JP2001011191A - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法

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JP2001011191A JP11187644A JP18764499A JP2001011191A JP 2001011191 A JP2001011191 A JP 2001011191A JP 11187644 A JP11187644 A JP 11187644A JP 18764499 A JP18764499 A JP 18764499A JP 2001011191 A JP2001011191 A JP 2001011191A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィッシュアイの発生がなく成形性に優れた
エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物組成物ペレッ
トを得る方法を提供すること。 【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
ペレットを水または水溶液と接触させた後に加熱乾燥を
行うに当たって、該加熱乾燥前のエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物ペレットの含水率を40〜70重量%
に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)ペ
レットの加熱乾燥前の処理方法に関し、更に詳しくは成
形性(フィッシュアイの抑制、着色の抑制、トルク変動
の抑制)ならびに乾燥時の耐ブロッキング性に優れたE
VOHを得ることのできるEVOHペレットの処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、EVOHはその透明性、ガスバ
リア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、
かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材
料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシ
ート、或いはボトル等の容器等に成形されて利用されて
いる。かかるEVOHは、エチレンと酢酸ビニルを共重
合してエチレン−酢酸ビニル共重合体を得て、該共重合
体をケン化することにより得られるものであるが、通常
は、ケン化後のEVOH溶液(EVOHの水−アルコー
ル混合溶液)を凝固液中にストランド状に押し出した後
にペレット状にカットされて、その後水洗され、加熱乾
燥されてEVOHペレットとして製品化されたり、必要
に応じて水洗後に各種の水溶液に浸せき処理され、加熱
乾燥されてEVOHペレットとして製品化されているの
が実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者が上記の乾燥工程において、各種の方法を試みたとこ
ろ、加熱乾燥の前に特定の処理を施すことにより、フィ
ッシュアイの少なく成形性に優れたEVOHペレットが
得られることが判明した。すなわち、本発明は、EVO
Hの成形性の向上(フィッシュアイの抑制、着色の抑制
およびトルク変動の抑制)ならびに加熱乾燥工程でのブ
ロッキング防止を目的としたEVOHペレットの加熱乾
燥工程での(前)処理方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、EVOHペレッ
トの乾燥工程について鋭意研究した結果、EVOHペレ
ットを水または水溶液と接触させた後に加熱乾燥を行う
に当たって、該加熱乾燥前のEVOHペレットの含水率
を40〜70重量%に調整することにより上記の目的を
達成することができることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられるEVOH(ペレット)は、エチレン
−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであ
り、特に原料となるエチレン−酢酸ビニル共重合体は特
に限定されないが、得られるEVOHの要求性能を考慮
すれば、エチレン含有量が20〜50モル%(更には2
5〜50モル%、特には27〜48モル%)が好まし
く、かかるエチレン含有量が20モル%未満では得られ
るEVOHの高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下
し、逆に60モル%を越えると得られるEVOHの充分
なガスバリア性が得られず好ましくない。
【0006】また、かかるエチレン−酢酸ビニル共重合
体はエチレン、酢酸ビニル以外に、これらと共重合可能
なエチレン性不飽和単量体を共重合成分として含有して
も差支えない。該単量体としては、例えばプロピレン、
イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オク
タデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコ
ン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジ
アルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロ
ニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリル
アミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスル
ホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン
酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−ア
クリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチ
ルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)ア
リルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエ
ーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエー
テル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリ
オキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシ
アルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン
