JP4529226B2 - データ記録方法および記録媒体 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
この発明は、音楽情報デジタル信号の記録方法および記録媒体に関する。
【0001】
【従来の技術】
現在、音信号およびビデオ信号の記録再生が可能なDVD(Digital Video Disc)およびこのDVDに対する記録・再生を行う装置が普及しており、様々な分野において用いられている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現存のDVDは、自然界から録音された音信号を記録するのに用いられており、このDVDを取り扱う記録再生装置も専らそのような音信号を取り扱うように構成されている。しかしながら、音として再生可能な信号はそのような自然界から録音された音信号だけではなく、例えばコンピュータによる作曲によって生成されたMIDI等の音楽情報デジタル信号も音として再生可能な信号である。このような音楽情報デジタル信号を映像とともに音として再生することができれば、さらに映像とともにユーザに提供可能な音の範囲を広げることができる。
【0003】
本発明は、この点に着眼してなされたものであり、音楽情報デジタル信号による音を映像とともにユーザに提供することを可能にする音楽情報デジタル信号の記録方法及び記録媒体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は、楽音の発音の内容を指定するシーケンスデータを受け取るデータ受取過程と、前記データ受取過程において受け取ったシーケンスデータに基づいて、オーディオ帯域の周波数を有するキャリアを変調して生成されるオーディオ帯域の周波数を有する音響信号を出力する変調過程と、記録すべき音響信号およびビデオ信号を受け取る信号受取過程と、前記変調過程において出力された音響信号および前記信号受取過程において受け取った音響信号を、光ディスクのそれぞれ異なるオーディオチャンネルに、それぞれ同一の記録形式によって記録するとともに、前記信号受取過程において受け取ったビデオ信号を前記光ディスクのビデオチャンネルに記録する記録過程とを備えることを特徴とするデータ記録方法を提供するものである。また、この発明は、ビデオ信号を記録するビデオチャンネルの他に、音響信号を記録する複数のオーディオチャンネルを有し、そのうちの一部のオーディオチャンネルは、楽音の発音の内容を指定するシーケンスデータに基づいて、オーディオ帯域の周波数を有するキャリアを変調して生成されたオーディオ帯域の周波数を有する音響信号が、前記ビデオチャンネルに記録されたビデオ信号および他の前記オーディオチャンネルに記録された音響信号と同期再生可能に記録され、各オーディオチャンネルに記録されている音響信号は同一の記録形式で記録されていることを特徴とする記録媒体を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による音楽情報デジタル信号の記録装置および、その記録装置によって記録した記録媒体の復調装置の実施形態について説明する。図1は、本発明による音楽情報デジタル信号の記録・復調システムの全体構成を示すブロック図である。本実施形態の記録・復調システム1は、変調装置10と、オーディオ記録装置20と、復調装置30とを備えて構成されている。
【0006】
(1)変調装置10の全体構成
変調装置10は、MIDI→Data変換モジュール11と、変調モジュール12とから構成されている。変換モジュール11には、非同期にMIDIデータが入力される。個々のMIDIデータは、8ビットの整数倍のビット長を有しているため、4ビットの単位データに分けることができる。変換モジュール11は、非同期に入力されるMIDIデータの隙間を埋めるように上記単位データと同じ4ビットの同期信号(SYNC Nibble)を必要な個数だけ補充する。また、このようにして補充されるキャラクタ同期信号とMIDIデータとの混同を防止するために必要な変換処理を実行する。変換モジュール11は、このような処理を行うことにより、元の非同期なMIDIデータを含んだ連続したビットストリームデータを出力する。このビットストリームデータは、各々MIDIデータの一部または同期信号である4ビット長の単位データに区切ることができるため、以下ではNibbleストリームデータと呼ぶ。変調モジュール12は、変換モジュール11からNibbleストリームデータを受け取り、4ビットの単位データ(Nibble)を1symbol(シンボル)としてオーディオ帯域の周波数を持つキャリアを変調し、この変調により得られるオーディオ帯域の信号(以下、単に音響信号という)を出力する。
【0007】
(2)オーディオ記録装置20の全体構成
変調装置10から出力された変調信号は、オーディオ記録装置20内で、例えばDVD−R(Digital Video Disc Recordable)、DVD−RW(DVD+RW)(Digital Video Disc ReWritable)、DVD−RAM等の光磁気記録媒体22に録音される。オーディオ記録装置20は、DVD−Rドライブ等とその記録制御回路とを備えて構成されているオーディオ信号記録装置21と、DVD−ROMドライブ等とその復調制御回路とを備えて構成されているオーディオ信号復調装置23とから構成されている。オーディオ信号記録装置21は、変調装置10から出力される音響信号と、図示しない外部の音響装置から供給されるアナログあるいはデジタルの音響信号とを受け取り、これらに対してPCM変換等を行って所定形式のデジタルオーディオ信号に変換し、記録媒体22の各オーディオチャンネル(オーディオトラック)に記録(録音)する。記録媒体22は、オーディオ信号記録装置21およびオーディオ信号復調装置23に対して、交換可能に装着されものであって、例えばMIDIおよびオーディオ信号の再生機能を備える自動電子ピアノ等の電子機器やパーソナルコンピュータ内のCD−ROMドライブやDVD−ROMドライブで再生可能なものである。オーディオ信号復調装置23は、再生時に、記録媒体22の各オーディオチャンネルに記録されている各デジタルオーディオ信号を復調する。そして、例えば1つのオーディオチャネルから復調されたデジタルオーディオ信号を図示しない音響装置へ出力し、他のオーディオチャネルから復調されたデジタルオーディオ信号であってMIDI信号から生成されたものを復調装置30へ供給する。
【0008】
