JP4033274B2 - 樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)からなる樹脂組成物及びその用途に関し、更に詳しくはガスバリヤー性や溶液安定性に優れた樹脂組成物及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(以下EVOHと略記する)は、透明性、帯電防止性、耐油性、耐溶剤性、ガスバリヤー性、保香性等に優れており、又、溶融成形可能な熱可塑性樹脂であり、食品包装等、種々の包装材料用途に用いられている。
しかし、このようなEVOHは外部の湿度や温度という環境の変化によりガスバリヤー性や機械物性が大きく変化し、高湿度の環境下ではガスバリヤー性が低下するという欠点を有している。
これに対して、近年ではEVOHと水膨潤性無機化合物とのブレンド物が、ガスバリヤー性の改善を目的として注目を浴びている。
例えば、特開平5−39392号公報には、水の存在下にEVOHと水膨潤性フィロケイ酸塩を混合することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
しかしながら、本発明者が詳細に検討した結果、上記開示技術では、水の存在下に水膨潤性フィロケイ酸塩を投入するため、いわゆるママコが発生しやすく、そのため均一に分散することができず、又均一分散させるにはかなりの時間を必要とすることが判明し、更に得られる樹脂組成物の溶液安定性が不充分である等、まだまだ改善の余地が残るものであることが判明した。
このような背景において、本発明では、ガスバリヤー性に優れ、溶液安定性に優れた樹脂組成物及びその用途を提供することを目的とするものである。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明者等は上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、下式(I)の−109−1.46Et+3.31Svより算出される値よりも高い融点をもつエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を過酸化物で処理して得られた、下式(I)を満足するEVOH(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)からなる樹脂組成物が上記目的に合致することを見出し本発明を完成した。
[数2]
−209−1.46Et+3.31Sv<Tm<−109−1.46Et+3.31Sv・・・(I)
但し、Tm:示差走査型熱量計による融点(℃)
Et:エチレン含有量(モル%)
Sv:ケン化度(モル%)
更に、本発明では、水−メタノール、水−エタノール、水−iso−プロパノール、水−n−プロパノール、水−n−ブタノール、水−iso−ブタノール、水−tert−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドから選ばれる一種を含有させるとき、基材に塗布して積層体とする際に有利となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるEVOH(A)としては、エチレン含有量が10〜60モル%で、ケン化度が80モル%以上であることが好ましい。更に好ましくはエチレン含有量が20〜50モル%で、ケン化度が90モル%以上である。エチレン含有量が10モル%未満では高湿時のガスバリヤー性、溶融成形性が低下し、60モル%を越えると充分なガスバリヤー性が得られなくなり好ましくない。又、ケン化度が80モル%未満ではガスバリヤー性や熱安定性、耐湿性が低下し好ましくない。
又、該EVOH(A)のメルトインデックス(MI)は0.5〜50g/10分(210℃)であることが好ましく、更には1〜35g/10分(210℃)であることが好ましい。
【0006】
本発明では、上記EVOH(A)において、示差走査型熱量計(DSC)で測定されるピーク温度から算出した融点(Tm)がエチレン含有量(Et)及びケン化度(Sv)で規定される上式(I)を満足する範囲のEVOHを用いることが必要である。
Tm値が上記の範囲よりも小さくなっても大きくなっても、ガスバリヤー性が不充分となり本発明の効果を発揮しない。
【0007】
通常のEVOHでは、いかなるエチレン含有量やケン化度のものであってもその融点は本発明の融点よりも高くなっており、かかる融点の高いEVOHの使用では、本発明の目的は達成できないのである。
又、該EVOH(A)は、透明性、ガスバリヤー性、耐溶剤性等の特性を損なわない範囲で少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、不飽和カルボン酸又はその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物、不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを共重合成分として含んでいても差し支えない。
【0008】
上記のTm値を満足するEVOH(A)を得る方法としては任意の方法があが、実用的には通常の工業的製造法により得られるEVOHを過酸化物で処理することが有利である。以下、かかる方法について詳細に述べる。
【0009】
エチレン含有量が10〜60モル%、ケン化度が80モル%以上で融点(Tm)が式(I)の−109−1.46Et+3.31Svより算出される値よりも高い融点をもつもの(一例を挙げれば、エチレン含有量が38モル%、ケン化度が99.6モル%の場合、上式の値は165℃となり、それより高い例えば173℃のもの)を水と低級アルコール(例えば、エチルアルコール、メチルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等)の混合溶媒、或いはジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアマイド(DMF)等の溶剤に溶解させる。