(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メ
タ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)
アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)ア
クリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、
ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピ
レンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミ
ン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエ
チレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミ
ン等が挙げられる。
【0007】本発明で用いられるEVOHは、上記の如
きエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られる
ものであるが、かかるケン化反応は、アルカリ触媒の共
存下に実施され、該アルカリ触媒としては、ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のアルカリ触媒に
よるケン化反応に使用される従来公知の触媒をそのまま
使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、
ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウムなどのア
ルカリ金属アルコラート、1,8−ジアザビシクロ
[5,4,10]ウンデセン−7(DBU)で代表され
る強塩基性アミン、更には炭酸アルカリ金属塩、炭酸水
素アルカリ金属塩などが挙げられるが、取り扱いの容易
さ、触媒コスト等から水酸化ナトリウムの使用が好まし
い。
【0008】触媒の使用量は必要ケン化度、反応温度等
により異なるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の残
存酢酸基に対して0.05当量以下が用いられ、好まし
くは0.03当量以下である。又アルカリ触媒の替わり
に、塩酸、硫酸等の酸触媒を用いることも可能である。
【0009】ケン化に当たっては、上記エチレン−酢酸
ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体
中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解
し、アルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して40〜1
40℃の温度で反応せしめる。
【0010】該溶液温度においてEVOHが析出しない
様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はない
が、通常は該EVOHの濃度が10〜55重量%、好ま
しくは15〜50重量%となるようにすれば良い。該ア
ルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等のアルコールが用いられるが、好ましくはメタノ
ールが用いられる。
【0011】かかるケン化により得られるEVOHの酢
酸ビニル成分のケン化度は70〜100モル%とするこ
とが好ましく、更にはケン化度80〜100モル%であ
る。該ケン化度が70モル%未満の場合、該EVOHを
溶融成形する場合の熱安定性が悪くなり好ましくない。
【0012】次に上記で得られたEVOHのアルコール
溶液に水を加えてEVOHの水−アルコール混合溶液と
した後、該混合溶液が凝固液中に供され、そこでEVO
Hが析出(凝固)されるのであるが、かかる凝固液とし
ては、水やアルコールが用いられ、更には、EVOHの
水−アルコール混合溶液に飽和脂肪族アミド(例えばス
テアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレ
フィン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレン
ビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステ
アリン酸カルシウム等)などの滑剤や、低分子量ポリオ
レフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分
子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)、
無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例え
ばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール
等の脂肪族多価アルコールなど)等を配合しても良い。
また、該混合溶液を凝固液と接触させる温度は−10〜
40℃が好ましく、更には0〜20℃で、なるべく低温
での操作が樹脂損失を少なく出来効果的である。
【0013】上記の操作によりEVOHの水−アルコー
ル混合溶液は凝固液中で析出されてEVOHとなるので
あるが、かかる析出に当たっては、通常、任意の形状を
有するノズルにより凝固液中にストランド状に押出され
て析出させて、その後カッティングされてEVOHのペ
レットが得られるのである。
【0014】かかるノズルの形状としては、特に限定さ
れないが、円筒形状が好ましく、内径としては、0.1
〜10cm、好ましくは0.2〜5.0cmである。ノ
ズルより押し出されるストランドは必ずしも一本である
必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押出し可能
である。
【0015】かくして、ストランド状に押し出されたE
VOHは凝固が充分進んでから切断され、EVOHのペ
レットが得られるのであるが、通常該ペレットは水洗ま
たは水溶液に浸せき処理される。かかる水洗の条件とし
ては、ペレットを温度10〜60℃の水槽中で水洗す
る。かかる水洗により、EVOH中のオリゴマーや不純
物が除去され、特に酢酸ナトリウムは0.5重量%以下
まで除去される。
【0016】一方、水溶液に浸せき処理されるときの水
溶液としては、酸またはその金属塩の水溶液が好まし
く、かかる酸が、酢酸、ホウ酸、リン酸のいずれかで、
その塩がこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金
属塩の少なくとも1種以上であることが更に好ましい。
【0017】かかる酸としては、具体的に酢酸、プロピ
