JP4604228B2 - Notchタンパク質およびDeltaタンパク質中の結合ドメイン - Google Patents

Notchタンパク質およびDeltaタンパク質中の結合ドメイン Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、the Department of Health and Human Services により付与された許可番号GM19093 およびNS26084 のもとに一部政府の支持でなされた。政府は本発明に或る種の権利を有する。
1.序論
本発明は、ヒトのノッチ(Notch)遺伝子およびデルタ(Delta)遺伝子並びにそれらの暗号化された生産物に関する。また、本発明は、トポリズミック(toporythmic) 遺伝子により暗号化されたタンパク質中の配列への同型結合または異型結合を媒介するトポリズミック遺伝子により暗号化されたタンパク質中の配列(本明細書中、“接着配列”と称する)に関する。このような遺伝子はNotchDelta、およびセレイト(Serrate) を含むが、これらに限定されない。
2.発明の背景
ショウジョウバエの遺伝子分析は、発達経路の複雑さを分析し、そして相互作用遺伝子座を同定するのに極めて有益であった。しかしながら、遺伝子相互作用を生じるプロセスの正確な性質を理解することは、当該遺伝子のタンパク質生産物の生化学的性質の知識を必要とする。
接合神経遺伝子座−Notch(N) 、Delta(Dl) マスターマインド(mastermind)(mam) 、分割のエンハンサー(E(spl) 、神経化(neu) 、および大脳(bib) −のいずれか一つ中のヌル突然変異は腹側および外側の表皮構造を犠牲にして神経系の肥大をもたらす。この作用は神経経路への表皮前駆体細胞のミスルーチングによるものであり、神経遺伝子機能が神経領域内の細胞を神経細胞の宿命から上皮の宿命へとそらすのに必要であることを意味する。グラスホッパー中の特定の胚神経芽細胞のレーザー切除の効果を評価した研究(DoeおよびGoodman1985,Dev.Biol.111,206-219) は、神経芽細胞とその周囲の補助細胞の間の細胞相互作用が神経芽細胞宿命を選ぶことからこれらの補助細胞を抑制するのに利用できることを示した。これらの遺伝子的観察および発達の観察は、一緒になって、神経遺伝子座のタンパク質生産物が適当な表皮の発達に必要な細胞相互作用機構の成分として機能するという仮説へと導いた(Artavanis-Tsakonas,1988,Trends Genet.4, 95-100)。 配列分析(Whartonら,1985,Cell 43, 567-581;Kidd ら,1986,Mol.Cell.Biol.6, 3094-3108;Vassin ら,1987,EMBO J.6, 3431-3440;Kopczynski ら,1988,Genes Dev.2, 1723-1735) は、神経遺伝子座の二種であるNotchおよびDeltaが単一時間で膜をスパンする膜貫通タンパク質を暗号化することが明らかであることを示した。Notch遺伝子は、36の上皮増殖因子(EGF) 様タンデム繰返し、続いてNotchlin-12 繰返し(Wh-arton ら,1985,Cell 43, 567-581;Kidd ら,1986,Mol.Cell Biol.6, 3094-3108;Yochem ら,1988,Nature335, 547-550) と称される三つのその他のシステインに富む繰返しを含む大きなN末端細胞外ドメインで約300kd タンパク質(本発明者らは“Notch”を使用してこのタンパク質を表す)を暗号化する。Deltaは、その細胞外ドメイン(Vassin ら,1987,EMBO J.6, 3431-3440;Kopczynskiら, 1988,Genes Dev.2, 1723-1735)内に9のEGF 様繰返しを有する約100kd タンパク質(本発明者らは“Delta"を使用してDLZM、即ち主たる接合代謝産物および母性代謝産物のタンパク質生産物;Kopczynski ら, 1988,Genes Dev.2, 1723-1735 を表す) を暗号化する。これらの繰返しの機能上の重要性について殆ど知られていないが、EGF 様モチーフは血液凝固カスケードに関与するタンパク質を含む種々のタンパク質中に見られた(Furie and Furie,1988,Cell 53, 505-518) 。特に、このモチーフは、血液凝固因子IXおよびX(Rees ら,1988,EMBO J.7, 2053-2061; Furie and Furie,1988,Cell 53, 505-518) の如き細胞外タンパク質、その他のショウジョウバエ遺伝子(Knustら,1987,EMBO J.761-766;Rothberg ら,1988,Cell 55, 1047-1059) 、並びにトロンボモジュリン(Suzuki ら,1987,EMBO J.6, 1891-1897)およびLDL レセプター(Sudhof ら,1985,Science228, 815-822)の如き幾つかの細胞表面レセプタータンパク質中に見られた。タンパク質結合部位はトロンボモジュリンおよびウロキナーゼ中のEGF 繰返しドメインにマッピングされた(Kurosawa ら,1988,J.Biol.Chem.263, 5993-5996;Appellaら,1987,J.Biol.Chem.262, 4437-4440)。
Notch突然変異とDelta突然変異の相互作用の魅力的なアレイが記載されていた(Vassin ら,1985,J.Neurogenet.2, 291-308; Shepard ら,1989,Genetics122, 429-438;Xu ら,1990,Genes Dev.,4, 464-475) 。幾つかの遺伝子研究(Altonら,1989,Dev.Genet.10, 261-272に要約されている) は、互いに関してNotchおよびDeltaの遺伝子供与が正常な発達に極めて重要であることを示した。野生型Notchバックグラウンド中のDeltaの供与量の50%の低下は、翼静脈の拡張を生じてその基底で“Delta"を形成させる(Lindsley およびGrell,1968,Publication Number627,Washingt-on,D.C.,Carnegie Institute of Washington) 。同様の表現型が野生型Deltaバックグラウンド中のNotchの供与量の50%の増加により生じる(“コンフルエンス”表現型;Welshons,1965,Science150, 1122-1129) 。このDelta表現型はNotch供与の低下により部分的に抑制される。本発明者らの研究室における最近の研究は、Notch中のEGF 様繰返しの交互と相関関係がある対立遺伝子間の致死相互作用がDeltaの投与量を減少することにより救済し得ることを示した(Xu ら,1990,Genes Dev.4, 464-475) 。Xuら(1990,GenesDev.4, 464-475) は、Deltaまたはmamのいずれかのヌル突然変異がアブルプテックス(Abruptex)(Ax)突然変異として知られている或る種のNotch対立遺伝子の異型接合の組み合わせ間の致死相互作用を抑制することを見出した。Ax対立遺伝子はNotch細胞外ドメインのEGF 様繰返し内のミスセンス変異と関連する(Kelleyら,1987,Cell 51, 539-548;Hartleyら, 1987,EMBO J.6, 3407-3417) 。
Notchは胚神経細胞の外殖中に軸索プロセスで発現される(Johansen ら,1989,J.Cell Biol.109, 2427-2440;Kidd ら,1989,GenesDev.3, 1113-1129) 。
研究は、Notchの或る種のAx対立遺伝子が成虫盤の知覚神経の外殖中に軸索開通をひどく変化し得ることを示したが、軸索それ自体またはその上皮(それに沿って軸索が成長する)中の異常なNotch発現がこの欠陥の原因であるか否かは未だ知られていない(Palkaら,1990,Development 109, 167-175) 。
3.発明の要約
本発明は、ヒトのNotch遺伝子およびDelta遺伝子のヌクレオチド配列、およびそれらの暗号化されたタンパク質のアミノ酸配列、並びに抗原決定基を含むこれらのフラグメントまたは機能的に活性であるこれらのフラグメントに関する。また、本発明は、トポリズミックタンパク質への同型結合または異型結合を媒介するトポリズミック遺伝子により暗号化されたタンパク質(“トポリズミックタンパク質”と称される)のフラグメント(本明細書中、“接着フラグメント”と称される)、およびこれらの配列に関する。本明細書に使用されるトポリズミック遺伝子は、遺伝子NotchDelta、およびSerrateを表すだけでなく、例えば、下記の項5.3 に記載された方法により同定し得るDeltaSerrateファミリーのその他の員を表す。結合活性を保持する接着フラグメントの類縁体および誘導体がまた提供される。ヒトのNotchの抗体および接着フラグメントの抗体が更に提供される。
特別な実施態様において、Notchの接着フラグメントは、ショウジョウバエのNotch EGF 様繰返し11および12に最も相同のNotch配列を含むフラグメントである。異型結合を媒介するDeltaの接着フラグメントは、ショウジョウバエのDeltaアミノ酸1-230 に最も相同の配列を含むフラグメントである。同型結合を媒介するDeltaの接着フラグメントは、ショウジョウバエのDeltaアミノ酸32-230に最も相同の配列を含むフラグメントであり、そしてSerrateの接着フラグメントはショウジョウバエのSerrateアミノ酸85-283または79-282に最も相同の配列を含むフラグメントである。
3.1.定義
本明細書に使用される下記の用語は、示された意味を有する。
AA =アミノ酸
EGF =上皮増殖因子
ELR =EGF 様(相同の)繰返し
IC =細胞内
PCR =ポリメラーゼ
本明細書に使用される遺伝子の名称の下線は、下線の不在下で遺伝子の名称により示されるその暗号化されたタンパク質生産物に対比して、その遺伝子を示す。例えば、“Notch”はNotch遺伝子を意味し、一方、“Notch”はNotch遺伝子のタンパク質生産物を示す。
4.図面の説明
図1.Notch−Delta相互作用を調べるための発現構築物および実験デザイン。対数増殖期のS2細胞を、示された三つの構築物の一つで一時的に移入した。MGlla ミニ遺伝子(cDNA/ゲノムキメラ構築物:cDNA誘導配列がスティップリングにより表され、ゲノム誘導配列が斜めハッチングにより表される(Ramosら,1989,Genetics123, 337-348))により暗号化されたNotchを、メタロチオネインプロモーターベクターpRmHa-3(Bunch ら,1988,Nucl.AcidsRes.16, 1043-1061)への挿入後に発現した。Dl1 cDNA(Kopczynskiら,1988,Genes Dev.2, 1723-1735)により暗号化されたDeltaを、同ベクターへの挿入後に発現した。細胞外Notch(ECN1) 変異体を、完全Notch遺伝子座を含むゲノムコスミド(Ramosら,1989,Genetics123, 337-348) から、その細胞内ドメイン(δにより表される;Wharton ら,1985,Cell43, 567-581)からアミノ酸1790-2625 のコード配列を欠失し、野生型配列からの25の膜近位残基を新規な59のアミノ酸テールに融合させることにより誘導した(下記の実験方法、項6.1 を参照のこと)。この構築物をNotchプロモーター領域の調節のもとに発現した。メタロチオネインベクターを含む構築物に関して、トランスフェクション後に発現をCuSO4で誘発した。次に、細胞を混合し、凝集条件下でインキュベートし、そして特定の抗血清および発現細胞を視覚化する免疫蛍光顕微鏡法を使用してそれらの凝集する能力につきスコアをつけた。MT、メタロチオネインプロモーター;ATG 、翻訳開始部位;TM、膜貫通ドメイン;3'N 、Notch遺伝子ポリアデニル化シグナル;3'Adh 、Adh 遺伝子からのポリアデニル化シグナル;5'N 、Notch遺伝子プロモーター領域。
図2.培養細胞中のNotchおよびDeltaの発現。(A)0.7ミリモルのCuSO4で12〜16時間にわたって誘導された移入されていない細胞(S2)およびNotch移入細胞(N) の溶解産物をナトリウムドデシル硫酸ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)のために調製し、3%〜15%勾配ゲルで運転し、そしてニトロセルロースにブロットした。Notchの細胞内ドメインに対してモノクローナル抗体(MAb C17.9C6) を使用してNotchを視覚化した。300kd の主バンドの下の多重バンドはNotchの分解生産物に相当し得る。(B)移入されていない細胞(S2)およびDelta移入細胞(D1)の溶解産物をDeltaのモノクローナル抗体(MAb 201) で視覚化した。約105kd の単一バンドを検出する。両方の場合に、S2細胞系には検出可能な内因性のNotchまたはDeltaがなく、また交差反応性の種がない。それぞれのレーンにおいて、10μl の試料(実験方法に記載されたようにして調製した)を装填した。
図3.Notch形凝集物およびDelta形凝集物を発現するS2細胞。全てのパネル中で、Notchが緑で示され、Deltaが赤で示される。
(A) 単一Notch+細胞。胞状構造だけでなく、明らかに染色されていない核を含む主要な細胞内染色に注目されたい。
(A) 抗体染色の特異性を示す同フィールドの明るいフィールドの顕微鏡写真。
(B) 単一Delta+細胞。染色が主として細胞表面にある。
(B) 同フィールドの明るいフィールドの顕微鏡写真。
(C)24 時間の凝集実験からのDelta+細胞の凝集物。染色が主として細胞表面にあることに反することに注目されたい。
(D)-(F) 単独で移入された細胞集団の1:1 の混合物から形成されたNotch+細胞およびDelta+細胞の凝集物(これは室温で一夜凝集させられた)。(D) はこの凝集物中のNotch+細胞を示す。
(E) はDelta+細胞を示し、そして(F) は両方の細胞型を示す二重露出である。NotchおよびDeltaのバンドはNotch+細胞とDelta+細胞の接触点(矢印)で顕著である。(F) において、これらのバンドは、これらの点で緑と赤の一致のために黄色に見える。明らかに二重に染色された単一細胞(*)は実際には二種の細胞(他の細胞の上に一種の細胞)であり、一方がNotchを表し、他方がDeltaを表す。
(G) および(H) Notch+−Delta+細胞凝集物のプソイドカラー共焦顕微鏡写真。(G) において、少なくとも二つのDelta+細胞により形成された拡張部(矢印)が凝集物の中央でNotch+細胞を完全に包囲することに注目されたい。(H) は4℃で行われた2時間の凝集実験から形成された凝集物を示す。Notchの濃いバンドがDelta+細胞と接触する領域内で明らかである。
(I) Delta+細胞と、Notchの細胞外ドメイン(ECN1 構築物)のみを発現する細胞を含む凝集物。スケールバー=10μm 。
図4.NotchおよびDeltaが同時移入細胞中で会合される。Notchに関する染色が左欄(A、C、およびE)に示され、Deltaに関する染色が右欄(B、D、およびF)に示される。
(A) および(B) Notch構築物およびDelta構築物の両方で同時移入されたS2細胞。一般に、細胞表面(矢印)でNotchとDeltaの局在間に良好な相関関係があった。
(C) および(D) 同時移入細胞を、特定の抗血清による定着および染色の前に室温で1時間にわたってポリクローナル抗Notch抗血清(それぞれの抗細胞外ドメイン抗血清の1:250 希釈液)に露出した。NotchおよびDeltaの小さな斑点のある染色およびそれらのそれぞれの染色(矢印)の相関関係に注目されたい。
(E) および(G) 細胞外Notch(ECN1) 構築物およびDelta構築物で同時移入され、誘発され、次に抗Notchポリクローナル抗血清を使用してパッチされた細胞。全長Notchについて観察された表面でECN1染色とDelta染色の間に密接な相関関係があった。スケールバー=10μm 。
図5.同時免疫沈殿は、DeltaおよびNotchが移入細胞S2およびショウジョウバエ胚細胞からの溶解産物中で会合されていることを示す。全ての実験において、Deltaを、定着スタフ(Staph)A細胞で沈殿されたポリクローナル抗Deltaラット抗血清を使用してNP-40/デオキシコール酸塩溶解産物から沈殿させ、そして沈殿分画中のタンパク質をウェスタンブロットで視覚化した(詳しくは、実験方法を参照のこと)。レーン1、2、3、および5:MAb C17.9C6 で視覚化されたNotch;レーン4および6:MAb 201 で視覚化されたDelta。
(A) において、レーン1および2はこれらの実験の対照である。レーン1は、Notchについて視覚化されたNotch単独を発現する細胞からのポリクローナル抗Delta免疫沈殿を示す。Notchはこの試料中で検出できず、これはポリクローナル抗DeltaがNotchと交差反応しないことを示す。レーン2は、抗Delta抗血清による初期の処理を行わないでスタフAで免疫沈殿され、そしてNotchについて視覚化されたNotchDelta同時移入細胞を示し、これはNotchがスタフAまたは二次抗体により非特異的に沈殿されないことを実証する。レーン3はDelta(D1)について視覚化された抗Delta抗血清で沈殿されたタンパク質を示し、そしてレーン4はNotch(N) について視覚化された同試料を示す。レーン4は、Notchが免疫沈殿されたDeltaと共沈することを示す。Notchが免疫沈殿中のNotchに典型的であるようにダブレットとして現れることに注目されたい。
(B) は、移入細胞溶解産物ではなく胚溶解産物を使用する同実験を示す。レーン5はDelta(D1) について視覚化された抗Delta抗血清で沈殿されたタンパク質を示し、そしてレーン6はNotch(N) について視覚化された同試料を示す。これらのレーンは、NotchおよびDeltaが胚溶解産物中で安定に会合されることを実証する。Deltaバンドの下のバンド(全てのレーン中)はスタフA(SA)並びに抗Delta抗血清H鎖およびL鎖からのものである。
図6.Notch発現構築物およびDelta/Serrate結合ドメインの欠失マッピング。対数増殖期のS2細胞を、示された発現構築物の系列で一時的に移入した。これらの図面は、生じた種々のNotch欠失変異体の予想タンパク質生産物を表す。全ての発現構築物を構築物#1 pMtNMg から誘導した。一時的に移入した細胞を、安定に形質転換された系L49-6-7 からのDelta発現細胞または一時的に移入したSerrate発現細胞と混合し、CuSO4で誘発し、凝集条件下でインキュベートし、次に特異的抗血清および免疫蛍光顕微鏡法を使用して凝集するそれらの能力につきスコアをつけた。凝集物をNotchおよびDelta/Serrate発現細胞の両方を含む4個以上の細胞のクラスターと定義した。凝集率(%)に関して示された値は、Delta(D1)(左欄)またはSerrate(Ser)(右欄)と共にこのようなクラスター中に見られる全てのNotch発現細胞の%を表す。種々のNotch欠失構築物が、連結接合部を示す継線で図示される。それぞれのEGF 繰返しが、点描された矩形のボックスとして表され、そして連結接合部の両側のEGF 繰返しの数が示される。連結接合部で、種々の欠失により生じた部分EGF 繰返しがオープンボックスおよび閉じた括弧により表される(例えば、ΔCla+EGF(10-12)を参照のこと)。構築物#3-13はClaI欠失系列に相当する。図示されるように、繰返し7、9、17および26中のClaI部位の四つが、第三のシステインの直後で中央の繰返しを破断し(オープンボックス繰返しにより表される;更に明瞭にするために、図7を参照のこと)、一方、第五の殆どの3'部位がEGF 繰返し30と31の間できれいに分断する(密閉ボックス繰返し31により表される;再度、図7を参照のこと)。構築物#15スプリットにおいて、スプリット点変異を有するEGF 繰返し14が横線付きのボックスとして示される。構築物#33 ΔCla+XEGF10-13)において、アフリカツメガエルNotch誘導EGF 繰返しは、陰影の異なるパターンによりショウジョウバエ繰返しから区別される。SP、シグナルペプチド;EGF 、上皮増殖因子繰返し;N、Notchlin-12 繰返し;TM、膜貫通ドメイン;cdc 10、cdc10/アンキリン繰返し;PA、推定のヌクレオチド結合共通配列;opa 、opaと称されるポリグルタミン伸長;D1、Delta;Ser 、Serrate。
図7.Notch欠失構築物#19-24 の詳しい構造。EGF 繰返し11および12の両方がNotch−Delta凝集に必要とされる。EGF 繰返し10-13 は上部に図示され、6個のシステイン残基(C) の規則的な間隔を示す。これらの構築物に関して生じたPCR 生産物(図6に示された名称および数)は太い黒線により示され、そして正確な終点が種々のEGF 繰返しに関して示される。Deltaと凝集する能力がそれぞれの構造物に関して(+) または(-) として記録される。PCR フラグメントは、5個のClaI部位のうちの4個と同じ場所で第三システインの直後で中央のEGF 繰返しを破断し、または最もC末端のClaI部位と同じ場所で二つの繰返し間で正確に破断する。
図8.ショウジョウバエおよびアフリカツメガエルのNotchからのEGF 繰返し11および12のアミノ酸配列の比較。ショウジョウバエのNotch(Wharton ら,1985,Cell 43:567-581;Kiddら,1986,Mol.CellBiol.6:3094-3108) のEGF 繰返し11および12のアミノ酸配列が、アフリカツメガエルのNotch(Coffman ら,1990,Science249:1438-1441) からの同じ二つのEGF 繰返しのアミノ酸配列と並べられる。同一のアミノ酸が箱形にされる。それぞれのEGF 繰返しの6個の保存システイン残基およびCa++結合共通残基(Rees ら,1988,EMBO J. 7:2053-2061)がアステリスク(*) でマークされる。凝集しなかったアフリカツメガエルPCR クローン中で見られたロイシンからプロリンへの変化が下に示される。
図9.この研究に使用された構築物。表IV中に特定されたDelta変異体の略図が示される。細胞外のアミノ近位末端がそれぞれの場合に左にある。S、シグナルペプチド;“EGF"、EGF 様モチーフ;M、膜をスパンするらせん;H、ストップ−トランスファー配列;実線、その他のDelta配列;陰影線、神経膠配列。矢じりは、翻訳可能なリンカー挿入の部位を示す。Sca 、ScaI;Nae 、NaeI;Bam 、BamHI ;Bgl 、BglII ;ELR 、EGF 様繰返し;Bst 、BstEII;Dde 、DdeI;Stu 、StuI;NG1-NG5 、Delta−神経膠キメラ。
図9A. インプットDNA 量に対する凝集の依存性。A、それぞれ種々の量のpMTDl1 DNA (2 、4 、10または20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団(これらは続いて一定量のpMtNMg DNA (20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団と凝集条件下でインキュベートされた)を使用して観察された異型凝集。示されたデータは、それぞれのインプットDNA 量に関する4以上の細胞の凝集物中のDelta細胞の平均分率(%)±標準誤差である(2μg および10μg インプット(これらに関してN=2)を除いて、N=3反復)。最低100 のDelta発現細胞を、それぞれの反復につきカウントした。B、それぞれ種々の量のpMTDl1 DNA (2 、4 、10または20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団(これらは続いて凝集条件下でインキュベートされた)を使用して観察された同型凝集。データは、それぞれのインプットDNA 量に関する4以上の細胞の凝集物中のDelta細胞の平均分率(%)±標準誤差である(N=3反復)。最低500 のDelta発現細胞を、それぞれの反復につきカウントした。
図10. Delta−Serrateアミノ末端配列の配列。残基はDelta(D1、上の配列(配列番号:3);アミノ酸24で開始し、アミノ酸226で終了する)暗号配列およびSerrate(Ser、下の配列(配列番号:4);アミノ酸85で開始し、アミノ酸283 で終了する)暗号配列の概念上の翻訳に基いて番号を付される。二つの配列の間の垂直の線は、並べられたDelta配列およびSerrate配列内で同一である残基を示す。ドットは配列中の間隙を表す。ボックスは並べられた領域内のシステイン残基を囲む。N1、アミノ近位ドメイン1;N2、アミノ近位ドメイン2;N3、アミノ近位ドメイン3。それぞれSTU B 構築物[GKIFP によるDeltaアミノ酸132(A)の置換]およびNAE B 構築物[Deltaアミノ酸197 とアミノ酸198 の間のRKIFの挿入]と関連する翻訳可能な挿入が野生型Delta配列の上に示される。
図11. Delta−Notch相互作用の潜在的な幾何学。A、向かい合っている原形質膜の間で相互作用するDelta(左)とNotch(右)分子の潜在的なレジスタ。B、同じ原形質膜内で相互作用するDelta(左)とNotch(右)分子の潜在的なレジスタ。ELR 、EGF 様繰返し;オープンボックス、EGF 様繰返し;ドット付きボックス、LNR 繰返し;ソリッドボックス、膜をスパンするらせん。Deltaアミノ末端ドメイン並びにDeltaおよびNotch細胞内ドメインが長円体により表される。
図12. Delta−Delta相互作用の潜在的な幾何学。AおよびB、向かい合っている原形質膜の間で相互作用するDelta分子の潜在的なレジスタ。B、同じ原形質膜内で相互作用するDelta分子の潜在的なレジスタ。オープンボックス、EGF 様繰返し;ソリッドボックス、膜をスパンするらせん。Deltaアミノ末端細胞外ドメインおよび細胞内ドメインが長円体により表される。
図13. DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)。Dl1 cDNAの5'-3' 鎖のDNA 配列が示され、これはKopczynksiら(1988,Genes Dev.2,1723-1735)により示された配列と比較して幾つかの修正を含む。
図14. 神経膠cDNA 1B7A-250 の一次ヌクレオチド配列(配列番号:7)。これは1B7A-250 cDNA (A.J.Bieber,pers.comm.;Hortschら,1990,Neuron4, 697-709) の5'-3' 鎖の一部のDNA 配列である。ヌクレオチド2890は、概念上翻訳された神経膠−長い形態のタンパク質のアミノ酸952 を暗号化するイソロイシンコドンの第一ヌクレオチドに相当する。
