JP4520557B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)組成物(ブレンド物)の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、EVOHは、透明性、帯電防止性、耐油性、耐溶剤性、ガスバリア性、保香性等の特性を生かして、各種包装用途等に多用されているが、かかるEVOHの製造にあたっては、通常、エチレンと酢酸ビニルとの共重合物をアルコール等の溶液状でケン化して、その後凝固浴中にストランド状に押し出してカットされて(ペレット状にされて)、更に水洗処理等が施されて含水ペレットとなった後、一般的には乾燥されてペレット状の製品とされるのである。
【0003】
しかし、かかる乾燥が不充分な場合に、EVOH(ペレット)を押出機等で溶融成形すると、発泡等を生じて外観や性能の良好な成形物を得ることができず、かかるEVOH(ペレット)の乾燥は非常に重要であり、かかる乾燥に関しては、通常100℃前後の高温の熱風を用いて十数時間以上の処理が行われている(特開昭53−119958号公報等)のが現状である。
また、一方では、加熱延伸成形性の向上を目的として、二種類以上の組成の異なるEVOHをブレンドした樹脂組成物も提案されており(特開昭61−4752号公報、特開昭60−173038号公報、特開昭63−196645号公報、特開昭63−230757号公報、特開昭63−264656号公報、特開平2−261847号公報)、そのブレンドに際しては、上記の如く高温で熱風乾燥された含水率の極めて低いEVOH同士を押出機等で溶融ブレンドする方法が一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、EVOHのブレンド物を得るに当たって、上記の如く高温で熱風乾燥されたEVOH同士を溶融ブレンドする方法では、そのブレンド物の加熱延伸成形性の向上はある程度認められるものの、組成や構造の異なるEVOHのブレンドであるためその相溶性は完全に均一なものではなく、押出条件や加熱延伸成形条件の振れによって影響を受けやすく、フィルムやカップ、トレイ、ボトル等を連続で延伸成形する場合、不良品の発生が避けられないと言う問題点を有しており、一方、そのブレンド物の均一性を改善するために押出機内の練り効果を上げる(高温下、高せん断下)とEVOHの熱劣化が避けられず、得られるブレンド物が着色(黄変)したりして商品価値が低下する恐れがある。また製造効率についても、EVOHの熱風乾燥に長時間の処理が必要なため必ずしも効率の良いものではなく、改良の余地があることが判明した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、下記の(4)〜(6)式の少なくとも1つを満足する含水率5〜60重量%のEVOHペレット(A)と含水率5〜60重量%のEVOHペレット(B)を溶融混練して全体の含水率を5重量%未満にすることにより、上記の課題を解決することを見出し本発明を完成するに至った。
|Sv(A)−Sv(B)|≧1・・・(4)
|Et(A)−Et(B)|≧5・・・(5)
2≦MFR(B)/MFR(A)・・・(6)
但し、Svはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度(モル%)、Etはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量(モル%)、MFRはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の絶乾時(含水率0.3重量%以下)における210℃,2160g荷重でのメルトフローレート(g/10min)を表す。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いられるEVOH(A)や(B)としては、含水率が5〜60重量%であれば特に限定されないが、エチレン含量5〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、更に好ましくは25〜55モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が85モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上のものが用いられ、エチレン含量が5モル%未満では耐水性が不充分となり、一方70モル%を越えるとガスバリア性が低下して好ましくない。又、ケン化度が85モル%未満では耐水性が不十分となって好ましくない。
【0007】
更にEVOH(A)や(B)の固有粘度(フェノール85重量%と水15重量%との混合溶媒中、30℃の測定値)が0.6〜1.5dl/g、好ましくは0.7〜1.3dl/g、更に好ましくは0.8〜1.2dl/gのものが用いられ、かかる粘度が0.6dl/g未満や1.5dl/gを越えるものは、押出成形性が不安定となることがあり好ましくない。
該EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られ、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
【0008】
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化などの後変性がされても差し支えない。
【0009】
本発明では上記の如きEVOH(A)及び(B)をブレンドしてEVOH組成物を得るのであるが、本発明においては、かかるEVOH(A)や(B)の含水率を5〜60重量%とすることが必要で、特にペレット状のものである。かかるEVOHペレットを得るに当たっては、特に限定されず、通常のEVOHの製造工程中、即ちEVOHの溶液を凝固液中にストランド状に押し出して凝固させ、その後に切断してペレット状にしてから、水洗浄処理する工程中において、EVOHペレットの含水率を5〜60重量%(更には10〜50重量%、特には10〜40重量%)に調整すればよい。かかる含水率が5重量%未満では、本発明のブレンド方法の効果(加熱延伸成形時の連続成形性、着色の抑制、製造効率)を充分に発揮することができず、逆に60重量%を越えると、溶融混練中に樹脂と水分の一部分離が起こり溶融混練が不安定となって、本発明の目的を達成することができない。尚、ここで言う溶融混練前のEVOHの含水率については、以下の方法により測定・算出されるものである。
【0010】
[含水率の測定方法]
EVOHを電子天秤にて秤量(W1:単位g)後、150℃に維持された熱風オーブン型乾燥器に入れ、5時間乾燥させてから、さらにデシケーター中で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(W2:単位g)して、以下の(3)式から算出する。
含水率(%)={(W1−W2)/W1}×100 ・・・(3)
【0011】
