JP4582734B2 - 紫外線硬化型感圧接着剤を用いた感圧接着性プリント用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化型感圧接着剤を用いた感圧接着性プリント用シートに関し、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどの、紫外線硬化型感圧接着剤を用いた感圧接着性プリント用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持するプリント用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面や特定部分、あるいは線状に感圧接着剤の硬化層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
従来、この種のプリント用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にアクリル系エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスといった水性エマルジョンやゴムラテックスなど、水性媒体を含むものである。このような水性媒体を含む感圧接着剤は、紙面などの基材の表面に塗布され、その硬化層形成のために乾燥せられる際、特別な乾燥機を必要としたり、作業時間が長くなるのを免れない上、紙などの基材の変形をもたらしたり、担持された情報が損なわれるなどの欠点を有している。
【0004】
従来の感圧性接着剤の問題を解決するために本発明者等は水性媒体を使用しないソルベントレス系紫外線硬化型感圧接着剤を提案した(特開平10−263466号公報、特開平10−265742号公報など)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの紫外線硬化型感圧接着剤を利用したプリント用シートは、トナー定着性が劣り、紫外線を照射して硬化した接着層上に後から書き込んだトナーが再剥離する際に反対面にオフセットしてしまったり、紫外線硬化した接着層上に後から書き込んだトナーがセロテープなどでピッキングすると簡単に剥がれてセロテープの方に移行してしまう問題があった。
【0006】
本発明の目的は、紫外線硬化型感圧接着剤を基体シート面へ塗布して紫外線を照射して硬化した接着層が適度な接着性を有するとともに、この接着層上に後から書き込むトナーとの密着性のよい紫外線硬化型感圧接着剤を用いた感圧接着性プリント用シートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーからなる接着剤基剤中に、特定の分子構造を有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとが特定量含まれる紫外線硬化型感圧接着剤を用いることにより課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1記載の感圧接着性プリント用シートは、基体シートの重ね合わせ面の所定部に塗布され、紫外線照射により通常状態では接着しない硬化層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる紫外線硬化型感圧接着剤であって、
アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーからなる接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーが10〜30質量部、アクリル系光重合性オリゴマーが20〜50質量部の範囲内であって、かつフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーが両者併せて50質量部以上含まれている紫外線硬化型感圧接着剤を用いて形成された前記硬化層を有してなることを特徴とする。
【0009】
(削除)
【0010】
したがって、請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤では、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの適当な紫外線源により紫外線を適当な条件下で照射すると、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーなどのアクリル系光重合性モノマー自体が重合して硬化するとともにアクリル系光重合性オリゴマーと共重合することにより接着剤全体の適当な硬化が行われる。請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤を用いて基体シート面の所定部へ塗布して硬化した接着層は基体シートと適度な接着性を有するとともに、この接着層上に後から書き込むトナーとの密着性に優れる(トナー定着性に優れる)上、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて剥離可能に接着した後、必要に応じて剥離する際には容易に剥離できる。
すなわち請求項1記載の感圧接着性プリント用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際には容易に剥離できる。
【0011】
(削除)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で必須成分として用いるフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーは、1官能アクリル系光重合性モノマー、2官能アクリル系光重合性モノマー、3官能アクリル系光重合性モノマー、あるいは多官能アクリル系光重合性モノマーの混合物であってもよく、特に限定されない。
【0013】
フェニル基を分子構造中に有する1官能アクリル系光重合性モノマーとしては、具体的には、例えばノニルフェノールPO変性アクリレート(商品名:アロニクスM117、東亜合成(株)製)、ノニルフェノールEO変性アクリレート(商品名:アロニクスM113、東亜合成(株)製)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(商品名:ビスコート193、大坂有機化学工業(株)製)、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート192、大坂有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0014】