図15. SerrateDeltaの間の核酸配列相同性。下に記載された暗号化されたSerrateタンパク質配列(配列番号:9)(Flemingら,1990,Genes &Dev.4, 2188-2201、2193-94)と共にショウジョウバエSerrateヌクレオチド配列(配列番号:8)の一部が示される。ショウジョウバエのDelta配列との高い配列相同性を示す四つの領域が線の上に番号を付され、括弧により示される。相同性の全体の領域が、Serrateヌクレオチド配列(Fleming ら,1990,Genes&Dev.4, 2188-2201の図4のようなナンバリング)のヌクレオチド番号627 〜1290をスパンする。
図16. ヒトNotchのクローニングのPCR に使用されるプライマー。ヒト胎児の脳cDNAライブラリー中のDNA を増幅するためにPCR に使用される三つのプライマーの配列が示される。三つのプライマー、cdc1(配列番号:10)、cdc2(配列番号:11)、およびcdc3(配列番号:12)を、それぞれ、プライマー対cdc1/cdc2 またはcdc1/cdc3 として200bp または400bp のフラグメントを増幅するように設計した。I:イノシン。
図17. ヒトNotchクローンの略図。ヒトNotchの略図が示される。その線図の下の太字体の線は、四つのcDNAクローンのそれぞれに含まれるNotch配列のその部分を示す。PCR に使用されたプライマーの位置、およびそれらの配向が矢印により示される。
図18. ショウジョウバエNotch配列と並べられたヒトNotch配列。番号を付された垂直の線はショウジョウバエNotch座標に相当する。それぞれのマップの下の水平の線は、クローンが配列の伸長(太い水平の線)に対して置かれている場所を示す。
図19. プラスミドcDNAクローンhN2K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列。図19A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:13)が示され、これは3'末端でEcoRI 部位で開始し、3'から5'への方向に進む。図19B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:14)が示され、これは5'末端でEcoRI 部位で開始し、5'から3'への方向に進む。図19C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:15)が示され、これは図19B に示された配列の3'から開始し、5'から3'への方向に進む。示された配列は暫定的であり、オーバーラップ配列の決定による確認を受ける。
図20. プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列。図20A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:16)が示され、これは3'末端でEcoRI 部位で開始し、3'から5'への方向に進む。図20B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:17)が示され、これは5'末端でEcoRI 部位で開始し、5'から3'への方向に進む。図20C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:18)が示され、これは図20B に示された配列の3'から開始し、5'から3'への方向に進む。図20D :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:19)が示され、これは図20A に示された配列の5'から開始し、3'から5'への方向に進む。示された配列は暫定的であり、オーバーラップ配列の決定による確認を受ける。
図21. プラスミドcDNAクローンhN4K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列。図21A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:20)が示され、これは5'末端でEcoRI 部位で開始し、5'から3'への方向に進む。図21B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:21)が示され、これは3'末端付近で開始し、3'から5'への方向に進む。示された配列は暫定的であり、オーバーラップ配列の決定による確認を受ける。
図22. プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列。図22A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:22)が示され、これは5'末端でEcoRI 部位で開始し、5'から3'への方向に進む。図22B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:23)が示され、これは3'末端付近で開始し、3'から5'への方向に進む。図22C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:24)が示され、これは図22Aに示された配列の3'から開始し、5'から3'への方向に進む。図22D :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:25)が示され、これは図22B に示された配列の5'から開始し、3'から5'への方向に進む。示された配列は暫定的であり、オーバーラップ配列の決定による確認を受ける。
図23. プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)。
図24. プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)。
図25. hN5Kとその他のNotch相同体の比較。図25A.ショウジョウバエNotchの略図。シグナル配列(シグナル)、36のEGF 様繰返し、三つのNotchlin-12 繰返し、膜貫通ドメイン(TM)、6のCDC10 繰返し、OPA 繰返し、および PEST(プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン)に富む領域が示される。図25B.hN5Kの演繹アミノ酸配列とその他のNotch相同体の配列の配列。アミノ酸が左側で番号を付される。cdc10 領域およびPESTに富む領域が両方とも箱形にされ、そして個々のcdc10 繰返しがマークされる。三つ以上の配列中で同一であるアミノ酸が目立つように示される。hN5Kをクローン化するのに使用されたプライマーが、それらが設計された配列の下に示される。核局在配列(NLS) 、カゼインキナーゼII(CKII)、および脊椎動物のNotch相同体の推定のCcN モチーフのcdc2キナーゼ(cdc2)部位が箱形にされる。また、ショウジョウバエNotchの可能な二連の核標的配列(BNTS)および近位のホスホリル化部位が箱形にされる。
5.発明の詳細な説明
本発明は、ヒトのNotch遺伝子およびDelta遺伝子のヌクレオチド配列、およびそれらの暗号化されたタンパク質のアミノ酸配列に関する。更に、本発明はトポリズミックタンパク質またはその接着フラグメントへの同型または異型の結合を媒介するトポリスミック遺伝子により暗号化されたタンパク質のフラグメント(本明細書中、“接着フラグメント”と称される)に関する。本明細書に使用されるトポリスミック遺伝子は、遺伝子NotchDelta、およびSerrateを意味するだけでなく、例えば、下記の項5.3 に記載された方法により同定し得るDeltaSerrateファミリーのその他の員を意味する。
本発明の核酸配列およびアミノ酸配列並びにその抗体は、ヒトのNotchおよびDelta並びに接着分子のmRNAの検出および定量化、その発現の研究、ヒトのNotchおよびDelta並びに接着配列の生産、分化プロセスの研究および操作に使用し得る。
開示の明瞭化のために、そして限定のためでなく、本発明の詳細な説明は下記の小区分の項に分けられる。
(i) トポリズミックタンパク質ドメインへの結合を媒介するトポリズミックタンパク質ドメインの同定およびその配列;
(ii)ヒトのNotchおよびDeltaのクローニングおよび配列決定;
(iii) DeltaSerrateファミリーの付加的な員の同定;
(iv)トポリズミック遺伝子の発現;
(v) 発現された遺伝子生産物の同定および精製;並びに
(vi)トポリズミックタンパク質およびその接着配列の抗体の生産
5.1.トポリズミック蛋白領域への結合を仲介するトポリズミック蛋白領域の同定およびその配列
本発明は、ホモタイプまたはヘテロタイプの結合(ここではこれを“接着性(adhesive)”と称する)を仲介するトポリズミック蛋白フラグメント、およびそれらの類縁体または誘導体、そしてこれらに関連する核酸配列を提供する。
特定の実施例において、Notchの接着性フラグメントは、ELR11および12、すなわちショウジョウバエ(Drosophila)のNotch配列のアミノ酸447から527番目(配列番号:1)にほとんど相同なNotchの部分を含むものである(図8参照)。他の特定の実施例において、ホモタイプ結合を仲介する Deltaの接着性フラグメントは、ショウジョウバエのDelta配列のアミノ酸32−230番目付近(配列番号:6)にほとんど相同なDeltaの部分を含むものである。さらに別の特定の実施例において、Notchへの結合を仲介するDeltaの接着性フラグメントは、ショウジョウバエのDelta配列のアミノ酸1−230番目付近(配列番号:6)にほとんど相同なDeltaの部分を含むものである。Serrateの接着性フラグメントに関する特定の実施例において、このフラグメントは、ショウジョウバエのSerrate配列のアミノ酸85−283または79−282番目付近にほとんど相同なSerrateの部分を含むものである(図10(配列番号:4)および図15(配列番号:9)参照)。
トポリズミック接着性ドメインをコードする核酸配列は、霊長類を起源とする場合と同様に、ブタ、ウシ、ネコ、鳥類、馬又は犬から単離され得る。また既知のトポリズミック遺伝子(以下の遺伝子を含むがこれに限定されるものではない(カッコ内に配列の公表文献を示す):Notch(Wharton et al., 1985, Cell43,567-581),Delta(Vassin et al., 1987,EMBO J.6,3431-3440; Kopczynski et al.,1988,Genes Dav.2,1723-1735;Kopczynskiらへの訂正、本文図13(配列番号:5および配列番号:6)の配列に留意すること、およびSerrate(Fleming et al.,1990,Genes & Dev,4,2188-2201) を有する他の種が同定され得る。これらの配列は、機能的に同等の(接着性)分子を提供する置換、付加または欠失によって変更され得る。配列をコードするヌクレオチドの同義性により、この接着性配列と実質的に同じアミノ酸配列をコードする、別のDNA配列も、本発明の実施上使用することができる。これらの中に、サイレント変化を生ずる配列中で機能的に等価なアミノ酸残基をコードする別のコドンの置換によって、変更された、NotchDeltaまたはSerrate遺伝子の全部または一部を含むヌクレオチド配列が含まれるが、これに限定されるものではない。
同様に、本発明の接着性蛋白フラグメントまたはそれらの誘導体は、アミノ酸の一次配列として、機能的に同等のアミノ酸残基がサイレント変化を起こす配列の範囲内で置換された変更配列を含む接着ドメインのアミノ酸配列の全部又は一部を含む配列を含むが、これに限定されるものではない。例えば、当該配列中の1又はそれ以上のアミノ酸残基は、サイレント変更に結びつく機能的に同等の他のアミノ酸に置換され得る。配列中のアミノ酸の置換物として、そのアミノ酸が属するグループの別のものから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸にはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンがある。極性で中性のアミノ酸にはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンがある。陽性荷電(塩基性)アミノ酸にはアルギニン、リシンおよびヒスチジンがある。陰性荷電(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸がある。
トポリズミック蛋白の接着性フラグメント、および接着性トポリズミック蛋白配列に関連する潜在的な誘導体、類似体、またはペプチドは、目的とする結合活性等を、例えば実施例に記載されたin vitro凝集検定によって、測定され得る。トポリズミック蛋白の接着性誘導体又は接着性類縁体は、その接着性フラグメントに実質的に相同な当該ペプチド、あるいはそれをコードする核酸が接着性フラグメントをコードする核酸配列に対してハイブリダイズすることができる当該ペプチドを含むがこれに限定されるものではない。そして、当該ペプチド及びペプチド類縁体は、例えば下記の実施例の節に述べるような凝集検定によるin vitroでの試験で陽性の結合活性等を示す。これらの誘導体および類縁体は想像上のものであり、本発明の範囲に含まれる。
本発明の接着性蛋白に関連する誘導体、類縁体およびペプチドは、当分野で知られた種々の方法で調製し得る。これらを調製する操作は遺伝子または蛋白レベルで行なうことができる。例をあげると、クローン化された接着性蛋白をコードする遺伝子配列は、当分野で知られた数多くの戦略のいずれによってでも修飾することができる(Maniatis,T.,1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor,New York)。
配列は適当な位置で(1またはそれ以上の)制限酵素で切断され、所望によりさらに酵素的に修飾され、単離され、in vitroで連結される。接着性ドメインに関連する誘導体、類縁体またはペプチドをコードする遺伝子の調製においては、修飾された遺伝子が、目的とする接着性活性がコードされた遺伝子の範囲内で、翻訳停止シグナルに阻止されずに、接着性蛋白と同じ翻訳読み取り枠内に確実にとどまるように、注意が必要である。
さらに、接着性をコードする核酸配列は、配列の翻訳、開始および/または終決の形成および/または破壊、あるいはコード領域の変更の形成および/または新しい制限エンドヌクレアーゼ部位の形成またはそれまでの部位の破壊して、in vitroでのそれ以上の修飾を促進させるために、in vitroまたはin vivoでの突然変異を起こさせることもできる。当分野で既知の突然変異誘発の技術のどれでも使用することができ、これらにはin vitroでの部位特異的突然変異(Hutchinson,C.,et al.,1978, J.Biol.Chem. 253, 6551)、TABリンカー(Pharmacia )の使用、その他が含まれるが、これらに限定されるものではない。
接着性配列の操作は蛋白レベルで行なうこともできる。本発明の範囲には、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、蛋白加水分解、抗体分子または他の細胞リガンドへの連結その他によって、翻訳中又はその後に特異的に修飾されたトポリズミック蛋白、類縁体または誘導体が含まれる。数多くの化学的修飾の中で以下に示すどれでも既知の技術で実施することができるが、これらに限定されるものではない:臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBHによる特異的化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシン(tunicamycin )の存在下での代謝合成;その他。
さらに、接着性フラグメントに関連する類縁体およびペプチドを化学的に合成することもできる。例えば、目的とする invitroでの凝集活性を仲介するトポリズミック蛋白の部分に相当するペプチドがペプチド合成装置を用いることにより合成され得る。
本発明の別の特定の実施例は、他のDelta蛋白またはフラグメントあるいはそれらの誘導体と結合する能力はあるが、Notchには結合しない、あるDelta蛋白のフラグメントまたは誘導体に関するものである。これらの結合あるいはその欠失は8節で述べるようにin vitroで検定することができる。実施例に限定されるものではないが、これによれば、そのようなDelta誘導体は、ショウジョウバエ蛋白のDeltaの残基198と199の間にテトラペプチド、Arg-Lys-Ile-Phe が挿入されているものである。
5.2.ヒトNotchおよびDeltaのクローン化および配列決定
本発明はさらに、抗原決定基を含む(すなわち、抗体によって認識され得る)又は機能的に活性な、ヒトNotch及びヒトDeltaのアミノ酸配列及びそれらのフラグメント及び誘導体、並びにこれらをコードする核酸配列に関する。ここで使用される、“機能的に活性な”物質とは、全長(野生型)蛋白生成物と共通する既知の機能上の活性の1またはそれ以上を示す物質を称するものであり、例えばNotchの場合ならば、Deltaへの結合、Serrateへの結合、抗原性(抗Notch抗体への結合)その他がある。
特定の実施例において、本発明は少なくとも40アミノ酸、または少なくとも77アミノ酸からなる、ヒトNotch蛋白のフラグメントを提供する。他の実施例において、本発明の蛋白は、本質的に、ヒトNotch蛋白の細胞内領域、貫膜部分、細胞外領域、cdc10部分、Notchlin−12の繰り返し、またはEGF相同繰り返し、または上記のいずれかの組合せを含むか、あるいは本質的にそれらからなっている。ヒトNotchのEGF相同繰り返しのいくつかまたはすべてを欠失しているフラグメント、あるいはそのフラグメントを含む蛋白もまた提供される。
他の特定の実施例において、本発明はさらに、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、または少なくとも121ヌクレオチドからなる、ヒトNotchおよびヒトDeltaのヌクレオチド配列または副配列に及ぶ。上述の蛋白および蛋白フラグメントをコードする核酸もまた提供される。並びに、これらの核酸に相補的で、これらにハイブリダイズし得る核酸が提供される。ある実施例において、このような相補的配列として、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも121ヌクレオチドのヒトNotch cDNA配列に相補的なものであろう。好ましさという点で、本発明はヒトNotchまたはその一部をコードするcDNA配列に関連する。特定の実施例において、本発明は、ヒトNotch遺伝子またはcDNAのヌクレオチド配列、特に図19,20,21および/または22に示す配列(配列番号:13から配列番号:25)、またはプラスミドhN3k,hN4kまたはhN5kに含まれる配列(下記9節参照)、およびコードされたNotch蛋白配列に関するものである。きわめて明らかなことであるが、ここで使用する“Notch蛋白フラグメントまたはその一部分をコードする核酸”とは、Notch蛋白の中の対象とするフラグメントまたはその一部分のみをコードし、Notch蛋白のその他の部分はコードしない核酸を示すものと解釈されなければならない。
限定するものではないが、本発明の好ましい態様として、ヒトNotch DNA配列が下記9節に述べる方法によって、クローン化され、配列決定され得る。
ヒトDeltaのクローニングの好ましい実施例として、以下に具体的な例を示すが、これに限定されるものではない:
ヒト発現ライブラリーを、当分野で既知の方法によって構築する。例えば、ヒトmRNAを単離し、cDNAを生成させ、続いて宿主細胞中に導入した場合に、この宿主細胞によって発現することのできる発現ベクター(例えばバクテリオファージ誘導体)に連結する。そして、この発現されたヒトDelta生成物を選別するために、種々のスクリーニング検定を使用することができる。ある例においては、ヒトNotchの接着性領域(すなわちショウジョウバエELR11および12(配列番号:1)にきわめて相同なヒトNotchの部分)への陽性結合を基準として、選別が行なわれ得る。別の例では、選別のために抗Delta抗体が使用され得る。
他の好ましい様相として、選別に先立ち、PCRにより、ライブラリー中の目的とする配列を増幅させることができる。例えば、PCRにおけるプライマーとして、目的とする遺伝子の相同体によってコードされた接着性領域の部分に相当するオリゴヌクレオチドプライマーが使用され得る。
上記の方法は、ヒトNotchおよびDeltaのクローンを得るための方法についての、以下の一般的記述を限定するために述べたものではない。
NotchおよびDelta遺伝子の分子クローニングのための核酸源として、どのようなヒト細胞でも使用することが可能である。当該DNAは、クローン化されたDNA(例えば、DNA“ライブラリー”)からの当分野で既知の標準的な操作法、化学合成、cDNAクローニング、または目的とするヒト細胞から精製されたゲノムDNAまたはそのフラグメントのクローニング、のいずれかによって、得ることができる(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbar Laboratory, Cold Spring Harber,New York:Glover,D.M.(ed.),1985,DNA Cloning:A Practical Approach,MRL Press,Ltd.,Oxford,U.K.Vol.I,II.参照)。ゲノムDNAから誘導されるクローンはコード部分の他に調節およびイントロンDNA部分を含んでもよい;cDNAから誘導されるクローンはエクソン配列のみを含むはずである。由来が何であれ、その遺伝子を当該遺伝子を増殖させるため、適当なベクター中に分子クローン化する必要がある。
ゲノムDNAからの遺伝子の分子クローニングにおいて、DNAフラグメントが生成し、それらの中のいくつかは目的とする遺伝子をコードする。DNAは種々の制限酵素を使用することにより、特異的部位で切断してもよい。または、DNAをフラグメント化するため、マンガン存在下でDNAアーゼを使用するか、又は例えば超音波処理によって、DNAを物理的に切断することもできる。そして、標準的な方法を用いて、線状DNAフラグメントが大きさによって分離され得る。こうした方法にはアガロースおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動およびカラムクロマトグラフィーがあるが、これらに限定されるものではない。
いったんDNAフラグメントが生成すると、目的とする遺伝子を含んでいる特定のDNAフラグメントの同定を、さまざまの方法で実施することができる。例えば、一定量のNotchまたはDelta遺伝子(種は限定されない)部分またはそれに特異的なRNAの部分、あるいは例えば接着性ドメイン等の当該フラグメントが入手でき、精製および標識ができるならば、生成したDNAフラグメントを、その標識プローブに核酸ハイブリダイズさせることによって、スクリーニングすることができる(Benton,W.and Davis,R.,1977,Science 196,180; Grunstein,M.and Hogness,D.,1975, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.72,3961)。プローブに実質的に相同なDNAはハイブリダイズするはずである。既知の制限マップがあれば、(1または複数の)制限酵素による消化を行い、この既知の制限マップを使って、フラグメントの大きさを目的とするものと比較することによって、適切なフラグメントを同定することも可能である。さらに、遺伝子の特性に基づいて、選別を行なうこともできる。その他に、遺伝子の存在を、その発現生成物の物理的、化学的または免疫学的特性に基づいた検定によって検出することも可能である。例えば、NotchまたはDeltaに関して既知のものと類似または同一の電気泳動、等電点電気泳動、蛋白加水分解マップ、in vitro凝集活性(“接着性”)あるいは抗原特性などを有する蛋白を生成する、cDNAクローンまたは対応するmRNAをハイブリッド選択するDNAクローンを選別することができる。NotchまたはDeltaの抗体が入手できる場合は、ELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)型の操作法を使用して、標識抗体をNotchまたはDelta合成クローンと推定される物質に結合させることにより、NotchまたはDelta蛋白を同定することができる。
NotchまたはDelta遺伝子は、核酸ハイブリダイズによるmRNA選別とin vitro翻訳によっても同定することができる。この方法においては、ハイブリダイズによって、相補的なmRNAを単離するために、フラグメントが使用される。このDNAフラグメントは、入手可能な、精製された別の種(例えばショウジョウバエ)のNotchまたはDelta DNAのことであり得る。単離されたmRNAの生成物を単離し、そのin vitro翻訳生成物の免疫沈降検定または機能検定(例えばin vitro凝集活性;下記の例参照)を行なうことによって、mRNAが同定され、したがって目的とする配列を含む相補的なDNAフラグメントが同定される。さらに、NotchまたはDelta蛋白質に対して特異的な固定化抗体に、細胞から単離したポリソームを吸着させることによって、特定のmRNAを選別することができる。この(吸着したポリソームから)選別したmRNAを鋳型として使用して、放射性標識NotchまたはDeltaのcDNAを合成することができる。この放射性標識mRNAまたはcDNAは、つづいて、他のゲノムDNAフラグメントを含むものの中から、NotchまたはDeltaDNAフラグメントを同定するために使用され得る。
NotchまたはDeltaゲノムDNAを単離する変法として、既知の配列からの遺伝子配列自体の化学合成、あるいはNotchまたはDelta遺伝子をコードするmRNAに対するcDNAの生成が含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、NotchまたはDelta遺伝子のcDNAクローニングのためのRNAはNotchまたはDeltaを発現する細胞から単離され得る。他の方法も可能であり、本発明の範囲に含まれる。
同定され、単離された遺伝子は、つづいて、適当なクローニングベクター中に挿入され得る。当分野で既知の数多くのベクター−宿主系が使用され得る。可能なベクターとしては、プラスミドまたは改変ウィルスが含まれるがこれに限定されるわけではない。しかし、そのベクター系は、使用する宿主と適合しなければならない。こうしたベクターとして、限定するわけではないが、ラムダ誘導体等のバクテリオファージまたはPBR322若しくはpUCプラスミド誘導体が含まれる。クローニングベクター中への挿入は、例えば、相補的付着末端を有するクローニングベクター中に、DNAフラグメントを連結させることによって、実施することができる。しかし、DNAをフラグメント化したときに使用した制限部位がそのクローニングベクターに存在しない場合は、DNA分子の末端を酵素によって修飾してもよい。その他、DNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を連結させることによって、必要などんな部位でも作成することができる;こうした連結リンカーとして、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学合成オリゴヌクレオチドが含まれる。他の方法において、切断されたベクターとNotchまたはDelta遺伝子をホモポリマー末端法によって修飾するものがある。遺伝子配列の多数のコピーを生成させるために、形質転換、形質導入、感染、エレクトロポーレーションその他により、組み換え体分子を宿主細胞に導入することができる。