なお、オーディオ記録装置20から出力される復調信号は、録音時の変調信号と同じ物の筈であるが、帯域カット、位相の乱れ等が発生している恐れがあり、記録装置20の選択には周波数特性、位相特性(特に群遅延特性)を考慮し、記録媒体22としては、上述したような光磁気記録媒体に限定されるものではないが、できるだけ線形性、直線位相性の高いものを選択することが望ましい。
【0009】
(3)復調装置30の全体構成
復調装置30は、復調モジュール31と、Data→MIDI変換モジュール32とから構成されている。オーディオ記録装置20のオーディオ信号復調装置23から出力された復調信号(MIDI信号から得られたデジタルオーディオ信号)は復調モジュール31に入力される。復調モジュール31では、MIDIデータやキャラクタ同期信号の各ビットに同期したクロック信号が復調信号から取り出され、クロック信号に同期してMIDIデータや同期信号からなるNibbleストリームデータの各ビットが復調される。復調モジュール31によって復調されたNibbleストリームデータは、変換モジュール32に入力され、キャラクタ同期が取られ、4ビットの整数倍のビット長のMIDIデータが復元され、外部のアプリケーションやMIDIデータ再生装置に渡される。
【0010】
なお、図1に示す変調装置10、オーディオ記録装置20、復調装置30は、例えば、汎用のコンピュータおよび、その周辺装置と、それによって実行されるプログラムとの組み合わせによって実現することが可能である。その場合にコンピュータによって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体あるいはネットワークを介して配布することが可能である。
【0011】
(4)本実施形態に係る変・復調システム1の具体例
以上説明した本実施形態の記録・復調システム1における総合仕様の具体的な一例を図2に示す。図2に示すように、記録媒体22(DVD)における変調波記録チャンネルは音響(オーディオ)用の複数チャンネルのうちのあらかじめ定めた所定の1Channelであるとする。DVDにおける記録フォーマットには、大きく分けて、ビデオフォーマットとオーディオフォーマットとがある。ビデオフォーマットでは、MPEG2等のデータ圧縮方式によって圧縮した1ストリームのビデオデータと、最大8ストリームのオーディオデータとが記録可能である。オーディオデータの記録形式は、非圧縮のリニアPCMと、圧縮型のDolby Digital(商標)およびMPEG Audioのいずれかを使用可能である。このうちリニアPCMを用いる場合には、サンプリング周波数48kHzまたは96kHz、量子化ビット数16,20,または24bitのいずれかで、最大bitレートが6.144Mbpsとなる値を選択可能となっている。一方、オーディオフォーマットでは、主にオーディオ信号の再生を目的とするオーディオオブジェクトと、映像とオーディオ信号の再生を目的としたビデオオブジェクトの2種類のオブジェクト仕様が規定されている。オーディオフォーマットにおけるオーディオ信号の記録形式は、オーディオオブジェクトでは、例えば、リニアあるいは圧縮PCMにおいて、サンプリング周波数48,96,192,44.1,88.2,176.4kHz、量子化ビット数16,20,24bitのいずれかで、サンプリング周波数48,96,44.1,88.2kHzでは最大6チャンネル、サンプリング周波数192,176.4kHzでは最大2チャンネルの信号が、最大bitレート9.6Mbpsの範囲内で選択可能となっている。一方、ビデオオブジェクトでは、例えば、リニアあるいは圧縮PCMにおいて、サンプリング周波数48あるいは96kHz、量子化ビット数16,20,24bitのいずれかで、最大8チャンネルの信号が、最大bitレート6.144Mbpsの範囲内で選択可能となっている。
【0012】
本実施形態においては、一例として、DVDの記録フォーマットとして、オーディオフォーマットのオーディオオブジェクトで、音楽CDと同一のサンプリング周波数44.1kHzで16bitの記録形式を採用するものとする。この場合、オーディオ信号用の6チャンネルの記録チャンネルのうち、1チャンネルにMIDIデータによる変調信号が記録され、他の5チャンネルには他のオーディオ信号が記録可能となる。
【0013】
(5)MIDI→Data変換モジュール11およびData→MIDI変換モジュール32の構成および動作
次に、図3〜図22を参照して図1に示すMIDI→Data変換モジュール11およびData→MIDI変換モジュール32の構成および動作について詳細に説明する。図3はMIDI→Data変換モジュール11の構成ブロック図であり、図4はData→MIDI変換モジュール32の構成ブロック図である。
【0014】
図3に示すように、データ変換部112は、非同期で供給されるMIDIデータを、連続した同期伝送を可能とするようなデータに変換する装置である。データ変換用メモリ116には、この変換を行うためのデータ変換テーブルが格納されている。データ変換部112は、非同期に供給されるMIDIデータに対して、各々の隙間を埋めるように同期信号(SYNC Nibble)「F」(16進表記。以下、特に示さない限り、データは16進表記である。)を必要な個数だけ補充し、連続同期データとして出力する装置である。ここで、同期信号として「F」を採用したのは、この「F」をステータスバイトの上位4ビット(MSN:Most Significant Nibble)として含むMIDIデータは種類が少なく、かつ、そのようなMIDIデータは、いわゆるシステムメッセージであり、発生頻度が低いからである。また、データ変換部112は、MIDIデータに対してSYNC Nibble「F」を補充する他、必要に応じて、ステータスデータの先頭データのデータ変換処理を行う。これは発生頻度が少ないとは言え、ステータスデータのMSNが「F」であるMIDIデータが発生する場合もあり、このステータスデータのMSN「F」をそのままにしてSYNC Nibble「F」が補充されると、受信装置側においてステータスデータのMSN「F」を認識することができなくなるからである。データ変換用メモリ16には、この変換を行うためのデータ変換テーブルが格納されている。
【0015】
図5は、このデータ変換テーブルの内容を示すものである。図5に示すように、本実施形態では、MIDIデータのステータスデータのMSNが「F」である場合、この「F」を「C」に変換する。また、この「F」についてのデータ変換に伴う弊害を防止するため、ステータスデータのMSNが「C」である場合には、この「C」を「C4」に変換する。データ変換によってMSNが「F」から「C」に変更されたステータスデータと、MSNが元々「C」であるステータスデータとを区別するためである。また、この「C」についてのデータ変換によって生じる弊害を防止するため、ステータスデータが「F4」または「F5」である場合には、「F」を「C5」に変換する。
