JPH11105130A - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法

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JPH11105130A
JPH11105130A JP29160897A JP29160897A JPH11105130A JP H11105130 A JPH11105130 A JP H11105130A JP 29160897 A JP29160897 A JP 29160897A JP 29160897 A JP29160897 A JP 29160897A JP H11105130 A JPH11105130 A JP H11105130A
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stretching
film
evoh
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vinyl acetate
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JP29160897A
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Hiroyoshi Goan
弘喜 午菴
Kuniyasu Kato
邦泰 加藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高ガスバリヤー性と優れた強靱性を兼ね備えた
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂(EVOH)
フイルムの安定した製造方法を提供する。 【解決手段】EVOHを溶融状態でシート状に押出し、
得られたシートを二軸に逐次延伸するEVOHフイルム
の製造方法において、エチレン含有率が20〜60モル
%でケン化度が90%以上であって含水率が25〜35
重量%に調整されたEVOHを使用し、延伸終了時にお
けるフイルムの含水率を10重量%以上に維持して40
〜90℃の温度で3.5倍以上の延伸倍率で第1次延伸
を行い、延伸終了時におけるフイルムの含水率を0.3
重量%以上に維持して60〜130℃で3.5倍以上の
延伸倍率で第2次延伸を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法に関するも
のである。以下、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
樹脂をEVOHと略記する。
【0002】
【従来の技術】EVOHは、通常、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体をケン化して製造され、その二軸延伸フイル
ムは、EVOHを溶融状態でシート状に押出し、得られ
たシートを二軸に延伸して製造される。EVOHの二軸
延伸フイルムは、酸素ガスに対するバリヤー性が極めて
優れ、且つ、透明性、耐油性にも優れている。
【0003】ところで、EVOHは、結晶性が余りに強
く、第1次延伸である縦方向延伸時に配向結晶化が強く
発現する。そのため、EVOHの二軸延伸フイルムの製
造においては、第2次延伸である横方向延伸時にフイル
ムが均一に延伸されずに延伸斑を生じ、しかも、フイル
ム破断が多発し易い。
【0004】特公昭59−13970号公報には、上記
の問題を解決するため、原料樹脂として、樹脂100重
量部当たり8〜20重量部の水分が含有されたEVOH
を使用する方法が記載されている。しかしながら、上記
の方法では、含水率が少ないため、EVOHの融点が高
く、必然的に樹脂の溶融温度が高くなり、ダイ出口での
発泡によるシートの穴開きを免れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、高ガスバリヤー
性と優れた強靱性を兼ね備えたEVOHフイルムの安定
した製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々検討
を重ねた結果、原料樹脂として、特定の含水率に調整さ
れたEVOHを使用し、かつ、特定の延伸条件を採用す
ることにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見
を得た。
【0007】本発明は、上記の知見に基づき完成された
ものであり、その要旨は、エチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化樹脂を溶融状態でシート状に押出し、得られた
シートを二軸に逐次延伸するエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化樹脂フイルムの製造方法において、エチレン
含有率が20〜60モル%でケン化度が90%以上であ
って含水率が25〜35重量%に調整されたエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂を使用し、延伸終了時に
おけるフイルムの含水率を10重量%以上に維持して4
0〜90℃の温度で3.5倍以上の延伸倍率で第1次延
伸を行い、延伸終了時におけるフイルムの含水率を0.
