JP5388429B2 - 樹脂複合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水膨潤性層状無機化合物を有する樹脂複合体およびその製造方法に関する。
従来、高度な酸素ガスバリア性が求められる食品や薬品包装フィルムや容器等において、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記する。)中にモンモリロナイト等の水膨潤性層状無機化合物を分散させる手法が考案されている。水膨潤性層状無機化合物とは、無機化合物が複数の層状に重なる構造を有しており、かかる技術は、前記水膨潤性層状無機化合物の板状の層がEVOH中に同方向に分散し、EVOH樹脂中の酸素拡散を阻害する作用をなすため、高いガスバリア性を有するフィルムが得られるという技術である。(例えば、特許文献1参照。)
かかる技術は、EVOHと水膨潤性フィロケイ酸塩を水の存在下において混合して、EVOH中にフィロケイ酸塩の層状構造を部分的に分離、分散させて板状の粒子を多数生成することにより(以下、かかる板状の粒子を長粒子と称す)、ガスバリア性及び透明性に優れた組成物が得られるというものである。また、特定の含水状態にあるEVOHと水膨潤性層状無機化合物を溶融状態で混合して機械的な混練を行うことによって、生産性を改善して、なおかつ水膨潤性層状無機化合物をより均一に分離、分散させる技術が提案されている。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)
しかしながら上記のような技術では、水膨潤性層状無機化合物の層間が剥離した長粒子が溶融混練により水膨潤性層状無機化合物が細かく砕かれて小微粒子化する傾向があり(以下、かかる小微粒子を短粒子と称す。)、EVOH中で長粒子が層をなすことができないためにガスバリア性が高まらないという問題があった。一方、溶融混錬を極めて穏やかな条件で、長時間をかけて長粒子成分を多数残存させてもガスバリア性は高まるものの、フィルム化した際の脆化傾向が強く、クラックが発生し易くなるなどの問題があった。
特開平5−39392号公報 特開2000−191874号公報 特開2004−315793号公報
本発明は、上述の問題点を解決し、ガスバリア性に優れたEVOHと水膨潤性層状無機化合物を有する樹脂を提供することを目的とするものである。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、EVOH(A)中に、水膨潤性層状無機化合物(B)が細かく砕かれた結果得られる特定範囲の短粒子と、層間が剥離した結果得られる長粒子が、特定の割合で並存し分散している樹脂複合体に関し、フィルムとしたときに特に良好なガスバリア性が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、EVOH(A)中に水膨潤性層状無機化合物(B)が分散して存在するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物複合体において、前記水膨潤性層状無機化合物における長径が0.2μm未満の短粒子成分が5〜50%であり、かつ長径が0.5μm以上の長粒子成分が20〜50%の割合で分散して存在するエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体に存する。
本発明においては、短粒子成分がEVOH中に分散することによって、水膨潤性層状無機化合物を添加することによって生じるフィルムの脆化を抑制する効果が得られ、加えて、高表面積を有する水膨潤性層状無機化合物の長粒子成分がEVOH中に分散し、本願が規定する特定範囲にある場合、(1)優れたガスバリア性能の改善作用が得られ、(2)フィルム剛性の向上効果が得られるという、本願記載の顕著な効果が得られるものである。
本発明の樹脂複合体から得られるフィルムはガスバリア性に優れるため、該フィルム単独またはポリオレフィンやポリアミドなどの他のフィルムとの積層フィルムとして、更に、各種基材との積層体として、例えば、カップ、トレイ、チューブ、ボトル等の成形容器や、延伸フィルムからなる袋や蓋材は一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器などに好適に用いることが出来る。
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明のEVOH複合体は、EVOH(A)中に水膨潤性層状無機化合物(B)が分散して存在する樹脂複合体であり、水膨潤性層状無機化合物(B)の分散状態、分散形態に特徴を有するものであり、前記水膨潤性層状無機化合物における長径が0.2μm未満の短粒子成分が5〜50%であり、かつ長径が0.5μm以上の長粒子成分が20〜50%の割合で分散して存在するエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体である。
(EVOH(A)の説明)
まず、本発明で用いられるEVOHは、通常、酢酸ビニルとエチレンの共重合体をケン化して得られるものであり、エチレン構造単位と酢酸ビニル構造単位、およびケン化により生成したビニルアルコール構造単位とを有する共重合体構造のポリマーである。また、場合により、少量の他の共重合可能なビニルモノマー由来の構造単位を含んでいてもよい。
本発明で用いられるEVOH(A)は、従来公知の一般的なEVOHであればよく、例えば具体的には、そのエチレン含有量は、通常20〜60モル%、好ましくは20〜45モル%、特に好ましくは20〜35モル%である。かかるエチレン含有量が少なすぎた場合には溶融成形時の熱安定性が低下する傾向があり、多すぎた場合にはガスバリア性が低下し、さらに含水EVOHと水膨潤性層状無機化合物を混合した際のトルクが高くなり、水膨潤性層状無機化合物が小微粒子へと破砕されすぎる傾向がある。


上記EVOH(A)のケン化度は、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎた場合にはガスバリア性が低下する傾向がある。
また、EVOH(A)のMFR値は、含水率0.3%の状態で210℃、2160g荷重での測定値において、通常1〜100g/10分、好ましくは、2〜50g/10分、特に好ましくは、5〜40g/10分である。かかるMFR値が低すぎた場合には溶融加工時の負荷が高くなり加工性が低下する傾向があり、高すぎた場合には溶融加工時に粘度が不足し、垂れ等の問題が生じてフィルム等の成形性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるEVOH(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲、例えば10モル%以下程度にて共重合可能な公知のエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよい。
また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等、公知の後変性処理をしたものでも差し支えない。
また、本発明のEVOH複合体を、延伸フィルム、熱収縮フィルム、カップなどの絞り成形品、ボトルなどのブロー成形品に用いる場合には、下記に示す構造単位(1)を0.1〜10モル%の範囲で共重合したものを用いることも好適である。
Figure 0005388429
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基
を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原
子または有機基を示す。]
なお、かかる構造単位(1)における主鎖の置換基であるR1〜R3、および側鎖の置換基であるR4〜R6は、代表的にはすべて水素原子であるが、その水素原子が樹脂特性を大幅に損なわない程度の有機基で置換されたものでもよい。その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
また、構造単位(1)の結合鎖Xは、代表的には単結合であるが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の結合鎖であってもよい。かかる結合鎖は特に限定されないが、例えばアルキレン、アルケニレン、アルキニレン等の非芳香族炭化水素鎖の他、フェニレン、ナフチレン等の芳香族炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−C
ONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、
−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等が挙げられ(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)、その中でも熱溶融安定性の点で好ましくは非芳香族炭化水素鎖、特に好ましくはアルキレンであり、炭素数3以下のアルキレンが好適に用いられる。
さらには、本発明の目的を阻害しない範囲においてEVOH(A)に酢酸、酪酸等の有機酸あるいはホウ酸、リン酸などの無機酸、またはこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属塩を添加することが溶融成形時の熱安定性を向上させる点で好ましい。
