JP4002676B2 - 樹脂組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水膨潤性層状無機化合物(A)と融点(Tm)の異なるエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)を2種以上含有するEVOH(B)からなる樹脂組成物及びそれを用いた積層体に関し、更に詳しくはガスバリヤー性、成形加工性に優れた樹脂組成物及びその積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、EVOHは、透明性、帯電防止性、耐油性、耐溶剤性、ガスバリヤー性、保香性等に優れており、又、溶融成形可能な熱可塑性樹脂であり、食品包装等、種々の包装材料用途に用いられている。
しかし、このようなEVOHは外部の湿度や温度という環境の変化によりガスバリヤー性や機械物性が大きく変化し、高湿度の環境下ではガスバリヤー性が低下するという欠点を有している。
又、EVOHの延伸性を高めるために、フィルムの製造過程で急冷を行い結晶化度を低く抑えることが行われるが、急冷することにより結晶性が低下し、充分なガスバリヤー性が得られなくなる。
かかる欠点の解決策として、種々検討されており、例えば、特開平5−39392号公報には、水の存在下にEVOHと水膨潤性フィロケイ酸塩を混合することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、本発明者が詳細に検討した結果、上記開示技術では、水の存在下に水膨潤性フィロケイ酸塩を投入するため、いわゆるママコが発生しやすく、そのため均一に分散することができず、又、均一分散させるにはかなりの時間を必要とすることが判明し、更に得られる成形物のガスバリヤー性は向上されているものの、フィルム成形においてフィッシュアイ等が生ずる等の加工安定性が充分ではなく、又、一軸延伸或いは二軸延伸といった二次加工性についても満足のいくものではないことが判明し、最近の技術の高度化を考慮するとまだまだ改善の余地が残るものであることが判明した。
このような背景下において、本発明では、製造時間の短縮ができ、ガスバリヤー性はもとより、加工安定性、更には二次加工性に優れた樹脂組成物及びその積層体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者等は上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、水膨潤性層状無機化合物(A)とEVOH(B)からなり、かつ、EVOH(B)が、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)及び融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を含有し、(B1)と(B2)の配合割合が(B1)/(B2)=95/5〜55/45(重量比)である樹脂組成物が上記目的に合致することを見出し本発明を完成した。ここで、融点(Tm)は差動走査型熱量計(DSC)により、昇温及び降温速度を10℃/minで測定される値である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる水膨潤性層状無機化合物(A)としては、特に制限されることなく、スメクタイトやバーミキュライト等の粘土鉱物、更には合成マイカ等が挙げられ、前者のスメクタイトの具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等が挙げられる。これらは天然のものであっても、合成されたものでもよい。これらの中でもスメクタイト、特にその中でもモンモリロナイトが好ましい。又、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物等も好ましく用いられる。
【0006】
又、該水膨潤性層状無機化合物(A)の膨潤力は、20℃において、水/アルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して、30ml/2g以上、好ましくは40ml/2g以上、更に好ましくは、50ml/2g以上であることが好ましく、30ml/2g未満ではガスバリヤー性が不充分となり好ましくない。
尚、水膨潤性層状無機化合物(A)の膨潤力は、日本ベントナイト工業会 標準試験方法容積法により測定されるものである。
【0007】
本発明で用いるEVOH(B)としては、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)と融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を含有することが必要である。
ここで、EVOHの融点(Tm)は、差動走査型熱量計(DSC)により、昇温及び降温速度を10℃/minにて測定される値である。
【0008】
上記EVOH(B)としては特に制限されないが、いずれもエチレン含有量が10〜60モル%、好ましくは20〜55モル%で、ケン化度が80モル%以上、好ましくは90モル%以上のものの中から選ばれることが好ましい。エチレン含有量が10モル%未満では高湿時のガスバリヤー性、溶融成形性が低下し、60モル%を越えると充分なガスバリヤー性が得られなくなり好ましくない。又、ケン化度が80モル%未満では、ガスバリヤー性や熱安定性、耐湿性が低下し好ましくない。
又、該EVOHのメルトインデックス(MI)は0.5〜70g/10分(210℃)であるのが好ましく、更に好ましくは1〜50g/10分(210℃)である。
【0009】
例えば、EVOHを2種用いる場合は、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)と融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を用いることが必要であり、EVOHを3種用いる場合は、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)を1種と融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を2種用いる、或いは融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)を2種と融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を1種用いる等、適宜配合され、用いられる。
【0010】
かかるEVOH(B1)とEVOH(B2)との配合割合は、(B1)/(B2)=95/5〜55/45(重量比)である。更には90/10〜60/40(重量比)であることが好ましい。該配合割合が、上記範囲より小さい場合では二次加工性が不良となり、逆に上記範囲より大きい場合ではガスバリヤー性が不良となり好ましくない。
【0011】
又、上記の種々のEVOHは、透明性、ガスバリヤー性、耐溶剤性等の特性を損なわない範囲で少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、不飽和カルボン酸又はその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物、不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含んでいても差支えない。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、上記の水膨潤性層状無機化合物(A)とEVOH(B)からなり、かつ、EVOH(B)が、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)及び融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を含有し、(B1)と(B2)の配合割合が(B1)/(B2)=95/5〜55/45(重量比)であるが、かかる配合量については、水膨潤性層状無機化合物(A)が、EVOH(B)100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜25重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部である。該水膨潤性層状無機化合物(A)の配合量が30重量部を越えると溶融成形性が不良となり好ましくない。
【0013】