他の方法において、目的とする遺伝子を”ショットガン”法によって適当なクローニングベクター中に挿入した後、同定し単離することもある。例えばサイズ分画などによる、目的遺伝子の富化は、クローニングベクター中への挿入前に実施することができる。
特定の実施例において、単離NotchまたはDelta遺伝子、cDNA、または合成DNA配列を組み入れた、組み換え体DNA分子による宿主細胞の形質転換によって、その遺伝子の多数のコピーの作成が可能である。こうして、形質転換体を増殖させ、その形質転換細胞から組み換え体DNA分子を単離し、必要ならば、単離した組み換え体DNAから挿入遺伝子を回収することによって、大量の遺伝子を得ることができる。
本発明によって提供されるヒトNotchおよびDelta配列は、トポリズミック蛋白の接着性部分について、上記5.1節に述べたように、ヒトNotchおよびヒトDelta中で発見されたアミノ酸配列と実質的に等しいアミノ酸をコードするヌクレオチド配列、および機能的に同等なアミノ酸からなる、コードされたアミノ酸配列を含むものである。
5.3.Delta /Serrate ファミリーのその他のメンバーの同定
DeltaSerrate遺伝子ファミリーのその他のメンバーの合理的な検索は、Serrate とDelta との間の顕著な相同を保存する部分が存在すること (第10図、配列番号:3 および:4参照) を利用する方法を用いて、実施することができる。例えば、この遺伝子ファミリーのその他のメンバーは、多様の核酸配列の中から、SerrateおよびDeltaの双方に相同する配列 (第13図 (配列番号:5)および第15図 (配列番号:8)) を選び、この選ばれた配列の中から、SerrateおよびDeltaに相同でない核酸配列をも含有するものを同定することによって、決定することができる。「相同でない」という用語は、少なくとも約6個の連続したヌクレオチドを含み、その中の少なくとも約2個がSerrateおよびDelta配列と異なっている領域を意味するものと解されてよい。
例えば、本発明の好ましい特定の態様は、下記の方法を提供する。DeltaSerrateとの間の2つの保存された部分、即ちDeltaAA63-73およびDeltaAA 195-206 ( 第13図、配列番号:6)に対応して、約10〜20個のヌクレオチドの縮重オリゴヌクレオチドプローブの組を合成することができ、この組は約3〜7個の連続したコドンについてのDelta およびSerrate のいずれかに見出されるアミノ酸のすべての有り得るコード配列を表わしている。他の態様では、第15図 (配列番号:8 および:9) に示されたDelta とSerrate との間の4つの高度に保存された領域の部分、即ちSerrateAA 124-134 、149-158、 214-219、および250-259 で表わされる部分に対応して、オリゴヌクレオチドを得ることができる。この合成オリゴヌクレオチドは、有望な源 (RNAまたはDNA) からの配列をPCRによって増幅するためのプライマーとして利用されうる (PCRは、例えばパーキン・エルマーシータスの熱循環器および Taqポリメラーゼ (Gene AmpTR) の使用によっで実施することができる) 。これには、Serrate およびDelta に密接に関連したポリペプチドを発現しうるいずれかの真核生物の種からの、mRNA、cDNAまたはゲノムDNAが含まれるだろう。このPCR反応を実施することによって、SerrateとDeltaとの間の保存配列の上記セグメントを共有する遺伝子、または遺伝子産物を検出することができる。数種の異なった縮重プライマーを合成することを選ぶ場合には、かなり少数のPCR反応で完全な検索を実施することが可能となろう。さらに未知の遺伝子とSerrateまたはDelta との間のヌクレオチド配列の類似性の程度の多少を許容するために、PCR反応の開始に用いられるハイブリッド形成条件のストリンジェンシー(緊縮性)を変更することも可能である。もしSerrate /Delta 遺伝子ファミリーのうちのそれまで未知のメンバーのセグメントが首尾よく増幅されるならば、このセグメントは分子クローニングされ、配列決定され、そして完全なcDNAまたはゲノムクローンを単離するプローブとして利用されうる。その後、これは未知の遺伝子の完全なヌクレオチド配列の決定、その発現の分析、および機能分析用のタンパク質産物の生産を可能にするだろう。この方法で、「接着」タンパク質をコード化するその他の遺伝子が同定されうる。
さらに本発明は、SerrateDelta遺伝子ファミリーのメンバーではあるが、自然には存在しないかも知れない新規な組換え分子の設計において、SerrateDelta 配列相同の使用を可能にする。例えば、制限を課する意味ではないが、Serrate とDelta との双方の遺伝子の部分より成る組換え分子を、本発明によって構築することができる。このような分子は、Serrate およびDelta の双方に関連する特性を示し、アゴニストおよびアンタゴニストを含む生物活性の新しい側面を表わしうる。Serrate およびDelta の一次配列は、コンピュータ・シミュレーション (ホップおよびウッズ、1981年、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78, 3824-3828)を用いて分子の三次構造を推定する目的に使用されうる。三次構造および生物学的機能間の相関を考慮して、SerrateDelta のキメラ組換え遺伝子を設計することができるであろう。同様に、トポリズミック遺伝子ファミリー (例えばNotch) の一つ以上のメンバーの部分より成るキメラ遺伝子を、構築することができる。
5.4.トポリズミック遺伝子の発現
トポリズミックタンパク質 (好ましくはNotchSerrate、またはDelta)の接着断片、またはその接着性類似体または誘導体、またはヒトNotch またはDelta またはその機能的に活性な断片または誘導体をコードするヌクレオチド配列は、挿入されるタンパク質をコードする配列の転写および翻訳に必要な要素を含有するベクターのような、適当な発現ベクターに、挿入できる。必要な転写および翻訳シグナルは、未然トポリズミック遺伝子、および/またはそのフランキング領域によって、提供される。タンパク質コード配列を発現するために、多種の宿主・ベクター系を利用できる。これらにはウイルス (例えばワクシニア・ウイルス、アデノウイルス等) に感染する哺乳動物の細胞系や、ウイルス (例えばバキュロウイルス) に感染する昆虫細胞系や、酵母ベクターを含む酵母のような微生物や、バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNAで転換されるバクテリアを含むが、これらに限られない。ベクターの発現要素は、その強度および特異性が変化する。利用される宿主・ベクター系に依って、多数の適当な転写および翻訳要素のいずれか一つを使用してもよい。特定の態様において、例えばEGF−様繰返し11および12をコードするNotch 遺伝子の接着部分が発現される。他の態様では、例えばアミノ酸1-230をコードするDelta遺伝子の接着部分が発現される。他の特定態様では、ヒトNotch またはヒトDelta遺伝子、またはヒトNotch またはDelta の機能的に活性な部分をコードする配列が発現される。されらに別の態様では、Serrate遺伝子の接着部分が発現される。
ベクターへのDNA断片の挿入に使用される上述の方法のいずれかを、適切な転写/翻訳調節シグナルと、タンパク質コード配列とより成るキメラ遺伝子を含む発現ベクターを構築するために用いてもよい。これらの方法には、in vitro組換え体DNAおよび合成技術、さらにin vivo組換え体 (遺伝子組換え) を含むことがある。トポリズミックタンパク質またはペプチド断片をコードする核酸配列の発現は、このトポリズミックタンパク質またはペプチドが組換えDNA分子で形質転換された宿主で発現されるように、第二の核酸配列によって調節されてもよい。例えば、トポリズミックタンパク質の発現を、当該分野で周知のプロモーターまたはエンハンガー要素のいずれかによって制御してもよい。トポリズミック遺伝子発現を制御するために用いられうるプロモーターには、SV40初期プロモーター領域 (BernoistとChambon, 1981, Nature, 290, 304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'ロング・ターミナル・リピートに含まれるプロモーター (山本ら, 1980,Cell 22, 787-797) 、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター( ワグナーら, 1981, 「Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 」78,1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列 (ブリンスターら, 1982, 296, 39-42)、β−ラクタマーゼプロモーターのような原核発現ベクター (ビラ・カマロフら, 1978, 「Proc. Natl.Acad. Sci. U.S.A.」 75, 3727-3731) または tacプロモーター(DeBoer ら, 1983, 「Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 」80,21-25)、さらに「サイエンティフィクアメリカン」1980, 242, 74-94掲載「組換えバクテリアからの有用なタンパク質」参照、ノパリンシンセターゼプロモーター領域 (ヘレラ・エストレラら,「ネイチア」303, 209-213) または、カリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター (ガードナーら, 1981,「Nucl. Acids Res.」9, 2871)、および光合成酵素リブロースビホスフェート・カルボキシラーゼ (ヘレラ・エストレラら, 1984,「ネイチア」310, 115-120) を含む植物発現ベクター、および酵母または Gal 4 プロモーター、ADC (アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK (ホスホグリセロール・キナーゼ) プロモーター、アルカリ性ホスファターゼプロモーター、および膵臓房状細胞内で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域 (スイフトら,1984,「細胞」38, 639-646; オーニッツら, 1986,「Cold SpringHarbor Symp. Quamt. Biol. 50, 399-409 ; マクドナルド, 1987, 「肝臓学」 7, 425-515); 膵臓ベータ細胞内で活性なインシュリン遺伝子制御領域 (ハナハン、1985「ネイチア」 315, 115-122)、リンパ細胞内で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域 (グロスケドルら、1984, 「細胞」 38, 647-658; アダムスら、1985,「ネイチア」318, 533-538, アレキサンダーら, 1987, 「Mol.Cell. Biol. 」7, 1436-1444) 、精巣、乳房、リンパ細胞およびマスト細胞内で活性なマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域 (レダーら, 1986, 「細胞」45, 485-495)、肝臓内で活性なアルブミン遺伝子制御領域 (ピンカートら, 1978, 「遺伝子および開発」 1,268-276)、肝臓内で活性なアルファ・フェトプロテイン遺伝子制御領域 (クルムラウフら, 1985, 「Mol. Cell. Biol.」5, 1639-1648; ハンマーら, 1987, 「科学」 235, 53-58)、肝臓内で活性なアルファ1−アンチトリプシン遺伝子制御領域 (ケルセイら,1987, 「遺伝子および開発」 1, 161-171)、骨髄細胞内で活性なベータグロビン遺伝子制御領域 (モグラムら, 1985,「ネイチア」315, 338-340; コリアズら 1986,「細胞」 46, 89-94) 、脳のオリゴデンドロサイト細胞内で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域 (リードヘッドら, 1987, 「細胞」 48, 703-712) 、骨格筋内で活性なミオシン軽鎖2遺伝子制御領域 (サニ, 1985,「ネイチア」, 314,283-286)、および視床下部内で活性な生殖腺刺激性放出ホルモン遺伝子制御領域 (メイソンら, 1986, 「科学」 234, 1372-1378) などの、組織特異性を示しトランスジェニック動物に利用された上記の動物転写制御領域などが含まれるが、これらに限られない。
トポリズミック遺伝子挿入体を含有する発現ベクターは、a核酸ハイブリッド形成、b「マーカー」遺伝子機能の存在または不在、およびc挿入された配列の発現という、3つの一般的な方法によって、同定することができる。第一の方法では、発現ベクターに挿入された外来遺伝子の存在は、挿入されたトポリズミック遺伝子と相同な配列より成るプローブを用いる核酸ハイブリッド形成によって、検出することができる。第二の方法においては、組換え体ベクターまたは宿主系は、ベクターへの外来遺伝子の挿入によって生じる或る「マーカー」遺伝子機能 (例えばチミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性、形質転換発現型、バキュロウイルス内の封入体形成など) の存在または不在をもとにして、同定し選択することができる。例えば、もしトポリズミック遺伝子がベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入されると、トポリズミック挿入体を含む組換え体は、マーカー遺伝子機能の不在によって同定することができる。第三の方法では、組換え体発現ベクターは、この組換え体によって発現された外来遺伝子産物を分析することによって同定することができる。これらの分析は、例えば凝集 (接着) 能力 (下記第6−8節参照) のような、試験管内分析系におけるトポリズミック遺伝子産物の物理的または機能的特性にもとずいて行なうことができる。
特定の組換えDNA分子が同定され単離されると、それを増殖させるために、当該分野で知られたいくつかの方法を用いることができる。適当な宿主系と増殖条件が一旦決定されると、組換え体発現ベクターは多量に増殖され調製されることができる。すでに説明されたように、使用できる発現ベクターは、ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスのようなヒトまたは動物のウイルス、バキュロウイルスのような昆虫のウイルス、酵母ベクター、バクテリオファージベクター (例えばラムダ) 、およびプラスミドとコスミドDNAベクターを、その少数例とする上記のベクターとその誘導体を含むが、それに限られない。
さらに、所望の特定な方法で挿入された配列の発現を調整するか、または遺伝子産物を修飾しプロセシングする宿主細胞株を選択することも可能である。ある種のプロモーターからの発現は、ある種の誘導物質の存在下に向上させることができる。かくして遺伝子操作されたトポリズミックタンパク質の発現の制御が、可能となる。その上、異なった宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後プロセシングや修飾 (例えばグリコシル化や切断) のための、特徴的で特異な機構をもっている。発現された外来タンパク質の所望の修飾とプロセシングを確実にするために、適切な細胞系または宿主系を選択することができる。例えばバクテリア系での発現を用いて、グリコシル化されていないコアタンパク質産物を生産することができる。酵母での発現は、グリコシル化された産物を得ることとなる。異種の哺乳類トポリズミックタンパク質の「天然」のグリコシル化を確実にするために、哺乳類細胞での発現を使用することができる。さらにさまざまのベクター/宿主発現系が、タンパク質切断のようなプロセシング反応を、さまざまな程度に実現することを可能とする。
他の具体的態様においては、接着性トポリズミックタンパク質、断片、類似体、または誘導体を、融合またはキメラタンパク類産物 (タンパク質、断片、類似物または誘導物を異種タンパク質配列に結合したもの) として、発現させることができる。このようなキメラ産物は、所望のアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を、公知の方法で適当な読み枠内で相互に連結し、キメラ産物を当該分野で広く知られた方法によって発現させることによって、製造することができる。また、このようなキメラ産物は、例えばペプチド合成機を使用するタンパク質合成技術によって、製造することができる。
cDNAならびにゲノム双方の配列をクローニングし、発現させることができる。
他の態様では、ヒトのNotch cDNA配列を、染色体をもとにして統合しかつ発現することが、可能である。公知の同種組換え手順が使用され得る。
5.4.1.発現された遺伝子産物の同定および精製
トポリズミック遺伝子配列を発現する組換え体が一旦同定されると、遺伝子産物の分析が可能となる。これは、生産物の放射性標識付けと、それに続くゲル電気泳動分析とを含めた、生産物の物理的または機能的特性に基づく分析によってなしとげられる。
トポリズミックタンパク質が一旦同定されると、クロマトグラフ法 (例えばイオン交換、アフィニティー、およびサイズカラムクロマトグラフ法) 、遠心分離、示差溶解度を含む標準方法によるか、タンパク質の精製を目的とする他の標準方法によって、単離され精製されることが可能となる。機能的特性は、凝集分析 (第6.8節参照) を含むがこれに限られない適当な分析を使用して、評価することが可能である。
5.5.トポリズミックタンパク質に対する抗体の生成およびその接着性配列
本発明によると、ホモタイプまたはヘテロタイプの結合を仲介するトポリズックタンパク断片、その類似体、またはその誘導体、つまりヒトNotch またはヒトDelta タンパク質またはその断片を、抗トポリズミックタンパク質抗体を生成するための免疫原として使うことが可能となる。これらの抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。一つの具体的態様では、Notch のEGF様繰返し11および12に特異的な抗体の調製が可能となる。他の態様においては、Delta の「接着部分」に反応する抗体を生成することができる。これら抗体の一例は、試験管内分析での凝集を防ぐことができる。他の態様では、ヒトのNotch に特異的な抗体が生産される。
トポリズミックタンパク質またはペプチドに対するポリクローナル抗体の生産には、公知の種々の手順を用いることが可能である。ある特別の態様では、第19, 20, 21, または22図 (配列番号:13-25)に示された配列によりコードされたヒトNotch タンパク質のエピトープに対するウサギポリクローナル抗体、またはそのサブ配列を得ることができる。抗体の生産のためには、ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに限られない種々の宿主動物を、天然のトポリズミックタンパク質、またはその合成品を注射することによって、免疫することができる。宿主の種に依っては、免疫学的な応答を増強するために種々のマジュバントを用いることが可能であり、これらにはフロインド (完全および不完全) 、水酸化アルミニウムのような鉱物質ゲル、リゾレシチンのような表面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン類、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG (カルメット−ゲラン杆菌) やコリネバクテリウム・パルバムのような有用なヒトアジュバントを含むが、これに限られない。
トポリズミックタンパク質の配列に向けられたモノクローナル抗体の調製の目的で、連続細胞系による抗体分子の生産をもたらす技術が、使用可能である。例としては、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術 (コズポーら,1983「現代免疫学」 4,72) 、およびヒトモノクローナル抗体を生産するEBV−ハイブリドーマ技術 (コールら,1985「モノクローナル抗体および癌治療」アランR.リス社, PP77-96)、およびコーラーとミルスタインにより初めて開発されたハイブリドーマ技術 (1975「ネイチア」256, 495-497) があげられる。
分子のイディオタイプを含む抗体断片は、既知の技術によって生成される。例えば、これら断片は、抗体分子のペプシン消化によって生産できる (ab')2 断片、F(ab')2 断片のジスルフィド橋を還元することによって生成できるFab'断片、およびパパインと還元剤とで抗体分子を処理することによって生成できるFab 断片を含むが、これらに限るものではない。
抗体の生産においては、所望の抗体のスクリーニングが、例えば ELISA (酵素結合イムノソルベント分析) のような公知の技術によって、なしとげられる。例えば、トポリズミックタンパク質の接着性ドメインを認識する抗体を選ぶためには、このドメインを含むタンパク質断片に結合する生産物について生成されたハイブリドーマを、分析してもよい。ヒトNotch に特異な抗体の選択には、ヒトNotch に対するポジティブ結合およびショウジョウバエのNotch への結合の不在に基づいて選ぶことができる。
上述の抗体は、本発明のタンパク質配列の局在化および活性に関する、公知の方法に用いることができる。例えば、種々の公知の免疫分析法が使用できる。ほんの数例をあげると、ラジオイノムアッセイ、 ELISA (酵素結合イムノソルベント分析) 、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散分析、凝集分析、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、および免疫電気泳動分析があるが、これらに限られない。
5.6.Notch 発現細胞への薬剤の運搬
本発明はまた、Notch 発現細胞への作用薬剤の運搬の方法を提供する。以下の第8節に述べるように、Notch 発現細胞の表面上のNotch タンパクへ結合すると、Delta たんぱく質はNotch 発現細胞に取り込まれるように見える。かくして本発明は、Delta タンパク質またはNotch に結合することができるその接着性断片または誘導体に薬剤を結合させ、そしてNotch 発現細胞をこの結合体に露出し、かくしてこの結合体を細胞に取り込ませることによって、Notch 発現細胞への薬剤の運搬を可能にする。この結合された薬剤は、標識または生理活性物質であってもよいが、これに限られない。生理活性物質は、治療剤、トキシン、化学療法剤、成長因子、酵素、ホルモン、薬剤、核酸 (例えば、アンチセンスDNAまたはRNA) などであってよい。一つの態様においては、X線像影用の金属コントラスト剤、磁気共鳴イメージング剤、およびラジオイメージング用の放射性核種 (例えば、アイソトープ)を含むが、それらに限らないイメージング剤であってよい。好ましい側面では、この剤は、Delta 分子のアミノ末端の半分の部位に結合される。
Delta と薬剤の結合体は、Notch 発現細胞を、Delta と薬剤との結合体を発現している細胞に露出するか、またはNotch 発現細胞を溶液、懸濁液、または他のキャリアー中でDelta と薬剤の結合体に露出することによって、Notch 発現細胞に受け渡すことができる。この受け渡しが生物体中でなされる場合は、Delta と薬剤の結合体は、製薬上許容される担体または賦形剤の中に配合して薬剤組成物とすることができる。製薬的に許容される担体は、塩水、リン酸緩衝溶液などを含有できる。Delta と薬剤の結合体は、液体、錠剤、丸剤、粉末、徐放性形態、リポソームなどとして調合することができ、経口、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、腹膣内注射などにより、投薬される。これらはほんの少数例にすぎない。好まし選択は、当業者の知識にもとづいて、容易になされる。
6.ショウジョウバエ中の2つのEGF−相同遺伝子である神経 遺伝子座Notch およびDelta のタンパク質産物間の分子相互作用
NotchおよびDelta遺伝子の産物間の分子間会合の可能性を検討すべく、我々はショウジョウバエ・シュナイダーの2 (S2) 細胞 (フェホンら,1990, 「細胞」61, 523-534)における凝集に対するそれらの発現の効果を研究した。我々はここに、Notch とDelta の間の分子間相互作用の直接の証拠を提示し、この相互作用の構成単位を切開する場合に用いられる分析系を説明する。我々は、Notch を発現する普通は接着性を示さないショウジョウバエS2の培養細胞が、Delta を発現する細胞に特異的に結合すること、およびこの凝集がカルシウムに依存することを示す。さらに、Notch を発現する細胞は相互に結合せず、Delta を発現する細胞は相互に結合するが、この事はNotch とDelta とが細胞の表面でDelta との結合について競合することができることを示唆する。さらに我々はNotch とDelta とが培養細胞および胚細胞の双方で、洗剤に可溶な複合体を形成することを示す証拠を示すが、この事はNotch およびDelta が、試験管内および生体内で分子レベルで、直接に相互作用することを暗示する。我々の分析結果は、NotchとDelta のタンパク質が、それらの細胞外ドメインを介して、細胞表面で相互作用することを示唆する。
6.1.実験の手順
6.1.1.発現構築物