オン酸、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、安息香酸、クエ
ン酸等を挙げることができ、好適には酢酸、ホウ酸、リ
ン酸が用いられ、また、その塩としては、上記の酸のア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、具体
的には、酢酸塩としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガ
ン、酢酸銅、酢酸コバルト、酢酸亜鉛などが挙げられ、
好適には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸マグネシウムが用いられ、ホウ酸塩としてはホ
ウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ
酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カ
リウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウ
ム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八
ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホ
ウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリ
ウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ
酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム
等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ
酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、
ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナ
トリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、
六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸
鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル
(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸
ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オ
ルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バ
リウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ
酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸
マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マ
グネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マン
ガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホ
ウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウ
ム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの
他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、
スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げら
れ、好適にはホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナ
トリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、
五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナ
トリウム等)が用いられ、またリン酸塩としては、リン
酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸
二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリ
ウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウ
ム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸
水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウムなどが挙
げられ、好適にはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水
素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マ
グネシウムが用いられる。
【0018】かかる酸またはその金属塩の水溶液中の酸
またはその金属塩の含有量は、その種類によっても一概
に言えないが、例えば酢酸(塩)の時は0.001〜1
重量%(更には0.01〜0.5重量%)程度が好まし
く、ホウ酸(塩)の時は0.001〜1重量%(更には
0.002〜0.2重量%)程度が好ましく、また、リ
ン酸(塩)の時は0.0001〜0.5重量%(更には
0.001〜0.1重量%)程度が好ましく、これらの
含有量が過少の時は所定量の酸やその金属塩をEVOH
中に含有させることが困難となり、逆に過多の時は得ら
れる成形物の外観が悪化することがあり好ましくない。
【0019】かくしてかかる水溶液中に上記のEVOH
ペレットが浸せきされて、酸やその金属塩が含有される
のであるが、これらの最終的な含有量も酸や金属塩の種
類によっても一概に言えないが、例えば酢酸(塩)の時
は10〜500ppm(更には20〜300ppm)
(金属塩の時は金属換算)程度が好ましく、ホウ酸
(塩)の時は10〜10000ppm(更には20〜1
000ppm)(ホウ素換算)程度が好ましく、また、
リン酸(塩)の時は5〜500ppm(更には20〜3
00ppm)(リン酸根換算)程度が好ましく、これら
の含有量が過少の時は溶融成形時のロングラン性に劣る
ことがあり、逆に過多の時は得られるEVOHの熱安定
性が悪化したり、得られる成形物の外観が悪化すること
があり好ましくない。また、上記の酸またはその金属塩
の水溶液中への浸せきは、前記の水洗の後に行うことが