本発明で使用されるEVOH(A)は、異なる構造単位を有するもの、エチレン含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、分子量が異なるものなどを混合して用いてもよい。
また、エチレン含有量が異なるものを用いる場合、その構造単位は同じであっても異なっていても良いが、そのエチレン含有量差は1モル%以上、さらには2モル%以上、特には2〜20モル%であることが好ましい。かかるエチレン含有量差が大きすぎると延伸性が不良となる場合があり好ましくない。また、異なる2種以上のEVOH(ブレンド物)の製造方法は特に限定されず、例えばケン化前のEVAの各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各EVOHのアルコールまたは水とアルコールの混合溶媒に溶解させた溶液を混合する方法、各EVOHをペレット状、または粉体で混合した後、溶融混練する方法などが挙げられる。
本発明のEVOH複合体におけるEVOH(A)の含有量は、EVOH複合体の総重量に対して通常70〜99.5重量%、好ましくは80〜99重量%、特に好ましくは90〜98重量%である。かかる(A)の含有割合が少なすぎると、EVOHが連続相を形成せずガスバリア性が低下する傾向にあり、逆に多すぎると本発明の特徴であるガスバリア性改善作用が十分に得られない傾向がある。
(水膨潤性層状無機化合物(B)の説明)
次に、本発明で用いられる水膨潤性層状無機化合物(B)について説明する。
本発明に用いられる水膨潤性層状無機化合物(B)とは、フィロケイ酸塩などの膨潤性粘土鉱物として公知のものであり、単位結晶層が互いに積み重なった層状構造をしており、単位結晶層同士の結合が比較的弱いため、水によって単位結晶層間が膨潤し、単位結晶層が剥離されることが可能になる化合物を意味する。(B)は天然品であっても合成品であってもよい。天然品としては、ケイ素やアルミニウムのイオンに酸素イオンが配位してできる四面体シートと、アルミニウム、マグネシウムまたは鉄のイオンに酸素または水酸化物のイオンが配位してできる八面体シートに基づく繰り返し単位により層状構造を形成した無機化合物のうち、負に帯電した無機化合物の層の間に陽イオン(例えば、H+、Na+、Ca2+、Mg2+、など)が介在することで層間結合して積層構造を形成した水膨潤性を有する層状無機化合物であれば特に制限されることなく用いることが出来る。また合成品としては、フッ素金雲母の層間陽イオンのKをNaやLiに置き換えて同時に四面体中の陽イオンをSiのみにする方法で得られた水膨潤性を有する層状無機化合物を用いてもよい。
例えば具体的には、天然品としてモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類やバーミキュライト類、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物類、合成マイカ等の粘土鉱物が挙げられる。水に対する膨潤性から、好ましくはスメクタイト類であり、特に好ましくはモンモリロナイトである。殊に、モンモリロナイトの層間陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カルシウムイオンが挙げられるが、中でも水に対する膨潤性に優れるナトリウムイオン型が好適である。なお、これら水膨潤性層状無機化合物の代表例であるフィロケイ酸塩をEVOHに配合すること自体は公知である。
なお、水膨潤性層状無機化合物(B)の水に対する膨潤力は日本ベントナイト工業会標準試験法(容積法)によって評価でき、かかる値が通常40ml/2g以上、特には50ml/2g以上であるものが好ましく用いられ、膨潤力が小さすぎると層状無機化合物の剥離性が低くなり十分なガスバリア性改善作用が得られず好ましくない。
さらに、かかる水膨潤性層状無機化合物(B)はカチオン交換容量が通常100meq/100g以上、好ましくは100〜130meq/100g、特に好ましくは105〜120meq/100gであるとき、本発明の作用効果がより顕著に得られ好ましい。かかる容量が少なすぎる場合には水膨潤性が低下する傾向があり、多すぎる場合には層間結合力が強くなり層状無機化合物の剥離性が低下する傾向がある。
また、本発明で用いる水膨潤性層状無機化合物(B)としてはアスペクト比が大きいものが好ましく、通常50以上、さらには100以上、特には200以上のものが好適に用いられ、通常、そのサイズは一次粒子径として20〜2000nmのものが使用される。
さらに、かかる水膨潤性層状無機化合物(B)は有機化処理を施したものであってもよく、かかる有機化処理の方法としては、4級アンモニウム塩などのオニウムイオン基を有する化合物を水膨潤性層状無機化合物(B)と混合する方法が挙げられる。
(EVOH複合体の説明)
本発明のEVOH複合体におけるEVOH(A)中に分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の分散状態は、成形および/または乾燥後の成形物を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより確認することができる。本発明における粒子の長径とは、EVOH複合体フィルムを作製した後、MD方向から観察したTEM画像について画像処理を施して抽出された分散粒子形状を楕円体に近似処理した際の、楕円の長軸の長さを示し、短径とは、同様に処理した際の短軸の長さを示す。
また、本発明のEVOH複合体におけるEVOH(A)中に分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の分散形態は、成形および/または乾燥後の成形物を、TEM観察で得られた画像について画像処理を行い、抽出された各々の分散粒子について、分散粒子の個数、長径、短径、アスペクト比(長径/短径)、配向性(粒子の分散角度方向)などの各成分を計測することにより確認することができる。
本発明のEVOH複合体における、EVOH(A)中に分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の短粒子成分割合、すなわち、長径が0.2μm未満である分散粒子の割合は、計測された分散粒子の総数に対して5〜50%、好ましくは10〜45%、特に好ましくは15〜40%である。かかる割合が少なすぎた場合にはフィルム脆性が増してクラックが発生し易くなる傾向があり、多すぎた場合には十分なガスバリア性改善作用が得られない傾向がある。
本発明のEVOH複合体における、EVOH(A)中に分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の長粒子成分割合、すなわち、長径が0.5μm以上である分散粒子の割合は、計測された分散粒子の総数に対して20〜50%、好ましくは25〜45%、特に好ましくは27.5〜40%である。かかる割合が少なすぎた場合には十分なガスバリア性やフィルム剛性改善作用が得られない傾向があり、多すぎた場合にはフィルム脆性が増してクラックが発生し易くなる傾向がある。
本発明の効果は、水膨潤性層状無機化合物(B)の短粒子と長粒子が上記の割合にて存在するときに得られる。このとき、本発明のEVOH複合体における、長粒子成分と短粒子成分の中間径を有する粒子成分は、必ずしも必要な成分ではないが、通常は、計測された分散粒子の総数に対して75%以下の割合で存在するものである。なお、中間径を有する粒子成分は、好ましくは30〜70%である。
また、さらなるガスバリア性改善作用を得るためには、長径が1μm以上である高表面積を有する分散粒子が3%以上、好ましくは5%以上の割合で含まれていることがより効果的で好ましい。
分散粒子の平均長径は、通常0.2〜2μmであることが好ましい。かかる平均長径が小さすぎた場合にはガスバリア性改善作用が得られず、大きすぎた場合には樹脂複合体が脆くなり、フィルム脆性が増してクラックが発生し易くなる傾向がある。
また、分散粒子の平均短径は、通常0.001〜0.3μmであることが好ましい。かかる平均短径が小さすぎた場合にはフィルム脆性が増してクラックが発生し易くなる傾向があり、大きすぎた場合には十分なガスバリア性改善作用が得られない傾向がある。
また、かかる水膨潤性層状無機化合物(B)の平均アスペクト比は、通常2〜20、好ましくは2.5〜15、特に好ましくは3〜10のものが好適に用いられる。
さらに、分散粒子の配向状態としては分散粒子が同一方向に並んでいることが好ましい。これは、各粒子の長軸角度の平均値(TEM画像の横軸を基準軸として計測し、平均値を算出した値)に最も近い角度の粒子を基準粒子とし、かかる基準粒子の長軸を基準軸とした場合に、長軸の角度が30度未満である分散粒子が90%以上存在した状態が好ましい。かかる粒子が少なすぎた場合には、十分なガスバリア性改善作用が得られない傾向がある。
本発明のEVOH複合体における水膨潤性層状無機化合物(B)の含有量は、EVOH複合体の総重量に対して通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜7重量%である。かかる(B)の含有割合が少なすぎると十分なガスバリア性改善作用が得られず、逆に多すぎると複合体の溶融粘度が上昇して溶融成形性が低下する傾向がある。
本発明のEVOH複合体におけるEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)の比率は特に限定されないが、(A)/(B)として重量比にて通常85/15〜99.5/0.5、好ましくは90/10〜99/1、特には93/7〜98/2であることが好ましく、かかる比が小さすぎると複合体の溶融粘度が上昇して溶融成形性が低下する傾向があり、逆に多すぎると十分なガスバリア性改善作用が得られないという傾向がある。