またフェニル基を分子構造中に有する2官能アクリル系光重合性モノマーとしては具体的には、例えばビスフェノールF EO変性ジアクリレート(商品名:アロニクスM208、東亜合成(株)製)、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート(商品名:アロニクスM210、東亜合成(株)製)、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート(商品名:ビスコート700、大坂有機化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0015】
本発明においてはフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマー以外に、フェニル基を分子構造中に持たないアクリル系光重合性モノマーを併用することができる。
フェニル基を分子構造中に持たないアクリル系光重合性モノマーとしては、具体的には、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル‐、シクロアルキル‐、ハロゲン化アルキル‐、アルコキシアルキル‐、ヒドロキシアルキル‐、アミノアルキル‐、テトラヒドロフルフリル‐、アリル‐、グリシジル‐、ベンジル‐、及びメタクリレート、
【0016】
低級アルキレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′‐アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなどを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよく、また1官能アクリル系光重合性モノマー、2官能アクリル系光重合性モノマー、3官能アクリル系光重合性モノマー、あるいは多官能アクリル系光重合性モノマーの混合物であってもよいが、前記のように本発明においては接着剤基剤中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとが特定量含まれることが必要である。
【0017】
本発明で必要に応じて用いるアクリル系光重合性オリゴマーは、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基をもつオリゴマーであり、このようなオリゴマーとしては、エポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ポリビニルアルコール系オリゴマー、ポリアクリル酸系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマーなどであり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物などのエポキシ系アクリレート、
【0018】
グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのようなポリエステル系オリゴマー、
【0019】
ポリビニルアルコールとN‐メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化したのち、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系オリゴマー、
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸系オリゴマー、
【0020】
ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー
などを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、さらにアクリル系光重合性オリゴマー以外のオリゴマーと組み合わせて用いることもできる。
【0021】
これらの中でも本発明においてウレタンアクリレート系オリゴマー(例えば、日本クローダ社製、クロダマーUVU−300、UVU−310など)は好ましく使用できる。
【0022】
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量2000〜30000の範囲のものが適当である。これよりも分子量が小さいものを用いると粘着性が大きくブロッキングなどを生じるため取り扱いが困難になるし、反面、これよりも分子量の大きいものを用いると、硬化後の感圧接着性が低下するので再剥離性接着用としては利用できなくなる。
【0023】
本発明においてはアクリル系光重合性モノマー(フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーやフェニル基を分子構造中に持たないクリル系光重合性モノマーを含む)とアクリル系光重合性オリゴマーからなる接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーが10〜30質量部、アクリル系光重合性オリゴマーが20〜50質量部の範囲内であって、かつフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーが両者併せて50質量部以上含まれていることが肝要である。このように接着剤基剤中のフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーの含有量が適当であると、紫外線硬化型感圧接着剤を基体シート面へ塗布して紫外線を照射して硬化した接着層が適度な接着性を有するとともに、トナー定着性が改善される。
フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーやアクリル系光重合性オリゴマーの含有量が下限値未満であったり、上限値を超えたり、あるいは両者の合計量が50質量%未満であると、トナー定着性が改善されない恐れがある。
【0024】
前記アクリル系光重合性モノマー、アクリル系光重合性オリゴマーとともに用いられる光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤の中から任意のものを選択して用いることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、例えばベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン‐n‐プロピルエーテル、ベンゾイン‐イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル‐エーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10‐アントラキノン、2‐エチル‐9,10‐アントラキノンなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