好ましい。
【0020】かくして、水洗或いは酸またはその金属塩
の水溶液中への浸せきが行われたEVOHペレットは次
いで加熱乾燥されるのであるが、本発明では、該加熱乾
燥前のEVOHペレットの含水率を40〜70重量%に
調整することを最大の特徴とするもので、かかる処理に
ついて説明する。
【0021】本発明においては、上記の如くEVOHペ
レットが加熱乾燥前に有している水分量(EVOHペレ
ットの内部に含有されている水及び該ペレット表面に付
着してる水の総量)を調整してEVOHペレットの含水
率を40〜70重量%(更には45〜65重量%、特に
は50〜60重量%)に調整することが必要で、かかる
範囲外では本発明の目的を達成することはできない。
【0022】更に、水または水溶液と接触させた後のペ
レットの含水率と加熱乾燥前のペレットの含水率との差
が1〜10重量%(更には1〜6重量%)であるとき、
本発明の作用効果が一層発揮される。即ち、水または水
溶液と接触させた後のペレットの含水率を調整(通常は
水分を除去)するときの該調整前後の含水率の差を1〜
10重量%とするのである。
【0023】尚、上記の含水率とは、EVOHペレット
が加熱乾燥前に有している水分量をW1(g)、EVO
Hペレットの重量をW2(g)とするとき、下記(1)
式で算出されるものである。 含水率(重量%)={W1/(W1+W2)}×100 ・・・ (1) かかるW1及びW2の測定は含水ペレットを電子ケットを
用い450℃で25分間加熱する前の重量(W1+W
2)と加熱後の重量(W2)を測定することにより、求
めることが可能である。
【0024】かかる含水量の調整方法としては、特に限
定されないが、本発明では熱を加えることなく物理的に
水分を除去することが好ましく、例えば遠心分離(脱
水)方法、減圧篩(ハイドロシーブ)、ガス流動等の方
法を挙げることができ、できるだけEVOHペレット表
面に付着している水を優先的に除去することが好まし
く、かかる点では遠心分離方法、減圧篩の方法が工業的
に好適に用いられる。
【0025】かかる遠心分離方法について、更に詳述す
れば、回分式、連続式のいずれであってもよいが、工業
的には連続式が好適に用いられる。回分式、連続式のい
ずれも目皿孔あるいはスリットをもつバケット状の回転
体を有し、連続式はペレットが形状変化がなく連続排出
できる構造を有するものであれば、遠心分離装置は限定
されるものではない。除去する水分の調整は、目皿孔
径、回転数、処理量(処理時間)等で行い、目皿孔径と
しては、EVOHペレット径より小さければよく、好ま
しくは0.1〜3mm程度であり、かかる目皿孔径が
0.1mm未満では水の除去能力が不足し、さらに微粉
による目詰まりが発生しやすく、逆に3mmを越えると
水の除去の調製が難しく好ましくない。回転数は装置に
より一概に言えないが、通常500〜20000rpm
に設定され、処理時間は60秒以内で実施される。
【0026】また、減圧篩とは、篩上にEVOHペレッ
トを乗せて、その背面を減圧して該ペレットが持ってい
る水分を篩背面に除去する方法で、例えば該篩を傾斜さ
せておきその表面にEVOHペレットを供給していくこ
とで連続的に処理することも好ましい。該篩の孔径は、
好ましくは0.1〜3mmであり、かかる孔径が0.1
mm未満では水の除去の能力が不足し、逆に3mmを越
えると水の除去の調製が難しく好ましくない。含水率が
調整されたEVOHペレットは、次いで、加熱乾燥工程
を経て、製品化されるのである。
【0027】かかる乾燥方法として、種々の乾燥方法を
採用することが可能であり、例えば流動乾燥や静置乾燥
等の乾燥方法を挙げることができ、これらを組み合わせ
ることも可能で、流動乾燥処理後に静置乾燥処理を行う
方法又は静置乾燥処理後に流動乾燥処理を行う方法等を
採用することもできる。
【0028】かかる流動乾燥とは、実質的に樹脂組成物
(ペレット)が機械的にもしくは熱風により撹拌分散さ
れながら行われる乾燥を意味し、該乾燥を行うための乾
燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円筒乾燥器、回
転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転
型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥とは、実質的に
樹脂組成物(ペレット)が撹拌、分散などの動的な作用
を与えられずに行われる乾燥を意味し、該乾燥を行うた
めの乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥
器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥
器、竪型サイロ乾燥器等を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0029】また、上記の如く得られたEVOHペレッ
トには、更に、必要に応じて、可塑剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、抗菌剤、フィラー、他
樹脂などの添加剤を使用することも可能である。特にゲ
ル発生防止剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒ
ンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、
高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもでき
る。
【0030】また、EVOHとして、異なる2種以上の
EVOHを用いることも可能で、このときは、エチレン
含有量が5モル%以上異なり、及び/又はケン化度が1
モル%以上異なるEVOHのブレンド物を用いることに
より、ガスバリヤー性を保持したまま、更に高延伸時の
延伸性、真空圧空成形や深絞り成形などの2次加工性が
向上するので有用である。
【0031】かくして得られたEVOHペレットは、溶
融成形等により、フィルム、シート、容器、繊維、棒、
管、各種成形品等に成形され、又、これらの粉砕品(回
収品を再使用する時など)を用いて再び溶融成形に供す
ることもでき、かかる溶融成形方法としては、押出成形
法、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度
は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。ま
た、該EVOHペレットは、単層として用いることもで
きるし、該樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱
可塑性樹脂層等を積層して多層積層体として用いること
も有用である。
【0032】該積層体を製造するに当たっては、該EV
OHペレットからなる層の片面又は両面に他の基材を積
