JP4582728B2 - Uv硬化型感圧接着剤およびそれを用いた感圧接着性シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、UV硬化型感圧接着剤およびそれを用いた感圧接着性シートに関するものであり、さらに詳しくは折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなど、従来この種のプリント用シートでは使用されていなかった特殊なUV硬化型感圧接着剤、およびこのUV硬化型感圧接着剤によりその重ね合わせ面同士を接着するための感圧接着性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持するプリント用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面、部分的、あるいは線状に感圧接着剤の硬化層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
従来、この種のプリント用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にアクリル系エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスといった水性エマルジョンやゴムラテックスなど、水性媒体を含むものである。このような水性媒体を含む感圧接着剤は、紙面などの基材の表面に塗布され、その硬化層形成のために乾燥せられる際、特別な乾燥機を必要としたり、作業時間が長くなるのを免れない上、紙などの基材の変形をもたらしたり、担持された情報が損なわれるなどの欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の感圧性接着剤の問題を解決するために本発明者等は水性媒体を使用しないソルベントレス系UV硬化型感圧接着剤を提案した(特開平10−263466号公報、特開平10−265742号公報など)。
しかし、このUV硬化型感圧接着剤は、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着すると、密着させた後、90°方向に剥離するのは容易であるが、180°方向に剥離するなど密着させた同志を平行にずらすようにして剥離しようとすると容易には剥離せず、無理に剥離すると基材の破れが生じたりするなどの問題があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できるUV硬化型感圧接着剤を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのようなUV硬化型感圧接着剤を用いて基材の重ね合わせ面の所定の箇所に硬化層を形成した感圧接着性シートであって、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離方向によらず容易に剥離できる感圧接着性シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の伸び率を有するアクリル系光重合性モノマーを含有するUV硬化型感圧接着剤を用いることにより、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の請求項1は、硬化後通常状態では接着せず、同士を対接させ所定の圧力を付与することにより接着するが、必要に応じて容易に剥離可能な、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーと光重合開始剤とを含有するUV硬化型感圧接着剤であって、前記アクリル系光重合性モノマーとして下記の測定条件で測定した伸び率が100%以上であるパラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート(粘度110〜210cps/25℃、Tg35℃、伸び率300%)あるいはウレタン系アクリレート(粘度56,000〜87,000cps/25℃、Tg−25℃、伸び率125%)からなるアクリル系光重合性モノマーを含むことを特徴とするUV硬化型感圧接着剤に関するものである。
(測定条件)
(1)アクリル系光重合性モノマーと光重合開始剤とを100:1(重量比)の割合で混合した溶液を作る。
(2)この溶液に、UVランプ(60W/cm、ランプ高さ30cm)を用いて表裏2回ずつ3分間UV照射してUV硬化物を作る。
(3)このUV硬化物を温度23±2℃、相対湿度50+5%で48時間以上コンデイショニングする。
(4)コンデイショニングしたUV硬化物からダンベル2号の金型で打ち抜き、測定試料を作る。
(5)プラスチックの引張試験方法(JISK6301)に準じて、テンシロン型引張試験を用いて、この測定試料を引張速度10mm/分で引っ張り、切断する時点での標線間の長さから伸び率(%)を求める。
本発明の請求項2は、請求項1記載のUV硬化型感圧接着剤において、前記アクリル系光重合性モノマーが、伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーと伸び率が100%以下であるアクリル系光重合性モノマーとの混合物であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のUV硬化型感圧接着剤は、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの適当な紫外線源により紫外線を適当な条件下で照射すると、アクリル系オリゴマー自体が重合して硬化し、アクリル系光重合性モノマー自体も重合して硬化するとともにアクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーが共重合することにより接着剤全体の適当な硬化が行われる。