以下、かかるEVOH(ペレット)(A)や(B)を得る方法について詳細に説明する。本発明に用いるEVOHは前述の通りエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであるが、かかるケン化反応は、アルカリ触媒の共存下に実施され、該アルカリ触媒としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のアルカリ触媒によるケン化反応に使用される従来公知の触媒をそのまま使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]ウンデセン−7(DBU)で代表される共塩基性アミン、更には炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩などが挙げられるが、取り扱いの容易さ、触媒コスト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。
【0012】
触媒の使用量は必要ケン化度、反応温度等により異なるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の残存酢酸基に対して0.05当量以下が用いられ、好ましくは0.03当量以下である。又アルカリ触媒の替わりに、塩酸、硫酸等の酸触媒を用いることも可能である。
ケン化に当たっては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解し、アルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して40〜140℃の温度で反応せしめる。該溶液温度において反応後のEVOHが析出しない様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はないが、通常はその濃度が10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%となるようにすれば良い。
【0013】
次に上記で得られたEVOHのアルコール溶液はそのままでもよいが、好ましくは、直接水を加えるか、該EVOH溶液を適宜濃縮あるいは希釈してから水を加えてストランド製造用の溶液に調整される。該水溶液の場合には水/アルコールの混合重量比が80/20〜5/95の範囲で、かつアルコールの含有量A(重量%)が、2.55E−40.75≦A≦2.55E−15.75なる関係(ここで、EはEVOHのエチレン含有量(モル%)である)を満足させることが溶液の安定性の点で好ましく、溶液中に含有されるEVOHの量としては、20〜55重量%(更には25〜50重量%)が後続の凝固作業の安定性の点で好ましい。
【0014】
次に、上記で得られたEVOH溶液をストランド状に押し出してペレット化するのであるが、この時点で、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機酸(例えばリン酸、ホウ酸等)、有機酸(例えば酢酸、ステアリン酸等)、無機塩(例えばリン酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩、ハイドロタルサイト等)、有機酸塩(例えば酢酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸化防止剤(例えばチバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1098など)、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子など)、スリップ剤(例えば無定形シリカ微粒子など)、無機充填材(例えば酸化ケイ素、二酸化チタン、クレー、タルク、ベントナイト、水膨潤性フィロケイ酸塩など)等を配合しても良い。
【0015】
析出させる凝固液としては水又は水/アルコール混合溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル等が用いられるが、取り扱いの容易な点で水又は水/アルコール混合溶媒が好ましい。
該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが用いられるが、工業上好ましくはメタノールが用いられる。
凝固液中の凝固液とEVOHのストランドとの重量比(凝固液/EVOHのストランド)としては、50〜10000であることが好ましく、更には100〜1000である。該範囲の重量比にすることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを得ることが可能となる。
【0016】
更に該凝固液中に、カルボン酸を1〜10000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を1〜15000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを1〜50000ppm含有させることも好ましく、更にはカルボン酸を50〜5000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を10〜5000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを10〜10000ppm含有させるのが好ましい。該範囲のカルボン酸類を凝固浴中に含有させることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを更に好適に得ることが可能となる。
【0017】
かかるカルボン酸としては特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられるが、好ましくは酢酸が用いられる。
かかるカルボン酸金属塩としては特に制限されないが、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム等が用いられるが、好ましくは酢酸ナトリウムが用いられる。
かかるカルボン酸エステルとしては特に制限されないが、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が用いられるが、好ましくは酢酸メチルが用いられる。
【0018】
EVOH溶液を凝固液と接触させる温度は、−10〜40℃が好ましく、更には0〜20℃で、特には0〜10℃である。
EVOH溶液は任意の形状を有するノズルにより、上記の如き凝固液中にストランド状に押出されるのであるが、かかるノズルの形状としては、特に限定されないが、円筒形状が好ましく、その長さは1〜100cmが好ましく、更には3〜30cmで、内径は0.1〜10cmが好ましく、更には0.2〜5.0cmである。
かくしてノズルよりEVOH(溶液)がストランド状に押し出されるのであるが、ストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押し出し可能である。
【0019】
次いで、ストランド状に押し出されたEVOHは凝固が充分進んでから切断され、ペレット化されその後水洗される。かかるペレットの形状は、円柱状の場合は径が1〜10mm、長さ1〜10mmのもの(更にはそれぞれ2〜6mmのもの)が、又球状の場合は径が1〜10mmのもの(更には2〜6mmのもの)が好ましい。
【0020】
