JP4627354B2 - 樹脂組成物の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)からなる樹脂組成物の製造方法に関し、更に詳しくは、効率的で、かつ外観特性に優れた樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)は、透明性、帯電防止性、耐油性、耐溶剤性、ガスバリア性、保香性等に優れており、又、溶融成形可能な熱可塑性樹脂であり、食品包装等、種々の包装材料用途に用いられている。
そして、ガスバリア性の更なる改善を目指して、EVOHに無機物を配合することが試みられている。
例えば、特開平5−39392号公報には、水の存在下にEVOHと水膨潤性フィロケイ酸塩を混合することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、本発明者等が上記公報に記載の開示技術について詳細に検討した結果、該技術では、水の存在下に水膨潤性フィロケイ酸塩を投入し、更にEVOHの水/アルコール溶液を加えるため、いわゆるママコが発生しやすく、そのために水膨潤性フィロケイ酸塩均一に分散することが困難で、均一分散させようとするとかなりの時間を必要とすることが判明した。
そこで、本発明者等は、予め含水させたEVOHと水膨潤性層状無機化合物を溶融混合することで上記の問題点が解決できることを見出して別途出願(特願平10−368756号)を行ったが、その後更なる製造法の改善の検討を行った。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
その結果、EVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を含有してなる樹脂組成物を製造するにあたり、含水率50重量%以下のEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合しながら、水分を除去して樹脂組成物中の含水率を0.5重量%以下にする方法を採用することにより、効率的に、かつ外観特性が向上した樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
更に、本発明においては、下記(1)式を満足する含水率50重量%以下のEVOH(A)を用いることにより、発明の作用効果を顕著に得ることができる。
Figure 0004627354
但し、Etはエチレン含有量(モル%)、Svはケン化度(モル%)、Wは含水率(重量%)を表す。
【0006】
また、上記の溶融混合を行うにあたり、押出機を用い、かつ押出機のホッパー入り口部のシリンダーの温度(TI)と押出機の出口部のシリンダーの温度(TO)が下記(2)式を満足するように設定することにより、本発明の作用効果を顕著に得ることができる。但し、TI,TO共に単位は同じで℃とする。
2<TO/TI<8.5 ・・・(2)
【0007】
尚、本発明で言うEVOH或いは樹脂組成物の含水率については、以下の方法により測定・算出されるものである。
[含水率の測定方法]
EVOH或いは樹脂組成物を電子天秤にて秤量(W1:単位g)後、150℃に維持された熱風オーブン型乾燥器に入れ、5時間乾燥させてから、さらにデシケーター中で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(W2:単位g)して、以下の(3)式から算出する。
含水率(%)={(W1−W2)/W1}×100 ・・・(3)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるEVOH(A)としては、特に限定されないが、エチレン含有量は5〜60モル%(更には10〜60モル%、特には20〜55モル%、殊に25〜50モル%)が好ましく、かかるエチレン含有量が5モル%未満では耐水性が不十分となり、逆に60モル%を越えるとガスバリア性が低下して好ましくない。
また、酢酸ビニル成分のケン化度は90モル%以上(更には95モル%以上、特には99モル%以上、殊に99.5モル%以上)が好ましく、かかるケン化度が90モル%未満ではガスバリア性や耐熱性が不十分となって好ましくない。
【0009】
上記のEVOH(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲(10モル%程度以下)で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。
【0010】
本発明では、目的とする樹脂組成物を製造するにあたってEVOH(A)の含水率を50重量%以下に調製しておくことが必要で、かかる含水率が50重量%未満を超えると溶融混合時にEVOH(A)から多量の水が吹き出し加工できなくなり目的とする樹脂組成物を得ることが困難となる。
かかる含水率の下限は特に限定されないが10重量%とすることが好ましく、かかる含水率が10重量%未満では水膨潤性層状無機化合物(B)の分散性が不十分となって好ましくない。
また、EVOH(A)の含水率の上限は更に40重量%、特に35重量%とすることが好ましく、逆に下限は更に12.5重量%、特に15重量%とすることが好ましい。
【0011】
EVOH(A)に水を含有させる方法としては、特に制限されないが、EVOH(A)中に水を均一に含有させることが好ましく、かかる方法としては、EVOH(A)の溶液を水中で析出させ充分に水洗して溶剤を除去し水を含有させる方法、加圧熱水中でEVOH(A)を1〜3時間程度処理する方法、EVOH(A)の製造時にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化後のペーストを水中で析出させて水を含有させる方法等が挙げられる。
上記の中でも特にEVOH(A)製造時にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化後のペーストを凝固液中で析出させる方法が好ましく用いられる。
