JP4598912B2 - 紫外線硬化型感圧接着剤およびそれを用いた感圧接着性プリント用シート - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線硬化型感圧接着剤およびそれを用いた感圧接着性プリント用シートに関し、さらに詳しくは、折り重ねや切り重ねにより重ね合わせた面を情報担持面としてなる折り畳みシート、重ね合わせシートのような親展性を有する情報伝達用シートや、寸法拡大可能な整理シート、複写用紙などの事務用シートなどの感圧接着性プリント用シート、およびこれに使用する紫外線硬化型感圧接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重ね合わせ面に情報を担持するプリント用シートにおいては、その重ね合わせ面同士が接着するように、通常、重ね合わせた際に対接するようなパターンで、重ね合わせ面の全面や特定部分、あるいは線状に感圧接着剤の硬化層が設けられている。この感圧接着剤は自接着性感圧接着剤とも言われ、その硬化層同士を対接させた状態で強圧をかけることにより、互いの高分子が自己拡散により密着するタイプものであって、組成物の種類や加圧の程度により、永久接着性や再剥離接着性を具現するものである。
【0003】
従来、この種のプリント用シートで使用される感圧接着剤の主成分は、一般にアクリル系エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスといった水性エマルジョンやゴムラテックスなど、水性媒体を含むものである。このような水性媒体を含む感圧接着剤は、紙面などの基材の表面に塗布され、その硬化層形成のために乾燥せられる際、特別な乾燥機を必要としたり、作業時間が長くなるのを免れない上、紙などの基材の変形をもたらしたり、担持された情報が損なわれるなどの欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の感圧性接着剤の問題を解決するために本発明者等は水性媒体を使用しないソルベントレス系紫外線硬化型感圧接着剤を提案した(特開平10−263466号公報、特開平10−265742号公報など)。
しかしこの紫外線硬化型感圧接着剤を利用したプリント用シートであっても、重ね合わせ面に塗布した紫外線硬化型感圧接着剤に対して紫外線を照射し、硬化させて硬化層とし、さらに、感圧接着性プリント用シートの重ね合わせ面同士を対接させて強圧を加えて互いの硬化層同士を接着させた後、所要の時間を経て、必要に応じて接着状態のプリント用シートを開封する際、重ね合わせ面同士の接着力(剥離力)に経時変化が起こり、例えば、接着された2枚の基体シートを90°方向あるいは180°方向に剥離すると互いの硬化層の界面では剥離せずに基材シートに破れが生じたりするなどの問題が生じた。
【0005】
本発明の第1の目的は、感圧接着性プリント用シートの重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、必要に応じて剥離する際、接着後の経過時間や剥離方向によらずに容易に剥離できるようにした紫外線硬化型感圧接着剤を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような紫外線硬化型感圧接着剤を用いた感圧接着性プリント用シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとの合計量に対して3官能アクリル系光重合性モノマーが所定量以上含まれる紫外線硬化型感圧接着剤を用いることにより課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤は、シートの重ね合わせ面に塗布され、紫外線照射により通常状態では接着しない硬化層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる紫外線硬化型感圧接着剤であって、
3官能以下のアクリル系光重合性モノマーと、重量平均分子量2000〜30000の範囲のアクリル系光重合性オリゴマーと、光重合開始剤とを含有してなり、前記アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとの合計100質量部中に3官能アクリル系光重合性モノマーが80質量部以上含まれていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2記載の感圧接着性プリント用シートは、基体シートの重ね合わせ面の全面あるいは隠蔽情報部に所定部に請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層を有してなることを特徴とする。
【0009】
したがって、請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤では、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの適当な紫外線源により紫外線を適当な条件下で照射すると、3官能アクリル系光重合性モノマーを所定量以上含むアクリル系光重合性モノマー自体が重合して硬化するとともにアクリル系光重合性オリゴマーが添加された場合はアクリル系光重合性オリゴマーと3官能アクリル系光重合性モノマーを含むアクリル系光重合性モノマーが共重合することにより接着剤全体の適当な硬化が行われる。硬化速度が速い3官能性アクリル系光重合性モノマーを所定量以上含むアクリル系光重合性モノマーを用いたので、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて剥離可能に接着した後、必要に応じて剥離する際には接着後の経過時間や剥離方向によらずに容易に剥離できる。