また、水洗条件としては、該ペレットを温度10〜40℃(更には20〜40℃)の水槽中で水洗する。かかる水洗処理により、EVOH中のオリゴマーや不純物が除去される。さらに該水洗処理に続いて、または該水洗処理の代わりに、種々の酸や金属塩を含む水溶液中で処理して、EVOH中に酸や金属塩を含有させることも、乾燥後のEVOHの色調、熱安定性、ロングラン成形性、積層体としたときの接着性樹脂との層間接着性、加熱延伸成形性等が改善される点で好ましく、かかる酸成分としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や硫酸、亜硫酸、炭酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸が挙げられ、金属塩としては上記酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩が挙げられ、特に酢酸、リン酸、ホウ酸やそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩がその効果に優れる点で好ましく用いられる。
【0021】
酢酸の含有量としては、乾燥後のEVOHに対して5〜1000ppm(更には10〜500ppm、特には20〜300ppm)とすることが好ましく、かかる酢酸の含有量が5ppm未満ではその含有効果が充分得られないことがあり、逆に1000ppmを超えるとロングラン成形性が低下することがあり好ましくない。
リン酸の含有量としては、乾燥後のEVOHに対してリン酸根換算で5〜1000ppm(更には10〜500ppm、特には20〜300ppm)とすることが好ましく、かかるリン酸の含有量が5ppm未満ではその含有効果が充分得られないことがあり、逆に1000ppmを超えると得られる成形物の外観が悪化して好ましくない。
ホウ酸の含有量としては、乾燥後のEVOHに対してホウ素換算で10〜10000ppm(更には20〜2000ppm、特には100〜1000ppm)とすることが好ましく、かかるホウ素の含有量が10ppm未満ではその含有効果が充分得られないことがあり、逆に10000ppmを超えると得られる成形物の外観が悪化して好ましくない。
【0022】
また、該金属塩の含有量としては、乾燥後のEVOHに対して金属換算で5〜1000ppm(更には10〜500ppm、特には20〜300ppm)とすることが好ましく、かかる含有量が5ppm未満ではその含有効果が充分得られないことがあり、逆に1000ppmを超えると得られる成形物の外観が悪化して好ましくない。尚、EVOH中に2種以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩が含有される場合は、その総計が上記の含有量の範囲にあることが好ましい。
以上の方法により、本発明に用いるEVOH(A)や(B)が得られるのであるが、どちらもペレット状で用いることが取り扱いの容易な点で好ましい。また、本発明の溶融混練前のEVOH(A)や(B)の含水率の調整等において、必要に応じて公知の乾燥処理(熱風乾燥、誘電加熱乾燥、マイクロ波照射乾燥等)や含水ペレットの表面付着水除去操作を事前に行うことも、溶融混練の安定性の点で好ましい。
【0023】
尚、本発明に用いるEVOH(A)及び(B)は、含水率のみが異なっていてもよく、或いはEVOHの組成(ケン化度、エチレン含有量、重合度等)のみが異なっていても良いが、EVOH組成物の加熱延伸成形性を考慮すれば、組成の異なるEVOHを用いることが好ましい。勿論このときに含水率が異なっていても良い。
【0024】
本発明においては、上記の如きEVOH(A)及び(B)を溶融混練して含水率を5重量%未満にすることを最大の特徴とするもので、かかる方法について具体的に説明する。
尚、本発明においては、上記のEVOH(A)及び(B)にEVOH(C)を加えて、3種以上のEVOHを溶融混練することも可能で、このときのEVOH(C)としては、上記のEVOH(A)或いは(B)に準ずるEVOHを用いればよい。
【0025】
EVOH(A)及び(B)を溶融混練するに当たっては、例えば溶融押出機、ニーダールーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の溶融混練装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、特に溶融混練の安定性とブレンド物の均一性の点で二軸押出機が好適に用いられ、かかる二軸押出機を用いた方法について、更に詳細に説明する。
【0026】
用いる二軸押出機としては、特に限定されないが、内径が20mm以上(更には30〜150mm)のものが好ましく、かかる内径が20mm未満では、生産性に乏しいため好ましくなく、L/Dは、20〜80(更には30〜60)が好ましく、かかるL/D径が20未満では、乾燥の能力が不足することがあり、逆に80を越えると樹脂の押出機内での滞留時間が必要以上に長くなり、その熱劣化が懸念され好ましくない。また、ベントは1箇所以上あれば良く、特には2箇所以上あることが好ましく、その中の少なくとも1箇所が減圧吸引されていることが、乾燥効率と得られる樹脂の品質の点で好ましい。ダイス孔の形状については、限定されないが、適度な形状・大きさのペレットを得ることを考慮すれば、直径が1〜7mm(更には2〜5mm)の円形が好ましく、その孔の数は3〜100個(更には10〜50個)程度が生産上好ましい。更には、押出機とダイス入り口の間にメッシュ状のスクリーンを1枚以上(特に2枚以上)設けることも異物除去と樹脂圧力安定化(押出の安定化)のため好ましく、さらに、押出し安定性を考慮すれば、同じくギヤポンプや熱交換器等を設けることも好ましい。
【0027】
溶融混練を実施するに当たっては、特に限定されないが、押出機のホッパー入り口部のシリンダーの温度(TI)と押出機の出口部のシリンダーの温度(TO)を下記(1)式の条件を満足するように設定することが好ましく、T0/TIが1.1未満では、乾燥の能力が不充分となったり押出が不安定となることがあり、逆に10以上の時は、EVOH組成物の品質が低下(熱劣化)したり押出が不安定となることがあり好ましくなく、更には下記(1’)式の条件を、特には下記(1”)式の条件を満足することが好ましい。尚、上記のシリンダーの温度とは、シリンダーの実測温度を言う。
1.1≦T0/TI<10 ・・・(1)
1.5≦T0/TI<8 ・・・(1’)
1.8≦T0/TI<5 ・・・(1”)
(但し、T0、TI共に単位は℃)
【0028】
尚、押出機のシリンダーの加熱は通常複数のヒーターを装着して行われ、例えば8分割の場合、ホッパー入り口部(樹脂供給部)から押出機出口部(樹脂排出部、ダイス接続部)に向かって8個のヒーターを押出機のシリンダーに装着して、それぞれ温度設定が可能であり、順にC1、C2、C3・・・C7、C8と表示した場合、上記のホッパー入り口部のシリンダー温度とはC1で、押出機の出口部のシリンダー温度とはC8である。
【0029】
また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)とメタリングゾーンの温度(TM)を下記(2)式の条件を満足するように設定することが特に好ましく、TM/TFが1.1未満では、乾燥の能力が不充分となったり押出が不安定となることがあり、逆に10以上の時は、EVOH組成物の品質が低下(熱劣化)したり押出が不安定となることがあり好ましくなく、更には下記(2’)式の条件を、特には下記(2”)式の条件を満足することが好ましい。