本発明のUV硬化型感圧接着剤はアクリル系光重合性モノマーとして前記の測定条件で測定した伸び率が100%以上である特定のアクリル系光重合性モノマーを含むので、UV照射して得られるUV硬化物の柔軟性が向上し、密着させた後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できるようになる。
【0009】
本発明の請求項3は、請求項1記載のUV硬化型感圧接着剤において、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーとの混合物100重量部中に伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーが10〜40重量部配合されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項4は、重ね合わせ面が剥離可能に接着される重ね合わせ用シートであって、基材の重ね合わせ面の所定部に、請求項1から請求項3のいずれかに記載のUV硬化型感圧接着剤の硬化層を設けてなる感圧接着性シートに関するものである。
基材の重ね合わせ面の所定部に、本発明のUV硬化型感圧接着剤の硬化層を設けてなる本発明の感圧接着性シートは、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるアクリル系オリゴマーは、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基をもつオリゴマーであり、このようなオリゴマーとしては、エポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ポリビニルアルコール系オリゴマー、ポリアクリル酸系オリゴマー、ウレタン系アクリレートなどであり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物などのエポキシ系アクリレート、
【0012】
グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのようなポリエステル系オリゴマー、
【0013】
ポリビニルアルコールとN‐メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化したのち、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系オリゴマー、
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸系オリゴマー、
【0014】
ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系オリゴマー
などを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、さらにアクリル系オリゴマー以外のオリゴマーと組み合わせて用いることもできる。
【0015】
これらの中でも本発明においてエポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ウレタン系アクリレート、これらの2種以上を組み合わせたオリゴマーは好ましく使用できる。
また、2官能以上好ましくは2官能の官能基を持ち、主鎖にエチル基以上のアルキル基やアルキルフェニル基の側鎖構造を有さず、なおかつその硬化皮膜のガラス転移点が0℃以上60℃以下の脂肪族系のエポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ウレタン系アクリレート(これらの例として、具体的には、例えば、日本クローダ社製、クロダマーUVU−300、UVU−310、UVE−150などを挙げることができる)、これらの2種以上を組み合わせたオリゴマーはさらに好ましく使用できる。
【0016】
これらのアクリル系オリゴマーは、重量平均分子量2000〜30000の範囲のものが適当である。これよりも分子量が小さいものを用いると粘着性が大きくブロッキングなどを生じるため取り扱いが困難になるし、またこれよりも分子量の大きいものを用いると、硬化後の感圧接着性が低下するので再剥離性接着用としては、利用できなくなる。
【0017】
アクリル系オリゴマーの配合量は感圧接着剤全体を基準として(アクリル系オリゴマー+アクリル系光重合性モノマー=100重量部)約1重量部〜50重量部、好ましくは5重量部〜50重量部、より好ましくは10重量部〜50重量部、特に好ましくは20重量部〜50重量部が適当である。アクリル系オリゴマーの配合量が1重量部未満では、柔軟性の改善が行われない恐れがあり、50重量部を超えると硬化後の感圧接着性が低下する恐れがある。
【0018】
次に、本発明でアクリル系オリゴマーと組み合わせて用いられるアクリル系光重合性モノマーとしては、具体的には、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル‐、シクロアルキル‐、ハロゲン化アルキル‐、アルコキシアルキル‐、ヒドロキシアルキル‐、アミノアルキル‐、テトラヒドロフルフリル‐、アリル‐、グリシジル‐、ベンジル‐、フェノキシ‐アクリレート及びメタクリレート、
【0019】