【0010】
また、請求項2記載の感圧接着性プリント用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際には接着後の経過時間や剥離方向によらずに容易に剥離できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるアクリル系光重合性モノマーとしては、具体的には、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル‐、シクロアルキル‐、ハロゲン化アルキル‐、アルコキシアルキル‐、ヒドロキシアルキル‐、アミノアルキル‐、テトラヒドロフルフリル‐、アリル‐、グリシジル‐、ベンジル‐、フェノキシ‐アクリレート及びメタクリレート、
【0012】
低級アルキレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′‐アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなどを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよく、また1官能アクリル系光重合性モノマー、2官能アクリル系光重合性モノマー、3官能アクリル系光重合性モノマー、あるいは多官能アクリル系光重合性モノマーの混合物であってもよいが、本発明においては後述するようにアクリル系光重合性モノマーと必要に応じて添加されるアクリル系光重合性オリゴマーとの合計量に対して3官能アクリル系光重合性モノマーが所定量以上含まれることが必要である。
【0013】
本発明で用いるアクリル系光重合性オリゴマーは、末端にアクリロイル基、メタクリロイル基をもつオリゴマーであり、このようなオリゴマーとしては、エポキシ系アクリレート、ポリエステル系アクリレート、ポリビニルアルコール系オリゴマー、ポリアクリル酸系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマーなどであり、具体的には、例えば、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物などのエポキシ系アクリレート、
【0014】
グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのようなポリエステル系オリゴマー、
【0015】
ポリビニルアルコールとN‐メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化したのち、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系オリゴマー、
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2‐ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸系オリゴマー、
【0016】
ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー
などを挙げることができる。
これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、さらにアクリル系光重合性オリゴマー以外のオリゴマーと組み合わせて用いることもできる。
【0017】
これらの中でも本発明においてウレタンアクリレート系オリゴマー(例えば、日本クローダ社製、クロダマーUVU−300、UVU−310など)は好ましく使用できる。
【0018】
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量2000〜30000の範囲のものが適当である。これよりも分子量が小さいものを用いると粘着性が大きくブロッキングなどを生じるため取り扱いが困難になるし、反面、これよりも分子量の大きいものを用いると、硬化後の感圧接着性が低下するので再剥離性接着用としては利用できなくなる。
【0019】
本発明においては前記アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとの合計100質量部中に3官能アクリル系光重合性モノマーが80質量部以上含まれていることが肝要である。
アクリル系光重合性オリゴマーを添加しない場合は3官能アクリル系光重合性モノマーが100質量部であってもよいが、硬化速度が速い3官能性アクリル系光重合性モノマーが80質量部未満では重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着後の経過時間に伴って接着力が大きくなり過ぎ、例えば、接着された2枚の基体シートを90°方向あるいは180°方向に剥離すると互いの硬化層の界面では剥離せずに基材シートに破れが生じる恐れがある。
【0020】
3官能性アクリル系光重合性モノマーとしては、具体的には、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製、M305、粘度400〜800cps/25℃、Tg250℃)、
トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成社製、M309、粘度60〜110cps/25℃、Tg250℃)、