【0010】
該EVOHの濃度は1〜50重量%が適当である。該EVOH溶液に過酸化水素(通常は35重量%水溶液)をEVOHに対してEVOH/過酸化水素水(35重量%水溶液)=1/0.03〜1/3(重量比)になるように添加し、撹拌下で40〜90℃、1〜50時間処理する。場合によっては、反応速度を調整するため金属触媒(CuCl2、CuSo4、MoO3、FeSo4、TiCl4、SeO2等)を溶液当たり、1〜5000ppm程度添加してもよい。又、この時の水、アルコール、溶剤、EVOH、過酸化水素の添加順序は上記の順序に限定されるものではない。勿論、上記配合物を一括に仕込むことも可能である。
処理の終了時点はスタート時の溶液の粘度が初期粘度の1割程度となった点を一つの目安とする。
【0011】
こうして得られるEVOH(A)溶液は、水−アルコール或いはDMSO、DMF等の混合溶液であり、該溶液をそのまま、水膨潤性層状無機化合物(B)とのブレンドに供することもできるし、該溶液より流動層乾燥器、気流乾燥器、凍結乾燥器等による公知の方法により、水−アルコール或いはDMSO、DMF等の溶媒を除去して固形のEVOHとして、水膨潤性層状無機化合物(B)とのブレンドに供することもできる。
【0012】
又、本発明に用いる水膨潤性層状無機化合物(B)としては、特に制限されることなく、スメクタイトやバーミキュライト等の粘土鉱物、更には合成マイカ等が挙げられ、前者のスメクタイトの具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等が挙げられる。これらは天然のものであっても、合成されたものでもよい。これらの中でもスメクタイト、特にその中でもモンモリロナイトが好ましい。又、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物等も好ましく用いられる。
【0013】
該水膨潤性層状無機化合物(B)の膨潤力は、20℃において、水/アルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して、30ml/2g以上、好ましくは40ml/2g以上、更に好ましくは、50ml/2g以上であることが好ましく、30ml/2g未満ではガスバリヤー性が不充分となり好ましくない。
尚、水膨潤性層状無機化合物(B)の膨潤力は、日本ベントナイト工業会 標準試験方法容積法により測定されるものである。
【0014】
本発明では、上記のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)からなる樹脂組成物において、水膨潤性層状無機化合物(B)の配合量がEVOH(A)100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜25重量部、特に好ましくは0.1〜20重量部である。かかる配合量が30重量部を越えると溶融成形性が不良となり好ましくない。
【0015】
かくしてEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)より本発明の樹脂組成物を得るわけであるが、該樹脂組成物の製造方法については、特に限定されず、例えば、EVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)を水−アルコール等の混合溶剤中で溶解し混合した後樹脂組成物としたり、水−アルコールに溶解させたEVOH(A)に水分散させた水膨潤性層状無機化合物(B)を混合する等、任意に製造可能であるが、好ましくは、水膨潤性層状無機化合物(B)を、水/アルコール=0/100〜50/50(重量比)の混合溶剤に分散させた後、更に水を添加して、水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)に調整し、水膨潤性層状無機化合物(B)を膨潤させた後、EVOH(A)を混合する製造方法であり、本発明の効果を顕著に発揮するものである。特に好ましくは、予め、水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)の混合溶剤に溶解させたEVOH(A)溶液を混合することが好ましい。
【0016】
更に、該樹脂組成物の好ましい製造方法について詳述する。
先ず、水膨潤性層状無機化合物(B)を水/アルコールの混合溶剤に分散させる。水/アルコールの混合溶剤は水/アルコール=0/100〜50/50(重量比)、好ましくは20/80〜40/60(重量比)のものを用いる。該水/アルコールの混合割合が上記範囲以外では分散性が不良となり本発明の効果を発揮しない。又、アルコールについてはイソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、メタノール、エタノール等が用いられる。
【0017】
次に、更に水を添加して、水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)、好ましくは80/20〜60/40(重量比)に調整して、水膨潤性層状無機化合物(B)を膨潤させた後、上記EVOH(A)を混合する。このときの水/アルコールの割合が90/10〜51/49(重量比)の範囲以外ではEVOH(A)の溶解性が不充分となる。
【0018】