【0012】
以下、かかる方法を詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明に用いるEVOH(A)は、前述の通りエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであるが、かかるケン化反応は、アルカリ触媒の共存下に実施され、該アルカリ触媒としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のアルカリ触媒によるケン化反応に使用される従来公知の触媒をそのまま使用できる。
具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]ウンデセン−7(DBU)で代表される共塩基性アミン、更には炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩などが挙げられるが、取り扱いの容易さ、触媒コスト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。
【0013】
触媒の使用量は必要ケン化度、反応温度等により異なるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の残存酢酸基に対して0.05当量以下が用いられ、好ましくは0.03当量以下である。又アルカリ触媒の替わりに、塩酸、硫酸等の酸触媒を用いることも可能である。
ケン化に当たっては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になるように溶解し、アルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して40〜140℃の温度で反応せしめる。該溶液温度において反応後のEVOHが析出しない様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はないが、通常はその濃度が10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%となるようにすれば良い。
【0014】
次に、上記で得られたEVOHのアルコール溶液はそのままでもよいが、好ましくは、直接水を加えるか、該EVOH溶液を適宜濃縮或いは希釈してから水を加えてストランド製造用の溶液に調整される。該水溶液の場合には水/アルコールの混合重量比が80/20〜5/95の範囲で、かつアルコールの含有量A(重量%)が、2.55E−40.75≦A≦2.55E−15.75なる関係[ここで、EはEVOHのエチレン含有量(モル%)である]を満足させることが溶液の安定性の点で好ましく、溶液中に含有されるEVOHの量としては、20〜55重量%(更には25〜50重量%)が後続の凝固作業の安定性の点で好ましい。
【0015】
次いで、上記で得られたEVOH溶液をストランド状に押し出してペレット化するのであるが、この時点で、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機酸(例えばリン酸、ホウ酸等)、有機酸(酢酸、ステアリン酸等)、無機塩(例えばリン酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩、ハイドロタルサイト等)、有機酸(例えば酢酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸化防止剤(例えばチバスペシャルティケミカルズ社製『IRGANOX1098』など)、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子など)、スリップ剤(例えば無定形シリカ微粒子など)等を配合しても良い。
【0016】
析出させる凝固液としては水又は水/アルコール混合溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル等が用いられるが、取り扱いの容易な点で水又は水/アルコール混合溶媒が好ましい。
該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが用いられるが、工業上好ましくはメタノールが用いられる。
凝固液中の凝固液とEVOHのストランドとの重量比(凝固液/EVOHのストランド)としては、50〜10000であることが好ましく、更には100〜1000である。該範囲の重量比にすることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを得ることが可能となる。
【0017】
更に該凝固液中に、カルボン酸を1〜10000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を1〜15000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを1〜50000ppm含有させることも好ましく、更にはカルボン酸を50〜5000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を10〜5000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを10〜10000ppm含有させるのが好ましい。該範囲のカルボン酸類を凝固浴中に含有させることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを更に好適に得ることが可能となる。
かかるカルボン酸としては特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられるが、好ましくは酢酸が用いられる。
【0018】