トリメチロールプロパンPO変性(n≒1)トリアクリレート(東亜合成社製、M310、粘度60〜110cps/25℃、Tg120℃)、
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亜合成社製、M315、粘度600〜1200cps/25℃、Tg250℃)、
トリメチロールプロパンPO変性(n≒2)トリアクリレート(東亜合成社製、M320、粘度70〜170cps/25℃、Tg50℃)、
トリメチロールプロパンEO変性(n≒2)トリアクリレート(東亜合成社製、M350、粘度50〜70cps/25℃)、
トリメチロールプロパンEO変性(n≒2)トリアクリレート(東亜合成社製、M360、粘度65〜90cps/25℃、Tg53℃)
などを挙げることができる。
これらの3官能性アクリル系光重合性モノマーの中でもTgが50℃以上のものが好ましい。
【0021】
前記アクリル系光重合性モノマー、アクリル系光重合性オリゴマーとともに用いられる光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤の中から任意のものを選択して用いることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、例えばベンゾインやベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン‐n‐プロピルエーテル、ベンゾイン‐イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチル‐エーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、エオシン、チオニン、9,10‐アントラキノン、2‐エチル‐9,10‐アントラキノンなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
これらの光重合開始剤の配合量は、アクリル系光重合性オリゴマーとアクリル系光重合性モノマーの合計100質量部に対し、約0.1質量部〜15質量部、好ましくは約1質量部〜11質量部、さらに好ましくは約8質量部〜10質量部の範囲で選ばれる。
【0023】
本発明の紫外線硬化型感圧接着剤には、前記アクリル系光重合性モノマー、アクリル系光重合性オリゴマー、光重合開始剤に加えてさらに、光重合促進剤、所望に応じて一般の感光性樹脂組成物において慣用されている添加成分、例えば粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤、微粒子充填剤などを含有させることができる。
【0024】
本発明の感圧接着性プリント用シートは、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、所定の基材シートを、二つ折り、三つ折り、切り重ね、あるいは別体同士の重ね合わせなどにより対向する部分に、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗布手段により、本発明の紫外線硬化型感圧接着剤を塗布することにより接着剤層を形成させる。この際の塗布は、基材シート表面の全面にわたって行ってもよいし、一部分の表面のみに行ってもよい。この基材シート表面には、あらかじめ所要の情報を印刷しておいてもよいし、接着剤層を塗布したのち、情報を印刷してもよい。この際、印刷に紫外線硬化型インキを用いて、一般的に使用されている印刷機により情報を印刷する場合には、この印刷工程と本発明の紫外線硬化型感圧接着剤の塗布、定着と同時に行うことができるので有利である。
【0025】
本発明で用いる基材シートとしては、例えば、非塗被紙である上質紙、中質紙、ザラ紙、コットン紙;塗被紙であるアート紙、コート紙、軽量コート紙など、その他、プラスチックラミネート紙、布、プラスチックラミネート布、プラスチックフィルム、金属箔などを挙げることができる。基材の坪量は通常50〜160g/m2程度である。なお、本発明において、基材シートとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成プラスチックフィルムを用いる場合には、これらの基材の表面をマット処理、コロナ処理などの表面処理を施すのが好ましい。
【0026】
また、基材シートの表面への本発明の紫外線硬化型感圧接着剤の塗布量は、接着層の接着性、剥離性、あるいは透明性の維持のため、1〜30g/m2 、好ましくは3〜20g/m2 、さらに好ましくは5〜15g/m2 の範囲内になるように選ばれる。
【0027】
このようにして製造された感圧接着性プリント用シートは、紫外線を照射して接着剤層を適度に硬化させた後、重ね合わせ面同士を対接し、例えば、加圧ローラによって所定の圧力下で接着させる。
【0028】
なお、本発明の感圧接着性プリント用シートにおいては、紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層への情報がアクリル系紫外線硬化型インキもしくはアクリル系樹脂トナーにより印刷されているのが好適である。
【0029】