又、本発明では、EVOH(A)を混合するときは、ペレット状や粉末状にて添加したり、予めEVOH(A)を水/アルコールの混合溶剤に溶解させておきEVOH(A)溶液として添加したりする等の方法がある。中でも、相溶性の点でEVOH(A)溶液として添加することが好ましく、更にはかかるEVOH(A)溶液にするための水/アルコール混合溶剤の組成を上記の水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)の範囲で同じ組成比にした混合溶剤を用い溶解しておくことが好ましい。
EVOH(A)溶液として添加する場合は、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の濃度に調整することが望まれる。
【0019】
尚、水を更に添加して水/アルコール=90/10〜51/49(重量比)に調整した後は、通常20〜60℃で0.5〜4時間程度撹拌を行うことで、水膨潤性層状無機化合物(B)を膨潤させることができる。
【0020】
かくして得られる樹脂溶液は5〜25℃程度の冷水中に放出されたり、該樹脂溶液の入った容器を氷水で冷却されたりして、樹脂組成物として析出され、乾燥されて本発明の樹脂組成物となるのである。
かかる乾燥については特に限定されず、風乾、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥等により行われる。
【0021】
又、本発明では、式(I)を満足する特定のEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)に、更に水−メタノール、水−エタノール、水−iso−プロパノール、水−n−プロパノール、水−n−ブタノール、水−iso−ブタノール、水−tert−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドから選ばれる一種を含有させることも好ましい。かかる溶媒の含有量はEVOH(A)100重量部に対して100〜2000重量部、好ましくは500〜1000重量部であることが好ましい。
【0022】
又、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、EVOH等)、可塑剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、乾燥剤、帯電防止剤等を配合することも可能である。又、ゲル化防止剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
【0023】
かくして本発明の樹脂組成物は成形物の用途に多用され、溶融成形等により、ペレット、フィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種成形品等に成形され、又、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)やペレットを用いて再び溶融成形に供することもできる。
溶融成形としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は150〜250℃の範囲から選ぶことが多い。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、上述の如き成形物に用いることができるが、特に該樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層してなる積層体として用いることが好ましく、実用に適した積層体が得られる。
【0025】
該積層体を製造するに当たっては、本発明の樹脂組成物の層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば、下記の▲1▼溶液コーティング法や▲2▼押出コーティング法の他、▲3▼共押出法等の一般的な方法が挙げられる。但しこれらに限定されるものではない。
▲1▼溶液コーティング法
該樹脂組成物の水−アルコール(或いは溶剤)含有溶液をマイヤーバー、グラビア及びリバースロール方式等のローラーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法等の公知の方法で熱可塑性樹脂フィルムにコーティングして積層体を作製する。その後、公知の方法で乾燥が行われる。一例を挙げると乾燥温度が40〜180℃、好ましくは60〜140℃程度で5秒〜5分程度加熱すればよい。かかる乾燥において塗膜中の揮発分(水、アルコール或いは溶剤)が除去されるのであるが、通常揮発分が2重量%以下となるまで行えばよい。
本発明の樹脂組成物層と熱可塑性樹脂フィルムの接着強度を向上させるために通常のアンカーコート剤(ポリウレタン系、ポリエステル系等)を予めフィルム上にコートしてもよい。
【0026】
▲2▼押出コーティング法
本発明の樹脂組成物のフィルム、シートに熱可塑性樹脂を溶融押出して積層体を作製する。又、逆に熱可塑性樹脂等の基材に本発明の樹脂組成物を溶融押出して積層体を作製する。
かかる押出コーティング法の際には、特に200℃以下の温度設定で加工することが望まれる。
上記の中でも▲1▼溶液コーティング法が均一な製膜が可能である点で有利である。
【0027】
更に、本発明の樹脂組成物から一旦フィルム、シート等の成形物を得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸延伸又は二軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面等)が使用可能である。
【0028】
積層体の層構成としては、本発明の樹脂組成物の層をa(a1,a2,・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1,b2,・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2等、任意の組合せが可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型、等の任意の組み合わせが可能である。