Notch 発現構築物を得るために、MgIIa 内のNotch コード配列の5'端からの6kbのHpaI断片 (ラモスら,1989, 「ゼネティックス」123, 337-348) を、メタロチオネインプロモーターベクターpRmHa-3 (バンチら, 1988, 「Nucl. Acids Res.」16, 1043-1061)をEcoRI で切断した後の該ベクターに平滑末端で連続し、、その末端をDNAポリメラーゼIのクレノウ断片で修復した (マニアチスら, 1982, 「分子クローニング」: 研究所教本 (コールドスプリングハーバー, ニューヨーク, コールドスプリングラボラトリー))。方向が正しくなかった単一の形質転換体が単離された。この形質転換体からのDNAは次いで、SacIで消化され、pRmHa-3 からのポリリンカーに融合されたNotch コード配列の5'端を含む3kbの断片が単離された。この断片は正しい方向でpRmHa-3 のSacI部位に連結された。この構築物からのDNAはKpnIおよびXbaIで消化して、Notch 配列の大部分とpRmHa-3 内のAdh ポリアデニレーションシグナルのすべてを除去し、Notch コード配列の残部およびポリアデニレーションに必要な3'配列を含むMgIIa からの11kbのKpnI-XbaI 断片に連結された。その結果得られた構築物をpMtNMgと名付け、pRmHa-3 内のメタロチオネインプロモーターは、翻訳開始部位の20ヌクレオチド上流で開始するNotch 配列に融合される。
細胞外Notch 構築物 (ECN1) を得るために、体内での正常Notch 機能に必要なNotch ゲノム配列すべてを含むCosP479BE Notch コスミド (ラモスら,1989, 「遺伝子学」123, 337-348) をAatII で部分的に消化した。断片の末端はT4 DNAポリメラーゼのエキソヌクリアーゼ活性を用いて平滑化し (マニアチスら,1982, 「分子クローニング」; 研究所教書 (コールドスプリングハーバー, ニューヨーク:コールドスプリングハーバー研究所))、断片は次いでStuIで完全に再消化した。得られた断片は、低融点アガロースゲル(Seaplaque, FMC バイオプロダクト) 内で分離され、最大の断片が切り取られた。この断片は次いで、鈍端側でそれ自体に平滑末端で連結された。結果として、アミノ酸1790から2625までのNotch コード配列の内部欠失 (ワートンら, 1985,「細胞」43, 567-581)と、新規な59個のアミノ酸カルボキシ末端を生産する予想されたフレームシフトとがもたらされた。 (この構築物の連結された接合点は、配列決定によるチェックが、まだなされてない。) Delta 発現構築物を得るために、Delta の完全なコード能を含むD11 cDNA (コプチンスキーら, 1988, 「遺伝子開発」2, 1723-1735) が、pRmHa-3 のEcoRI 部位に挿入された。この構築物はpMTD11と名づけられた。
6.1.2.抗体の調製
ハイブリドーマ細胞系 C17.9C6を、Notch の細胞内ドメインの大部分のコード配列 (アミノ酸1791-2504 ;ワートンら, 1985,「細胞」43, 567-581)を含む2.1kbのSalI-HindIII断片にもとづく融合タンパク質で免疫されたマウスから得た。この断片は、 pUR289 ( ルーサおよびムラー・ヒル, 1983, 「EMBO J」2, 1791-1794) にサブクローンされ、次いで BglII-HindIII 断片として、pATH 1発現ベクター (デイクマンおよびツアゴロフ, 1985, 「J.Biol. Chem. 260, 1513-1520」 に移入された。可溶性融合タンパク質が発現され、25% (NH4)2SO4で沈澱され、6M尿素に再懸濁され、Rotofor(Bio-Rad) (詳細については、Fehon, 1989,「Rotofor Review No.7,「ブレチン」1518, リッチモンド, カリフォルニア:Bio-Rad 研究所」 を使用した分離用等電点電気泳動によって精製された。
マウスポリクローナル抗血清が、適切なpGEX発現ベクター (スミスおよびジョンソン, 1988, 「細胞」67, 31-40)に単独で枠内挿入された第5EGF様繰返しから、膜貫通ドメインを横切って延びた、0.8kb (アミノ酸 237-501:ワートンら,1985, 「細胞」43, 567-581)、1.1kb (アミノ酸 501- 868)、0.99kb (アミノ酸 868-1200)、および1.4kb (アミノ酸1465-1935)の長さのBstYl 断片4つを使用して、Notch の細胞外ドメインに対して生起された。融合タンパク質は、グルタチオン−アガロースビーズ (SIGMA)上で精製された。マウスとラットの抗血清は、50%の (NH4)2SO4で再沈澱され、0.02% NaN3を含むPBS (150mM NaCl, 14mM Na2HPO4, 6mM NaH2PO4) 中に再懸濁された。
ハイブリドーマ細胞系 201は、pUR 288 のlacZ遺伝子 (ルーサおよびムーラ・ヒル, 1983「EMBO J.」2, 1791-1794) 内のClaI部位にサブクローニングされたDelta ( コプチンスキーら, 1988,「遺伝子開発」2, 1723-1735) の細胞外ドメインからのコード配列を含む0.54kb ClaI 断片を土台とした融合タンパク質で免疫されたマウスから得られた。この断片は、Delta 内の第4ないし第9のEGF−様繰返しに亘る配列(アミノ酸 350-529) を含む。融合タンパク質は、封入体の単離 (ギルマーら, 1982, 「Proc.Natl. Acad. Sci. USA 79, 2152-2156) によって調製された。封入体は、免疫に使用する前に尿素中で可溶化された (キャロールおよびローホン, 1987, 「DNAクローニング」第III巻, D.M.グローバ (オックスフォード:IRLプレス) 、PP.89-111)。
ラットポリクローナル抗血清は、同じ融合タンパク質構築物から誘導された抗原で免疫されることにより得られた。この場合、融合タンパク質は、SDS-Laemmli バッファー (キャロールおよびローン,1987,「DNAクローニング」第III巻,D.Mグローバ (オンクスフォード:IRLプレス) PP.89-111)中でのIPTG−誘導細胞の溶解、SDS−PAGEによるタンパク質の分離、ゲルからの適切なバンドの切り出し、および免疫に用いるためにゲルスライスからの抗原の電気溶出 (ハーローおよびレイン, 1988, 「抗体」研究所教本 (コールドスプリングハーバー, ニューヨーク;コールドスプリングハーバ研究所))によって調製した。
6.1.3.細胞培養およびトランスフェクション
S2細胞系統 (Schneider, 1972, J. Embryol. Exp. Morph, 27, 353-365 )を、2.5mg/ml Bacto-ペプトン (Difco), 1mg/ml TCYeastolate (Difco)、11% 熱不活性化ウシ胎児血清 (FCS) (Hyclone)、および100 U/mlペニシリン-100μg/mlストレプトマイシン-0.25μg/mlフンジゾン(Hazleton) を添加したM3培地 (Hazleton Co., 製) 中で生育させた。-2×106個/mlで対数期生育中の細胞をHEPES 緩衝液 (ChenおよびOkayama, 1987, Mol. Cell. Biol.7, 2745-2752) の代わりにBES 緩衝液 (SIGMA) を用いたほかは前記したとおり (Wigler等., 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 1373-1376)、培養液5ml当たり1ml中、DNA リン酸カルシウム共沈殿20μg でトランスフェクションした。16〜18時間後、細胞を円錐遠沈管に写し、臨床用遠心分離器で、最大速度で30秒間沈殿させ、新鮮な完全培地1/4容で一回洗浄し、初期容量の完全培地中に再懸濁し、そして元のフラスコに戻した。次にトランスフェクションされた細胞を誘導前24時間に回復させた。
6.1.4.凝集検定
Notch およびDelta メタロチオネイン構築物の発現は、0.7mMとなるまで硫酸銅を添加することにより誘導した。ECN1構築物でトランスフェクションした細胞も同様に処理した。2種類の凝集検定を用いた。第1の検定では、合計3mlの細胞 (5-10×106個/ml)を25ml容の三角フラスコに入れ、室温で24〜48時間回転振とう器上で40〜50rpm で振とうした。これらの実験では、細胞は誘導開始後1〜4時間に混合し、誘導は凝集期間を通じて継続した。第2の検定では、細胞約0.6ml を、室温で一夜 (12〜16時間) 誘導後0.6ml容のエッペンドルフ試験管に入れ (微小気泡は残す) 、そして4℃で1〜2時間穏やかに浸とうした。抗体抑制およびCa2+依存性試験は、後者の検定を用いて実施した。Ca2+依存性試験では、細胞をまず採取し、11% FCS 添加平衡塩類溶液 (BSS)(BSS-FCS; FCS は0.9% NaCl, 5mMトリス (pH7.5)で透析) 中、または、10mM EGTA 含有Ca2+非含有BSS-FCS (Snow 等., 1989, Cell 59,313-323) 中で洗浄し、次に、初期容量の同じ培地中に再件だした。抗体抑制実験では、Notch トランスフェクション細胞を採取し、M3培地で洗浄し、次に、凝集前にNotch の細胞外ドメイン由来の断片を有する融合蛋白で免疫化したマウス4匹の各々から得た免疫血清または前免疫血清の1:250 希釈液で4℃で1時間M3培地中で処理した (前述の抗体調製参照) 。
6.1.5.免疫蛍光分析
細胞を遠心分離(エッペンドルフマイクロ遠心分離器中20秒間3000rpm) により採取し、室温で10分間、新たに調製したPBS 中2% パラホルムアルデヒド 0.5mlで0.6ml 容のエッペンドルフ試験管中、固定化した。固定化後、細胞を遠心分離により採取し、PSB で2回洗浄し、0.1% サポニン(SIGMA) および1% 正常ヤギ血清 (Pocono Rabbit Farm, Canadensis, PA) を添加したPBS 中の一次抗体中で1時間染色した。モノクローナル抗体上澄みを1:10希釈し、マウスまたはラットの血清をこの段階では1:1000倍希釈した。次に細胞をPBS 中で一回洗浄し、PBS-サポニン-正常ヤギ血清中の特異的二次抗体(二重標識等級ヤギ抗マウスおよびヤギ抗ラット、Jackson Immunoresearch) 中で1時間染色した。このインキュベーションの後、細胞を2回 PBS中で洗浄し、90% グリセロール、10% 1Mトリス (pH8.0)、および0.5% n- プロピルガレート中でスライドに搭載した。細胞はLeitz Orthoplan 2顕微鏡上で、表面蛍光下で観察した。
共通焦点の顕微鏡写真を、Zeiss Axiovert複合顕微鏡に連結したBio-Rad MRC 500 システムを用いて撮影した。像はBHS およびGHS フィルターセットを用いて集め、ALIGN プログラムを用いて整列させ、MERGE を用いてマージさせた。グリーンからレッドのチャンネルへの蛍光のブリードスルーは、BLEED プログラムを用いて低減させた(全ソフトウエアはBio-Rad 製)。写真はKodakEktar 126 フィルムを用いてコンピューターモニターから直接得た。
6.1.6.細胞分解物、免疫沈降およびウエスタンブロット
組織培養および野生型 Canton-S 胚の非変性洗剤分解物は、1mM フェニルメチルスルホニルフロリド (PMSF) およびジイソプロピルフルオロホスフェート2500倍希釈物をプロテアーゼ阻害剤として用いながら、約10細胞容量の分解緩衝液 (300mM NaCl, 50mMトリス [pH8.0], 0.5% NP-40, 0.5% デオキシコレート、1mM CaCl2、1mM MgCl2) 中で、氷上で調製した。分解物は、順次、1cc ツベルクリンシリンジに連結した18G 、21G および25G の針を用いてトリチュレートし、次に4℃で10分間ミクロ遠心分離器中で最高速度で遠心分離して不溶性物質を除去した。免疫沈降を行うために、細胞分解物 250〜500 μl に抗体約1μg (ポリクローナル抗血清 1-2μg)を添加し、攪拌しながら4 ℃で1 時間インキュベートした。この混合物にヤギ抗マウス抗体 (Jackson Immunoresearch; これらの抗体はマウスおよびラットのIgG の両方を認識する) 15μg を添加し、攪拌しながら4℃で1時間インキュベートした。次に、予め採取し、分解緩衝液で5回洗浄し、更に1時間インキュベートしておいた固定スタフィロコッカス・アウレウス (Staph A)菌 (Zysorbin. Zymed; 製造者の指示に従って再懸濁) 100μl を添加した。次に、Staph A-抗体複合体を遠心分離により沈殿させ、分解緩衝液で3回洗浄し、その後、分解緩衝液でそれぞれ15分間2回洗浄した。新しい試験管に移した後、沈殿した物質をSDS-PAGE試料緩衝液50μl 中に懸濁し、即座に10分間煮沸し、3%〜15% の勾配ゲル上を泳動させ、ニトロセルロース上にブロットし、モノクローナル抗体およびHRP-結合ヤギ抗マウス二次抗体を用いて前述したように(Johansen 等., 1989, J. Cell Biol. 109, 2427-2440) 検出した。ウエスタンブロットに使用する全細胞蛋白試料(図2)を得るため、細胞は遠心分離により収集し、1mM PMSF含有試料緩衝液10細胞容量中で分解し、即座に煮沸した。
6.2.結果
6.2.1.培養細胞中のNotch およびDelta の発現
Notch とDelta の間の相互作用を検知するために、凝集検定を用いてその表面上にこれらの蛋白を発現する細胞の挙動を調べた。いくつかの理由からこれらの試験のためにはS2細胞系統(Schneider, 1972, J.Embryol. Exp. Morph. 27, 353-365) を選択した。先ず、これらの細胞は比較的非付着性であり、懸濁液中で生育し、そして、ファスシクリンIII 作用を調べるための同様の検定において過去に用いられている(Snow 等., 1989, Cell 59, 313-323)。第2 に、これらは容易にトランスフェクションでき、そして、Drosophila培養細胞中の外来性遺伝子の発現のために設計されている誘導可能なメタロチオネインプロモータベクターが入手できる(Bunch等., 1988, Nucl.Acids Res.16, 1043-1061)。第3 に、S2細胞はNotch コード配列の5'末端の再配列のために、異常Notch メッセージを発現し、検知可能なNotch は発現しない (下記参照) 。これらの細胞はまた、検知可能なDelta も発現しない(下記参照) 。
使用した構築物の模式図を図1 に示す (詳細はセクション6.1の実験方法参照) 。培養細胞中でNotch を発現するために、Ramos等(1989, Genetics 123, 337-348) の記載したNotch ミニ遺伝子 MGllaをメタルロチオネインプロモーターベクターpRmHa-3(Bunch等., 1988, Nucl.Acids Res. 16, 1043-1061) に挿入した。Delta発現構築物は、主要な胚Delta 転写物由来のDelta のための全コード配列を有するDll cDNA(5.4Z; Kopczynski 等., 1988, Genes Dev.2, 1723-1735)を同じベクターに挿入することにより作成した。第3 の構築物は、「細胞外Notch 1 」のためのECN1と称し、これは5'Notch プロモーター領域および3'Notch ポリアデニル化シグナルを含んでおり、また、ゲノム配列由来のNotch 遺伝子の細胞外および膜間の領域のためのコード容量を有しているが、約1000アミノ酸の細胞内ドメインの835 アミノ酸に対応するコード配列は有していない。更に、予測されるフレームシフトのため、残りの78のC末端アミノ酸残基は新しい59のアミノ酸C末端尾部により置き換えられている( 実験方法参照) 。
本明細書に記載した実験の全てについて、発現構築物は、S2細胞にトランスフェクションし、安定な形質転換体中ではなくむしろ一過性の発現を行った。発現細胞は典型的には、免疫蛍光染色で判断した場合、総細胞数の1〜5%を占める(データ示さず)。トランスフェクション後に発現した蛋白のウエスタンブロットを図2に示す。非トランスフェクション細胞は検知可能なレベルでNotch やDelta を発現しなかった。しかしながら、トランスフェクション後は、予測された見かけの分子量の蛋白はそれぞれ、これらの蛋白の各々に特異的なモノクローナル抗体を用いて容易に検知できる。Notch の場合、トランスフェクション細胞中、約300kdの全長の産物より下に複数のバンドが認められた。これらのバンドが試料調製中のNotch の分解を示すものか、または、細胞内に存在するNotch の合成またはプロセシングの中間体であるか不明であるが、トランスフェクション細胞および胚から得た試料中一貫してこれらを検出している。更に、これらの蛋白の細胞表面発現を試験するために、各蛋白の細胞外ドメインに特異的な抗体を用いて生存トランスフェクション細胞の免疫蛍光染色を行った。各々の場合において、表面抗原で予測されるとおりの表面染色結果を観察した。即ち、これらの結果は、明らかに、Notch およびDelta の構築物は予測される大きさの蛋白の発現および細胞下局在化(subcellular localigation)を支持することを示している。
6.2.2.NotchおよびDelta の凝集物を発現する細胞
Notch とDelta が相互作用するという予測を調べるために、我々は、簡単な凝集検定を考案してS2細胞表面上に発現した蛋白の間のこれらの相互作用を検出した。Notch とDelta が細胞表面上で安定なヘテロタイプの複合体を形成することができる場合、これらの蛋白を発現する細胞は相互に結合し、適切な条件下で凝集物を形成すると考えた。同様の検定系が最近、ファスシクリンIII 蛋白についても報告されている(Snow 等., 1989, Cell 59, 313-323)。
対数期生育中のS2細胞を個別に、Notch またはDelta メタロチオネインプロモーター構築物の何れかでトランスフェクションした。硫酸銅で誘導した後、トランスフェクション細胞を同数混合し、室温で一夜凝集させた (詳細はセクション6.1 の実験方法参照) 。また、代謝活性の低下を意図した一部の実験では、細胞を1 〜2 時間4 ℃で穏やかに混合した。凝集物が形成されたかどうかを判断するために、各遺伝子産物に特異的な抗体および異なるように標識された蛍光二次抗体を用いて免疫蛍光顕微鏡用に処理した。前述したとおり、安定ではなく一過性の形質転換体を使用したため、発現細胞は通常は総細胞数の5 %未満に相当した。残りの細胞は所定の蛋白を発現しないか、または発現しても極めて低レベルであるため、免疫蛍光顕微鏡では検知できなかった。対照実験として、単一の種類のトランスフェクション細胞のみを用いて凝集を行った。
図3 は凝集実験で得た顕微鏡写真の代表的なものを示しており、表I は結果を数値で示したものである。図3 Cおよび表Iから明らかな通り、Notch 発現(Notch+) 細胞単独では、我々の検定では凝集物が形成されず、Delta 発現( Delta+) 細胞は凝集体を形成した。
Figure 0004604228
Delta+細胞が凝集する傾向は、非凝集対照試料においても明らかであり (表I) 、この対照試料では、有糸分裂姉細胞間の付着により恐らくは生じる4 〜8 個の細胞の細胞集塊が共通して生じた。しかしながら、集塊は凝集条件下でのインキュベート後でより共通して観察され( 例えば、インキュベート前の凝集物中のDelta+細胞19%はvsインキュベート後の凝集物のDelta+細胞37%; 表I の実験1)、Delta+細胞は本検定において安定した相互接触が可能であることを示している。非染色細胞は我々の一過性トランスフェクションでは細胞の90%を超える部分を占めていたが、これらを凝集物中にはみとめなかったことは注目に値する。稀に、非染色細胞は凝集物の端縁に認められた。凝集物の端縁では弱く染色された細胞が主に生じるため、これらの見かけ上は非発現の細胞は、トランスフェクションされたが、発現したDeltaのレベルは免疫蛍光で検知するには不十分であったと考えられる。
Notch+細胞のみを用いた対照実験とは明らかに対照的に、Notch+およびDelta+細胞の混合物の凝集物は20まであるいはそれ以上もの細胞の集塊を形成した (図3D-3H, 表I)。表I が示すとおり、凝集24時間後に4 個以上の染色細胞の集塊中に認められた発現細胞の画分は、Notch+およびDelta+細胞の混合物中32〜54%の範囲であった。この範囲はDelta+細胞のみでみとめられたもの(37 〜40%) と同様であったが、Notch+細胞のみでみとめられたもの(僅か 0〜5 %)とは非常に異なっていた。Delta+細胞のみよりなる集塊も数個みとめられたが、Notch+細胞は、Delta+細胞も存在する場合でなければ、4 〜5 個の細胞より多い集塊中にはみとめられなかった。ここでも、これらの集塊に含まれる全ての細胞は、トランスフェクション細胞が総細胞の僅かの部分しか占めなかったにもかかわらず、Notch またはDelta の何れかを発現した。48時間( 表I 、実験5 及び6)では、凝集度はより高くなり(63 〜71%) 、これらの条件下では24時間後には凝集がまだ最大に達していないことを示唆している。また、Notch 構築物およびDelta 構築物に同時トランスフェクションさせた細胞( これにより全てのトランスフェクション細胞が両方の蛋白を発現) は、同じ実験条件下で同様の挙動で凝集した。
これらの結果は、これらの実験で観察された凝集は、Notch およびDelta の発現を必要としており、非トランスフェクションS2細胞中の別の相互作用蛋白の偶然の発現によるものではないことを示している。更に、非トランスフェクションS2細胞でNotch+細胞およびDelta+細胞を10倍希釈し、これらを室温で24時間凝集させることにより、この相互作用の特異性を試験した。この実験において、発現細胞は、それらは全細胞数の0.1 %未満であったものの、その発現細胞の39%が他の発現細胞とともに凝集物中にみとめられた。しかしながら、これらの凝集物は標準凝集実験でみられるものよりも平均して小型であった。更に、Notch+細胞は、それらが細胞表面上の単一の種類の蛋白を過剰発現するためDelta+凝集物に非特異的に取り込まれるという可能性を制御するために、Delta+細胞をメタロチオネインプロモーターの制御下にニューログリアン、即ち膜間細胞表面蛋白(Bieber 等., 1989, Cell 59, 447-460)を発現する細胞を混合した( このメタロチオネイン- ニューログリカン構築物はBieberおよびC,Goodmanから提供された)。ニューログリカン+細胞がDelta+凝集物に付着する傾向はみとめられず、Notch-Delta 凝集物は単に細胞表面上の高レベルの蛋白発現の結果ではないことが示された。
さらにまた、凝集に対する、Notch のほぼ全ての細胞外ドメインに広がっている融合蛋白に対するポリクローナル抗血清の混合物の作用を調べることにより凝集過程におけるNotch の関与を直接調べた( セクション6.1 の実験方法三章)。表面抗原のパッチングへの代謝応答により生じる混乱要因を最小限にするために、抗体処理および凝集検定はこの実験中は4 ℃で行った。Notch+細胞は1 時間前免疫または免疫マウス血清の何れかとともにインキュベートし、Delta+細胞を添加し、そして凝集は1 〜2 時間行った。前免疫血清で前処理されたNotch+細胞はDelta+細胞と凝集した(3実験のうちの1 つでは、Notch+細胞の23%がNotch+- Delta+細胞凝集物中にみとめられた) が、免疫血清で処理されたものは凝集しなかった( Notch+細胞の僅か2 %のみが凝集物中に有った) 。凝集の低下が抗血清へのNotch+細胞の暴露から生じる抑制的な立体的作用または膜構造作用によるものであるという可能性を排除することはできないが、上記した結果は、Notch の細胞外ドメインがNotch+- Delta+細胞凝集に必要とされることを示唆している。
その他の3 つの重要な観察結果が図3 に示されている。先ず、Delta は細胞表面のみにほぼ常時認められた (図3 および3C) が、Notch 染色は細胞表面を細胞内の両方に常時認められ、嚢胞構造を伴うことが多かった (図3A) 。第2 に、一夜インキュベートした混合凝集物中では、Delta+およびNotch+細胞の間に形態学的な差が一貫してみとめられた。Delta+細胞はしばしばNotch+細胞に隣接して完全に包囲するような伸びを示したが、Notch+細胞はほぼ常時丸い外観を有し、細胞質の伸びは認められなかった (図3G) 。第3 に、Notch およびDelta はしばしばNotch+ 細胞およびDelta+細胞の間の接触領域内に集合するように観察され、免疫蛍光染色の明確なバンドを形成していた (図3D-3F)。これらのバンドは共焦顕微鏡上で見られる光学区画中で容易に観察でき (図3H) 、これらは単にマウント全体の混乱要因によるものではないことが示された。さらにまた、これらのバンドは急速 (細胞混合2 時間以内) に、そして 4℃で形成され、その形成は恐らくは細胞代謝とは無関係であることが示された。これらの観察結果は、細胞接触領域内でNotch およびDelta が相互に結合し、このため不動化されると仮定すれば、予測されるものである。この発現様式はまた、細胞凝集を媒介するその他の蛋白で観察されるものと合致している(Takeichi, 1988, Development 102, 639-655; Snow 等., 1989, Cell 59, 313-323)。
6.2.3.Notch - Delta 媒介凝集はカルシウム依存性である
以前の試験により、特定のコンセンサス配列を有するEGF 様繰返しはカルシウム(Ca2+結合ドメインとして作用することが示唆された(Morita 等., 1984, J.Biol.Chem.259. 5698-5704; Sugo等., 1984, J.Biol.Chem.259,5705-5710; Rees等., 1988 EMBO J.7, 2053-2061; Handford 等., 1990, EMBO J.9, 475-480) 。これらの蛋白のうち少なくとも2 つについては、C およびC1, Ca2+結合が、他の蛋白との相互作用の必要要素であることが更に示されている(Villiers 等., 1980, FEBS Lett. 117, 289-294; Esmon等., 1983, J.Biol.Chem.258, 5548-5552; Johnson等., 1983, J.Biol.Chem.258, 5554-5560)。Notch 内のEGF-相同繰返しの大部分およびDelta 内のこれらの殆どは、これらの蛋白がカルシウムに実際に結合するかどうかはまだ決定されていないが、Ca2+結合のための必要なコンセンサス配列を含んでいる(Rees 等., 1988, EMBO J.2053-2061; Stenflo 等., 1987, Proc.Natl.Acad.Sci.USA84, 368-372; Kopczynski 等., 1988, Genes Dev, 2, 1723-1735; Handford 等., 1990, EMBO J.9, 475-480) 。従って、発現細胞がCa2+イオンの存在下または非存在下で凝集することができる能力を調べ、これによりNotch-Delta 凝集にCa2+イオンが必要であるかどうか決定した。Ca2+の除去への代謝応答により生じうる非特異的作用を最小限にするために、これらの実験は4 ℃で行った。4 ℃でCa2+含有培地中凝集条件下でインキュベートしたNotch+細胞およびDelta+細胞の対照混合物は容易に凝集物を形成した (平均34% ±13%, 平均±SD, n=3; 表II) 。対照的に、Ca2+イオン欠乏EGTA含有培地中で混合した細胞は殆ど凝集物を形成しなかった(5%±5%) 。これらの結果は、Notch-Delta-媒介凝集の外来性Ca2+依存性を明らかに示しており、またS2細胞中のDrosophilaファスシクリンIII 蛋白およびファスシクリンI 蛋白に関する最近の文献発表内容と対照的であり (Snow 等., 1989, Cell 59, 313-323; Elkins 等., 1990, J.Cell Biol.110, 1825-1832)、これら文献では何れの蛋白により媒介される凝集に対してもCa2+イオン除去の影響は認められなかった。