低級アルキレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′‐アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなどを挙げることができる。
【0020】
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
しかし本発明のUV硬化型感圧接着剤はアクリル系光重合性モノマーとして前記の測定条件で測定した伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーを含むことが肝要である。
本発明において、伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーと伸び率が100%未満のアクリル系光重合性モノマーとを混合して使用することが好ましい。
【0021】
伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーの具体例としては、例えば次のようなアクリル系光重合性モノマーを挙げることができる。
パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−110、粘度110〜210cps(25℃)、Tg35℃)の場合、伸び率は300%である。
ノニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−111、粘度60〜90cps(25℃)、Tg17℃)の場合、伸び率は250%である。
トリメチロールプロパンPO変性(n≒1)トリアクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−310、粘度60〜110cps(25℃)、Tg120℃)の場合、伸び率は0〜5%である。
ウレタンアクリレート(東亜合成社製、アロニックスM−1310、2官能、粘度50,6000〜87,000cps(50℃)、Tg−25℃)の場合、伸び率は125%である。
【0022】
本発明において、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーとの混合物100重量部中に伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーが10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部含まれていることが望ましい。
伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーが10重量部未満では剥離する際の角度によって剥離できない恐れがあり、40重量部を超えて配合してもそれ以上の効果が期待できない。
【0023】
また、前記アクリル系オリゴマーおよびびアクリル系光重合性モノマーとともに用いられる光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤の中から任意のものを選択して用いることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、例えばベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン‐n‐プロピルエーテル、ベンゾイン‐イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル‐エーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10‐アントラキノン、2‐エチル‐9,10‐アントラキノンなどを挙げることができる。
【0024】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、感圧接着剤全体を基準として(アクリル系オリゴマー+アクリル系光重合性モノマー+光重合開始剤=100重量%)約0.1重量%〜10重量%の範囲で選ばれる。
【0025】
本発明のUV硬化型感圧接着剤には、前記アクリル系オリゴマー、アクリル系光重合性モノマー、光重合開始剤の3成分に加えてさらに、所望に応じて一般の感光性樹脂組成物において慣用されている添加成分、例えば熱重合禁止剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤、微粒子充填剤などを含有させることができる。
【0026】
この熱重合禁止剤としては、例えばヒドロキノン、モノ第三ブチルヒドロキノン、ベンゾキノン、2,5‐ジフェニル‐p‐ベンゾキノン、ピクリン酸、ジ‐p‐フルオロフェニルアミン、ジ‐p‐メトキシフェノール、2,6‐ジ第三ブチル‐p‐クレゾールなどを挙げることができる。これらの熱重合禁止剤は、熱重合反応を防止するためのものであり、したがって、熱重合禁止剤の含有量は、通常UV硬化型感圧接着剤100重量部当り、0.01〜5重量部の範囲で選ばれる。
【0027】
本発明の感圧接着性シートは、例えば次のようにして製造することができる。
すなわち、所定の基材シートを、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなどにより対向する部分に、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により、本発明のUV硬化型感圧接着剤を塗布し、次いで、乾燥することにより接着剤層を形成させる。この際の塗布は、基材シート表面の全面にわたって行ってもよいし、一部分の表面のみに行ってもよい。この基材シート表面には、あらかじめ所要の情報を印刷しておいてもよいし、接着剤層を塗布したのち、情報を印刷してもよい。この際、印刷に紫外線硬化型インキを用いて、一般的に使用されている印刷機により情報を印刷する場合には、この印刷工程と本発明のUV硬化型感圧接着剤の塗布、定着と同時に行うことができるので有利である。