先ず、アクリル系紫外線硬化型インキとは、通常、アクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマー、光重合開始剤からなるビヒクルに着色料、例えば黒色顔料やカーボンブラックおよび分散剤、安定剤、つや消し剤、防カビ剤、粘度調整剤などを配合して調整される。この際のアクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤としては、前記の紫外線硬化型感圧接着剤におけるアクリル系光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性モノマーおよび光重合開始剤の例として挙げたものの中からそれぞれ選んで用いることができる。また、このインキを用いた場合、通常の印刷機にて紫外線硬化型感圧接着剤の塗布・定着工程と印刷・乾燥工程を同時に行い得る。
【0030】
また、レーザプリンタやデジタルプレスなどを用い、トナーをもって紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層に情報を印字する場合、アクリル系樹脂トナーが最も好適である。現在、一般的に使用されているトナーには、現在の主流であるアクリル系樹脂の他、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を主成分とするのものがあり、これらのトナーは何れも本発明の紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層に密着するが、前記のアクリル系紫外線硬化型インキと同様、トナーを硬化層と類似のアクリル系樹脂とすることにより、トナーと硬化層との定着性が高まり、極めて良好に情報が施せる。
【0031】
本発明においては、紫外線硬化型感圧接着剤と紫外線硬化型インキとを、できるだけ類似した組成のものとするのが有利である。このようにすれば、インキの定着性が向上し、文字や図柄のかすれや剥離を生じない。
【0032】
次に、本発明の感圧接着性プリント用シートの構成例について添付図面に従って詳細に説明するが、本発明はこれらの構成例によって限定されるものではない。
図1は二つ折り感圧接着性プリント用シートの平面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は図1の感圧接着性プリント用シートの重ね合わせ状態説明図である。
図1ないし図3に示す構成例は「隠蔽はがき」として構成された、重ね合わせ面3全面に紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されてなる二つ折り感圧接着性プリント用シート1である。これは、基材シート2が折り用ミシン線Mfによって上紙片Aと下紙片Cに区画され、図3に示す如く、二つ折りに折り畳まれた状態で隠蔽情報を担持するものである。そして、図1及び図3に示すように、基材シート2の表裏面に郵便番号記入欄、購入品情報記入欄や社名などの一般印刷5が施されていると共に、折り畳まれた際の重ね合わせ面3全面、すなわち、上紙片Aと下紙片Cの片側面全面に紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層4が施されている。なお、上紙片Aの角部には切込みKを設け、上紙片Aと下紙片Bとの間に一部段差を生じさせ、接着後の重ね合わせ面の剥離を容易としている。
【0033】
【実施例】
次に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
3官能アクリレート(東亜合成社製、アロニクスM310、トリメチロールプロパンPO変性(n≒1)トリアクリレート、粘度60〜110cps/25℃、Tg120℃)あるいは(東亜合成社製、アロニクスM320、トリメチロールプロパンPO変性(n≒2)トリアクリレート、粘度70〜170cps/25℃、Tg50℃)80質量部、
2官能アクリレート(東亜合成社製、アロニクスM225、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒7)、粘度30〜50cps/25℃、Tg−8℃)あるいは(東亜合成社製、アロニクスM240、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒4)、粘度13〜24cps/25℃、Tg50℃)10質量部、
1官能アクリレート(東亜合成社製、アロニクスM113、ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、粘度80〜110cps/25℃、Tg−20℃)10質量部、
光重合開始剤として、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバスペッシャリティケミカルズ(株)社製、イルガキュア907)を10質量部
を含有する紫外線硬化型感圧接着剤を調製した。
【0034】
このようにして得た紫外線硬化型感圧接着剤を連量110kgのコート紙にワイヤーバーにより10g/m2 の割合で塗布して接着剤層を形成した。次いで、この接着剤層側に12kw×2灯のUV照射装置を用いて約70m/分で3回通して露光処理し接着剤層を硬化させた。
この感圧接着性プリント用シートの製造直後の90°剥離(T型剥離)接着力および7日後の90°剥離(T型剥離)接着力と180°剥離接着力を下記の方法により評価した。
【0035】
90°剥離(T型剥離)接着力(A)および180°剥離接着力(B)の測定方法;