Figure 0004604228
6.2.4.NotchとDeltaは単一細胞内で相互作用する
NotchとDelta が両方の蛋白を発現する1つの細胞の膜内で会合しているかどうかを、同時トランスフェクション細胞中のNotchおよびDelta の分布を調べることにより検討した。図4Aおよび4Bに示されるとおり、これらの2つの蛋白は同時トランスフェクション細胞の表面で極めて似た分布を示す場合が多い。観察される併存局在化(colocalization)が偶然であるかまたは NotchとDelta の間の安定な相互作用を示しているかを調べるために、過剰のポリクローナル抗Notch 抗血清で生存細胞を処理した。免疫蛍光分析で検知されたように、この処理により個々のパッチへの発現細胞表面上の Notchの「パッチング」が起こった。この処理の後のこれらの細胞の表面上の NotchおよびDelta の分布の間には明らかな相関があり (図4Cおよび4D) 、これらの蛋白が膜内で会合することを示していた。これらの実験は、この会合が直接のものであるか、または細胞骨格のような別の成分により媒介されているかという問題に向けたものではないことに留意しなければならない。 Deltaは本実験で非特異的にパッチングされるという可能性を制御するために、 Notchおよび前述したニューログリアン構築物 (A.Bieberと C.Goodman, 未発表データ) で細胞を同時トランスフェクションし、抗Notch抗血清とパッチングさせた。この場合、Notchとニューログリアンの間には見かけの相関はなかった。
6.2.5.Delta との相互作用はNotch の細胞内ドメインを必要としない
EGF様繰返しを含む大型の細胞外ドメインの外に、 Notchは約940アミノ酸の大型の細胞内 (IC) ドメインを有している。 ICドメインはリン酸化部位 (Kidd等., 1989, Genes Dev. 3, 1113-1129) 、推測ヌクレオチド結合ドメイン、ポリグルタミン鎖(Wharton等., 1985, Cell 43, 567-581; Kidd等., 1986, Mol.Cell. Biol. 6, 3094-3108) 、および酵母の細胞周期制御に関与する酵母cdc10遺伝子と相同の配列を有する (BreedenとNasmyth,1987, Nature 329, 651-654)。このドメインの大きさおよび構造的複雑性を考えた場合、それが Notch-Delta相互作用に必要であるか疑問である。従って、上記した全ての構造的特徴を含む ICドメインの約 835個のアミノ酸に対するコード配列を欠失させた変異体 Notch構築物を用いた (25の膜隣接アミノ酸および新しい59アミノ酸のC末端を残した;詳細は実験方法および図1を参照) 。この構築物は、ECN1と命名したが、これはメタロチオネインプロモーター構築物で観察されるよりも低レベルでトランスフェクション細胞中の正常な Notchプロモーターの制御下で、構造的に発現されるが、免疫蛍光分析で容易に検知できる。
凝集検定において、ECN1構築物を発現する細胞は一貫して Delta+細胞と凝集物を形成 (3実験のうちの1つではECN1発現細胞の31%が凝集物中に有った;図3I参照) したが、それ等自身とは形成せず (凝集物中僅か4%) 、これらは未損傷のNotchを発現した細胞で観察したとおりであった。また、Delta+細胞との接触領域内にECN1染色の明確なバンドが観察され、ここでも、細胞間の接触領域内のECN1の局在化が示された。膜内での相互作用を調べるために、ECN1および Delta構築物で同時トランスフェクトした細胞を用いて表面抗原同時パッチング実験を繰返しした。未損傷の Notchで観察したとおり、ECN1をNotch の細胞外ドメインに対するポリクローナル抗血清を用いてパッチングする場合、ECN1およびDelta は細胞表面に併存局在化することが解った (図4Eおよび4F) 。これらの結果は、膜内における NotchとDelta の間の観察された相互作用は Notchの ICドメインの欠失部分を必要とせず、従って、恐らくは細胞外ドメインにより媒介されることを示している。しかしながら、ECN1中の残りの膜貫通ドメイン配列または ICドメイン配列は単一の細胞内で相互作用を媒介するのに十分である可能性がある。
6.2.6.NotchおよびDeltaは泡沫洗剤可溶性分子間複合体を形成する
前記した結果は総合すると、同じ膜内に存在する NotchおよびDelta の間および異なる細胞上で発現されるこれらの蛋白の間の分子相互作用を示していると解釈できる。このような相互作用に関する別の試験として、これらの蛋白が NotchおよびDelta を発現する細胞の非変性洗剤抽出物から同時沈降するかどうか調べた。
NotchおよびDelta が細胞間または細胞内の何れかで安定な分子間複合体を形成する場合、これらの蛋白の1つに対する特異的抗血清を用いて細胞抽出物から両方の蛋白を沈降させることが可能である。この分析を、NP-40由来ポリクローナル抗血清/一夜凝集させてある Notch構築物およびDelta 構築物で同時トランスフェクションした細胞、または、0〜24時間野生型胚のデオキシコレート分解物 (実験方法を参照) でDeltaを免疫沈降させることにより行なった。逆免疫沈降は、Staph Aバンドのバックグラウンド上の弱いDelta バンドを明確に識別できなかったため実施できなかった。このポリクローナル抗Delta抗血清を、細胞分解物中の Notchに対する交叉反応性 (図5A、レーン1) について、そして免疫蛍光分析 (例えば図3Dと3Eを比較) を用いて調べたところなにも発見できなかった点が重要である。非特異的に付着している蛋白を除去するために洗浄を繰返した後、ウエスタンブロット上のNotchに対するモノクローナル抗体 (MAb C17.9C6)を用いてNotch の同時沈降を調べた。
図5に示すとおり、同時トランスフェクション細胞および胚から得たDelta免疫沈降中、 Notchの同時沈降は検知されなかった。しかしながら、同時沈降した NotchはDelta より遙かに少ない量で存在するように観察され、従って検知は困難であった。この格差は手順中の細胞融解および洗浄の工程の間の Notch-Delta複合体の破壊によるものである可能性が大きい。しかしながら、この格差は NotchとDelta の間の非等モル相互作用、または、これらの蛋白を検出するために用いた抗血清の親和性が極めて異なることを反映している可能性もある。Deltaの免疫沈降がNotch の同時沈降をもたらしたという事実は、これらの2つの蛋白が、トランスフェクションされたS2細胞中、および胚細胞中、安定な分子間複合体を形成することの直接的な証拠となる。
6.3.考 察
神経原性の座の2つの蛋白産物、即ち NotchおよびDelta の間の相互作用を調べることにより、その細胞機能を更に解明した。通常は非付着性のS2細胞を用いるin vitro凝集検定により、 NotchおよびDelta を発現する細胞は相互に特異的に付着することを示した。この相互作用の特異性は、これらの実験では総細胞数の大部分が非発現細胞で構成されていたものの、Notch+-Delta+細胞凝集物が殆ど非発現細胞を含まないという観察結果から明らかである。この凝集は発現細胞の表面上に存在する NotchおよびDelta の細胞外ドメインの間のヘテロタイプの結合により媒介されると考える。この考え方を裏付けるものとして、 Notchの細胞外ドメインに対する抗血清は Notch-Delta媒介凝集を抑制し、Notch 細胞内ドメインのほぼ全てを欠失している ECN1Notch変異体が Deltaを発現する細胞の凝集を媒介できることを我々は発見している。さらにまた、 Deltaのみを発現する細胞は相互に凝集するが、Notch のみを発現する細胞は凝集しないことも発見した。これらの所見は、Delta は近接する細胞の表面上に存在する際にホモタイプの相互作用に関与するが、Notch は我々の検定条件下ではそうではないことを示唆している。
NotchおよびDelta が細胞表面で相互作用を示すという考え方は、次の3点の証拠によっても裏付けられる。第1に、 Notch+細胞および Delta+細胞の接触領域内に両方の蛋白の緊密な局在化を観察したが、これは、 NotchおよびDelta は、異なる細胞内に発現された場合であっても直接相互作用を示すことを示唆している。第2に、 NotchおよびDelta は両方の蛋白を発現する細胞の表面上に併存局在化しており、これは、これらの蛋白が細胞膜内で相互作用を示すことを示唆している。第3に、 NotchおよびDelta は両方の蛋白を発現する培養細胞の非変性洗剤抽出物ならびに胚細胞抽出物から同時沈降できる。これら3点を考えあわせると、 NotchおよびDelta は同じ細胞または異なる細胞の何れの表面に発現された場合もヘテロタイプの相互作用を示すという仮説が強力に裏付けられる。
観察された NotchとDelta の間および Notchとmatnの間 (Xu等.,1990, Genes Dev. 4, 464-475)の間の遺伝子相互作用の根拠は、これらの遺伝子によりコードされる蛋白の間の用量感受性相互作用であると考えられる。
次の2つの証拠は、 NotchおよびDelta の蛋白はin vitroおよびin vivo で同様に機能することを示唆している。第1に、遺伝子分析は NotchおよびDelta の化学量はその機能が現われるために必須であることを示している。Notch-DeltaおよびDelta-Deltaの会合の両方がin vitroで起こるという我々の観察結果は、NotchおよびDeltaがDeltaへの結合において競合しているかもしれないことを示唆する。即ち、 NotchとDelta の間の用量感受性遺伝子相互作用はその蛋白産物の間の競合結合相互作用によるものであろう。第2に、我々は免疫沈降を用いて培養細胞の分解物中およびDrosophila胚の分解物中に Notch-Deltaの会合を検知することができた。総合すると、これらの遺伝子的生物化学分析は、 NotchおよびDelta が実際に、我々の凝集検定に基づいて我々が提案した様式と同様の様式でin vivoで会合することを示唆している。
Notchの遺伝子的および分子的分析は、更に、個々のNotch蛋白の間にも相互作用がある可能性を与える(Portin, 1975, Genetics 81, 121-133; Kelley等., 1987, Cell 51, 539-548; Artavanis-Tsakonas, 1988, Trends Genet. 4, 96-100) 。実際、 Kidd 等 (1989, Genes Dev. 3, 1113-1129)は、明確に証明されているわけではないが、この蛋白がジスルフィド交叉結合二量体を形成することを提案している。共有結合性交叉結合の形成の有無に関わらず、このような相互作用は恐らくは単一の細胞内、または細胞間の何れかで生じる。しかしながら、 Notch+細胞がホモタイプの凝集を示さないという我々の知見は、 Notch-Notch会合は単一の細胞内では起こると考えられるが細胞間では起こらないことを示唆している。あるいは、ホモタイプの Notch相互作用は、S2細胞内で発現されない遺伝子産物を必要とする可能性もある。
我々の分析で示された Notch-Delta 相互作用は、恐らくは、これらの蛋白の細胞外ドメインにより媒介される。この結論は、Notch のほぼ全ての細胞内ドメインを欠失させているか、または、in vitro突然変異により変化させているEGN1構築物を用いた凝集実験により確認された。同時パッチング能力に基づいた膜内のECN1-Delta会合を実証する別の実験によれば、これらの相互作用はNotchおよびDeltaの細胞外ドメインにより媒介されるかもしれないことを示している。ただし、この場合、膜貫通ドメインまたはNotch 細胞内ドメインの残りの部分の関与の可能性を排除できない。これらの結果は、 NotchおよびDelta の両方がその細胞外ドメイン内にEGF様繰返しを有するという事実を考慮すると特に興味深い(Wharton等., 1985, Cell 43, 567-581; Kidd等., 1986, Mol. Cell Biol. 6, 3094-3108; Vassin 等., 1987, EMBO J. 6,3431-3440; Kopczynski 等., 1988, Genes Dev. 2, 1723-1735) 。
EGFドメインに関する第2の論点は、それらがEGF様繰返し内の保存された部位Asp, Asp/Asn, Asp/Asn およびTyh/Phe 残基よりなるコンセンサス配列を有する場合、それらはCa2+結合ドメインとして機能することができるという考え方である (Rees等., 1988, EMBO J. 7, 2053-2061; Handford 等., 1990, EMBO J. 9, 475-480)。Ca2+結合のための考えられるコンセンサス配列との比較により、同様の配列が多くの NotchのEGF様繰返し内(Rees 等., 1988, EMBO J. 7, 2053-2061)および大部分のDeltaのEGF様繰返し内 (Kopczynski等., 1988, Genes Dev. 2, 1723-1735) にみとめられたことが解った。更に、 Notch突然変異の配列分析によれば、特定のAx対立遺伝子がこの推定Ca2+結合ドメイン内のアミノ酸の変化に関与していることが示された (Kelley等., 1987, Cell 51, 539-548; Hartley 等., 1987, EMBO J. 6, 3407-3417; Rees 等., 1988, EMBO J. 7, 2053-2061)。例えば、AxE2突然変異は29番目のEGF様繰返しにおけるHis からTyr への変化と相関し、この繰返しをCa2+結合のためのコンセンサスに向けて変化させるようである。逆に、Ax9B2突然変異は、 AspからVal への変化の結果として24番目のEFG様繰返しをこのコンセンサスから離れるように変化させるようである。即ち、Ax対立遺伝子とDelta 突然変異の間の遺伝子相互作用 (Xu等., 1990,Genes Dev., 4, 464-475) はCa2+イオンが Notch-Delta相互作用におけるある役割りを果たすという可能性を生じさせる。外来性Ca2+はトランスフェクションされたS2細胞の Notch-Delta媒介凝集に必要であるという我々の知見はこの主張を支援するものである。
我々が議論したとおり (Johansen等., 1989, J. Cell Biol.109, 2427-2440; Alton 等., 1989, Dev. Genet. 10, 261-272) 、以前の分子分析および遺伝子分析に基づけば、NotchまたはDeltaの何れかの細胞機能が細胞−細胞相互作用への関与を超えているということを、確信をもって予測することはできない。しかしながら、ここに示した結果を考慮すると、 NotchおよびDelta はinvivoで細胞間の付着相互作用を媒介する機能を有することを示唆するのは合理的と考えられる。同時に、観察された Notch-Deltaの相互作用は単に付着機能を反映しているのみならず、in vivoで起こる受容体−リガンド結合相互作用も反映している可能性がかなりある。実際、 Notch内の構造的に複雑な1000個のアミノ酸の細胞内ドメインの存在は、付着相互作用のみよりはむしろ、シグナル形質導入における役割りに、より適合していると考えられる。NotchがDeltaと協力して付着機能を有すると考えれば、Notchの軸策発現は軸策の導入においてある役割りを果たしていると考えられる。
7.NotchのEGF繰返し11および12はNotch-Delta−媒介凝集に必要で十分である
本試験では、セクション6に記載した凝集検定ならびに Notchの欠失変異体を用いてDeltaとの相互作用に必要なNotchの細胞外ドメイン内の領域を同定した。 NotchのEGF繰返しはこの相互作用に直接関与し、そして36EGF繰返しのうち僅か2つのみが必要であると考えられた証拠を示す。これらの2つのEGF繰返しがDelta への結合に十分であり、そして Notch-Delta媒介凝集のカルシウム依存性もまたこれらの2つの繰返しに関連することを実証する。最後に、 Notchと相同のXenopus 由来の2つの相当するEGF繰返しもまた、 Deltaとの凝集を媒介し、このことは Notchの構造が進化論的に保存されるのみならず、その機能も保存されることを示している。これらの結果は、 Notchの細胞外ドメインが意外にもモジュール的であり、Delta 以外の種々の蛋白にも潜在的に結合可能であることを示唆している。
7.1.実験方法
7.1.1.発現構築物
記載した構築物は全て全長の Notch発現構築物#1 pMtNMgの誘導体である (上記セクション6参照。全ての連結は低融点アガロースゲル(Sea Plaque, FMC BioProducts) から得たDNA断片を用いて実施した。 Notchの全細胞外ドメインを含むpMtNMg由来の6kb EcoRI-XhoI 断片をBluescriptベクター (Stratagene) のEcoRI-XhoI部位に挿入連結し、RI/XBSと命名した。その後全てのEGF繰返しの欠失および挿入はこのサブクローンを用いて実施した。次にこれらのRI/XBS誘導体のEcoRI-XhoI断片を含む Notch配列を細胞内ドメインを含むpMtNMg由来の5.5kb XhoI-XbaI 断片およびポリアデニル化のために必要な3'配列と混合し、そして、3ピース連結でpRMHa-3 (Bunch等, 1988, Nucl. Acids Res. 16, 1043-1061) のEcoRI-XbaI部位に挿入した。以下に記載する全ての数はWharton 等 (1985, Cell 43, 567-581) に従った Notch配列のヌクレオチド配位を指す。
構築物#2 DSphについては、RI/XBSはSphIで完全に消化し、次に再環化し、SphI (996)からSphI(4545)までの3.5kb のインフレーム欠失を行なった。
構築物#3 ΔCla については、RI/XBSをClaIで完全に消化し、次に、再連結し、ClaI(1668)からClaI(4407)までの2.7kb のインフレーム欠失を行なった。連結部はSequenase Kit(U.S.Biochemical Corp., Cleveland) を用いて二重鎖シーケンシング (Xu等の記載に従う、1990, Genes Dev. 4, 464-475)により確認した。4566位のClaI部位は配列に従って存在していたが、これは我々の条件下ではClaI制限酵素では認識されなかったことが解った。
構築物#4−12については、RI/XBSをClaIで部分的に消化し、そして再連結して以下に示すような全ての可能なインフレーム欠失の組合せを作成した。構築物#4 ΔEGF7−17はClaI(1668)とClaI(2829)の間の配列を除去した。構築物#5 ΔEGF9−26はClaI(1905)とClaI(3855)の間の配列を除去した。構築物#6 ΔEGF17−31はClaI(2820)とClaI(4407)の間の配列を除去した。構築物#7 ΔEGF7−9はClaI(1668)とClaI(1906)の間の配列を除去した。構築物#8 ΔEGF9−17はClaI(1905)とClaI(2820)の間の配列を除去した。構築物#9ΔEGF17−26はClaI(2820)とClaI(3855)の間の配列を除去した。構築物#10 ΔEGF26−30はClaI(3855)とClaI(4407)の間の配列を除去した。構築物#11 ΔEGF9−30はClaI(1905)とClaI(4407)の間の配列を除去した。構築物#12 ΔEGF7-26 はClaI(1668)とClaI(3855)の間の配列を除去した。
構築物#13 ΔCla+EGF9−17および#14 ΔCla +EGF17−26については、ClaI(1905)とClaI(2820)の間の約0.9kbの断片、およびClaI(2820)とClaI(3855)の間の約1.0kbの断片をそれぞれ、構築物#3 ΔClaの唯一のClaI部位に挿入した。
構築物#16スプリットについては、pMtNMgの11kbのKpnI/XbaI断片を、EGF繰返し14中のスプリット突然変異を有する Notchミニ遺伝子構築物由来の相当するKpnI/XbaI断片で置換した。
構築物#17−25については、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)のための合成プライマーを、EGF繰返しのストレッチを増幅し、かつ、繰返しの3番目のシステインのすぐ後の共通なClaI部位と同じ場所の増幅された片の末端でEGF繰返しを破壊するように設計した (図7参照) 。PCR生成物は通常通りゲル精製し、DNAポリメラーゼIの Klenow 断片で充填することにより平滑末端とした構築物 3#ΔCla らのClaI部位に連結した (Maniatis等., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)。挿入物の正しい配位は、挿入物のセンス鎖プライマー並びにEGF繰返し35内のアンチセンス鎖プライマーを用いてPCRにより決定した。全てのプライマーは20量体であり、 Wharton等 (1985, Cell 43, 567-581) の Notch配列のヌクレオチド配位に従って、その5'末端のヌクレオチドの番号で命名し、Sはセンス鎖プライマーを指し、Aはアンチセンス鎖プライマーを指すものとした。構築物#16 ΔCla+EGF (9−13) はプライマーS1917およびA2367を使用した。構築物#17 ΔCla+EGF (11−15) はプライマーS2141およびA2591を使用した。構築物#18 ΔCla+EGF (13−17) はプライマーS2375およびA2819を使用した。構築物#19 ΔCal+EGF (10−13) はプライマーS2018およびA2367を使用した。構築物#20 ΔCla+EGF (11−13) はプライマーS2141およびA2367を使用した。構築物#21 ΔCla+EFG (10−12) はプライマーS2018およびA2015を使用した。構築物#22 ΔCla +EGF (10−11) はプライマーS2018およびA2322を使用した。構築物#23 ΔCla+EGF (10−12) はプライマーS2018およびA2322を使用した。構築物#24 ΔCla+EGF (11−12) はプライマーS2081およびA2322を使用した。
構築物#25 ΔEGFについては、構築物RI/XBSをSphI(996)で完全に消化し、そしてBamHI(5135) で部分的に消化した。得られた非適合末端は、唯一のClaI部位を形成するように設計された合成リンカーを用いて結合させた。これにより、繰返し1の前の半分を除いて全ての36EGF繰返しを除去するインフレーム欠失を行なった。構築物#26−29については、EGF断片は、相当する構築物#13, 16, 19および23で前記したとおり、このClaI部位に挿入した。
構築物#30 ΔECNについては構築物RI/XBSをBglI, EcoRIおよびXhoIで完全に消化した。約02KbのEcoRI-BglI断片(722-948)および約0.7kbのBglI-XhoI(5873-6627)断片は、EcoRI-XhoI切断Bluescriptベクターおよび唯一のClaI部位を形成するように設計された合成リンカーを用いて連結し、繰返し1の最初の1/3 ならびに3Notch/lin-12繰返しを除いて全ての36EGF繰返しを除去したBglI(941) からBglI(5873)のインフレーム欠失を行なった。構築物#31および32については、EGF断片は、構築物#19および23について前に記載したとおり、唯一のClaI部位に挿入した。
構築物#33および34については、Xenopus Notch 配列に基づいたPCRプライマーS1508およびA1859 (Coffman 等., 1990,Science 249, 1438-1441; 数は本明細書で使用するヌクレオチド配位を指す) を用いてXenopus ステージ17 cDNA ライブラリからEGF繰返し11および12を増幅した (ライブラリはD. Melton が作成し、M.Danilchek により提供された) 。断片は構築物 3# DCla に連結し、配列決定した。
7.1.2.細胞培養およびトランスフェクション
Drosphila S2細胞系統を、セクション6に記載したとおり生育させトランスフェクションさせた。Delta 発現安定形質転換S2細胞系統L-49-6-7(L.Cherbas作成) を、11%熱不活性化ウシ胎児血清FCS(Hyclone), 100U/mlペニシリン−100ug/mlストレプトマイシン−0.25ug/ml フンジゾン (Hazleton) 、2×10-7Mメトトレキセート、01mMヒポキサンチンおよび0.016mM チミジン添加M3培地 (Hazleton Co.製) 中で生育させた。
7.1.3.凝集検定および免疫蛍光試験
凝集検定およびCa2+依存性実験はセクション6に記載の通りである。細胞を抗Notchモノクローナル抗体9C6.C17および抗Deltaラットポリクローナル抗血清 (詳細はセクション6に記載) で染色した。非透過性にした細胞中の Notch 構築物の表面発現は、Notchの細胞外ドメイン由来の0.8kb (アミノ酸237-501; Wharton等.,1985, Cell 43, 567-581) BstYI 断片に対して作成されたラットポリクローナル抗血清を用いて検定した。細胞はLeitz Orthoplan 2 顕微鏡上で表面蛍光下で観察した。
7.2.結 論
7.2.1.Notch のEGF繰り返し11及び12はNotch −Delta 媒介凝集のために必要である