【0016】
本実施形態において、ステータスデータのMSNが「F」である場合にこの「F」を「C」に置き換えるのは次の理由によるものである。まず、ステータスデータのMSN「F」を「C」に置き換えると、この置換後のステータスデータと元々MSNが「C」であるステータスデータとの区別が付かなくなる。このため、本実施形態では、上記の通り、元々MSNが「C」であるステータスデータについてはこの「C」を「C4」に置き換えた。従って、元々MSNが「C」であるステータスデータが発生する度に、4ビットのデータ「4」が送信データに追加されることとなる。しかし、MSNが「C」であるステータスデータは、プログラムチェンジを指令するデータであり、発生頻度が低いため、「C」を「C4」に置き換えるようにしたとしても、データ伝送効率を悪化させることはないと考えられる。また、プログラムチェンジは、リアルタイム性の要求が低いため、このプログラムチェンジを要求するデータの「C」を「C4」に置き換えたことにより受信側での当該データの復号が多少遅れたとしても何等問題はない。さらに、プログラムチェンジの命令信号は、その前後に連続してデータが存在することがほとんどなく、当該データの処理時間が後続データのリアルタイム性に悪影響を及ぼすこともない。そこで、本実施形態では、ステータスデータのMSNが「F」である場合にこの「F」を「C」に置き換えることにしたのである。
【0017】
さらに、本実施形態において、ステータスバイトが「F4」あるいは「F5」であるMIDIデータのデータ変換において、4ビットデータ「5」を付加した理由を述べる。そもそも、ステータスバイトが「F4」あるいは「F5」であるMIDIデータは、その命令内容が未定義であり、現状では伝送データ効率等の問題を考慮する必要はない。しかし、本実施形態においては、将来の使用可能性およびデータの透過性確保を鑑み、これらのMIDIデータについてもデータ変換テーブルを設けることとしたものである。そして、これらのMIDIデータに対して4ビットを付加するデータ変換を行ったのは、リアルタイム性において後続MIDIデータに悪影響が起こらない点を考慮したものである。
【0018】
同期データ生成部113は、データ変換部112から非同期に供給されるデータの間にSYNC Nibbleを介挿し、連続する同期データを生成する。本実施形態では、このSYNC Nibbleとして「F」を使用している。
【0019】
次に、図6〜図11を参照して、図3に示すMIDI→Data変換モジュール11の動作について説明する。図6は、図3に示すデータ変換部112に、非同期に供給されるMIDIデータを例示する図である。同図において、「904040」および「804074」はそれぞれMIDIデータを示し、破線部はMIDIデータが存在しない期間を表している。データ変換部112は上述したデータ変換テーブル(図5)に基いてデータ変換を行うが、図6に例示したMIDIデータのMSNは「C」でも「F」でもないため、該データに対して特にデータ変換を行わずに、同期データ生成部113に供給する。図7は、この場合におけるデータ変換部112から出力される信号を示す図である。そして、同期データ生成部113は、これらのデータの間に、データ間の時間間隔に応じてSYNC Nibble「F」を隙間なく介挿する。そして、図8に示すように連続したNibbleストリームデータを生成する。
【0020】
さらにデータ変換部112による、データ変換の別例を示す。図9は、データ変換部112に供給されたMIDIデータ「CF」を例示する図である。この場合も、データ変換部112はデータ変換テーブル(図5)に基いてデータ変換を行い、該MIDIデータに対しては、MSN「C」を「C4」に変換する。すなわち、データ変換部112は、供給されたMIDIデータ「CF」を「C4F」にデータ変換した後、該データを同期データ生成部113に供給する。図10は、この場合における、データ変換部112の出力データ内容を示したものである。同期データ生成部113は、これらのデータの間にSYNC Nibble「F」を介挿し、図11に示すように連続したNibbleストリームデータを生成する。
【0021】
以上のようにして、データ変換部112に非同期に供給されるMIDIデータは、データ変換部112および同期データ生成部113により、Nibbleストリームデータに変換される。
【0022】
次に、図4に示すData→MIDI変換モジュール32の構成と動作について説明する。図4に示すData→MIDI変換モジュール32内のMIDIデータ変換部323は、入力された復調データをMIDIデータに変換して出力する装置である。MIDIデータ変換用メモリ324には、このMIDIデータ変換のためのプログラムが格納されている。MIDIデータ変換部323は、図12にフローを示す制御プログラムに従い、元のMIDIデータを復元する。同図に示すように、このフローは、ステップSB1〜SB6からなる「音楽情報待機処理」、ステップSB10〜SB15からなる「判別用単位データ待機処理」およびステップSB20〜SB24か2らなる「後続単位データ待機処理」から構成されている。以下に、この制御プログラムの内容を理解しやすくするために、具体例を用いて説明する。
【0023】
(具体例1)MIDIデータ変換部323にNibbleストリームデータ「FF904F0FFF」(データD1〜D10)が供給された場合(図13)。該データは「904F0F」の前後に単位データ「F」が付加されたものに対応するものである。MIDIデータ変換部323は、まず、復元すべき元のMIDIデータの先頭データ(MSN)に相当する単位データを見つけるために、「音楽情報待機処理」(ステップSB1〜SB6)を行う。本具体例では、はじめに単位データ「F」(データD1)が供給されるが(ステップSB2)、MIDIデータ変換部323は、該単位データは「F」であるため(ステップSB3:YES)、該単位データは無視する(ステップSB4)。
【0024】
上記判別は、上述したデータ変換テーブル(図5)において、すべてのMIDIデータは、先頭単位データが「F」とならないようにデータ変換されていることに基づくものである。その後MIDIデータ変換部323は、次の単位データが供給されるのを待機する(ステップSB4)。本具体例では、次に単位データ「F」(データD2)が供給されるが(ステップSB2)、この際も、MIDIデータ変換部323は上記と同様の制御を行い(ステップSB3、SB4)、該単位データ「F」は無視する。
