JP3959566B2 - ラミネートラベルの作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル基材の表面が樹脂フィルムで保護され、その裏面に粘着剤を有してなるラミネートラベルの作成方法に関し、さらに詳しくは、当該樹脂フィルムと感圧接着剤とが、共に紫外線硬化型組成物からなるラミネートラベルの作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラベル基材の表面が樹脂フィルムで保護され、一方、その裏面に粘着剤を有してなるラミネートラベルは、子供用玩具から商品管理に至るまで、様々な分野で利用されている。そして、従来のラミネートラベルの構成は、一般的に、ラベル基材の表面には接着剤を介して、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの透明な樹脂フィルムが貼着されると共に、ラベル基材の裏面にはアクリル系エマルジョン型、天然ゴムラテックス型などの感圧接着剤(粘着剤)が塗布されてなるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来のラミネートラベルはラベル基材、接着剤、樹脂フィルム、粘着剤など、材質や性質の異なる各種の構成要素からなり、したがって、このようなラミネートラベルを作成するには複雑な製造工程が必要となる。特に、エマルジョン型やラテックス型の感圧接着剤の乾燥工程では特別な加熱装置が必要であるし、さらに、この工程にて生産性を上げるために、加熱温度を無理に上昇させるとラベル基材の変形をもたらすなどの不都合が生じる。あるいは、樹脂フィルムの貼着工程においても、特殊な貼着装置・貼着機構を必要とするなど、技術面、コスト面、生産性で、さらなる改善の余地がある。
【0004】
そこで、本発明は、構成要素が極めて少なく、従来のような感圧接着剤の乾燥工程や樹脂フィルムの貼着工程などの複雑な製造工程を要せず、さらに、生産時間が短く、生産コストや生産性に優れたラミネートラベルの提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題に鑑み、本発明者は、表面が樹脂フィルムで保護され、裏面に感圧接着剤を有してなるラミネートラベルの構成において、従来の樹脂フィルムと感圧接着剤の代わりに、これらをタック性の有無を具点する硬化状態を異にする紫外線硬化型組成物とすることにより、上記課題を達成できることを見いだし、本発明のラミネートラベルの作成方法を想到した。
【0006】
すなわち、本発明のラミネートラベルの作成方法は、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である紫外線硬化型組成物からなる完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層がラベル基材の表面に施されていると共に、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である紫外線硬化型組成物からなる不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層がラベル基材の裏面に施されているラミネートラベルを作成にするに当たり、前記ラベル基材の表面に印刷を施し可変情報を印字し、このラベル基材の表裏面それぞれに、前記末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である同じ紫外線硬化型組成物を塗布し、ラベル基材の表面の前記紫外線硬化型組成物に紫外線を照射して、ラベル基材の表面に完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層を設け、ラベル基材の裏面の前記紫外線硬化型組成物に、前記ラベル基材の表面の紫外線硬化型組成物での紫外線照射条件と異なる照射条件の下で紫外線を照射して、ラベル基材の裏面に不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層を設けることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明方法の実施例から作成されたラミネートラベルを添付の図面に基づき具体的に説明する。なお、ここにおいて、図1はラミネートラベルの表面斜視図、図2は図1のX−X線断面図、図3は別の実施例から作成されたラミネートラベルの断面説明図である。
【0008】
ラミネートラベル1は「商品管理ラベル」として構成される。本発明にあっては、図1に示す如く、ラベル基材2の表面には、予め、標題、商品情報欄、バーコードなどの所定の印刷6が施され、さらに、商品名、ID番号、数量などの可変情報7が印字されている。そして、図2に示す如く、ラベル基材2の表面に完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層3が施されると共に、ラベル基材2の裏面には不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層4が施される。さらに、剥離紙5にて保護する。
【0009】
本発明における紫外線硬化型組成物とは、紫外線照射により重合し、硬化層を形成し得る組成物であり、特に、不完全硬化状態でタック性があり、完全硬化状態でタック性を失う性質を有するものから選択される。このような機能を具現できる組成物としては、例えば、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、アルギドアクリレート、ウレタンアクリレートなどの光重合性プリポリマ、モノマに光重合開始剤を加えてなるものが挙げられる。
【0010】
特に、紫外線照射量の調整によってタック性の有無を具現し易い点で、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、メタリル基などの不飽和基を有する光重合性プレポリマと光重合性モノマと光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型感圧接着剤が最も好ましい。先ず、上記光重合性プレポリマとは、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、エポキシ樹脂のジグリシジルエーテルとジアリルアミンとの反応生成物などのエポキシ樹脂系プレポリマや、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などの不飽和ポリエステル系プレポリマや、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後に、グルシジルメタクリレートを付加させた反応生成物などのポリビニル系プレポリマや、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント叉は飽和ポリエステルセグメント、あるいは、その両方が連結し、両端末にアクリロイル基叉はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマ、あるいは、エチレン−無水マレイン酸共重合体とアリルアミンとの反応生成物、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物叉は、これにさらにグルシジルアクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸系叉はマレイン酸共重合体系プレポリマなどが挙げられる。
【0011】