我々は、Notch が媒介する相互作用の正確なドメインを同定するために、我々がNotch −Delta 相互作用に関連することを既に示している (上記、第6節) 、Notch 蛋白の細胞外領域の広範囲の欠失分析に着手した。我々は第6節に記載されている凝集アッセイを使用して、Delta と相互作用させるため種々の欠失構築物を移入した細胞の能力を試験した。簡単に述べると、Notch 欠失構築物は経過的にドロソフィラS2細胞に移入され、CuSO4で誘引し、次いでセルラインL49-6-7(cherbas)を発現する安定的に移入されたDelta からの少量の細胞とともに室温で1晩凝集させ、約1%Notch 発現細胞及び約5%Delta 発現細胞から典型的に成る集団をいずれの蛋白をも発現しない残存細胞で収穫した。凝集の度合をアッセイするために、細胞を各遺伝子生成物に特異的な抗血清で染色し、免疫蛍光顕微鏡で試験した (詳細については実験方法を参照) 。凝集体はNotch 及びDelta 発現細胞の両方を含む4個以上の細胞のクラスターとして定義され、そして第6図に示される値はこのようなクラスターに見い出されるNotch を発現する全ての細胞のパーセントを表わす。すべての数は、少なくとも 100個のNotch 発現細胞単位 (単一細胞又はクラスター) が計測された少なくとも2個の別個のトランスフェクション実験からの平均的結論を、表わしている。
試験された構築物の模式図及び凝集実験の結果は第6図に示されている (詳細については実験的方法を参照) 。すべての発現構築物は、全長のNotch 発現構築物#1 pMtNMg (上述の第6節) の誘導体であった。
最初の構築物 (#2 DSph及び#3 ΔCla)はEGF繰り返しの大部分を欠失していた。Notch −Delta 凝集を促進することが不可能なことは、Notch のEGF繰り返しがDelta との相互作用に関連していたことを示していた。我々はEGF繰り返し7及び30の間でさらに領域を切断するため、一連の6個のイン−フレームClaI制限部位を利用した。繰り返しの間の配列相同性のため、ClaI部位の5個は3番目のシステインのすぐ後の、EGF繰り返しの同一の相対的場所で生じ、一方第6の部位はEGF繰り返し31の最初のシステインの直前で生ずる (第7図) 。こうして、ClaIの部分的消化を行い、次に再結合することにより、我々はNotch 蛋白の読み取り枠 (open reading frame) を保存しているのみならず、さらに、構造上の完全さを維持し、再結合により生成されたキメラEGF繰り返しにおける3個のジスルフィド結合の空間を少なくとも理論的に保持した (第6図、構築物#4−14) 。残念なことに、いちばん多くの3' ClaI 部位は消化に抵抗性であったが、次に多い3'ClaI部位はEGF繰り返し30と31の間で切断した。それゆえ、種々のClaI消化物の断片は完全なClaI消化物 (構築体#3 ΔCla)のフレームワーク内に再び挿入されると、EGF繰り返しの全体の構造は明らかに3'結合で中断された。
このシリーズの構築物についての幾つかの点は、何の価値もない。第1に、EGF繰り返し9及び17において切断したClaI制限断片の除去は (構築物#8 ΔEGF9−17) Delta との凝集を放棄し、一方、EGF繰り返し7−30を欠いている、構築物#3 ΔCla にこの部分を再挿入するとほぼ野性型のレベル (構築物#13 ΔCla+EGF9−17) まで凝集を回復したが、これはEGF繰り返し9から17まではDelta に結合するために重要な配列を含んでいることを示唆している。第2に、このシリーズ (#4−14) 中のすべての構築物は、EGF繰り返し9から17までに対する結合部位マッピングに合致した。これらの繰り返し (#6, 7, 9, 10, 13) を含有する発現構造体はNotch −Delta 相互作用を促進するが、これらの繰り返し (#4, 5, 8, 11, 12, 14) を欠く構築物は促進しなかった。Delta 細胞とは凝集できないことは、単に細胞表面に到達するのに変異が誘発されたNotch 蛋白が失敗したことによるのみならず、実際に必要な結合部位が欠けているということを確認するために、我々はNotch の細胞外領域に特異的な抗体でトランスフェクトされた生細胞を免疫蛍光学的に染色することにより、すべての構築物の細胞表面発現を試験した。Notch −Delta 相互作用を媒介することに失敗したすべての構築物は、細胞表面において通常発現されるように思われる蛋白を生成した。第3に、凝集アッセイは定量的ではないが、EGF繰り返し9−17, #9 ΔEGF17−26又は最も認識しうる#10 ΔEGF26−30を含む2個の構築物は、表面上低いレベルで凝集した。固定され、かつ浸透された細胞は普通に染色された同一の抗体と反応するが、構築物#9 ΔEGF17−26及び10 ΔEGF26−30でトランスフェクトされた細胞は通常よりかなり低い表面染色を示していることは、我々が抗血清により認識されるエピトープを単に欠失させたのではないことを示している。浸透した又は生細胞集団のいずれかにおいてトランスフェクトされた細胞のパーセントを比較することにより、我々は構築物#9 ΔEGF17−26のためにトランスフェクトされた細胞の約50%及び構築物#10ΔEGF26−30のための10%が細胞表面において検出可能な蛋白を生成することを見い出した。このようにこれらの2個の構築物は細胞表面にしばしば到達し損なった蛋白を生成したが、これは誤って折りたたまれ、そのことにより衰えているのであって、Delta 発現細胞と凝集するためのトランスフェクトされた細胞の能力を放棄したからではない。
EGF繰り返し9から17までの結合部位をマップした後で、我々は分子の損傷が確認されたいずれかのNotch 変異体をこの領域にマップできるか否かチェックした。唯一のこのような変異体はスプリット、即ちEGF繰り返し14におけるポイント突然変異に相関する半優性のNotch 対立遺伝子であった (ハートレーら, 1987, EMBO J. 6, 3407-3417; ケーレーら, 1987, Mol. Cell. Biol. 6, 3094-3108)。事実、スプリットの第2部位の修飾因子に対する遺伝子スクリーンはDelta の数個の対立遺伝子を示しており、これはNotch のスプリットした対立遺伝子とDelta の間の特別の関係を示している (ブランド及びカンパス−オルテガ、1990, Roux's Arch. Dev. Biol. 198(5), 275-285)。Notch −Delta 媒介凝集に対するスプリット突然変異の可能な効果を試験するために、スプリット関連のミスセンス変異を含む11kb断片をNotch 発現構築物にクローンさせた (#15スプリット) 。しかしながら、Delta −発現細胞との凝集はこの構築物においては起こらず、このことは、次の構築物により確認されたように、Notch のEGF繰り返し14は我々の組織培養アッセイによりモデル化されたDeltaとは相互作用を起こさないことを示唆している。
このため、EGF繰り返し9−17内のDelta 結合ドメインを位置決めするため、我々はこの領域の数個のサブフラグメントを製造するための特異的なオリゴヌクレオチドプライマー及びPCR法を使用した。Delta と相互作用可能であった蛋白を生成した構築物#4−14と合致させるため、我々は共通のClaI部位と同じ場所において、第3番目のシステインの直後のEGF繰り返しをスプライスするプライマーをデザインした (第7図) 。得られたPCR生成物は構築体#3 ΔCla のClaI部位へ結合させた。3個の重複する構築物、#16, 17及び18が生成され、このうちの唯一の#16 ΔCla +EGF9−13はS2細胞にトランスフェクトされた時、Delta 細胞と凝集可能であった。EGF繰り返し9を欠いている構築物#19 ΔCla+EGF (10−13) は、さらにEGF繰り返し10−13をNotch −Delta 相互作用に必要な領域として定義した。
構築物#20−24は、さらに同一のPCRストラトジーを使用するこの領域の分析の試みを代表した (第7図) 。我々は最初にEGF繰り返し11及び12の両方が必要であるかどうか、次に、EGF繰り返し10及び13からのフランキング配列がDelta への結合に直接関連したかどうか調べた。構築物#20 ΔCla+EGF (11−13)、ここにおいてEGF繰り返し12が添加された唯一の完全繰り返し部分であり、及び#21 ΔCla+EGF (10−12) 、ここにおいてEGF繰り返し11が添加された唯一の完全繰り返し部分である、は凝集を媒介できなかったが、これはEGF繰り返し11又は12のいずれか1個の存在はNotch −Delta 相互作用にとり十分ではないことを示唆している。しかしながら、これらの構築物の3'結合の連結はEGF繰り返しの全体の構造を妨害するから、短い “バッファー" ゾーンが重要な繰り返しを正常に機能させるのに必要とされることはありうる。こうして、例えば、#19 ΔCla+EGF (10−13) 構築物において、EGF繰り返し12はDelta への結合には直接には関連しないかもしれないが、EGF繰り返し11の構造を保護するために必要とされる最少量のバッファー配列に寄与しうるものであり、そのことによりDelta との相互作用が可能となる。構築物#22−24はこの問題を解決する。我々は、EGF繰り返しの末端で切断、それゆえ、3'結合の連結においてEGFジスルフィド形成を中断することはありえないようなPCRプライマーをデザインした。構築物#22 ΔCla+EGF (10−11) 、これは凝集を仲介しなかった、及び#23 ΔCla+EGF (10−12) 、これは仲介した、再び繰り返し11及び12の両方を必要とし、繰り返し13からのフランキング配列は明らかにそうでないことを示唆していた。最後に、今や、5'結合で構造的に中断されることがありうるであろうが、構築物#24 ΔCla+EGF (11−12) は、確実にEGF繰り返し10からの配列は重要でないことを示していた。このように24個の構築物からの完全に一致したデータに基づいて、我々は、Notch のEGF繰り返し11及び12が伴にトランスフェクトされたS2細胞においてDelta への結合のために必要な部位を含む、この分析から得られる最小の機能的単位を定義するということを提唱する。
7.2.2.Notch のEGF繰り返し11及び12は、Notch −Delta 介在凝集のために十分である
PCR断片が挿入された大きなClaI欠失 (#3 Cla)は、オリジナルの36のEGF繰り返し並びに3個のNotch /lin-12繰り返しの約1/3 を保持している。これらは凝集を促進するには明らかに十分ではないが、特定のEGF繰り返しがDelta と相互作用可能であるために必要なフレームワークをそれらが形成することは可能である。たった二, 三のEGF繰り返しが実際に凝集を促進させるのに十分であるか否かを試験するため、我々は2個の構築物、繰り返し1の最初の3分の2を除いて36個のEGF繰り返しすべてを欠いている#25 ΔEGF、及びEGF繰り返し1の最初の3個及び膜貫通ドメインの直前の−35アミノ酸を除いてNotchの完全な細胞外部分を欠失している#30 ΔECNをデザインした。構築物#25 ΔEGFに挿入されたとき、構築物#3 ΔClaのバックグラウンドにおいてNotch −Delta 凝集を媒介した断片はDelta との相互作用を再び促進することができた (構築物#26−30) 。
Notch /lin-12繰り返しも存在していない類似の構築物 (#31,32) は、再度Notch −Delta 凝集を成功裏に仲介した。こうして、EGF繰り返し11及び12は、Notch の大部分の細胞外領域が存在しない場合においてさえ、S2細胞においてNotch −Delta 相互作用を仲介するのに十分である独立の分子単位として機能するように思われる。
7.2.3.Notch のEGF繰り返し11及び12は、Notch −Delta 介在凝集のカルシウム依存性を維持する
上述の第6節に記載したように (フェホンら, 1990, Cell 61,523-524)、我々はNotch −Delta −介在S2細胞凝集はカルシウム依存性であることを示した。それゆえ、我々は或る欠失構築物を発現する細胞のCa++イオンの存在下又は非存在下における細胞発現Delta による凝集能力を試験した。
我々は、コントロールとしての#1 pMtNMg構築物、及び#13,16, 19, 23, 24, 26, 27及び28を試験し、そして、Ca++を含有する媒質において混合された細胞は4℃で容易に凝集物を形成するのに対し、Ca++を含有しないEGTA媒質で混合された細胞は凝集しないことを見い出した (第III表)。
Figure 0004604228
明らかに、最小の構築物においてさえ、相互作用のカルシウム依存性が保持されており、このことはEGF繰り返し11及び12を含む最少の構築物は全長のNotch のそれと同様の態様によりDeltaに結合するという概念と合致している。この結果は、また、特定のコンセンサス配列を有するEGF−様の繰り返しはCa++結合領域として作用するかもしれないということを示唆する最近の研究に照らして興味がある (モリタら,1984, J. Biol. Chem. 259,5698-5704 ; スゴら, 1984, J. Biol. Chem. 259, 5705-5710 ;リーズら,1988, EMBO J. 7, 2053-2061; ハンドフォードら, 1990, EMBO J. 9, 475-480) 。繰り返し11及び12を含め、Notch におけるEGF繰り返しの半分以上はこのコンセンサスに合致し、さらに、EGF繰り返し11及び12がNotch −Delta 相互作用を促進するために関係するという議論を強化している。
7.2.4.Notch のEGF繰り返し11及び12のDelta 結合機能はNotch のアフリカツメガエル(xenopus) 同族体において保存される。
Notch のEGF繰り返し11及び12へのDelta 結合部位を位置決めしてから、我々はアフリカツメガエルで確認されたNotch 同族体の中にこの機能が保存されているか否か調べることに興味をもった (コフマンら, 1990, Science 249, 1438-1441) 。この蛋白は全体構造及び組織においてショウジョウバエのNotch に驚く程の類似性を示す。例えば、EGF繰り返しの内部で繰り返しの数及び線形機能の両方が保存されていたが、同様に可能な機能保存を示唆している。これを試験するため、我々はアフリカツメガエルのNotch 配列に基づいたPCRプライマーを製造し (コフマンら, 1990, Science 249, 1438-1441) 、いずれかの側において繰り返し10及び13が半分隣接したEGF繰り返し11及び12を含むアフリカツメガエルステージ17 cDNAライブラリーから約350bpフラグメントを得るためにこれらを使用した。このフラグメントは構築物#3 ΔCla にクローンされ、そして3個の独立したクローンにつき細胞培養凝集アッセイにおいてDelta と相互作用しうるか否か試験した。クローンのうちの2個、#33a&b ΔCla+XEGF (10−13) 、はS2細胞へトランスフェクトされるとき、類似のショウジョウバエのNotch 構築物#19 ΔCla+EGF (10−13) とほぼ同等のレベルで、そして、再カルシウム依存性の態様でNotch −Delta 相互作用を媒介できた (第III表) 。しかしながら、非透過性の生細胞を染色して判断したとき蛋白は細胞表面で通常発現されるが、第3番目のクローン#33c ΔCla+XEGF (10−13) はNotch −Delta 相互作用を介在することはできなかった。構築物#33a及び33cにおけるアフリカツメガエルのPCR生成物の配列比較によれば、構築物#33cのEGF繰り返し11においてロイシンをプロリンに変化させるミスセンス変異が明らかであった (アミノ酸#453, コフマンら,1990, Science 249, 1438-1441) 。この残基はショウジョウバエ及びアフリカツメガエルのNotch の間で保存されないが (第8図) 、プロリン残基の導入はEGF繰り返しの構造を容易に中断し、これによりDelta による適切な相互作用からそれを保護することができる。
ショウジョウバエ及びアフリカツメガエルのNotch のEGF繰り返し11及び12のアミノ酸配列の比較は、カルシウム結合コンセンサス配列を含め、高度のアミノ酸の同一性を示した(第8図,配列番号:1及び2) 。しかしながら、相同性のレベルは、他のEGF繰り返しの多くの間で共有されているものとは著しくは異なっておらず、全体としてアミノ酸レベルで約50%の同一性を示している。個々のEGF繰り返しの間のこの 1:1 対応は、恐らくそれらはまた保存された機能単位を含むことを示唆している。Delta 相互作用は、再びカルシウムイオン−依存性の態様である。
7.3.結 論
我々は、上述の第6節に記載したインビトロS2細胞凝集アッセイを使用して、遺伝子Notch 及びDelta の蛋白質生成物の間の相互作用の研究を続けた。Notch の細胞外ドメインの広範な欠失分析に基づいて、我々はEGF−相同性の繰り返し11及び12を含むNotch のドメインはNotch −Delta −媒介凝集にとって必要であり、かつ十分であること、及び、このDelta 結合能力はアフリカツメガエルのNotch の同一の2個のEGF繰り返しにおいて保存されていることを示している。凝集はNotch のEGF繰り返し11及び12を写像しているということの我々の発見は、Notch のEGF繰り返しはまた特定の蛋白結合ドメインとして機能するということを示している。
最近の研究によれば、特定のコンセンサス配列を含むEGF領域はCa++イオンを結合しうることが示されている (モリタら,1984, J. Biol. Cehm. 259, 5698-5704 ; スゴら, 1984, J. Biol.Chem. 259, 5705-5710; リーら, 1988, EMBO J. 7, 2053-2061;ハンドフォルドら, 1990, EMBO J. 9, 475-480) 。実際に繰り返し11及び12を含め、Notch におけるEGF繰り返しの約半分はこのコンセンサスに従っている。我々はトランスフェクトされたS2細胞のNotch −Delta 介在凝集のために外因性のCa++が必要であることを示した (第6節;フェーホンら,1990, Cell. 61, 523-534)。我々は我々の欠失構築物のサブセットを試験し、そして、EGF繰り返し11及び12のみが (#32 ΔECN+EGF (11−12))Notch −Delta 相互作用のCa++依存性を維持するのに十分であることを見い出した。
Notch とDelta の間の遺伝子相互作用はそれらの蛋白生成物の間で用量感受性相互作用を反映しうるということを多くの研究が示唆している。遺伝子研究によればNotch 及びDelta の相対的遺伝子用量は通常の成長にとり重要であることが示されている。例えば、キュ (Xu) らは、 (1990, Genes Dev. 4, 464-475)、Deltaにおけるヌル (null) 変異はEGF繰り返し内のミスセンス変異と相関する一群のNotch 変異である、アブラプテックス (Abruptex:Ax) 対立遺伝子のヘテロ接合性 (hetero-zygous)の組み合わせの間で致死相互作用を抑制しうることを見い出している (ハートレーら, 1987, EMBO J. 6, 3407-3147; ケーリーら, 1987, Mol. Cell Biol. 6, 3094-3108) 。我々がNotch −Delta 及びDelta −Delta 会合の両方を観察していることを記載したインビトロ相互作用 (第6節参照) は、Delta への結合に対するNotch とDelta の間の競争的相互作用は、観察された遺伝的相互作用に対する根元的な基礎を反映し得ることを意味する。さらに、我々は組織培養及び胚細胞抽出物の両方からNotch 及びDelta を共免疫沈澱 (coimmunoprecipitate)させることができた( 第6節参照) が、これはこの2個の蛋白がインビボで会合する可能性を示している。加えて、胚におけるNotch 及びDelta 発現パターンのmRNAイン シツー(in situ) 分析は、この2つの発現は重複するが、同一ではないことを示唆している (コプジンスキー及びムスカビッチ、1989, Development 107, 623-636; ハートレーら,1987, EMBO J. 6, 3407-3417) 。最近になって、Notch 蛋白発現の詳細な抗体分析は、Notch 発現は従前の研究が示していたよりは、組織及び細胞下レベルにおいて一層限定的であることを明らかにしている (ジョナサンら, 1989, J. Cell Biol. 109, 2427-2440; キッドら, 1989, Genes Dev. 3, 1113- 1129) 。
アフリカツメガエルのNotch 相同体からの同一の2個のEGF繰り返しが組織培養細胞においてDelta との相互作用を介在しうるという我々の発見は、類似の機能がインビボで保存されるであろうことを強く示している。これらの2個のEGF繰り返しはインビトロにおいては十分であるが、もちろんインビボではより多くのNotch 分子がNotch −Delta 相互作用を促進するために必要であるかもしれないことはありうる。事実、我々は、Delta 結合部位が幾つかのAx変異が落ち着くことが示されていたEGF繰り返しの位置決めをしないことを知るための2つの理由によりやや驚かされたが、その第1の理由はAx対立遺伝子とDelta 変異の間の相互作用を示している遺伝子スクリーンのためであり (Xuら.,1990, Genes Dev. 4, 464-475)、第二には、或る種のAx対立遺伝子がEGF繰り返しの推定上のCa++結合コンセンサス内において一個のアミノ酸と会合することを示した配列分析のためである。例えば、AXE2変異はEGF繰り返し29をCa++結合コンセンサスに変えたが、AX9B2変異はEGF繰り返し24をコンセンサスから離れたものとした。インビボにおいてNotch 蛋白のこれらの領域はDelta 及び/又は他の蛋白のいずれかとの相互作用に関連するかもしれないことはありうるが、このことは我々の細胞培養アッセイによっては正確にはモデル化できなかった。
Notch のEGF繰り返し11及び12へDelta 結合領域をインビトロでマッピングすると、Notch の構造領域に対して機能を最初に割り当てることが説明される。事実、種々の欠失構造物は、それらが置かれた状態とは独立に、これらの2個のEGF繰り返しがモジュール単位として機能することを示唆している。このため、残りの34個のEGF繰り返し又は3個のNotch /lin-12繰り返しは、いずれも機能するEGF11及び12にとって必要な構造的フレームワークを確立するのに必要でないように思われる。興味あることに、ほとんど逆の効果が観察された。我々の凝集アッセイは相互作用の力を測定するものではないが、結合部位をより小さなフラグメントに狭めれば狭める程、Delta 発現細胞と凝集するトランスフェクトされた細胞の能力を増大させることが発見されたが、これは正常の隣接するEGF配列は現実に蛋白の間の会合を妨害することを示している。構築物#3 ΔCla のバックグランドにおける (#9, 16, 19, 23を比較されたい) 又は構築物#25ΔEGFのバックグラウンドにおける (#26, 27, 28を比較されたい) 、2個の分離した系列の構築物について、我々は凝集力の増大を観察しており、その結果、最小の構築物 (#19, 23, 28,29) が、一貫して野性型 (#1 pMtNMg) のレベル以上に凝集する。これらの結果は、周囲のEGF繰り返しはEGF繰り返し11及び12がDelta にアクセスする能力を限定するように作用し、そのことにより恐らくインビボにおいてNotch −Delta 相互作用を調節している。
Notch は、ショウジョウバエが成長する間、プレオトロピック (pleotropic) な役割を果たすと言われてきた構造的な複合トランスメンブラン蛋白をコード化する。EGF繰り返し11及び12が少なくとも細胞培養時にDelta と相互作用をするのに十分な独立したモジュール単位として機能するようにみえるという事実は、直ちに、これらは成長の諸段階でNotch と相互作用する他の蛋白に対するモジュール結合領域をも形成しうるという仮説の役割に疑問を与える。
アフリカツメガエルのNotch に加えて、C.エレガンス(elegans)の成長の間或る細胞の死の特定化に関与する細胞−細胞相互作用に機能すると考えられた2つの遺伝子、lin-12及びglp-1 は、ショウジョウバエ及びアフリカツメガエルのNotch に構造的に極めて類似するEGF相同のトランスメンブラン蛋白をコード化する。4つの蛋白はすべてEGFと相同の繰り返しをもち、1個のトランスメンブラン領域の細胞外領域において他の3個のシステインに富んだ繰り返し (Notch /lin-12繰り返し) 、及び細胞内ドメインで6個の cdc10/アンキリン(ankyrin) 繰り返しが続いている。配列比較及び我々のDelta 結合アッセイの両方によれば、ショウジョウバエNotch の直接の機能的対照物をコード化するように思われるアフリカツメガエルのNotch とは異なって、lin-12及びglp-1 は多分同じ遺伝子ファミリーの明確なメンバーをコード化する。予想した蛋白生成物のlin-12及びglp-1 をNotch と比較すると、構造上のモチーフの全体的に類似した組織にもかかわらず、特別の差異が明らかである。最も明らかな差異は、アフリカツメガエル及びショウジョウバエのNotch の両方とも36個のEGF繰り返しを有するのに比べて、lin-12及びglp-1 蛋白はそれぞれ僅か13及び10のEGF繰り返しを含むことである。加えて、線虫類の遺伝子においては、EGF繰り返しの配列は最初のEGF繰り返しの後で、Notch にはない明らかに伸長した配列により中断されている。さらに、我々がNotch のEGF繰り返し11及び12として定義したDelta 結合ドメインに関して、Ca++結合コンセンサス配列を示すlin-12又はglp-1 蛋白における2個の隣接するEGF繰り返しが存在せず、さらに、Notch のEGF繰り返し11及び12に極めて類似性を示す2個の隣接する繰り返しがないことは、再び、lin-12及びglp-1 遺伝子生成物が恐らくNotch とは機能的に異なることを示唆する。
Notch のEGF繰り返し11及び12は別個のDelta 結合単位を形成するという我々の知見は、各々のEGF繰り返し又は繰り返しの小さなサブセットは、恐らく他の蛋白との直接相互作用を通じて、成長の間独特の役割を果たし得るという考えを支持する最初の具体的な証拠を示す。Delta 及びSerrate (Serrate:後述の第8.3.4節を参照) の粘着領域の間に見られる相同性は、Serrateの相同である部位はそれが他のトポリズミック蛋白への結合を媒介するという点において"粘着性" であることを示唆する。加えて、スカブラス(scabrous)遺伝子、これはフィブリノーゲンに類似して分泌蛋白をコードするが、はNotch と相互作用可能である。
EGF繰り返しに加えて、他の構造上のモチーフの多数のコピーが一般に広範の蛋白で生じる。その1つの例は cdc10/アンキリンモチーフであり、これの6個のコピーはNotch の細胞内領域で見い出されている。アンキリンはこれらの繰り返しの22を含む。恐らく、構造上のモチーフの反復する配列は、一般に、一連のモジュール蛋白結合単位の線形アンセンブリーを表わす。これらの結果をNotch の既知の構造的、遺伝的及び成長の複雑性と一緒にしてみると、Notch は正確に制御された時間的及び空間的パターンにより成長の間多くの異なるリガンドと相互作用するのかもしれない。細胞骨格蛋白及び細胞質蛋白は細胞内 cdc10/アンキリンモチーフにより介在されることができるのに対し、細胞外蛋白質との相互作用はEGF及びNotch /lin-12繰り返しにより介在されうる。