層するのであるが、積層方法としては、例えば該EVO
Hペレットからなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を
溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該EV
OHペレットを溶融押出する方法、該EVOHペレット
と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には該EV
OHペレットからなるフィルムやシートと他の基材のフ
ィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート
化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等
の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が
挙げられる。
【0033】共押出の場合の相手側樹脂としては直鎖状
低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロ
ピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20
のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテ
ン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらの
オレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又は
そのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリ
オレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合
ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ア
クリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、
ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマ
ー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙
げられる。他のEVOHも共押出可能である。上記のな
かでも、共押出製膜の容易さ、フィルム物性(特に強
度)の実用性の点から、ポリプロピレン、ポリアミド、
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリス
チレン、PETが好ましく用いられる。
【0034】更に、本発明で得られたEVOHペレット
から一旦フィルムやシート等の成形物を得、これに他の
基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート
等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑
性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延
伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金
属綿状、木質等)が使用可能である。
【0035】積層体の層構成は、該EVOHペレットか
らなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば
熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、
フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構
造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2
b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2等任意の組
み合わせが可能であり、フィラメント状ではa、bがバ
イメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘
(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能
である。
【0036】かくして得られた積層体の形状としては任
意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボ
トル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示
される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷
却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、
溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加
工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができ
る。上記の如く得られたフィルム、シート或いは容器等
は食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料とし
て有用である。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。
【0038】実施例1 液温60℃に調整されたEVOH[エチレン含有量42
モル%、ケン化度99.2モル%、MI(210℃、荷
重2160g)が12g/10分]溶液(溶媒は水/メ
タノール=20/80重量比の混合溶液で、EVOHは
45%含有)を凝固液(5℃の水)中にストランド状に
押出した後にカッターで切断して、EVOHペレット
(長さ4mm、直径4mm)を得た。
【0039】かかるペレットを30℃の温水中で洗浄
後、0.03%のホウ酸及び0.1%の酢酸を含有した
水溶液に浸せきして、30℃で5時間撹拌を行って、含
水率50%のEVOHペレットを得た。次いで、かかる
EVOHペレットを遠心分離機(目皿径1mm、回転数
4000rpm、処理時間30秒)にかけて、EVOH
ペレットの含水率を46%にした(調整前後の含水率差
4%)後、110℃で12時間乾燥を行って、本発明の
処理が施されたEVOHペレット[ホウ酸をホウ素換算
で110ppm、酢酸80ppm含有]を得た。
【0040】得られたEVOHペレットを用いて、以下
の評価を行った。(フィッシュアイ)得られたEVOH
ペレットを単軸押出機に供して、下記の条件で7日間連
続して製膜を行って、1日毎に厚みが40μmのフィル
ムを得て、100mm×100mm当たりに発生するフ