また、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマと組み合わせて用いられる光重合性モノマとしては、従来、紫外線硬化型組成物において、光重合性プレポリマと併用されている光重合性モノマから任意に選択できる。例えば、アクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸叉はそのエステル、アルキルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、ハロゲン化アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アミノアルキルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アリルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシアクリレート叉はメタクリレートや、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ叉はジアクリレートおよびメタクリレート、また、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびメタクリレート、アクリルアミド、メタクリアミド叉はその誘導体、その他、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらの光重合性モノマは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。また、その配合量は、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマに対し、重量比で2倍以下、好ましくは0.5〜1.5倍の範囲内で配合される。
【0012】
さらに、前記光重合性プレポリマおよび光重合性モノマと共に用いられる光重合開始剤としては、公知のものの中から任意に選択できる。例えば、ベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−ポロピルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、ベンゾイン−イソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類や、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニンなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。その配合量は、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマと光重合性モノマの合計量100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内で配合される。
【0013】
なお、本発明における紫外線硬化型組成物には、所望により、熱重合禁止剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤、微粒子充填剤などを含有させることができる。
【0014】
また、ラベル基材の表裏面への紫外線硬化型組成物の塗布量は、1〜30g/m2、好ましくは3〜20g/m2、さらに好ましくは5〜15g/m2の範囲が適当である。そして、紫外線照射量と共に紫外線硬化型組成物の塗布量の調整により硬化状態を調整するのが好ましく、ラベル基材の表裏面の紫外線硬化型組成物を同じ種類とし、紫外線照射条件にもよるが、それぞれの完全硬化状態と不完全硬化状態を効率的に具現するためには、ラベル基材の表面と裏面の塗布量の比率は1:4〜2:3程度とするのが好ましい。
【0015】
本実施例におけるラベル基材2の表裏面の紫外線硬化型組成物は同じポリエステルアクリレート系の紫外線硬化型感圧接着剤を使用し、その塗布量は、タック性のない紫外線硬化型組成物層3形成のため、ラベル基材2の表面に対しては5g/m2とし、タック性のある紫外線硬化型組成物層4形成のため、ラベル基材2の裏面に対しては15g/m2とした。
【0016】
本発明では紫外線硬化型組成物層の完全硬化状態と不完全硬化状態を具現するためには、紫外線照射条件をそれぞれ個別に設定する。例えば、本実施例においては、所定の紫外線照射装置(高圧水銀灯ランプ2本、ランプ出力60〜120w/cm、照射距離10cm)を用い、ライン速度を10m/分の条件下で、完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層3を施すためにランプ出力を120w/cmに設定し、一方、不完全硬化状態で任意のタック性を有する紫外線硬化型組成物層4を施すためにランプ出力を60w/cmに設定してそれぞれ紫外線照射を行うことで所望のラミネートラベルが得られた。
【0017】
このように構成された本実施例からなるラミネートラベル1では、ラベル基材2の表面に施された標題、商品情報欄、バーコードなどの所定の印刷6や商品名、ID番号、数量などの可変情報7は、光沢のある透明な完全硬化状態でタック性のない紫外線硬化型組成物層3(樹脂フィルム化されたポリエステルアクリレート系の紫外線硬化型感圧接着剤)により保護され、一方、ラベル基材2の裏面には不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層4(粘着力を保持したポリエステルアクリレート系の紫外線硬化型感圧接着剤)をもって、ラミネートラベル1を所望の被着体に貼付することができる。
【0018】
なお、本実施例からなるラミネートラベル1は、剥離紙5をもって、不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層4が被覆されているが、このラミネートラベル1をライナーレスラベル(剥離紙無しラベル)として構成する場合には、図3に示す如く、完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層4の上面に、さらに、フッ素系樹脂、各種ワックス、シリコーンなどの剥離剤を、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などのビヒクルに添加してなるコーティング剤などからなる剥離剤層8を施すのが好ましく、ラミネートラベル1はロール形態(図示せず)に成形されて使用される。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のラミネートラベルの作成方法によれば、従来のように、ラベル基材、接着剤、樹脂フィルム、粘着剤など、材質や性質の異なる各種の構成要素を必要とせず、従来のような感圧接着剤の乾燥工程や樹脂フィルムの貼着工程などの複雑な製造工程を要せず、さらに、紫外線照射による硬化に要する時間が極めて短く、加熱処理を行わずに硬化できるため、生産コストや生産性に優れるといった効果を泰するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例からなるラミネートラベルの表面斜視図。
【図2】図1のX−X線断面図。
【図3】別の実施例からなるラミネートラベルの断面説明図。
【符号の説明】
1 ラミネートラベル
2 ラベル基材
3 完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層
4 不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層
5 剥離紙
6 所定の印刷
7 可変情報
8 剥離剤層
Claims (1)
- 末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である紫外線硬化型組成物からなる完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層がラベル基材の表面に施されていると共に、末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である紫外線硬化型組成物からなる不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層がラベル基材の裏面に施されているラミネートラベルを作成にするに当たり、
前記ラベル基材の表面に印刷を施し可変情報を印字し、このラベル基材の表裏面それぞれに、前記末端不飽和基を有する光重合性プレポリマ、光重合性モノマと光重合開始剤とを含有した紫外線硬化型感圧接着剤である同じ紫外線硬化型組成物を塗布し、ラベル基材の表面の前記紫外線硬化型組成物に紫外線を照射して、ラベル基材の表面に完全硬化状態のタック性のない紫外線硬化型組成物層を設け、ラベル基材の裏面の前記紫外線硬化型組成物に、前記ラベル基材の表面の紫外線硬化型組成物での紫外線照射条件と異なる照射条件の下で紫外線を照射して、ラベル基材の裏面に不完全硬化状態のタック性のある紫外線硬化型組成物層を設けることを特徴とするラミネートラベルの作成方法。
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