(製造法、(A1)成分と(B)成分の混合)
次に、本発明のEVOH複合体の製造法について説明する。
本発明のEVOH複合体の製造法は基本的には、従来法でも可能であるが、本発明で規定する特定の粒子割合とするためには、例えば、(I)比較的含水量の多い状態でEVOH(A1)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合し、得られた混合物(以下、組成物(C)と称す)を次いでEVOH(A2)と混合するという、二段階の混合過程を経て製造する方法により、本発明の物性のものを効果的に得ることが出来る。また、(II)一段階の混合にて、EVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合する場合でも、混合条件を工夫することによって得ることが出来る。かかる混合方式としては特に限定されないが、均一な混合が可能であり、かつ生産性に優れる点で、溶融混合が好ましい。
一般的には、生産性の観点から、前記(II)の一段階にて製造する方法が好ましいと考えられるが、本願では、このように通常採用されない(I)の二段階にて製造する方法が好ましい。
さらには、含水率50%以上の高含水エチレン−ビニルアルコール共重合体(A1)に水膨潤性層状無機化合物(B)を配合して溶融混練し、次いで得られた組成物(C)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(A2)とを混合する方法が最も好ましい。
このような二段階の製造工程を経る方法において、EVOH(A1)およびEVOH(A2)は前記したEVOH(A)と同様のEVOHを使用することができ、また、EVOH(A1)およびEVOH(A2)は、エチレン含有率、ケン化度、変性基の種類、変性基の含有量、およびMFR値がそれぞれ同じものを使用することもできるし、異なるものを使用することもできる。
溶融混合装置に導入する際のEVOH(A1)の状態は、特に限定するものではないが、比較的高含水状態のEVOHであることが好ましい。このときの含水率は通常50重量%以上、好ましくは55〜70重量%である。かかる含水率が少なすぎた場合には、EVOH(A1)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合した際のトルクが高くなり、水膨潤性層状無機化合物が破砕されすぎる傾向がある。また、かかる含水率が多すぎた場合には、EVOH表面の水分付着量が多く、混合する際のフィード性が悪くなり生産性が低下する傾向がある。また、EVOH(A1)はエチレン含有量が20〜60モル%である。
(含水率算出法)
なお、本発明におけるEVOHの含水率は以下の方法により測定・算出されるものである。〔含水率の測定方法〕
EVOHを電子天秤にて秤量(W1)し、150℃の熱風乾燥機中で5時間乾燥させ、
デシケーター中で30分間放冷後の重量を秤量(W2)し、下記式より算出する。
含水率(重量%)=[(W1−W2)/W1]×100
(含水法、含水率調整法)
EVOH(A)に水を含有させ、かかる含水率を調整する方法としては、特に制限されないが、EVOH中に水を均一に含有させるような方法を採用することが好ましく、かかる方法としては、(i)EVOHのアルコール/水混合溶剤溶液を水中に投入し、EVOH粒子を析出させ、濾別後充分に水洗してアルコールを除去し水を含有させる方法、(ii)EVOHを加圧熱水中で1〜3時間程度処理する方法、(iii)EVOHの製造
時においてエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化後のペーストを水中に導入してストランド等の固形状に析出させて水を含有させる方法等が挙げられ、これらの中でも(iii)
の方法が好ましく用いられる。なお、EVOH粒子やペレットと水とを直接混合してもよいが、EVOH中に水が均一に含まれるように温度や攪拌等の混合条件に留意する必要がある。
かかる含水EVOHを得る(iii)の方法について詳細に説明する。EVOHは公知の
通りエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであるが、かかるケン化反応は、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解し、公知のアルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して通常40〜140℃の温度で反応せしめる。該溶液温度において反応後のEVOHが析出しない様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はないが、その濃度は通常10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%となるようにすれば良い。
次に上記で得られたEVOHのアルコール溶液はそのままでもよいが、好ましくは、直接水を加えるか、該EVOH溶液を適宜濃縮あるいは希釈してから水を加えてストランド製造用の溶液に調整される。該水溶液の場合には水/アルコールの混合重量比が通常80/20〜5/95の範囲で、かつアルコールの含有量α(重量%)が、通常2.55E−40.75≦α≦2.55E−15.75なる関係(ここで、EはEVOHのエチレン含有量(モル%)である)を満足させることが溶液の安定性の点で好ましく、溶液中に含有されるEVOHの量としては、通常20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%が後続の凝固作業の安定性の点で好ましい。
次に、上記で得られたEVOH溶液をストランド状に押し出してペレット化するのであるが、この時点で、公知の滑剤、無機酸、有機酸、無機塩、有機塩、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤等を配合しても良い。
析出させる凝固液としては水又は水/アルコール混合溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化
水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル等が用いられるが、取り扱いの容易な点で水又は水/アルコール混合溶媒が好ましい。該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜4のアルコールが用いられるが、工業上好ましくはメタノールが用いられる。
凝固液中の凝固液とEVOHのストランドとの重量比(凝固液/EVOHのストランド)としては、通常50〜10000であり、好ましくは100〜1000である。該範囲の重量比にすることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを得ることが可能となる。
更に該凝固液中に、カルボン酸および/またはカルボン酸金属塩および/またはカルボン酸エステルを含有させることも好ましい。
EVOH溶液を凝固液と接触させる温度は、析出性の点で通常−10〜40℃が好ましく、好ましくは0〜20℃で、特に好ましくは0〜10℃である。EVOH溶液は任意の形状を有するノズルにより、上記の如き凝固液中にストランド状に押出される。かかるノズルの形状としては、特に限定されないが、円筒形状が工業的に好ましく、その長さは通常1〜100cm、好ましくは3〜30cmで、内径は通常0.1〜10cm、好ましくは0.2〜5.0cmである。かくしてノズルよりEVOH(溶液)がストランド状に押し出されるのであるが、ストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押し出し可能である。
次いで、ストランド状に押し出されたEVOHは凝固が充分進んでから切断され、ペレット化されその後水洗される。かかるペレットの形状は、円柱状の場合は径が1〜10mm、長さ1〜10mmのもの(更にはそれぞれ2〜6mmのもの)が、又球状の場合は径が1〜10mmのもの(更には2〜6mmのもの)が溶融混練の安定性の点で好ましい。
上記水洗条件としては、該ペレットを通常10〜40℃、好ましくは20〜40℃の水槽中で水洗する。かかる水洗処理により、EVOH中のオリゴマーや不純物、溶剤等が除去される。さらに該水洗処理に続いて、または該水洗処理の代わりに、種々の酸や金属塩を含む水溶液中で処理して、EVOH中に酸や金属塩を含有させることも、乾燥後のEVOHの色調、熱安定性、ロングラン成形性、積層体としたときの接着性樹脂との層間接着性、加熱延伸成形性等が改善される点で好ましく、かかる酸成分としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や硫酸、亜硫酸、炭酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸が挙げられ、金属塩としては上記酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩が挙げられ、特に酢酸、リン酸、ホウ酸やそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩がその効果に優れる点で好ましく用いられる。