1.1≦TM/TF<10 ・・・(2)
1.2≦TM/TF<9 ・・・(2’)
1.3≦TM/TF<8 ・・・(2”)
(但し、TM、TF共に単位は℃)
【0030】
尚、ここで言うフィーディングゾーンとは、押出機のシリンダーバレルを長さ方向に3等分したときのホッパー入り口部側の1/3の部分を、メタリングゾーンとは、同様に押出機の出口部の1/3の部分をそれぞれ意味し、フィーディングゾーンの温度(TF)とは、前者の1/3の部分に完全に含まれる分割ヒーター部のシリンダーの(実測)温度の平均値を、メタリングゾーンの温度(TM)とは、後者の1/3の部分に完全に含まれる分割ヒーター部のシリンダーの(実測)温度の平均値をそれぞれ意味する。
【0031】
上記の如くシリンダー温度やフィーディングゾーンとメタリングゾーンの温度を調節すればよいが、このときのシリンダー温度、フィーディングゾーン及びメタリングゾーンの温度は、通常、室温〜300℃(更には50〜280℃)の範囲から選択することが好ましい。
また、上記の温度設定により、溶融されたEVOH組成物は、ダイスに供給され押し出されるのであるが、ダイス内でのEVOH組成物の温度(樹脂温度)は150〜300℃(更には180〜280℃)になるように押出条件(設定温度、スクリュ形状、スクリュ回転数など)を調整することも好ましく、かかる温度が150℃未満では、押出が不安定になることがあり、逆に300℃を越えると、EVOH組成物の品質が低下(熱劣化)することがあり好ましくない。
【0032】
また、スクリュの回転数は50〜300rpm(更には80〜200rpm)の範囲から選択され、かかる回転数が50rpm未満では、乾燥の能力が不充分となることがあり、逆に300rpmを越えると、EVOH組成物の品質が低下(熱劣化)することがあり好ましくなく、EVOH(A)とEVOH(B)の混合物の仕込速度については、10〜400kg/hr(更には20〜300kg/hr)の範囲から選択され、かかる仕込速度が10kg/hr未満では非生産的であり、逆に400kg/hrを越えると充分な乾燥ができない場合があり好ましくなく、EVOH組成物の押出機中での滞留時間は10〜600秒(更には10〜180秒)の範囲から選択され、かかる滞留時間が10秒未満では、十分な乾燥ができない場合があり、逆に600秒を越えるとEVOH組成物の品質が低下(熱劣化)する場合があって好ましくなく、EVOH組成物にかかる圧力(樹脂圧)については5〜300kg/cm2(更には10〜200kg/cm2)の範囲から選択され、かかる圧力が5kg/cm2未満及び300kg/cm2を越えると押出が不安定になることがあり好ましくない。また、EVOH組成物の熱劣化を防止するためにホッパー内やベント孔周りを窒素シールしておくことも好ましい。
【0033】
かかる溶融混練におけるEVOH(A)及び(B)の混合重量比は特に限定されないが、(A)/(B)=99/1〜1/99(更には95/5〜5/95、特には90/10〜10/90)が好ましく、かかる混合重量比が上記の範囲外では、本発明のブレンド方法の効果(加熱延伸成形時の外観性、ガスバリア性、連続成形性)を充分に発揮することができないことがあり好ましくない。また、EVOH(B)の含水率は特に限定されないが、EVOH(A)と同様に5〜60重量%(更には10〜50重量%、特には10〜40重量%)が好ましく、かかる含水率が5重量%未満では本発明のブレンド方法の効果(加熱延伸成形時の連続成形性、着色の抑制、製造効率)を充分に発揮することができないことがあり、逆に60重量%を越えると溶融混練中に樹脂と水分の一部分離が起こり溶融混練が不安定となって好ましくない。
【0034】
さらに、本発明のブレンド方法の効果を充分に発揮するためには、EVOH(A)とEVOH(B)の含水率の差を40重量%以内(更には30重量%以内、特には20重量%以内)とすることが好ましい。尚、本発明においては、上記のようにEVOH組成物(ブレンド物)の含水率を5重量%未満とするものであるため、EVOH(A)及び(B)の溶融混練前のEVOH組成物(混合物)の平均含水率が5重量%以上(更には10〜50重量%、特には10〜40重量%)となるようにEVOH(B)の含水率を選択することが好ましい。
尚、上記において、EVOH(C)が存在するときは、(A)〜(C)の混合重量比を(A)/[(B)+(C)]=99/1〜1/99(更には95/5〜5/95、特には90/10〜10/90)とすればよく、また、EVOH(C)の含水率も5〜60重量%(更には10〜50重量%、特には10〜40重量%)が好ましく、更にEVOH(C)のEVOH(A)または(B)との含水率の差は、40重量%以内(更には30重量%以内、特には20重量%以内)が好ましい。
【0035】
本発明のEVOH組成物においては、EVOH(A)及び(B)の組成や分子量等の関係については特に限定されないが、下記の(4)〜(6)式の少なくとも1つを満足するものであり、EVOH組成物の加熱延伸成形性が向上する。かかる(4)式の条件を満足しないとき、即ち2種のEVOHのケン化度の差が1モル%未満では、加熱延伸成形性の向上効果が充分得られないことがあり、更には、該ケン化度の差が1〜15モル%、特には該ケン化度の差が2〜10モル%であることが好ましい。また、かかる(5)式の条件を満足しないとき、即ち2種のEVOHのエチレン含有量の差が5モル%未満では、加熱延伸成形性の向上効果が充分得られないことがあり、更には、該エチレン含有量の差が5〜25モル%、特には該エチレン含有量の差が8〜20モル%であることが好ましい。
【0036】
さらに、かかる(6)式の条件を満足しないとき、即ち2種のEVOHのメルトフローレートの比が2未満では、加熱延伸成形性の向上効果が充分得られないことがあり、更には、該メルトフローレートの比が3〜20、特には該メルトフローレートの比が4〜15であることが好ましい。
|Sv(A)−Sv(B)|≧1 ・・・(4)
|Et(A)−Et(B)|≧5 ・・・(5)
2≦MFR(B)/MFR(A) ・・・(6)
但し、SvはそれぞれのEVOHのケン化度(モル%)、EtはそれぞれのEVOHのエチレン含有量(モル%)、MFRはそれぞれのEVOHの絶乾時(含水率0.3重量%以下)における210℃,2160g荷重でのメルトフローレート(g/10min)を表す。
【0037】
尚、上記において、MFRの測定に当たっては、より具体的には、EVOHを市販(東洋精機社等)のメルトインデクサーを用いて、温度210℃、荷重2160gの条件でMFRを測定すれば良い。すなわち、JIS K7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」に準拠して、操作A法(手動切取り法)にて測定するものである。
上記、(4)〜(6)式においては、少なくとも(4)式を満足するようにEVOH(A)及び(B)を選択したとき、本発明の加熱延伸成形性の向上効果が特に認められる。
尚、上記において、EVOH(C)が存在するときは、少なくとも二種のEVOHが(4)〜(6)式の少なくとも一つを選択することが好ましい。