【0028】
本発明で用いる基材としては、例えば、非塗被紙である上質紙、中質紙、ザラ紙、コットン紙;塗被紙であるアート紙、コート紙、軽量コート紙など、その他、プラスチックラミネート紙、布、プラスチックラミネート布、プラスチックフィルム、金属箔などを挙げることができる。基材の坪量は通常50〜160g/m2 程度である。
本発明において、基材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成プラスチックフィルムを用いる場合には、これらの基材の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0029】
また、基材の表面への本発明のUV硬化型感圧接着剤の塗布量は、接着層の接着性、剥離性、あるいは透明性の維持のため、1〜30g/m2 、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 の範囲内になるように選ばれる。
【0030】
このようにして製造された感圧接着性シートは、紫外線を照射させて、接着剤層を適度に硬化させたのち、各面の硬化した接着剤層を重ね合わせ、例えば加圧ローラによって約1〜100kg/cm2 の圧力下で接着させる。
【0031】
本発明のUV硬化型感圧接着剤の硬化層の永久接着性や再剥離接着性は、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーの種類、両者の使用割合、アクリル系光重合性モノマーの官能基数、接着時のローラ圧などを変えることによって調整することができる。一般に、アクリル系光重合性モノマーの官能基が多いほど接着面が硬くなり、接着力が低下するし、また接着時のローラ圧が大きくなるほど接着力が増大する。
【0032】
本発明の感圧接着性シートにおいては、UV硬化型感圧接着剤の硬化層への情報がアクリル系紫外線硬化型インキもしくはアクリル系樹脂トナーにより印刷されているのが好適である。
【0033】
先ず、アクリル系紫外線硬化型インキとは、通常、アクリル系オリゴマー、アクリル系光重合性モノマー、光重合開始剤からなるビヒクルに着色料、例えば黒色顔料やカーボンブラックおよび分散剤、安定剤、つや消し剤、防カビ剤、粘度調整剤などを配合して調整される。この際のアクリル系オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤としては、前記のUV硬化型感圧接着剤におけるアクリル系オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤の例として挙げたものの中からそれぞれ選んで用いることができる。また、このインキを用いた場合、通常の印刷機にてUV硬化型感圧接着剤の塗布・定着工程と印刷・乾燥工程を同時に行い得る。
【0034】
レーザプリンタやデジタルプレスなどを用いトナーをもってUV硬化型感圧接着剤の硬化層に情報を印字する場合、アクリル系樹脂トナーが最も好適である。
現在、一般的に使用されているトナーには、現在の主流であるアクリル系樹脂の他、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を主成分とするのものがあり、これらのトナーは何れも本発明のUV硬化型感圧接着剤の硬化層に密着するが、前記のアクリル系紫外線硬化型インキと同様、トナーを硬化層と類似のアクリル系樹脂とすることにより、トナーと硬化層との密着性が高まり、極めて良好に情報が施せる。
【0035】
本発明においては、UV硬化型感圧接着剤と紫外線硬化型インキとを、できるだけ類似した組成のものとするのが有利である。このようにすれば、両者の密着性が向上し、文字や図柄のかすれや剥離を生じない。
【0036】
次に、本発明の感圧接着性シートの構成例について添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの構成例によって限定されるものではない。
図1は本発明の第一の構成例である二つ折り感圧接着性シートの平面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は図1の感圧接着性シートの重ね合わせ状態説明図、図4は本発明の第二の構成例である三つ折り感圧接着性シートの平面図、図5は図4の感圧接着性シートの裏面図、図6は図4の感圧接着性シートの重ね合わせ状態説明図、図7は接着後の重ね合わせ面の各種剥離容易化手段の説明図である。
【0037】
図1ないし図3に示す本発明の第一の構成例は「隠蔽はがき」として構成された、重ね合わせ面3全面にUV硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されてなる二つ折り感圧接着性シート1である。これは、基材シート2が折り用ミシン線Mfによって上紙片Aと下紙片Cに区画され、図3に示す如く、二つ折りに折り畳まれた状態で隠蔽情報を担持するものである。そして、図1及び図3に示すように、基材シート2の表裏面に郵便番号記入欄、購入品情報記入欄や社名などの一般印刷5が施されていると共に、折り畳まれた際の重ね合わせ面3全面、すなわち、上紙片Aと下紙片Cの片側面全面にUV硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されている。