【0025】
次に、単位データ「9」(データD3)が供給されると(ステップSB2)、MIDIデータ変換部323は、該単位データが「F」ではないため、該単位データが元のMIDIデータのMSBに相当するものであると判別する(ステップSB3:NO)。MIDIデータ変換部323は、該単位データは「C」でもないため(ステップSB5:NO)、元のMIDIデータのMSNは「9」であると判別する(ステップSB6)。この判別は、上述したデータ変換テーブル(図5)において、MSNが「C」または「F」以外のMIDIデータは、データ変換の対象になっていないことに基づくものである。
【0026】
その後、MIDIデータ変換部323は、「後続データ待機処理」(ステップSB20〜SB24)を行い、該MSB「9」に後続するデータを判別してMIDIデータを復元する。本具体例では、MIDIデータ変換部323に、次の単位データ「0」(データD4)が供給されることになるが(ステップSB20:YES)、該単位データの値より、MIDIデータ変換部323は、元のMIDIデータのLSNが「0」であることを判別する(ステップSB21)。この判別は、上述したデータ変換テーブル(図5)において、MIDIデータの先頭データ(MSN)以外のデータは、データ変換の対象になっていないことに基づくものである。つまり、この段階で、MIDIデータ変換部323は、元のMIDIデータのMSNおよびLSN(ステータスバイト)が「90」であることを判別する。そして、MIDIデータ変換部323は、確定したステータスバイトの値から、該ステータスバイトに後続するデータバイトの長さを判別する。この具体例においては、ステータスバイト「90」に後続するデータバイトは2つ存在することを判別する(ステップSB22)。
【0027】
その後、MIDIデータ変換部323は、供給される4つの単位データ(データD5からD8まで)を、2つのデータバイト「4F」「0F」と判別し(ステップSB23)、1つのMIDIデータ「904F0F」を復元させる(SB24)。以上が、「後続単位データ待機処理」の内容であり、その後、MIDIデータ変換部323は、再度「音楽情報待機処理」を行い、次のMIDIデータの先頭(MSN)に相当するデータの有無を判別する(ステップSB2)。
【0028】
なお、この具体例では、その後供給される単位データはいずれも「F」であるため(データD9、D10)、MIDIデータ変換部323は、これらの単位データ「F」を無視する制御を行う(ステップSB3、SB4)。図14は、MIDIデータ変換部323から出力されるMIDIデータを示したものである。同図において破線部はMIDIデータが存在しない区間を示す。
【0029】
(具体例2)MIDIデータ変換部323に「FFC4020FF」(データD11〜D19)というNibbleストリームデータが供給された場合(図15)。この場合も、MIDIデータ変換部323は、まず、復元すべき元のMIDIデータの先頭データ(MSN)に相当する単位データを見つけるために、「音楽情報待機処理」(ステップSB1〜SB6)を行う。すなわち、MIDIデータ変換部323は、「F」以外の単位データが供給されるまで、供給された単位データは無視する制御を行う(ステップSB2、SB3、SB4)。よって、単位データD11とD12は無視する。
【0030】
そして、単位データ「C」(データD13)が供給されると(ステップSB2)、MIDIデータ変換部323は、該単位データが「F」以外のデータであるため、元のMIDIデータの先頭に相当するデータであることを判別する(ステップSB3:NO、ステップSB5:NO)。ただし、この場合、MIDIデータ変換部323は、MSNの値を判別することはできない。上述したデータ変換テーブル(図5)において、MSNが「C」のMIDIデータおよびMSNが「F」のMIDIデータのいずれもが、先頭単位データが「C」に変換されるからである。
【0031】
上記のように元のMIDIデータのMSNの値が特定できない場合、MIDIデータ変換部323は、「判別用単位データ待機処理」(ステップSB10〜SB15)を行い、後続して供給される単位データの値を判別し、元のMIDIデータのMSNを特定する。この具体例においては、単位データ「4」(データD14)が供給されることになるが(ステップSB10:YES、ステップSB11:YES)、MIDIデータ変換部323は、該単位データの値より、元のMIDIデータのMSNが「C」であることを判別する(ステップSB12)。この判別は、上述したデータ変換テーブル(図5)において、MSNが「C」であるMIDIデータは、先頭単位データが「C4」に変換されることに基づくものである。
【0032】
上記のように元のMIDIデータのMSBが「C」であることを判別した後、MIDIデータ変換部323は、「後続データ待機処理」(ステップSB20〜SB24)を行い、該MSB「C」に後続するMIDIデータを復元する。この後の処理は上述したものと同様であるため詳述しないが、MIDIデータ変換部323は、後続して供給される単位データ「0」(データD15)から、元のMIDIデータのLSNが「0」であることを判別する(ステップSB21)。すなわち元のMIDIデータのステータスバイトは「C0」であることを判別する。そして、ステータスバイトが「C0」であるMIDIデータは、後続するデータバイトが1つ存在することも判別する(以上ステップSB22)。
【0033】
MIDIデータ変換部323は、さらに後続して供給される2つの単位データ(データD16とD17)を、1つのデータバイト「20」と判別し(ステップSB23)、MIDIデータ「CO20」を復元させ(SB24)、後続単位データ処理を終了する。
【0034】
そして、MIDIデータ変換部323は、再度「音楽情報待機処理」を行うが、本具体例においては、その後に供給される単位データはいずれも「F」であるため(データD18、D19)、MIDIデータ変換部323は、これらの単位データ「F」を無視する(ステップSB3、SB4)。以上が、MIDIデータ変換部323に連続単位データ「FFC4020FF」(データD11〜D19)が供給された場合のMIDIデータ変換部323の制御内容であり、図16は、この例におけるMIDIデータ変換部323から出力されるMIDIデータを示したものである。
【0035】