以上の方法により、含水率が50%以上の含水EVOHが得られるのであるが、乾燥処理前のEVOHの含水率の調製等、必要に応じて公知の乾燥処理(熱風乾燥、誘電加熱乾燥、マイクロ波照射乾燥等)や含水ペレットの表面付着水除去操作を事前に行うことも、溶融混練の安定性の点で好ましい。
(溶融混合に用いる機械)
かくして得られた含水EVOH(A1)および水膨潤性層状無機化合物(B)を溶融混合するわけであるが、かかる溶融混合は公知の溶融混練装置を用いて混合すればよい。用いる装置・方法等に特に制限はなく、例えば押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダーなどの公知の混練(混合)装置を使用して行う公知の方法を用いることができる。これらの混練装置は単独で使用してもよいが、2種類以上の装置を組み合わせて使用してもよい。また、用いる装置は、EVOH(A1)及び水膨潤性層状無機化合物(B)の種類、性質、形状等によって適宜選択すればよく、通常は工業的に広く用いられている単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等が好適に用いられる。この中でも、混合の均一性及び安定性に優れる二軸押出機が最も好適に用いられる。
以下、本発明に用いる二軸押出機について説明する。かかる押出機は公知のものであり、特に限定されるものではないが、例えば具体的に例示する場合、二軸押出機のバレルの内径は通常10mm以上、好ましくは15mm〜150mmである。かかる内径が小さすぎた場合には十分な生産性が得られない傾向がある。さらに、L/Dは通常10〜80であり、かかる数値が小さすぎた場合には(A1)成分と(B)成分の混合能力が不足する傾向があり、大きすぎた場合には混練時間が増加することで水膨潤性層状無機化合物が破砕されて目的の樹脂が得られない傾向がある。
さらに、二軸押出機のスクリュー構成に関しては特に限定はされないが、バレルの内径が20mm以上の場合には、含水状態のEVOHを固体状態から溶融状態にするために少なくとも1つ以上の混練部を構成することが好ましい。また、スクリューの回転数に関しても特に限定はされないが、通常10〜400rpm、好ましくは30〜300rpmであり、かかる値が小さすぎた場合には(A1)成分と(B)成分の混合能力が不足する傾向があり、大きすぎた場合には、せん断発熱が発生するために発泡によってストランドが切れて生産性が低下する傾向や、混合系内の水分量が低下して混合した際のトルクが高くなり水膨潤性層状無機化合物が破砕され目的の樹脂が得られない傾向がある。また、押出機内での滞留時間は、通常10〜600秒、好ましくは10〜300秒であり、かかる数値が小さすぎた場合には(A1)成分と(B)成分の混合能力が不足する傾向があり、大きすぎた場合には、混合系内の水分量が低下して混合した際のトルクが高くなり水膨潤性層状無機化合物が破砕され目的の樹脂が得られない傾向がある。
また、ベントに関しても特に限定するものではないが、加工時の水蒸気揮発を抑制するためにベント口を閉じて加工することが好ましい。さらに、サイドフィーダーとしては、(B)成分を粉状、フレーク状で供給する場合には、スクリューフィーダー(単軸或いは二軸)等を押出機に設置すればよい。また、(B)成分を水分散液状態にして供給する場合には、液体添加用キアポンプ或いはプランジャーポンプ等を押出機に設置すればよい。サイドフィーダーの設置場所としては、特に限定はされないが、混合時の水膨潤性層状無機化合物の破砕を抑制する点から含水状態のEVOHを溶融状態にする1番目の混練部以後に設置することが好適である。また、混練時に固形分から分離して発生する水分(液体)を除去する目的で、スリットバレル、排液口、排液ポンプ等の排気及び/又は排液手段を備えてもよい。
上記溶融混練の際の温度はとくに限定されないが、ホッパー下部からダイ部分が通常100℃未満であり、好ましくはホッパー下部が50〜80℃、バレル部、ダイ部は80から100℃である。ホッパー下部からダイ部分の温度が高すぎた場合には発泡によってストランドが切れて生産性が低下する傾向や、混合系内の水分量が低下して混合した際のトルクが高くなり水膨潤性層状無機化合物が破砕され目的の複合体が得られない傾向があり、ホッパー下部の温度が高すぎた場合には、試料投入部で含水状態のEVOHペレットが互いに融着し、ブロッキングが発生して生産性が低下する傾向がある
上記溶融混練の際の樹脂温度は、通常80℃〜105℃、好ましくは90℃〜100℃である。かかる温度が高すぎた場合には、発泡によってストランドが切れて生産性が低下する傾向や、混合系内の水分量が低下して混合した際のトルクが高くなり水膨潤性層状無機化合物が破砕され目的の樹脂が得られない傾向があり、低すぎた場合には含水状態であるEVOHの融着性が低下することでストランド切れが発生して生産性が低下する傾向がある。なお、加工時の樹脂温度は、ダイ部分に樹脂温度計を設置することにより計測することができる。
(混合手法)
含水状態のEVOH(A1)及び水膨潤性層状無機化合物(B)を二軸押出機に供給するにあたっては、特に制限はなく、(1)含水状態のEVOH(A1)と固体状態[粉状、フレーク状]の水膨潤性層状無機化合物(B)を一括に該押出機のホッパーに投入する方法、(2)含水状態のEVOH(A1)を押出機のホッパーから投入し、固体状態である(B)を該押出機のバレルの一部から供給する(サイドフィード)方法、(3)含水状態のEVOH(A1)と(B)を予め水に分散させた分散液を一括に該押出機のホッパーに投入する方法、(4)含水状態のEVOH(A1)を押出機のホッパーから投入し、(B)を予め水に分散させた分散液を該押出機のバレルの一部から供給する(サイドフィード)方法等を挙げることができる。(B)の配合量の増量が容易にできることから、(1)及び(2)の方法が好適であり、さらに、ホッパー投入部でのブロッキング現象を抑制して製造時のハンドリング性が良好であることから(2)の方法が最も好適である。
かくして含水状態のEVOH(A1)と水膨潤性層状無機化合物(B)が混合された組成物(C)が押出機から吐出して得られる。かかる組成物(C)の形状は特に限定するものではないが、取り扱い性からペレット形状にすることが好ましい。ペレット化の方法としては、特に限定はされず、(1)ストランド状態で吐出して冷却固化(水などの凝固浴内に接触させる、或いはベルト上に運搬して空冷)させた後にペレタイザーを用いてカッティングする方法、(2)樹脂が溶融した状態で大気中或いは水中下においてカッティングする方法などが挙げられる。
(混練終了直後の組成物(C)の含水量説明)
上記押出機から吐出直後の組成物(C)の含水率は通常40重量%以上70重量%未満であり、好ましくは45〜65重量%、特に好ましくは50〜60重量%である。かかる含水率が少なすぎた場合には、(A1)成分と(B)成分の混合時にトルクが高くなり水膨潤性層状無機化合物が破砕され、本発明のEVOH複合体が得られにくい傾向があり、多すぎた場合には混合時に固形分成分と水が分離しやすく不均一な混合状態となり、EVOH複合体のフィルム外観の悪化やストランド切れによる加工性低下を生じる傾向がある。
(組成物(C)の説明)
かかる組成物(C)における水膨潤性層状無機化合物(B)の量は、含水率0.3重量%の状態で組成物(C)の総重量に対して通常10〜50重量%、好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは17〜30重量%である。かかる(B)成分の配合量が少なすぎた場合、混合時に樹脂成分と水が分離しやすく不均一な混合状態となり、EVOH複合体のフィルム外観の悪化やストランド切れによる加工性低下を生じる傾向があり、多すぎた場合には得られた組成物(C)をEVOH(A2)と混合して本発明のEVOH複合体を得る際に、水膨潤性層状無機化合物(B)の分散状態が不十分となりフィルム外観が悪化する傾向がある。
かかる組成物(C)におけるEVOH(A)の含有量は、EVOH複合体の総重量に対して通常50〜90重量%、好ましくは60〜85重量%、特に好ましくは70〜83重量%である。かかる(A)の含有割合が少なすぎると本発明のEVOH複合体のガスバリア性が低下する恐れがあり、逆に多すぎると混合時に樹脂成分と水が分離しやすく不均一な混合状態となり、EVOH複合体のフィルム外観の悪化やストランド切れによる加工性低下を生じる傾向がある。
また、組成物(C)におけるEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)の比率は、含水率0.3重量%の状態で(A)/(B)として重量比にて通常50/50〜90/10、好ましくは60/40〜85/15、特には70/30〜83/17であることが好ましい。
((C)成分と(A2)成分との混合)
次いで、上記のようにして得た組成物(C)をEVOH(A2)とを混合し、本発明のEVOH複合体を得る。
このとき、組成物(C)とEVOH(A2)との割合は、(C)/(A2)として重量比にて通常1/99〜60/40、好ましくは5/95〜50/50、特に好ましくは10/90〜40/60である。
かかるEVOH(A2)の含水率は、特に限定はされないが、通常0.5%未満、好ましくは0.3%未満である。かかる含水率が多すぎた場合には、試料投入部において、EVOHが融着してブロッキングが発生して生産性が低下する傾向があり、さらに吐出後の含水率が増加する傾向がある。