【0038】
なお、本実施例では上紙片Aの角部には切込みKを設け、上紙片Aと下紙片Bとの間に一部段差を生じさせ、接着後の重ね合わせ面の剥離を容易としている。
このような剥離容易化手段としては、図7に示すように、本構成例におけるような(イ)重ね合わせ面の角部に切り込みKを入れて段差を設けたり、(ロ)重ね合わせ面の辺部に切り込みKを入れて段差を設けたり、(ハ)一方の重ね合わせ面にフラップ片Fを延設させて段差を設ける、などの手法が採用できる。
【0039】
図4ないし図6に示す本発明の第二の構成例は「隠蔽はがき」として構成された、重ね合わせ面3全面にUV硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されてなる三つ折り感圧接着性シート1である。
これは、基材シート2が二本の折り用ミシン線Mf,Mfによって上紙片A、中紙片B、下紙片Cに区画され、図7(ハ)に示す如く、Z字型に三つ折りに折り畳まれた状態で隠蔽情報を担持するものである。そして、図4および図5に示すように、基体シート2の表裏面に郵便番号記入欄、可変情報記入欄、説明文などの一般印刷5が施されていると共に、Z字型に折り畳まれた際の重ね合わせ面3全面にUV硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されている。
【0040】
【実施例】
次に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
伸び率が100%未満のアクリル系光重合性モノマーとして、
3官能アクリレート(東亜合成社製、M310、トリメチロールプロパンPO変性(n≒1)トリアクリレート、粘度60〜110cps/25℃、Tg120℃、伸び率0〜5%)50重量部、
1官能アクリレート(東亜合成社製、M113、ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、粘度80〜110cps/25℃、Tg−20℃、伸び率50%)15重量部、
2官能アクリレート(東亜合成社製、M225、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒7)、粘度30〜50cps/25℃、Tg−8℃、伸び率10%)15重量部、
【0041】
伸び率が100%以上のアクリル系光重合性モノマーとして、
1官能アクリレート(東亜合成社製、M110、パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、粘度110〜210cps/25℃、Tg35℃、伸び率300%)10重量部、
アクリル系オリゴマーとして、ウレタン系アクリレート(日本クローダ社製、クロダマーUVU310)10重量部、
エポキシ系アクリレート(日本クローダ社製、クロダマーUVE150)10重量部、
および光重合開始剤として、チバスペッシャルテイケミカルズ(株)製、イルガキュアー907を8重量部を含有する本発明のUV硬化型感圧接着剤を調製した。
このようにして得たUV硬化型感圧接着剤を連量110kgのコート紙にワイヤーバーにより10g/cm2 の割合で塗布し、次いでアイグラフフィクス(株)製紫外線照射装置を用いて露光処理し、硬化させた。このようにして無色透明で光沢のある硬化層を有する本発明の感圧接着性シートを製造した。
次いで製造当日にこの感圧接着性シートの90°剥離(T型剥離)接着力(A)および180°剥離接着力(B)を下記の方法により評価し、結果を表1に示す。
【0042】
90°剥離(T型剥離)接着力(A)および180°剥離接着力(B)の測定方法;
得られた感圧接着性シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ100kg/cm2 の荷重を加えて圧着したのち、接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて90°剥離(T型剥離)接着力(gf/25mm)(A)および180°剥離接着力(gf/25mm)(B)を測定する。
【0043】
(実施例2〜3)
表1に示した伸び率が100%未満のアクリル系光重合性モノマー、伸び率が100%以上のアクリル系光重合性モノマー、アクリル系オリゴマー、および光重合開始剤を表1に示した配合で用いた以外は実施例1と同様にして本発明のUV硬化型感圧接着剤および本発明の感圧接着性シートを製造した。
次いで実施例1と同様にして感圧接着性シートの90°剥離(T型剥離)接着力および180°剥離接着力を評価し、結果を表1に示す。
【0044】
(実施例4〜6)
伸び率が100%以上のアクリル系光重合性モノマーとして、1官能アクリレート(東亜合成社製、M110、パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、粘度110〜210cps/25℃、Tg35℃、伸び率300%)の替わりに、ウレタン系アクリレート(東亜合成社製、M1310、粘度56,000〜87,000cps/25℃、Tg−25℃、伸び率125%)を用い表1に示した各成分の配合で用いた以外は実施例1〜3と同様にして本発明のUV硬化型感圧接着剤および本発明の感圧接着性シートを製造した。
次いで実施例1と同様にして感圧接着性シートの90°剥離(T型剥離)接着力および180°剥離接着力を評価し、結果を表1に示す。
【0045】
(比較例1)
伸び率が100%以上のアクリル系光重合性モノマーを用いなかった以外は実施例1と同様にして比較のためのUV硬化型感圧接着剤および感圧接着性シートを製造した。