3重量%以上に維持して60〜130℃で3.5倍以上
の延伸倍率で第2次延伸を行うことを特徴とするエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法
に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、原料樹脂として、エチレン含有率が
20〜60モル%、ケン化度が90モル%以上のEVO
Hを使用する。エチレン含有率が20モル%未満の場合
は、溶融押出性に劣り着色し易い。一方、エチレン含有
率が60モル%を超える場合は、酸素遮断性や印刷適性
などの特性が劣る。また、ケン化度が90モル%未満の
場合は、酸素遮断性や耐湿性が低下する。エチレン含有
率の好ましい範囲は20〜50モル%、ケン化度の好ま
しい範囲は95モル%以上である。
【0009】なお、EVOHは、20モル%以下の範囲
において、(1)プロピレン、イソブテン、α−オクテ
ン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィ
ン、(2)不飽和カルボン酸、その塩、部分アルキルエ
ステル又は完全アルキルエステル、(3)アクリロニト
リル等のニトリル、(4)カプラミド等のアミド゛、
(5)無水マレイン酸などの無水物、(6)不飽和スル
ホン酸またはその塩などをコモノマー成分として含んで
いてもよい。
【0010】本発明において、EVOHの含水率は25
〜35重量%に調整されていなければならない。含水率
が25重量%未満の場合は、EVOHの融点が発泡温度
(約100〜110℃)を超え、後述の溶融押出時に発
泡が起こるため、得られるシートに穴開きが生じる。逆
に、含水率が35重量%を超える場合は、溶融押出の
際、樹脂と水分の一部分離が起こり、その結果、押出が
不安定になる。
【0011】上記の含水率の調整方法としては、例え
ば、(1)EVOHの製造工程において乾燥条件を調節
する方法、(2)EVOHを熱水中で処理(レトルト処
理)する方法、(3)EVOHと水とを二軸押出機など
で混練する方法が挙げられる。
【0012】先ず、本発明においては、EVOHを溶融
状態でシート状に押出す。具体的には、溶融押出装置か
らEVOHを冷却ロール表面上にシート状に押出して密
着させることにより急冷する。
【0013】溶融押出装置のスクリューとしては、一般
的なフルフライトスクリューを使用できるが、混練効果
を向上させる観点から、ミキシングゾーン付きのスクリ
ューが好ましく、二軸タイプの溶融押出装置がより好ま
しい。
【0014】EVOHのメルトラインには、必要に応
じ、ギヤポンプ等の定量吐出ポンプ、フィルター等の濾
過装置を組み込むことが出来る。また、溶融樹脂の押出
口であるダイとしては、通常、コートハンガータイプの
Tダイが使用される。
【0015】ダイ出口に到る迄のEVOHの樹脂温度
は、ダイ出口において制御されるEVOHの温度(押出
温度)とは無関係に設定可能である。しかしながら、樹
脂の熱劣化やエネルギー消費の観点から、溶融混練が十
分で且つ押出し可能な範囲内で低い程(例えば130℃
以下)好ましい。
【0016】ダイから押出す際のEVOHの温度は、通
常90〜110℃、好ましくは95〜98℃の範囲に制
御される。押出温度が110℃を超える場合は、樹脂中
の水分が発泡し、シートに穴開きが生じ易くなる。従っ
て、ダイ出口に到達する前のメルトラインに熱交換器な
どを配置し、上記の温度範囲に冷却するのがよい。ま
た、押出温度が90℃未満の場合は、溶融樹脂の粘度が
高いため押出機の負荷が大きくなる。
【0017】冷却ロールの表面温度は、通常40℃以
下、好ましくは30℃以下とされる。冷却ロールの表面
温度が40℃を超える場合は、得られる延伸フイルムの
引張強度が低くなる傾向がある。しかしながら、EVO
Hの含有水分により、40℃を超える高温の冷却ロール
に密着させても結晶化は大きく進行せず、透明性の良好
なシートが得られ、後工程の延伸処理は問題なく行うこ
とが出来る。上記の表面温度の下限は通常10℃程度で
ある。
【0018】次に、本発明においては、得られたシート
を二軸に延伸する。二軸延伸方式には、逐次2軸延伸方
式と同時2軸延伸方式とがあるが、後者では延伸工程中
の後述する水分管理が難しく、良好な物性のフイルムが
得られ難い。そこで、本発明においては、逐次2軸延伸
方式で上記の延伸を行う。
【0019】第1次延伸工程の延伸装置には、通常、ロ
ール式縦延伸機が採用され、第2次延伸工程の延伸装置
には、通常、フイルムの両端部をクリップで挟むテンタ
ー方式が採用される。