【0038】
かくして、目的とする含水率が5重量%未満のEVOH組成物が得られるのであるが、かかる含水率にするためには、例えば、上記の二軸押出機を用いた方法においては、諸条件の調整により、特に樹脂温度(押出機の設定温度)と吐出量(スクリュ回転数や樹脂仕込み量)等を調整することにより可能であり、かかる含水率については更に好ましくは2重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下とすることが、溶融混練後の溶融成形(押出成形、射出成形等)時の発泡等のトラブルが軽減できる点で好ましい。
尚、ここで言う溶融混練後のEVOH組成物の含水率については、以下の方法により測定・算出されるものである。
【0039】
[含水率の測定方法]
EVOH組成物を電子天秤にて秤量(W1g)後、150℃に維持された熱風オーブン型乾燥器に入れ、5時間乾燥させてから、さらにデシケーター中で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(W2g)して、以下の(7)式から算出する。
含水率(%)={(W1−W2)/W1}×100 ・・・(7)
更に、本発明の溶融混練を実施後、EVOH組成物の含水率の調整等必要に応じて公知の乾燥処理(熱風乾燥、誘電加熱乾燥、マイクロ波照射乾燥等)を併せて行うことも可能である。
【0040】
また、本発明においては、かかるEVOH組成物に本発明の目的を阻害しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば還元鉄粉類、アスコルビン酸等)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、消臭剤(例えば活性炭等)、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子等)、スリップ剤(例えば無定形シリカ等)、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)などを配合しても良い。
【0041】
かくして、本発明の方法により、加熱延伸成形時の外観性、ガスバリア性、連続成形性に優れた、かつ着色が抑制された品質の良好なEVOH組成物(EVOHのブレンド物)を得ることができ、更に本発明の方法によれば、連続的に安定したEVOH組成物を効率よく得ることができ、かくして得られた本発明のEVOH組成物は、勿論単層として各種用途に用いることは可能であるが、積層体としても有用で、特に該EVOH組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層してなる積層体として用いることが好ましく、耐水性、機械的特性、ヒートシール性等が付与された実用に適した積層体が得られる。
該積層体は、本発明のEVOH組成物を用いているため、加熱延伸成形時の外観性、ガスバリア性、連続成形性に非常に優れた効果を示すものである。以下にかかる積層体について説明する。
【0042】
該積層体を製造するに当たっては、本発明のEVOH組成物の片面又は両面に、他の基材(熱可塑性樹脂等)を積層するのであるが、積層方法としては、例えば本発明のEVOH組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該EVOH組成物を溶融押出ラミネートする方法、該EVOH組成物と他の基材とを共押出する方法、本発明のEVOH組成物(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。上記の溶融押し出し時の溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
【0043】
かかる他の基材としては、熱可塑性樹脂が有用で、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類、更には他のEVOH等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。
【0044】
更に、本発明のEVOH組成物のフィルムやシート等の成形物に他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0045】
積層体の層構成は、本発明のEVOH組成物の層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、さらには、少なくともEVOH組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。尚、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することもでき、延伸性に優れた積層体が得られる点で好ましく、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるたカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。
【0046】
このときの、熱可塑性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、本発明のEVOH組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、更にはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0047】
積層体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は5〜500μm(更には10〜200μm)、b層は10〜5000μm(更には30〜1000μm)、接着性樹脂層は5〜400μm(更には10〜150μm)程度の範囲から選択される。
該積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、前述のように、本発明のEVOH組成物は加熱延伸成形時の外観性、ガスバリア性、連続成形性に優れているので、更に該積層体の物性を改善するためには加熱延伸処理を施すことも好ましい。ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味し、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じない、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
【0048】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
延伸が終了した後、次いで熱固定を行うことも好ましい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
【0049】
また、生肉、加工肉、チーズ等の熱収縮包装用途に用いる場合には、延伸後の熱固定は行わずに製品フィルムとし、上記の生肉、加工肉、チーズ等を該フィルムに収納した後、50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて密着包装をする。