かかるカルボン酸金属塩としては特に制限されないが、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム等が用いられるが、好ましくは酢酸ナトリウムが用いられる。
かかるカルボン酸エステルとしては特に制限されないが、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が用いられるが、好ましくは酢酸メチルが用いられる。
【0019】
EVOH溶液を凝固液と接触させる温度は、析出性の点で−10〜40℃が好ましく、更には0〜20℃で、特には0〜10℃である。
EVOH溶液は任意の形状を有するノズルにより、上記の如き凝固液中にストランド状に押出されるのであるが、かかるノズルの形状としては、特に限定されないが、円筒形状が工業的に好ましく、その長さは1〜100cmが好ましく、更には3〜30cmで、内径は0.1〜10cmが好ましく、更には0.2〜5.0cmである。
【0020】
かくしてノズルよりEVOH(溶液)がストランド状に押し出されるのであるが、ストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押し出し可能である。
その後、ストランド状に押し出されたEVOHは凝固が充分進んでから切断され、ペレット化されその後水洗される。かかるペレットの形状は、円柱状の場合は径が1〜10mm、長さ1〜10mmのもの(更にはそれぞれ2〜6mmのもの)が、又球状の場合は径が1〜10mmのもの(更には2〜6mmのもの)が溶融混練の安定性の点で好ましい。
【0021】
また、水洗条件としては、該ペレットを温度10〜40℃(更には20〜40℃)の水槽中で水洗する。かかる水洗処理により、EVOH中のオリゴマーや不純物、溶剤等が除去される。
更に該水洗処理に続いて、または該水洗処理の代わりに、種々の酸や金属塩を含む水溶液中で処理して、EVOH中に酸や金属塩を含有させることも、乾燥後のEVOHの色調、熱安定性、ロングラン成形性、積層体としたときの接着性樹脂との層間接着性、加熱延伸成形性等が改善される点で好ましく、かかる酸成分としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や硫酸、亜硫酸、炭酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸が挙げられ、金属塩としては上記酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩が挙げられ、特に酢酸、リン酸、ホウ酸やそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩がその効果に優れる点で好ましく用いられる。
【0022】
以上の方法により、本発明に用いる含水率50重量%以下のEVOH(A)ペレットが得られるのであるが、水膨潤性層状無機化合物(B)と溶融混合される前に必要に応じて、公知の乾燥処理(熱風乾燥、誘電加熱乾燥、マイクロ波照射乾燥等)を行って含水率の(再)調整を行ったり、或いは該ペレットの表面付着水除去操作を事前に行うことも、溶融混練の安定性の点で好ましい。
【0023】
本発明に用いる水膨潤性層状無機化合物(B)としては、特に制限されることなく、スメクタイトやバーミキュライト等の粘土鉱物、更には合成マイカ等が挙げられ、前者のスメクタイトの具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等が挙げられる。これらは天然のものであっても、合成されたものでもよい。
本発明においては、上記の水膨潤性層状無機化合物(B)の膨潤度(日本ベントナイト工業会の標準試験方法容積法に準じて測定)は、大きい方が好ましく、膨潤度が85ml/2g以上(更には90ml/2g以上、特には95ml/2g以上)であることが好ましく、かかる膨潤度が85ml/2g未満ではガスバリア性が不十分となって好ましくない。
【0024】
かかる膨潤度を考慮すれば、水膨潤性層状無機化合物(B)として、モンモリロナイトが好ましい。また、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物も好ましく用いられる。
また、水膨潤性層状無機化合物(B)のアスペクト比は特に限定されないが、500以上であることが好ましい。
【0025】
本発明においては、上記の如き含水率50重量%以下のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有してなる樹脂組成物を製造するにあたり、含水率50重量%以下のEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合しながら、水分を除去して樹脂組成物中の含水率を5重量%以下にすることを最大の特徴とするもので、かかる方法について説明する。
含水率50重量%以下のEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合するに当たっては、例えば溶融押出機、ニーダールーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミルなどの公知の溶融混練(混合)装置を使用して行うことができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いることが工業上好ましく、特に溶融混練の安定性の点で二軸押出機が好適に用いられ、かかる二軸押出機を用いた方法について、更に詳細に説明する。
【0026】
用いる二軸押出機としては、特に限定されないが、内径が20mm以上(更には30〜150mm)のものが好ましく、かかる内径が20mm未満では、生産性に乏しいため好ましくなく、L/Dは、20〜80(更には30〜60)が好ましく、かかるL/D径が20未満では、乾燥及び混合の能力が不足することがあり、逆に80を越えると樹脂の押出機内での滞留時間が必要以上に長くなり、その熱劣化が懸念され好ましくない。