また、得られるEVOH複合体から得られるフィルム外観特性をさらに向上させるためには、組成物(C)とEVOH(A2)を混合する際の組成物(C)の含水率が、通常5重量%以上60重量%未満、好ましくは10重量%以上60重量%未満、特に好ましくは20重量%以上50重量%未満、殊に好ましくは30重量%以上50重量%未満である。かかる含水率が少なすぎた場合、組成物(C)の流動性が悪くEVOH(A2)内で均一に拡散することができず、残存した組成物(C)の核が原因でEVOH複合体をフィルム成形した際にフィッシュアイが発生する恐れがある。また、公知の乾燥機等を用いて組成物(C)に含まれる多量の水分を5重量%未満までに水分除去するには、多量の熱エネルギー及び乾燥時間が必要となるため、乾燥効率および生産性が低下する傾向がある。かかる含水率が多すぎた場合、押出機からの熱によって組成物(C)同士が融着してブロッキングが発生して安定供給することが困難になる傾向がある。
組成物(C)をEVOH(A2)と混合する方法としては、(1)組成物(C)を予め乾燥処理して含水率を40重量%未満に調整した組成物(C)とEVOH(A2)とを溶融混練装置にて混合する方法、(2)含水率40重量%以上の組成物(C)とEVOH(A2)とを溶融混練装置にて混合しながら混練と同時に水分を乾燥する方法、(3)含水状態のEVOH(A1)と(B)成分を設定温度100℃以上にした溶融混練装置にて混合し、混練と同時に水分を乾燥させた含水率40重量%未満の組成物(C)とEVOH(A2)とを溶融混練装置にて混合する方法が挙げられる。中でも、溶融混合時の水膨潤性層状無機化合物の過剰な破砕を軽減してガスバリア性能の低下を抑制する点では、(1)または(2)の方法で作製することが好ましい。
装置への各成分の供給法に関しても特に限定するものではなく、(1)組成物(C)とEVOH(A2)を一括に該押出機のホッパーに投入する方法、(2)EVOH(A2)を押出機のホッパーから投入し、組成物(C)を該押出機のバレルの一部から供給する(サイドフィード)方法、(3)組成物(C)を押出機のホッパーから投入し、EVOH(A2)を該押出機のバレルの一部から供給する(サイドフィード)方法等を挙げることができる。混合時の水膨潤性層状無機化合物の過剰な破砕を抑制する点からは、(1)(2)の方法が好ましい。
かかる混合には、上述した(A1)成分と(B)成分との混合時と同じく、通常、二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機のバレルの内径、L/D、スクリュー構成、スクリューの回転数、押出機内での滞留時間、ベントやサイドフィーダーに関しても特に限定するものではなく、上述した(A1)成分と(B)成分との混合時と同様のものを使用することが出来る。
このとき、組成物(C)またはEVOH(A2)をサイドフィーダーで供給する場合には、スクリューフィーダー(単軸或いは二軸)等を押出機に設置すればよい。サイドフィーダーの設置場所としては、特に限定はされないが、混合時の水膨潤性層状無機化合物の破砕を抑制する点からEVOHを溶融状態にする1番目の混練部以後に設置することが好適である。
上記溶融混練の際の温度はとくに限定されないが、通常ホッパー下部からダイ部分が150〜250℃であり、好ましくは160〜240℃、特に好ましくは180〜230℃である。かかる温度が低すぎた場合には樹脂が未溶融状態となり加工状態が不安定になる傾向があり、高すぎた場合には、熱劣化によってEVOH複合体の品質が低下する傾向がある。
また、吐出後のEVOH複合体の含水率を低減させる目的で、溶融混練中に水分が少なくとも1箇所以上のベントから除去されるようにすることが好ましく、特には真空ポンプ
等を用いて減圧吸引することが乾燥効率とEVOH樹脂の熱劣化抑制の点で好ましい。
また、かくして得られたEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を含有する本発明のEVOH複合体には、本発明の目的を阻害しない範囲において、原材料の混合時又は混練時もしくは成形時に、従来公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、顔料、着色剤、天然繊維、各種無機粒子、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、香料、滑剤、架橋(加硫)剤、架橋(加硫)促進剤、結晶核剤、結晶化促進剤、難燃剤、発泡剤、軟化剤、防腐剤、抗菌・抗力ビ剤等の各種添加剤を配合しても良い。
(乾燥方法)
かくして得られた本発明のEVOH複合体は必要に応じて、成形前に乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては種々の方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOHが機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOH複合体が撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、通常40〜150℃である。また、減圧状態で乾燥を行うことも、より低温あるいはより短時間で乾燥でき、EVOH複合体の熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOH複合体の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜200時間程度が生産性とEVOH複合体の熱劣化防止の点で好ましい。
上記の条件でEVOH複合体が乾燥処理されるのであるが、該乾燥処理後の含水率は通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重
量部であり、該含水率が少なすぎた場合には成形時のロングラン成形性が低下する傾向にあり、多すぎた場合には押出成形時に発泡が発生する傾向がある。
(成形)
本発明のEVOH複合体は、通常、溶融成形等によりフィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種成形品等に成形され、各種用途に用いられる。また、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)を用いて再び溶融成形に供することもできる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
また、本発明のEVOH複合体は、単体の成形物として用いることができるが、特に該EVOH複合体を含む層を少なくとも1層有する積層体として各種成形物に成形して用いることが有用である。
(積層体)
該積層体の製造方法としては、例えば本発明のEVOH複合体からなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該EVOH複合体を溶融押出する方法、該EVOH複合体と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には該EVOH複合体からなるフィルムやシートと他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。また、本発明の製造法で得られたEVOH複合体は、共押出成形に供することも好ましい。
共押出の場合の相手側樹脂としては公知の熱可塑性樹脂、たとえばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族及び脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂が用いられる。
かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものやこれらのブレンド物等を挙げることができ、なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマーが、得られる積層包装材の耐屈曲疲労性、耐振動疲労性等に優れる点で好ましい。
積層体の層構成は、本発明のEVOH複合体からなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b1/b2/a/b3/b4、a1/b1/a2/b2等任意の組み合わせが可能である。また、繊維やフィラメント状にする場合も同様の樹脂を用いることができ、a、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。
尚、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができる。かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することができ、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができる。
具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種又は2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、オレフィン系重合体に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。