8.Delta のアミノ末端はNotch 及びDelta と相互作用するEGF−結合領域である。
Notch とのヘテロタイプの相互作用及びホモタイプのDelta 相互作用に必要なDelta の配列を詳述するために、野性型及び変異型Delta 蛋白を発現するように企図された培養細胞の凝集が用いられた。我々は、Delta 細胞外ドメインのアミノ末端がヘテロタイプ (Delta −Notch)及びホモタイプ (Delta −Delta)の相互作用にDelta が関与するために必要かつ十分であることを見い出した。我々はDelta のアミノ末端はEGFモチーフ−結合ドメイン (EBD) であると推測しており、Notch EGF様配列がDeltaとのヘテロ型の相互作用を介在するのに十分であることが仮定される。Delta EBDは明らかに2個の活性:EGF−関連配列を結合する能力及び自己会合する能力を有する。我々は、また、Delta はNotch を発現する培養細胞により取り込まれることを見い出しているが、これはこれらの蛋白がin vivo で相互作用するメカニズムを反映しているかもしれない。
8.1.材料及び方法
8.1.1.セルライン
これらの実験で使用されたS2ドロソフィーラセルラインは (シュナイダー, 1972, J. Embryol. Exp. Morph. 27, 353-365)、第6節に記載されているようにして、増殖させた。
8.1.2.免疫プローブ
免疫組織化学は、上記第6節に記載されたようにして、又は、この方法を僅かに変更して実施された。使用した抗血清及び抗体には、次のものが含まれる。第4番目から第9番目のELRs まで広がるDelta ELR配列セグメントに対して産生されたマウスポリクローナルDelta 血清 (上記第6節参照) ; 同じDelta セグメントに対して産生されたラットポリクローナル抗Delta 血清 (第6節参照);第5番目から第13番目のELRs に広がるNotchELR配列セグメントに対して産生されたラットポリクローナル抗−Notch 血清;Notch 細胞内ドメインを認識するマウスモノクローナル抗体 C17.9C6 (第6節参照) ;及びショウジョウバエ神経膠細胞の長い形態を認識するマウスモノクローナル抗体 BP-104( ホルシュら, 1990, Neuron 4, 697-709)。
8.1.3.発現ベクター構築物
野性型Delta (pMTDl1)及び野性型Notch (pMTNMg)を発現するプログラムに用いられる構築物は、上記第6節に記載されている。変異型のDelta 蛋白の発現を指示する構築物は、pMTDl1, Bluescript+にクローン化されたDl1 cDNA (pBSDll;コプジンスキーら., 1988, Genes Dev. 2, 1723-1735) 、及びメタロチオネインプロモーターベクターpRmHa-3 ( ブンチら., 1988, Nucl. AcidsRes. 16, 1043-1061) に1B7A250 cDNAが挿入されたものから成るpRmHa 3-104 (A, J.ビーバー, 個人的レター) 、及びショウジョウバエ神経膠細胞の長い形態の発現を誘導できる支持体 (ホルシュら,1990, Neuron 4, 697-709)を使用して産生された。
簡単に述べると、構築物は以下のようにして製造された:
Del(Sca-Nae) − pBSDl1 をSalI (完全消化物) 及びScaI (部分) で切断し、ベクターを含有するフラグメントを分離する。pBSDl1をNaeI (部分) とSalI (完全) で切断し、Delta カルボキシル−末端コード化フラグメントを分離する。フラグメントを結合させ、形質転換させ、そしてクローンを分離する。 EcoRI挿入断片を pRmHa-3 に転移させる。
Del(Bam-Bgl) − pBSD11 をBglII (完全) 及びBamHI (部分)で切断し、末端をクレノーDNAポリメラーゼで満たし、結合させ、形質転換させ、クローンを分離する。 EcoRI挿入断片をpRmHa-3に転移させる。
Del(ELR1-ELR3) − 5-ACTTCAGCAACGATCACGGG-3'( 配列番号:26)及び5'-TTGGGTATGTGACAGTAATCG-3'(配列番号:27)を用いてDl1cDNAの塩基対236-830 をP
CR−増幅させ、T4 DNAポリメラーゼで処理し、ScaI (部分) 及び BalII (完全) で切断した pBSDl1 に結合させ、そしてクレノウDNAポリメラーゼで末端をみたし、形質転換し、そしてクローンを分離する。BamHI-SalIDelta カルボキシル−末端コード化フラグメントをpRmHa-3に転移させる。
Del(ELR4-ELR5) − pBSDl1をBglIIで完全に、PstIで部分的に消化した。5.6kbのベクターを含むフラグメントが分離され、100 ×モル過剰のオリゴヌクレオチド5'-GATCTGCA-3'の存在下T4 DNAリガーゼを使用して環状化し、形質転換してからクローンを分離した。得られたEcoRI挿入断片を次いでpRmHa-3 へ転移させた。
Ter(Dde) − pBSDl1 をDdeI (部分) で切断し、クレノウDNAポリメラーゼで末端をみたし、 100×モル過剰の5'-TTAAGTTAACTTAA-3'( 配列番号:28)と結合させ、形質転換させ、そしてクローンを分離する。 ECoRI挿入断片をpRmHa-3に転移させる。
Ins(Nae)A − pMTDl1 をNaeI (部分) で切断し、ベクター含有フラグメントを分離し、 100×モル過剰の5'-GGAAGATCTTCC-3'( 配列番号:29)と結合させ、形質変換させ、そして、クローンを分離する。
NAE B − pMEDl1 をNaeIで部分的に消化し、長さが約5.8kbの一時的に直鎖状となった環状の集団を分離した。このフラグメントは、100×モル過剰のオリゴヌクレオチド5'-GGAAGATCTTCC-3'( 配列番号:29)の存在下でT4 DNAリガーゼを使用して再び環状化し、形質転換し、リンカーの多重 (multiple) 挿入断片を含むクローン (NAE A)を分離した。NAE A はBglII で完全に消化し、生成した04kb及び54kbのフラグメントを分離し、結合させ、形質転換し、そして、クローンを分離した。
Ins(Stu) − pMTDl1 をStuIで切断し (完全) 、ベクター含有フラグメントを分離し、 100×モル過剰の5'-GGAAGATCTTCC-3'( 配列番号:29)と結合し、形質転換し、クローンを分離する。
STU B − pMTDl1 をStuIで完全に消化し、生成した5.8kbのフラグメントを分離した。このフラグメントは 100×モル過剰のオリゴヌクレオチド5'-GGAAGATCTTCC-3'( 配列番号:29)の存在下でT4 DNAリガーゼを使用して再び環状化し、形質変換させ、そしてリンカーの多重挿入断片を含むクローン(STU A) を分離した。STU B はBglII で完全に消化し、そして得られた06kb及び52kbフラグメントを分離し、結合させ、形質変換させ、クローンを分離した。
NG1 − pRmHa 3-104 を BglII (完全) と EcoRI (完全) で切断し、ベクター含有フラグメントを分離する。Ins(Nae)A を EcoRI (完全) 及び BglII (完全) で切断し、Delta アミノ−末端コード化フラグメントを分離する。フラグメントを結合し、形質転換させ、そしてクローンを分離する。
NG2 − pRmHa 3-104 を BglII (完全) 及び EcoRI (完全)で切断し、ベクター含有フラグメントを分離する。Del(ELR1-ELR3)を EcoRI (完全) 及び BglII (完全) で切断し、Delta アミノ−末端コード化フラグメントを分離する。フラグメントを結合し、形質転換し、そしてクローンを分離する。
NG3 − pRmHa 3-104 を BglII (完全) 及び EcoRI (完全)で切断し、ベクター含有フラグメントを分離する。pMTDl1 をEcoRI ( 完全) 及び BglII (完全) で切断し、Delta アミノ−末端コード化フラグメントを分離する。フラグメントを結合し、形質転換し、クローンを分離する。
NG4 − pRmHa 3-104 を BglII (完全) 及び EcoRI (完全)で切断し、ベクター含有フラグメントを分離する。Del (Sca-Nae)を EcoRI (完全) 及び BglII (完全) で切断し、Delta アミノ−末端コード化フラグメントを分離する。フラグメントを結合させ、形質転換し、そしてクローンを分離する。
NG5 − 次のようにしてDel(Sca-Stu)を生成する: pMTDl1をScaI (完全) 及びStuI (完全) で切断し、ScaI-ScaI アミノ−末端コード化フラグメント及びStuI-ScaI カルボキシル末端コード化フラグメントを分離し、結合させ、形質転換させ、そしてクローンを分離する。Del(Sca-Stu)を EcoRI (完全) 及び BglII (完全) で切断し、Delta アミノ−末端コード化フラグメントを分離する。pRmHa 3-104 を BglII (完全) 及び EcoRI (完全) で切断し、ベクター含有フラグメントを分離する。フラグメントを結合させ、形質転換し、そしてクローンを分離する。
種々のDelta 変異体の配列内容を第IV表に示す。第IV表に定義されたDelta 変異体の模式的一覧図は第9図に示されている。
Figure 0004604228
A Dll cDNAの順序 (第12図) に対応してDelta 配列を調整する。
B 挿入されたリンカーの正確な数は、この構築物のためには決定されていない。
C 神経膠細胞(neuroglian)を調整する (ビーバーら, 1989,Cell 59, 447-460; ホルッシュら, 1990, Neuron 4, 697-709)Delta −神経膠細胞のキメラに存在するヌクレオチド配列は1B7A-250 cDNA の配列に相当し (第13図、配列番号:5)ボールドフェース型で示されている。
D 神経膠細胞アミノ酸配列は2B7A-250 cDNA ヌクレオチド配列の概念的翻訳に由来しており (第13図、配列番号:5) ボールドフェース型で示されている。
E 配列番号:28
F 配列番号:29
8.1.4.凝集プロトコール
細胞のトランスフェクション及び凝集は、上記第6節に示されるようにして、又は、これを多少変更したものにより実施した。
8.2.結 果
8.2.1.Delta 細胞外領ドメインのアミノ−末端配列は、Notchとのヘテロ型の相互作用にとり必要かつ十分である
我々は、あるDelta 変異体は細胞表面に効率的に局在しえないかもしれないと予想したので、我々は異なるトランスフェクションにおいてDelta 発現構築物のインプット量を変えながら、野性型Delta の発現レベルとNotch −発現細胞との凝集の程度の間の関係を調査した。我々は、このアッセイにおいてヘテロ型Delta−Notch の相互作用は10倍レベルのDelta インプットにのみ僅かに依存することを見い出した (第9A図) 。試験した範囲内でのヘテロ型相互作用の確からしさ及び我々が用いたDelta 変異体のそれぞれがトランスフェクトされた細胞において実質的な表面蓄積を示すという我々の観察を仮定すると、一定のDelta 変異体がヘテロ型の凝集を支持できないことは、ヘテロ型凝集における表面発現の減少したレベルの影響とは全く異なって、この変異体により示される機能の欠損を多分反映しているものと我々は推測する。
Delta 変異体及び野性型Notch により介在されるヘテロ型凝集実験の結果は、第V表に示されている。
Figure 0004604228
Figure 0004604228
A 4個以上の細胞を含有する凝集物中の発現細胞の合計数
B 神経膠細胞を基にする構築物 (NGn)を発現する細胞は、神経膠細胞の細胞内領域を認識するモノクローナル抗体を使用して検出された (材料及び方法を参照)
C (H)は25mlのエーレンマイヤーフラスコ中で細胞が凝集したことを示しており、(B)は細胞が12−ウエルのマイクロ滴定プレート中で凝集したことを示す (材料及び方法を参照) 。
D 凝集体及び非凝集体における個々の細胞型のデータ (即ち、Delta+及びNotch+) は記録しなかった。

Delta アミノ酸 (AA) 1-230 は、Notch との相互作用にとって十分であると定義されている、現在最小の配列間隔である。これは、NG2−Notch 凝集の成功に基づく。この間隔内で、Delta AA198 -230は重要である。というのは、NG1構築物におけるこれらの欠失がNG2構築物において観察されたNotch −結合活性を不活性化するからである。また、この間隔内において、Delta AA 32-198 が重要である。なぜならば NG4構築物内のこれらの欠失は、また、NG3構築物において観察されたNotch −結合活性を不活性化するからである。Delta AA 192-230の重要性は、また、AA 231-331を除いてすべてのDelta アミノ酸を含むDel(ELR1-ELR3)変異体がNotch 結合活性を有するのに対して、AA 192-331を除きすべてのDelta アミノ酸を含む、Del (Bam-Bgl) 変異体がNotch −結合活性について、明らかに不活性化されたという観察によっても支持される。
Delta AA 197/198の近傍におけるコンフォメーション及び/又は一次配列は明らかに重要である。なぜならばこれら2つの残基の間において、Ins(Nae)A 構築物のようにテトラペプチドArg-Lys-Ile-Phe〔一文字コードにおける (例えば、レーニンガーら,1975, Biochemistry, 第2版, 第72頁) 、RKIF〕( 配列番号:30)を多量体挿入すると、野性型Delta で観察されたNotch 結合活性を不活性化したからである。
加えて、Del(ELR1-ELR3)構築物が凝集を支持したという観察は、ELR1-ELR3 はDelta −Notch 相互作用にとり必要でないということを意味する;Del(ELR4-ELR5)構築物が凝集を支持したという観察は、ELR4及びELR5はDelta −Notch 相互作用にとって必要でないことを意味し、そして、Ter(Dde)構築物が凝集を支持したという観察は、Delta 細胞内ドメインはDelta −Notch 相互作用にとり必要でないことを意味する。
8.2.2.Delta 細胞外領域におけるアミノ−末端配列は、ホモ型相互作用にとって必要かつ十分である
Delta 変異体により介在されるホモ型凝集実験の結果は、第VI表に示されている。
Figure 0004604228
A (H)は25mlエーレンマイヤーフラスコ中で凝集した細胞を示し;(B)は細胞が12−ウエルのマイクロ滴定プレート中で凝集したことを示す。
B トランスフェクトされた細胞は凝集条件下で1晩培養され、次いで誘導物質の存在下適当量の対数期S2細胞に希釈され、凝集条件下でさらに4から6時間培養された。
C 誘導物質が添加されたトランスフェクト化細胞は適当な容積の対数期S2細胞に希釈され、これに誘導物質が添加され、そして細胞混合物は凝集条件下で1晩培養された。
全長さのDelta 蛋白からDeltaAA 32-198 を削除したもの[Del (Sca-Nae)]又はDelta AA 192-331を削除したもの[Del(Bam-Bgl)]は、Delta −Delta 相互作用を消失する。Delta AA 231-331の欠失[Del(ELR1-ELR3)]はDelta −Delta 相互作用を消失しなかった。それゆえ、Delta AA 32-230 の間の配列はDelta −Delta相互作用にとり必要である。
Delta AA 197/198の近傍のコンフォメーション及び/又は第一次配列はDelta −Delta 相互作用にとって明らかに重要である。なぜならば、これらの2つの残基の間にIns(Nae)A 構築物のようにテトラペプチド-Arg-Lys-Ile-Phe-(配列番号:30)を多重挿入すると、Delta −Delta 相互作用を不活性化したからである。
加えて、Del(ELR1-ELR3)構築物が凝集を支持できたという観察は、ELR1-ELR3 がDelta −Delta 相互作用にとり必要でないことを意味する;Del(ELR-ELR5) 構築物が凝集を支持したという観察は、Delta −Delta 相互作用にとってELR4及びELR5は必要でないことを意味し、そして、Ter(Dde)構築物が凝集を支持したという観察は、Delta 細胞内ドメインはDelta −Delta 相互作用にとり必要でないことを意味する。
種々の構築物によるヘテロ型及びホモ型のアッセイについての結果の概要を第VI-A表に示す。
Figure 0004604228
a :4個以上の細胞の凝集物におけるDelta 又はNotch 細胞の平均分数 (%)(±標準誤差) 。他に記載されていない場合、N=3 複製である。
b :4個以上の細胞の凝集物におけるDelta 細胞の平均分数 (%) (±標準誤差) 。他に記載されていない場合、 N=3 複製である。
c :N=5 複製。
d :N=4 複製。
8.2.3.ヘテロ型及びホモ型相互作用に関連するDelta 配列は定量的に異なる
ヘテロ型及びホモ型相互作用のための修復されたDelta 配列のそれぞれの特性は、さらに短い、イン−フレーム、翻訳可能なリンカー挿入物がDelta アミノ末端へ導入されたDelta 変異体( 即ち、NAE B 及び STU B;第9図、第VI-A表) を使用して定義された。Delta 残基132(A)をペンタペプチドGKIFP(STU B 変異体)置き換えると、Delta アミノ末端のヘテロ型及びホモ型の相互作用活性が不活性化する。このことは、これらの2個の異なる相互作用に必要な幾つかのDelta 配列は、残基132 の近傍に一致し、そこにあることを示唆している。一方、Delta 残基198 及び199の間でテトラペプチドRKIFを挿入すると (NAE B 変異体) 、Notchとヘテロ型相互作用を介在するためのDelta アミノ末端の能力を消失するが、ホモ型の相互作用を介在するための変更されたアミノ末端の能力に対しては明らかな作用を有していない。NAE B 挿入がDelta アミノ末端の2つの活性のうちの1つに対してのみ影響するということは、ヘテロ型及びホモ型相互作用を介在するDelta 配列は一致するものの、量的に異なることを意味する。
8.2.4.Delta はNotch を発現する細胞により取り込まれる
多くのヘテロ型凝集実験の途中で、我々はときどき、Delta ではなくて、Notch を発現するようにプログラムされた細胞内でDelta 蛋白が見い出しうることを知った。我々は、Delta 又はNotch のいずれかを発現するようプログラムしている発現構築物で独立にトランスフェクトされた別個のS2細胞の集団を最初に混合することにより、ヘテロ型凝集アッセイを行う。しかしながら、我々はしばしばヘテロ型凝集物中に見い出されたNotch 発現細胞内でDelta −特異的抗血清を使用するとDelta の小さい斑点の染色が生ずるのを知った。我々の観察は、Delta は細胞表面で直接Notch に結合し、続いて、細胞表面からエンドサイト−シスによりDelta −Notch 複合体が通過するということに合致している。
8.3.議 論
8.3.1.EGFに関連しないアミノ−末端配列は、Delta 及びNotch の間の相互作用に関与している
我々は、Delta −Notch 相互作用を介在させるのに必要かつ十分である領域を、Delta 細胞外ドメインのアミノ近傍の領域内において定義するため、細胞凝集アッセイを使用した。欠失及び十分な構築物の組み合わせによる機能分析によれば、この領域は、最大の場合、AA1からAA 230にあることが明らかになった。この領域はDelta 細胞外ドメインにあるいずれのEGF−様配列も含んでいないことは驚きである。Notch との相互作用のために必要とされる十分な間隔内の特定のDelta 配列はAA 198-230を含む。なぜならば、これらの残基を欠失させるとNotch −結合活性が消失するからである。AA 32-198 の欠失もまたNotch −結合活性を不活性化するという事実は、この欠失の有害なインパクトはAA 198の直近における付加的なアミノ酸の除去によっても生じうるもので、AA 198に最も隣接するアミノ配列が必要であることを示唆している。
Notch との相互作用にとって十分なDelta 内の配列は、それぞれのシステイン残基の含量において異なる3個のサブドメイン− N1, N2及び N3−にグループ化され得る (第10図、配列番号:3) 。 N1及び N3領域はそれぞれ6個のシステイン残基を有するのに対して、 N2領域は有しない。 N1及び N3に存在するシステインの数がそれぞれ等しいということは、これらのサブドメインのそれぞれの構造は部分的には、特定のジスルフィド結合の形成により指図されるという可能性が考えられる。Delta アミノ末端の広範囲の組織パターンは、又、一般的に脊椎動物のEGF受容体の細胞外ドメインのそれに類似しており (ラックスら, 1988, Mol. Cell. Biol. 8, 1970-1978)、EGFと相互作用すると信じられているその配列は2個のシステインに富んだサブドメインにより結合されている。
8.3.2.ホモ型相互作用及びホモ型ヘテロ型相互作用のために必要なDelta 配列は、一致しているようにみえる
我々の結果は、ホモ型Delta 相互作用のために必須の配列は間隔AA 32-230 の間にあることを示している。このアミノ近傍ドメイン内で配列を欠失させるか、又は付加的にアミノ酸を挿入させると、独立で細胞凝集を促進させるためのDelta 変異体の能力を消失させる。この結果、Delta −Delta 相互作用のために必要な配列は、Delta −Notch 相互作用のために必要な配列と同じ蛋白の領域内に位置付けられる。
8.3.3.Delta アミノ末端はEGF−結合モチーフを構成する
上述の実施例に記載の研究は、細胞凝集アッセイにおけるDelta−Notch 相互作用のために必要なNotch 配列が、Notch 細胞外ドメインのEGF−様繰り返し配列内に位置決めされることを明らかにしている。この知見は、Delta とNotch はNotch 内のEGF−様配列にDelta アミノ末端が結合することにより相互作用を生じ、それゆえ、Delta 細胞外ドメインのアミノ末端はEGF−結合領域を構成することを意味している (第11図) 。
これらの結果は、また、ホモ型Delta 相互作用はDelta の細胞外ドメインでDelta アミノ末端がEGF−様配列に結合することを必要とする可能性を提起する (第12図) 。しかしながら、Delta細胞外ドメイン内のEGF−様繰り返しのいずれも、Notch の細胞外ドメイン内のいずれのEGF−様繰り返しとも同一でない(第13図, 配列番号:6; ウォートンら, 1985, Cell 43, 567-581) 。これが事実と仮定して、もしDelta ホモ型相互作用がDelta アミノ−末端とDelta EGF−様繰り返しの間の相互作用によって実際に介在されるならば、Delta EGF−結合領域は、少なくとも2個の異なるEGF−様配列と相互作用する能力を有する。
8.3.4.Delta −Notch 相互作用に関連するDelta 配列は、Serrate 蛋白中に保存される
Delta ( 第13図, 配列番号:6, 及び第15図, 配列番号:9) 及びSerrate ( フレミングら, 1990, Genes & Dev. 4, 2188-2201;トーマスら, 1991, Devel. 111, 749-761)のアミノ末端からアミノ酸配列を整合させると、構造上の特性及び配列組成の驚く程の保存がみられる。Serrate 蛋白のDelta N 1- 及びDelta N 3-相同ドメイン内に6個のシステイン残基が特別に生じているように、Delta アミノ残基の一般の N1-N2-N3サブドメイン構造は、Serrate のアミノ末端内でも観察される。2個の顕著な保存ブロックは、Delta AA 63-73 (8/11残基が同一) 及びDelta AA 195-206 (10/11 残基が同一) に相当する。この間隔に付加的にアミノ酸を挿入すると、Notch 又はDelta に結合するDelta の能力を消失させることができることから、後者のブロックは特に興味がある。
8.3.5.Delta とNotch の間のシス及びトランス相互作用はNotch内で異なる配列を含むかもしれない。
Delta 及びNotch の全体的構造の検討によれば、Delta −Notch相互作用は、相互作用が対向する膜にある分子の間か、又は同一の膜内にある分子の間でなされるのかに依存して、Notch 内の二個の領域のいずれかを有するDelta −結合ドメインの間の接触を含むことができることを示唆する( 第11図) 。細胞凝集アッセイ、これは恐らくは向かい合った膜にある分子の相互作用を検出するものであるが、これはDelta EGF−結合ドメインがNotch EGF−様繰り返し11及び12と相互作用することを示す (上記例を参照) 。もしEGF−様モチーフの一列に並んだ配列がDelta 及びNotch 蛋白内でロッド状の構造を形成するならば (エンゲル, 1989, FEBS Lett. 251, 1-7)、細胞表面からのDelta EGF−結合ドメインの予測される置換は、恐らくNotch EGF−結合繰り返し1−10の固定した配列を収容するのに十分であろう。細胞表面からのDelta EGF−結合領域の置換は、Abruptex 突然変異体により影響されるNotch EGF−様繰り返し (25−29) の近傍にこの領域を置くことが可能であること (ハートレーら, 1987, EMBO J. 6, 3407-3417; ケーレーら, 1987, Mol. Cell. Biol. 6, 3094-3108) 、かつ同じ膜内にあるDelta とNotch 蛋白の相互作用について考慮することができることに注意することはまた、興味をそそる。
8.3.6.脊椎動物におけるDelta −Notch 相互作用に類似の相互作用
ショウジョウバエにおけるDelta 及びNotch の間の相互作用を想定すると、Delta の相同体 (Helta?) が脊椎動物に存在することは確実にありうることであり、我々がショウジョウバエで定義したDelta −Notch 及びDelta −Delta 相互作用の定量的かつ分子的な性質が、ヒトを含む脊椎動物中に高度に保存されているであろうことは、確実にあり得ることである。かかる相同体は第5.2節で記載したようにしてクローン化及び配列決定され得る。
9.Notch −Serrate 相互作用を介在する配列
我々は、Notch とSerrate の間の新規な分子間相互作用を報告し、かつ、Delta と相互作用を介在するNotch の2個のEGF繰り返し、即ちEGF繰り返し11及び12、はまたSerrate 結合ドメインを構成することを示す。