含水率50重量%以下のEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を二軸押出機に供給するに当たっては特に制限はなく、▲1▼(A)及び(B)を予めドライブレンドした混合物を該押出機のホッパーに供給する方法、▲2▼(A)及び(B)を直接該押出機のホッパーに供給する方法、▲3▼(A)を該押出機のホッパーに供給すると共に(B)の1〜10重量%程度の分散液を該押出機のベントの一部から供給する方法、▲4▼(A)を該押出機のホッパーに供給すると共に(B)を該押出機のベントの一部から供給する方法等を挙げることができる。
【0027】
尚、本発明においては、含水率50重量%以下のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合するときに、混合時の樹脂組成物全体の含水率を20〜50重量%(更には22.5〜45重量%、特には25〜45重量%)とすることが好ましく、かかる含水率が20重量%未満では水膨潤性層状無機化合物(B)の分散性が不十分となり、逆に50重量%を越えるとEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)が不均一な混合状態となって好ましくない。
また、溶融混合に供される含水率50重量%以下のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)の配合割合は、EVOH(A)100重量部(固形分)に対して、水膨潤性層状無機化合物(B)が0.1〜20重量部(固形分)(更には0.5〜15重量%(同左)、特には1〜10重量%(同左))であることが好ましく、かかる配合割合が0.1重量部未満ではガスバリア性の改善効果が少なく、逆に20重量部を越えるとフィルム等の成形物の外観が悪化して好ましくない。
【0028】
更に、本発明においては、含水率50重量%以下のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合するに当たって、下記(1)式の条件を満足するようにEVOH(A)を選択することも好ましい。
EVOH(A)のエチレン含有量、ケン化度及び含水率が下記(1)式を満足するように調製することにより、水膨潤性層状無機化合物(B)の分散性及びガスバリア性が良好となる。
即ち、(1)式の値が60未満では、水膨潤性層状無機化合物(B)の分散性及びガスバリア性が低下し、逆に120を越えると溶融混合時の押出し加工性が低下して好ましくない。
60≦(0.173×Sv−20.111)×W+0.2184
×(Sv−100)2+6.5356×(Sv−100)
+230.67×exp(−0.0074×Et)≦120 ・・・(1)
但し、Etはエチレン含有量(モル%)、Svはケン化度(モル%)、Wは含水率(重量%)を表す。
【0029】
かくして含水率50重量%以下のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)が二軸押出機に供されて溶融混合されるのであるが、かかる押出機のベントは1箇所以上あれば良く、特には2箇所以上あることが好ましく、その中の少なくとも1箇所が減圧吸引されていることが、乾燥効率と得られる樹脂の品質の点で好ましい。尚、上記の▲3▼の場合は、ベントは2個以上有し、特には3個以上あることが好ましく、その中の最もホッパーに近い箇所で水膨潤性層状無機化合物(B)の分散液を供給し、残りの箇所の少なくとも1箇所が減圧吸引されていることが、乾燥効率と得られる樹脂組成物の品質の点で好ましい。
押出機の出口に設けるダイス孔の形状については、限定されないが、適度な形状・大きさ[円柱状の場合は径が1〜10mm、長さ1〜10mmのもの(更にはそれぞれ2〜6mmのもの)]の樹脂組成物ペレットを得ることを考慮すれば、直径が1〜7mm(更には2〜5mm)の円形が好ましく、その孔の数は3〜100個(更には10〜50個)程度が生産上好ましい。更には、押出機とダイス入り口の間にメッシュ状のスクリーンを1枚以上(特に2枚以上)設けることも異物除去と樹脂圧力安定化(押出の安定化)のため好ましく、さらに、押出し安定性を考慮すれば、同じくギヤポンプや熱交換器等を設けることも好ましい。
【0030】
溶融混練を実施するに当たっては、特に限定されないが、押出機のホッパー入り口部のシリンダーの温度(TI)と押出機の出口部のシリンダーの温度(TO)を下記(2)式の条件を満足するように設定することが好ましく、T0/TIが2以下では、乾燥の能力が不充分となったり押出が不安定となることがあり、逆に8.5以上の時は、樹脂組成物の品質が低下(熱劣化)したり押出が不安定となることがあり好ましくなく、更には下記(2’)式の条件を、特には下記(2”)式の条件を満足することが好ましい。尚、上記のシリンダーの温度とは、シリンダーの実測温度を言う。
2.0≦T0/TI<8.5 ・・・(2)
2.2≦T0/TI<7.5 ・・・(2’)
2.3≦T0/TI<7.1 ・・・(2”)
(但し、T0、TI共に単位は℃)
尚、押出機のシリンダーの加熱は通常複数のヒーターを装着して行われ、例えば8分割の場合、ホッパー入り口部(樹脂供給部)から押出機出口部(樹脂排出部、ダイス接続部)に向かって8個のヒーターを押出機のシリンダーに装着して、それぞれ温度設定が可能であり、順にC1、C2、C3・・・C7、C8と表示した場合、上記のホッパー入り口部のシリンダー温度とはC1で、押出機の出口部のシリンダー温度とはC8である。
【0031】