またこれらの接着性樹脂には、本発明の製造法で得られたEVOH複合体や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、更にはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。積層体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は5〜500μm(更には10〜200μm)、b層は5〜5000μm(更には30〜1000μm)、接着性樹脂層は5〜400μm(更には10〜150μm)程度の範囲から選択される。a層が薄すぎた場合はガスバリア性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に厚すぎた場合耐屈曲疲労性が劣り、かつ経済的でなく好ましくなく、またb層が薄すぎた場合は剛性が不足し、逆に厚すぎた場合は耐屈曲疲労性が劣り、かつ重量が大きくなり好ましくなく、接着性樹脂層が薄すぎた場合では層間接着性が不足し、またその厚み制御が不安定となり、逆に厚すぎた場合は重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくない。また、積層体の各層には、成形加工性や諸物性の向上のために、前述の各種添加剤や改質剤、充填材、他樹脂等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
更に該積層体の物性を改善するためには延伸処理を施すことも好ましい。かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラ、デラミ等の生じない延伸フィルムや延伸シート、延伸容器、延伸ボトル等の成形物が得られる。延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は通常60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
延伸が終了した後、次いで熱固定を行うことも好ましい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら例えば通常80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。また、生肉、加工肉、チーズ等の熱収縮包装用途に用いる場合には、延伸後の熱固定は行わずに製品フィルムとし、上記の生肉、加工肉、チーズ等を該フィルムに収納した後、通常50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、通常2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて密着包装をする。
該積層体は、そのまま各種形状のものに使用することができる。積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。また、多層シートや多層フィルムからカップやトレイ状の多層容器を得る場合は、絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げられる。更に多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)などが挙げられる。得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
上記の如く得られたカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や延伸フィルムからなる袋や蓋材は一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
(含水EVOH(A1’)の作製)
エチレン含有量29モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を40%含むメタノール溶液1000部に、水酸化ナトリウムを6%含むメタノール溶液40部およびメタノール2500部を連続的に供給すると共に副生する酢酸メチルおよび余分のメタノールを系から留出させながら、110℃で2.5時間ケン化反応を行い、酢酸ビニル成分のケン化度99.0モル%のEVOHを得た。次に該ケン化反応終了液に、30%含水メタノール450部を共沸点下で供給しながら余分のメタノールを留去させ、EVOHの水/メタノール混合溶液[水/メタノール=50/50(重量比)、樹脂濃度40%]を得た。続いて該EVOH溶液(液温50℃)を孔径4mmのノズルより5℃に維持された凝固液(水95%、メタノール5%よりなる)槽にストランド状に押し出して、EVOHをストランド状に凝固させた後、該ストランド状のEVOHを水槽の端部に付設された引き取りローラーに導き、カッターで切断し、直径4mm、長さ4mmの白色の多孔性ペレット(樹脂分30%、含水率25%、メタノール含有量45%)を得た。更に、得られた白色の多孔性ペレットを、30℃の温水1000部に投入して、約240分間撹拌洗浄して、含水率60%のEVOH(A1’)ペレットを得た。
実施例1
EVOH(A1)として、含水率60%のEVOH(A1’)を用い、水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト〔『クニピアF』膨潤力62ml/2g、カチオン交換容量109meq/100g、アスペクト比320、クニミネ鉱業製〕を二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60 テクノベル社製KZW15−60MG)に供給して溶融混合を行った。この際、含水率60%のEVOH(A1’)はホッパー部より供給、水膨潤性層状無機化合物(B)はKZW15用2軸サイドフィーダー(C3位置に設置)より供給した。
〔混合条件〕
(A1’)供給量 1.2kg/時間
(EVOH成分として0.48kg/時間)
(B)供給量 0.12kg/時間
スクリュー構成 フルフライト構成
スクリュー回転数 200rpm
ダイス ストランドダイ(径3mmφ:1穴)
ベント すべて閉
温度設定 C1 65℃ C7 90℃
C2 90℃ C8 90℃
C3 90℃ D 90℃
C4 90℃
C5 90℃
C6 90℃
モータートルク 4.8Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイから混合物をストランド状に押出して、ペレタイザーを用いてカッティングして組成物(C)のペレット(含水率56%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。次いで、得られたペレットを80℃雰囲気下で7日間真空乾燥を行って含水率0.5%のペレットを得た。
(組成物(C)とEVOH(A2’)の混合)
次に、組成物(C)と、EVOH(A2)として、含水率0.3%のEVOH(A2’)〔エチレン含有量29モル%、ケン化度99.5モル%、MFR(210℃)8g/10分〕を重量比として(C)/(A2’)=25/75の割合で混合した後、二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60 テクノベル社製KZW15−60MG)のホッパー部に供給して溶融混合を行った。
〔(C)/(A2’)混合条件〕
(C)/(A2’)供給量 1.5kg/時間
スクリュー構成 フルフライト構成
スクリュー回転数 200rpm
ダイス ストランドダイ(径3mmφ:1穴)
ベント C7部のみ開放、その他は閉
温度設定 C1 200℃ C7 220℃
C2 220℃ C8 220℃
C3 220℃ D 220℃
C4 220℃
C5 220℃
C6 220℃
モータートルク 9.2Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイから混合物をストランド状に押出して、ペレタイザーを用いてカッティングしてEVOH複合体のペレット(含水率0.3%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。
得られたペレットを白金容器に入れて電子天秤にてフィルム重量を秤量(Wa:単位g)した後、700℃に維持された電気炉内に1.5時間入れてEVOH成分を焼却させた後、さらに炉から取り出してデシケーター内で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(Wb)して、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量を以下の(1)式から算出した結果、5.0重量部であった。
水膨潤性層状無機化合物量(重量部)={Wb/(Wa―Wb)}×100 …(1)
(EVOH複合体の単層フィルム作製)
上記で得られた本発明のEVOH複合体のペレットを、Tダイを取り付けた二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60 テクノベル社製KZW15−60MG)に供給して単層フィルム(膜厚30μm)を作製した。
〔EVOH複合体の単層フィルム成形条件〕
EVOH複合体供給量 1.7kg/時間
スクリュー構成 フルフライト構成
スクリュー回転数 200rpm
ダイス Tダイ(コートハンガータイプ、ダイ巾250mm)
ベント C7部のみ開放、その他は閉
温度設定 C1 200℃ D1 220℃
C2 220℃ D2 220℃
C3 220℃ D3 220℃
C4 220℃ D4 220℃
C5 220℃ D5 220℃
C6 220℃
C7 220℃
C8 220℃
冷却ロール温度 90℃
引き取り速度 3m/min
エアギャップ 25mm
上記で得られたフィルムについて、以下の評価を行った。
[I]水膨潤性層状無機化合物の分散形態解析
(a)透過型電子顕微鏡観察
透過型電子顕微鏡装置[日本電子製『JEM−1010』]を用いて、水膨潤性層状無機化合物の分散形態を観察した。