なお、MIDIデータ変換部323にNibbleストリームデータ「FFC54FF」が供給された場合も、MIDIデータ変換部323は上述したのと同様の制御を行う。すなわち、この場合は、単位データ「C」に後続して単位データ「5」が供給される(ステップSB5:YES、ステップSB10:YES、ステップSB11:NO、ステップSB13:YES)。よって、MIDIデータ変換部323は、MIDIデータのMSNは「F」と判別し(ステップSB14)、さらに後続して供給される単位データ「4」により、MIDIデータのステータスデータは「F4」であると判別する(ステップSB20:YES、ステップSB21)。その他の制御内容については、上述した内容と同じであるため説明を省略する。
【0036】
(具体例3)MIDIデータ変換部323に「FFCAFF」(データD21〜D26)というNibbleストリームデータが供給された場合(図17)。この場合も、MIDIデータ変換部323は、まず「音楽情報待機処理」(ステップSB1〜SB6)を行い、「F」以外の単位データが供給されるまで、供給された単位データは無視する制御を行う(ステップSB2、SB3、SB4)。よって、単位データD21とD22は「F」であるため無視する。
【0037】
次に、単位データ「C」(データD23)が供給されると(ステップSB2:YES)、MIDIデータ変換部323は、該単位データが「F」ではないため元のMIDIデータの先頭データに相当するものであると判別する(ステップSB3:NO、ステップSB5:YES)。ただし、上述したのと同様の理由により、単位データ「C」のみからは元のMIDIデータのMSNの値を特定することはできない。
【0038】
その後、MIDIデータ変換部323は、「判別用単位データ待機処理」(ステップSB10〜SB15)を行うが、本具体例では、単位データ「A」(データD24)が供給されることになる。この単位データの値より、MIDIデータ変換部323は、元のMIDIデータのMSNが「F」、LSNが「A」であることを判別する(ステップSB10、SB11、SB13、SB15)。この場合は、この時点で、元のMIDIデータのステータスバイトが判別できることになる。なお、この判別は、上述したデータ変換テーブル(図5)における、MSNが「F」であるMIDIデータの変換内容に基づくものである。
【0039】
そして、MIDIデータ変換部323は、ステータスバイトが「FA」であるMIDIデータは、後続するデータバイトが存在しないことを判別する(以上ステップSB22)。この場合は、MIDIデータ変換部323は、MIDIデータ「FA」を復元させ(SB24)、後続して供給される単位データを待機せずに、「後続単位データ待機処理」を終了させる。
【0040】
そして、MIDIデータ変換部323は、再度「音楽情報待機処理」を行うが、本具体例においては、その後に供給される単位データはいずれも「F」であるため(データD25、D26)、MIDIデータ変換部323は、これらの単位データ「F」を無視する(ステップSB3、SB4)。以上が、MIDIデータ変換部323にNibbleストリームデータ「FFCAFF」(データD21〜D26)が供給された場合のMIDIデータ変換部323の制御内容であり、図18は、この例におけるMIDIデータ変換部323から出力されるMIDIデータを示したものである。以上、MIDIデータ変換部323は、音楽情報待機処理、判別用単位データ待機処理および後続単位データ待機処理を行うことにより、供給される連続する単位データから元のMIDIデータを復元する制御内容を説明した。
【0041】
図19は、以上説明したMIDIデータ変換部323が行うこれら3つの処理(音楽情報待機処理1901、判別用単位データ待機処理1902および後続単位データ待機処理1903)の遷移過程を示したものである。
【0042】
(6)本実施形態における音響信号の変調方法
次に、図1に示す変・復調システム1におけるMIDIデータによる音響信号の変調方法について説明する。本実施形態においては、図2を参照して説明したように、変調方式は16値のDPSKを採用している。変調モジュール12では、MIDI→Data変換モジュール11から4ビットの単位データが入力されると、この単位データをグレイコードに変換し、一つ前の位相にグレイコード分の位相を足し合わせたものを次の位相とする。このような差分方式としたのは、例えば、SYNC Nibble「F」が入力されつづけた場合に位相が回転しないと、受信側(再生側)において同期が取れなくなるためで、差分信号を変調信号とすることにより確実に位相の変化を起こさせるようにしたためである。
【0043】
変調信号空間配置は、図20および図21に示すように設定する。図20は、16個の4ビット・グレイコードと相対位相(位相の差分)およびQ−I座標系で表現する場合のI成分とQ成分の関係を一覧にして示したものであり、図21はそれらを示すQ−I座標の図である。図20および図21に示す変調信号空間配置では、0FH(1111)を位相157.5degとして、グレイコードで左回りに配置する。0FHが位相157.5degであるので、同期獲得用のSync Nibble(4ビット)受信中には位相は変化し続けることが保証される。またMIDIデータはStatusとDataが交互に現れることから、グレイコードはなるべく相対位相が大きくなるように、08H以上と以下のデータをまんべんなく散らばらせるように工夫している。相対位相が0であるのは、差分値が0CHの時であるので、(1)00H→04H→08H→0CH→00H…、(2)01H→05H→09H→0DH→01H…、(3)02H→06H→0AH→0EH→02H…、(4)03H→07H→0BH→0FH→03H…が連続で続かない限り何等かの位相の移動が有る。MIDIでこのような特殊なデータ列が連続することは確率的に極めて低いので、スクランブル等は掛けなくても良い。
【0044】
より具体的には、図20および図21に示す変調信号空間配置では、MIDI信号においては、Status(先頭Nibbleのbit3が「1」)とData(先頭Nibbleのbit3が「0」)が交互に現れることから、MIDI信号を4bit単位に区切った各Nibbleのbit3が「1」すなわち最上位ビットが「1」のものが連続しないことが保証されていることを利用して、bit3が「1」のものを相対位相0度の近傍に集め、0度近傍のデータが連続しないようにしている(図21の▲1▼)。これは、0度近傍のデータが連続すると、データの変化点を検出できなくなり、復調時に同期トリガがはずれる可能性が高くなることが考えられるが、それを防止するためである。また、無信号(1111)、コントロールチェンジ(Bxxxxx)(xは不定を意味する)のMSN(1011)、およびノートオン(90xxxx)のMSN(1001)が多用されることに着目して、それらのデータ変化点を検出しやすくするため、相対位相180度の近傍にこれらのデータを集めている(図21の▲2▼)。