また、上記の温度設定により、溶融混合された樹脂組成物は、ダイスに供給され押出されるのであるが、ダイス内での樹脂組成物の温度は150〜300℃(更には180〜280℃)になるように押出条件(設定温度、スクリュ形状、スクリュ回転数など)を調整することも好ましく、かかる温度が150℃未満では、押出が不安定になることがあり、逆に300℃を越えると、樹脂組成物の品質が低下(熱劣化)することがあり好ましくない。また、スクリュの回転数は50〜400rpm(更には80〜300rpm)の範囲から選択され、かかる回転数が50rpm未満では、乾燥の能力が不充分となることがあり、逆に400rpmを越えると、樹脂組成物の品質が低下(熱劣化)することがあり好ましくなく、EVOH(A)の仕込速度については特に制限はなく、押出機のバレル径等により任意に決定すれば良い。また、水膨潤性層状無機化合物(B)の仕込速度については、目的とする樹脂組成物中の(B)の配合量等に合うようにEVOH(A)に合わせて供給すればよい。
【0032】
また、樹脂組成物の押出機中での滞留時間は10〜600秒(更には20〜300秒)の範囲から選択され、かかる滞留時間が10秒未満では、十分な乾燥ができない場合があり、逆に600秒を越えると樹脂組成物の品質が低下(熱劣化)する場合があって好ましくなく、樹脂組成物にかける圧力(樹脂圧)については5〜300kg/cm2(更には10〜200kg/cm2)の範囲から選択され、かかる圧力が5kg/cm2未満及び300kg/cm2を越えると押出が不安定になることがあり好ましくない。また、樹脂組成物の熱劣化を防止するためにホッパー内やベント孔周りを窒素シールしておくことも好ましい。
【0033】
かくして、目的とする含水率が0.5重量%以下の樹脂組成物が得られるのであるが、かかる含水率にするためには、例えば、上記の二軸押出機を用いた方法においては、諸条件の調整により、特に樹脂温度(押出機の設定温度やスクリュ形状等)と吐出量(スクリュ回転数や樹脂仕込み量等)等を調整することにより可能であり、かかる含水率とすることが、乾燥後の溶融成形(押出成形、射出成形等)時の発泡等のトラブルが軽減できる点で好ましい。
【0034】
更に、上記の方法を実施後、EVOHの含水率の調整等必要に応じて公知の乾燥処理(熱風乾燥、誘電加熱乾燥、マイクロ波照射乾燥等)を併せて行うことも可能である。
【0035】
かくして本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)は、成形物の用途に多用され、溶融成形等によりフィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種成形品等に成形され、又、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)を用いて再び溶融成形に供することもでき、かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
【0036】
また、本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)は、単体の成形物として用いることができるが、特に積層体の成形物に供した時に本発明の作用効果を十分に発揮することができ、具体的には該樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層等を積層して多層積層体なる成形物として用いることが有用である。
【0037】
該積層体を製造するに当たっては、該樹脂組成物からなる層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば該樹脂組成物からなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該樹脂組成物を溶融押出する方法、該樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には本発明の樹脂組成物からなるフィルムやシートと他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。
また、本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)は、共押出成形に供することも好ましい。
【0038】
共押出の場合の相手側樹脂としてはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0039】
かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものやこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマーが、得られる積層包装材の耐屈曲疲労性、耐振動疲労性等に優れる点で好ましい。
【0040】
更に、本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)から一旦フィルムやシート等の成形物を得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート及びその無機物蒸着体、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0041】
積層体の層構成は、本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)からなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b1/b2/a/b3/b4、a1/b1/a2/b2等任意の組み合わせが可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。
【0042】
尚、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することができ、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、オレフィン系重合体に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、本発明の製造法で得られた樹脂組成物(ペレット)や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、更にはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0043】