観察部位:フィルムのMD方向断面(Edge面)
前処理:エポキシ樹脂で包埋後、ウルトラミクロトームで超薄切片を作成
染色方法:四酸化ルテニウムで染色
写真倍率:10000倍
(b)分散形態解析
得られたTEM画像について、ImagePrpPlus(日本ローバー社製)を用いてバックグラウンド処理、二値化処理を行って抽出された分散粒子形状を楕円体に近似して長軸、単軸を決定した。その後、TEM写真内に含まれる分散粒子の個数と各分散粒子における粒子長径(長軸上のフィラー長さ)、粒子短径(単軸上のフィラー長さ)アスペクト比(粒子長径/粒子短径)、長軸の角度(TEM画像の横軸を基準軸に設定)をそれぞれ計測した。
上記で得られた計測値を用いて以下の数値成分を算出した。結果を表1に示す。
(b−1)低粒子成分割合:X
以下に示した式(2)より算出した。
X(%)=(長径0.2μm未満の分散粒子数)/(全分散粒子数)×100…(2)
(b−2)長粒子成分割合:Y
以下に示した式(3)より算出した。
Y(%)=(長径0.5μm以上の分散粒子数)/(全分散粒子数)×100…(3)
(b−3)高表面積を有する分散粒子の割合:Z
以下に示した式(4)より算出した。
Z(%)=(長径1μm以上の分散粒子数)/(全分散粒子数)×100 …(4)
(b−4)分散粒子の平均長径:Ll
以下に示した式(5)より算出した。
Ll(μm)=(各分散粒子の長径の和)/(全分散粒子数) …(5)
(b−5)分散粒子の平均短径:Ls
以下に示した式(6)より算出した。
Ls(μm)=(各分散粒子の短径の和)/(全分散粒子数) …(6)
(b−6)分散粒子の平均アスペクト比:α
以下に示した式(7)より算出した。
α=(分散粒子の平均長径)/(分散粒子の平均短径) …(7)
(b−7)分散粒子の配向性:D
各粒子の長軸角度の平均値(TEM画像の横軸を基準軸として計測し、平均値を算出した値)に最も近い角度の粒子を基準粒子とし、かかる基準粒子の長軸を基準軸とした場合に、長軸の傾きが30度未満の角度をなす分散粒子の割合を、以下に示した式(8)より算出して、分散粒子の配向性指標とした。
D(%)=(各粒子の長軸角度平均値に最も近い角度を示す粒子成分に対して長軸の傾きが30度未満の角度をなす分散粒子数)/(全分散粒子数) …(8)
(II)酸素バリア性の評価
酸素透過度測定装置[MOCON社製『OXTRAN2/20』]を用いて、23℃・80%RHの条件下で酸素透過度を測定した。なお、テストガスとしては100%濃度の酸素ガスを使用した。結果を表2に示す。
(III)引張特性の評価
オートグラフ[島津製作所製『AGS−H 5kN』]を用いて、JIS K7161に準じてフィルムMD方向の引張特性について評価した。結果を表2に示す。
フィルム試料 23℃・50%RH調湿フィルム
試験片形状 JIS K7127−type5
引張速度 50mm/min
実施例2
実施例1において、含水率60%のEVOH(A1’)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合する際のスクリュー構成を強混練型スクリュー構成(C2部、C4部、C6部にニーディングディスクを配置)に変更した以外は同様に行った。この時、(A1’)(B)混合時のモータートルクは5.9Ampere、押出直後の組成物(C)の含水率は41%であった。なお、得られたEVOH複合体のペレットの含水率は0.3%、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0重量部であった。
実施例3
含水率60%のEVOH(A1’)と水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト〔『クニピアF』〕を二軸押出機(スクリュー径57mm、L/D=44 大阪精機工作製OTE−57−II)に供給して溶融混合を行った。この際、含水率60%のEVOH(A1’)はホッパー部より供給、水膨潤性層状無機化合物(B)は2軸サイドフィーダー(C5位置に設置)より供給した。
〔混合条件〕
(A1’)供給量 130kg/時間
(EVOH成分として52kg/時間)
(B)供給量 13kg/時間
スクリュー構成 通常混練型スクリュー
(C1〜C5間、C6〜C13間にニーディングディスクを配置)
スクリュー回転数 250rpm
ダイス ストランドダイ(径3.5mmφ:8穴)
ベント C8、C11部のみ開放、その他は閉
温度設定 C1 65℃ C9 95℃
C2 90℃ C10 95℃
C3 95℃ C11 95℃
C4 95℃ C12 95℃
C5 95℃ C13 95℃
C6 95℃ AD 95℃
C7 95℃ D 95℃
C8 95℃
モータートルク 54Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイから混合物をストランド状に押出して、ペレタイザーを用いてカッティングして組成物(C)のペレット(含水率46%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。次に、含水率46%の組成物(C)と含水率0.3%のEVOH(A2’)〔エチレンコンテント29モル%、ケン化度99.5モル%、MFR(210℃)8g/10分〕を二軸押出機(スクリュー径57mm、L/D=44 大阪精機工作製OTE−57−II)に供給して溶融混合を行った。EVOH(A2’)はホッパー部より供給、含水率46%の組成物(C)は2軸サイドフィーダー(C5位置に設置)より供給した。
〔(C)/(A2’)混合条件〕
(C)供給量 18.5kg/時間
(A2’)供給量 30kg/時間
スクリュー構成 通常混練型スクリュー
スクリュー回転数 80rpm
ダイス ストランドダイ(径3.5mmφ:8穴)
ベント C8を開放、C11部を真空吸引、その他は閉
温度設定 C1 200℃ C9 230℃
C2 230℃ C10 230℃
C3 230℃ C11 230℃
C4 230℃ C12 230℃
C5 230℃ C13 230℃
C6 230℃ AD 230℃
C7 230℃ D 230℃
C8 230℃
モータートルク 110Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイから混合物をストランド状に押出して、ペレタイザーを用いてカッティングしてEVOH複合体のペレット(含水率0.3%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。なお、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0重量部であった。
得られたEVOH複合体について、実施例1と同様の条件にて単層フィルム(膜厚30μm)を作製し、同様の評価とを行った。
また、外観特性評価用の単層フィルム(膜厚30μm)を作製して評価を行った。
〔外観評価用単層フィルム成形条件〕
押出機 40mmφ単軸押出機
スクリュー構成 フルフライト(圧縮比3.5)
スクリュー回転数 40rpm
スクリーンパック 90/120/90メッシュ
ダイス Tダイ(コートハンガータイプ、ダイ巾450mm)
温度設定 C1 210℃ H 230℃
C2 230℃ D 230℃
C3 230℃
C4 230℃
冷却ロール温度 90℃
引き取り速度 8.9m/min
エアギャップ 100mm
(IV)フィルム外観特性の評価
デジタル欠陥検査装置[MAMIYA−OP製『GX−70LT』]を用いて、10cm×10cm内におけるフィッシュアイ数を数値評価した。評価は、フィッシュアイ(小)[直径0.1mm以上0.19mm未満]、フィッシュアイ(大)[直径0.2mm以上]、の2種類に分類して計測した。
実施例4
実施例3において、含水率25%に調整した組成物(C)の供給量を13.5kg/時間に変更した以外は同様に行った。なお、含水率25%の組成物(C)は、押出機より得られた含水率46%の組成物(C)を流動乾燥機にて温度80℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて45分間乾燥を行ったものを用いた。得られたEVOH複合体のペレットの含水率は0.15%、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0%であった。
得られたEVOH複合体について、実施例3と同様の条件にて外観特性評価用の単層フィルム(膜厚30μm)を作製して、同様の評価を行った。
実施例5
実施例3において、含水率15%に調整した組成物(C)の供給量を11.7kg/時間に変更した以外は同様に行った。なお、含水率15%の組成物(C)は、押出機より得られた含水率46%の組成物(C)を流動乾燥機にて温度80℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて2時間乾燥を行ったものを用いた。得られたEVOH複合体のペレットの含水率は0.15%、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0%であった。
得られたEVOH複合体について、実施例3と同様の条件にて外観特性評価用の単層フィルム(膜厚30μm)を作製して、同様の評価を行った。
実施例6