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
上記の如く得られたカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や延伸フィルムからなる袋や蓋材は食品、飲料、医薬品、化粧品、工業薬品、洗剤、農薬、燃料等各種の包装材料として有用である。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
EVOH組成物中のホウ酸含有量の測定については、EVOH組成物をアルカリ溶融してICP発光分光分析法によりホウ素を定量することにより行った。さらに、アルカリ(土類)金属含有量の測定については、EVOH組成物を灰化後、塩酸水溶液に溶解して原子吸光分析法によりアルカリ(土類)金属を定量することにより行った。
【0051】
実施例1
エチレン含有量32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を40%含むメタノール溶液1000部に、水酸化ナトリウムを6%含むメタノール溶液40部およびメタノール2500部を連続的に供給すると共に副生する酢酸メチルおよび余分のメタノールを系から留出させながら、110℃で2.5時間ケン化反応を行い、酢酸ビニル成分のケン化度99.5モル%のEVOHを得た。次に該ケン化反応終了液に、50%含水メタノール450部を共沸点下で供給しながら余分のメタノールを留去させ、EVOHの水/メタノール混合溶液[水/メタノール=50/50(重量比)、樹脂濃度40%]を得た。
続いて該EVOH溶液(液温50℃)を孔径4mmのノズルより5℃に維持された凝固液(水95%、メタノール5%よりなる)槽にストランド状に押し出して、EVOHをストランド状に凝固させた後、該ストランド状のEVOHを水槽の端部に付設された引き取りローラーに導き、カッターで切断し、直径4mm、長さ4mmの白色の多孔性ペレットを得た。
【0052】
更に、得られた白色の多孔性ペレットを、30℃の温水1000部に投入して、約240分間撹拌洗浄して、含水EVOHペレット(含水率60%)を得た後、塔式流動層乾燥機により窒素ガスを80℃雰囲気中で40分接触させて(空塔速度1.6m/sec)、含水率25%、絶乾後のMFR3.5g/10分(210℃、荷重2160g)、のEVOHペレット(A)を得た。
また、上記に準じて、含水率30%、エチレン含有量47モル%、ケン化度96.8モル%、絶乾後のMFR30g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHペレット(B)を得た。
【0053】
次いで、得られたEVOHペレット(A)84部及びEVOHペレット(B)16部をドライブレンド後、ストランドダイを備えた二軸押出機に供給して、以下の条件にて溶融混練を行い、そのストランドを水槽中に通して冷却後ペレタイザーで切断して、含水率が0.15%、酢酸ナトリウム含有量が100ppm(Na換算)のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は50kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
【0054】
Figure 0004520557
【0055】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は100℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は204℃で、T0/TI=2.04となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C4の平均で111.5℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C10〜C13の平均で200.25℃で、TM/TF=200.25/111.5=1.80となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
上記で得られたEVOH組成物を用いて以下の方法で多層構造体の製造(加熱延伸成形)を行って、外観性、ガスバリア性、連続成形性の評価を行った。
【0056】
[多層構造体の製造]
上記で得られたEVOH組成物をフィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、ポリスチレン(エーアンドエムスチレン社製『ダイアレックス HT516』)層/接着樹脂(変性オレフィン系重合体;三菱化学社製『モディックAP F502』)層/EVOH組成物層/接着樹脂層(同左)/ポリスチレン層(同左)の層構成(厚み450/90/120/90/450μm)の多層シートを得て、次にプラグアシスト型真空圧空成形機(浅野研究所製)にて、ヒーター温度が500℃で加熱時間28secでカップ(上面65mmΦ、底面60mmΦ、深さ55m)の加熱延伸成形加工を行って多層構造体を作製した。
かかる多層構造体について、外観性、ガスバリア性、連続成形性を下記の如く評価した。
【0057】
(外観性)
上記で得られたカップを、光学顕微鏡で観察して下記の基準により評価した。
○ −−− 微小なクラックやピンホール、局部的な偏肉は全く認められない
△ −−− カップの側面部に微小なクラックやピンホール或いは局部的な偏肉が若干認められる
× −−− カップの側面部に微小なクラックやピンホール及び局部的な偏肉が著しく認められる
【0058】
(ガスバリア性)
上記で得られたカップの上面をアルミ金属板で密封して酸素透過度を測定(モダンコントロール社製「OXTRAN10/50」を用いて23℃、50%RH条件)した。
【0059】
(連続成形性)
上記の延伸成形加工を連続して2時間行って、120個のカップを得、以下のように評価した。
◎ −−− 120個とも上記外観性の評価が○である
○ −−− 117〜119個が上記の外観性の評価が○である
△ −−− 111〜116個が上記の外観性の評価が○である
× −−− 110個以下が上記の外観性の評価が○である
【0060】
実施例2
実施例1において、塔式流動層乾燥機により乾燥条件を変更して、EVOHペレット(A)の含水率を40%及びEVOHペレット(B)の含水率を35%とした以外は同様に行って、含水率が0.22%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる樹脂組成物は50kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0061】
実施例3
実施例1において、含水率15%、エチレン含有量34モル%、ケン化度99.6モル%、絶乾後のMFR3.0g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHペレット(A)及び、含水率15%、エチレン含有量44モル%、ケン化度96.1モル%、絶乾後のMFR15g/10分(210℃、2160g)のEVOHペレット(B)を用いて、その配合重量比を(A)/(B)=80/20とした以外は同様に行って、含水率が0.15%、酢酸ナトリウム含有量120ppm(Na換算)のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は70kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0062】