【0020】本発明において、上記の延伸処理は、特定
の水分管理条件下に行うことが重要である。すなわち、
第1次延伸工程は、延伸終了時におけるフイルムの含水
率を10重量%以上に維持し、第2次延伸工程は、延伸
終了時におけるフイルムの含水率を0.3重量%以上に
維持して行う。
【0021】第1次延伸終了時におけるフイルムの含水
率が10重量%未満の場合は、第2次延伸工程時にフイ
ルムの破断が起こる。上記の含水率の上限は、好ましく
は30重量%である。何故ならば、フイルムの含水率が
30重量%を超える場合は、第2次延伸工程および熱処
理工程での水分の除去に膨大な設備が必要となり、しか
も、高強度物性のフイルムが得られない傾向がある。上
記の含水率の特に好ましい範囲は15〜25重量%であ
る。
【0022】第2次延伸終了時におけるフイルムの含水
率が0.3重量%未満の場合は、結晶性が高くなり過ぎ
てフイルムの破断が発生する。上記の含水率の上限は、
好ましくは1重量%である。何故ならば、フイルムの含
水率が1重量%を超える場合は、良好なフイルム物性が
得られない傾向がある。上記の含水率の特に好ましい範
囲は0.5〜1重量%である。
【0023】フイルムの含水率の調整は、延伸工程前後
の乾燥または調湿操作によって行われる。調湿操作とし
ては、加熱した水蒸気を直接フイルムに吹き付ける方
法、加熱した水蒸気で調湿させたボックス内にフイルム
を通過させる方法、温水中にフイルムを通過させる方法
などが挙げられる。
【0024】そして、本発明において、第1次延伸工程
は40〜90℃の温度で3.5倍以上の延伸倍率で行わ
れ、第2次延伸工程は、60〜130℃の温度で3.5
倍以上の延伸倍率で行われる。
【0025】第1次延伸工程の延伸温度が40℃未満の
場合は、フイルムが延伸応力に追従できずに破断し、9
0℃を超える場合は、水分の急激な発泡によりフイルム
に穴が開き、最悪状態ではフイルムがロールに融着す
る。上記の延伸温度の好ましい範囲は50〜80℃であ
る。
【0026】第1次延伸工程の延伸倍率が3.5倍未満
の場合は、良好な物性が得られず、8倍を超える場合
は、フイルム縦方向の配向が強くなるため、第2次延伸
工程で横方向に延伸を行った際にフイルムの破断が起こ
る。上記の延伸倍率の好ましい範囲は4〜6倍である。
【0027】第2次延伸工程の延伸温度が60℃未満の
場合は、フイルムが延伸応力に追従できずに破断し、1
30℃を超える場合は、フイルム物性が悪くなるばかり
でなく、最悪状態ではフイルムの溶融による破断が生じ
る。上記の延伸温度の好ましい範囲は80〜110℃で
ある。
【0028】第2次延伸工程の延伸倍率が3.5倍未満
の場合は、良好な物性が得られず、8倍を超える場合は
フイルムの破断が起こる。上記の延伸倍率の上限は通常
8倍であり、その好ましい範囲は4.5〜6倍である。
【0029】延伸後、フイルムは、寸法安定性を高める
ために熱処理される。斯かる熱処理は、通常、110℃
を下限としEVOHの絶乾状態の融点より5℃低い温度
を上限とする範囲内で2〜30秒間行われる。斯かる条
件範囲の中で温度および処理時間を適宜調節することに
より、任意の熱水収縮率を持った延伸フイルムが得られ
る。
【0030】本発明の方法で得られたEVOHフイルム
は、従来のEVOHフイルムに比べて遜色のない優れた
酸素透過率を有し、また、縦方向(MD)、横方向(T
D)の夫々において20Kg/mm2以上の高い引張破
断強度を有する。また、熱処理された上記のEVOHフ
イルムは、高倍率の二軸延伸処理と熱処理とにより結晶
化度が飛躍的に高められ、耐ボイル性が向上する。
【0031】すなわち、本発明によれば、優れたガスバ
リヤー性を損なわず、しかも、引張破断強度および耐ボ
イル性が向上したEVOHフイルムを得ることが出来
る。斯かるフイルムは、食品包装、医療品包装、その他
の多くの包装分野において、有利な包装資材として使用
することが出来る。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下に「%」と
あるのは、特に断りのない限り、重量%を意味する。
【0033】実施例1 高圧容器内の120℃の熱水中において、エチレン含有
率32モル%、ケン化度99.5モル%のEVOH樹脂
(日本合成化学工業社製「ソアノールDC3203」)
を5時間レトルト処理した。次いで、高圧容器の底部か
ら外径5mmのストランド状で溶融樹脂を押出しし、冷水
中で冷却した後にカットし、長さ5mmのペレットを得
た。このペレットに30℃の乾燥空気を1時間吹き付け