積層体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は5〜500μm(更には10〜200μm)、b層は5〜5000μm(更には30〜1000μm)、接着性樹脂層は5〜400μm(更には10〜150μm)程度の範囲から選択される。a層が5μm未満ではガスバリア性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に500μmを越えると耐屈曲疲労性が劣り、かつ経済的でなく好ましくなく、またb層が5μm未満では剛性が不足し、逆に5000μmを越えると耐屈曲疲労性が劣り、かつ重量が大きくなり好ましくなく、接着性樹脂層が5μm未満では層間接着性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に400μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくない。
また、積層体の各層には、成形加工性や諸物性の向上のために、前述の各種添加剤や改質剤、充填材、他樹脂等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
【0044】
該積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、更に該積層体の物性を改善するためには延伸処理を施すことも好ましく、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラ、デラミ等の生じない延伸フィルムや延伸シート、延伸容器、延伸ボトル等の成形物が得られる。
【0045】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0046】
延伸が終了した後、次いで熱固定を行うことも好ましい。。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
例えば、多層シートや多層フィルムからカップやトレイ状の多層容器を得る場合は、絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げられる。
【0047】
更に多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)などが挙げられる。
【0048】
また、生肉、加工肉、チーズ等の熱収縮包装用途に用いる場合には、延伸後の熱固定は行わずに製品フィルムとし、上記の生肉、加工肉、チーズ等を該フィルムに収納した後、50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて密着包装をする。
【0049】
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
【0050】
上記の如く得られたカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や延伸フィルムからなる袋や蓋材は一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用であるが、本発明の積層体は、特に、ゼリー、プリン、ヨーグルト、マヨネーズ、味噌等の半固形状食品・調味料用のカップ状容器や、生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)用のトレー状容器等の加熱延伸成形容器用途に有用である。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0052】
実施例1
含水率28%のEVOH(A)[エチレン含有量32モル%、ケン化度99.8モル%]135部[EVOH97部(固形分)]及び天然モンモリロナイト(B)[膨潤度(日本ベントナイト工業会の標準試験方法容積法に準じて測定)は98ml/2g]3部をストランドダイを備えた二軸押出機に供給して、以下の条件にて溶融混合を行い、そのストランドを水槽中に通して冷却後ペレタイザーで切断して、含水率が0.3%の樹脂組成物ペレットを得た。
尚、混合時の樹脂組成物の含水率は27%で、本文中の(1)式にEVOH(A)のエチレン含有量(32モル%)、ケン化度(99.8モル%)及び含水率(28重量%)を代入すると101.1となって(1)式を満足するものであった。
【0053】
得られた樹脂組成物ペレットを目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。
また、かかるペレットは50kg/hrの割合で効率よく得ることができた。
更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定したペレットができた。
【0054】
Figure 0004627354
【0055】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は60℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は202℃で、T0/TI=3.37となり、本文中の(2)式の条件を満足するものであった。
更に、上記で得られたペレットを単軸押出機に供給し、T−ダイキャスト法にて、押出機設定温度220℃の条件下で製膜を行い、30μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、以下の評価を行った。
【0056】
(酸素透過度)
得られたフィルムを、MOCON社製『OXTRAN2/20』を用い、等圧法(MOCON法)により、20℃、80%RHの条件下で測定した。