実施例4
実施例1において、含水率25%、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%、絶乾後のMFR3.5g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHペレット(A)、含水率30%、エチレン含有量49モル%、ケン化度97.0モル%、絶乾後のMFR30g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOH(B)及び、含水率25%、エチレン含有量40モル%、ケン化度99.5モル%、絶乾後のMFR4.0g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHペレット(C)を用いて、その配合重量比を(A)/(B)/(C)=65/15/20とした以外は同様に行って、含水率が0.18%、酢酸ナトリウム含有量135ppm(Na換算)のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は60kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0063】
実施例5
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件の押出温度を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.22%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
Figure 0004520557
【0064】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は50℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は232℃で、T0/TI=4.64となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C4の平均で123.25℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C10〜C13の平均で230.75℃で、TM/TF=230.75/123.25=1.87となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は70kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0065】
実施例6
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件の押出温度を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.20%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
Figure 0004520557
【0066】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は32℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は252℃で、T0/TI=252/32=7.88となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C4の平均で60.75℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C10〜C13の平均で251.25℃で、TM/TF=251.25/60.75=4.14となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は70kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0067】
実施例7
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.20%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
Figure 0004520557
【0068】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は100℃で、押出機の出口部のシリンダーC6の温度(TO)は222℃で、T0/TI=2.22となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C2の平均で100℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C5〜C6の平均で221.5℃で、TM/TF=221.5/100=2.22となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は150kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0069】
実施例8
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.25%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
Figure 0004520557
【0070】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は100℃で、押出機の出口部のシリンダーC7の温度(TO)は200℃で、T0/TI=2となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C2の平均で100℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C6〜C7の平均で197℃で、TM/TF=197/100=1.97となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は10kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0071】
実施例9
実施例1において、単軸押出機を用いて、その溶融混練条件を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.28%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
Figure 0004520557