て表面の水分を乾燥させた。乾燥ペレットの含水率を水
分計(ケット科学研究所製FD−620)で測定した結
果、30.4%であった。
【0034】コートハンガータイプのT−ダイが具備さ
れた直径65mmの一軸押出機に上記のペレットを供給
し、130℃で溶融混練した。そして、熱交換器により
98℃に冷却した溶融樹脂を25℃に冷却された直径6
00mmの冷却ロール表面上にシート状に押出して密着さ
せることにより急冷し、厚さ略250μmのシートを得
た。
【0035】得られたシートを60℃に加熱した後、ロ
ール式延伸機にて長さ方向(縦方向)に4倍に延伸して
1軸延伸フイルムを得た。1軸延伸フイルムの含水率は
26.1%であった。次いで、テンター装置により1軸
延伸フイルムを100℃に加熱し、横方向に4.5倍に
延伸して厚みが約12μmの2軸延伸フイルムを得た。
2軸延伸フイルムの含水率は0.6%であった。次い
で、得られた2軸延伸フイルムを160℃の熱風中に4
秒間通して熱処理した。24時間の連続運転においてフ
イルムの破断は一度も観察されなかった。
【0036】上記の2軸延伸フイルムについて酸素透過
率および引張破断強度を測定した。酸素透過率は、酸素
透過率測定装置(モダンコントロール社製「OXTRAN−1
00」)を使用し、25℃、50%RHの条件下で測定
した。また、引張破断強度は、オートグラフ(島津製作
所製)を使用し、23℃、50%RHの環境下、チャッ
ク間50mm、試料幅10mm、引張速度50mm/分の条件
により測定した。そして、測定値を単位断面積あたりの
荷重に換算して引張破断強度とした。物性測定の結果を
24時間当たりのフイルム破断回数と共に表1に示し
た。
【0037】実施例2 実施例1において、ロール式延伸機の前で多段ロール設
備にてシートを乾燥した以外は、実施例1と同様にし
て、溶融押出し、延伸および熱処理の各操作を行った。
多段ロール設備後のシートの含水率は16.3%、フイ
ルムの含水率は、第1次延伸工程後において12.2
%、第2次延伸工程後において0.5%であった。上記
の全工程は問題なく行うことが出来た。また、24時間
の連続運転においてフイルムの破断は一度も観察されな
かった。2軸延伸フイルムの物性測定の結果を24時間
当たりのフイルム破断回数と共に表1に示した。
【0038】実施例3 実施例1において、ロール式延伸機の前で62℃の水槽
にシートを浸漬させて含水率を34.5%とし、ロール
式延伸機の温度を80℃とし、かつ、テンター装置で延
伸する際のフイルムの加熱温度を120℃にした以外
は、実施例1と同様にして、溶融押出し、延伸および熱
処理の各操作を行った。フイルムの含水率は、第1次延
伸工程後において9.7%、第2次延伸工程後において
0.8%であった。上記の全工程は問題なく行うことが
出来た。また、24時間の連続運転においてフイルムの
破断は一度も観察されなかった。2軸延伸フイルムの物
性測定の結果を24時間当たりのフイルム破断回数と共
に表1に示した。
【0039】実施例4 エチレン含有率32モル%のエチレン酢酸ビニル共重合
体40重量部にメタノール70重量部および水酸化ナト
リウム4重量部を加え、60℃で3時間加熱してケン化
反応を行った。得られたメタノール溶液をケン化樹脂濃
度が40%になる様に濃縮し、濃縮溶液100重量部当
たり26重量部の水を添加し、メタノール−水混合溶媒
系ケン化樹脂溶液を得た。得られたケン化樹脂のケン化
度は98.5モル%、エチレン含有量は32モル%であ
った。
【0040】15℃に温調したメタノールの30%水溶
液から成る凝固液中に、直径が5mmのノズルから上記の
メタノール−水混合溶媒系ケン化樹脂溶液を凝固液量の
0.1重量倍となるまで押出し、ストランド状に析出凝
固させた。このストランドを水中に浸漬することによ
り、メタノール分を充分に水で置換した後、ペレット状
にカットした。このペレットに30℃の乾燥空気を4時
間吹き付けて表面の水分を乾燥させた。乾燥ペレットの
含水率を水分計(ケット科学研究所製FD−620)で
測定した結果、31.5%であった。
【0041】実施例1において、原料樹脂として上記の
ペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして、溶
融押出し、延伸および熱処理の各操作を行った。フイル
ムの含水率は、第1次延伸工程後において26.9%、
第2次延伸工程後において0.6%であった。上記の全
工程は問題なく行うことが出来た。また、24時間の連
続運転においてフイルムの破断は一度も観察されなかっ
た。2軸延伸フイルムの物性測定の結果を24時間当た