【0045】
(7)変調モジュール12および復調モジュール31の例
次に、上記の変調方式を実現する図1に示す変調モジュール12および復調モジュール31の構成について、図22〜図28を参照して説明する。
▲1▼変調モジュール12
図22は、変調モジュール12の構成を示すブロック図である。入力端1201から入力されたNibbleは、ゼロ次ホールド1202によって1シンボル(4ビット)時間保持された後、グレイコード変換部1203によって4ビットのグレイコードに変換される。グレイコード変換部1203から出力された4ビットのデータは加算回路1204を介して、モジュロ関数部1205へ入力される。モジュロ関数部1205は、入力数値を16で割ったときの剰余を出力する処理を行う。モジュロ関数部1205の出力は、1データ分信号を遅延するディレイ回路1206を介して加算回路1204へ入力され、グレイコード変換部1203からの出力と加算される。加算回路1204、モジュロ関数部1205およびディレイ回路1206とによって、グレイコード変換部1203から出力された相対位相が、絶対位相を示す値に変換される。
【0046】
モジュロ関数部1205から出力された絶対位相を示す4ビットのデータは、実軸成分(In-Phase成分)を算出する実軸変換部1207と、虚軸成分(Quadrature-Phase成分)を算出する虚軸変換部1208へ入力される。実軸変換部1207から出力された実軸成分と、虚軸変換部1208から出力された虚字成分は、それぞれ、乗算回路1209と乗算回路1210に入力される。乗算回路1209および1210へは、さらに、余弦回路1211から出力される単位振幅のキャリア信号の余弦波成分と、正弦回路1212から出力される単位振幅のキャリア信号の正弦波成分とがそれぞれ入力され、実軸成分と虚軸成分とに掛け合わされる。余弦回路1211と正弦回路1212へは、ともに、所定のサンプリング周期毎に時間を表す信号を発生する時計回路1214の出力tに2π・fcを掛けた基準位相信号2πfctを出力する乗算回路1213の出力が入力されている(fc:キャリア周波数)。乗算回路1209の出力と乗算回路1210の出力は、加算回路1215に入力され、そこで互いに加算される。そして、加算回路1215の出力に接続されている出力端1216から、入力端1201から入力された4ビット単位のMIDI信号に基づいて変調された音響信号が出力される。上記の構成では、乗算回路1209および乗算回路1210、余弦回路1211および正弦回路1212、時計回路1214、乗算回路1213、加算回路1215によって、直交変調回路が構成されている。
【0047】
▲2▼復調モジュール31
次に、図23〜図28を参照して、図1に示す復調モジュール31の構成につい説明する。図23は、図22に示す復調モジュール31の構成を示すブロック図である。オーディオ記録装置20から復調信号して入力された音響信号は、入力端311から入力されて同期検波回路312の信号入力端子(312b)へ入力される。同期検波回路312には、また、PLL(Phase Lock Loop)回路315から出力された発振信号の余弦波成分と正弦波成分とが、それぞれ、余弦波成分入力端子(312a)と正弦波成分入力端子(312c)から入力される。同期検波回路312は、これらの入力信号に基づいて、入力変調信号の実数成分と虚数成分をそれぞれ実数成分出力端子(312i)と虚数成分出力端子(312j)とから出力する。同期検波回路312から出力された入力変調信号の実数成分と虚数成分は、ともに、直交座標→極座標変換回路313と、トリガ信号発生器314とへ入力される。
【0048】
直交座標→極座標変換回路313は、同期検波回路312から出力された入力変調信号の実数成分と虚数成分とに基づき、トリガ信号発生器314から出力されたトリガ信号に同期したタイミングで、直交座標データを極座標データに変換し、0〜2πの角度データとして角度出力端子(313h)から出力するとともに、角度データを16分解したときの誤差成分を誤差成分出力端子(313i)から出力する。トリガ信号発生器314は、同期検波回路312から出力された入力変調信号の実数成分と虚数成分とに基づいて、同期タイミングを決定するトリガ信号を発生し、トリガ信号出力端子(314k)から出力する。
【0049】
16DPSKアン・マップ(逆写像)回路316は、直交座標→極座標変換回路313から出力された角度データを入力し、トリガ信号発生器314から出力されたトリガ信号に同期したタイミングで、角度情報を4ビットのデジタルデータに変換して出力する。PLL回路315は、直交座標→極座標変換回路313から出力された誤差データを入力し、その誤差データに基づいてとキャリア周波数を補正した周波数値を有する交流波形をPLL発振回路によって発生し、その余弦波成分と正弦波成分を出力する。
【0050】
次に、図24を参照して図23に示す同期検波回路312の構成について説明する。同期検波回路312は、増幅器312d、乗算回路312e,312f、実数用(R)のコサインロールオフフィルタ312g、および虚数用(I)のコサインロールオフフィルタ312hから構成されている。入力端子312bから入力された変調信号は、増幅器312dで増幅された後、乗算回路312eおよび312fに入力されて、それぞれ、入力端子312aから入力される余弦成分と掛け合わされるとともに、入力端子312cから入力される正弦成分とが掛け合わされる。乗算回路312eと乗算回路312fの出力は、それぞれ、コサインロールオフフィルタ312gと、コサインロールオフフィルタ312hとに入力される。コサインロールオフフィルタ312gと、コサインロールオフフィルタ312hは、それぞれ、入力信号に対して、ロールオフ率α=1.0でベースバンド帯の帯域制限を行って、実数成分と虚数成分とを抽出し、抽出した結果を出力端子312iと出力端子312jとからそれぞれ出力する。
【0051】
次に、図25を参照して直交座標→極座標変換回路313の構成について説明する。図25に示す直交座標→極座標変換回路313は、直交座標→極座標変換器313cと、乗除算回路313dと、モジュロ関数回路313eと、加減算回路313gと、定数発生器313fとから構成されている。