更に、かかる配合方法については、特に制限されず、EVOH(B1)及びEVOH(B2)を先ず混合し、このEVOH2種以上のブレンド物(B)と水膨潤性層状無機化合物(A)を混合したり、又、2種以上のEVOH中の任意のEVOHと水膨潤性層状無機化合物(A)を混合し、これと残りのEVOHを順次混合したりする等、適宜選択され採用され得るが、相溶性の点から予め水膨潤性層状無機化合物(A)を分散させた溶媒にEVOH(B1)及びEVOH(B2)を溶解することが好ましい。
【0014】
具体的には、例えば、水膨潤性層状無機化合物(A)を、水/アルコール=0/100〜50/50(重量比)の混合溶剤に分散させた後、更に水を添加して、水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)に調整して、水膨潤性層状無機化合物(A)を膨潤させた後、EVOH(B1)及びEVOH(B2)を順次混合する、或いはEVOH(B1)及びEVOH(B2)のブレンド物(B)を混合する方法等がある。更に、EVOH(B1)及びEVOH(B2)を順次混合する、或いはEVOHのブレンド物(B)を混合するときは、ペレット状や粉末状にて添加したり、予めEVOH或いはブレンド物(B)を水/アルコールの混合溶剤に溶解させておきEVOH溶液として添加したりする等がある。更にはかかるEVOH溶液にするための水/アルコール混合溶剤の組成を上記の水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)の範囲で同じ組成比にした混合溶剤を用い溶解しておくことが好ましい。EVOH溶液として添加する場合は、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の濃度に調整することが望まれる。
【0015】
尚、水を更に添加して水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)に調整した後は、通常20〜60℃で0.5〜4時間程度撹拌を行うことで、水膨潤性層状無機化合物(A)を膨潤させることができる。
【0016】
かくして得られる樹脂溶液は5〜25℃程度の冷水中に放出されたり、該樹脂溶液の入った容器を氷水で冷却されたりして、樹脂組成物として析出され、乾燥されて本発明の樹脂組成物となるのである。
かかる乾燥については特に限定されず、風乾、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥等により行われる。
【0017】
かくして本発明の樹脂組成物は、ガスバリヤー性はもとより、フィルム成形等の加工安定性に優れ、更には一軸延伸や二軸延伸といった二次加工性にも優れた効果を示すものである。
【0018】
又、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等)、可塑剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、乾燥剤、帯電防止剤等を配合することも可能である。又、ゲル化防止剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
【0019】
本発明の樹脂組成物は成形物の用途に多用され、溶融成形等により、ペレット、フィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種形成品等に成形され、又、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)やペレットを用いて再び溶融成形に供することもできる。
溶融成形としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は150〜250℃の範囲から選ぶことが多い。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、上述の如き成形物に用いることができるが、特に該樹脂組成物を少なくとも1層とする積層体として用いることが好ましく、少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層して、実用に適した積層体が得られる。
【0021】
該積層体を製造するに当たっては、本発明の樹脂組成物の層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば該組成物のフィルム、シートに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該組成物を溶融押出する方法、該組成物と他の熱可塑性物樹脂とを共押出する方法、更には本発明で得られる樹脂組成物のフィルム、シートと他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられる。
【0022】
共押出の場合の相手側樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、EVOH等が挙げられる。上記の中でも、共押出製膜の容易さ、フィルム物性(特に強度)の実用性の点から、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましく用いられる。
【0023】
更に、本発明の樹脂組成物から一旦フィルム、シート等の成形物を得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸延伸又は二軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面等)が使用可能である。
【0024】
積層体の層構成としては、本発明の樹脂組成物の層をa(a1,a2,・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1,b2,・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2等任意の組合せが可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等の任意の組み合わせが可能である。
【0025】
又、共押出の場合、aにb、bにaをブレンドしたり、aやbの少なくとも一方に両層面の密着性を向上させる樹脂を配合することもある。
上記樹脂組成物あるいは積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、更には物性改善のために延伸処理を施すことが好ましく、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好である。
本発明においては、この一軸延伸、二軸延伸においても優れた加工安定性を有するものである。
【0026】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空成形等の延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は80〜170℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0027】
かくして延伸が終了した後、次いで熱固定を行う。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。又、得られた延伸フィルムは必要に応じて、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
【0028】
かくして得られる積層体等の成形品の形状は任意のものであってよく、フィルム、シート、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。上記の如く得られるフィルム、シート或いは容器等は、一般食品、レトルト食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
【0030】
実施例1
5lの容器に、イソプロピルアルコール720部を入れて、次いで水膨潤性層状無機化合物(A)として天然モンモリロナイト[膨潤度は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して67ml/2gである]120部を添加し撹拌して分散液を得た。