これらの光重合開始剤の配合量は、前記アクリル系光重合性オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーの合計100質量部に対し、約0.1質量部〜15質量部、好ましくは約1質量部〜11質量部、さらに好ましくは約8質量部〜10質量部の範囲で選ばれる。
【0026】
本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤には、前記アクリル系光重合性モノマー、アクリル系光重合性オリゴマー、光重合開始剤に加えてさらに、光重合促進剤、所望に応じて一般の感光性樹脂組成物において慣用されている添加成分、例えば粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤、微粒子充填剤などを含有させることができる。
【0027】
本発明の感圧接着性プリント用シートは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、所定の基材シートを、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなどにより対向する部分に、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により、本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤を塗布することにより接着剤層を形成させる。この際の塗布は、基材シート表面の全面にわたって行ってもよいし、一部分の表面のみに行ってもよい。この基材シート表面には、あらかじめ所要の情報を印刷しておいてもよいし、接着剤層を塗布したのち、情報を印刷してもよい。この際、印刷に紫外線硬化型インキを用いて、一般的に使用されている印刷機により情報を印刷する場合には、この印刷工程と本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤の塗布、定着と同時に行うことができるので有利である。
【0028】
本発明で用いる基材シートとしては、例えば、非塗被紙である上質紙、中質紙、ザラ紙、コットン紙;塗被紙であるアート紙、コート紙、軽量コート紙など、その他、プラスチックラミネート紙、布、プラスチックラミネート布、プラスチックフィルム、金属箔などを挙げることができる。基材の坪量は通常50〜160g/m2程度である。なお、本発明において、基材シートとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成プラスチックフィルムを用いる場合には、これらの基材の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0030】
また、基材シートの表面への本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤の塗布量は、接着層の接着性、剥離性、あるいは透明性の維持のため、1〜30g/m2
、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 の範囲内になるように選ばれる。
【0031】
このようにして製造された感圧接着性プリント用シートは、紫外線を照射して接着剤層を適度に硬化させた後、重ね合わせ面同士を対接し、例えば、加圧ローラによって所定の圧力下で接着させる。
【0032】
なお、本発明の感圧接着性プリント用シートにおいては、紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層への情報がアクリル系紫外線硬化型インキもしくはアクリル系樹脂トナーにより印刷されているのが好適である。
【0033】
先ず、アクリル系紫外線硬化型インキとは、通常、アクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマー、光重合開始剤からなるビヒクルに着色料、例えば黒色顔料やカーボンブラックおよび分散剤、安定剤、つや消し剤、防カビ剤、粘度調整剤などを配合して調整される。この際のアクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤としては、前記の紫外線硬化型感圧接着剤におけるアクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤の例として挙げたものの中からそれぞれ選んで用いることができる。また、このインキを用いた場合、通常の印刷機にて紫外線硬化型感圧接着剤の塗布・定着工程と印刷・乾燥工程を同時に行い得る。
【0034】
また、レーザプリンタやデジタルプレスなどを用い、トナーをもって紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層に情報を印字する場合、アクリル系樹脂トナーが最も好適である。現在、一般的に使用されているトナーには、現在の主流であるアクリル系樹脂の他、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を主成分とするのものがあり、これらのトナーは何れも本発明の紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層に密着するが、前記のアクリル系紫外線硬化型インキと同様、トナーを硬化層と類似のアクリル系樹脂とすることにより、トナーと硬化層との定着性が高まり、極めて良好に情報が施せる。
【0035】
本発明においては、紫外線硬化型感圧接着剤と紫外線硬化型インキとを、できるだけ類似した組成のものとするのが有利である。このようにすれば、インキの定着性が向上し、文字や図柄のかすれや剥離を生じない。
【0036】
次に本発明の感圧接着性プリント用シートの構成例について添付図面に従って詳細に説明するが、本発明はこれらの構成例によって限定されるものではない。 ここで、図1は本発明の三つ折りハガキの表面展開図、図2はこのハガキの裏面展開図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のハガキを折り込む際の状態説明図、図5は本発明の二つ折りハガキの表面展開図、図6はこのハガキの裏面展開図、図7は図5のハガキを折り込む際の状態説明図、図8は本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図、図9はこのハガキの裏面展開図、図10は図8のハガキを折り込む際の状態説明図である。