次いで実施例1と同様にして感圧接着性シートの90°剥離(T型剥離)接着力および180°剥離接着力を評価し、結果を表1に合わせて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から、実施例1〜6の本発明のUV硬化型感圧接着剤を用いた本発明の感圧接着性シートは、90°剥離(T型剥離)接着力(A)が適度である上、180°剥離接着力(B)が高くなく、(B)/(A)比が低いので密着させた後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できることが判る。
それに対して伸び率が100%以上のアクリル系光重合性モノマーを用いなかった比較例1の場合は、90°剥離(T型剥離)接着力(A)は適度であるが、180°剥離接着力(B)が高く、(B)/(A)比が高く、剥離する際の角度によっては剥離できない。
【0048】
【発明の効果】
本発明の請求項1および請求項2記載のUV硬化型感圧接着剤は、非水型であるため、乾燥により、しわを生じることがない上に、硬化層は光沢を有し、外観も良好であり、しかもその上に印字可能であり、さらに、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できる。
【0049】
本発明の請求項3記載のUV硬化型感圧接着剤は、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーとの混合物100重量部中に伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーが10〜40重量部含まれているので、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらずより一層容易に剥離できる。
【0050】
本発明の請求項4記載の感圧接着性シートは、基材の重ね合わせ面の所定部に本発明のUV硬化型感圧接着剤の硬化層を設けてなるシートであり、硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、剥離する際の角度によらず容易に剥離できる。
本発明の感圧接着性シートは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の構成例である二つ折り感圧接着性シートの平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】図1の感圧接着性シートの重ね合わせ状態説明図である。
【図4】本発明の1例の三つ折り感圧接着性シートの平面図である。
【図5】図4の感圧接着性シートの裏面図である。
【図6】図4の感圧接着性シートの重ね合わせ状態説明図である。
【図7】接着後の重ね合わせ面の各種剥離容易化手段の説明図である。
【符号の説明】
1 感圧接着性シート
2 基体シート
3 重ね合わせ面
4 UV硬化型感圧接着剤の硬化層
5 一般印刷部分
A 上紙片
B 中紙片
C 下紙片
Mc 切り用ミシン線
Mf 折り用ミシン線
Claims (4)
- 硬化後通常状態では接着せず、同士を対接させ所定の圧力を付与することにより接着するが、必要に応じて容易に剥離可能な、アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーと光重合開始剤とを含有するUV硬化型感圧接着剤であって、前記アクリル系光重合性モノマーとして下記の測定条件で測定した伸び率が100%以上であるパラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート(粘度110〜210cps/25℃、Tg35℃、伸び率300%)あるいはウレタン系アクリレート(粘度56,000〜87,000cps/25℃、Tg−25℃、伸び率125%)からなるアクリル系光重合性モノマーを含むことを特徴とするUV硬化型感圧接着剤。
(測定条件)
(1)アクリル系光重合性モノマーと光重合開始剤とを100:1(重量比)の割合で混合した溶液を作る。
(2)この溶液に、UVランプ(60W/cm、ランプ高さ30cm)を用いて表裏2回ずつ3分間UV照射してUV硬化物を作る。
(3)このUV硬化物を温度23±2℃、相対湿度50+5%で48時間以上コンデイショニングする。
(4)コンデイショニングしたUV硬化物からダンベル2号の金型で打ち抜き、測定試料を作る。
(5)プラスチックの引張試験方法(JISK6301)に準じて、テンシロン型引張試験を用いて、この測定試料を引張速度10mm/分で引っ張り、切断する時点での標線間の長さから伸び率(%)を求める。 - 前記アクリル系光重合性モノマーが、伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーと伸び率が100%以下であるアクリル系光重合性モノマーとの混合物であることを特徴とする請求項1記載のUV硬化型感圧接着剤。
- アクリル系オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーとの混合物100重量部中に伸び率が100%以上であるアクリル系光重合性モノマーが10〜40重量部含まれていることを特徴とする請求項1記載のUV硬化型感圧接着剤。
- 重ね合わせ面が剥離可能に接着される重ね合わせ用シートであって、基材の重ね合わせ面の所定部に、請求項1から請求項3のいずれかに記載のUV硬化型感圧接着剤の硬化層を設けてなる感圧接着性シート。
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