【0072】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は97℃で、押出機の出口部のシリンダーC7の温度(TO)は276℃で、T0/TI=2.85となり、本文中の(1)式の条件を満足するものであり、また、押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)は、C1〜C2の平均で98℃で、メタリングゾーンの温度(TM)は、C6〜C7の平均で276.5℃で、TM/TF=276.5/98=2.82となり、本文中の(2)式の条件も満足するものであった。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は100kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0073】
実施例10
実施例1において、得られた白色の多孔性ペレット(A)を、0.5%の酢酸水溶液で洗浄後、0.1%の酢酸、0.03%の酢酸マグネシウム、0.02%の酢酸カルシウムを含有する水溶液中に投入し、30℃で5時間撹拌して、含水EVOHペレット(A)[乾燥後EVOH(A)中に酢酸100ppm、酢酸マグネシウム35ppm(マグネシウム換算)、酢酸カルシウム20ppm(カルシウム換算)を含有]を得た以外は同様に行って、含水率が0.15%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は50kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0074】
実施例11
実施例1において、得られた白色の多孔性ペレット(B)を、温水洗浄後、0.08%のホウ酸を含有する水溶液中に投入し、30℃で5時間撹拌して、含水EVOHペレット(B)[乾燥後EVOH(B)中にホウ酸380ppm(ホウ素換算)を含有]を得た以外は同様に行って、含水率が0.15%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかる組成物は50kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定してペレットが得られた。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
【0075】
比較例1
実施例1において、塔式流動層乾燥機の乾燥条件を変更して、EVOHペレット(A)の含水率を0.30%及びEVOHペレット(B)の含水率を0.25%とした以外は同様に二軸押出機で溶融混練を行って、含水率が0.10%のEVOH組成物(ペレット)を得た。
得られたEVOH組成物を目視観察したが、着色(黄変)が若干認められ、得られるEVOH組成物の量も乾燥工程から併せて算出すると約1kg/hrと効率が悪いものであった。
また、実施例1と同様に多層構造体の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価も行った。
実施例及び比較例の外観性、ガスバリア性及び連続成形性の評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004520557
【0077】
【発明の効果】
本発明では、特定の条件でEVOHをブレンドしてEVOH組成物を得ているため、着色が抑制された品質の良好なEVOH組成物(EVOHのブレンド物)を得ることができ、更に本発明の方法によれば、連続的に安定したEVOH組成物を効率よく得ることができ、得られたEVOH組成物は、多層構造体用途にも有用で、加熱延伸成形時の外観性、ガスバリア性、連続成形性に優れた多層構造体が得られ、食品、飲料、医薬品、化粧品、工業薬品、洗剤、農薬、燃料等各種の包装材料(フィルム、シート、容器等)をはじめ、繊維、各種成形品などの用途に有用である。

Claims (7)

  1. 下記の(4)〜(6)式の少なくとも1つを満足する含水率5〜60重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット(A)と含水率5〜60重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット(B)を溶融混練して全体の含水率を5重量%未満にすることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
    |Sv(A)−Sv(B)|≧1・・・(4)
    |Et(A)−Et(B)|≧5・・・(5)
    2≦MFR(B)/MFR(A)・・・(6)
    但し、Svはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度(モル%)、Etはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量(モル%)、MFRはそれぞれのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の絶乾時(含水率0.3重量%以下)における210℃,2160g荷重でのメルトフローレート(g/10min)を表す。
  2. 溶融混練を行うにあたり、押出機を用い、かつ押出機のホッパー入り口部のシリンダーの温度(TI)と押出機の出口部のシリンダーの温度(TO)が下記(1)式の条件を満足することを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
    1.1≦T0/TI<10 ・・・(1)
    (但し、T0、TI共に単位は℃)
  3. 溶融混練を行うにあたり、押出機を用い、かつ押出機のフィーディングゾーンの温度(TF)とメタリングゾーンの温度(TM)が下記(2)式の条件を満足することを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
    1.1≦TM/TF<10 ・・・(2)
    (但し、TM、TF共に単位は℃)
  4. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット(A)及び(B)が、エチレン含量5〜70モル%で、酢酸ビニル成分のケン化度が85モル%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
  5. 溶融混練を行うにあたり、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット(A)及び(B)の混合重量比が(A)/(B)=99/1〜1/99であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
  6. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレット(A)及び(B)の含水率の差を40重量%以内とすることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法。
  7. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物が、ペレットである請求項1〜6いずれか記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物ペレットの製造法。
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