ィッシュアイの個数を調べて、下記の通り評価した。 ◎ −−− 3個未満で推移 ○ −−− 10個未満で推移 △ −−− 50個未満で推移 × −−− 50個以上で推移
【0041】 [単軸押出機による製膜条件] スクリュー内径 40mm L/D 28 Tダイ コートハンガータイプ 押出温度 C1:190℃ H:200℃ C2:210℃ D:200℃ C3:210℃ C4:210℃
【0042】(トルク変動)上記の製膜条件で7日間連
続で製膜を実施し、押出機のモーター負荷のスクリュー
トルクA(アンペア)の変動を下記の通り評価した。 ○ −−− 5%未満の変動 △ −−− 5〜10%未満の変動 × −−− 10%以上の変動
【0043】(着色)得られたEVOHペレットを射出
成形機に供して、下記の条件で100mmφで厚み5m
mの円盤状の成形物を得て、着色の度合いを目視観察し
て下記の通り評価した。 ○ −−− 乳白色またはごくわずかな黄味色を有して
いる △ −−− 少し黄味色を帯びている × −−− かなり黄味色を帯びている
【0044】[射出成形機の成形条件] 射出速度 150mm/sec 射出圧力 80MPa 射出時間 8秒 冷却時間 30秒 金型温度 45℃
【0045】実施例2 液温50℃に調整されたEVOH[エチレン含有量35
モル%、ケン化度99.5モル%、MI(210℃、荷
重2160g)が20g/10分]溶液(溶媒は水/メ
タノール=40/60重量比の混合溶液で、EVOHは
50%含有)を凝固液(5℃の水)中にストランド状に
押出した後にカッターで切断して、EVOHペレット
(長さ4mm、直径4mm)を得た。
【0046】かかるペレットを30℃の酢酸水溶中で洗
浄した後、0.06%のホウ酸、0.05%の酢酸及び
0.04%の酢酸ナトリウムを含有した水溶液に浸せき
して、30℃で5時間撹拌を行って、含水率48%のE
VOHペレットを得た。次いで、かかるEVOHペレッ
トを遠心分離機(目皿径1mm、回転数3500rp
m、処理時間25秒)にかけて、EVOHペレットの含
水率を43%にした(調整前後の含水率差3%)後、1
05℃で16時間乾燥を行って、本発明の処理が施され
たEVOHペレット[ホウ酸がホウ素換算で260pp
m、酢酸が90ppm、酢酸ナトリウムがナトリウム換
算で100ppm含有]を得た。得られたEVOHペレ
ットを用いて、実施例1と同様に評価を行った。
【0047】実施例3 実施例1において、EVOHペレットの水溶液の浸せき
処理を30℃で4時間として含水率50%のEVOHペ
レットを得て、遠心分離機の条件を変更して処理後のE
VOHペレットの含水率を44%とした(調整前後の含
水率差6%)以外は同様に処理を行って、同様に評価を
行った。
【0048】実施例4 実施例1の付着水の除去工程において、遠心分離機での
除去に変えて、減圧篩(篩の傾斜角30度、篩孔径1.
5mm、0.5気圧減圧、滞留時間20分)を用いて、
EVOHペレットの含水率を45%にした(調整前後の
含水率差5%)以外は同様に行って、同様に評価を行っ
た。
【0049】実施例5 実施例1において、EVOHペレットの水溶液の浸せき
処理を35℃で5時間として含水率48%のEVOHペ
レットを得た後、実施例4の減圧篩に準じて、条件を変
更して処理後のEVOHペレットの含水率を45%とし
た(調整前後の含水率差3%)以外は同様に処理を行っ
て、同様に評価を行った。
【0050】比較例1 実施例1において、遠心分離機での水分の除去を行わず
に直接乾燥処理を行った以外は同様に行って、同様に評
価を行った。実施例及び比較例の評価結果を表1に示
す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明の方法で処理されたEVOHペレ
ットは、成形性が良好でフィッシュアイ発生の抑制効果
が大きく、積層体としての有用性も高く、食品や医薬
品、農薬品、工業薬品包装用のフィルム、シート、チュ
ーブ、袋、容器等の用途に非常に有用で、延伸を伴う二
次加工製品等にも好適に用いることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA13 AA26 AB01 AB09 AB13 AC14 AC20 AC40 AE03 DA35 DA55 DB01 DB03 DC16 4F201 AA10 AC01 AR15 BA04 BC01 BC12 BC19 BN01 BN21 4J100 AA02Q AA03R AA06R AA15R AA19R AC03R AC04R AE02R AE09R AE18R AF11R AG04P AJ01R AJ02R AJ08R AJ09R AK01R AK08R AK13R AK20R AK21R AK32R AL01R AL02R AL08R AM02R AM15R AM21R AN04R AN05R AP01R AQ08R BA08R BA14R BA32R BA56R BB01R CA04 CA05 CA31 GC25 HA08 HB58 HB63 HC27 JA58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    ペレットを水または水溶液と接触させた後に加熱乾燥を
    行うに当たって、該加熱乾燥前のエチレン−酢酸ビニル
    共重合体ケン化物ペレットの含水率を40〜70重量%
    に調整することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重
    合体ケン化物ペレットの処理方法。
  2. 【請求項2】 水または水溶液と接触させた後のペレッ
    トの含水率と加熱乾燥前のペレットの含水率との差が1
    〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載のエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方
    法。
  3. 【請求項3】 水溶液が酸またはその金属塩の水溶液で
    あることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン
    −酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法。
  4. 【請求項4】 酸が、酢酸、ホウ酸、リン酸のいずれか
    で、その塩がこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土
    類金属塩の少なくとも1種以上であることを特徴とする
    請求項3記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    ペレットの処理方法。
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