得られた感圧接着性プリント用シートを、幅25mm、長さ100mmに裁断して試料を作成し、この試料2枚を25mmの長さで重ね合わせ9.8Paの荷重を加えて圧着した。接着剤の剥離接着強さ試験方法JISK6854に準じて、オートグラフAGS50(島津製作所製)を用いて製造直後の90°剥離(T型剥離)接着力を測定し、また、7日後の90°剥離(T型剥離)接着力(gf/25mm)および180°剥離接着力(gf/25mm)(B)を測定する。 測定結果を表1に示す。
【0036】
(参考例2)
2官能アクリレートを用いず、表1に示した配合とした以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0037】
(参考例3)
3官能アクリレートのみを用いた以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0038】
(実施例1)
ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、日本クローダ社製、クロダマーUVU310を10質量部用い、表1に示した配合とした以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0039】
(比較例1)
3官能アクリレートを70質量部として本発明の範囲外とし、表1に示した配合とした以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0040】
(比較例2)
3官能アクリレートを50質量部として本発明の範囲外とし、表1に示した配合とした以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0041】
(比較例3)
3官能アクリレートを30質量部として本発明の範囲外とし、1官能アクリレートとしてアロニクスM113を15質量部添加した以外に1官能アクリレートとしてアロニクスM110(東亜合成社製、パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、粘度110〜210cps/25℃、Tg−35℃)を20質量部、ウレタンアクリレート系オリゴマー(日本クローダ社製、クロダマーUVU310)を20質量部添加し、他は表1に示した配合とした以外は参考例1と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0042】
(比較例4)
さらにシリコーンアクリレート系オリゴマー(日本クローダ社製、クロダマーUVS500)を5質量部添加し、他は表1に示した配合とした以外は比較例3と同様にして紫外線硬化型感圧接着剤を調製し、参考例1と同様にして接着力(gf/25mm)を測定した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1から、実施例1の感圧接着性プリント用シートは製造直後の90°剥離接着力が剥離可能な接着力を示すとともに、接着後の経過時間や90°剥離や180°剥離などの剥離方向によらずに容易に剥離できる接着力を示すことが判る。それに対して、比較例1〜4の感圧接着性プリント用シートは製造直後の90°剥離接着力は剥離可能な接着力を示すが、接着後の経過時間とともに90°剥離接着力および180°剥離接着力がともに大きくなり過ぎるか、あるいは、いずれか一方が大きくなり過ぎ、剥離すると互いの硬化層の界面では剥離せずに基材シートに破れが生じた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤では、アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとの合計量に対して3官能アクリル系光重合性モノマーが所定量以上含まれる紫外線硬化型感圧接着剤を用いることにより、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけて密着させて接着した後、必要に応じて剥離する際、接着後の経過時間や剥離方向によらずに容易に剥離できる効果を奏する。
【0046】
また、請求項2記載の感圧接着性プリント用シートでは、重ね合わせ面同士を対接させた状態で強圧をかけ密着させて接着すると十分な接着力が得られると共に、必要に応じて剥離する際には、接着後の経過時間や剥離方向によらずに容易に剥離できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二つ折り感圧接着性プリント用シートの平面図である。
【図2】 図1のX−X線断面図である。
【図3】 図1の感圧接着性プリント用シートの重ね合わせ状態説明図である。
【符号の説明】
1 感圧接着性プリント用シート
2 基材シート
3 重ね合わせ面
4 硬化層
Claims (2)
- シートの重ね合わせ面に塗布され、紫外線照射により通常状態では接着しない硬化層を形成し、前記重ね合わせ面同士を対接させ所定の圧力を付与することにより、その重ね合わせ面同士を剥離可能に接着させる紫外線硬化型感圧接着剤であって、
3官能以下のアクリル系光重合性モノマーと、重量平均分子量2000〜30000の範囲のアクリル系光重合性オリゴマーと、光重合開始剤とを含有してなり、前記アクリル系光重合性モノマーとアクリル系光重合性オリゴマーとの合計100質量部中に3官能アクリル系光重合性モノマーが80質量部以上含まれていることを特徴とする紫外線硬化型感圧接着剤。 - 基体シートの重ね合わせ面の全面あるいは隠蔽情報部に請求項1記載の紫外線硬化型感圧接着剤の硬化層を有してなる感圧接着性プリント用シート。
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