【0057】
(外観特性)
得られたフィルムにおいて、10cm×10cm中における直径が0.1mm以上の異物の数を測定し、下記の基準にて評価した。
◎・・・1個以下
○・・・2〜5個
×・・・6個以上
【0060】
実施例
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件の押出温度を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.22%の樹脂組成物ペレットを得た。
シリンダーの設定温度 C1: 50℃(50℃)
( )内は実測温度 C2: 95℃(97℃)
C3:100℃(100℃)
C4:100℃(99℃)
C5:100℃(99℃)
C6:100℃(98℃)
C7:160℃(158℃)
C8:200℃(218℃)
C9:220℃(216℃)
C10:220℃(219℃)
C11:220℃(220℃)
C12:230℃(228℃)
C13:230℃(232℃)
AD:230℃(230℃)
D:230℃(229℃)
【0061】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は31℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は232℃で、T0/TI=7.48となり、本文中の(2)式の条件を満足するものであった。
得られたEVOHペレットを目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかるペレットは60kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定したペレットの乾燥ができた。
また、実施例1と同様に酸素透過度と外観特性の評価も行った。かかる評価結果は表1に示す。
【0062】
実施例
実施例1において、二軸押出機による溶融混練条件の押出温度を以下のように変更した以外は同様に行って、含水率が0.20%の樹脂組成物ペレットを得た。
シリンダーの設定温度 C1: 30℃(31℃)
( )内は実測温度 C2: 90℃(90℃)
C3:105℃(103℃)
C4:105℃(104℃)
C5:110℃(109℃)
C6:110℃(110℃)
C7:170℃(166℃)
C8:250℃(248℃)
C9:250℃(246℃)
C10:250℃(250℃)
C11:250℃(251℃)
C12:250℃(249℃)
C13:250℃(252℃)
AD:250℃(250℃)
D:250℃(250℃)
【0063】
上記の如く押出機のホッパー入り口部のシリンダーC1の温度(TI)は31℃で、押出機の出口部のシリンダーC13の温度(TO)は252℃で、T0/TI=252/31=8.13となり、本文中の(2)式の条件を満足するものであった。
得られたEVOHペレットを目視観察したが、無色・透明で黄着色は全く認められなかった。また、かかるペレットは70kg/hrの割合で効率よく得ることができた。更に、該ペレット化を連続して10hr行ったが、ストランド切れや異物・目ヤニ等の発生は全く認められず、安定したペレットの乾燥ができた。
また、実施例1と同様に酸素透過度と外観特性の評価も行った。かかる評価結果は表1に示す。
【0064】
比較例1
実施例1において、二軸押出機のベントの開放及び真空吸引を行わずに、含水率6%の樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを目視観察したが、着色(黄変)が若干認められ、得られる樹脂組成物ペレットの量も約1kg/hrと効率が悪いものであった。
また、実施例1と同様に酸素透過度と外観特性の評価も行った。かかる評価結果は表1に示す。
【0065】
〔表1〕
Figure 0004627354
【0066】
【発明の効果】
本発明では、含水率が50重量%以下のEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合しながら水分を除去しているため、得られる樹脂組成物の着色(黄変)が抑制でき、樹脂組成物の(乾燥)製造効率も良く、本発明の方法で得られた樹脂組成物は、食品や医薬品、農薬品、工業薬品等の包装用材料や繊維、各種成形品の用途として大変有用である。

Claims (5)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を含有してなる樹脂組成物を製造するにあたり、含水率50重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合しながら、水分を除去して樹脂組成物中の含水率を0.5重量%以下にすることを特徴とする樹脂組成物の製造法。
  2. 溶融混合時の樹脂組成物全体の含水率の下限を10重量%にすることを特徴とする請求項記載の樹脂組成物の製造法。
  3. 含水率50重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)の含水率の下限が10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物の製造法。
  4. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物(B)の含有量を0.1〜20重量部とすることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の樹脂組成物の製造法。
  5. 樹脂組成物がペレット状に成形されてなることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の樹脂組成物の製造法。
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