【0037】
先ず、図1ないし図3に示す三つ折りハガキ1は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3a、3bによって3つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域B及びCの表面全体と区画領域A及びBの裏面全体に対し、本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された三つ折りハガキ1は、図4に示すように、各区画の重ね合わせ面を折り線3a、3bにてZ型に折り込んで接着層同士を対接させ、この状態でドライシーラーで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0038】
次に、図5及び図6に示す二つ折りハガキ11は、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する基体シート2から構成され、中央部の折り線3によって2つの領域D及びEに区画されるものである。左側区画領域Dの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また区画領域D及びEの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域D及びEの裏面全体に対し、本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された二つ折りハガキ11は、図7に示すように、上記の三つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0039】
また、図8及び図9に示す部分二つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの1.5倍のサイズを有する基体シート2から構成され、折り線3によってサイズの異なる左右2つの領域F及びGに区画されるものである。左側区画領域Fの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が、また右側区画領域Gの裏面には隠蔽情報印刷5が、基体シート2に直接印刷されている。さらに、この印刷された基体シート2の区画領域Gの裏面全体及び区画領域Gを折り線3で折り込んだ際に重ね合わされる区画領域Fの一部裏面に対し、本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤が塗布されて剥離可能な接着層6が形成されている。このように構成された部分二つ折りハガキ21は、図10に示すように、上記の二つ折りハガキと同様に、左右区画裏面の接着層同士が対接するように折り線3で折り込んで加圧することにより、その接着層6が活性化されて接着される。
【0040】
また、本発明で用いる紫外線硬化型感圧接着剤により形成される剥離可能な接着層はそれ自体印刷インキ及びトナーの受容性をも有するため、必要に応じ、さらにその表面に通常の印刷装置あるいはノンインパクトプリンタで付加情報(図示せず)をプリントすることができる。
【0041】
【実施例】
以下実施例および比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
表1に示すように、フェニル基を分子構造中に有する1官能アクリル系光重合性モノマー[ノニルフェノールPO変性アクリレート(商品名:アロニクスM117、東亜合成(株)製)、あるいはノニルフェノールEO変性アクリレート(商品名:アロニクスM113、東亜合成(株)製)、あるいはフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(商品名:ビスコート193、大坂有機化学工業(株)製)、あるいはフェノキシエチルアクリレート(商品名:ビスコート192、大坂有機化学工業(株)製)]20質量部、
フェニル基を分子構造中に持たない3官能アクリル系光重合性モノマー[トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:アロニクスM320、東亜合成(株)製)]30質量部、
ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本クローダ社製、商品名:クロダマーUVU−310)50質量部からなる接着剤基剤100質量部に対して、
光重合開始剤[2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペッシャリティケミカルズ(株)社製、イルガキュア907)]8質量部、その他微粒子充填剤を適当量配合して、紫外線硬化型感圧接着剤を調製した。
【0042】
このようにして得た紫外線硬化型感圧接着剤を連量110kgのコート紙にワイヤーバーにより10g/m2 の割合で塗布して接着剤層を形成した。次いで、この接着剤層側に12kw×2灯のUV照射装置を用いて約70m/分で3回通して露光処理し接着剤層を硬化させた。
(トナー定着性の評価)
再剥離可能な硬化させた接着層の表面へ市販のコピー機(リコー、imagioMF−P250)を用いて、トナーを定着させ、トナーを定着させていない他の再剥離可能な硬化させた接着層を重ね合わせ7MPaの荷重を加えて圧着した。圧着後、両者を剥離し、トナーが反対面にどの程度オフセットするかどうかを目視により判定する方法によりトナー定着性の評価を行った。
トナー定着性の評価結果を表1に示す。
なお、トナー定着性の評価は、◎、○、△、×で表した。
◎:トナーが反対面にオフセットしない。
○:トナーが反対面にややオフセットするが、実用的には問題ない。
△:トナーが反対面に相当オフセットし、実用的には使えない。
×:トナーが反対面にほとんどオフセットした。
【0043】
(実施例2)
さらにフェニル基を分子構造中に有する2官能アクリル系光重合性モノマー[ビスフェノールF EO変性アクリレート(商品名:アロニクスM208、東亜合成(株)製)]10質量部を添加し、他は表1に示した配合とした以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0044】
(実施例3)