【0052】
直交座標→極座標変換器313cは、入力端子313aから入力される実数成分と入力端子313bから入力される虚数成分とによって示される直交標系の座標データを、トリガ発生器314から供給されるトリガ信号に基づいて、極座標系の座標データに変換し、変換の結果得られた変調信号の位相角度データを、出力端子313hから角度データとして出力するとともに、乗除算回路313dへ入力する。乗除算回路313dは、直交座標→極座標変換回路313から入力された変調信号の位相角度データに、16/(2π)を掛ける演算を行って、0〜16の数値データに変換して出力する。モジュロ関数回路313eは、乗除算回路313dから入力されたデータの小数値成分を求めて出力する。加減算回路313gは、モジュロ関数回路313eから入力された小数点以下の数値から0.5を引いて、その演算結果を誤差データ出力端子313iから出力する。このようにして、位相を16倍してモジュロを取ることでシンボル情報を縮退させ、エラーを抽出する処理は、一般に、周波数逓倍法として知られている。
【0053】
次に、図26を参照して16DPSKアンマップ回路316の構成について説明する。16DPSKアンマップ回路316は、乗除算回路316bと、ディレイ回路316cと、加減算回路316dと、モジュロ関数回路316gと、グレイコード逆変換回路316eとから構成されている。乗除算回路316bは、直交座標→極座標変換回路313から入力された0〜2πのいずれかの値を示す角度データに、16/(2π)を掛ける演算を行うことで、0〜16の数値データに変換して出力する。加減算回路316dは、トリガ発生器314から供給されるトリガ信号に基づい、乗除算回路316bから出力される絶対位相を示す角度データから、ディレイ回路316cで1データ分遅延された角度データを引くことで、絶対位相値を相対位相値に変換する処理を行う。モジュロ関数回路316gは、この相対位相値を「16」によって除算した余りを出力する。グレイコード逆変換回路316eは、モジュロ関数回路316gの出力データに基づいて、グレイコードの逆変換を行って、Nibbleデータを出力する。
【0054】
次に、図27を参照してトリガ発生器314の構成について説明する。トリガ発生器314は、同期検波回路312から供給される実数成分の信号を入力する入力端子314aと、虚数成分の信号を入力する入力端子314bと、1データ分のディレイ回路314cと、加減算回路314dと、絶対値回路314eと、閾値発生回路314fと、比較回路314gと、立ち上がりエッジ検出回路314hと、サンプリングクロック発生回路314iと、カウンタ回路314jと、トリガ信号の出力端子314kとから構成されている。加減算回路314dは、入力端子314aから入力される実数成分から、それをディレイ回路314cで1データ分遅延した値を引いて、引き算の結果を絶対値回路314eへ供給する。絶対値回路314eは、加減算回路314dの絶対値を出力する。比較回路314gは、絶対値回路314eの出力と、閾値発生回路314fから出力される所定の閾値とを比較して、絶対値回路314eが閾値以上となったときに出力信号の信号レベルを立ち上げる処理を行う。立ち上がりエッジ検出回路314hは、比較回路314gの出力信号に立ち上がりエッジが検出されたとき、カウンタ回路314jへリセット信号を出力する。カウンタ回路314jは、記録媒体22のオーディオ信号のサンプリング周波数44100kHzをキャリア周波数6300Hzで割った値7のカウント周期を有するアップカウンタ(0〜6を繰り返しカウントするもの)で、立ち上がりエッジ検出回路314hの出力信号をリセット信号としてリセット入力(RST)へ入力するとともに、クロック入力(CLK)へ入力されるサンプリングクロック発生回路314iから発生されるの44100kHzのクロック信号に従ってカウント動作を行い、カウント周期の中間点で一致したことを示す出力信号(Hit)をトリガ信号として出力端子314kから出力する。
【0055】
次に、図28を参照してPLL回路315の構成について説明する。PLL回路315は、直行座標→極座標変換回路313から出力される誤差信号パルス列を入力する入力端子315aと、入力端子315aに入力された信号のフィルタリングを行うループフィルタ315bと、ループフィルタ315bの出力レベルを増幅するループゲインアンプ315cと、キャリア周波数6300Hzに対応する値のデータを出力する所定値発生回路315dと、ループゲインアンプ315cの出力と所定値発生回路315dの出力とを加算する加算回路315eと、加算回路315fの出力値に応じた周波数を有する発振信号を発振する電圧制御発信器315fと、電圧制御発信器315fの発振信号の余弦波成分を出力する出力端子315gと、正弦波成分を出力する出力端子315hとから構成されている。ループフィルタ315bは、カットオフ周波数をωcとするローブーストフィルタ(Low Boost Filter)であって、入力信号中の角周波数ωc以上の周波数成分をゲイン1で出力するとともに、角周波数ωc以下の周波数成分に対して、振幅レベルをゲイン1以上に増幅して出力する。
【0056】
以上説明した各構成によって図23に示す復調モジュール31は、オーディオ記録装置20から入力された復調信号を、16DPSKによって復調して、復調したデータをData→MIDI変換モジュール32へ供給する。
【0057】
なお、本発明の実施の形態は上記のものに限定されるものではなく、例えば、変調方式は、上述した16値のDPSKに限られず、他の2より大きい多値DPSKを選択したり、他の多値変調方式を採用することも可能である。例えば8(=23)値DPSKを採用した場合には、単位データを3ビット長とすればよく、4(=22)値DPSKを採用した場合には、単位データを2ビット長とすればよい。また、キャリヤ周波数、状態遷移の方法、位相空間配置等の設定も上記に限定されることなく適宜変更可能である。
【0058】