りのフイルム破断回数と共に表1に示した。
【0042】比較例1 実施例1において、EVOHのレトルト条件を100℃
×4時間とした以外は、実施例1と同様にして、EVO
Hのペレットを製造した。ペレットの含水率は14.6
%であった。このペレットを使用し、実施例1と同様に
して、直径65mmの一軸押出機にてシート状に溶融押出
しを行った。しかしながら、温度を上げないと樹脂が溶
融せず、その結果、樹脂温度が140℃以上になった。
熱交換器を通してもダイ出口で110℃以下にならず、
シートに発泡による穴開きが多発したため、延伸は行わ
なかった。
【0043】比較例2 実施例1において、ロール式延伸機の温度を110℃と
し、第1次延伸工程後のフイルムの含水率を18.4%
とした以外は、実施例1と同様にして、溶融押出し、延
伸および熱処理の各操作を行った。第2次延伸工程後の
フイルムの含水率は0.5%であった。溶融押出は問題
なく行うことが出来たが、ロール式延伸機およびテンタ
ー装置での破断が多発した。更に、得られた2軸延伸フ
イルムの引張破断強度は著しく低かった。結果を表1に
示した。
【0044】比較例3 実施例1において、テンター装置で延伸する際のフイル
ムの加熱温度を150℃とし、第2次延伸工程後の含水
率を0.2%とした以外は、実施例1と同様にして、溶
融押出し、延伸および熱処理の各操作を行った。第1次
延伸工程後のフイルムの含水率は26.1%であった。
溶融押出および延伸工程は、ほぼ問題なく行うことが出
来たが、得られた二軸延伸フイルムの引張破断強度は著
しく低かった。結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、高ガスバ
リヤー性で且つ優れた強靱性を兼ね備えた2軸延伸EV
OHフイルムを安定的に製造することが出来る。その結
果、本発明によれば、特に、食品包装、医療・医薬包
装、衣料包装、その他の包装材料として有用な上記のフ
イルムを安価に提供することが出来る。従って、本発明
の工業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 邦泰 岐阜県大垣市上屋二丁目80番地 日本合成 化学工業株式会社大垣事業所大垣フィルム 工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹
    脂を溶融状態でシート状に押出し、得られたシートを二
    軸に逐次延伸するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
    樹脂フイルムの製造方法において、エチレン含有率が2
    0〜60モル%でケン化度が90%以上であって含水率
    が25〜35重量%に調整されたエチレン−酢酸ビニル
    共重合体ケン化樹脂を使用し、延伸終了時におけるフイ
    ルムの含水率を10重量%以上に維持して40〜90℃
    の温度で3.5倍以上の延伸倍率で第1次延伸を行い、
    延伸終了時におけるフイルムの含水率を0.3重量%以
    上に維持して60〜130℃で3.5倍以上の延伸倍率
    で第2次延伸を行うことを特徴とするエチレン−酢酸ビ
    ニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法。
JP29160897A 1997-10-08 1997-10-08 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂フイルムの製造方法 Withdrawn JPH11105130A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131376A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法
JP2001131377A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法

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JP2001131376A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法
JP2001131377A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法

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