さらにフェニル基を分子構造中に持たない2官能アクリル系光重合性モノマー[1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、商品名:ビスコート230、大坂有機化学工業(株)製]20質量部を添加し、他は表1に示した配合とした以外は実施例2と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0045】
(実施例4)
さらにフェニル基を分子構造中に持たない1官能アクリル系光重合性モノマー[2−メトキシエチルアクリレート、商品名:2−MTA、大坂有機化学工業(株)製]20質量部を添加し、他は表1に示した配合とした以外は実施例2と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0046】
(実施例5)
フェニル基を分子構造中に持たない1官能アクリル系光重合性モノマー[2−メトキシエチルアクリレート、商品名:2−MTA、大坂有機化学工業(株)製]10質量部、
フェニル基を分子構造中に有する2官能アクリル系光重合性モノマー[ビスフェノールF EO変性アクリレート(商品名:アロニクスM208、東亜合成(株)製)]30質量部、
フェニル基を分子構造中に持たない2官能アクリル系光重合性モノマー[1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、商品名:ビスコート230、大坂有機化学工業(株)製]10質量部、
フェニル基を分子構造中に持たない3官能アクリル系光重合性モノマー[トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:アロニクスM320、東亜合成(株)製)]30質量部、
ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本クローダ社製、商品名:クロダマーUVU−310)20質量部
からなる接着剤基剤を用いた以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーの合計が30質量部含まれるが、アクリル系光重合性オリゴマーが10質量部と少なく、かつ両者併せて40質量部と少ない表1に示す配合とした比較のための紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、実施例1と同様にして、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーの合計が10質量部と少なく、アクリル系光重合性オリゴマーは30質量部であるが、両者併せて40質量部と少ない表1に示す配合とした比較のための紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、実施例1と同様にして、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーの合計が10質量部と少なく、アクリル系光重合性オリゴマーも10質量部と少なく、両者併せて20質量部と少ない表1に示す配合とした比較のための紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、実施例1と同様にして、トナー定着性の評価を行った。トナー定着性の評価結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例1〜5の感圧接着性プリント用シートは適度な再剥離性を有し、基体シート面と紫外線を照射して硬化した接着層が適度な接着性を有するとともに、表1から、いずれもトナー定着性に優れていることが判る。それに対して、比較例1〜3の感圧接着性プリント用シートはいずれもトナー定着性に劣る。
【0052】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤を用いて基体シート面の所定部へ塗布して硬化した接着層は、紫外線硬化型感圧接着剤中に、特定の分子構造を有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとが特定量含まれるので、基体シートとの接着性に優れ、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着すると適度な接着力を有する上、接着後、必要に応じて容易に剥離できるとともに、トナー定着性に優れるという顕著な効果を奏する。
本発明の前記硬化層を有してなる感圧接着性プリント用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際には、容易に剥離でき、さらにトナー定着性に優れるという顕著な効果を奏する。
【0053】
(削除)
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の三つ折りハガキの表面展開図。
【図2】 図1のハガキの裏面展開図。
【図3】 図1のX−X線断面図。
【図4】 図1のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図5】 本発明の二つ折りハガキの表面展開図。
【図6】 図5のハガキの裏面展開図。
【図7】 図5のハガキを折り込む際の状態説明図。
【図8】 本発明の部分二つ折りハガキの表面展開図。
【図9】 図8のハガキの裏面展開図。
【図10】 図8のハガキを折り込む際の状態説明図。
【符号の説明】
2、12、22 基体シート
3、3a、3b 折り線
5 隠蔽情報印刷
6 剥離可能な接着層
Claims (1)
- 基体シートの重ね合わせ面の所定部に塗布され、紫外線照射により通常状態では接着しない硬化層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる紫外線硬化型感圧接着剤であって、
アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーからなる接着剤基剤100質量部中に、フェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーが10〜30質量部、アクリル系光重合性オリゴマーが20〜50質量部の範囲内であって、かつフェニル基を分子構造中に有するアクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーが両者併せて50質量部以上含まれている紫外線硬化型感圧接着剤を用いて形成された前記硬化層を有してなることを特徴とする感圧接着性プリント用シート。
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