【0029】
上記樹脂組成物あるいは積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、更には物性改善のために延伸処理を施すことが好ましく、かかる延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好である。
【0030】
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空成形等の延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は80〜170℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0031】
かくして延伸が終了した後、次いで熱固定を行う。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。又、得られた延伸フィルムは必要に応じて、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
本発明の樹脂組成物は、上記式(I)を満足するEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)からなるため、ガスバリヤー性に優れ、溶液安定性に優れた効果を発揮するのである。
【0032】
かくして得られる積層体等の成形品の形状は任意のものであってよく、フィルム、シート、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。
上記の如く得られるフィルム、シート或いは容器等は、一般食品、レトルト食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
【0034】
実施例1
[EVOH(A−1)の製造]
水50%、iso−プロピルアルコール50%を含む混合溶媒250部に、EVOH(エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、メルトインデックス10g/10分(210℃、荷重2160g)、融点188℃)100部を加え60〜70℃にて、約2時間撹拌し、透明な溶液を調製した。
次に、該溶液に過酸化水素(35%水溶液)6部を添加し、80℃で約2時間撹拌下で反応させた後、更にカタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、約15%のEVOH(A−1)溶液を得た。
【0035】
得られたEVOH(A−1)のエチレン含有量は29モル%、ケン化度は99.7モル%で、融点TmをDSCで測定したところ、158℃であった。このTm値は上記(I)式より算出される規定値79℃<Tm<179℃を満足するものである。
【0036】
[樹脂組成物の製造]
5lの容器に、イソプロピルアルコール720部を入れて、次いで水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト[膨潤力は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して67ml/2g]120部を添加し撹拌して分散液(イ)を得た。
更に、そこへ水1680部を徐々に加え、40℃で2時間撹拌して(B)を膨潤させた後、EVOH(A−1)のペレット600部を添加し、90℃で2時間撹拌してEVOHを完全溶解させた。
次に、得られた溶液を4lの冷水(5℃)に流し込み樹脂組成物を析出させ、真空乾燥を行った。
乾燥して得られた樹脂組成物を単軸押出機に供給しT−ダイキャスト法にて押出機設定温度190℃の条件下で製膜を行い、厚み30μmのフィルムを得た。
【0037】
以下、各項目について下記の如く評価した。
(溶液安定性)
上記で得られた樹脂組成物の水−イソプロピルアルコール溶液(水/イソプロピルアルコール=50/50(重量比))(濃度20%)を20℃下で静置して該溶液が固化するまでの日数で評価した。
(酸素透過度)
上記で得られたフィルムを、MOCON社のOXTRANを用いて20℃、100%RHの条件下で測定を行い評価した。
(耐屈曲疲労性)
上記で得られたフィルムを、20℃、65%RHの条件下でゲルボフレックステスターにて10回屈曲を行った後、20℃、100%RHの条件下で酸素透過度を測定し、その劣化具合により評価した。
【0038】
実施例2
[EVOH(A−2)の製造]
上記EVOH(A−1)において、エチレン含有量40モル%、ケン化度99.9モル%、メルトインデックス10g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOHに代えた以外は同様に行い、EVOH(A−2)を得た。
得られたEVOH(A−2)のエチレン含有量は40モル%、ケン化度は99.9モル%で、融点TmをDSCで測定したところ、135℃であった。このTm値は上記(I)式より算出される規定値63℃<Tm<163℃を満足するものである。
【0039】
[樹脂組成物の製造]
5lの容器に、イソプロピルアルコール720部、水300部を入れて、次いで水膨潤性層状無機化合物(B)として天然モンモリロナイト[膨潤力は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して67ml/2g]120部を添加し撹拌して分散液(ロ)を得た。更に、そこへ水1380部を徐々に加え、40℃で2時間撹拌して(B)を膨潤させた後、EVOH(−2)のペレット600部を添加し、90℃で2時間撹拌してEVOHを完全溶解させた。得られた溶液を4lの冷水(5℃)に流し込み樹脂組成物を析出させ、真空乾燥を行った。得られた樹脂組成物について実施例1と同様の評価を行った。