更に、そこへ水1680部を徐々に加え、40℃で2時間撹拌して(A)を膨潤させた後、EVOH(B1)[エチレン含有量45モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)12g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)165℃]のペレット450部及びEVOH(B2)[エチレン含有量30モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)187℃]のペレット150部を添加し、90℃で2時間混合撹拌してEVOHを完全溶解させた。得られた溶液を4lの冷水(5℃)に流し込んで樹脂組成物を析出させ、真空乾燥を行い、本発明の樹脂組成物を得た。
次いで得られた樹脂組成物を単軸押出機に供給し、T−ダイキャスト法にて押出機設定温度230℃の条件下で製膜を行い、厚み30μmのフィルムを得た。
【0031】
以下、各項目について下記の如く評価した。
(酸素透過度)
上記で得られたフィルムを、MOCON社のOXTRANを用いて20℃、100%RHの条件下で測定を行い評価した。
【0032】
(加工安定性)
上記で得られたフィルムに発生した0.1mmのフィッシュアイの個数(個/100cm2)を観察し、下記の基準で評価した。
○・・・3個未満
△・・・4〜10個未満
×・・・10個以上
【0033】
(二次加工性)
上記で得られたフィルムを160℃で、縦2倍、横2倍に二軸延伸を行い、得られた延伸フィルムの外観を目視観察し、下記の基準で評価した。
○・・・良好であった。
△・・・スジの発生が見られた。
×・・・破断した。
更に該延伸フィルムの酸素透過度を上記と同様に測定し評価した。
【0034】
実施例2
実施例1において、2種のEVOHの配合量をEVOH(B1)[エチレン含有量45モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)12g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)165℃]のペレット540部及びEVOH(B2)[エチレン含有量30モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)187℃]のペレット60部に変更した以外は同様に行って、樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0035】
実施例3
実施例1において、2種のEVOHをEVOH(B1)[エチレン含有量45モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)12g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)165℃]のペレット360部及びEVOH(B2)[エチレン含有量30モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)187℃]のペレット240部に変更した以外は同様に行って、樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
【0036】
実施例4
実施例1において、2種のEVOHを、EVOH(B1)[エチレン含有量40モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)171℃]のペレット450部、EVOH(B2)[エチレン含有量30モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)187℃]のペレット100部及びEVOH(B2)[エチレン含有量27モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)191℃]のペレット50部に変更した以外は同様に行って、実施例1と同様の評価を行った。
【0037】
実施例5
実施例1において、天然モンモリロナイトの代わりにNa型フッ素四珪素雲母[膨潤度は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して76ml/2gである]を用いた以外は同様に行って、実施例1と同様の評価を行った。
【0038】
実施例6
実施例1において、天然モンモリロナイトを200部用いた以外は同様に行って、実施例1と同様の評価を行った。
【0039】
比較例1
実施例1において、EVOH(B1)[エチレン含有量45モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)12g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)165℃]のペレットのみを600部用いた以外は同様に行って、実施例1と同様の評価を行った。
【0040】
比較例2
実施例1において、EVOH(B2)[エチレン含有量30モル%、ケン化度99.8モル%、MI(メルトインデックス)8g/10min(210℃、荷重2160g)、融点(Tm)187℃]のペレットのみを600部用いた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0041】
比較例3
実施例1において、水膨潤性層状無機化合物(A)としての天然モンモリロナイト[膨潤度は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して67ml/2gである]を用いなかった以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、水膨潤性層状無機化合物(A)とEVOH(B)とからなり、かつ、EVOH(B)が、融点(Tm)が186℃未満のEVOH(B1)及び融点(Tm)が186℃以上のEVOH(B2)を含有する樹脂組成物であるため、ガスバリヤー性はもとより、フィルム等の成形時の加工安定性や一軸延伸或いは二軸延伸等の二次加工性に優れた効果を示し、これら樹脂組成物は単層或いは積層体としてフィルム、シート或いは容器等に供せられ、一般食品、レトルト食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
Claims (6)
- 水膨潤性層状無機化合物(A)とエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B)からなり、かつ、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B)が、融点(Tm)が186℃未満のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B1)及び融点(Tm)が186℃以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B2)を含有し、(B1)と(B2)の配合割合が(B1)/(B2)=95/5〜55/45(重量比)であることを特徴とする樹脂組成物。ここで、融点(Tm)は差動走査型熱量計(DSC)により、昇温及び降温速度を10℃/minで測定される値である。
- 水膨潤性層状無機化合物(A)が、20℃において水/アルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して、30ml/2g以上の膨潤力(測定規格:日本ベントナイト工業会 標準試験方法容積法)を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 水膨潤性層状無機化合物(A)が、スメクタイト又は水膨潤性フッ素雲母系鉱物であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 水膨潤性層状無機化合物(A)の配合量が、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B)100重量部に対して、30重量部以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
- エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(B)が、エチレン含有量10〜60モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物の中から選ばれることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物を少なくとも1層とすることを特徴とする積層体。
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