また、上記の構成においては、復調装置30に後続するアプリケーション(装置あるいはプログラム)によって、復調したMIDI信号に基づいて、電子楽器、楽器の自動演奏装置、電子音源のモニタ上の画像、照明装置、香り発生装置等を制御するようにすることができる。さらに、MIDI信号と同時に記録されている他のオーディオデータや、映像データの変化に合わせるように、それらの制御でデータを記録しておくことで、より高度な制御効果を期待することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、記録媒体としてDVDを採用するとともに、記録する音楽情報デジタル信号を1シンボルで2より大きい多値を表現する変調方式によって音信号に変換し、その変換信号を、記録媒体の所定の1チャンネルに音信号として記録するようにしたのでMIDIデータ等の音楽情報デジタル信号を音楽データとともに1つの記録媒体に記録する際に、複数の音楽用チャンネルを音楽データ用に確保可能とするとともに、音楽情報デジタル信号を音楽データと同一の記録形式によって記録媒体に記録することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による音楽情報デジタル信号の記録・復調システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す本実施形態の記録・復調システム1における総合的な仕様の具体的一例を示す図である。
【図3】 図1に示すMIDI→Data変換モジュール11のブロック図である。
【図4】 図1に示すData→MIDI変換モジュール32のブロック図である。
【図5】 本発明の実施形態に係るMIDIデータの各変換モジュールで用いるデータ変換テーブルである。
【図6】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図7】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図8】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図9】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図10】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図11】 同データ変換内容を説明するための図である。
【図12】 同MIDIデータ変換処理内容を示すフローチャートである。
【図13】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図14】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図15】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図16】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図17】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図18】 同MIDIデータ変換内容を説明するための図である。
【図19】 本実施形態のData→MIDI変換モジュール32におけるニブルストリームの状態遷移図である。
【図20】 本実施形態における16DPSK信号の空間配置を一覧にして示す図である。
【図21】 図20に示す16DPSK信号の空間配置を信号空間配置図として示す図である。
【図22】 図1に示す変調モジュール12の構成を示すブロック図である。
【図23】 図1に示す復調モジュール31の構成を示すブロック図である。
【図24】 図23に示す同期検波回路312の構成を示すブロック図である。
【図25】 図23に示す直交座標→極座標変換回路313の構成を示すブロック図である。
【図26】 図23に示す16DPSKアップマップ回路316の構成を示すブロック図である。
【図27】 図23に示すトリガ発生器314の構成を示すブロック図である。
【図28】 図23に示すPLL回路315の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…記録・復調システム、10…変調装置、11…MIDI→Data変換モジュール、12…変調モジュール、20…オーディオ記録装置、21…オーディオ信号記録装置、22…記録媒体、23…オーディオ信号復調装置、30…復調装置、31…復調モジュール、32…Data→MIDI変換モジュール。

Claims (6)

  1. 楽音の発音の内容を指定するシーケンスデータを受け取るデータ受取過程と、
    前記データ受取過程において受け取ったシーケンスデータに基づいて、オーディオ帯域の周波数を有するキャリアを変調して生成されるオーディオ帯域の周波数を有する音響信号を出力する変調過程と、
    記録すべき音響信号およびビデオ信号を受け取る信号受取過程と、
    前記変調過程において出力された音響信号および前記信号受取過程において受け取った音響信号を、光ディスクのそれぞれ異なるオーディオチャンネルに、それぞれ同一の記録形式によって記録するとともに、前記信号受取過程において受け取ったビデオ信号を前記光ディスクのビデオチャンネルに記録する記録過程と
    を備えることを特徴とするデータ記録方法。
  2. 非同期に入力されるシーケンスデータの隙間を埋めるように同期信号を補充する補充過程をさらに備え、
    前記データ受取過程において受け取るシーケンスデータは、前記補充過程において同期信号が補充されたシーケンスデータである
    ことを特徴とする請求項1に記載のデータ記録方法。
  3. 前記変調過程における変調方式は、2より大きい値の差分位相シフトキーイングである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータ記録方法。
  4. 前記シーケンスデータは、MIDIデータである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のデータ記録方法。
  5. 前記変調過程における変調方式は、16値の差分位相シフトキーイングである
    ことを特徴とする請求項4に記載の制御データ記録方法。
  6. ビデオ信号を記録するビデオチャンネルの他に、音響信号を記録する複数のオーディオチャンネルを有し、
    そのうちの一部のオーディオチャンネルは、楽音の発音の内容を指定するシーケンスデータに基づいて、オーディオ帯域の周波数を有するキャリアを変調して生成されたオーディオ帯域の周波数を有する音響信号が、前記ビデオチャンネルに記録されたビデオ信号および他の前記オーディオチャンネルに記録された音響信号と同期再生可能に記録され、各オーディオチャンネルに記録されている音響信号は同一の記録形式で記録されている
    ことを特徴とする記録媒体。
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