(5)で示される染料300部を十分混合すると、紺色の染料組成物が得られる。
この染料組成物200部を熱水で溶解後、25℃に冷却し、アルギン酸ソーダ1部、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ10部、及び、炭酸水素ナトリウム20部を添加し、更に水を加えて全量を25℃で1000部とし、この液をパジング液として用いて木綿織物をパジングし、織物を120℃で2分間乾燥し、次いで100℃で5分間スチーミングして染料を固着させると、均一な紺色であり、耐光、汗日光、塩素及び洗濯堅牢度が良好な染色物が得られる。又、上記染色を繰り返しても、染色の再現性は良好である。
【0086】
実施例7
レーヨンからなる編み物10gを染色装置にセットし、浴比を1:10、水温を60℃にした。
遊離酸の形が、下式(12)
【0087】
【化27】
(12)
【0088】
で示される染料710部、前記式(1)で示される染料290部を混合することにより得られる組成物0.8g、及び、無水芒硝6.0gを公知の方法で浴中に投入した後、この温度で20分間編み物を処理し、公知の方法で炭酸ソーダ2.0gを浴中に投入した。次いで、この温度で60分間編み物を処理し、染色を終了した。得られた染色物は常法で洗浄して仕上げた。得られた染色物は斑の無い均一で濃い紺色であった。得られた染色物の耐光、汗日光、塩素、洗濯堅牢度はいずれも良好であった。又、上記染色を繰り返し行ったが、いずれも染色の再現性が良好であった。
Claims (5)
- 遊離酸の形が、下記式(I)で示される青色反応染料と、遊離酸の形が、下記式(II)で示される青色反応染料とを含有してなる反応染料組成物。
[式中、R1及びR2は、互いに独立に、ハロゲン原子を表し、R3、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、U1は、フェニレンを表し、Y1は、−SO2CH=CH2あるいは−SO2CH2CH2 OSO 3 Hを表す。]
[式中、R6及びR7は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルコキシ基又はスルホ基を表し、Y2は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2 OSO 3 Hを表す。Y3は、−SO2CH=CH2基、−SO2CH2CH2 OSO 3 H、或いは、下記式(III)
−NHCO(CH2)m−Y4 (III)
{式中、mが3であるときにY4は−SO2CH=CH2基を表し、mが0であるときにY4は下記式(IV)
(式中、Y5は、−SO2CH=CH2又は−SO2CH2CH2 OSO 3 Hを表す。)で示される基を表す。}
で示される基を表す。] - 式(II)におけるY2及びY3が、共に−SO2CH2CH2OSO3Hである請求項1記載の組成物。
- 式(II)におけるY2が−SO2CH2CH2 OSO 3 Hであり、Y3が式(III)で示される基であり、mが0であり、Y4が式(IV)で示される基であり、且つ、Y5が−SO2CH2CH2 OSO 3 Hである請求項1記載の組成物。
- 式(II)におけるY2が−SO2CH=CH2基であり、Y3が式(III)で示される基であり、mが3であり、且つ、Y4が−SO2CH=CH2基である請求項1記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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