Notch とSerrate が直接に相互作用するか否か試験するため、S2細胞をSerrate 発現構築物で感染させ、我々の凝集検定法においてNotch 発現細胞と混合した。Serrate 発現構築物に対して、まず442 番目のイニシエーターAUGに対して5’側に人工的なBamHI サイトを含み( すべての配列番号はフレミングらによる、1990, Genes & Dev. 4: 2188-2201) 464番目までに対して相同のプライマーを、約260 塩基対のDNA断片を生じる681-698 位からの第2プライマーと連結せしめて使用した。このフラグメントを BamHI及びKpnI (571 番目) で切断し、Bluescript KS+(ストラタジーン, Stratagene) に結合させた。この構築物、BTSer5'PCR 、の配列をチェックし、KpnIで切断した。BTSer 5' PCR-Kpnを産生させるため、SerrateKpnI フラグメント (571-2981) が挿入され、適切な方向が選択された。BTSer 5' PCR-Kpnの5' SacIIフラグメント (SacII は Bluescript ポリリンカーに位置し、Serrate にも位置する(1199)) を分離し、これをcDNA C1の5' SacIIフラグメントを置換するために使用し (フレミングら,1990, Genes & Dev. 4: 2188-2201)、こうして、5'末非翻訳領域のない全長のSerrate cDNAが産生した。この挿入断片はSalI及び部分的BamHI 消化により分離され、最終の発現構築物の Ser-mtnを産生させるため、BamHI 及びpRmHa-3 のSalI部位に組み込んだ。
我々は、Serrate 発現細胞はカルシウムに依存してNotch 発現細胞に粘着することを知った( 図6及び表VII)。しかしながら、Delta とは異なって、試験した実験条件下では、Serrate はホモ的に相互作用しないようにみえた。加えて、我々はSerrate とDelta の間で相互作用を検出していない。
Figure 0004604228
我々は、Serrate 結合ドメインをマップするために我々のNotch 欠失構築物のサブセットを試験し、Delta への結合に加えて、EGF繰り返し11及び12は、又、Serrate との相互作用を介在することを見い出した (第6図;構築物#1,7-10, 13, 16, 17, 19, 28,及び32) 。加えて、これらの繰り返しのSerrate −結合機能はアフリカツメガエルのNotch の相応の2個のEGF繰り返し (#33 ΔCla+XEGF (10−13))の中に保存されていたように見える。これらの結果は、疑いなく、Notch は Delta 及びSerrate の両方と相互作用し、さらに、Notch の同一の2個のEGF繰り返しは両方の相互作用を介在することを示している。我々はまた、Notch /Serrate 凝集のために必須のSerrate 領域を規定することができた。ヌクレオチド676-1287を欠失させると (即ち、アミノ酸 79-282) (第15図参照) 、Serrate タンパク質がNotch と凝集する能力が消失する。
Notch とSerrate は、Notch とDelta よりはやや非効率に凝集するように見える。なぜならば、おそらく、Notch −Serrate 間の相互作用はより弱いからであろう。例えば、Notch −Delta 間の凝集を計測すると、すべてのNotch 発現細胞の約40%がDelta発現細胞とクラスターの状態にあり (第6図、#1 pMtNMg) 、そしてすべてのDelta 発現細胞の約40%はNotch 発現細胞と接触していることがわかった。Notch − Serrateについて、すべてのNotch 発現細胞のたった約20%が (第6図;pMtNMg) 及びすべてのSerrate 発現細胞の約15%が凝集状態にあることを知った。試験した種々のNotch 欠失構築物に対して、我々は、Delta とさえも著しく減少したレベルの凝集を示す構築物#9及び10の起こり得る例外と共に、Notch とSerrate の間の凝集の量は相応のNotch −Delta のレベル (第6図) に比較して一貫して減少していることを見い出している。凝集のこの減少した量に対する自明の説明は、我々のSerrate 構築物は単に細胞表面においてDelta 構築物ほど多くの蛋白を発現せず、そのことにより相互作用の力を弱めているということであろう。あるいは、相互作用の力の差異は、in vivo で重要であるかもしれないNotch −Delta 間とNotch−Serrate 間の相互作用の基本的な機能上の差異を示しているのかもしれない。
10.ヒトNotch 配列のクローニング、配列決定、および発現
10.1.ヒトNotch の単離および配列決定
ヒトNotch 配列のクローンは、初めに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使って、ラムダZapIIベクター (Stratagene)中の17〜18週齢のヒト胎児脳cDNAライブラリーからDNAを増幅することにより得られた。この反応に用いる縮重プライマーは、Notch のアフリカツメガエル (Xenopus)相同体のアミノ酸配列とショウジョウバエ (Drosophila) Notch とを比較することによりデザインされた。3種のプライマー(cdc1(配列番号:10)、cdc2(配列番号:11)およびcdc3(配列番号:12);図16)が、200bpまたは400bpフラグメントをそれぞれプライマー対cdc1/cdc2またはcdc1/cdc3として増幅するためにデザインされた。
その後、この方法で得られた400bpフラグメントをプローブとして用いて、ヒトNotch クローンについて同一ライブラリーをスクリーニングした。最初のスクリーンは3つの特異なクローン、hN3k、hN2kおよびhN5kをもたらし、これらすべてはその後の配列解析によりヒトNotch の3′末端に入ることがわかった(図17)。hN3kの5′末端をプローブとして用いた2回目のスクリーンは、ヒトNotch の5′末端を含むクローンを探すために行った。このスクリーンから1つの特異なクローンであるhN4kが得られた。予備配列決定データから、これが該遺伝子の5′末端の大部分を含むことがわかった(図17)。一緒にすると、クローンhN4k、hN3kおよびhN5kは約10kbのヒトNotch 相同体を含み、これはEGF−繰返しの初期で開始して該遺伝子の3′非翻訳領域に延びている。3つのクローンはすべてpBluescript SK (Stratagene) のEcoRI部位中のcDNA挿入物である。宿主 E. coli株は XL1-Blue である (Maniatis, T., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, p.A12を参照されたい) 。
cDNAクローンに含まれるNotch の種々の部分の配列が決定され (シークエナーゼ (SequenaseR) 、U.S. Biochemical社製を使用) 、それらを図19〜22(配列番号:13〜25)に示してある。
hN3kおよびhN5kに含まれるヒトNotch cDNAの完全なヌクレオチド配列は、シークエナーゼキット(U.S. Biochemical社製)を使ってジデオキシ・チェイン・ターミネーション法により決定した。相応の読み枠中のヒトNotch をコードするこれらのヌクレオチド配列は、3つの可能な読み枠からただ1つの翻訳が、発表されたショウジョウバエNotch の推定アミノ酸配列と比較して、ショウジョウバエNotch の配列に対して実質的な相同度を有する配列をもたらすので、容易に同定された。イントロンが存在しないので、3つすべての可能な読み枠の翻訳およびショウジョウバエNotch との比較が簡単に達成され、コード領域の迅速な同定をもたらした。hN3kおよびhN5k中のヒトNotch cDNAのDNA配列および推定タンパク質配列をそれぞれ図23および24に示す。クローンhN3kは、第3Notch /lin-12 繰返し付近で出発してカルボキシ末端アミノ酸を欠く数個のアミノ酸までのNotch ポリペプチドの部分をコードする。クローンhN5kは、だいたいcdc10領域の前で出発して該ポリペプチドの末端までのNotch ポリペプチドの部分をコードし、3′非翻訳領域をも含む。
図23に示したDNAおよびタンパク質配列(配列番号:31および32)を図24に示したもの(配列番号:33および34)と比較すると、これらの配列間の顕著な差異が明らかとなり、このことはhN3kおよびhN5kが2つの異なるNotch 相同遺伝子の部分を表すことを示唆する。かくして、我々のデータは、ヒトゲノムが1より多いNotch 相同遺伝子を保有することを示唆する。これはショウジョウバエと違っており、ショウジョウバエの場合はNotch が単一コピー遺伝子のように思われる。
hN3kおよびhN5kに含まれるヒトNotch 相同体のDNAおよびアミノ酸配列と、対応するショウジョウバエNotch 配列(Wharton et al., 1985, Cell 43:567-581に発表されたもの)および対応するアフリカツメガエルNotch 配列 (Coffman et al.,1990, Science 249:1438-1441 に発表されたもの、または GenbankR (受託番号 M33874)から入手できる)と、の比較もまた差異を明らかにした。
図23に示したアミノ酸配列(hN3k)を、Ellisen et al., August 1991, Cell 66:649-661の図2に示したTAN−1ポリペプチドの予測配列と比較した。推定アミノ酸配列間には若干の差異が見られた。しかしながら、全体的なhN3k Notch ポリペプチド配列は対応するTAN−1領域(TAN−1アミノ酸1455〜2506)と99%同一である。4つの差異がわかった:すなわち、第3Notch/lin-12繰返しと第1cdc10モチーフの間の領域には、X(TAN−1アミノ酸1763)の代わりにアルギニン(hN3k)がある;(2)X(TAN−1、アミノ酸1787)の代わりにプロリン(hN3k)がある;(3)グルタミン酸残基(TAN−1、アミノ酸2495)の代わりにアスパラギン酸残基(hN3k)の保存的変化がある;そして(4)カルボキシ末端領域がTAN−1アミノ酸2507〜2535間で実質的に相違する。
図24に示したアミノ酸配列(hN5k)を、Ellisen et al., August 1991, Cell 66:649-661の図2に示したTAN−1ポリペプチドの予測配列と比較した。推定アミノ酸配列間には差異が見られた。hN5kの推定Notch ポリペプチドは、cdc10モチーフ(TAN−1アミノ酸1860〜2217)とよく保存されたフランキング領域の両方を含むcdc10領域においてTAN−1ポリペプチドと79%同一(ショウジョウバエNotch と64%同一)である(図25)。cdc10領域はTAN−1配列のアミノ酸1860〜2217にわたっている。さらに、hN5kコード化ポリペプチドは、PEST(プロリン、グルタミン酸、セリン、トレオニン)に富む領域(TAN−1アミノ酸2482〜2551)を含む該分子のカルボキシ末端において、TAN−1ポリペプチドと65%同一(ショウジョウバエNotch と44%同一)である(図25B)。前記領域間の215個のアミノ酸の広がりは、hN3k、hN5kおよびTAN−1により表されるNotch 相同クローン間であまり保存されていない。hN5kポリペプチドもショウジョウバエNotch も、この領域において、他のタンパク質と有意なレベルのアミノ酸同一性を示さない(例えば、hN5k/TAN−1=24%の同一性;hN5k/ショウジョウバエNotch =11%の同一性;TAN−1/ショウジョウバエNotch =17%の同一性)。対照的に、アフリカツメガエルNotch (Xotch) (配列番号:35)、ラットNotch (配列番号:36)、およびTAN−1(配列番号:37)は互いに有意なレベルの配列同一性を共有し続ける(例えば、TAN−1/ラットNotch =75%の同一性;TAN−1/アフリカツメガエルNotch =45%の同一性;ラットNotch /アフリカツメガエルNotch=50%の同一性)。
最後に、図25Bに示した脊椎動物Notch 相同体の細胞内ドメインの配列の検討は予期せぬ知見を明らかにした:すなわち、hN5kを含むこれらのタンパク質はすべて、6つのcdc10繰返しの最後に続く保存領域に、核ターゲッティング機能と関連した推定CcNモチーフを含んでいる(図25B)。ショウジョウバエNotch はこのような規定モチーフを欠くが、その配列の徹底した検討により、潜在的な、2つの部分から成る核局在化配列(Robbins et al., 1991, Cell 64:615-623 )、並びに潜在的なCKIIおよびcdc2リン酸化部位の存在(すべて互いに比較的近接している)が明らかとなり、かくしてCcNモチーフの別の型を規定している可能性がある(図25B)。
10.2.ヒトNotch の発現
上記の第10.1節で論じたヒトNotch cDNAクローンを用いて発現構築物を作製した。hN3kとhN2kの場合は、そのベクターから全クローンをEcoRI制限フラグメントとして切りだし、3つのpGEXベクター(グルタチオンS−トランスフェラーゼ発現ベクター;Smith and Johnson, 1988, Gene 7, 31-40)のそれぞれのEcoRI制限部位にサブクローニングした。これにより、サブクローンから正しい読み枠でNotch タンパク質産物が発現される。hN5kの場合は、クローンが2つの内部EcoRI制限部位を含み、2.6、1.5および0.6kbのフラグメントを生成する。2.6および1.5kbのフラグメントが共にpGEXベクターのそれぞれにサブクローニングされた。
下記の構築物からヒトNotch 融合(キメラ)タンパク質の発現を得るために、pGEXベクター系を用いた。それぞれの場合にクローン化Notch DNAを相応のpGEXベクターに読み枠を合わせて (in phase) 挿入した。その後、各構築物をエレクトロポレーションにより細菌 (E. coli)に導入し、グルタチオンS−トランスフェラーゼタンパク質のカルボキシ末端に融合されたNotch タンパク質配列を含む融合タンパク質として発現させた。融合タンパク質の発現は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動による細胞タンパク質抽出物の分析により確認し、Notch DNAが挿入されたpGEXプラスミドおよび挿入されていないpGEXプラスミドを含む細胞から得られたタンパク質抽出物を比較した。この融合タンパク質は水溶液中に可溶性で、(グルタチオンS−トランスフェラーゼのカルボキシ末端がグルタチオニンに結合するので)グルタチオン被覆アガロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーにより細胞溶解液から精製された。発現された融合タンパク質は、ウェスターンブロッティングにより検定して、ショウジョウバエNotch に対する抗体と結合した。
ヒトNotch −グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質をつくるために用いた構築物は次のとおりである:
hNFP#2 − PCRを使って、hN5k挿入物のヌクレオチド192のcdc10繰返しのすぐ前で出発してヌクレオチド1694のPESTに富む領域のすぐ前までのフラグメントを得た。次いで、このDNAをBamHIとSmaIで消化し、得られたフラグメントをpGEX−3に連結させた。発現後、グルタチオンアガロースに結合させて融合タンパク質を精製した。精製したポリペプチドは4−15%勾配のポリアクリルアミドゲル上で定量化した。得られた融合タンパク質はおよその分子量が83kDであった。
hN3FP#1 − 全hN3k DNA挿入物(ヌクレオチド1〜3235)をEcoRIで消化して Bluescript (SK)ベクターから切り出した。このDNAをpGEX−3に連結させた。 hN3FP#2 − hN3k DNA(ヌクレオチド1847〜3235)の3′セグメントおよびポリリンカーの一部を、XmaIで消化して Bluescript (SK)ベクターから切り出した。このフラグメントをpGEX−1に連結させた。
精製した後、ヒトNotch に対するポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体をつくるためにこれらの融合タンパク質が使用される。
11.微生物の寄託
ヒトNotch の部分をコードするプラスミドを保有する次の組換え細菌は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定のもとに、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(1201 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852)に1991年5月2日に寄託された。
細菌 プラスミド ATCC受託番号
E. coli XL1-Blue hN4k 68610
E. coli XL1-Blue hN3k 68609
E. coli XL1-Blue hN5k 68611

本発明は寄託した微生物またはここに記載した特定の実施態様によってその範囲を限定されるものではない。実際、ここに記載したもののほかに本発明の種々の変更が、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。このような変更も請求の範囲に入るものである。
種々の刊行物をここに引用したが、これらの開示内容は参照によりそのままここに組み込まれるものとする。
Notch−Delta相互作用を調べるための発現構築物および実験デザインを示す。MT、メタロチオネインプロモーター;ATG 、翻訳開始部位;TM、膜貫通ドメイン;3'N 、Notch遺伝子ポリアデニル化シグナル;3'Adh 、Adh 遺伝子からのポリアデニル化シグナル;5'N 、Notch遺伝子プロモーター領域。 培養細胞中のNotchおよびDeltaの発現を示す。 (A)〜(C):Notch形凝集物およびDelta形凝集物を発現するS2細胞を示す。全てのパネル中で、Notchが緑で示され、Deltaが赤で示される。(A) 抗体染色の特異性を示す同フィールドの明るいフィールドの顕微鏡写真。(B) 単一Delta+細胞。染色が主として細胞表面にある。(B) 同フィールドの明るいフィールドの顕微鏡写真。(C)24 時間の凝集実験からのDelta+細胞の凝集物。(D)〜(F):単独で移入された細胞集団の1:1 の混合物から形成されたNotch+細胞およびDelta+細胞の凝集物(これは室温で一夜凝集させられた)を示す。(D) はこの凝集物中のNotch+細胞を示す。(E) はDelta+細胞を示し、そして(F) は両方の細胞型を示す二重露出である。NotchおよびDeltaのバンドはNotch+細胞とDelta+細胞の接触点(矢印)で顕著である。(G) および(H) Notch+−Delta+細胞凝集物のプソイドカラー共焦顕微鏡写真を示す。(I) Delta+細胞と、Notchの細胞外ドメイン(ECN1 構築物)のみを発現する細胞を含む凝集物を示す。 NotchおよびDeltaが同時移入細胞中で会合される。Notchに関する染色が上欄(A)に示され、Deltaに関する染色が下欄(B)に示される。(A) および(B) Notch構築物およびDelta構築物の両方で同時移入されたS2細胞。Notchに関する染色が上欄(C)に示され、Deltaに関する染色が下欄(D)に示される。(C) および(D) 同時移入細胞を、特定の抗血清による定着および染色の前に室温で1時間にわたってポリクローナル抗Notch抗血清(それぞれの抗細胞外ドメイン抗血清の1:250 希釈液)に露出した。Notchに関する染色が上欄(E)に示され、Deltaに関する染色が下欄(F)に示される。(E) および(F) 細胞外Notch(ECN1) 構築物およびDelta構築物で同時移入され、誘発され、次に抗Notchポリクローナル抗血清を使用してパッチされた細胞。 同時免疫沈殿は、DeltaおよびNotchが移入細胞S2およびショウジョウバエ胚細胞からの溶解産物中で会合されていることを示す。 Notch発現構築物およびDelta/Serrate結合ドメインの欠失マッピングを示す。 Notch発現構築物およびDelta/Serrate結合ドメインの欠失マッピングを示す。 Notch欠失構築物#19-24 の詳しい構造を示す。 ショウジョウバエおよびアフリカツメガエルのNotchからのEGF 繰返し11および12のアミノ酸配列の比較を示す。 インプットDNA 量に対する凝集の依存性。A、それぞれ種々の量のpMTDl1 DNA (2 、4 、10または20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団(これらは続いて一定量のpMtNMg DNA (20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団と凝集条件下でインキュベートされた)を使用して観察された異型凝集。示されたデータは、それぞれのインプットDNA 量に関する4以上の細胞の凝集物中のDelta細胞の平均分率(%)±標準誤差である(2μg および10μg インプット(これらに関してN=2)を除いて、N=3反復)。最低100 のDelta発現細胞を、それぞれの反復につきカウントした。 それぞれ種々の量のpMTDl1 DNA (2 、4 、10または20μg/プレート) で一時的に移入されたS2細胞集団(これらは続いて凝集条件下でインキュベートされた)を使用して観察された同型凝集。データは、それぞれのインプットDNA 量に関する4以上の細胞の凝集物中のDelta細胞の平均分率(%)±標準誤差である(N=3反復)。最低500 のDelta発現細胞を、それぞれの反復につきカウントした。 この研究に使用された構築物を示す。 Delta−Serrateアミノ末端配列の配列を示す。 Delta−Notch相互作用の潜在的な幾何学を示す。A、向かい合っている原形質膜の間で相互作用するDelta(左)とNotch(右)分子の潜在的なレジスタ。B、同じ原形質膜内で相互作用するDelta(左)とNotch(右)分子の潜在的なレジスタ。 Delta−Delta相互作用の潜在的な幾何学を示す。A、BおよびC、向かい合っている原形質膜の間で相互作用するDelta分子の潜在的なレジスタ。B、同じ原形質膜内で相互作用するDelta分子の潜在的なレジスタ。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 DeltacDNA D11の一次ヌクレオチド配列(配列番号:5) およびDeltaアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。 神経膠cDNA 1B7A-250 の一次ヌクレオチド配列(配列番号:7)を示す。 SerrateDeltaの間の核酸配列相同性を示す。 SerrateDeltaの間の核酸配列相同性を示す。 ヒトNotchのクローニングのPCR に使用されるプライマーを示す。 ヒトNotchクローンの略図。ヒトNotchの略図が示される。 ショウジョウバエNotch配列と並べられたヒトNotch配列を示す。 プラスミドcDNAクローンhN2K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列を示す。図19A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:13)。図19B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:14)。図19C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:15)。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列を示す。図20A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:16)。図20B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:17)。図20C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:18)。図20D :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:19)。 プラスミドcDNAクローンhN4K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列を示す。図21A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:20)。図21B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:21)。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのヌクレオチド配列を示す。図22A :ヒトNotchインサートの一部のDNA配列(配列番号:22)。図22B :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:23)。図22C :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:24)。図22D :ヒトNotchインサートの一部のDNA 配列(配列番号:25)。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN3K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:31)およびアミノ酸配列(配列番号:32)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 プラスミドcDNAクローンhN5K中に含まれるヒトNotchのDNA 配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:34)を示す。 hN5Kとその他のNotch相同体の比較を示す。図25A.ショウジョウバエNotchの略図。 図25B.hN5Kの演繹アミノ酸配列とその他のNotch相同体の配列の配列を示す。 図25B.hN5Kの演繹アミノ酸配列とその他のNotch相同体の配列の配列を示す。

Claims (5)

  1. 配列番号6に示されるアミノ酸1-230からなるDeltaタンパク質のフラグメントに結合する抗体。
  2. 配列番号6に示されるアミノ酸32-230からなるDeltaタンパク質のフラグメントに結合する抗体。
  3. 抗体が精製されている、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 抗体はモノクローナルである、請求項3に記載の抗体。
  5. 抗体のイディオタイプを含む、請求項1、2又は4に記載の抗体の抗原結合性フラグメント。
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