【0040】
実施例3
実施例1において、水膨潤性層状無機化合物(B)としてNa型フッ素四珪素雲母[膨潤力は水/イソプロピルアルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して96ml/2g]120部を用いた以外は同様に行い、実施例1と同様に評価を行った。
【0041】
実施例4
実施例1において、EVOH(A−1)のペレット600部を添加する代わりに、EVOH(A−1)を混合前の混合溶剤と同組成(水/アルコール=7/3)の混合溶剤で溶解させたEVOH溶液を固形分で600部添加した以外は同様に行い、実施例1と同様に評価を行った。
【0042】
比較例1
実施例1において、市販のEVOH(−3)(エチレン含有量29モル%、ケン化度99.6モル%、メルトインデックス10g/10分(210℃、荷重2160g)、融点187℃;式(I)よりTm値を算出すると78℃<Tm<178℃となり、該融点は本願の規定値の範囲外である。)を用いた以外は同様に行い、実施例1と同様に評価を行った。
【0043】
比較例2
実施例1において、天然モンモリロナイトを添加せず、EVOH(A−1)を水/イソプロピルアルコール=1680部/720部の混合溶剤中溶解した溶液を用いた以外は同様に行い、実施例1と同様に評価を行った。
実施例及び比較例の結果を表1、2に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004033274
【0045】
注)膨潤力:水/アルコール70/30(重量比)に対する値である。
IPA:イソプロピルアルコールである。
EVOH(−1):エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MI(メルトインデックス)10g/10min(210℃、荷重2160g)、融点158
EVOH(−2):エチレン含有量40モル%、ケン化度99.9モル%、MI(メルトインデックス)10g/10min(210℃、荷重2160g)、融点135℃
【0046】
【表2】
Figure 0004033274
【0047】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は特定式(I)の−109−1.46Et+3.31Svより算出される値よりも高い融点をもつエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を過酸化物で処理して得られた、特定式(I)を満足するEVOH(A)と水膨潤性層状無機化合物(B)(更には水−メタノール、水−エタノール、水−iso−プロパノール、水−n−プロパノール、水−n−ブタノール、水−iso−ブタノール、水−tert−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドから選ばれる一種)からなるため、ガスバリヤー性や溶液安定性、機械物性に優れた効果を示すものである。これら樹脂組成物はフィルム、シート或いは容器等に供せられ、一般食品、レトルト食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。

Claims (7)

  1. 下式(I)の−109−1.46Et+3.31Svより算出される値よりも高い融点をもつエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を過酸化物で処理して得られた、下式(I)を満足するエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)及び水膨潤性層状無機化合物(B)からなることを特徴とする樹脂組成物。
    [数1]
    −209−1.46Et+3.31Sv<Tm<−109−1.46Et+3.31Sv・・・(I)
    但し、Tm:示差走査型熱量計による融点(℃)
    Et:エチレン含有量(モル%)
    Sv:ケン化度(モル%)
  2. 更に、水−メタノール、水−エタノール、水−iso−プロパノール、水−n−プロパノール、水−n−ブタノール、水−iso−ブタノール、水−tert−ブタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドから選ばれる一種を含有させることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)のエチレン含有量が10〜60モル%、ケン化度が80モル%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 水膨潤性層状無機化合物(B)が、20℃において水/アルコール=70/30(重量比)の混合溶剤に対して、30ml/2g以上の膨潤力(測定規格:日本ベントナイト工業会 標準試験方法容積法)を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. 水膨潤性層状無機化合物(B)が、スメクタイト又は水膨潤性フッ素雲母系鉱物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
  6. 水膨潤性層状無機化合物(B)の配合量が、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(A)100重量部に対して30重量部以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の樹脂組成物を少なくとも1層とする積層体。
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