実施例3において、含水率5%に調整した組成物(C)の供給量を10.5kg/時間に変更した以外は同様に行った。なお、含水率5%の組成物(C)は、押出機より得られた含水率46%の組成物(C)を流動乾燥機にて温度80℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて16時間乾燥を行ったものを用いた。得られたEVOH複合体のペレットの含水率は0.13%、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0%であった。
得られたEVOH複合体について、実施例3と同様の条件にて外観特性評価用の単層フィルム(膜厚30μm)を作製して、同様の評価を行った。
比較例1
含水率60%のEVOH(A1’)ペレットを塔式流動層乾燥機により窒素ガスを80℃雰囲気中で40分接触(空塔速度1.6m/sec)させて、含水率30重量%のEVOH(A1’’)ペレットを得た。
含水率30%のEVOH(A1’’)と水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト〔『クニピアF』〕を二軸押出機(スクリュー径15mm、L/D=60 テクノベル社製KZW15−60MG)に供給して溶融混合を行った。この際、含水率30%のEVOH(A1’’)はホッパー部より供給、水膨潤性層状無機化合物(B)はKZW15用2軸サイドフィーダー(C3位置に設置)より供給した。
〔(A1’’)/(B)混合条件〕
(A1’’)供給量 1.2kg/時間
(EVOH成分として0.84kg/時間)
(B)供給量 0.044kg/時間
スクリュー構成 強混練型スクリュー構成
スクリュー回転数 200rpm
ダイス ストランドダイ(径3mmφ:1穴)
ベント すべて閉
温度設定 C1 65℃ C7 90℃
C2 90℃ C8 90℃
C3 90℃ D 90℃
C4 90℃
C5 90℃
C6 90℃
モータートルク 7.6Ampere
押出機出口に設けられたストランドダイから溶融混合物をストランド状に押出して、ペレタイザーを用いてカッティングし、組成物のペレット(含水率28%:直径2.5mm、長さ3mmの円筒状)を得た。次いで、得られたペレットを80℃雰囲気下で7日間真空乾燥を行って含水率0.3%のペレットを得た。なお、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0重量部であった。
得られたEVOH複合体について、実施例1と同様の条件にて単層フィルム(膜厚30μm)を作製し、同様の評価を行った。
比較例2
含水率30%のEVOH(A1’’)と水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト〔『クニピアF』〕を8インチ2本ロール装置(安田精機製)に供給して溶融混合を行った。
〔(A1’’)/(B)混合条件〕
(A1’’)供給量 0.4kg(EVOH成分として0.28kg)
(B)供給量 0.015kg
クリアランス 0.35mm
ロール回転数 前ロール 12rpm 後ロール 15rpm
ロール表面温度 前ロール、後ロールともに97℃
混練時間 10分
得られたシート状の溶融混練物を粉砕機で細かく粉砕して組成物(含水率12%:縦:5mm、横:5mm、厚み:2mmのチップ状)を得た。次いで、得られたチップ状組成物を80℃雰囲気下で5日間真空乾燥を行って含水率0.3%のチップ状組成物を得た。なお、EVOH100重量部に対する水膨潤性層状無機化合物量は5.0重量部であった。
得られたEVOH複合体について、実施例1と同様の条件にて単層フィルム(膜厚30μm)を作製し、同様の評価を行った。
以上の実施例、比較例の条件および結果を表1〜4に表わす。
[表1]条件
Figure 0005388429
[表2]EVOH複合体の評価
Figure 0005388429
[表3]EVOH複合体の評価
Figure 0005388429
酸素バリア性 引張特性
[表4]EVOH複合体の評価
Figure 0005388429
実施例1〜6では、ガスバリア性能の改善に効果的な長粒子成分、及び長径1μm以上の高表面積を有する分散粒子成分がEVOH中に多く存在するEVOH複合体が得られ、これによって、優れた酸素バリア性能が得られている。これに対して、比較例1では長粒子成分の存在割合が少ないために、十分な酸素バリア性能が得られていない。
また、実施例1〜6では、長粒子成分の影響によりフィルム剛性が大きく向上している。さらに、長粒子成分に加えて短粒子成分が多く存在することによって、引張時の破断歪みの低下が少なくフィルムの脆化が抑制されている。それに対して、比較例1では長粒子成分の存在割合が少ないために、十分なフィルム剛性改善が得られていない。
また、EVOH(A2)に混合する際の組成物(C)の含水量を適度に調整することによって、上記ガスバリア性能、フィルム剛性の改善に加えて、組成物(C)に含まれる水分の乾燥効率を改善でき、なおかつフィッシュアイ発生量の少ない外観良好なフィルムが得られた。
上記の分散粒子の形状および粒径分布に特徴を有するEVOH複合体は、代表的には本願発明の製造方法によって得られるものである。本願発明の製造方法は、水膨潤性層状化合物の微粒子化を制御するため、1段階目の含水率を50%以上にする点に最大の特徴があり、かかる手法によれば、従来公知の一般的なEVOH樹脂および水膨潤性層状化合物を用いた場合ならば、本願発明に規定する分散粒子形状および粒径分布を取り、本願発明の効果を有することは自明である。
本発明の実施例におけるEVOH複合体の製造フロー概略図である。

Claims (12)

  1. エチレン含有量が20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)中に水膨潤性層状無機化合物(B)が分散して存在するエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体において、前記水膨潤性層状無機化合物における長径が0.2μm未満の短粒子成分が5〜50%であり、かつ長径が0.5μm以上の長粒子成分が20〜50%の割合で分散して存在するエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  2. 水膨潤性層状無機化合物(B)の長粒子の分散状態が、各粒子の長軸角度平均値に最も近い角度を示す粒子成分に対して30度未満のものが90%以上である請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)中に分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の平均アスペクト比(長径/短径)が2〜20であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  4. 分散した水膨潤性層状無機化合物(B)の平均短径が0.001μm〜0.3μmの範囲で膨潤剥離されたものである請求項1〜3いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  5. 水膨潤性層状無機化合物(B)の配合量が、エチレン−ビニルアルコール共重合体複合体の総重量に対して0.5〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  6. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)との割合が、(A)/(B)として85/15〜99.5/0.5(重量比)であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体を含むことを特徴とする成形物。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体を含む層を少なくとも1層有することを特徴とする積層体。
  9. 含水率50%以上の高含水エチレン−ビニルアルコール共重合体(A1)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合し、次いで得られた組成物(C)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(A2)とを混合して得られることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体の製造法。
  10. 上記組成物(C)の含水率が、5重量%以上60重量%未満であることを特徴とする請求項9記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体の製造法。
  11. 上記組成物(C)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(A2)との混合割合が、(C)/(A2)として1/99〜60/40(重量比)であることを特徴とする請求項9または10記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体の製造法。
  12. エチレン含有量が20〜60モル%であって、含水率50%以上の高含水エチレン−ビニルアルコール共重合体(A1)と水膨潤性層状無機化合物(B)を混合し、次いで得られた組成物(C)とエチレン含有量が20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A2)とを混合して得られることを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体複合体の製造法。
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